議会の動き

予算特別委員会10年2月定例会

●企画県民部1

1.政策室の役割について
2.県民交流広場事業について
3.行政・NPO協働事業助成について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問
(企画県民部(知事室、政策室、県民文化局)、部外局)
2010年3月4日(木)

1 政策室の役割について

(1) 県政の重要施策について

 第304回定例県議会知事提案説明がこの2月17日に行われました。新年度の重点施策に向けて、安全安心の兵庫、生活優先の兵庫、環境優先の兵庫、産業立県の兵庫、交流促進の兵庫、自立共生の兵庫等について、政策が説明されました。
それぞれの施策がこと細かく説明されましたが、部局横断的な施策展開や必要な部局間の連携を期待させる説明はほとんどなく、相変わらずの縦割りでの行政展開との感がどうしても否めませんでした。
 例えば、平成13年度から推進されている「健康ひょうごの推進」の中には、県民の健康増進に向け、ごはん、大豆、減塩に焦点を当てた「ひょうご食の健康運動」を推進するという項目があります。一方、「農林水産業の振興」については、県内の食料自給率の向上と担い手育成やブランド戦略の推進等、全体的な取り組みは列記されていますが、食の健康運動に取り上げられた「大豆の生産」について、どう取り組むのかの具体的な内容は読み取れません。
 輸入にその多くを頼っている大豆については、遺伝子組み換え作物に対する消費者の懸念は一向に払拭されておらず、スーパー等では「遺伝子組み換え大豆は使っておりません」の表示が一般的です。私は、以前から食の安全・安心のためにも、また学校における食育推進のためにも、「学校給食への計画生産」を提唱し、要望を続けてきました。過去の本会議や決算、予算等その度毎に取り上げて来ました。
 県民局単位で、圏域の学校給食に年間どれだけの大豆が必要かを把握し、それに応じて計画的に生産する、そしてそれを学校給食に供給する、こうすれば大豆の自給率は向上します。施策として、農政環境部と教育委員会が連携し、市町、JA等、関係機関の協力の下に取り組むのです。
 先般、民主党政権が目指す「農家に対する戸別所得補償制度」をテーマに、猪名川町内で国会議員とともにタウンミーティングを開催しましたが、その時、「大豆の計画生産」について、私から参加された農家の方々に意見を聞いてみました。「学校給食に供給できるのであれば、これから生産したい」という意見が多く、生産者の意欲を感じましたが、一方で、この取り組みについて、地域にはほとんど伝わっていなかったのだと、大変残念に思いました。長年に亘る議会での発言も、議会の中だけに終わっていることを改めて認識し、地域への情報伝達のあり方についても考えさせられたタウンミーティングでした。
 このほかにも、住宅政策や交通政策などもそうですが、これらの課題に対しては、既存の行政分野の枠を越えて、全庁的に取り組むことが必要であります。
 そこでまず、県政の重要施策の中で、特に部局を超えて、互いに連携して取り組むべき施策として、どのようなものがあると認識しているのか、また、これらの施策にはどのようなマネジメントが行われているのか、具体的に説明願います。

(2) 日本型食生活推進への役割について

国も県も日本型食生活を11年も前から進めてきているが、これは生活習慣病の低年齢化等、何かと課題が明らかになってきた昨今の食生活を是正し、現代病を誘発するともいわれる食生活の現状を改めようとするもので、国の食育基本法のもとに県も条例制定し、各自治体にも食育計画の策定を義務づけている。このような中で今回、学校向けとして米粉パンの導入に小麦パンとの差額約10円の半額を負担し、ほぼ50トン分の需要拡大を見込んでいる。しかし、日本型食生活の基本はごはんであり、ごはん食とパン食とは副食が全く異なり日本型食生活とは相入れない。米粉であってもパン食はパン食であり、学校給食にできるだけごはん食導入を進めようとしている現場の努力をどう認識しているのか。地元川西市では、新年度から週5回のごはん給食がやっと導入されることになったが、実現までには私自身もかなりかかわってきた。需要拡大のため、学校給食をターゲットにするのは余りにも安易なやり方ではないか。米粉の需要拡大のためには一般市場での販路拡大等、総合的な取り組みに知恵をしぼるべきであり、子どもの食育にも影響の大きい、これらのテーマはまさに企画県民部としての洞察力の必要とされる課題だと考えるがどうか。

(3) 政策室の役割について

 事業部局同士でも、しっかりとマネジメントができて、連携が機能するのであれば、それはそれで良いのですが、施策によっては、この企画県民部の政策室が、もっと主導的に全体の調整やマネジメントの役割を担うべきではないかと考えます。
 企画県民部の施策体系図には、「県政策の総合的推進」として、「政策の企画・総合調整と地方分権の推進」と位置づけられています。各部局から提出された政策を羅列するだけではなく、各部局の事業の総合調整や、ダブりチェック等のシンクタンク機能を果たすべきではないのかと考えます。このような機能を政策室が担当していないというのであれば、どこがこの役割を担っているのでしょうか。
 部局横断的施策の推進方策については、まだまだ工夫や改善の余地があると考えますが、そこで、部局横断的施策をより一層効果的に推進することについて、どのような問題意識を持っているのか、政策室に権限が付与されていないため、役割が果たせないのなら、解決すべき課題は何なのか、また政策室として、どのような役割が望ましいと考えているのか、所見を伺います。

2 県民交流広場事業について

(1) 県民交流広場事業の活用実態について

 法人からの超過課税の充当事業は、加西にあるフラワーセンターをはじめとする県下各地でのCSR施設整備事業に始まり、小学校区を単位に導入されたスポーツクラブ21事業、そして現在展開中の県民交流広場事業と続いてきました。
 平成22年度からの新たな5年間では、95億円の財源を少子化対策へ重点的に充当するとされており、今後ワーク・ライフ・バランス達成への支援や、保育所整備等きめ細かな対策を展開しようとしていることに対しては、少子化対策の強化を求め続けてきた立場から、大いに評価し、敬意を表するものでありますが、ここでは、県民交流広場事業について伺います。
 地域のコミュニティづくりを目的として、小学校区を単位に展開する県民交流広場ですが、県下での取り組み状況も、今年度で県内の全小学校区829のうちの523校区、実施率63%に達したとのことです。具体的な活動としては、子育て、防犯、環境・緑化、生涯学習、文化、まちづくりなど多彩な分野の活動が期待されるところですが、そこで、県下の県民交流広場事業設置後の活用実態について、どのように認識しているのか伺います。

(2) フォローアップ事業の取り組みについて

 現下の高齢社会において、閉じこもりがちの人々が増加している中で、県民交流広場の活用策として、介護予防の視点に立った活動の場としての機能を求める声があります。今、地域には多彩な趣味を持つ人々が活発にサークル活動を展開していますが、気の合う仲間だけが活動するというのではなく、それまで地域とのつながりがほとんどなかった定年退職者などを一人でも多く地域社会に引っ張り出すことは、地域のコミュニティづくりにとって大変重要ですし、また、その人の生きがいづくりにもつながり、ひいては要支援者や要介護者の増加をくい止めることになります。
 地域によっては、孤立しがちな高齢者のための様々なイベントで積極的な活動を展開しているケースも聞きますが、中には単なる貸室、貸館としての利用にとどまっているケースもあるやに聞きます。
 スポーツクラブ21事業についても言えることですが、事業実施から一定期間が経過し、活動がしっかりと定着していることが、事業成果として評価されるべきです。県民交流広場事業については、アドバイザーの派遣をはじめ、地域コミュニティ・アワード2010や地域交流フェスタの開催、広場等のネットワーク化やシニア世代の広場デビュー支援などとして、2,196,060千円が計上されていますが、これら、フォローアップ事業として、どのような視点、観点から取り組んでいこうとしているのか、具体的に伺います。

3 行政・NPO協働事業助成について

(1) 行政・NPO協働事業助成の成果について

 ひょうごボランタリープラザでは、地域の課題解決や活性化に向け、行政とNPOの協働を通じて、より高い効果を得ることができる事業を推進するため、助成プログラムを実施しています。NPOと行政の協働事業といった一昔前には考えられなかった取り組みが、全国各地で進められていますが、本県が実施している「行政・NPO協働事業助成」は、NPOから行政への提案作成を支援するという思い切ったアイディアと、ひょうごボランタリー基金を活用した3年間の段階的助成という他に例のない仕組みで注目されてきました。
 そこで、平成14年度の制度創設以来、これまでに延べ68件の活動がこの助成プログラムの支援を受け、実施されていますが、これらの活動について、県政の推進にどのような成果が上がっていると評価しているのか、できる限り具体的に答弁願います。

(2) 行政・NPO協働事業助成制度の改善について

 この事業は、第1年次にNPOが事業企画を提案し、第2年次にNPOが行政の協力を得て事業化計画の立案に当たり、第3年次でNPOと行政が事業を軌道に乗せるという、3つのステップで進めていくことを前提としています。
 確かに、何事も段階を踏んで進めていくことは大切なことであります。しかし、この事業による支援を受けて活動している団体から、いくつかの問題点を聞きます。例えば、1年目2年目は企画・計画の年となっており、実際の活動を1年目から始めることができない、また年度ごとに選考委員会による審査がありますが、申請及び審査の機会が年1回であるため、日程的に活動が制約されてしまう、さらには、審査・決定を受けた当初の計画に縛られ、状況に応じた活動内容の変更が困難である、といった内容です。
 システムづくりを目的とした取り組みには、それなりの時間が必要です。例えば、認知症をサポートするキャラバンメイトが広く啓発活動を行うためには、多くの地域資源を巻き込んだきめ細かな計画づくりから取り掛からねばならず、民主導でのシステムづくりは短時間で効果が期待できるものではありません。しかし、様々な思いや考えを持った方たちが集まって、行動を起こそうというのですから、「鉄は熱いうちに打て」の諺もあるように、盛り上がりのタイミングに乗って活動するということも大事です。
 そこで、活動の実態に即した事業制度の見直しを図るべきではないでしょうか。単発の事業展開を目的とする場合は単年度事業で、仕組みづくり等の時間を要する事業は3年間でというように、柔軟な対応を、また3ヵ年で企画から活動定着へと導くというのであれば、3ヵ年の活動全体に対して一括して助成決定を行い、定期的に進捗状況をチェックするという方法も考えられます。そうすれば、行政の会計年度や事務日程にとらわれず、NPO自身のペースで、より効果的な活動ができるのではないかと考えますが、事業制度の改善について、当局の所見を伺います。

●健康福祉部

1.認知症検診の導入等について
2.消費者行政の推進について
3.地域における保育環境の整備について
4.こども家庭センターの機能強化について
5.高齢者の肺炎予防ワクチン接種について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (健康福祉部)
2010年3月5日(金)

1 認知症検診の導入等について

(1) 認知症検診の必要性について

 高齢化社会へと進んでいく現在、大きな課題とされているものの一つが「認知症」です。今後、認知症高齢者も急増することが見込まれることから、地域で助け合い、支え合う体制を構築することが重要になっており、県としても、具体的な施策の実行に取り組んでいるところですが、これらを早期発見、予防していくことが有効な対策になります。特に「認知症」は高齢者だけの問題ではなく、社会的にも影響の大きい「若年性認知症」という問題もあります。
 認知症を早期に発見し、早期に対応することによって、混乱を防ぎ、認知症の進行を遅らせ、地域で安心して暮らせることも可能になります。
 しかし、認知症の初期段階で「病気」とは気づかぬまま放置し、症状が進行してしまったり、家族や知人が「年のせい」と考えて医療機関に受診させなかったり、初期症状に気づいても、どうしたらいいかわからずに、そのままになっていることが実情です。
 また、地域の開業医に「物忘れ外来」の開設が必要だと、これまでから主張してきましたが、「物忘れ外来」の開設が認知症患者の増加に追いついていない状況があります。
 このような状況を打開するためにも、病気を初期段階で発見する検診制度のあり方について、県として検討することが必要な時機を迎えたのではないでしょうか。75歳以上の高齢ドライバーが運転免許を更新する際には、記憶力や判断力を調べる検査が義務づけられていますが、このように、結核や肺がん、生活習慣病などを早期発見するために各市町が行っている住民健康診断の際に、例えば、診断料を65~74歳なら一部有料、75歳以上なら無料というように、検診を受ける仕組みができれば、受診率が格段に向上し、初期段階での適切な対応によって、多くの人が救われます。
 認知症は、特にプライバシーの保護に気を使わなければならない病気ですので、その点も課題であると認識していますが、認知症検診は大変有効な対策であると思いますので、その必要性について、県当局としてどのように認識しているのか、伺います。

(2) 物忘れ外来の拡大について

 認知症の早期発見に有効な「物忘れ外来」ですが、その拡大を図るためには、やはり、地域のかかりつけ医を巻き込んでいくことが必要です。ちょっとしたことでも気軽に相談できる、まちのお医者さんは、認知症の第1発見者となり得ます。
 しかし、現状は、物忘れ外来が必ずしも拡大しているとはいえません。そこで、かかりつけ医にとっての何らかのメリットも考えていく必要もあると思いますが、物忘れ外来の拡大について、県当局としての所見を伺います。

(3) 地域の見守り体制の構築への取組について

 さらに、早期発見につながるもう一つの取り組みが、地域での見守り体制の構築です。特に介護保険利用前の段階での発見が大切で、高齢者のみの世帯、昼間独居世帯への見守りが重要です。その地域で暮らす、また働く様々な人々が協力する見守り体制を、どのように構築していくのか、このこともしっかりと進めていかなければなりません。
 そこで、地域の見守り体制の構築への取り組みについて、現状及び今後の対応を伺います。

2 消費者行政の推進について

(1) 各市町におけるセンター設置及び相談員の配置について

 昨年9月、国において消費者庁及び消費者委員会が発足し、地方における消費生活相談体制を充実するため、「地方消費者行政活性化基金」が各都道府県に造成され、各地方自治体は、この基金を利用し、地方消費者行政の強化に努めることとなりました。
 消費生活相談については、住民に身近な市町がその主体であり、多様化、複雑化する消費生活相談に対応するためには、専門的知識と実務能力を備えた相談員の確保等、市町における相談体制の充実・強化が求められます。
 県では、「ひょうご消費生活相談プロフェッショナル塾」を実施し、市町の相談員確保を支援するとしており、その成果が期待されるところですが、市町の相談体制への取り組みに温度差が見られる中で、消費者問題の解決の格差解消に取り組まねばなりません。
 人材養成としては、県が消費生活相談のプロとして、21~23年度で約90名を養成するとしていますが、市町がその人材を配置するためには相当の予算が必要です。それゆえに、市町によっては、人員の配置が十分でなかったり、雇用形態も正規雇用ではなく、非常勤職員となってしまうのではないかと懸念します。
 そこで、各市町におけるセンターの設置及び必要な相談員の配置について、特に相談員については、その身分の扱いや雇用形態も含めて、県として、どのような見通しを持っているのか伺います。

(2) 平成23年度以降の配置について

  県では、地域住民が主体的に消費者力の習得・向上に努め、消費者トラブルの未然防止・拡大防止を図るため、消費者教育・啓発活動を支援する組織として「地域消費者ネット」を創設するとしています。
 その構成員として、消費者問題に取り組む団体やグループが想定されています。消費者協会や生活学校連合会等は既に早くから県下で全県組織が結成され、消費者活動を展開していますが、NPOや自治会、婦人会、老人クラブ、子供会等によるネットの結成によって、具体的にどのような機能を期待しているのか、単なる情報共有のネットか、何かそれ以上の役割を持つのか、またこのネットには警察等も参加するのか、伺います。
 また、この「地域消費者ネット」には、情報収集・提供、連絡調整、事業企画支援等を行う「消費者ネットコーディネーター」を生活科学センター等に配置するとしていますが、そこで、このコーディネーターには、どのような職種の人をその任に当てようと考えているのか、また、配置期間は平成22年度とされていますが、平成23年度以降についてはどうしようと考えているのか、併せて所見を伺います。

3 地域における保育環境の整備について

 幼稚園では定員割れが続き、片や保育所では受け入れ定員がなかなか増えないという状況にある中、待機児童の解消策として、近年、企業内保育所の設置が広がりつつあります。しかし、電車やバスなど、公共交通機関を利用して通勤する場合、ラッシュ時の子連れ通勤は大変で、特に都市部での利用には困難が伴います。
 このため、待機児童の多くを占める0歳児から2歳児を自宅近辺で預けられる保育の場を増やす方策として、県では保育士や看護師が携わり、保育所との連携などフォローアップ体制を構築の上、自宅で少人数の子どもを引き受ける「家庭的保育事業」、いわゆる「保育ママ事業」を推進してきました。
 昨年度は、国の補正予算により「安心こども基金」が造成され、これを原資とした様々な取り組みが始まりましたし、さらに、来年度からは、法人超過課税を財源とした少子化対策を実施するとされています。今後、ワーク・ライフ・バランス達成への支援や、保育所整備等きめ細かな対策を展開しようとしていることに対しては、少子化対策の強化を求め続けてきた立場から、大いに評価し、敬意を表するものであります。
 しかし、待機児童解消についての来年度予算の内容を見ますと、分園保育推進事業など、保育サービスの拡大を図るための取り組みが盛り込まれていますが、先ほど紹介した、保育ママ事業が反映されていません。この保育ママ事業は、保育ニーズの受け皿として大変有効であることから、少子化特別委員会でも、その事業拡大を強く要望してきたところであり、今後、是非とも取り組んでいただきたいと思っています。保育ママを地域に数多く設置することにより、自宅の近くでの保育が可能となり、ワーク・ライフ・バランスの達成にも有効と考えますが、保育ママ事業の展開について、どのように考えているのか、所見を伺います。

4 こども家庭センターの機能強化について

  昨年11月、三田市で5歳女児が親からの虐待の疑いにより死亡する事件が発生しました。通っていた幼稚園からの連絡をきっかけに、一時、川西こども家庭センターが保護していましたが、センターが自宅に戻してから約4ヵ月後のことでした。
 県では、一昨年の5月に伊丹市において5歳女児が死亡する事件が発生したことを受けて、外部の専門家で構成する「児童虐待事例検証委員会」を設置し、家庭復帰に向けた判断は適切であったかなど、これまで県としての対応状況等について検証を行いました。そして、この検証結果に基づき、親等への指導や地域での相談体制を拡充するなど、県下の児童相談体制を強化しました。とりわけ、川西こども家庭センターについては、阪神地域での児童虐待相談件数の増加もあり、組織の整備も行われました。
 今回の事案を受けて、川西こども家庭センターでは「相談調査調整員」として、職員1名の増員が図られることになり、今後のより強力な取り組みが進められるとのことですが、虐待を疑わせる事例については、平素のきめ細かで定期的な関係者間の連絡調整検討会の開催が必須であります。
 再発防止の決め手にこれという妙案はないのかも知れませんが、最も大切なのは、いかなる細かな情報も収集できるアンテナが張り巡らされているか、また地域資源をどういう形で活用するのかだと思います。個人情報保護の課題もクリアしなければならなりませんが、地域の特色を生かしたネットワークをどう形づくるのかなど、異なった視点で取り組むことも必要ではないかと考えます。このことは、今後の大きな社会問題であるDVや高齢者虐待への対応にも通じることであります。子どもの虐待死が頻繁にマスコミに取り上げられる昨今、再発防止のためのこども家庭センターの機能強化等に向けた今後の取り組みについて、今一度、所見を伺います。

5 高齢者の肺炎予防ワクチン接種について

 高齢者の死亡の大きな要因にもなっている肺炎に関して、その予防ワクチン接種について、通告していたが、時間の関係もあり、検討していただくことを要望しておく。

●産業労働部

1.緊急雇用就業機会創出基金事業について
(1) 雇用実態と定着率について
(2) 重点分野雇用創造事業について
2.商店街とまちの再生について
3.中小企業育児休業・介護休業代替要員確保支援事業について
4.障がい者の雇用促進について
(1) 雇用率アップに向けた地域の連携について
(2) 障害者雇用促進法改正の影響について
(3) ジョブコーチの養成と実態について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (産業労働部)
2010年3月8日(月)

1 緊急雇用就業機会創出基金事業について

(1) 雇用実態と定着率について

 本県では、一昨年12月に知事を本部長とする緊急・経済雇用対策本部を設置し、昨年の5月まで数次にわたる補正予算を編成してきました。
 雇用面の対策では、失業者のために、緊急雇用就業機会創出事業として、国の交付金を財源に基金を造成・拡充し、県事業による雇用創出数について目標を定め、原則6か月未満の雇用就業機会の提供に努めてきたわけですが、世界規模の金融危機に端を発した不況は長期に及んでおり、今なお県下の新規求職者数は増加しており、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 そこで、これまで実施してきた県事業による緊急雇用機会就業創出事業が掲げてきた雇用創出数の目標に対する達成状況とともに、この事業の実施によって正規の雇用・就業にどの程度結びついたのか、その評価と課題についてお伺いします。

(2) 重点分野雇用創造事業について

 県の来年度予算では、新政権のもとで編成された平成21年度補正予算による重点分野雇用創造事業が新たに提案されています。
 重点分野として、介護、医療、農林水産、環境・エネルギー、地域社会雇用の6分野が示され、子育てなどその他の分野と合わせて、県事業約45億6百万円のほか、市町への事業費補助38億9千5百万円で合計約84億1百万円が予算計上され、県事業177事業で3,349人の雇用創出を見込んでいます。
 この事業の実施に当たっては、市町との連携や協調はどのように図られるのか、重点分野のうち、介護の分野では27事業8億3千2百万円が計上されていますが、県が策定した「福祉人材確保対策推進プログラム」に掲げた約23,000人の人材確保との整合性は図られるのか、また、知事の提案説明でも言及されなかったニート・フリーターなど若者の雇用対策について、考慮がなされたものなのか、所見をお伺いします。

