第306回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2010年10月7日(木)
1 年間収支不足額の改善要因について
多くの方々の質問があったところですが、改めて21年度決算額の実績についてお伺いいたします。
翌年度繰り越し財源を控除した実質収支は、前年度より1億2,100万円増となる2億4,100万円の黒字、実質単年度収支は、3,400万円増となる1億2,100万円の黒字であり、経常収支比率は98.3%と前年度の99.1%を下回りましたが、財政健全化指標である実質公債比率は20.7%、将来負担比率は366.4%と、それぞれ前年度の19.9%、360.1%を上回るなど、新行革プラン財政フレームの見込みよりは改善したものの、20年度決算より悪化するなど、本県の厳しい財政状況を反映したものとなっています。
一方平成21年度の収支不足額の実績は、当初予算時の1,170億円と比較して、393億円改善の777億円となっており、この不足額に対しては、退職手当債300億円、行革推進債230億円、県債管理基金249億円の財源措置がなされたところでした。
これら措置額も全体の収支改善に伴って、当初と比較して、退職手当債が50億円、行革推進債が100億円、県債管理基金が241億円、それぞれ改善されるという実態につながったものですが、このように収支不足が改善された要因の一つには、人件費削減、二つには国の第1次、2次補正予算の活用が大きな要因だと思っております。
そこで、以下の点について伺います。
(1) 人件費削減による効果額について
申し上げるまでもなく、職員人件費については、新行革プランに基づく給与の抑制と定員削減並びに、人事委員会勧告を踏まえた措置結果が反映されたものであり、平成21年決算では、人件費全体で対前年度と比較して323億円の抑制となりました。
我が会派が、去る9月に知事に提出した重要政策提言において、「職員定員については、財政改革のための一律削減ではなく、毎年の事業量精査による必要な定員数を前提に決定すること。また、給与については、人事委員会勧告を尊重するとともに、現在行っている給与削減についても、職員の士気の低下を防ぎ、職員及びその家族の生活設計を守るためにも、一定の方向性を示すなど、見直しの検討を行うこと」としており、職員のモチベーションに支障を来さないような配慮が必要であるとは、これまでも繰り返し訴えてきたところですが、一方で、財政面から見た場合に、その削減効果が高いことも事実であります。
そこで、平成21年度実績ベースで人件費削減の効果額を給料月額の減額や地域手当の見直し、期末・勤勉手当の減額といった独自カット分、人事委員会勧告による引き下げ分、職員数の削減分に区分してお伺いします。
(2) 国の補正予算による効果額について
国では昨年度、「経済危機対策」に基づき編成された第1次補正予算と、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に基づく民主党政権としてはじめての経済対策となった7兆円規模の補正予算がそれぞれ成立しました。
その結果、本県でも当該経済対策に伴う基金造成に対する国庫交付金として803億円が追加されるなど、国庫支出金全体では、対前年度比で計906億円の増加となる2,813億円となりました。
これに伴い、本来県の一般財源をもとに実施しようとしていた事業等も、4次にわたる補正予算を編成した結果、国庫を活用した事業に再編成し直すなどにより、県財政の軽減に役立ったのではないかと思われます。
そこで、国の第1次、2次補正予算による効果額、すなわち本来県費での執行を予定していた予算のうち、財源を国費に振り替えたものについてお伺いします。
2 県税過誤納還付金について
平成21年度歳出で、行政経費の補助費等が、計296億円増となっており、その内訳に県税過誤納還付金が記載されております。
過誤納と言う言葉自体が難しい言葉で直訳すれば「誤って納める」となりますが、年度当初に納め過ぎた県税を、景気動向に伴って還付した実績が記載されているということなのだと思われます。平成21年度実績を見ますと、対前年比84億円と倍以上に増加しているところですが、その増加要因についてお伺いします。
また、そもそも、どのような要因で還付金は発生するのか、県側に起因するもの、納税者側に起因するもの等、発生要因についても併せてお伺いします。
3 一時借入金について
本年2月に行われた第304回定例県議会において、我が会派の竹内議員が「県債残高4兆9,209億円にかかる年間の支払い利子は幾らなのか」の質問したことに対し、「一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた県債についての利子負担は、平成22年度で約800億円であります。
県債発行に当たっては、入札や提案募集など競争原理を導入し発行コストを抑制しておりますが、過去の高い利率分もあります。現在、平均1.64%となっています。」との知事答弁がありました。
現在のような低金利の時期にあっても、県債については利子負担も十分考慮に入れて発行されているのは当然と思いますが、これに関連して、一時借入金の状況についてお訪ねします。
改めて申し上げるまでもなく、一時借入金は、会計年度中の歳出予算の範囲内の支出で歳計現金が不足した場合に、その支払資金の不足を補うために県が借り入れる借入金で、一般会計の場合、税金などの収入時期と職員賞与などの支出時期に時間差が生じるため、その間の資金繰りなどに利用されるものである。また、5月末の出納閉鎖では当該年度の借入金残高が必ずゼロになるものですので、歳入予算にも計上されておらず、補正予算を編成する必要もないとされています。
今回、事前に当局に伺ったところによると、年間を通じた1日当たりの平均借入金額は、平成17年度が 1,071億 10百万円、平成18年度が1,231億97百万円、平成19年度が1,341億92百万円、平成20年度が1,568億33百万円と増加傾向が続いておりましたが、平成21年度においては3,176億26百万円と対前年度と比較して倍増しております。
当局におかれては、切れ目のない県民サービスに資するためにも、資金調達・資金運営に大変なご苦労をされていると思いますが、この一時借入金の課題は、金利の上昇局面にあっては大きな課題になり得ると考えます。
そこで一時借入金の総額の増加要因と、それに伴う金利負担額の実績並びに今年度の借入状況についてお伺いいたします。
4 健全な財政運営について
平成21年度決算における実質収支、実質単年度収支は、2億41百万円、1億21百万円であり、黒字を確保しているとはいえ、億単位で考えれば、わずかであります。
それと比較して、県債についての利子負担は、平成22年度で約800億円の見込みと伺っており、平成21年度の一借りに係る金利負担額は、先ほどお聞きしたとおり約18億円であります。
県債の利子負担額を21年度決算審査だけで取りあげるのは妥当ではないと思われますし、震災復興のような災害などの特別な要因に起因するものでもあり、止むを得ないと思いますが、世代間負担を前提とした先行投資、あるいはこれまでの右肩上がりの経済成長を前提とした財政運営・計画については、今一度問い質すことも重要と考えます。
私は農政環境常任委員会に所属しておりますが、先般開催された委員会では、農業農村整備予算の増額を求める請願審査が行われました。
ここで詳細については詳しく申し上げませんが、この審査の過程では、平成23年度の土地改良関連予算について、国庫充当事業ではあるものの、計画どおり進めるために必要と見積もっている所要額から、国庫交付金ベースの私の試算ですが、約 40億円の不足が見込まれるという実情が認識されました。
事業担当部局では、具体的な事業費獲得にあたって、相当な苦労をされていることとも伺っています。
財政当局におかれては、このように事業予算が不足している実情もしっかりと目を配ってご認識いただきながら、選択と集中に十分留意され、無駄を省いて、真に必要な事業を厳選のうえ、効率的な予算執行と一層健全な財政運営に望んでいただきたいと思いますが、ご所見をお伺いします。