議会の動き

栗山 雅史議員が質問(予算審査・県土整備部)

質問日:令和4年3月9日(金)

質問者:栗山 雅史 委員

1 JR西日本の県内ローカル線の将来について

先月2月16日、JR西日本の長谷川一明社長は、利用者が極めて少ない在来線の区間別の収支状況を4月に公表する方針を明らかにしました。鉄道の利用状況を示す輸送密度が、「運行困難」の目安とされる1日あたり2,000人を割り込む17路線30区間が対象となるようです。その中に、兵庫県内の区間もいくつか含まれていました。

鉄道各社はコロナ禍で業績が悪化し、ローカル線の維持は一層、難しくなっていることについては、ご承知のことと思います。JR西日本は、今回初めて区間ごとの輸送密度を示し、今後不採算の区間も明示するとのことでありますが、その狙いはその路線が今後どうあるべきなのか、鉄道運行が良いのか、それ以外の選択肢にするべきなのかという見直しに向けた議論を加速させたいということのようです。つまりは軽量軌道交通(LRT)への転換や、路線廃止によるバス転換なども視野に入れて見直す考えを記者会見で明らかにしておりまして、今後、対象となるローカル線の関係者、つまりは沿線自治体になると思いますが、協議していくということです。

JR西日本がここまで踏み切ったのは、やはり民間会社として独立採算を保っていかなければ、今後の経営が立ち行かないということだと思います。国鉄時代から引き継いだ広範囲の路線すべてを維持するために、都市部のドル箱路線や新幹線の収益で赤字のローカル線を支えてきましたが、コロナ禍で全体的に収入が落ち込み、このモデルが成り立たなくなっています。

さて、兵庫県内で対象となる区間をご紹介しますが、一番輸送密度が低いのが加古川線で、西脇市から谷川の区間17.3km、コロナ前の2019年度の輸送密度は1日321人、2020年度で215人となっています。その他、山陰線の城崎温泉から浜坂、浜坂から鳥取の区間、そして姫新線の播磨新宮から上月、播但線の和田山から寺前の区間が対象となっています。中国地方に比べればまだマシとも言えますが、おそらく不採算路線でありますし、今後JR西日本サイドから沿線自治体などに対して協議の場を持ちたいとの連絡があるのだろうと思います。

沿線自治体にとっては、住民の足の確保という点で非常に重要な課題である一方で、今後もその路線維持のために行政として支援を続けていくのか、あるいは同じ行政支援でも上下分離方式の道を模索するのか、あるいは路線廃止によるバス転換にせざるを得ないのか、本当に悩ましい課題に直面することになります。そのような中、兵庫県としては「ひょうご公共交通10カ年計画」の理念に基づいて、国や市町とともに持続可能で安全・安心な鉄道の実現を図っていくという立場でありますが、今後はどのようなことに備えていくべきなのでしょうか。遠い将来ではなく、近い将来に起こることとして考えておかなければならないと思っています。

JR西日本の県内のローカル線の将来について、県当局の今後の見通しをお伺いします。

2 ひょうごフィールドパビリオンの重要な要素としての景観条例の改正について

さて、この予算委員会で私はずっと大阪・関西万博関連、関係する観光分野、そして大阪湾ベイエリアの活性化について、企画県民部、産業労働部で多くの質問をさせていただきました。この県土整備部でラストです。今回は景観の分野での質問となりました。

今回の県土整備部の予算案に、またまた「ひょうごフィールドパビリオン」の言葉が出てきていました。資料によりますと、『大阪・関西万博を見据え、大阪湾ベイエリアへの人の流れを兵庫に呼び込む取組として、城下町の酒蔵や地場産業の景観を、ひょうごフィールドパビリオンの重要な要素として、その価値と魅力を高めるための景観条例の改正を予定している』ということです。景観の観点でもまたフィールドパビリオンが増えることになりそうです。

企画県民部での私の「ひょうごフィールドパビリオンについて」の質問に、当局は「ぜひ五国全体で展開していきたい」と答弁されまして、その趣旨や意気込みは理解できるのですが、それらはそれぞれの「新たな観光コンテンツ」であり、すべてを「ひょうごフィールドパビリオン」と呼んだり、指定することに意味はあるのかと思っております。企画県民部の質問でも紹介しましたが、パビリオンの意味は「仮設の建造物」という意味です。

フィールドパビリオンの数や呼称についてどうあるべきかはここでは論じませんが、今回の景観条例の改正はどのような内容なのでしょうか。県としては、景観行政の観点から常に新たな観光コンテンツをつくっていくという方向だと理解しますが、条例改正の後は、それらをすべてフィールドパビリオンという位置づけにするのでしょうか。そのように知事などから指示されているのでしょうか。当局のご所見をお伺いします。