2 商店街とまちの再生について

 来年度予算の新規事業として、空洞化が進む商店街の再生の鍵となる活性化プラン等の策定を支援する「商店街・まち再生プランづくり事業」、さらに、空洞化が進む商店街や再開発ビルにおいて、まちづくり会社等による不動産の所有と利用を分離した未利用店舗や未利用地の有効活用を支援する「商店街・まち再生整備事業」が打ち出されています。
 事業内容は、いずれも空き店舗、空き地等を活用した商業施設、駐車場、住宅等の整備等、まちづくりと一体となった商店街の再生を図る事業に対して補助しようとするものですが、例えば、元気で意欲的な高齢者が増加する今の時代にあっては、県土整備部、健康福祉部をも巻き込んで関係部局と連携し、高齢者が活動する場づくりという視点で商店街等の活性化を考えることも必要です。
高齢者支援等を含め商店街のコミュニティ機能の向上を図る別事業もあるようですが、件数も少なく必ずしも十分ではないと思われます。元気な高齢者が地域のニーズに応えるサービス提供も可能とし、運営については、そこに集う高齢者を中心にさまざまな形があっても良いのではないかと考えます。
 便利なまちの中で高齢者の居場所があれば、商店街やまちの元気、社会参加がよりやりやすくなり、まち全体が活性化するのではないかと考えますが、所見をお伺いします。

3 中小企業育児休業・介護休業代替要員確保支援事業について

 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業で20人以下の事業所が育児休業・介護休業取得者の代替要員を確保する場合に、その賃金の一部を助成する制度が新たに予算計上されました。
 育児休業や介護休業の取得が困難な中小企業への誘導策として、また、休業者が職場復帰しやすい環境整備、すなわちワークライフバランスを促す施策としては敬意を表し、この事業が目的達成のために機能することを期待します。
 この事業は、法人県民税超過課税を財源として、1億円が計上されていますが、対象事業所をどのように見込んでいるのか、また、休業者の代替要員の賃金の1/2を助成することとしていますが、休業者の賃金は保障されるのか、併せてお伺いします。

4 障がい者の雇用促進について

(1) 雇用率アップに向けた地域の連携について

  昨年11月に、阪神北県民局管内(猪名川町)で開催された障がい者就労支援大会に来賓として出席し、あいさつで壇上から会場を見わたしたとき、200名程度の参加者で一杯となった会場内に、障がい者を受け入れる企業関係者の姿が見あたりませんでした。就労先の体験を発表する2名の話を聞いていたのは、家族会や作業所関係者等、見慣れたメンバーが多く目につきました。
 パネラーの1人が「この会場に企業の方はいませんか」と聞いたときに挙手がゼロであったことが、折角のこの大会に少し物足りなさを感じたところです。
 当日の午後には、就労への個人面談が行われるとのことでしたが、障がいを持ちながらも懸命に働いている状況を直接目にすることで、理解や認識につながるのにと考えます。なお、当日の個人面談では128名が相談し、5名が雇用につながったということです。
しかし、この大会は、宝塚健康福祉事務所が地域のハローワークと連携して実施している阪神北県民局独自の取り組みであり、他の県民局には見られないモデル的な事業であることを聞き、その取り組みには敬意を表したいと思います。
 現行の障害者雇用促進法は、常用労働者数56人以上の民間企業に対して、1.8%以上の障がい者の雇用を義務づけていますが、昨年6月1日現在、本県の雇用率は、全国平均の1.63%を上回る1.76%となっていますが、前年比では横ばいです。
 このような全国レベルや都道府県ごとの雇用率は、厚生労働省が定期的に公表していますが、障がい者の雇用を確実なものとしていくには、個々の障がいに応じたきめの細かい対応が必要であり、そのためには各県民局管内の市町ごとの雇用率の実態と課題を把握しておくことがより障がい者の雇用の促進につながると考えますが、国では、市町ごとの雇用率は公表しない方針と聞き、釈然としない思いが残ります。
 そこで、阪神北県民局の取り組みも参考に、各県民局とハローワークなど地域の関係機関が連携することによって、障がい者の雇用率アップに向けた取り組みを一層強化していくことが必要と考えますが、所見を伺いします。

(2) 障害者雇用促進法改正の影響について

 意欲・能力に応じた障がい者の雇用機会の拡大を主眼として、障害者雇用促進法の改正が行われ、昨年4月1日以降、段階的に施行されることになりました。
 今回の改正は、障がい者の就労意欲の高まりや、短時間労働に対する障がい者のニーズに対応できていないという実態に応えるために、障害者雇用納付金制度の適用対象範囲の拡大、短時間労働に対応した雇用率制度の見直し、特例子会社がない場合であっても、企業グループ全体で雇用率を算定するグループ適用制度の創設等を柱としています。
 この法改正が本県の中小企業と障がい者の雇用にどのような影響を与えると考えられるのか、所見をお伺いします。

(3) ジョブコーチの養成と実態について

 平成14年の障害者雇用促進法改正により、障がい者の就職支援、雇用後の職場適応支援等を職場に出向いて直接行うジョブコーチの制度が設けられました。
 ジョブコーチは、(独)高齢・障害者雇用支援機構の地域障害者職業センターから支援計画に基づき派遣され、障がい者への支援のほか、仕事の内容や指導方法の改善など事業主に対する助言・提案や、対象となる障がい者の職業生活を支えるための家族への助言など、障がい者の就労や職場定着にとって非常に重要な役割を担っています。
 そこで、このジョブコーチの養成はどのように行われ、派遣数など支援の実態はどうなっているのか、県との連携はなされているのか、併せてお伺いします。

●県土整備部

1.緊急雇用就業機会創出基金事業について
2.公共交通の再構築について
3.ノンステップバスに対応したバス停の整備について
4.建設工事における技術・社会貢献評価制度について
5.「高齢者専用賃貸住宅」の課題と県の役割について
6.中心市街地の活性化について
7.県民まちなみ緑化事業について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (産業労働部)
2010年3月8日(月)

1 緊急雇用就業機会創出基金事業について

(1) 雇用実態と定着率について

 本県では、一昨年12月に知事を本部長とする緊急・経済雇用対策本部を設置し、昨年の5月まで数次にわたる補正予算を編成してきました。
 雇用面の対策では、失業者のために、緊急雇用就業機会創出事業として、国の交付金を財源に基金を造成・拡充し、県事業による雇用創出数について目標を定め、原則6か月未満の雇用就業機会の提供に努めてきたわけですが、世界規模の金融危機に端を発した不況は長期に及んでおり、今なお県下の新規求職者数は増加しており、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 そこで、これまで実施してきた県事業による緊急雇用機会就業創出事業が掲げてきた雇用創出数の目標に対する達成状況とともに、この事業の実施によって正規の雇用・就業にどの程度結びついたのか、その評価と課題についてお伺いします。

(2) 重点分野雇用創造事業について

 県の来年度予算では、新政権のもとで編成された平成21年度補正予算による重点分野雇用創造事業が新たに提案されています。
 重点分野として、介護、医療、農林水産、環境・エネルギー、地域社会雇用の6分野が示され、子育てなどその他の分野と合わせて、県事業約45億6百万円のほか、市町への事業費補助38億9千5百万円で合計約84億1百万円が予算計上され、県事業177事業で3,349人の雇用創出を見込んでいます。
 この事業の実施に当たっては、市町との連携や協調はどのように図られるのか、重点分野のうち、介護の分野では27事業8億3千2百万円が計上されていますが、県が策定した「福祉人材確保対策推進プログラム」に掲げた約23,000人の人材確保との整合性は図られるのか、また、知事の提案説明でも言及されなかったニート・フリーターなど若者の雇用対策について、考慮がなされたものなのか、所見をお伺いします。

2 商店街とまちの再生について

 来年度予算の新規事業として、空洞化が進む商店街の再生の鍵となる活性化プラン等の策定を支援する「商店街・まち再生プランづくり事業」、さらに、空洞化が進む商店街や再開発ビルにおいて、まちづくり会社等による不動産の所有と利用を分離した未利用店舗や未利用地の有効活用を支援する「商店街・まち再生整備事業」が打ち出されています。
 事業内容は、いずれも空き店舗、空き地等を活用した商業施設、駐車場、住宅等の整備等、まちづくりと一体となった商店街の再生を図る事業に対して補助しようとするものですが、例えば、元気で意欲的な高齢者が増加する今の時代にあっては、県土整備部、健康福祉部をも巻き込んで関係部局と連携し、高齢者が活動する場づくりという視点で商店街等の活性化を考えることも必要です。
高齢者支援等を含め商店街のコミュニティ機能の向上を図る別事業もあるようですが、件数も少なく必ずしも十分ではないと思われます。元気な高齢者が地域のニーズに応えるサービス提供も可能とし、運営については、そこに集う高齢者を中心にさまざまな形があっても良いのではないかと考えます。
 便利なまちの中で高齢者の居場所があれば、商店街やまちの元気、社会参加がよりやりやすくなり、まち全体が活性化するのではないかと考えますが、所見をお伺いします。

3 中小企業育児休業・介護休業代替要員確保支援事業について

 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業で20人以下の事業所が育児休業・介護休業取得者の代替要員を確保する場合に、その賃金の一部を助成する制度が新たに予算計上されました。
 育児休業や介護休業の取得が困難な中小企業への誘導策として、また、休業者が職場復帰しやすい環境整備、すなわちワークライフバランスを促す施策としては敬意を表し、この事業が目的達成のために機能することを期待します。
 この事業は、法人県民税超過課税を財源として、1億円が計上されていますが、対象事業所をどのように見込んでいるのか、また、休業者の代替要員の賃金の1/2を助成することとしていますが、休業者の賃金は保障されるのか、併せてお伺いします。

4 障がい者の雇用促進について

(1) 雇用率アップに向けた地域の連携について

  昨年11月に、阪神北県民局管内(猪名川町)で開催された障がい者就労支援大会に来賓として出席し、あいさつで壇上から会場を見わたしたとき、200名程度の参加者で一杯となった会場内に、障がい者を受け入れる企業関係者の姿が見あたりませんでした。就労先の体験を発表する2名の話を聞いていたのは、家族会や作業所関係者等、見慣れたメンバーが多く目につきました。
 パネラーの1人が「この会場に企業の方はいませんか」と聞いたときに挙手がゼロであったことが、折角のこの大会に少し物足りなさを感じたところです。
 当日の午後には、就労への個人面談が行われるとのことでしたが、障がいを持ちながらも懸命に働いている状況を直接目にすることで、理解や認識につながるのにと考えます。なお、当日の個人面談では128名が相談し、5名が雇用につながったということです。
しかし、この大会は、宝塚健康福祉事務所が地域のハローワークと連携して実施している阪神北県民局独自の取り組みであり、他の県民局には見られないモデル的な事業であることを聞き、その取り組みには敬意を表したいと思います。
 現行の障害者雇用促進法は、常用労働者数56人以上の民間企業に対して、1.8%以上の障がい者の雇用を義務づけていますが、昨年6月1日現在、本県の雇用率は、全国平均の1.63%を上回る1.76%となっていますが、前年比では横ばいです。
 このような全国レベルや都道府県ごとの雇用率は、厚生労働省が定期的に公表していますが、障がい者の雇用を確実なものとしていくには、個々の障がいに応じたきめの細かい対応が必要であり、そのためには各県民局管内の市町ごとの雇用率の実態と課題を把握しておくことがより障がい者の雇用の促進につながると考えますが、国では、市町ごとの雇用率は公表しない方針と聞き、釈然としない思いが残ります。
 そこで、阪神北県民局の取り組みも参考に、各県民局とハローワークなど地域の関係機関が連携することによって、障がい者の雇用率アップに向けた取り組みを一層強化していくことが必要と考えますが、所見を伺いします。

(2) 障害者雇用促進法改正の影響について

 意欲・能力に応じた障がい者の雇用機会の拡大を主眼として、障害者雇用促進法の改正が行われ、昨年4月1日以降、段階的に施行されることになりました。
 今回の改正は、障がい者の就労意欲の高まりや、短時間労働に対する障がい者のニーズに対応できていないという実態に応えるために、障害者雇用納付金制度の適用対象範囲の拡大、短時間労働に対応した雇用率制度の見直し、特例子会社がない場合であっても、企業グループ全体で雇用率を算定するグループ適用制度の創設等を柱としています。
 この法改正が本県の中小企業と障がい者の雇用にどのような影響を与えると考えられるのか、所見をお伺いします。

(3) ジョブコーチの養成と実態について

 平成14年の障害者雇用促進法改正により、障がい者の就職支援、雇用後の職場適応支援等を職場に出向いて直接行うジョブコーチの制度が設けられました。
 ジョブコーチは、(独)高齢・障害者雇用支援機構の地域障害者職業センターから支援計画に基づき派遣され、障がい者への支援のほか、仕事の内容や指導方法の改善など事業主に対する助言・提案や、対象となる障がい者の職業生活を支えるための家族への助言など、障がい者の就労や職場定着にとって非常に重要な役割を担っています。
 そこで、このジョブコーチの養成はどのように行われ、派遣数など支援の実態はどうなっているのか、県との連携はなされているのか、併せてお伺いします。

岡やすえ
川西市・川辺郡

●企画県民部2

1.震災復興のフォローアップについて
2.女性職員の管理・監督職への登用促進について
3.県におけるワークライフバランス推進について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部(企画財政局、管理局、教育・情報局情報政策課、防災企画局、災害対策局))
2010年3月4日(木)

1 震災復興のフォローアップについて

 阪神・淡路大震災から15年が経過しました。この間、県では、創造的復興を掲げ、ソフト・ハード両面で様々な施策に取り組み、被災地は着実に復興を遂げ、今では街並みに震災の傷跡は殆ど見られなくなりました。また、復興の過程で生まれた先導的な取り組みは、被災地のみならず、広く県民生活に大きな影響を与えました。震災の年がわが国のボランティア元年といわれたように、老若男女が被災者の支援活動に参加し、ボランティア活動というものが定着しましたし、サービスの担い手と受け手が笑顔を交し合うコミュニティ・ビジネスも生まれました。また、街の再生のために住民が主体的に参加する「まちづくり協議会」や、市民と行政の仲立ちをする「被災者復興支援会議」など、いわゆる「公」の担い手としても、新しいタイプの仕組みも誕生しました。
 このような経過も踏まえ、県では、平成19年2月に「復興の成果を県政に生かす3ヵ年推進方策」を定め、フォローアップ方針や施策目標等を示すとともに、これに基づき、今年度末を目標として、残された被災地固有の課題解決に向けた重点的な施策に取り組んできましたが、この度、知事は高齢者の自立支援や街の再生など、長期化する課題に対応するため、「阪神・淡路大震災復興基金」を活用した復興支援事業を継続すると表明されました。
 私としても、特に高齢被災者の問題については、大変深刻であると憂慮しており、必要な対策を講ずるべきと考えます。そこで、この高齢者への支援については、これまでからも積極的に取り組んできたわけですが、これまでの取り組みの成果をどのように評価するのか、また今後の対策はどのような所に力点を置いて実施していくのか、所見を伺います。

(答弁1)

 特に、災害復興公営住宅では、高齢化の進行が著しく、一人暮らしの割合も50%を超えているとのことですので、今後、認知症や精神疾患などを患う高齢者の増加が心配されますし、また介護をはじめとする生活支援のニーズも高まることは想像に難くありません。
 現在の県の取り組みとしては、「高齢者自立支援ひろば」事業を中心に、市や社会福祉法人、NPOなどとの連携の下に、相談や見守り、コミュニティ支援を実施しているわけですが、これまでの活動では対応しきれない事態も発生することが懸念されます。
 そこで、それぞれの市が担当している福祉行政との連携をより強化し、もう一歩進んだ対策を講ずる必要があると考えますが、これに対する所見を伺います

(答弁2)

2  女性職員の管理・監督職への登用促進について

  本県では、男女共同参画社会の実現を目指した「ひょうご男女共同参画プラン21」及び「男女共同参画社会づくり条例」に基づく取り組みをより効果的なものにするために、協働のパートナーである県自らが男女共同参画のモデル職場となるよう率先して行動することが重要であるとの認識から、平成15年5月に「男女共同参画兵庫県率先行動計画」を策定し、庁内の男女共同参画を進める取り組みを行ってきました。また、平成18年4月には「第2次男女共同参画兵庫県率先行動計画」を、そして、この第2次の計画期間が平成20年度で終了することに伴い、平成21年度から平成23年度までの「第3次男女共同参画兵庫県率先行動計画」を策定しました。
 現在、この計画に基づいて、管理・監督職として指導的地位に立つ女性の登用拡大・活躍促進に鋭意取り組んでいることと承知していますが、先頃発表されました「平成21年度ひょうご男女共同参画白書」によりますと、県審議会等委員の女性割合は24.8%から32.3%へと着実に上昇していますが、県職員の管理職のそれについて見ますと、比率は3.8%から4.4%へと増加はしているものの、絶対値としては、100人につき、わずか4、5人ということですから、職員全体の男女比率がどの程度なのかが分かりませんが、一般的な感覚からすれば、随分少ないように感じます。
 そこで、まず女性職員の管理・監督職への登用について、現状はどのようにあるのか伺います。加えて、他の都道府県と比較分析した結果や、職員自身の意識などについても、当局として認識していることがありましたら、併せて答弁願います。

(答弁1)

 近年の取り組みとして、新規の管理職の任命については、数値目標を定めて任命しているとのことですが、必ずしも、登用率ありきで進めるべきものではないように思います。
 これは女性職員に限ったことではありませんが、やはり、責任ある役職に就いて働こうという意欲を醸成することが何より重要ですし、そして上司として、また部下としてともに働くことになる男性職員の意識改革も必要です。また、管理・監督職に就くためには相応のキャリアも必要ですから、そのために、若い時からいろいろな経験を積ませる、例えば、これまで専ら男性職員が担当してきた業務を女性職員に担当させるといった取り組みも不可欠だと思います。
 そこで、このような女性職員の能力発揮や、管理・監督職登用に向けた様々な環境整備について、どのように取り組んでいこうとしているのかを伺います。

(答弁2)

3 県におけるワーク・ライフ・バランス推進について

 時代の移り変わりとともに変化するライフスタイルの中、私たちはいつも、仕事と、家事・育児・介護などの生活との両立に悩んできました。現代社会においては、これは男女を問わない大きな命題となっています。
 仕事は、暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらすものですが、同時に、家事・育児、近隣との付き合いなどの生活も暮らしに欠かすことができないものであり、その充実があってこそ、人生の生きがい、喜びは倍増します。しかしながら、現実の社会には、安定した仕事に就けず、経済的に自立することができない、仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない、仕事と子育てや老親の介護との両立に悩むなど、仕事と生活の間で問題を抱える人が多く見られます。これらが、働く人々の将来への不安や豊かさが実感できない大きな要因となっており、社会の活力の低下や少子化・人口減少という現象にまで繋がっていると言えます。
 これを解決する取り組みが、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスの実現です。これからの高齢社会を「活力ある高齢社会」とするためにも、高齢者を含めたすべての人が、職場や地域などに基づく様々な活動分野へ参画しつづけることが重要であります。
 しかし、例えば、地域社会の中で活動しようとしても、それまで地域社会と殆ど関わってこなかった人にとっては、会社を定年退職してから地域とのつながりを築いていくのは決して容易なことではありません。やはり、若い時からそうした生き方を作り上げていくことが大切です。つまり、これまでは、ワーク・ライフ・バランスといえば、少子化対策としての子育て支援に力点を置いてきましたが、今後は、従来の考え方の枠を超え、子育て期間だけではなく、生涯に亘るワーク・ライフ・バランスを考えていかなければならないと思います。
 本県では、平成18年3月に県、連合兵庫、兵庫県経営者協会による「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意」を締結し、また平成20年10月には「仕事と生活のバランスひょうご共同宣言」を発表しましたが、そこで、県内の各企業に対してワーク・ライフ・バランス推進を提唱する立場として、自ら率先して行動する必要があると考えますが、県自体におけるワーク・ライフ・バランス推進の意義や必要性について、人事当局としてはどのように認識しているのか、また具体的にどのような取り組みを実施しているのか伺います。

(答弁1)

 県では、昨年6月に「ひょうご仕事と生活センター」を開設し、企業向けの啓発・情報発信や相談・実践支援とともに、先進的な取り組みを実施している企業・団体等の顕彰事業を実施しています。本年度も、優良事例として5社が選定され、先日(3月1日)表彰式が開催されました。
 ワーク・ライフ・バランスを推進していくためには、県自らが率先して実践し、民間企業へ提案していくことも必要ですが、また同時に、民間企業の優れた取り組みを、そのままの形では無理だとしても、積極的に導入していく、そのような姿勢も大切です。
 そこで、これからの県としての取り組みについて、導入を予定していること、また導入を検討していることなどがあれば、答弁願います。

(答弁2)

  職員一人ひとりのワーク・ライフ・バランス実現については、私生活の部分、つまり個人の価値観や考え方によるところが大きいので、あくまで個人の問題だということになるのかも知れませんが、公務員として県民の立場に立った行政を担当しようとするならば、県職員のあるべき姿として、仕事と家庭、さらには地域社会との関わり、これらが両立する働き方を実現させなければならないのではないかと考えます。

●健康福祉部

1.保健所の機能について
2.女性がん対策について
3.子どもの安全と健康対策について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (健康福祉部)
2010年3月5日(金)

1 保健所の機能について

 近年、児童虐待件数や自殺者数が高止まりの傾向にありますが、精神障害を持つ親が虐待者となる事例がたびたび発生し、自殺にはさまざまな原因があるものの自殺とうつ病についてもその関係が指摘されていることは周知の事実です。また、薬物汚染が若者の間に蔓延しており、高校生、大学生そして中学生までもが大麻所持容疑で逮捕・補導されるという非常にショッキングな事件が発生したのは記憶に新しいところです。
 阪神・淡路大震災を経験した本県では、保健師が中心となって、震災後のPTSDや被災地でのアルコール関連問題について、健康調査を行い、被災者の精神保健面の問題を明らかにし、きめ細かく個別の対応を行うとともに、被災者全般のこころのケアについての啓発や集団指導を行い、被災者が孤立することなく精神的健康を取り戻すための活動を積極的に行ったという実績があります。
 このような経験を活かし、保健所においては、保健師が中心となって、児童虐待や心のケア、青少年の薬物依存等についても関係機関、専門機関と連携して支援を強化していく必要があると思われます。
 現行の「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」では、地域保健の広域的、専門的かつ技術的拠点としての保健所は、市町に対する援助及び市町相互間の連絡調整の推進を果たすべき旨等が定められています。
 保健所には、今年に入り、猛威を振るった新型インフルエンザのような感染症対策等とともに、地域における保健医療関係の専門的行政機関として、健康危機の発生を未然に防止し、危機発生時にはその規模を把握し、地域に存在する保健医療資源と調整して、関係機関を有機的に機能させるという役割が期待されています。
 言い換えれば、保健所に最も期待されている役割は、保健サービスを直接提供することよりも、地域の医療機関や市町の保健センター等の活動を調整して、必要なサービスを住民に提供する、健康危機管理の司令塔となることです。
 保健所の組織や機能面から、本県のこれまでの取り組みを見てみると、平成13年4月の地方機関再編では、保健所と福祉事務所の統合再編を行い、また、この度の新行革プランでは、健康福祉事務所の原則1圏域1事務所への統合再編など、行革という名の下で、数度にわたる見直しを実施してきましたが、県下各地域や実際の現場において、保健所が十分に機能しているのか、改めて検証する必要があると考えます。
 精神保健対策や感染症対策など、県民の生命、健康の安全を脅かす健康危機や健康問題への対応は、今後ますます重要な課題となっていくものと思われ、保健所には、新たな健事案に適切に対応していく機能が求められているますが、私は、保健所が、地域で発生する健康問題に取り組むコーディネーターという役割を失ってしまったのではないかと危惧しています。
 そこで、このような視点で、今一度、保健所の機能を再点検し、健康危機はもとより、必要に応じて、特に精神保健を中心としたコーディネート機能の強化を図っていくべきではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

