質問日:令和3年3月8日(月)
質問者:上野 英一 委員
1 職員の給与抑制措置について
県では、阪神淡路大震災からの創造的復興に対して、多額の県債を発行してきたために厳しい財政運営を強いられてきた。それに対して、平成12年から行財政全般にわたる改革を行ってきた。さらに、長引くデフレ経済、新たな財政健全化指標の導入などの影響により収支不足や財政指標が悪化し、行財政環境が更に厳しさを増したため、平成20年度に新行革プランを策定し、平成20年度~平成30年度にかけては、多額の収支不足に対応するために、職員の3割削減と職員の給与カットを含む行財政構造改革に取り組んできた。平成30年度には収支均衡となり、一般職員の管理職以外の給与カットは解消された。しかし、依然として特別職と一般職の管理職の給与カットは継続されてきた。
それが、今回コロナショックにより、特別職と管理職の給与カットの上乗せの予算案が上程されている。特別職はともかくとして、一般職の給与カットが一度も元に戻らず、10数年も継続されるのは如何なものかと考える。雇用主責任を果たしていると言えるのだろうか。
一般職員の管理職手当に対する減額措置はいつまで継続させる見込なのか、当局の所見を伺う。
2 財政運営の方針について
令和2年2月定例会の代表質問でも指摘したが、平成20~30年の11年間にわたる財政再建の結果については、平成19年度末の震災関連県債残高は8,460億円であったものが、平成30年度末で3,615億円、改善額4,845億円に減少した。一方で、行財政構造改革期間中に発行した財源対策債の残高は平成30年度末で2,892億円に上った。令和2年度から県債管理基金での償還を行っているが、平成30年度までの実質の改善額は11年間で1,953億円であり、平成30年度末で6,507億円が残っていると考えてもよいと思う。今回の行財政運営方針の変更(案)では、令和2年度末の震災関連県債約2,900億円、行革期間中に発行した退職手当債と行革推進債の残高約2,300億円と記載している。さらに、令和4年度~9年度までの間に要調整額が合計で330億円が生じる見込みとなっているが、平成20年~30年までの11年間と同じことの繰り返しとなるのではないかと危惧している。一般事業費等の削減や、一般行政部門等の定員の平成19年度比3割削減を行った上でも、収支不足額が発生する今後の財政の見通しについて、どのように考えておられるのか、当局の所見を伺う。
3 危機に備えた体制整備について
先月2月に「有事における保健所の危機管理体制、職員配置について」の代表質問を行った。知事の答弁では、保健師の採用を増やし純増7名の人員体制強化をはじめ、令和2年度より保健師等の免許職種の採用上限年齢を45歳に引き上げ、中堅層を含め職員確保に努めている。各事務所の職員配置については、若手、中堅、ベテランをバランス良く配置するとともに、新任職員には指導担当者による現任教育を行うほか、感染症、精神保健、難病など業務ごとに研修会を実施し、専門性の向上を図っている。さらに、「保健師バンク」や「兵庫県保健師キャリア支援センター」を設置など外部での取組強化の答弁も頂いた。今回はコロナ禍で明らかになった保健所対応だが、他部署においても起こってからではなく普段から非常時に備えた体制整備を行う必要があると考える。例えば、今年は鳥インフルエンザも発生したが、農政環境部では素早く対応されました。話を伺うと、事前に発生に対しての体制整備を行っており、また、年1回はシミュレーション訓練を行っているとのことである。
今後、新型コロナウイルスのような感染症や国民保護事案などの危機に備え、平時からの体制整備や訓練をどのようにしていくのか、当局の所見を伺う。
4 県職員のパワー・ハラスメント対策について
職場のいじめ・嫌がらせに関する都道府県労働局への相談は令和元年度で8万7千件を超え、8年連続で全ての相談の中でトップである。国は、ハラスメントのない社会の実現に向けて、職場での対策を強化するため、令和2年6月に改正労働施策総合推進法等が施行され、事業主に、パワー・ハラスメントいわゆるパワハラ防止のために相談体制の整備等の雇用管理上の措置を講じることを義務づけたところである。
しかし、兵庫県では平成23年度以来の残念なパワハラ事案が起こり、昨年12月に管理職2名が配置転換になった。この間も、潜在化していたのではないかと心配する。今回の2名については、2名とも、本人がパワハラをしているという自覚がないタイプであったと聞いている。私はこのタイプが危険であると考える。私たちも一度自身を振り返ってみる必要があると考える。おそらく優秀な職員が陥りやすく、子供のころからエリートで頭脳明晰、自身の考えや理論に自信を持っており、他者や、特に部下に対しては、意見を聞かないだけでなく強要するタイプが多いのではないか思う。
県では「兵庫県ハラスメント防止指針」を作成しているが、パワハラに対して日頃どのような研修・指導をしているのか、また、職場でのチェック体制はどのようになっているのか、当局の所見を伺う。
5 消防体制の充実・強化について
消防体制の中でも、消防団の現状と充実強化について伺う。
一つには、人口減少や労働環境の変化の中で、消防団員が減少していることである。昭和40年に122消防団、2,620分団あったものが、令和2年4月時点では、62消防団、1,214分団で、消防団員数は41,141人となっている。また、都市部と地方部でも大きな違いがあるが、神崎郡3町の実態は、福崎町で35自治会に対して32分団613人で、人口に対して約3%である。それを本部の下に中部・東部・西部支部に編成している。市川町では、30自治会に対して26分団493人で、人口に対して約4.4%である。神河町では、39自治会に対して、7分団27部595人で、人口に対して約5.6%である。
3町では、元々自治会1分団であった。神河町の例でいえば、消防操法訓練が始まったころから、分団合同で選手・チーム編成するようになり、現在の7分団に編成して、さらに1分団で部は解消したために27部となっている。それは、消防団員が減少していく中で、活動を維持していくための工夫である。特に、火災などの有事に備えるには分団・部の日常的な活動が重要であり、そのための組織である。
分団単位で実施する活動は、(非常)呼集訓練は年3回以上、広報活動は月4~5回以上(各部月1回以上)、正副分団長会議は月1回以上で参加対象は、副本団長、分団長、副分団長、班長(各部1名)である。部単位では、ポンプ点検及び放水訓練を分団内の複数の部合同で月1回以上行い、分団内配備の各ポンプ操作の習得に努める、消火栓訓練を年1回以上行う、サイレン吹鳴を毎月第1日曜日の午前8時に行う、部役員会を月1回以上正副分団長、班長出席で行うなど、団員不足の中でも組織再編を行いながら、消防活動の充実に努め住民の負託に応えている。
消防団の充実・強化は市・町が主体的に取り組むべき課題ではあるが、例えば、消防団員の活動に対して勤め先の理解・協力を得るなど、市町と協力しながら県としてどのような取組をしているか、当局の所見を伺う。