1 社会基盤施設の維持管理・更新について
平成21年度国土交通白書では、これまで我が国で蓄積されてきた社会資本ストックが、高度経済成長期に集中的に整備されており、今後老朽化は急速に進んでいることが指摘されている。
例えば、整備後、50年以上経過する社会資本の割合について、2009年と20年後を比較すれば、道路橋は(約8%→約51%)、水門等河川管理施設(約11%→約51%)、下水道管きょ(約3 %→約22%)、港湾岸壁(約5 %→約48%)などと急増し、今後、維持管理費・更新費が増大することが見込まれている。
また、今後の投資可能総額の伸びは、2010年度以降、対前年度比± 0 %ととし、維持管理・更新に関して今まで通りの対応をした場合には、維持管理・更新費が投資総額に占める割合は、2010年度時点の約50%から、2037年度時点では投資可能総額を上回るに至ると推計されている。
推計の前提条件の置き方により結果は変わることはもちろんであるが、今後の方向性が理解できる。
これらを県にあてはめてみると、農政環境部所管施設も含めた社会基盤整備に要する費用として、今年度の当初予算では社会基盤整備費1525億5700万円の内、維持管理費283億1600万円の18.6%である。
ちなみに来年度予算には1566億4200万円が計上され、その中で、計画的・効率的な施設老朽化対策と維持管理費として311億9700万円が配分され、19.9%となっており、今後も増える傾向にある。
公共投資に係る全体額が抑制されていく中にあって、すべての社会資本を維持管理・更新していくことに限界があるのではないか。つくるからつかう、つかうからすてることも視野に入れていく事は重要。
県では、社会基盤整備プログラムに基づき、限られた予算の中で、地域固有の課題や地域への協力体制なども加味し、選択と集中による効率的・効果的な社会基盤整備を推進する一方、平成24年度までに、橋梁、排水機場等の長寿命化計画を策定し、予算の平準化と総コストの低減を図り、アセットマネジメントによる適時適切な修繕や更新により、健全な施設の維持管理に努めていると聞いている。
そこで社会基盤施設に係る維持管理・更新費が今後どのように推移し、アセットマネジメントによる効果がどの程度見込まれるのか、また、人口減少に伴う社会情勢等の変化に応じて、社会基盤施設のスリム化を図っていくことについて、当局としてどのような認識をお持ちなのか問う。
2 北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた但馬空港のあり方について
先日の補正予算で但馬空港の周辺用地の取得があった。現在の1200mの滑走路では就航可能な航空機が限定されていることから滑走路延長に向けた再整備するためのものではないのかとの考えも過ぎったが、知事は環境林として県有林特別会計で適正管理を行うとし、一安心である。
但馬空港は羽田直行便を目指し、予算措置がなされた平成19年度以来、様々な取り組みを行ってきたものの、厳しい状況にある。
空港管理費として1億4千万円、運航対策費として1億3千万円、空港公園維持修繕費に2億円の計4億7千万円に加え、但馬地域3市2町と商工会議所などで構成されている但馬空港推進協議会による1人あたり1500円~2500円、計約500万円の運賃補助、他にも地元市町による1人当たり2500円~6000円などの運賃助成などを負担し続けていかなければ空港は維持できない。
就航率は、平成22年度の全便数1386便に対し、運航便数は1280便、欠航106便、うち悪天候によるものが94便で、就航率は92.4%、今年度は1月末現在で全便数1192便に対し、運航1093便、欠航99便、うち悪天候92便、就航率91.7%と年間1割弱が欠航するなど気象条件が厳しい。因みに平成22年度の神戸空港は99.9%、隣の鳥取空港の就航率は98.2%である。
一方、周辺の道路事情も大きく変化している。右肩下がりであった遠阪トンネルの交通量は、平成18年7月の北近畿豊岡自動車道「春日和田山道路」全線暫定供用を機に、平成22年度には281万台と平成17年度の2倍を超え右肩上がりに、また播但連絡道路においても平成16年の1380万台を底に、料金引き下げの社会実験効果も相まって22年度には1558万台へと回復傾向にある。
そしてこの秋には北近畿豊岡自動車道「和田山八鹿道路」の開通が予定され、続く「八鹿日高道路」と「日高豊岡南道路」は平成28年度以降の供用とされているなど、着々と事業が進んでいる。国土交通省のホームページでは、北近畿豊岡自動車道の全線開通により「豊岡と京阪神が2時間少しで結ばれ、東京までの時間も読めるようになってビジネスもより円滑に。」と記載されている。高速道路網の整備に伴い自動車の利便性と優位性が高まることは明白である。
そこで、北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた存廃を含めた但馬空港のあり方を問う。
3 神戸電鉄粟生線への支援について
この件に関しては、先の本会議での梶谷議員の一般質問に対する答弁や新聞報道などで多くの支援のあり方が議論されている。
今回支援の内容は省略するが、支援の前提条件の1つは神鉄自身の経営の改善を如何に図るか、2つめは利用促進を如何に進めるかであると理解している。
1つめの経営の改善については、新聞報道にもあったがワンマン運転化や駅無人駅化、そして人件費削除など既に取り組みを進めていることから、今後の劇的な削減は望めない。
2つめの利用促進についても、人口減少時代にあって沿線地域の大幅な人口増が望めるとは思えず、三木市ではすでに高齢者を対象としたカードの配布、幼稚園・小学校の校外学習での利用などの取り組みを進めていることなどからすれば、思い切った手法をとらない限り、明るい兆しは見えない。
新聞報道によれば5年間の無利子融資や大規模修繕への補助、利用低迷に応じた三木・小野市からの最大約1億円の補填により、今後3年間の粟生線の運行は維持が可能となったというものの、中長期的な展望が明らかになったとは言い難い。
神戸電鉄粟生線に対する県の中長期的な展望はどこにあり、支援の前提条件が結果として崩れた場合のリスク管理としてどのような対応を考えているのか、県の支援に対する姿勢を問う。
4 選択と集中による県営住宅の入居促進について
明舞団地では地域再生法に基づき、内閣府から地域再生計画の認定を得て、学生居住等の県営住宅の目的外使用を実施しており、若者・学生向け住宅としての用途に加え、住民団体等が運営するコミュニティ拠点としての使用を可能とすることで、建物の有効利用はもとより高齢化や人口減少が深刻なオールド・ニュータウンの活性化につながる取り組みとして注目を集めている。
またこの他にも、高齢者の見守り活動のため、福祉的サービスを提供する社会福祉法人へ空き家を使用許可しているほか、認知症や知的障害者の共同生活のためのグループホームを整備した例もある。
県民に対する良好な住環境の提供と合わせ、生活・文化・地域コミュニティの確保など、より広がりのある県営住宅の役割を担う観点から、応募倍率の高い神戸・阪神地域などの住宅では、知事が補正予算で提案されたように、積極的な空き家補修による入居促進を図る必要がある一方で、東・中播磨地域などでは、応募のない住戸も比較的多いのではないかと考えられ、地域再生等の観点からも、公営住宅の目的外使用許可の柔軟化を進めて空き家を解消していく対策を積極的に講じていくべきと考えるが、当局の所見を問う。
そこで、北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた存廃を含めた但馬空港のあり方を問う。