2  女性がん対策について

 本県のがんによる死亡者数は、昭和53年に脳卒中を抜き、死亡原因の第1位となりましたが、その後も増加の一途をたどり、現在、死亡者の3人に1人が、がんで亡くなってるという現状にあります。
 本県では、全国に先駆けて「ひょうご対がん戦略」を策定し、その後、新戦略の策定を経て、平成20年2月には、「がん対策基本法」に基づく「兵庫県がん対策推進計画」を策定するなど、がん制圧に向けた総合的な施策展開を実施してこられました。
 本県では、肺及び肝がんの死亡率が全国を上回り、検診受診率も低いことははたびたび指摘されてきましたが、忘れてはならないのは、子宮がんの死亡率が全国値を上回っており、特に、子宮がん、乳がんの検診受診率は、全国と比較しても極端に低いという事実です。
 県では、「がん対策推進新計画」で、検診の受診率を5年以内に50%以上、とりわけ乳がんについては60%以上とする目標を掲げ、女性がんの受診促進を図るため、講習会の実施をはじめ、検診に従事する医師等の技能向上のためのマンモグラフィ講習会などの取り組みを推進しておられます。
 しかし、現在の子宮がん、乳がんの受診率を見る限り、5年以内に目標として掲げた50%、60%まで受診率を高めていくには、相当な努力が必要ではないかと考えます。
 女性がんを取り巻く状況として、我が国でも子宮頸がんワクチンが正式承認されたものの、経済的負担を軽減する公費助成を実施している自治体は極めて限られています。
 また、乳がんの撲滅については、検診の早期受診を啓蒙・推進するため、世界規模のキャンペーンとしてピンクリボン運動が展開されていますが、受診率の低い市町と連携した予防対策の普及啓発や検診率の向上対策など、地域に密着した対策も重要と考えます。
 若年性乳がんと闘い亡くなられた女性を主人公とした映画が大きな反響を呼びましたが、映画のモデルとなった女性は、「自分と同じつらい思いを他の人にはしてほしくない」と言って取材を受け、早期発見のための検診を強く訴えていたと伺っています。
 そこで、「兵庫県がん対策推進計画」に掲げた、子宮がん、乳がんの受診率達成のためのこれまでの取り組みと今後の対策とともに、女性がん撲滅に向けた県の対策について、当局の所見をお伺いします。

3 子どもの安全と健康対策について

 未来を担う子どもたちが健やかに成長し、幸福な生活を営むことは、本格的な少子高齢社会を迎えた今、全ての人の願いとなっています。
 我が国では、平成20年の乳児死亡率が2.6と、母子保健の水準は世界最高レベルにありますが、残念なことに医療等の進歩にもかかわらず、現在でも、小児が不慮の事故で命を失ったり、乳幼児がSIDS(シズ:乳幼児突然死症候群)によって亡くなるという事例が後を絶ちません。
 平成20年の本県における小児の不慮の事故による死亡率は、人口10万人当たりで、0歳児が18.4と全国値の13.2を上回り、5歳から9歳で3.0、10歳から14歳でも4.1と全国値を上回っているほか、SIDSの死亡率も0.23と全国値の0.13を上回るという結果が出ています。
 子どもは、その発育・発達段階に応じてさまざまな危険にさらされており、事故にあった子どもの保護者は、もう少し自分が注意しておれば、事故を防げたと考えることが多く、普段から、子どもの周りにいる方々が事故の潜在的な危険を取り除くといった安全管理を行ったり、子どもに何が危険なのかを教えていくことが重要ではないかと考えます。
 また、SIDSの原因は、まだ十分に解明されているわけではありませんが、欧米では、うつぶせ寝、人工乳、両親の喫煙によって発生頻度が高くなるとも言われ、これらについて各国がキャンペーンを実施した結果、発生が減少したという結果も注目すべきではないかと考えます。
 県では、これまでの「ひょうご子ども未来プラン」の達成状況や少子化問題を取り巻く状況の変化等を踏まえて、今後5年間の「新ひょうご子ども未来プラン」の策定を予定していますが、子どもたちが健やかに成長するために、少子対策の観点から、子どもの不慮の事故防止や、乳児のSIDS対策に積極的に取り組んでいくことが必要ではないかと考えますが、当局の所見をお伺いします。

●農政環境部

1.エコフィードの推進について
2.環境負荷低減への取り組みについて
3.間伐材の活用について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (農政環境部)
2010年3月9日(火)

1 エコフィードの推進について

 農林水産省の調査では、平成18年度に食品産業から発生した食品廃棄物等の発生量は、1,135万トンで、このうち53%が肥料化・飼料化や油脂製品化などの再生利用が図られていますが、残りの47%、530万トン余りは廃棄物として処分されているという結果が出ています。
 このような中、平成19年に施行された改正食品リサイクル法では、新たな食品循環資源の再生利用等に関して、食品関連事業者の業種別の目標値、事業者が達成すべき目標値などが規定されると同時に、同法に基づく基本方針等において、再生利用に当たっては飼料化を優先することが明確化されました。
 こうした動きを契機として、「食品残さ」の飼料化、すなわち「エコフィード」への取り組みが徐々に広がりつつあります。
 国では、エコフィードの原料となる食品残さ排出元の食品製造業、卸・小売業や外食産業ごとに再生利用等の実施目標を定めるなど、その取り組みを積極的に推進しています。
 また、本県の事例として、3年前に設立された加西市の「エコフィード循環事業協同組合」では、食品バイオマスから、家畜の飼料を作り畜産農家に出荷する事業を行っており、畜産農家では、その飼料を利用し、農林水産総合技術センターで開発した技術を活用して霜降り豚を育成するという先進的な取り組みも見られます。
 我が国の食料自給率は40%で、飼料自給率も25%と先進国で最低水準にありますが、エコフィードの促進は、環境にやさしい社会の構築に寄与するだけではなく、食料自給率や飼料自給率の向上にも貢献するという大きなメリットがあります。 
 本県では「ひょうご農林水産ビジョン」において、エコフィード製造施設数を点検指標として、その利用促進を図っておられますが、目標に対する現在の進捗状況とともに、今後のエコフィード推進にあたっての課題と取り組み方針について、当局の所見をお伺いします。

2  環境負荷低減への取り組みについて

 最初の質問で、食品廃棄物の問題を取り上げましたが、家庭や事業所から発生する大量の廃棄物は、環境負荷の増大、天然資源枯渇への懸念や地球温暖化など、深刻な環境問題を引き起こしてきました。
 廃棄物対策として、これまで国では、「循環型社会形成推進基本法」をはじめ、各種リサイクル法の制定など、持続可能な循環型社会の構築に向けた取り組みを進め、本県でも、「兵庫県廃棄物処理計画」の推進や、ゼロ・エミッション社会の実現を目指した各種の施策を推進してこられました。
 我が国では、ゴミの約8割を焼却と埋立によって処理していますが、焼却炉からの有害な化学物質発生への懸念や衛生問題、用地の確保等、今後の立地についてはさまざまな課題があると思われます。
 特に、焼却処理については、エネルギーの蓄積物を灰にしてしまうことから、リサイクル、リユースを支持する声が高まっています。
 ニュージーランドでは、ゴミを焼却せず、環境負荷を減らしながら堆肥化するなどの方法によって、燃やすゴミをゼロにする、すなわちゴミの発生回避を目的として、エネルギー消費と環境負荷の少ない自然代謝を最大限に活用した社会を目指す「ゼロ・ウェイスト」という、これまでの焼却、埋立中心のゴミ処理を大きく転換する政策を進めています。
 ニュージーランドでは、半数以上の自治体が「ゼロ・ウェイスト」宣言を採択し、生ゴミの堆肥化によるゴミの減量に成功した、その関連施策で新たな雇用が生まれた、さらに、焼却炉が不要になって自治体のコスト削減につながったといった成果が現れていると伺っています。
 この「ゼロ・ウェイスト」と、「ゼロ・エミッション」や「ゴミ・ゼロ」との決定的な違いは、「ゼロ・ウェイスト」が焼却回避を目標としていることにありますが、我が国では、廃棄物処理方法として焼却が広く普及していることから、焼却を避けるという考え方と必要性を浸透させて政策転換していくにはかなりの時間を要するものと思われます。
 しかし、我が国でも、徳島県上勝町や福岡県大木町が「ゼロ・ウェイスト」宣言を採択し、焼却処理・埋立処理の全廃を目標に、さまざまな施策に取り組んでいます。
 本県では、平成20年12月に「第3次兵庫県環境基本計画」を策定し、各分野の環境施策に取り組まれていることは理解をいたしますが、市町との連携により「ゼロ・ウェイスト」の考え方を取り入れた一歩踏み込んだ環境負荷低減への取り組みを検討してはどうかと考えますが、当局の所見を伺います。

3 間伐材の活用について

 森林は、木材生産、水源のかん養や山地災害の防止、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止など、さまざまな多面的機能を有していますが、戦後造成してきた人工林の蓄積が年々増加する一方で、採算性の低下や森林所有者の高齢化等による林業生産の低下に伴い、手入れ不足の森林が増加しており、森林の持つ機能の低下が懸念されています。
 とりわけ、森林機能の保全や地球温暖化問題の解決に向けた取り組みを考える上で、間伐は非常に重要と考えますが、県下には、伐採可能な人工林が急増しつつある一方、間伐が十分でなく荒廃が懸念される森林も多数存在しています。
 県では、市町村森林整備計画や森林保有者が策定した森林施業計画に基づいて、市町・森林組合との連携を図り、間伐等保育の推進を図るとともに、間伐実施率100%を目指す「森林管理100%作戦」を展開しておられますが、本来は樹木の成長のために伐採され捨てられてしまう間伐材をもっと利用できないものかと考えます。
 ニュージーランドでは林業が非常に盛んで、世界各国の企業が進出していますが、針葉樹林を原料に使用したMDF(繊維板)を扱う日系企業で働く日本人から、日本の山は急峻で大規模な林業経営には適していないので断念し、ニュージーランドで木材の生産に携わっているという話を伺ったことがあります。
 このように我が国の森林は地形等の面で、諸外国とは条件が異なる上に、とりわけ間伐材については、寸法、強度などの面で需要の多くを占める住宅建築向けの木材には適していないため用途が限定されること、また、伐採しても置き場がないといった事情もあると思われます。
 しかし、本来、伐採され捨てられてしまう間伐材に着目して、木製のパレットや梱包材に活用するなど、積極的な活用に取り組んでいる企業も見受けられす。
 間伐材の利用を促進するにはさまざま課題をクリアする必要があると考えますが、森林機能や地球環境の保全、防災への観点からの間伐とともに、間伐材のより一層の活用促進を図っていくことを検討してはいかがかと考えますが、所見をお伺いします。

●総括審査

1.今後の財政運営について
2.出資法人の経営改善について
3.新規学卒者の就職支援について
4.児童虐待の防止について
5.道徳教育の推進について
6.米政策の推進について
7.総合的な交通政策について
8.部局横断的行政課題への対応について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (総括審査)
2010年3月15日(月)

1 今後の財政運営について

 新年度予算案については、私たちの会派が政策提言で求めた教育、福祉、医療など、県民生活に直結する施策を相当に取り入れていただいており、厳しい財政状況の中でも、県民の負託に応えるべく、全分野に亘ってきめ細かな対応がされている、バランスの取れた予算であると評価します。しかし、全国ワースト2位という財政危機から一刻も早く脱出するためには、財政運営に、より一層の緊張感を持って望む必要があると考えます。特に来年度は、新行革プランがスタートして3年目の年、総点検を実施することになっていますので、この点検においては新行革プランの初志をしっかりと確認していただきたいと思います。
 これからの新行革プランの進め方については、代表質問で藤井幹事長が申し上げたとおりですが、とりわけ、財政運営については、県債残高の縮減を着実に進めていくことが求められます。私たちの会派の竹内議員も一般質問で指摘しましたが、県債の償還金が利息分だけで年額800億円という財政運営は、財政の硬直化を招き、新たな課題に対応できないだけでなく、結果的にコストの高い行政サービスを提供することになるという点でも問題があると思います。
 そこで、施策の優先順位をしっかりと定め、選択と集中の中で、より効率的、効果的な事業の展開を図る必要があります。
 社会経済情勢が目まぐるしく動く中、次々と生まれる新たな課題への対応が求められ、また昨年の台風被害のように、ひとたび自然災害が発生すれば、それへの対応も避けられません。投資事業をはじめ、様々な事業の実施について、国の補助金や交付税措置のある起債によって財源が措置できれば、県の財政としては有利であることは理解しますが、だからといって、そのまま歳出を増やしてよいということにはならないと思います。
 知事としては、県民の福祉向上のために、県民の期待に応えたいと考えるのが当然だと思いますし、井戸知事のこれまでの取り組みに対しましては敬意を表します。しかし、財政状況に関する審査において、私たちの会派の石井委員も発言したとおり、次世代に過大な負担をかけないという観点からしますと、やはり財政運営の適正化が急がれます。そのために、財政指標の改善を十分に意識して、そして県民への説明責任を果たし、しっかりと債務縮減に取り組まれることを期待しますが、改めて、今後の財政運営の方針について、ご所見を伺います。

2  出資法人の経営改善について

 新行革プラン推進における重要な課題の一つが公社等出資法人の経営改善であります。
 自治体財政の健全度を示す指標の一つである「将来負担比率」について、本県は全国ワースト1位ですが、この指標の算定においては、出資法人等に対する損失補償債務等の負担見込額を考慮することになっています。平成20年度決算では、県の負担見込額として、みどり公社の債務分で346億円、土地開発公社の債務分で204億円、道路公社の債務分で159億円、住宅供給公社の債務分で28億円となっています。債務の内容はそれぞれ違いますが、いずれも県財政へ大きな影響を与えていることは事実であります。
 そこで、これら公社の財務の健全化が求められますが、まずは保有資産など、正確な財務内容の把握が必要です。その上で、実現の可能性が十分に高く、また行革期間中にその取り組みの検証が可能であり、そして県民に分かりやすく理解が得られる、そのような経営改善計画を立てることが重要です。
 みどり公社の造林事業に融資することも、土地開発公社の先行取得用地や自主事業用地を環境林として買い取ることも、公費でもって公社の債務を縮減しようとするものですが、どうして当初の計画どおりに事業が進まなかったのか、その要因を検証し、明らかにしなければなりません。そうでなければ、県民の理解を得ることは難しいですし、同じ失敗を繰り返すことにもつながります。公社等経営評価委員会も、例えばみどり公社について、「県が多額の貸し付けを行う必要性について、県民に十分周知を図ること。」と指摘していますが、なぜそうなったのかの説明なしに、公費投入の必要性を理解せよというのには無理があります。私たちの会派の池畑委員の質問に対して、「造林事業の問題は国全体の問題であり、国からの支援は当然」というような答弁もありましたが、国に責任があるというのであれば、県費を投入するのはおかしいのではないでしょうか。
 来年度、新行革プランの総点検を実施するわけですが、公社について、特に財務健全化のために公費を投入するものについては、この点を十分に考慮して点検すべきであると考えますが、当局のご所見を伺います。

3 新規学卒者の就職支援について

(1) 就職未内定者への支援策について

 金融危機後の景気低迷を背景に、学生の就職活動は厳しい状況が続いています。企業の採用意欲は依然弱いままで、学生の就職環境には明るい兆しが見えません。今春卒業予定の大学生の就職内定率は先月1日時点で80%と調査開始以来最低となり、高校生も1月末時点で81%にとどまっています。
 現在のこの状況は、バブル崩壊以降の景気悪化により生じた「就職氷河期」の再来とも言われています。池畑委員も教育委員会への質問において、専門高校の生徒に対しては教育委員会と知事部局が一体となって就職支援を行うべきと発言しましたが、ここで適切な対策を講じなければ、再び多くのフリーターを生むことになります。
 厚生労働省では今月下旬から、就職できなかった新卒者向けの職業訓練事業を新たに始めるとのことです。社会人の心構えや就職に必要な基礎力などについて無料で学べる、さらに訓練期間中の生活費に対しても補助する、といった内容のようですが、県においても、こうした新卒者の窮状を少しでも打開するための効果的な取り組みを期待するところです。
 そこで、まず喫緊の課題としまして、今3月の丁度半ばで、もうすぐ新年度が始まるわけですが、現時点において就職が内定していない今年卒業の高校生・大学生等に対し、県として就職斡旋や能力開発など、何らかの支援を行おうと考えているのか、ご所見を伺いします。

(2) キャリア教育の取り組みについて

 また、中期的な課題ですが、若者が自らの個性や適性を理解し、主体的に進路を選択する能力や態度を育てるために、学校段階からの職業意識の形成が大切であります。このため、各段階においてのキャリア教育の取り組みが重要です。
 「介護」や「農林」等の分野、また家庭的保育事業など地域社会で活動する社会的企業がこれからの雇用の場として期待されていますが、このキャリア教育の中で、このような分野での体験活動をより充実させることも必要であると思います。そのために、教育委員会と各部局との連携も図っていただきたいと考えます。
 そこで、キャリア教育の取り組みについてはどのようにお考えなのか、お伺いします。

4 児童虐待の防止について

 県では、児童虐待事件の増加を受けて、こども家庭センターの機能強化、体制強化を図ってきました。また市町においても同様に相談体制等を充実し、虐待を早期に発見することが可能になってきました。近年の相談件数等の増加は、相談体制が充実したことによる分も少なからずあると思います。
 そのような意味では、体制の整備は一定進んだと言えますが、そこで事案の早期発見とともに、一時保護、あるいは強制的な職権保護による親子分離がなされた後、その親子が虐待の危険性を回避し、親子関係が改善され、再び一緒に暮らすことができるようにフォローアップすることが重要であると考えます。
 この度の三田市での事案についても、一時保護から家庭復帰を許可した後の事件でありました。家庭復帰を許可するか否かの見極めは重要でありますが、それとともに家族再統合へ向けてのフォローアップも求められます。
 親の虐待が明らかな場合、児童相談所の対応としては、親と子を分離し、子どもを一時保護した上で、その後の状況に応じて児童養護施設への入所などの措置を行っています。しかし、こうしたケースにあっても、最終的な目標としては、再び家族が一緒に生活できる道筋をつけることとされています。いわゆる家族再統合の取り組みであります。
 そのための方策として、まずは地域での情報収集策を構築していくことが必要であります。健康福祉部への岡委員の質問に対して、「地域において、児童委員による施設退所後の児童に対する確実な見守り体制の強化や、地域団体等によるSOSキャッチ活動の一層の推進に取り組む」と答弁がありましたが、着実に進めていただきたいと思います。そして、それに加えて保護者への働きかけにも重点を置いていただきたいと思います。
 虐待事案の中には、保護者自身がかつて自分の親から虐待されていたケースも多いといわれており、親子再統合のためには保護者のケアが不可欠です。家庭環境の改善や復帰に向けた相談や、精神科医による保護者へのカウンセリングや子どもへの接し方のトレーニングなど、丁寧なケアが必要です。例えば、その保護者の気持ちや考えを聞き出すためには、十分な時間をかけたカウンセリングが必要です。短時間では本当の気持ちを聞き出すことは不可能です。
私は、県として、保護者に対する効果的なケアを行うためのプログラムや仕組みを構築することは、こうした課題を解決する上で大変重要であると認識しています。
 現在、法務省では児童虐待事案において親権を一時的に停止する新たな法制度も検討されていますが、場合によっては子どもを親へ返さないということも選択肢の一つであることを再認識し、親子が再統合した後に、再び虐待といった事態を招かないために、地域での見守り体制の構築とともに、関係機関が連携し、保護者へのしっかりとしたケアを行うべきだと考えますが、保護者へのケアのあり方について、ご所見を伺います。

5 道徳教育の推進について

 近年、社会の規範意識が薄れ、これはおかしいと感じるような事件が多く発生しています。テレビや新聞において、事件として報道されているものの他にも、近所の人に挨拶をされても挨拶ができない子ども、電車の中で大声で話をする高校生など、自分の周囲の人を思いやることができない子どもたちの姿があちこちで見受けられます。
 また、民間の教育研究機関が小中学校の児童生徒を持つ母親を対象に実施した調査でしたが、母親のしつけに対する関心が徐々に薄れてきているという記事を目にしたことがあります。私は、現在の子どもたちの規範意識や社会性の欠如については、家庭や地域社会の教育力の低下がもたらした一つの現象であると思います。子ども達の範となるべき大人の姿については、しっかりとした検証が必要でありますが、同時に、将来を担う今の子どもたちに対して、規範意識、生命の尊重、相手を思いやる心、人権尊重の精神など、意識や社会性を育てるための方策も不可欠であります。
 本県では、小中高のすべての学校段階において、また、教育活動全体を通じて道徳教育を体系的に進めるとして、「ひょうご教育創造プラン」にそれを位置づけています。現在、本県教育委員会で、「教師用指導の手引き」とともに、「道徳教育副読本」として、兵庫の先人等を題材とする読み物教材の作成に取り組んでおり、来年度には県内すべての児童生徒に配布するとしています。副読本の活用は一方法ですが、私はやはり「道徳」は、机上で文字から学ぶものではなく、実際に体感・体得していくものだと思います。実際の体感・体得があって、それを座学でより深める、そのことに重きを置くべきと考えます。
 子どもたちは、多くの体験活動と様々な価値観との交流の中から、互いに認め合うことで成長し、モラルや責任感を体得していくものです。そのためには、昔から「子どもは大人の背を見て育つ」といわれているように、子どもたちと保護者や地域の人々が、互いに課題を共有し、信頼関係を構築していくことが必要です。
 そこで、ひょうご教育創造プランでは、「体験活動を道徳的実践の場と位置づけ、本県が体系的に実施している体験活動の一層の充実を図るとともに、体験活動と道徳の時間とを関連づけた指導を進める」と記されていますが、この方針はこれまでのどのような成果のもとに打ち出されたのか、また今後、どのような具体的取り組みとして進めていくのか、当局のご所見を伺います。

