●財政状況
1.公債費特別会計における利息管理について
(1) 利息縮減の取り組みについて
(2) 利息の現状の公表について
2.県債のあり方について
(1) 退職手当債の考え方について
(2) 借換債の平準化について
3.外郭団体への交付金について
4.外郭団体(公社等)におけるOB活用について
(1) 一般県民からの誤認を防ぐ対策について
(2) 人的リソースの確保について
全文
第312回2月定例会 予算特別委員会質問(財政状況)
2012年3月2日(金)
財政を担当するというのは、予算特別委員会の中でも重責であり、1年生議員でつとまるかというプレッシャーを感じているが、先輩議員にも指導を仰ぎながら本日を迎えている。1年生議員であるからこそ感じ取れる部分もあると、プラス思考で質問を進めたいと思うので、よろしくお願いする。
質問に入る前に、今日の質問を行うにあたっての私なりの切り口を示させていただきたい。
2010年11月にISO26000が発行した。これは、組織の社会的責任につて世界標準化したもので、検討のための作業グループ設置から数えると、最終的には77カ国が参画して、実に9年の歳月を要してできあがったもの。
世界共通の認識として、持続可能な社会のためには、あらゆる組織がSRという概念で組織を運営する必要性を認めたわけだ。
企業にはより高い社会性が、行政には多様な社会に対応するための柔軟性が、市民社会には新しい公共の担い手としての期待が求められている。
また、透明性や説明責任、社会課題への認識、ステークホルダーとのコミュニケーションといったところは、言うまでもなく必要なこと。
こういったことから考えても、社会からの要請は、法律を守っていれば良いというところから、+αの「誠実さ」とも言えるような期待値への応答、レスポンスというところに至ってきた。
兵庫県財政が非常に厳しい中で、昨年12月定例議会において、21世紀兵庫長期ビジョンが改定された。一人一人の意識が重要だからこそ発表されたもの。
これは、県民が一つの目標、将来の兵庫県の姿に向かっていくための壮大なビジョン。
ビジョンを達成するためには、選択と集中、スクラップ・スクラップ&ビルドの姿勢で、臨んでいく必要がある。
兵庫県が厳しい状況の中で、県も皆さんも必死に頑張っているという事も、ビジョンと同じように共有を図り、特にスクラップ・スクラップの部分への理解を深める必要があると思う。
そのためには、負の情報も、周辺事情を鑑みながら、適切なタイミングに、適切な形で伝えていかねばならない。
東日本大震災が発生して、まもなく1年が経過する。
兵庫県は、被災県だからこそ可能な支援を被災地に送ってきた。
これから被災県は、兵庫県と同じように、財政的にも厳しい状況におかれる。
物質やマンパワー、ノウハウの支援だけでなく、被災県が真に、財政状況も健全化できるという実績を見せることも必要だと思う。
このような視点から、以下4項目7問について質問をする。
1 公債費特別会計における利息管理について
(1) 利息縮減の取組について
・公債費特別会計は、県債の償還や利子の支払い、借換債などを集約している。
平成24年度の公債費特別会計予算案によると、平成24年度の償還予定金額は、元金が4,059億4,548万円、利息が811億6,850万円である。
この利息は、私の地元である伊丹市の一般会計予算約660億円よりもはるかに大きく、平成24年度に見込まれる県税収入6,323億4,400万円の12.8%に相当する。
利息そのものは、県債を発行する時点で、すでに決まっているので、県債発行時にしっかりとした交渉をしていただいていると思う。
しかし、毎年度、積み上がってくる利息の総額は、お世辞にも小さいとはいえない。
★利息811億円には県債を充てることはできない訳だが、やはり気になるのは、利息分のお金はどこから出てきているのか、どのように公債費特別会計に集約されると考えればよいのか、多額の利息を縮減するためにどのような取組を行っているのかを含めご説明願います。
(2) 利息の現状の公表について
たとえば、平成24年度でみれば、811億6,850万円は、総予算3兆1,681億円の2.6%に相当し、公債費特別会計に至っては、実に12.7%に相当する。
決算特別委員会の時に、私たちの会派の三戸議員が指摘した県民交流広場事業でさえ、モデル実施の2年間を含めた14年間の総事業費は約106億円、増え続ける行政経費の代表格である後期高齢者医療費に係る県費負担金でも563億4,500万円である。
如何に利息が大きな金額であるかがわかる。
県の努力で減らすことができるわけではないが、何かしらの他の経費を圧迫するなど、県予算に影響を与えることに代わりはない。
しかし、予算発表資料や、報道などに取り上げられる資料では、利息が811億6,850万円あるということはわからない。
先ほど述べたとおり、負の情報であっても、適切なタイミング、適切な形で情報を開示していく必要があると考える。
★利息の支払いは、ある程度大きな割合を占める経費であると認識し、公債費の内訳として、いつ、どの程度、どのくらいの金額がかかるのか、公債費という項目にまとめず、元本償還がいくら、利息いくらと表記するべきではないかと考えるが?