6 米政策の推進について

 来年度から、食料自給率の向上のために重要な麦・大豆・米粉用米・飼料用米等の生産拡大を促す「戸別所得補償制度モデル対策」が新たに導入されます。主食用米については引き続き生産調整が求められますが、米粉用米や飼料用米は新規需要米として、農家の希望どおり生産することができ、このため、米粉用米や飼料用米の生産拡大が期待されています。
 このような中で、農政環境部では、新年度から米粉パンの学校給食への導入を進めようとしています。これまでは、教育委員会と連携して、米飯学校給食の拡大を進めてきました。文部科学省の通達にも、「学校給食への米飯導入は、栄養に配慮した米飯の正しい食習慣を身につけさす見地から教育上有意義であるので・・・」とありますが、米粉パンの導入は、この教育目的からすると逆効果ではないかと思います。
 私たちの会派では、これまでから学校給食における米飯給食の回数増を要望してきました。またこの委員会においても、岡委員からは企画県民部における県政の調整のあり方で、また上野委員からは学校給食における米飯給食の理念を含むテーマで質疑を行ったところですが、米粉パンは、あくまでパンであって、副食もから揚げやシチュー、ハンバーグといった脂質を多く含むものが中心で、原料はお米といってもまったく別なものです。
 当局の説明では、あくまで小麦パンを米粉パンへ置き換えるとのことですが、週5回の完全米飯給食を目指そうとしている自治体もある中で、その流れに水を注さないかと大変危惧しています。
 米粉パンの学校給食への導入が、米の需要拡大を目的としたものだとすれば、学校給食への導入は余りにも安易な考えであります。学校給食ではなく、それ以外のところで、新たな需要を作っていくよう努力すべきではないかと考えます。
 確かに、米粉は国産米の消費拡大に向けて、新たな市場開拓、販路拡大の布石として期待が寄せられています。昨今の食の多様化、食生活の変化によって、お米の主食に占める割合が年々減少している中では、ご飯としての消費だけではなく、「粉」としての利用の推進を図っていくことが重要であるかと考えます。
 しかし、県民の健康増進という観点から見ますと、「粒」と「粉」はまったく別のものであります。本県は、「おいしいごはんを食べよう県民運動」を全国に先駆けて提唱し、運動してきました。これは、単に米の消費拡大を目的とする運動ではありません。栄養面や安全面から、ご飯を中心とした日本型食生活のよさを見直し、お米を基本とした健康的な食生活を送ることが、日本の農業を活性化させることにもなるという、大きなテーマを持った運動です。米飯中心に魚類、貝類、大豆製品、海藻、さらに野菜をたくさん食べる日本型食生活は、生活習慣病の予防にも役立つことから、ご飯を食べようと普及を図っているわけですから、「粒」であろうと「粉」であろうと、米の消費が拡大すればよいというのはいかがなものかと思います。
 そこで、今一度、この運動の目的を確認し、米飯を中心とした日本型食生活の普及を軸として、その中で、米粉パンも含めて総合的かつ強力に米の需要拡大を推進すべきであると考えますが、当局のご所見を伺います。

7 総合的な交通政策について

 子どもやお年寄り、障害のある方が安心してバスなど公共交通機関を利用できることは、基本的な生活条件の一つであります。これは、都市部から山間部まで、全県に共通する重要な課題となっています。
 現在、県では平成18年に策定した「ひょうご交通10ヵ年計画」に基づき、自動車から公共交通への転換による都市部の環境改善、地方部における公共交通サービスの確保の観点からの公共交通の充実や利用促進方策に取り組んでいますが、来年度は中間年としての計画の見直しを予定していると承知しています。
 そこで、その考え方として、高齢者や障がい者をはじめ、誰もが安全・安心に利用できる公共交通ネットワークの充実に取り組むとのことですが、鉄道や路線バス等の公共交通ネットワークを充実し、持続可能な地域公共交通を実現するためには、バス専用レーンの拡張や交通管制システム適用範囲の拡大など、公共交通優先の施策を、改めて推進する必要があると考えますし、また公共交通ばかりでなく、自転車、徒歩も含む地域全体のモビリティを高めることも重要であります。
 さらに、関係する行政ですが、交通事業者への指導等は運輸行政、道路管理は国・県・市町の道路行政、交通管理は警察行政、まちづくりは都市計画行政、環境に関わると環境行政、高齢者や障害者のことは福祉行政と、多分野に亘っています。
 阪神地域では、交通運輸関係者が協議の場を設け、公共交通の利用について、安全・安心や環境の視点、さらには住民の移動の権利の視点などから総合的に検討し、警察や県民局、各市への申し入れを永年に亘って実施しています。
 そこで、それぞれの行政主体の十分な連携のもとに、今後は、交通事業者、利用者、地域社会など多様な主体の参画と役割分担、連携と協働を、より一層推進していく必要があると考えますが、当局のご所見を伺います。

8 部局横断的行政課題への対応について

 本日取り上げた課題(新規学卒者の就職支援、児童虐待の防止、道徳教育の推進、米政策の推進、総合的な交通政策)は、いずれも単独の部局での取り組みでは解決が難しいものばかりです。これ以外にも、全庁的な取り組みとして対応しなければならない課題は山積していますが、なかには、部局間の連携や施策の整合性が少し足りないのではないかと思われるものもあります。
 この財政の厳しいときだからこそ、限られた行政資源で的確に対応していくために、部局間の連携を図り、相乗効果を上げるよう努める必要があるのではないでしょうか。
 現行の部の編成は、「広範な政策課題に総合的かつ機動的に対応する」ため、大括りにしたということですが、今日の行政課題は、多元的な対応が求められることが多く、組織をどのように再編しようとも、部局間の連携なしに有効な対応はできません。このことについては、岡委員も質問しましたが、企画県民部からの答弁では、「政策会議、経営会議等を通じて、情報共有を進め、幅広い観点から処理方針や政策立案の協議を行う、またサマーレビューなどにおいて次年度の重要施策を協議し、予算の編成過程で最終的な調整を行っている」とのことでした。節目節目のチェックも必要ですが、やはり、関係施策を調整し、一体的に進めていくことが重要ではないかと考えます。
 現在、部局横断的な行政課題への対応については、課題によっては全庁的な横断組織を設置するなどの取り組みをされていることは承知していますが、そのような執行体制での対応も含め、県政における施策や事業の調整機能をより一層強化する必要があると考えますが、これについての知事のご所見を伺います。

中田香子
伊丹市

●財政状況

1.法令外分担金の拠出について
2.県債残高に対する考え方について
(1) 次世代負担の考え方について
(2) 地方分権時代の財政運営について
3.公社等の見直しについて
(1) 0B職員について
(2) 土地開発公社について
 <1> 県との関係について
 <2> 事業量見込みと存廃について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (平成22年度の財政状況)
2010年3月3日(水)

1 法令外分担金の拠出について

 さて、昨年の9月の定例県議会において法令外分担金の拠出に対する県の考え方についてお尋ねしたところ、牧部長より「本県では、約300の団体に対して法令外分担金を拠出をしている。これまでも廃止・縮減の要請を行い効果も上げてきているが、今後国の動向も注視しながら、それぞれの団体の役割を検証し、分担金拠出の必要性を検討するとともに、分担金を拠出する場合も適正な拠出につとめる。」との答弁を頂きました。また、その質問の1ヶ月後井戸知事からは平成22年度予算編成にあたっては「法令外分担金については原則拠出しないこととする。」と発表されています。
 都道府県が法令に基づかずに分担金を拠出している、いわゆる法令外分担金を拠出している団体に対しては全国的に一時的な徴収中止や分担金の縮減を要請する流れとなりつつあります。前回も指摘したとおりこのような団体には、必要性のある団体もあるでしょうが、必要以上に内部留保金や繰越金を蓄えている団体、その役割を終えた、あるいは縮小する必要のある団体、またその報酬が一部の知事よりも高いと指摘されていたり、天下りや談合の温床となっていると指摘されている団体があり、今後、これらの団体に分担金を拠出するためには、昨今の社会情勢や世論からすれば、より丁寧な説明責任が問われています。さらに、我が県では県民に負担を求める行革を推進していることからもより厳しい拠出の基準、より丁寧な県民への説明が求められていることも前回の質問で指摘したとおりです。
 また、国においても事業仕分けの第二弾として国等が所管する公益法人についても厳しい精査が行われると聞いております。
 そこで、平成22年度予算編成にあたり、我が県の公益法人等への法令外分担金について、精査の結果としてどのような見直しが行われたのか、お伺いします。

2 県債残高に対する考え方について

(1) 次世代負担の考え方について

 平成22年度当初予算の歳入は、地方交付税等の1,158億円の増額に伴い、要調整額50億円が解消されるとともに、平成30年度までの要調整額も、全体で565億円減少することが見込まれています。
 その反面、法人県民税、個人県民税をはじめ県税収は伸び悩み、さらには、一般会計、特別会計、公営企業会計の県債残高合計は4兆9千億円を上回り、利子負担は803億円を超えるとのことです。
県債残高に関しては、先の竹内議員の一般質問に対して、知事から「県債は、国の赤字国債と異なり、基本的に公共施設等の整備財源に使っている。利用可能性のある世代で負担すべき起債については、ある程度は後世代の負担を仰がざるを得ない。それに対する負担を利息と合わせて元利償還していく今のシステムそのものの基本はそれほど歪んでいるとは考えていない。」という趣旨の答弁がありました。
 人がその地で生活を営んでいくためのライフライン等社会基盤を整備する起債であるから、次世代にも負担を仰いでいくということは理解できます。しかし、全ての公共施設等が後々の世代も恩恵を受けるという理由だけをもって、当然のように次世代に大きな負担を求めることには疑問を感じます。 
 例えば、みどり公社については、国の政策という面もありますが、46年が経過した現在、新行革プラン策定の際にも議論になったように、市中の金融機関からの資金調達が困難な状況であり、平成30年度から50年度までの県の貸付残高が500億円を超え、平成72年度に県の貸し付けが終了するという計画となっています。
 みどり公社の事例は、長期間にわたり次世代に負担を求めるという点で、果たして責任ある対応と言えるのか疑問ですが、これと同じように、20年後、30年後の県財政の状況や地方自治体のあり方は、誰にも予測できず、経済情勢の悪化や多額の県債の償還のために現在提供している様々な行政サービスが県民に十分に提供できないという事態も生じないとはかぎりません。
 そこで、公共施設等の整備財源として、県債を発行し次世代負担を求めるには、その施設等の性質や負担を求める妥当性について十分精査していくことが大切であると考えますが当局のご所見を伺います。

(2) 地方分権時代の財政運営について

 次世代への負担軽減に配慮することは大切であると申し上げたところですが、そもそも、臨時財政対策債や減収補填債も含め、県債残高に対する交付税措置率は平均で約40%で、残り60%は県の実質的な負担とのことで、交付税措置の名の下に、これまで本県をはじめ多くの自治体が起債によって財政の逼迫を招いてきたという事実を改めて肝に命じておくことが必要であり、国が誘導する財源対策を続けることが地方分権の時代にふさわしいと言えるのか非常に疑問です。
 現行の地方財政システムの中で、取り得る手段を最大限活用するということは理解いたしますが、その一方で地方分権の必要性を訴える声がこれまでになく大きくなる中、現行の地方財政システムを最大限活用すると同時に、国の権能にぶらさがらない自立した将来の兵庫県のあるべき姿を提示していくことが今求められています。
 県の平成22年度の重要施策においても地方分権の推進を目指すとし、また知事の提案説明においても兵庫が自立し新時代を先導する、また、県民の皆様とともに新たな兵庫像を描きながら取り組むと宣言されています。
 これらを実現していくためには、これまでの考え方を転換し県債残高、すなわち借金を減らすことを主眼においた財政運営に方向転換していく姿勢を県民に示していくこと、県民の信頼を勝ち取ることが大切と考えますが当局の所見を伺います。

3 公社等の見直しについて

(1) OB職員について

 新行革プランでは、公社等の運営の合理化・効率化の一環として、OBの活用等により、県派遣職員やプロパー職員を削減する方針が示されています。
 これも先の一般質問での知事の答弁ですが、OB職員活用に関する考え方として、「国の天下りは定年前のポストをどう確保するかという課題が基本となっているが、県が定年退職したOB職員を常勤の役員等に任用しているのは、これまでのOB職員の知識・経験を活用する、また、現役職員を派遣するよりも給与等が低く抑えられる」ということが主な理由だとしています。OB職員の方々がこれまで培ってきた技術やノウハウを有効活用することはもちろん結構ですが、天下りの問題は知事の答弁にあった国の天下りが定年前のポストをどう確保するかということが課題になっているだけではありません。
 公社等のプロパー職員は2,000人以上に上る中、公社等へのOB職員の再就職は派遣職員の問題と同様、公社等の運営に長期的な展望を持ちにくいことや経営責任を感じにくいという欠点があります。そのことが長年公社で働いているプロパー職員の士気をそぐことになりかねず、実際にそのような不満も出ていると聞いています。
 また、OB職員はよく言えば県と連絡を密に取れるという反面、悪く言えばどうしても本庁の顔色を伺わざるを得ないという弊害も指摘されています。従って、OB職員を有効活用するためには、どの団体のどこに配置し、どんな業務に従事してもらうことが最善なのかを十分精査すべきだと考えます。
 昨年9月の公社等経営評価委員会報告書を見ると、今年度のOB職員数を平成20年度と比較しても増加している団体が少なくありませんし、新行革プランでもOB職員の積極的な活用が掲げられています。県民の立場から見れば各団体がOB職員の受け皿化すれば、いわゆる天下り団体ととられる可能性もあり、思いは別としてそのための財政支援ではないかとの厳しい批判を受けることにもなりかねません。
 経営評価委員会の報告書は、県行政と密接な関係のある公社等のうち、20法人について個別ヒアリングを行い、6項目に着目して提言を取りまとめていますが、その1項目に「公社等への人的支援・財政支出等の公的関与の必要性、事業実施の意義について、県民への説明をさらに果たすべきではないか。」と指摘しています。
 以上のようにOB職員の方々の活用方針はより慎重に検討し、県民の批判を受けないよう格別の配慮が必要であると思いますが、以上を踏まえて、県では、公社等への人的支援、とりわけOB職員の活用について、経営評価委員会の提言も十分に配慮した上で、今後、どのように取り組んでいこうとしているのか、所見をお伺いします。

(2) 土地開発公社について

<1> 県との関係について

 土地開発公社は、他の外郭団体とは事情が異なり、自治体が使用する公共用地の先行取得が主業務で、事業の方向を決める権限を有せず、自治体に対してノーと言えない、いわば自治体の一部門、別働隊に過ぎないという見方ができます。従って公社の経営改善はひとえに自治体の支払い能力にかかっています。
 新行革プランでは、土地開発公社の保有地980ヘクタールを県有環境林特別会計で管理することが示されましたが、このほか、昨日の本会議では県立尼崎の森中央緑地用地の取得(買い戻し)が可決されると同時に、県は土地開発公社運用受託金100億円を収入とし、同時にその100億円を県債管理基金積立金として計上するという、県と土地開発公社の間で、グループファイナンスとでも言うべき複雑な資金のやりとりが行われています。このような県と土地開発公社の関係は、一般県民には理解しがたく、非常にわかりにくいものと言わざるを得ません。
 先日、大阪府においても、府の包括外部監査人から土地開発公社等に対する短期貸付が実態は長期貸付で不当な財政操作にあたるとして早期是正を求める報告書が府知事に提出され、歳入歳出という財政の根幹の数字を操作しており不当である。黒字転換を果たした一般会計予算もこの操作がなければ財政再建団体に転落していたと厳しく指摘しています。
 ともすれば県民にわかりにくいこのような県と土地開発公社との関係については、今後よりわかりやすく、きちんと説明して県民の理解を得られるようにすべきと考えるとともに、他の公社においても類似の事例があるのであれば合わせて是正するべきであると考えますが、当局の所見を伺います。

<2> 事業量見込みと存廃について

 新行革プラン策定にあたり、行革特別委員会でもたびたび指摘がなされましたが、地価が右肩上がりの時代には、土地開発公社は議会の議決を待たずに公共用地を取得できるというメリットがあり、バブル崩壊後も土地所有者にとっては、土地を買い取ってくれるありがたい存在という面もありましたが、今やその存在意義は薄れ、財政負担だけが重くのしかかり、県の将来負担比率にも影響を与えているというのが現状です。
 土地開発公社は、社会経済情勢や時代の変化とともに、その役割を終えたと言っても過言ではなく、事業の清算に向けて重い腰を上げる自治体が増え始めており、ピーク時の平成11年には全国で1,597公社が存在していましたが、20年には1,075公社に減少しており、都道府県レベルでは神奈川県、熊本県の公社などが既に解散しています。従って、他県の土地開発公社と違ってその規模が大きいから公社を存続させるのではなく、規模が大きいからこそ整理縮小していくことこそが必要ではないかと考えます。
 公社等経営評価委員会の報告書でも、土地開発公社については、「平成25年度以降は事業量が減少することから、これに応じて体制の縮小を図るとともに、公社の機能や用地取得の受託状況を見極めたうえで存廃についても検討すること。」と指摘しています。
 そこで、今後の土地開発公社の事業量見込みと併せ、存廃に対する考え方について、当局の所見を伺います。

●企画県民部2

1.指定管理者制度と公民連携について
(1) 評価基準について
(2) 評価とモニタリングについて
(3) 公民連携について
2.ICT化の推進について
3.情報セキュリティについて
(1) 職員への教育・研修について
(2) 監査について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (企画県民部(企画財政局、
管理局、教育・情報局情報政策課、防災企画局、災害対策局))
2010年3月4日(木)

1 指定管理者制度と公民連携について

(1) 評価基準について

 本県においては、「指定管理者制度導入施設の管理運営の評価に係るガイドライン」を定め、指定管理者に対して業務の実施状況や施設の利用状況や利用料金の収入状況などについて事業報告を求めているほか、利用者満足度調査の実施を求めており、指定管理者はその結果を受けて主体的に開館時間やスタッフの応対など業務の改善を促すこととしている。
 指定管理業務の評価としては、毎年度終了後、各施設の所管課において、①清掃、設備保守管理、植栽管理が計画どおり適切に実施できているか、②適切な開館時間の設定など利用者ニーズに応じた施設運営ができているか、特定の利用者に施設の利用が偏っていないか③収支計画や利用者数が計画通りに達成できているか④施設管理に当たり必要な有資格者等適正な配置ができているか、利用者の苦情等の対応体制が確保できているかなどの項目について、指定管理者自身による自己評価と、所管課による評価の2つを行っている。
 こうした報告や評価は実施計画の達成状況や結果としての収支、日々の施設管理に支障が生じていないかを問うものが中心となっている。

(2) 評価とモニタリングについて

 これまでも指定管理者のモニタリングの手法として、例えばひょうご環境体験館では公募時の選定委員に運営委員会に加わってもらうといったことや、インセンティブ制度として、兵庫県民会館や産業会館等4施設について、収支差額があらかじめ取り決めた還付額をさらに上回る場合には、その上回る金額の2分の1を加算して県へ還付する仕組みを導入している。
 また、公募施設の指定管理者に対しては、利用者満足度調査を必ず年1回以上実施することを求めており、調査結果を通じて指定管理業務の改善を促している。
 一方、指定管理期間については、新規参入の機会を確保するといった観点から、原則3年の指定期間としているが、各部局、指定管理者からは、安定的・計画的な運営や事業者の創意工夫を引き出すため、3年を超える指定期間の必要性を指摘する声も強い。全国的にも指定期間が5年の施設の割合が平成19年の16%から平成21年には36%へと長期化している。本県においても施設特性に応じた指定期間の弾力化に積極的に取り組む必要がある。
 こうした個々の施設におけるモニタリング上での工夫や課題への対応をガイドラインや取組事例として整備し、各施設の運営に活かしていくことにより管理水準の一層の向上を図る。

(再質問)指定管理者に民間企業が入っている時の経営状態の把握はどうしているか。
(答 弁)現在、指定を受けている民間企業の経営状況は、四半期ごとに業務状況調査をもらっているほか、年度末に管理運営評価、いわゆる自己評価と、それから改めて施設所管課の方で評価を行うといった調書を作成している。そこでの収支状況の中で、また、結果論ではあるが、あらかじめの実施計画の中でどのような管理運営体制、サービスができるかのかといった把握等を通じて、そのバランスの中で把握しているものと思っている。

(3) 公民連携について

 公民連携の取組については、成熟社会にふさわしい官民の役割分担のあり方等を踏まえ、民間の持つ技術やノウハウを活用する観点から、指定管理者制度の導入はもとより、県営住宅の滞納家賃の収納の民間委託や、尼崎の森中央緑地スポーツ健康増進施設の整備・管理運営にかかるPFI導入などを行ってきた。
しかしながら、公民連携は単なるコスト縮減や経済性を目的とするというよりは、簡素で効率的な行政運営が行われる一方で、新たな事務が民間に開放されることにより、地域経済の活性化をめざすものでなければならない。
 そういう意味で、指定管理者そのものについても、東播磨生活創造センターにおけるように、NPO法人を公募により指定して、地域づくり活動支援のノウハウを活かした運営とコスト縮減を両立させている例もある。こういったものが一つの試金石になると考える。
 引き続き、より効率的で質の高い県民サービスを提供していくことを基本に、公民連携のさらなる展開を模索していく。
 先程、いたずらに競争をあおることのないようにとの指摘があったが、3年から5年に変えるという視点は、長期の方が投資をする上での前提になるという指摘もあるということからと認識している。こういったことを弾力的に行っていきたいと考えている。

2 ICT化の推進について

 県では、県民や企業等の利便性の向上と行政事務の効率化を図るため、行政の情報化を推進している。電子申請については平成21年度は1月末までに12,065件の利用があり、職員採用受験申込では31%、入札参加資格審査申請は65%程度の利用率となる見込みであるが、数%程度の利用率の低い手続もある。このため、昨年度より県民のニーズに即したイベントや講座申込等が容易にできる機能の追加を行っている。
 これまでのICT化については、電子県庁の基盤となる県庁WANの整備とともに、市町との共同利用による電子申請システムの導入など効率的なシステムの運用を進めてきた。今後は、県民の視点に立った、より利用しやすいシステムへの改善と業務・システムの一体的な見直しによる運用コストの削減が課題と認識している。
 このため、①県民の利便性を高める手続の拡大や操作性の向上、②運用コストが割高となる独自システムの開発ではなく、民間事業者が提供するシステムサービスの活用や市町との共同利用の拡大、③庁内の業務の効率化を更に推進する、汎用機のオープン化や総務事務の電子化などを進めていく。
 これらの取り組みにより、県民がメリットを実感できるよう、無駄のない効率的なICT化を着実に進めていきたい。

3 情報セキュリティについて

(1) 職員への教育・研修について

 本県では、県民が安心して利用できる電子県庁の実現をめざし、情報システムの一層の信頼性を高めるため、情報セキュリティ対策指針に基づき、情報セキュリティ対策を実施している。
 具体的な対策方法としては、不正アクセス防止やウイルス対策等の技術的対策に加えて、人的対策として情報セキュリティ研修を実施し、職員の意識向上を図っている。
 第1の研修状況としては、個人情報保護に関するセキュリティ研修を、県民情報センターと共同して、各県民局で管理職を対象に実施し、本年度は213名が受講している。また、新規採用職員や市町からの派遣職員等についても、情報セキュリティの基礎的な研修を実施しており、本年度は200名が受講している。
 さらに、綱紀粛正通知の中でも、個人情報の漏えい防止などの情報管理対策を盛り込み、各職場での周知徹底を図っている。

(2) 監査について

 次の、情報セキュリティ対策の実施状況を点検・改善する情報セキュリティ監査は、情報セキュリティ対策の向上に不可欠である。
 本県では、平成15年に情報セキュリティ対策指針を作成した後に、庁内主要システムの運用管理体制やマニュアル整備の状況に関する外部監査を実施するとともに、情報政策課が主体となって、システム点検を伴う内部監査を毎年実施している。
 この内部監査は、運用管理体制の点検や職員のパスワード管理などの自己点検に加えて、県庁WANに接続された全サーバ、パソコンへの侵入テストを実施し、システムの改善を図っている。
 情報セキュリティの認証制度としては、国際標準化機構(ISO)やプライバシーマークなどの認証があるが、相当の経費が必要となり、取得している自治体も10数団体と少ないため、本県でも現段階では取得する予定はない。
 本県では、今後も内部監査を一層充実させ、実質的なセキュリティレベルの向上を図るとともに、公社等も含めた県全体のセキュリティレベルの一層の向上を図りたい。

●産業労働部

1.海外事務所のあり方について
2.韓国及び姉妹・友好都市との交流について
3.「灘の酒」振興について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (産業労働部)
2010年3月8日(月)

1 海外事務所のあり方について

(1) 自治体国際化協会について

 自治体国際化協会は、地方自治体の国際化を推進するため、地方自治体の共同組織として昭和63年に設立された。東京に本部を置き、そして、現在ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニー、北京に海外事務所を設置している。各地方自治体の国際交流を補完し、さらに促進するといった意味では海外に直接窓口を持たない地方自治体にとって、大きな意味のある団体であると思う。
 我が県も、協会設立当初から加盟し、これまで延べ19人の職員を派遣してきており、財政面でも、例えば平成20年度では約3000万円、21年度も約2700万円の分担金を支出している。
また、昨年12月定例会での我が会派の吉本議員が行った、アジアとの経済交流に関する質問に対して、知事は、国際交流による産業振興に自治体国際化協会も活用したいとの答弁されたところである。
 そこで、まず、本県の国際化、国際交流の推進において、当該協会の活動がどのような役割を果たしているのか、これまでの成果と今後の期待について伺う。

(2) 中国における観光・経済活動の支援機能について

 兵庫県では、現在アメリカのシアトル、西オーストラリア州のパース、フランスのパリ、ブラジルのクリチバの4ヵ所に海外事務所を設置している。
 中国に関しては、香港事務所を平成20年に閉鎖し、現在は現地事務所はないが、近年著しい発展を遂げている華東地区において、上海・長江交易促進プロジェクトを積極的に推進するため、神戸市南京事務所を県市共同事務所とした上で、アドバイザーを配置し、その交流機能の強化を図ってきた。パリ・パース・シアトルは否定しないが、一番交流が厚く、県も重視すべきである中国の現地事務所が閉鎖されたままということには違和感がある。
 同じく、吉本議員の質問への答弁では、「閉鎖した香港事務所の代替として、現地事情を熟知する駐在員を配置し、連絡事務所機能を残し、さらに神戸・ひょうご南京経済貿易連絡事務所の活用を行っている。また、自治体国際化協会の北京事務所へは次長を派遣し、友好省の対外経済部門との連携強化などにもよって、経済活動を支援する機能を後退させないように努めている。」とあったが、そこで、現行体制の下での、観光交流も含めた経済活動の支援機能とは、一体どのようなものなのか、説明願いたい。

(3) 東アジアにおける海外事務所設置の必要性について

 海外事務所は設置することに意義があるのではなく、設置するからには何らかの意義がなければならない。中国をはじめとする東アジアとの交流を強力に推進することについては誰も異論はないと思うが、それなら機能維持ではなく、機能強化が必要ではないか。現行の体制のままで支援機能の強化が可能だというのなら結構だが、強化が難しいというのなら、現行の体制を見直し、相応の機能を持った海外事務所を設置する必要があると考える。
 そこで、東アジアを所管する海外事務所設置の必要性について、どのように考えているのか、所見を伺う。

2 韓国及び姉妹・友好都市との交流について

(1) 韓国との交流について

 兵庫県内の韓国、朝鮮の方の居住者は全国で3位となるほど、多くの方が暮らしており、また隣国でもあり、大変交流の深い国と言える。県下では、豊岡市、三田市、姫路市が、それぞれ韓国の各都市と姉妹提携を結んでおり、また、兵庫県においても、コウノトリの郷公園と韓国コウノトリ復元研究センターとの交流をはじめ、様々な人的交流、教育交流、文化交流の取り組みを続けていることは承知している。
 しかし、近年、話題として取り上げられるような取り組みが少ないように感じる。要人の往来について見ても、最近では(といっても1年以上前であるが)、慶尚南道の金知事一行の来県があったとのことであるが、我が県からの訪問はないと聞いている。
 隣国である韓国との交流は大切なプログラムであるので、もう少し積極的な事業展開を期待するところであるが、そこで、韓国との交流に関して、施策の基本姿勢と今後の施策展開について、所見を伺う。

(2) 姉妹・友好提携先との交流について

 兵庫県の国際交流について、果たして県民の皆さんにどれぐらいのご理解をいただいているのか、兵庫県の姉妹・友好提携についてどの程度ご存知なのかが私は疑問である。どこかの外国の都市と姉妹都市ぐらいにはなっているんだろうぐらいの認識では、せっかくの国際交流が浸透しているとは言えないわけである。
 行政や企業・団体だけではなく、県民レベルの絶え間ない相互交流があり、初めて二つの都市が本当の姉妹・友好提携の都市としてつながっていくものであり、県民の皆さんが訪問しやすい環境や、当然相手の都市の方がこの兵庫県を訪れやすいような環境も整備していくべきである。
 そこで、例えば、旅行業者に対して様々な旅行プログラムの設定などを働きかけたり、お互いの公式ホームページで、相手のことを紹介し合うことなど、姉妹・友好提携先との交流促進のための取り組みの強化が必要であると考えるが、これに対する所見を伺う。

3 「灘の酒」振興について

 長期の景気低迷の影響や消費者嗜好の多様化などから、日本酒の出荷量は漸減傾向にあり、県内酒造業は厳しい状況が続いている。特に「灘の酒」は、全国の日本酒の約3割を占め、シェア、知名度ともに全国1位であるが、ブランド力については総じて弱く、有名なのにブランドイメージは低いという、ジレンマを抱えている。一方で、地酒ブームの主役となった新潟県は90年以降、シェアを大きく伸ばし、全国第3位を持続している。特に吟醸酒・純米酒といった特定名称酒の出荷量は3万1千klに上り、本県の2万9千klを上回っている。本県をはじめ、全国主産地の大手企業は低価格競争から抜け出せないのに対して、新潟は高級化路線の差別化に見事に成功している。
 本県では、これまでから日本酒の振興として、日本酒の魅力をアピールするイベントの開催をはじめ、海外での商談会や全国の大消費地での試飲・即売会の開催、酒蔵や資料館の産業ツーリズム施設への登録など、様々な支援を行っており、これらの取り組みに対しては評価をしている。
 しかし、現在の厳しい局面を打開するためには、戦略的にもう一歩踏み込んだ取り組みが必要ではないかと考えるが、そこで、県としては、「灘の酒」振興の戦略について、どのような考えを持っているのか、伺う。

●公安委員会

1.震災15年の経過を踏まえた都市型駐在所について
(1) 現状と評価について
(2) 今後のあり方について
2.交番相談員について
(1) 配置経緯と配置状況について
(2) 今後について
3.駐車監視員について
(1) 委託会社の管理等について
(2) 適正な契約・関係のあり方について
4.警察官の士気高揚について
(1) 多忙な業務と休暇の現状について
(2) 士気高揚策について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (公安委員会)
2010年3月8日(月)

1 震災15年経過を踏まえた都市型駐在所について

(1) 現状と評価について

 阪神・淡路大震災から本年1月で15年が経過しました。その中で、震災により甚大な被害を受け、同じ地に住居を再建することができない方が多く入居する復興住宅は、15年の月日を経てさらに高齢化が進んでいることが問題となっています。
 そういった中、復興支援活動の一環として、県警察では平成12年より全国でも珍しい試みである「都市型駐在所」県下3箇所に設置しました。この「都市型駐在所」が高齢者が中心となった復興住宅での地域のコミュニティーの維持に果たしてきた役割は極めて大きいと考えます。
 駐在所ですから、勤務する警察官員は地域住民ととともに24時間その場で生活し、まさに家族ぐるみで地域住民との人間関係を深めつつ、警察活動を行って参ったわけです。「都市型駐在所」は普通の駐在所と違い、担当区域は狭いにも関わらず、周辺人口は極めて多く、普段より接するや頼られる人も多いことから、様々なご苦労や、お気遣いもあり、また、軽微な業務も多いと推察しております。そのようなことから、「都市型駐在所」に勤務する警察官やそのご家族の生活環境や健康状態というものも大変気にかかるところです。そこで、震災から15年を経て「都市型駐在所」における取り組みの評価とこ現状についてお伺いします。

(2) 今後のあり方について

 月日を経て「都市型駐在所」を取り巻く環境も大きく変わって参りました。
 例えば、「都市型駐在所」が設置されている私の地元のHAT神戸灘の浜では、復興住宅の海側に民間のマンションも建設され、人口も倍増しました。駐在所だけでは十分に対応できない部分を近隣の交番や灘警察署と連携で地域安全対策を期しているとお伺いしています。
 また、近隣には大型ショッピングセンター、シネコン等の施設立地もかなり進み、交流人口は今後とも増加の一方であり、地域住民の安全対策だけでなく大型利便施設特有の問題にも対処しなくてはならなくなっております。直接ではないにしろ駐在員にとっても、さらなる業務多忙につながるのではないかと考えております。一方そういう中で、地域住民からは、駐在所に加え、新たに交番を設置してほしいという要望もあり、さらなる安全対策の充実も求められます。そういった中ではありますが、地域住民においては「都市型駐在所」自体の存在感の大きさはかえがたいものがあると思うわけですが、今後の「都市型駐在所」のあり方、存在意義について伺います。

2 交番相談員について

(1) 配置効果と配置状況について

 交番相談員は、警察官の増員が大変厳しい状況の中で、街中の交番において警察官が不在となるのが多いことは、防犯上不安であるという地域住民の声もあり制度化され、いわゆる空き交番対策として設置されてまいりました。
 我が県では新行財政構造改革を受け、平成20年度を初年度に、3カ年計画での交番相談員の削減を実施しています。県警察の説明では、「これまで1人交番には2人、2人交番には1人配置していたが、3人以上の警察官のいる交番は来訪者も多いので、厚く配置することとし、1人交番に複数配置している交番相談員を減員する」とのことであります。
これは交番相談員を運用する中で効果的な配置を考えた結果だとは思いますが、街中にある1人交番への交番相談員の配置は、先に申し上げたとおり地域パトロール等で警察官が不在がちなる空き交番を減らすことにより地域住民に安心感を与えるという大きな効果もございます。そういった意味で、交番相談員の現在の配置方針は非常に残念であるわけですが、交番相談員を配置した効果と現在に配置状況となった経緯を伺います。

(2) 今後について

 警察官の増員、交番員の増員については、本県が新行財政構造改革を推進している厳しい状況であるにもかかわらず、県民の安全安心な暮らしを維持することが重要との観点から、その必要性を我が会派も強く要望してきました。
 その観点から考えると、警察官は国の定数の問題もありなかなか増やすというわけにもまいりませんが、新行革プランの影響で県警察が交番相談員を削減していることは、県警察においても大きな判断であったのかもしれませんが、増員を要望してまいりました私としても残念であります。
 来年度は新行革プランの見直し作業が行われる年でもあります。必要なものは必要であると要望して頂きたいわけですが、今私が申し上げたことを踏まえ、交番相談員の今後の人数・配置はどのように考えられているのかお伺いします。

3 駐車監視員について

(1) 委託会社の管理等について

 2007年6月に開始された駐車監視員制度も、県下での実施範囲も現在では相当広くなりました。駐車監視員の制度も多くの県民に認知されて参りましたが相変わらず監視員への苦情もあるわけであります。
 例えば苦情の理由は様々なものがあると思いますが、これだけ急激に駐車監視員の人数を増えますと、駐車監視員一人一人の業務遂行に当たっての公平性や均一性、熟練度等が適正に維持出来ているかどうかということは大きな課題です。その点については、駐車監視員、また雇用している委託会社に対して警察の適正な管理が求められます。
 そこで、駐車監視業務を委託している会社の運営状況の管理や駐車監視員の質の維持について、どのように対処されているのか伺います。

(2) 適正な契約・関係のあり方について

 駐車監視を委託する業者については、一般競争入札で業者を選定しているとのことですが、ある面代替の自由が効かない特殊な仕事であるといえます。また、警察同様人材が大切な業種であり、適切な業務執行を担保することを考えると、簡単に委託会社を変えることはなかなか難しいと言えます。さらに、警察との密接な連携は、取り締まりという業務の性格上、必要不可欠です
 そういった中、警察と駐車監視員の運営会社との関係は、一般県民から相当注目されているといえるわけでありまして、例えば、警察官やOBの運営会社管理職への転職等についても、細心の注意を払う必要があります。
 そういう意味で、県民の決して誤解を招くことのないよう、今後とも高度な倫理観を持ってお互いに接していくことが円滑な駐車監視業務の遂行につながってまいります。
 そこで、駐車監視の委託会社との適正な契約・関係のあり方について、どのように考えているかお伺いします。

4 警察官の士気高揚について

(1) 多忙な業務と休暇の現状について

 日々現場において地域住民の安全・安心を確保するために奔走しておられる警察官の方々にとっては、不規則な勤務形態やイレギュラーにおこる事件・事務への対処のため、有給休暇はあってもなかなか希望する日に取得できない現状にあると思います。そもそも、超多忙な状況から、有給休暇だけでなく、本来必ず取得すべきである休日勤務の振り替えや、夜勤明けの休業なども十分に取れていない現状があるのではないかと考えましたとき、職員の様々な健康面に悪影響を与えることはないか危惧しております。
 そこでまず、兵庫県の一般行政職の職員と比較して、警察官の有給休暇の取得の現状はどうか伺います。また、恐らく、取得状況は悪いのではないかと思いますし、取得促進に向けた取り組みもあわせてお伺いします。

(2) 士気高揚策について

 行革の影響で給与が下がる。有給休暇もなかなかとれない。そしてさらに、警察の仕事は非常に多忙を極めると、これでは、職員の士気に影響があるのではと心配しております。警察官の士気の低下は、治安の悪化にもつながり、地域住民の安全が脅かされることにもなりかねません。
 そのような状況に陥いらないためにも、職員の士気高揚は不可欠ですが、先に述べたように、給料、休暇、業務面での策が難しいとなると、なかなか妙案が浮かびません。
例えば、スポーツ等により一体感を醸成することも、職員の士気高揚につながるのではないかと考えます。
 大変厳しい状況の中ではありますが、職員の士気高揚に向けた取り組みを行っておられるか伺います。

●県土整備部

1.但馬空港について
(1) 伊丹便について
(2) 羽田直行便について
(3) 但馬空港に対する県民の理解について
2.ハーバーハイウェイの活用について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (県土整備部)
2010年3月10日(水)

1 但馬空港について

但馬空港は、但馬地域の高速交通の利便性を高めるコミューター空港として、また、地域の振興のために整備され、平成6年に開港しました。多額の費用を投じて造成したものであり、一つの大きな拠点として有効活用しなければならないと考えておりますが、現在の周辺環境は厳しいものがあります。本年10月には羽田空港の新滑走路の利用が始まりますが、但馬からの羽田直行便が実現する可能性があるかもしれないという節目の年を迎えるに当たって、ここで一度、但馬空港のあり方、問題があるならば問題点についてしっかりと整理してから、今後の活用について考える必要があります。
県としては費用対効果の面からも改めて県民にはっきりと示し、しっかりと県民の合意を得てから、引き続き但馬空港を一つのしかけとして但馬地域の振興について考えるという姿勢が必要ではないかと考えておりますが、以下お伺いします。

(1) 伊丹便について

1 JAL経営破綻の影響について

 質問を行おうと思っていたが、県が補填しているため影響がないとのことであり、県が補填しているからというのもどうかと思うが、時間の関係もあるので、影響ないと判断して、次の質問に移る。

2 伊丹便の運航見通しについて

 北近畿豊岡自動車道は平成23年度中には八鹿まで延伸する予定です。また今年6月からは舞鶴若狭自動車道が無料化される予定であり、但馬地域と阪神間の高速道路アクセスが大きく向上するため、航空機利用者が航空機から自動車利用へシフトする可能性があります。
 また、現在、先日の但馬空港推進協議会の総会では、本年度の伊丹便利用者の実に約3分の1以上が、伊丹乗り継ぎ羽田の利用となっていることが報告されています。これは羽田直行便が実現すれば、その乗客は当然羽田直行便へシフトすることが予想されることになります。さらに、現在の但馬便で使用している機材であるサーブ機は既に15年が経過し耐用年数を迎えるということも考えていかなければなりません。このような状況を考えると、伊丹便の航路維持はなかなか難しいところがあると思いますが、伊丹便運航の見通しについてどのように整理されているのかお伺いします。

(2) 羽田直行便について

 ジェット機就航のために滑走路を延長するという構想があったように聞いております。約100億円で整備が可能であるという話もございましたが、現在の社会情勢を考えるとその是非は今あえて申し上げません。基本的には羽田直行便を運航するとしても、現在の施設をそのまま活用することを前提に考えているものと認識しています。

1 羽田直行便就航の際の機材・航空会社の想定について

 現在の伊丹便は36人乗りのサーブ機で運航されています。滑走路の制限もありますので自ずと運航できる機材は限定されてくるわけでありますが、今後、羽田直行便就航した場合、その航空機はどのような機材を想定しているのかお伺いします。
 また、機材によって運航する航空会社も限定されてくるのではないかと考えております。現在、どのように想定し、交渉や準備を進められているのかお伺いします。

2 羽田直行便の需要見込み等について

 先程も申し上げたとおり現在、伊丹便利用者の約3分の1強が伊丹空港乗継羽田を利用しているとのことであります。直行便となれば確かにその利便性は大幅に向上するので、新幹線利用からの転移も予想されますし、首都圏からの観光客・ビジネス客も新たな需要として期待されるところであります。機材等により旅客数等、その前提条件は相当限られていると思いますので、ある程度羽田直行便就航の際の需要見込みも想定されていると思うのですが、現在どのような見込みをされているのかお伺いします。

3 羽田直行便の費用対効果について

 但馬-羽田便についてもなかなか採算の取れる路線になるとは考えにくく、現行の伊丹便と同様、赤字補てんや運賃助成を県としては但馬地方の振興策として政策的に継続して行う必要があるのではないかと考えております。また、例えば運航してくれる航空会社が路線開設にあたり充当できる機材を持っていない場合は、伊丹便のサーブ機のように県が購入し、リースするということも考えなければならない状況も生まれてくるのではないかと考えております。
 そういった中、従来からの但馬空港の運営管理費に併せて、更に相当の公費支出が生じる可能性がありますが、この点について県ではどのように試算しているのか。運航会社が決まらなければ精査はできないとしても、羽田直行便実現を目指すとしている以上は、どの程度までなら公費を支出する意義があると考えているのかお伺いします。

(3) 但馬空港に対する県民の理解について

 そもそも但馬空港の設置にあたっては180億円を、サーブ機の購入に補助金として約6億円を掛けています。また毎年の運航に係る費用として、これまでの説明では、運航対策費に約1億5千万円、空港管理費に約1億9千万円を要しているということでしたが、平成20年度の決算書などをもとによく聞いてみますと、これ以外の費用として、伊丹便に係る着陸料等の免除額が約300万円、空港管理事務所職員の人件費が約6千万円、但馬空港公園の維持修繕費が約2億3千万円と、但馬空港関連としては総額で年間6億円を超える公費が支出・負担されています。また、現在県のサーブ機を伊丹出雲路線にも使用するとして、JACから年間約600万円の使用料を、県の出資会社である但馬空港ターミナル㈱が収入していますが、この使用料は本来的には県のものだとすれば、この分も県の負担と見ることもできます。この他にも、但馬の各自治体が運賃助成を行っており、ちなみに豊岡市では、大人普通運賃12,400円に対して7,000円を助成し、区間によってはJRよりも安い料金となっております。地元の努力は尊いものであり、この負担に関して私の方から特段申し上げることはありませんが、年間29,000人の旅客に対して、これだけの県費・公費を使うことについては、改めて地元市民の皆さんにはもちろんのこと、県民の皆さんに十分ご理解を頂かないわけにはまいりません。
 さて、その一方で、但馬地域の生活バスの路線を維持するため、県は但馬地域で約1億円の補助金を交付しています。政策的な側面があるので一概にその結果や金額の多い少ないということには踏み込みませんが、以前にも質問したとおり、このことは地元の皆さんの願い、総意なのか。但馬空港にの運営について但馬地域以外の県民の皆さんの応援と理解を本当に頂けているのかと考えさせられるところがあるわけであります。
 但馬空港の必要性についてのこれまでの県の答弁では、例えば災害時に防災拠点としての役割があった、豊岡の工業団地の売却が進んだ、豊岡カバンのニュービジネスの広がりに貢献している等とありましたが、そもそも空港の使命はどれくらいの人の移動に貢献したかということが本筋であって、それを以ってして但馬空港が必要だというには、いささか説得力に欠けていると感じます。
 但馬空港が但馬地域振興のための機能としてあった方がいというご意見はその通りでありますが、現在の状況として、県の財政状況から見てもその置かれている立場は厳しい状況にあるわけであります。最初に申し上げたとおり、ここは一度これまでの経過をしっかりと整理をし、今後の但馬空港のあり方をしっかりと県民に指し示す必要があるのではないかと考えますとともに、県として今後とも出来る限りの努力はするとしても、まず、地元である但馬地域が官民一体となって、一丸となって但馬地域振興の必要性を県民全体にアピールし、県民の理解をしっかりと得て、オール兵庫で取り組みができるようにしていかなければならないと考えるところですが、県当局としてのご所見を伺います。

2 ハーバーハイウェイの活用について

 現在、尼崎公害の問題等もあり政策的に阪神高速3号神戸線の交通量を減らすため、環境ロードプライシングが実施される中、神戸線摩耶ランプから湾岸線住吉浜ランプまで5号湾岸線への乗り継ぎが行われております。結果として乗り継ぎ経路である神戸市道灘浜住吉川線は渋滞が恒常化していますが、この周辺は一戸建て住宅や一般集合住宅が増え、恒常的な渋滞による住環境悪化も懸念されています。
 この問題はハーバーハイウェイを経由する乗り継ぎ経路を使用することにより解決しますが、この有効な乗り継ぎ経路が使われてない理由は、ハーバーハイウェイが有料であるということです。ハーバーハイウェイは神戸市が所管していますが、既存施設の有効活用の観点からも、ハーバーハイウェイの通行料金の無料化に向けての仕組みづくりを、兵庫県、阪神高速道路㈱、神戸市の間で早急に取りまとめて頂きたいと以前より強く要望しているところです。
 そもそも神戸市域ではハーバーハイウェイや新神戸トンネルが、各阪神高速と乗り継ぎ機能を持っており、これらとの一体化を図らなければ、高速道路ネットワークとしての利便性向上は実現しませんが、管理者が異なるこれらの道路を一体化した高速道路体系として活用することは調整が難しいことも承知はしています。しかし、尼崎の公害問題は解決しなければならない大変重要な問題ではありますが、そのことにより別の地域に新たな問題を引き起こすことは看過できません。
 神戸市域の高速道路ネットワーク構築ということもありますが、それよりも新たな環境問題としてとらえて頂き、速やかなこの乗り継ぎ問題の解決に向けての積極的な県の役割を期待するところです。そこでこの乗り継ぎ問題に対する当局の考え方とあわせて現況、そして今後の方針についてお伺いします。

石井健一郎
灘区

●財政状況

1.県民に対する財政状況の説明について
2.財政状況の基本的認識と持続可能な財政構造について
(1) 本県の財政状況の認識について
(2) 平成21年度の収支見込みと財政フレームについて
(3) 基金管理と適正な事業執行について
 <1> 基金積立等のルールについて
 <2> 適正な事業執行について
(4) 基準財政需要額と事業費の比較について
3.選択と集中について
4.歳入確保・歳出削減の努力について
(1) 県税収入の確保について
(2) 県民緑税の延長について
(3) 未利用地の売却状況について
(4) 県民参加の各種ボランティアによる労務提供等による歳出削減の取り組みについて

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (平成22年度の財政状況)
2010年3月3日(水)

1 県民に対する財政状況の説明について

 この点については、通告しておりましたが、先程、松本委員からの質問もあり、重複しますので、答弁は求めませんが、要望という形で発言させていただきたいと思います。
 さて、平成22年度予算の知事提案を受け、厳しい財政状況の中でも県民の負託に応えるべく全分野にわたりきめ細かい対応がなされていると感じました。その反面、総花的とも言える知事の予算提案を聞いて、県民からみれば「兵庫県財政 全国ワースト2位と聞いているが本当に苦しいんですか?」というような声が聞こえてきそうな気がします。もちろん、厳しいときだからこそ前向きに未来に向かって進むということは大切だと思いますが、県民と一緒に苦しみを分かち合いながら、また県民に参画し助けてもらうことも大切だと思います。
 そこで、現在の厳しい財政状況について、県民にわかりやすく説明し、財政改善に向けた取り組みへの協力をお願いする、という姿勢がより一層強く求められていると思いますので、強く要望させていただき、質問にうつります。

2 財政状況の基本的認識と持続可能な財政構造について

 質問するに当たり当初予算の説明資料を見ますと、かなり詳しく整理されており「みれば分かるだろう」といわれそうで逆に質問しにくくなったように思います。財政当局の資料づくり、ご努力に敬意を表します。が、平成22年度当初予算発表資料の18P 県債残高の数字、20・21P プライバリーバランスの数値について、今定例会に提案された新行改プランの財政フレームの変更後の数値との整合性がとれてない部分があるとのではないかとも思います。また、昨年の委員会の議事録をみますと、主に収支見込み、新行革プランの財政フレームの見込みと修正、要調整額、とりわけ収入見込みについてもっと厳しい姿勢で臨んでいただきたい等々の内容で、これもかなり詳しく議論されていました。
 そこで、私は少し視点を変えて、あるいは県民にとって分かり易い内容で財政状況等の基本的な認識について、お尋ねいたします。

(1) 本県の財政状況の認識について

 まず、厳しいといわれる本県の財政状況の認識についてであります。
 本県財政が厳しい原因として、枕詞のように「震災復興」といわれますが果たしてその認識だけでよいのでしょうか。
 基本的に自治体の財政は、既にご承知のとおり、税収等に地方交付税が措置をされ、日本のどこにおいても基本的な行政サービスを行うことができるようになっています。その必要な財源が、基準財政需要額です。地方交付税は、その基準財政需要額から標準県税収入の75%の基準財政収入額を差し引いたものであり、標準県税収入の25%が内部留保金であります。その25%の内部留保金が、自由に独自の施策等を行えることになります。その範囲内で予算執行をしていれば、基本的には財政赤字とはなりません。
 私は赤字、それ以上の財政出動をするものに、疫病を含む災害対策事業、世代間負担をともなう先行投資事業、不況時における経済・雇用対策事業があると思います。
 本県の場合は、先行投資事業等で殆ど伸びきろうとしていたゴムの状態に、震災復旧事業が重なりゴムが伸びきった状態になっている状況だと思います。それが、平成21年度末で先行投資分約2兆6,368億円、震災分7,605億円、計3兆3,973億円の県債(借金)残高、臨時財政対策債等を加えると3兆6,210億円、実質公債費比率はそれぞれ16.1%、7%、計23.1%、将来負担比率は388.3%となっていると理解いたします。そして新行革プランにより平成30年度には県債(借金)残高を2兆9,900億円、実質公債比率を18%にしようとするものだと思います。それでも将来負担比率は、282.2%です。財政健全化団体指定は、実質公債費比率25%、将来負担比率は400%ですから指標からは全然問題ないわけですが、常に持続可能な財政構造と考えた場合、世代間負担をともなう先行投資事業を考慮して、私は、もう少し低い数字、例えば、国の指標の半分程度、実質公債費比率で12.5%、将来負担比率で200%程度を目標として、改善のスピードを早める取り組みを行うべきではないかと考えますが、ご所見を伺います。

(2) 平成21年度の収支見込みと財政フレームについて

 今年は県税収入の落ち込みがあったものの、新政権による総額1兆円の交付税の増額と人事委員会勧告による人件費の切り下げにより、5月補正による緊急的な有効需要の創出や9月補正、台風9号災害に係る緊急対策等々、当初予算比1,047億円の歳出増を行っても1,367億円の歳入増があり差引320億円の収支改善が図られました。
 しかし、平成22年度当初予算を踏まえた見直し後の財政フレームでは、平成30年度で実質公債費比率、将来負担比率、県債発行残高、県債管理基金残高、県債管理基金積立不足率等々の財政指標は、ほぼ財政フレームにそった内容となっていますが、歳出総額は23兆1,445億円となっており、旧フレームから、人件費で330億円減、公債費で1,110億円増、県税交付金で840億円減、行政経費で1兆3,883億円増(うち特定財源が1兆1,178億円)、投資的経費で274億円増、新規事業財源で30億円減、歳出総額で1兆3,947億円増えています。
 歳出総額、とりわけ行政経費の増の主たる要因は、中小企業制度資金貸付金及び国の経済対策に関連して設置した基金事業だと思われますが、財源が国庫支出金又は特定財源で、収支への直接の影響はないことは理解するものの、財政フレームの歳出規模がこれだけ増大することは問題なのではないか、また、あくまでも現下の経済状況を踏まえた緊急的な対策であることからすれば、後年度も高水準で推移することはあり得ないのではないかと考えますが、歳出総額が変更になっているそれぞれの根拠、とりわけ行政経費の増額の根拠について伺います。

(3) 基金管理と適正な事業執行について

<1> 基金積立等のルールについて

 まず、基金管理のことについても通告していたのですが、時間の関係もございますので、省略しまして、第2の適正な事業執行についての質問を行います。

<2> 適正な事業執行について

 補正予算での淡路市の県有環境林の購入について、地域活性化事業債など有利な資金を使うことには十分に理解をするところですが、県有環境林の用地について、行政財産の取得、適正な事業執行という点において、帳簿価格での購入については問題があるのではないかと思います。また、補正予算は認めたところであるが、帳簿価格で購入したとしても、その時々に帳簿価格と時価価格との比較等を行い、購入時の理由と購入先、含み損の確認を行うことで、今後の事業執行に当たってより厳しく事業執行を行うことにつながるのではと考えるが所見を伺います。

(4) 基準財政需要額と事業費の比較について

 基準財政需要額は、地方財政に関する基本的な方針とその標準的な姿を掲げる地方財政計画に組み込まれた、給与費、社会福祉費、公共事業費、単独事業費などの内容を基礎としたものであるとされている。もっぱら他府県など類似団体比較等で事業費の比較は行われているが、基準財政需要額での比較検証は行われていない。一般財源ベースと事業費ベースでは困難とは思うが、基準財政需要額で比較を行い予算配分や財政改善の検討を行うことは出来ないか、例えば、人件費は需要額から判断して多いか少ないか、投資事業について需要額に相当する分と先行投資分の比率はどうかなどの検討が出来ないか伺います。

3 選択と集中について

 今定例会の代表・一般質問でも「コンクリートから人へ」の理念について、揶揄・批判も含めた発言が多くあったと思いますが、私は、ムダな事業をやめて、真に必要な事業だけを行う、いわゆる県が進める事業の「選択と集中」のことかと考えます。また、私は、複雑、怪奇にしている地方財政制度、国庫補助金・交付金、地方交付税、内部留保金、地方交付税の事業費補正(事業による起債の償還額の補填)、臨時財政対策債(本来は地方交付税、不足分)、減収補填債、行革推進債、退職手当債等々、地方財政制度を駆使するのが財政手腕とさえ思えるところに実は、「コンクリートから人へ」の理念、提起が生まれてきたと思います。極端な言い方かも知れませんが、多くの事業を起こし、多くの起債を発行すれば、単年度でみれば事業費補正で交付税が措置され一般財源が増えるという現象が、国も地方を合わせ1千兆円に上る借金体質を生み出したとも言えると思います。
 例えば、但馬空港問題を例に上げれば、そもそもは但馬地域の振興・活性化にむけた事業であったと思います。多額の用地買収・補償費、建設工事費は、大きな経済効果を地元にもたらしたと思います。但馬-伊丹間の搭乗率は平成20年度で65%を超え、地域挙げての存続に並々ならぬ努力を認めるところですし、敬意を表しますが、客観的にみて運賃助成が、大人普通運賃12,400円に対して豊岡市民等なら7,000円もの助成があることや、空港管理の人件費や維持費などの現状から、厳しい運営実態を認めざるを得ません。どれだけの公費を投入しているか計り知れません。これだけの公費をもっと別の形で投入できれば、本当の意味での地域振興・活性化につながると思いますが、残念ながら適当な補助金や交付金、資金手立ての制度はありません。このことが、地方財政制度の問題点だと思います。また、このような厳しい運賃助成を伴った現状でも羽田の発着枠拡大で但馬-羽田便に経営改善の期待を寄せておられるが、羽田便ともなればプロペラ機でなくジェット機を飛ばす必要性も生まれ、そのためには滑走路の延長が新たな課題となるように考えます。但馬空港を一例に挙げたが、真に地域の活性策と成りうる事業なのか、十分な議論を踏まえた事業の選択が必要と考えます。 
 また、先ほど申し上げた県有環境林の取得に地域活性化事業債など有利な資金を使うことや、あるいは議論のあるところですが、土木・建築工事等で国庫補助事業を適用することで、必要以上あるいは過大設計とも言えるムダな事業も多くあると思います。工事雑費や事務雑費などの経費でも同様かと考えます。国の補助があるから、何でもするというのではなく、十分な議論の上での、選択と集中により事業を行うことが大前提かと考えます。
 そこで、事業の選択と集中を図り、無駄を省き、真に必要な事業に厳選して効率的に執行することが必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

4 歳入確保・歳出削減の努力について

(1) 県税収入の確保について

 極めて厳しい経済情勢の中、県税収入も厳しい状況かと認識します。しかし、一方で、県の財政も非常に厳しい状況にあり、収入確保に向けた取り組みが不可欠であります。
 本県が目指す自己決定・自己責任の原則に基づく自主的な財政運営を展開するためには、歳出面での改革とあわせ、自主財源を最大限に確保することが必要であり、このような観点からも、税収確保対策の徹底が求められています。
 そこで、今年度の税収確保の取り組み状況と来年度の方針について伺います。

(2) 県民緑税の延長について

 県民緑税について、新行革プランには導入後5年を経過する中で、制度の延長の必要性について検討するとありますが、来年度で5年目を迎えます。しかし、来年度の実施計画には検討予定の記載も全くありません。県民負担が生じるものであり、周知期間も考えると、早期の検討、方針決定が必要と考えますが、検討状況を伺います。

(3) 未利用地の売却状況について

 平成20年度決算審査の特別委員会において、加藤議員も確認しましが、未利用地をそのままに放置しておくことで、管理費等の歳出がふくらみます。また、活用方法によっては歳入が見込まれることから、早期売却等が望まれます。そこで、昨年10月に加藤議員が確認した後の、売却状況と早期処分に向けた今後の取り組みについて伺います。

(4) 県民参加の各種ボランティアによる労務提供等による歳出削減の取り組みについて

 県では県民との参画と協働を推進する中で、本来、県で実施すべき事業について、各種ボランティアの活用や、NPO法人にアウトソーシングする等を行っているかと思います。このような取り組みは、県で直接実施した場合と比べて、一定の歳出の削減効果につながっていると考えます。
 このような取り組みについて、行財政構造改革を推進する県としては、積極的に取り組むべきであります。
 そこで、県民の参画と協働の推進による県民参加の各種ボランティアによる労務提供等による歳出削減効果についてのご所見を伺います。

●企画県民部1

1.地域再生大作戦について
(1) 小規模集落元気作戦の今年度の成果について
(2) 今後の展開について
2.県民の参画と協働の推進について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問
(企画県民部(知事室、政策室、県民文化局)、部外局)
2010年3月4日(木)

1 地域再生大作戦について

 自立生活圏の構築、「地域再生大作戦」と仰々しいすぎるほどの大作戦、「本当に何とかしてくれ」「本当に何とかしなければ」と両面の声が聞こえてきます。とりわけ私は、少子、高齢、過疎の進行する中山間地に住む者、議員としての使命のように感じています。また、私たちはそのような中で市町合併を経験してきました。本来市町合併の議論とは、そのような地域再生・まちづくりの議論から出発すべき課題でありましたが、残念ながら「アメとムチ」による合併特例法に振り回された感があります。また、市町合併後さらなる人口減少社会へと進み、一昨年からは世界同時不況、デフレ経済で先行き不透明となっています。「地域再生大作戦」に大いに期待をしつつ、私も関わっていきたいと考えています。
 さてこの度、前田高志関西学院大学教授を座長とする「市町合併の効果・課題に関する研究会」により「兵庫県における平成の市町合併の効果と課題について」が報告されました。
 その中で県に求められるものとして、②市町間の調整、県と市町の連携強化、ア.定住自立圏等の市町間連携についての調整 イ.地域課題の解決にむけた市町と連携した取り組み として、ⅰ 小規模集落対策として「小規模集落元気作戦」の活用。ⅱ 多自然居住地域において、地域資源を発掘、活用することで地域の自立を目指す「ふるさと自立計画推進モデル事業」への取り組み。ⅲ 集落の状況把握、集落点検、集落内での話し合いの活発化など実情にあった集落対策を支援する「集落支援員」の活用。ⅳ 地域で生活し、農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援などを行う「地域起こし協力隊」の活用。ⅴ 住民生活に不可欠な商店や医療・金融機関等の存続・誘致、物販品等の配達や巡回診療などによる住民の生活が維持できるような取り組みへの支援。ⅵ まちづくりの観点から、高齢者支援施設の設置等による地域コミュニティ機能の強化などの支援。ⅶ まちづくり会社等による商店街の空き地や空き店舗の不動産の有効活用、移動店舗の確保などの促進。が挙げられていました。合併の評価についてはいろいろと反論したい部分もありますが、その中で県に求められるものについてはそのとおりだと思いますし、「地域再生大作戦」そのものです。平成22年度当初予算発表資料に記載されている展開事業一覧を見ても、重層的にソフト・ハード事業が見事に組み込まれており、素晴らしいと感じました。

(1) 小規模集落元気作戦の今年度の成果について

 そこで、「地域再生大作戦」の平成22年度の展開事業には、多くの新規事業が含まれていますが、その中でも6つの柱の一つである「小規模集落元気作戦」については、人口減少、高齢化が進む小規模集落の交流を核とした活性化をめざして実施している本年度2年目の事業であります。昨年上田議員が質問をされましたが、1年目の成果を踏まえた上での「小規模集落元気作戦」の2年目の成果についてまず伺います。

(2) 今後の展開について

 今年度の成果を伺いました。平成22年度については、多くの新規事業も含めて、重層的にソフト・ハード事業を展開されようとしており、素晴らしいと思う反面、うまくコーディネートして実施していただかないと、事業の効果が薄れるのではないかとも危惧します。
 そこで、3年目を迎える小規模集落元気作戦の展開を含め、地域再生大作戦の展開事業全体が相乗効果を発揮して、事業効果が最大限となるよう、いかに取り組もうと考えているのか伺います。また、私の地元の神河町でも大変お世話になっており感謝をいたしていますが、大川原集落は「小規模集落元気作戦」だけでなく「多自然居住の推進」事業等々重層的な取り組みの支援を受けています。他地域の事例はどうなっているか合わせてお尋ねいたします。

2 県民の参画と協働の推進について

 本格的な人口減少社会の中で、中山間地をはじめ都会でも空洞化が進み高齢化社会が深刻になりつつあります。そしてそれは地域コミュニティの破壊とつながっています。そのような社会の状況だからこそ、県民の参画と協働が強く求められます。
 ちょっと視点を変えてみてみますと、住民の社会への参画を図るバロメーターは、まず選挙の投票行動だと考えます。平成21年の兵庫県知事選挙での投票率は36.02%です。井戸知事に全幅の信頼を置いた結果かも知れませんが、3人に2人は棄権です。また、別の観点では、震災で被災し、お互いを励まし合い、助け合い、地域コミュニティが自然に機能したと言われる兵庫県においてさえ、住宅再建共済制度の加入率は、1月末で7.6%という現状があります。このことをどう捉えるべきでしょうか。
 このような現状を踏まえると、私は、参画と協働の前にまずは、地域自治意識、自治組織の現状はどのようになっているのか、疑問を感じてしまいます。
 例えば、団体ごとに見てみますと、どの地域においても自治会組織はまだまだ機能をしているとは思います。では、婦人会組織はどうでしょうか、私のような田舎においても婦人会組織がだんだんと消滅しています。一方、自治消防団活動は、団員が減少はしていますがまだまだ機能していますし、青年団組織が残っているところも稀にあります。子供会、PTA組織は児童・生徒の減少があっても機能しています。老人会組織は、最大組織で活発な活動を多くみますし、任意の組織も生まれてきています。さらに、丹波地域の母親の方々自らが地域で小児入院ができる病院を守る活動を、地域医療を守る活動まで発展させて取り組んでいる「県立柏原病院の小児科を守る会」などには、感心をいたします。
 まだまだいろいろな組織や見方・分析はあるでしょうが、まずは基本的な自治組織の活動が出来ないようでは、参画と協働も難しいのではないかと思いますが、行政の役割としては、このような自治組織の活動を支援したり、足りない分野を補っていくような取り組みが求められるのではないかと思います。
 そこで、これまで指摘してきた視点も踏まえて、今後どのように県民の参画と協働を推進されていこうとしているのかお尋ねいたします。

●病院局

1.県立病院12病院の役割について
(1) 県立病院の役割について
(2) 政策医療の提供が経営に与える影響について
2.県立病院改革収支フレームについて
3.一般会計からの繰入金について
4.減価償却費について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (病院局)
2010年3月5日(金)

1 県立病院12病院の役割について

(1) 県立病院の役割について

 県立病院の設置条例では、第1条 県民の健康保持に必要な医療を提供するため、兵庫県病院事業を設置する。 第2条 病院事業は、常に公共の福祉を増進するとともに、企業の経済性を発揮するように運営されなければならない。 2 病院事業の施設としての病院の名称及び位置は、次のとおりとする。・・・とし、12の病院名と位置が記されています。
 県立病院は、低所得者層の医療を確保するため、西宮病院が昭和11年に西宮懐仁病院として設置されて以来、結核対策、地域の中核的病院としての役割、専門医療における全県の拠点的病院としての役割など、その時々の県内の疾病構造や医療ニーズ、地域の医療提供体制に的確に対応し必要な県立病院が設置されてきており、各県立病院において、がん、循環器疾患、糖尿病医療や、救急医療や感染症医療等高度専門・特殊医療等の政策医療を中心に医療提供がなされています。
 一方、県内においては、私の地元神河町が人口13,000人程度の町で実質年間約1億4,000万円を負担して公立神崎病院を設置しているように、財政状況が厳しい中ではありますが、公立病院を設置し、住民に身近な医療を提供している自治体もあれば、他方、人口や財政規模においてはるかに大きな市において市民病院がない中で県立病院が設置され、市民の医療ニーズに応えているというところもあります。
 県立病院のあり方については、しっかりと整理されていることは認識していますが、県立病院の配置や提供している医療内容を判断すると、必ずしも県立病院だけで県民の医療を全てまかなえるものではないとも感じます。
 そこで、県民への医療提供について、県立病院が果たす役割についてお尋ねいたします。

(2) 政策医療の提供が経営に与える影響について

 尼崎病院では、神経難病医療の全県の拠点的な機能を担う、塚口病院では成育医療の全県の拠点的な機能や性差医療のセンター機能を担う、加古川医療センターでは、生活習慣病医療の全県の拠点的な機能を担う、光風病院では精神科医療の全県拠点病院として、急性期医療を中心に他の医療機関では処遇が困難な精神科医療を担う、こども病院では、小児専門病院として、また総合周産期母子医療センターとして、小児やハイリスク母子への高度専門医療を担う、がんセンターでは、都道府県がん診療連携拠点病院として、がんの全県的な拠点病院としての役割を担う、姫路循環器病センターでは、他の医療機関では対応困難な心疾患、脳血管疾患の急性期医療を中心とした高度専門医療の全県の拠点的な病院としての役割を担う、粒子線医療センターでは陽子線及び炭素線の2種類の粒子線治療が可能である世界唯一の施設としてがんの先進医療を担う、災害医療センターでは災害医療の全県拠点としての役割を担う、西宮・淡路・柏原病院では全県的な機能を担うとはなっていませんが、それぞれ圏域の中核的な病院として、がん、糖尿病等の高度専門医療を担うとなっています。
 このように、それぞれの県立病院が、全県や二次医療圏域における拠点的な病院として、高度専門・特殊医療等を効果的かつ効率的に提供する役割を担っていますが、各病院がこれだけ多岐にわたる役割を担っていることを考えると、役割によっては、その役割を果たすことが経営上大きな負担となっていることも考えられます。そういう意味で、各県立病院の役割についての経営的観点からの検証も必要ではないかと考えます。
 そこで、その特色ある政策医療の提供が病院経営に与える影響についてお尋ねします。

2 県立病院改革収支フレームについて

 自立した経営の確保に向けて、日夜弛まぬ努力をされていることに敬意を表します。 
 昨年5月に策定された兵庫県の県立病院改革プランにおいて、平成28年度には病院事業全体での当期純損益の黒字化を達成するため、病院ごとに平成28年度までの収支計画を策定するとともに、病床利用率や入院単価等、主な経営指標に係る具体的な数値目標を設定して経営改善に取り組んでおられます。
 そういう中で、今年度は人事委員会勧告に伴う大幅な手当・賃金の切り下げがありました。人件費の削減に伴い費用抑制が進み、経営指標に係る数値目標の一つである給与費比率の改善にもつながっているのではないかと考えます。
 また、今定例会の一般質問において、我が会派の竹内議員からも確認しましたが、新政権による平成22年度からの診療報酬の改定もあったところであり、竹内議員への答弁では約9億円程度の収支改善が見込まれるとのことでした。
 そこで、今、指摘した2つの要因が県立病院の経営に与える影響を伺うとともに、今後の収支フレームにどのように影響するのか伺います。

3 一般会計からの繰入金について

 病院事業会計には、一般会計から、毎年100億円を超えるいわゆる繰入金が計上されており、平成22年度当初予算においても、病院事業経営費負担金約123億円、病院事業資本費負担金約42億円など、合計約170億円が計上されています。
 これは、県立病院において各種の政策医療の提供を行うための負担金等かと思います。病院事業の経営において、過度にこの負担金に依存しすぎることには問題があるのではと思いますが、県立病院が政策医療を永続的にしっかりと担っていくためには、一定は行政が負担していくべきであります。病院局としてもその必要性を知事部局にアピールすることはもちろんのこと、現在、県民への痛みも伴う新行革プランの推進中ですし、公営企業である病院局がなぜ県から負担金を受けているのかという疑問に対し、この経費の必要性を県民に対しても明確に示し、十分な理解を得ることが県立病院の持続的な経営のためにも必要だと考えます。
 そこで、これらの一般会計からの負担金がどのような根拠で算出されているのかお尋ねいたします。また、交付税対象分の他に県単独分があるかと思いますが、その算出根拠も含めて、お尋ねいたします。

4 減価償却費について

 愛和病院(長野市)副院長のブログに掲載されていた平成19年の朝日新聞に、「民間企業なら建物や設備機器の更新に手持ち資金をあてることで、金利負担のある借金をできるだけ減らそうとする。だが、公立病院の建設や設備更新は借金で賄うのが普通だ。返済に充てる元利償還金の半分が自治体から繰り入れられ、交付税が上乗せされることもあり、自己資金で賄うより有利と考えられていた」との記事がありました。そして、三位一体改革のもとで交付税が削減され、診療報酬引き下げも相まって、公立病院の閉鎖も含め経営が厳しくなっていった現状を指摘している。
 また、この「借金した方が交付税が多くもらえる」という仕組みが、多くの自治体を、厚生労働省関係者の言葉のようですが「病院の名を借りた公共事業」に走らせ、借金をふくれあがらせた、と指摘しています。県財政にも言えることかと思いますが、言うまでもなく、借金に借金を重ねることは非常に危険であります。特に、病院事業については、地域医療を確保し、県民の命を守るという大命題があり、決して倒れることは許されません。健全経営に努めることをお願いします。
 また、同じ朝日新聞の記事に減価償却費に関する次のような記載もありました。「公立病院も会計上、民間企業と同様に毎年、減価償却費を計上する。だが、実際には支出されないため、将来の設備更新に備える手持ち資金として残る。そのため、赤字が出ても手持ち資金の範囲内なら問題ない、と自治体も病院もとらえがちだった」という内容であります。
 しかし、現状は病院建設に係る費用等については、補助金と起債を財源とし、その後、起債を償還していくこととなります。
 そこで、兵庫県の病院事業会計における減価償却費、起債償還額資金収支の関係について、どのようになっているのかお伺いします。

●教育委員会

1.実効ある「ひょうご教育創造プラン」の推進について
(1) 子どもたちへの認識について
(2) 「生きる力」について
(3) 魅力ある学校づくりの推進について
(4) 道徳教育について
(5) 人権教育について
(6) 食育・米飯給食の推進について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (教育委員会)
2010年3月11日(木)

1 実効ある「ひょうご教育創造プラン」の推進について

(1) 子どもたちへの認識について

 今定例会の代表質問で我が会派の藤井幹事長から、『「ひょうご教育創造プラン」策定後、初めてとなる予算が提案されましたが、兵庫の教育をより前進させるために、また、教育施策を実効あるものとするために、どこに重点を置いて取り組もうとしておられるのか』との質問を行いました。
 それに対して大西教育長は、「プラン実現のため、子どもたちの規範意識の低下、基本的生活習慣の乱れ、学ぶ意欲の低下、さらに教職員が子どもと向き合う環境づくりなど、現下の教育現場におけます様々な課題を踏まえ、プランの着実な推進に向け、選択と集中によります施策の効率化を図りながら、現場重視の視点に立ち、平成22年度当初予算は、取り組んだところでございます。」とし、『プラン重点目標に基づき、子どもたちに自ら考え行動する力など、いわゆる『生きる力』を身につけさせることを重点に置きました。具体的には、1点目には知識・技能の定着、それらを活用する力や学習意欲、学習習慣など、確かな学力の確立を目指す「学力向上対策の充実」、2点目には、小中学校の円滑な接続を目指す「兵庫型教科担任制の推進」、さらには3点目には、高等学校におきまして、中高連携やスペシャリストの育成、理数教育によります学力向上等、テーマに沿って生徒のやる気を引き出します「魅力ある学校づくりの推進」、さらには4点目には、豊かな心を育みます、兵庫教育の特色でもございます「兵庫型体験教育の充実」の4つの施策を重点的に取り組むことといたしました。』と答弁されました。
 そこでまず、答弁にあった子どもたちの規範意識の低下、基本的生活習慣の乱れ、学ぶ意欲の低下の背景と現状認識について、当局にお尋ねいたします。

(2) 「生きる力」について

 従前の教育改革プログラムでは、「生きる力」を育むという表現が使われていたと思います。今回の「ひょうご教育創造プラン」、大西教育長は、『プラン重点目標に基づき、子どもたちに自ら考え行動する力など、いわゆる「生きる力」を身につけさせることを重点に置きました。』と答弁されています。
 私は、以前、文教常任委員会で『まず「生きる力」、人間社会に生まれてきた意義と課題、役割、人間社会で生きているんだとの自覚、そのことを学ばせることが生きる力をつけさせることだし、その自覚ができれば自ずと確かな学力が付くはずだ。』と申しあげました。
その点において、まったく同じ認識だと思うわけですが、「生きる力」についての認識をお尋ねいたします。

(3) 魅力ある学校づくりの推進について

 「県立高校教育改革第二次実施計画」の着実な推進として、4つの柱を挙げられていますが、その中身は、いかにして授業に生徒を引き込む、あるいは、授業に集中させるかだと思いますが、ここでは「高等学校の魅力ある学校づくりの推進」についての基本的な考え方についてお尋ねいたします。
 今定例会の一般質問で我が会派の竹内議員が、県立高校に次世代リーダーを養成する特色校を創設することの質問、いや提言を行いました。
 また、私たち民主党・県民連合は、昨年2月に「道立登別明日(あけび)中等教育学校・・・特色ある中高一貫教育」について視察を行いました。この学校は、19年4月に道内全域を対象として(寮も完備)開校した中等教育学校(一つの学校で一体的な中高一貫教育)という特色を持っているほか、イマージョンプログラム(英語で他教科を指導)の実践をはじめとした国際理解教育、北海道の良さを学ぶ地域学習、習熟度別学習・少人数授業・チームティーチングなど特色ある学校づくりに取り組んでいます。
 教師も生徒も道内から選ばれたエリートであり、先生の話を聞くと問題行動などは一切無くそれぞれが自立した学校生活を送っているとのことでした。事実、子どもたちの表情は実に穏やかで聡明な雰囲気が漂っていました。校歌も、シンガーソングライターの大黒摩季の作曲であり、現代アート・ポップスで超現代的であると感じました。確かに、ハードの面、ソフトの面、生徒・教師も大変優秀で意欲も旺盛であり、教育効果も上がっていると想像しますが、私はもはやこれは公立学校が果たすべき役割ではないと感じました。
 そこで、学区の見直しも検討中とのことですが、普通科高校の中には、竹内議員の言うところの強力な進学校があってもいいのではないかと考えますが、高等学校の魅力ある学校づくりの推進について、基本的な考え方をお尋ねいたします。

(4) 道徳教育について

 教育委員会の平成22年度重要施策では、『児童・生徒が、郷土に誇りを持ち、社会の中で自己の責任や義務、役割等に対する自覚を深めるため、新たな兵庫の先輩の多様な生き方考え方等に触れる「道徳教育副読本」を作成し、「道徳の時間」を中心とした道徳教育の充実を図る。新学習指導要領で盛り込まれた「生命を尊重する心」や「規範意識」の育成など重点的・体系的に指導すべき分野について作成した道徳教育指導の手引きを活用し、指導方法の工夫改善や推進体制作りに取り組む。』とされています。
 私は子どもの頃よく世界偉人伝や伝記物語、例えばリンカーン、エジソン、キュリー夫人、ノーベル等々、日本では、野口英世、松下幸之助、乃木将軍等々、成人してからはPHP等で日本の各界の人たちの生き様に敬服したり感銘を受けたりしました。
 また先日、文教常任委員会で県立農業高校を視察いたしましたが、生徒たちが育ててきた鶏の解体の実習をされており、以前に実習を受けた女生徒の命をテーマとした作文「ニワトリ」が、「心つないで」という副読本に採用されたとの話をお伺いしました。
 そこで、作成中だとは思いますが、本県が独自に作成する副読本の検討状況、作成スケジュールについてお尋ねいたします。

(5) 人権教育について

 平成22年度重要施策では、『身近な暮らしの中での人権問題を捉えるため、地域の人々の生き方や考え方、歴史などの心豊な学習素材を活用した学習資料を作成し、県下に発信する「地域に学ぶ人権学習推進事業」を実施する。』とされており、また、兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針では、「身近な人権課題として (1)女性 (2)子ども (3)高齢者 (4)障害者 (5)同和問題 (6)外国人 (7)HIV感染者等(8)その他の人権課題」に分類されています。
 また、各人権課題については、『各個別の計画等に基づきそれぞれの課題に対応した施策の推進に努めるとともに、女性センターやこどもセンター、のじぎく会館等の県の機関や国際交流協会、社会福祉協議会等の関係団体などと連携を図りつつ、啓発をはじめ研修、相談、研究事業などに取り組んできました。また、学校教育等においても、同和教育を中心とする人権意識の高揚を目指す教育の充実に努めてきました。』と記されています。
 そして個別の(5)同和問題では、「同和問題についての県民の理解と認識は着実に定着しつつありますが、人々の差別意識については、結婚問題、就職問題を中心に課題も残っています。今後は、こうした差別意識の解消を図るため、これまでの教育及び啓発の中で積み上げられてきた成果等を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育及び人権啓発として発展的に再構築し、学習教材や研修手法、啓発手法などに工夫を凝らしつつ、学校、地域、職域などでの様々な機会をとらえた教育及び啓発に取り組んでいきます。その際、同和問題を自ら解決すべき身近な課題としてとらえられるよう、この問題の固有の経緯を踏まえ、具体的な課題に即して、現状の正しい理解と認識を深める教育及び啓発を進めていくことが大切です。また、行政が主体性を堅持し、県民の信頼を高めていくとともに、えせ同和行為の排除や自由な意見交換のできる環境づくりを進めていくことが大切です。」とされています。
 そこで、学校教育等における同和問題に対する取り組みの現状はどのようになっているかお尋ねいたします。

(6) 食育・米飯給食の推進について

 ある政党の月刊誌を読んでいますと、米飯給食で、いじめが消えた! 性格、体力、学力向上の”奇跡”と出ていました。記事では、『「いま、日本の教育界で一つの”奇跡”が話題となっています。ある町の小学校で給食を完全米飯に変えた。すると、「いじめがなくなった!」という。さらに子どもたちの性格、成績もめざましく向上した。この画期的な実験に取り組んだ一人の教育者、大塚貢氏。長野県真田町の前教育長。彼は、その実験結果を日本総合医学会、第63回東京大講演会で発表。教育界は、騒然となっています。その演題は「なぜ、子どもも大人も凶悪犯罪を犯すのか」。さらに副題は「食事によって心と体を甦らせる」(月刊総合医学No.42)』となっていました。
 その記事の内容を会派内で話し、会派で真田町に視察にいきました。さらに岡議員から、この3月3日に川西市の歯科医師会が大塚氏を呼んで講演会が開催されること、我が会派は、従来から教育委員会に対して米飯給食の重要性、取組の強化を訴えてきたこと、を聞きました。
 それは、国も県も日本型食生活を11年も前から進めてきていますが、これは生活習慣病の低年齢化等、何かと課題が明らかになってきた昨今の食生活を是正し、現代病を誘発するとも言われている食生活の現状を改めようとするもので、国の食育基本法のもとに県が制定した条例によって、食育推進計画の策定を市町の努力義務としています。
 しかるに、米飯給食の拡大に向けた3カ年の助成制度も今年度で終了する上に、また、米粉用米新規需要創出モデル事業の実施で、学校給食おいて、新たに新規需要米を使用した米粉パンを提供する場合に小麦パンと米粉パンとの差額約10円を助成する予算が計上されており、ほぼ50トン分の需要拡大を見込んでいます。
 しかし、日本型食生活の基本はごはんであり、ごはん食とパン食とは副食が全く異なり日本型食生活とは相いれません。米粉用米新規需要創出ということは理解いたしますが、安易に学校給食に受け入れることは理解できません。米飯給食の拡大は、日本食の奨励であり、それが先ほど紹介いたしました「米飯給食で、いじめが消えた! 性格、体力、学力向上の”奇跡”」です。
 そこで、教育委員会の食育についての哲学、すなわち学校における食育の推進にあたり、米飯給食の重要性と米粉パンの導入について、どのような見解をもっておられるのかお尋ねいたします。

上野英一
神崎郡

●公安委員会

1.来日外国人犯罪について
2.若手警察官の育成について
(1) 警察学校における研修・訓練について
(2) 団体生活の中での若手育成について
3.治安再生に向けた長期的な戦略について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (公安委員会)
2010年3月8日(月)

1 来日外国人犯罪について

 この問題については、今定例会の一般質問において、我が会派の杉尾議員が、外国人犯罪の温床となっている「ヤード」対策の強化を求めましたが、私は、本県の特質でもある指定暴力団6代目山口組を始めとする暴力団との連携等、組織化への対策強化を求めていきたいと思います。
 社会経済の国際化や深刻な不法滞在者問題を背景と致しまして、来日外国人犯罪をめぐる情勢は依然として厳しいと思っています。こうした中、我が国に流入した外国人が犯罪集団を形成し、例えば外国人が関わることの多いいわゆる「ヤード」に対しての県警の取り組みが大きく報道で取り上げられ、また、我が国の暴力団や外国に本拠地を置く国際犯罪組織と連帯して活動するといった動向が見られ日本国・兵庫県の治安維持の重大な脅威となっています。
 全国における来日外国人犯罪の総検挙件数・人員は警察や入国管理局における取り組みもあり、過去数年減少傾向にあり、平成21年中は、前年に比べ、検挙件数・人員ともに減少したが、刑法犯の検挙状況を見ると検挙件数は前年に引き続き約1割減少したものの、平成17年以来減少を続けていた検挙人員は増加に転じています。また、兵庫県下における来日外国人犯罪の検挙状況においても、ここ5年は減少傾向にあったところ、昨年は、刑法犯、特別法犯とも、検挙件数、人員が増加しており、特に刑法犯については、検挙件数は479件で前年比185件の増加、検挙人員は220人で前年比35人の増加となっています。
 先般も香港の「爆窃団」による神戸市内の百貨店での犯行について大きく報道されたが、来日外国人犯罪については今後も、予断を許さない状況にあると思われます。特に、先にも触れましたように外国人犯罪グループが暴力団と結託して、連続強盗犯罪を敢行する事例もあるなどこれら組織化する外国人犯罪に対する取り締まりの強化が求められています。 
 そこで、県警ではこれらの来日外国人犯罪の現状をどのように認識し、いかにその取締を図っていくのか、また暴力団と連携した活動に対して、どのような対策をとっているのか、当局の御所見をお伺いします。

2 若手警察官の育成について

(1) 警察学校における研修・訓練について

 兵庫県警察において昨年4月以降に20歳から32歳までの若手警察職員の逮捕事案が5件続きました。その事案の中身にはここではふれませんが、なにより他に日々頑張っている警察官のモチベーションを下げないと言う観点から本日は、若手警察官の育成について質問させていただきたいと存じます。
 警察官として採用されると、まず、警察学校で厳しい訓練等を受けることとなります。今年1月、私も警察常任委員会の管内調査において警察学校を視察させていただき、訓練で校内の坂を何度も何度も駆け上がる若手警察官の姿にこちらが疲れる思いを感じるほどでした。そのように、大半以上の警察官は日々県民の安心・安全のため努力を重ねてくれています。
 その上で、先にも述べましたとおり最近、警察学校を卒業後間もない若手警察官による不祥事が、発生しており、警察学校において十分な教養がなされているのかどうか疑問を感じざるを得ない状況にあります。
 そこで、こうした不祥事を踏まえ、警察学校における研修・訓練について、採用から採用時教養の期間での教養内容をどう改善しておられるのか御所見を伺いたいと存じます。

(2) 団体生活の中での若手育成について

 私は、学生時代は寮生活でした。複数人が同じ部屋で寝起きすると言うことは、自分の我ばかりを通すわけには参りませんし、なにより、互いの性格や行動が指摘される事によって成長する部分も大きくありました。警察官は採用されてから警察学校で18歳から35歳未満までの方々が一緒に生活し、訓練をされるわけですが、部屋まで一緒とは苦しいと感じるのが時代の流れかも知れません。しかし、複数の人数での寮生活も踏まえて団体生活を送ることでこそ、協調性等も身につけ、人間的にも成長することが出来るのではないかと存じます。
 そこで、団体生活の中での若手育成について、御所見をお伺いいたします。

3 治安再生に向けた長期的な戦略について

 最後に、どのような組織でもトップの資質や、想いによって大きく、組織の方向性、雰囲気が変わってくるものと存じています。
 そこで、本部長が今期掲げられた「訓示」を拝読させていただきました。訓示の中で「兵庫県の治安が回復軌道に乗りつつある」として、「この治安再生の道をより確かなもの」とするため、「兵庫県の治安再生に向けた戦略的取り組みが必要不可欠」と述べられておられました。私は、達成すべき政策課題の緊急性やアプローチ方法等によって、戦略には短期、中期、長期とあるのではないかと勝手に推測いたしますが、その中でも、組織で働く者にとっては、トップに長期的戦略を明確に示していただくことで、狭い視野でなく広い視野で業務に取り組めるのではないかと思います。そういう意味で、トップの長期的な戦略というものが、組織運営には極めて重要なのではないかと思います。そこで、次世代に引き継ぐべき長期的な戦略として、特に本部長がこれは、との事項がございましたら、本部長にお聞きしたいと存じます。

●農政環境部

1.木材流通の効率化について
2.みどり公社の造林事業について
3.戸別所得補償制度について
4.県産農産物の輸出について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (農政環境部)
2010年3月9日(火)

1 木材流通の効率化について

(1) コスト削減について

 県産木材の利用を促進することは、森林の育成、伐採、利用を円滑に循環させ、地球温暖化防止、県土の保全等、森林の持つ多面的機能の発揮につながる重要な課題であります。県内における木材の地産地消と、生産から加工、流通、消費まで一貫した資源循環型林業の構築を積極的に進めるのであれば、林業は必ずや再生できると思います。
 このために重要なのが、まずコストの低減だと思います。コスト低減を図り、山林所有者の収益を上げなれれば、再生産のサイクルは実現できません。
 わが国の木材流通は、山から製材工場の間に、原木市場を介するのが一般的で、この流通形態が高コストの一因であると指摘されています。あるレポートによると、スギ材で製材工場着の丸太価格が1立米当たり12,000円前後とすると、運送経費や原木市場の手数料によって、山から製材工場に直送する場合と比べて、3,000ほどが余分に掛かっているそうです。原木価格の4分の1に相当する額です。伐採や搬出コストの削減とともに、この流通コストの削減を図る必要があります。今年度の国の補正予算により、原木流通経費への助成事業も始まったそうですが、流通形態そのものの改革が何より必要です。
 このような中、本県では、宍粟市一宮町に「県産木材供給センター」の整備を進めています。山から製材工場への原木直送による流通の合理化、大規模な製材工場の設置と品質の向上などを図るもので、大いに期待するものですが、そこで、まず、このセンターにより、どの程度のコスト低減が図られると見込んでいるのかお伺いします。

(2) 原木取扱量設定の考え方について

 このセンターの計画では原木取扱量を12万6千立米としていますが、この12万6千立米という量はどのような量なのかについてお聞きします。
 林務課作成の資料を見ますと、近年の県内全体の素材生産量は針葉樹で年間18万立米前後です。つまり、このセンターの能力は、県全体の生産量の70%に相当するわけですが、これは、現在の生産される素材の70%をこのセンターに集めようということなのでしょうか、それとも将来的な素材生産量の増加を見込んでいるのでしょうか。
 同じく林務課作成資料には、「人工林の林齢構成は41~50年生がピークとなっており、伐採可能な人工林が急増しつつある」と記述されており、この41~50年生の森林は間もなく伐採期を迎えるように思いますが、このセンターの原木取扱量設定の考え方について伺います。

2 みどり公社の分収造林事業について

(1) 借入金の縮減について

 公社設立の目的は農地保有の合理化、農業後継者の育成や森林整備事業に寄与するとされているようですが、今回は、分収造林事業について特に伺います。
 「新行革プラン」を見ますと、公社の平成18年度末の借入金残高は約620億円あり、このうち540億円が造林事業での借入金で、さらにその内訳としては、市中金融機関からの借り入れ分が300億円、農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)からの借り入れ分が130億円、残りが県からの借り入れ分という状況であります。
 公社では、例えばスギでは伐採期を植栽から80年後とし、保育している森林の伐採がすべて終了する時期を平成90年としています。そして、その期間の収支として、伐採収入を約1,000億円と見込んでいるのに対して、費用としては、植栽から伐採までの事業経費が約650億円、借入金の支払利息が約1,130億円としています。その結果、670億円もの赤字が発生することになり、そのため、県が借り換え資金を融通し、有利子負債を圧縮することによって、約350億円の利子負担の軽減を図ろうとしています。貸付金として、今年度は200億円が、22年度にも245億円が予算計上されています。
 しかし、県自体が基金を取り崩しながらのギリギリの財政運営を迫られている時ですから、公社は、県からの資金に頼るのではなく、自らの資産で負債を減らすことを考えるべきではないでしょうか。つまり、現在の計画では、スギでは伐採本格化を平成55年頃としていますが、一般にスギは45年ぐらいで伐採利用が可能とされており、伐採可能な森林がこれからどんどん増加することを考えますと、伐採時期を少しでも前倒しし、その伐採収入によって負債の圧縮を図るべきではないかと考えます。特に今年中には県産木材供給センターも稼動するわけですから、この施設を有効に活用するという観点からも、このような考え方はできないのか、ご所見を伺います。

(2) 分収造林事業の見直し計画について

 新行革プランでは、造林事業を抜本的に見直すとあります。何を以って「抜本的」というのか、よく分かりませんが、いずれにせよ、この行革期間に一定の成果を上げなければなりません。
 造林事業は、そもそも戦後復興期の国策として始まったと伺っていますが、それでも、みどり公社が事業者として実施してきたわけですから、事業見直しについても、理事長が判断し、責任を持って実施しなければなりません。理事長が短期間で次々に交代するようでは、誰もジョーカーを引きたくないわけですから、結果的に重要な経営判断が先送りにされてしまうといったことも考えられるのではないでしょうか。もし、理事長が経営判断できないというのであれば、この際、抜本的な見直しとして、公社の造林事業、そのものを解体してはどうかと考えます。
 新行革プランでは、造林地を①収益性が高く、その収益で再造林を行う「経済林」、②収益性が低く、伐採しながら広葉樹化する「環境林」、③収益性が見込めず、伐採しない「自然林」、この3つに区分するとしていますが、それなら、「経済林」は地元の森林組合などへ事業譲渡し、また「環境林」は今ある木を伐採するまでは県が県営事業として引き継ぎ、そして「自然林」については現時点で分収契約を解約する、このように整理することも可能ではないかと思いますが、そこで、今の事業見直し計画が本当に抜本的だと言えるのか、公社を所管する立場としてご所見を伺います。

(3) 行革プランの総点検での検討について

 林家が叩かれたとしてもどんどん税金で穴埋めすることよりは、少し考えを大きく改めて、来年度の行革プランの総点検の中でもですね、もう一度考えていただけたらいいかなと私自身は考えております。
 そこで、今のご答弁を踏まえましてちょっとお聞きしたいんですけど。今県財政のために、今これが造林業の赤字を減らすことが、県財政の中で、県民のためにはこれが最善かということを、財政当局に一番お聞きしたいと思っておりまして、今のご答弁を踏まえまして、今の状況がですね最善かどうかもう一度お聞きします。

3 戸別所得補償制度について

 民主党が政策公約として掲げた戸別所得補償について兵庫県としてどのような対応をとの質問させていただきます。
 戸別所得補償の導入の大きなポイントの一つは、コメ政策の大転換です。農家の高齢化等により、耕作放棄地の増加や深刻な担い手不足が生じていますが、これまでの減反政策もこの状況を助長した一因ではないかと思います。
 米価の下落が続いており、コメ農家の所得は下がっていますが、この制度によって差額が支払われ、所得が補償されれば、農家はコメ作りを続けることができ、水田を有効に活用することができます。
 また、小規模な兼業農家を戸別に支援すると、農地の集約化が進まないという意見もありますが、この全国一律単価による助成は大規模農家に有利に働くので、既存の施策とリンクさせることで、矛盾なく政策を進めることができると思います。
 一方で制度のデメリットを指摘する声もありますが、どのような制度でもデメリットはあるもので、いずれにしても、農家と十分に意見交換を行い、方向性を定めていくことが重要です。
先日の代表質問でも、我が会派以外の会派から戸別所得補償制度について兵庫県としてどのような対応をとのご質問がありました。そこで知事並びに副知事の答弁では、「この対策の活用により農業経営の安定が図られることを期待している。説明会の開催等により、徹底的な制度周知と加入促進を図る。」と答弁されました。
 そこで、様々な地域性があり、様々な農家が存在する中で、地域の実情に沿った戦略性のある施策展開にために、例えば制度説明会においても、「こうすればこれだけの交付金がもらえますよ」といった無機質な説明ではなく、農業施策の新たな方針をしっかりと示し、意見を交換し、農家の理解を十分に深めていただく、そのような姿勢で今後、説明会開催をはじめ、事業実施に当たっていただきたいと強く思いますが、当局のご所見を伺います。

4 県産農産物の輸出について

 最後に農産物の輸出についてお伺いします。
 世界的な日本食ブームや目覚ましい経済発展を遂げるアジア地域の富裕層の増加により、日本産農産物の輸出拡大のチャンスが増大していますが、本県では、高品質な県産農産物、またその加工品の輸出促進に取り組むとし、平成17年度に「兵庫県農林水産物・食品輸出促進協議会」を設立しました。
 これまでに、台湾では「フード台北」への出展や台北市内の百貨店における「ひょうご農林水産フェア」の開催を通じ、淡路のタマネギや県産山田錦を使った清酒等を輸出してきましたし、コーディネーターを設置して、きめ細かな情報収集と現地業者との商談のサポートを行っています。また昨年は、8月に香港で開催された「フード・エキスポ」に農水産物や加工食品等を出展し、中国市場における販路開拓に向けた取り組みを始めたと承知しています。さらに、来年度はこれまでの取り組みに加えて、広東省での現地調査や商談会を実施するとしています。
 そこで、近年勃興する近隣アジア諸国・中国・インドなどへの県産農産物の輸出について、その可能性をどのように認識されているのか、ご所見を伺います。

●企業庁

1.企業庁事業の改革について
(1) 民間ノウハウを活用した地域整備事業の推進について
(2) 水道用水供給事業について
2.宝塚新都市計画について
(1) 計画概要について
(2) 計画の現状について
(3) 計画の見直しと企業庁事業の今後のあり方について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (企業庁)
2010年3月10日(水)

1 企業庁事業の改革について

 昨年11月に兵庫県議会民主党・県民連合議員団として、知事に対して2010年度当初予算編成に対する予算申し入れを行いました。それに対する回答も先日いただきましたが、その内容の関連を中心に地域整備事業と水道用水供給事業について、数点、質問を行います。

(1) 民間ノウハウ等を活用した地域整備事業の推進について

 地域整備事業については、昭和44年度に臨海地域での産業用地等の需要に対応するため、臨海土地造成事業としてスタートし、昭和57年度には対象事業地域を内陸部まで拡大させ、平成5年には施設整備等も事業内容に加え、今日の事業名になったと聞いています。
 そういう中で、右肩上がりの経済成長の終焉、バブル崩壊による土地神話の崩壊や金融危機等、極めて流動的な社会経済情勢の中で、企業庁の経営環境は極めて厳しくなり、企業債残高についても昨年度末の約1,150億円から今年度末には約1,100億円と若干改善されたものの、依然として1,000億円を超える高水準の状況にあり、依然として厳しい経営環境にあることがうかがえます。
 また、現在も続く土地需要の縮小傾向の中、分譲を促進させ、経営を改善させるのは、なかなか困難かと思いますが、この厳しい時だからこそ、常に工夫、改善を続けないと、何の前進も生まれません。
 こういう厳しい状況の中にあって、民間企業の中には業績を伸ばしている企業が多くあります。企業庁業務の関連であるハウスメーカーだけでなく、行政の中にあって「経済性」も強く求められる企業庁にとっては、別業種における取り組みの成功例も参考になるのではないかと思いますし、そのノウハウを吸収するため、関連企業だけでなく、広く成功している民間企業との人事交流、派遣研修等を実施して、企業庁職員に民間意識を注入することも必要ではないかと考えます。
 予算申し入れに対しても、「民間ノウハウ・企画力の積極的活用を図りながら早期分譲に取り組む」と回答いただいています。
 そこで、職員育成の観点も含め、地域整備事業推進に当たって、民間ノウハウ・企画力をいかに活用して取り組もうと考えているのか、具体的にお教え下さい。

(2) 水道用水供給事業について

 地域整備事業が厳しい経営状況が続く中、水道用水供給事業は収益的収支は黒字が続いており、新行革プラン平成22年度実施計画によると次期水道料金、平成24年から27年における低減を検討すると記載されています。
 料金の低減化は私の地元宝塚市を初め利用市町にとっては喜ばしいことですが、同事業には平成21年度末で約830億円もの企業債残高もあり、経営改善の着実な実行に影響が出ないかと思います。
 新行革プランには、企業債金利負担の低減、管理コストの削減等により水道料金を低減すると記載されていますが、それらの経費節減の進捗状況と、水道料金の値下げが同事業の経営に及ぼす影響について伺います。

2 宝塚新都市計画について

 9月定例会の一般質問においてもお聞きしましたが、宝塚新都市計画について、お伺いします。

(1) 計画概要について

 宝塚新都市計画については、昭和50年頃から計画が始まり、紆余曲折を経て、平成20年7月には、この地域の中心に新しくCSR施設の宝塚西谷の森公園がオープンしました。とても、すばらしい施設であり、このことには感謝申し上げますが、他のほとんどの地域には具体的な計画がないような状況であり、せっかくの施設もこれ単独では閑散としている状態であります。
 いろいろな経緯があってのことかと理解しますが、まず、整理の意味で、この宝塚新都市計画がどのような計画なのか(だったのか)、地元からの要請等の計画策定の経緯も含めて、計画内容について改めて確認します。

(2) 計画の現状について

 平成19年度決算審査において、宝塚新都市計画のことを質問された議員への答弁では、「進度調整の事業」との回答があった。平成15年に策定した企業庁経営ビジョンにおいても、段階的整備として「概ね5年以内に処分・利用が可能なもの」を優先し、同事業は第2名神高速道路整備計画との調整が必要として「進度調整事業」となっており、播磨科学公園都市第2、第3工区及びひょうご情報公園都市第2~第4工区と同様の位置づけとなっています。一方で、平成22年度の新行革プラン実施計画では、他の2事業は、進度調整事業となっていますが、宝塚新都市計画の記載はありません。企業庁の事務概要にも、所管は公園都市整備課との記載はありますが、事業概要の記載は全くありません。
 そこで、進度調整という言葉の意味と、現在の企業庁としての同計画の位置づけはどうなっているのか伺います。

(3) 計画見直しと企業庁事業の今後のあり方について

 企業庁においては、9月定例会の一般質問で「見きわめが可能となった段階で検討する」との答弁をいただきました。「見きわめが可能となった段階」とは新名神の問題かと思うが、公約で反対していた宝塚市長もサービスエリアに併設してスマートインターを設置することについて、「協議を進める」と議会で答弁したようであります。私は、一定の検討ができる段階になったのではないかと考えます。
 そこで、私の9月定例会後の検討状況を伺いたかったが、なかなか進んでいないと聞いています。事務を所管しておられる公園都市整備課は三田の現地事務所を除く15名の職員で、播磨科学公園都市、ひょうご情報公園都市、神戸三田国際公園都市等の整備推進も合わせて所管しており、なかなか検討が進まないのは一定理解できます。しかし、県が活用するからと説明して、約1,100億円もかけて購入されたこの土地は、もともとは水田等であり、それが耕作放棄地として荒れ果てています。このまま、ノープランのまま放置していくのは、あまりにももったいないと考えます。
 そこで、同計画の見直しを含めた整備方針を検討するチームを企業庁内に設けて、新たな検討を行うべきではないかと考えます。
 また、全国各地で公営企業や第三セクターの経営破綻が見られますが、地方公営企業を取り巻く風潮は極めて厳しい状況にあり、事業の経済的側面が重視され、なかなか新しいことに取り組めず、職員のモチベーションも低下しているのではないかと感じます。そこで、この宝塚新都市用地での計画見直しの検討を、企業庁の今後のあり方を考えるモデルケースとすればどうかとも考えます。
 そこで、企業庁で宝塚新都市計画の見直しに関する検討会等を設け、そこでの検討を新たな企業庁事業のあり方の検討につなげていくべきと考えますが、ご所見を伺います。

●教育委員会

1.専門高校について
(1) 専門高校の併設や改編について
(2) 農業高校と工業高校の卒業後の進路について
(3) 農業高校の今後について
2.教育支援体制の充実について
(1) 児童生徒の問題行動等への対応による教職員への負担について
(2) スクールソーシャルワーカーについて
(3) 教育現場支援の充実について

全文

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (教育委員会)
2010年3月11日(木)

1 専門高校について

(1) 専門高校の併設や改編について

 まず、私も以前、勤務していたことがある、専門高校のことについて伺います。専門高校については、戦後の高度経済成長期において、産業界のニーズに応じた職業教育を行ってきたと認識しております。
 しかし、就業構造等の環境変化に伴い、求められる専門知識もより高度なものとなり、それと同時に知識に裏打ちされた専門性や創造力も求められる時代になってきたかと思います。
 そういう中で、兵庫県においても、専門高校の見直しを進める中で、県下に多くあった工業、農業、水産、商業等の専門高校が他の学科との併設や総合学科への改編が行われてきたのではと考えます。例えば、県内の農業高校では、氷上高校、淡路高校等が、単独の農業高校から他の専門学科との併設や、総合学科へ改編した高等学校となってきています。
 このことは、少子化の進展等に対応した生徒募集の観点からの変更という要素が大きいのかと推察しますが、まず、専門高校の併設や改編の経緯とその現状について伺います。

(2) 農業高校や工業高校の卒業後の進路について

 専門高校については、時代に即応した一定の見直しが進んでいるものの、卒業後の進路の状況を見てみると、専門高校としての機能を十分に発揮できていないのではないかと思います。
 そういう中で、専門高校のうち農業高校と工業高校の現状を比較してみると、平成21年度学校基本調査によると、高校の工業科卒業の生徒2,061人中、建設、製造、電気、通信、運輸等の関連業務で就職した人は約8割の1,741人である反面、農学科卒業の生徒については、卒業生445名中農林業に就職したのはわずか9名であります。
 農業と工業の産業の構造的な差を一定考慮しても、工業高校卒業後は即戦力として産業界で対応できるが、一方、農業高校は卒業後すぐに就農できている人は少なく、例えば、卒業後、県の農業大学校等の機関で実践的な勉強をしてからでないと、就農にはつながっていない現状にあると考えられ、この結果を踏まえた改善が必要ではないかと思われます。
 そこで、専門高校卒業後の学生の進路の現状と、その現状に関する教育委員会としての評価を伺います。

(3) 農業高校の今後について

 農業分野について、産業として新卒者の受け入れ状態がまだ十分でない面はあると思いますが、これから重要になっていく、成長が期待される分野であることは間違いないと思います。
 そういう中で、県外の高校を見てみると、広島県の西条農業高等学校では、日本一の農業高校、農業分野のリーダー育成を大きな目標として、生徒が進路を主体的に決めることができるよう、資格及び検定取得や高度な知識・技能の習得に具体的な目標を立てて取り組んでいます。
 一方、兵庫県の農業高校においても、いろいろな取り組みをされていると存じますが、農業簿記や実務面での技術習得等、本当に就農に必要なことは、卒業後に、別の機関で習得している部分も多いのではないかと思います。
 このようなことから、兵庫県においても、入学時において真剣に農業をやっていこうと考える生徒のためにも、卒業後にすぐに農業に関する職業に従事できるような教育、例えば1校、1クラスだけでもいいと思いますので、そのような教育が受けられる環境整備ができないかと考えます。
 そこで、農業界から求められるニーズや、卒業生の就職状況を踏まえ、農業高校について改善が必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。

2 教育支援体制の充実について

(1) 児童生徒の問題行動等への対応による教職員への負担について

 昨年末に発表された兵庫県下の児童生徒の問題行動の状況によると、対教師暴力や生徒間暴力などの発生件数は小・中・高校全体で3,749件、前年から約1.2倍に増加しています。一方、いじめ認知件数は前年の約7割に減少しているものの、社会問題としてはますます注目されてきており、それに対応する学校の先生の負担は大きくなっているのではと危惧します。
 また、学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す、いわゆる「モンスターペアレント」への対応など、学校が対応しなくてはならない問題は多種多様化してきていると思います。
さらに、以前から指摘されているが、部活動の指導等で土日祝日もない状況で働いている先生も少なからずおられると聞きます。
 このようなストレスのかかる業務、休みがとれない状況の中で、平成20年度の学校の先生の病気休職が202人、うち精神疾患によるものが約半数を占めているとのことであります。
 また、文部科学省の調査によると、2008年度の新任教諭のうち1年の試用期間後に正式採用にならなかったのは315人と過去最多であり、そのほとんどが依願退職で、理由は「学生時代に描いた教師像との現実のギャップが埋められなかったのではないか」との各教育委員会からの報告があったと聞きます。教師は子供に接するのが最も重要な職務だが、それ以外の様々な業務が増えているのだと思います。
 そこで、教育委員会として、このような教育現場の現状について、どのように把握し、どう認識しているのか、まず伺います。

(2) スクールソーシャルワーカーについて

 教育委員会においては、子供達への行き届いた教育のために、このような状況にある学校現場をバックアップし、負担を軽くするよう支援を充実してほしいと思います。
 そのような中で、児童生徒の問題行動等の解決に向け、児童生徒の可能性を引き出し、自らの力で解決できるような条件作りに参加するというスタンスで、児童生徒と環境の双方に働きかけることを特性とした、スクールソーシャルワーカーの活用が各自治体において、広がってきています。
 スクールソーシャルワーカーは、1900年代初頭、アメリカのニューヨーク市において、多数の児童が過酷な労働を強いられ、教育機会を奪われていた社会状況の中、教育を受けることができるよう支援する活動を行ったことが起源と言われ、日本では福祉と教育の連携に関する取り組みが行われる中で、昭和56年に埼玉県所沢市で取り組み始めたのが初めてであり、大阪府では平成17年度から、兵庫県では平成18年度から導入されています。
 この活用は、問題行動等に対して毅然とした対応を前提にしつつ、児童生徒を取り巻く環境と行動の関係を分析し、状況に応じて環境改善を図ることで、事象の根本的解決につながる有効な手段と考えますし、教職員の負担軽減に大きく寄与するものと考えます。
 そこで、県におけるスクールソーシャルワーカーの配置状況、活用状況とその評価及び今後の導入拡大についての考え方を伺います。

(3) 教育現場支援の充実について

 スクールソーシャルワーカーの活用は、確かに有効な手段かと考えますが、先にも述べましたように、現在の学校現場において顕在化している問題は多種多様であり、あらゆる角度から有効な手段を検討し、教育現場への支援を行っていく必要があると考えます。
 また、一方で、現在顕在化してきている児童生徒を巡る問題は、いじめ、児童虐待、麻薬等、児童生徒の生命に影響を及ぼす問題を初め、事件が発生すると重篤な結果を招くことが多いと思われることから、社会問題として顕在化し、児童生徒に問題が波及する前に、児童生徒への注意喚起はもちろんのこと、学校現場で問題が顕在化した場合の対応策、または現場の支援策等も検討しておくべきではないかとも考えます。
 そこで、新年度に新たに取り組もうとしている教育現場への支援策を含めて、今後支援が必要となってくる分野についての認識を伺います。

池畑浩太朗
宝塚市