<コメント>
・自治体の会計に非常に、非常に詳しくなければ、私を含め、多くの人は、元本償還しているように受け取ると思う。
・わかっている数字を表に出すだけなのだから、簡単な話。誤解を招かないように、常に情報のあり方を考えるべき。
2 県債のあり方について
(1) 退職手当債の考え方について
退職手当債は、行財政構造改革を計画通りに進め、将来にわたって人件費削減に取り組み確保した額を償還財源とする範囲内で、現在時点で起債することができる仕組みである。
平成24年度当初予算記者発表資料にもあるとおり、収支不足額780億円の財源対策、穴埋めとして起債されるもの。
民間であれば、経費削減は常日頃、意識するものであるから、将来節約できそうなお金を先に使うというのは、なかなか理解しづらい。
★将来のある時点を想定した場合、事実として人件費は削減されているのに、過去に人件費の節約分として起債した「平準化を図る」という名目の今は無き架空の人件費が存在することになる。
・県民の中には、これを将来へのツケに他ならないと感じる方もおられることと思うが如何?
(2) 借換債の平準化について
それでは、借換債についておたずねする。
満期一括借入の県債の場合、その償還期限にあわせて、途中で借換を行うことになる。
借換自体は、県債管理の一貫として、適正管理のもとで行われているわけだが、本議会に上程された補正予算の中には、借換債の平準化が含まれていた。
これは、平成26年度に県債の償還ピークを迎えることから、借換債も同様に多額となるため、金融機関や投資家などに有利な、兵庫県にとっては歓迎したくない借換債発行環境が生まれる可能性を示す。
その状況を回避するために、平成23年度から平成26年度にかけて、平成26年度に予定されている借換債を平準化する手法を取った。
リスクを分散し、一刻も早く財政状況の改善を目指すための努力をいただいているわけだが、一方で、その危険性も指摘しておく必要があるのではないかと感じる。
総務省令によれば、償還ペースを変更しない借換は同意不要であり、許可書に償還ペースを記載していない平成18年以前に許可された県債であれば、退職手当債でさえも、今回の「借換債の平準化」という手法を活用することが出来ることになる。
償還に充てる財源として県債管理基金を使わず、全て借換債にすることは、よく言えば、県債管理基金でのリスク回避のための備え、裏を返せば二重の借入。
また、県債管理基金に備えをすると言うことは、二重の借入常態にかかわらず、結果として、実質公債費比率の改善につながる。
★この点に関して、今回の手法は、リスク回避が出来る一方で、このような側面があるので、手法活用の度合いや範囲、アカウンタビリティの観点から、一定の自主規制が必要ではないかと考えるが如何か?
<コメント>
・県債管理基金に入れることで実質公債費比率が改善されるという点では、各種外郭団体の基礎財産を運用財産に組み替えて、兵庫県基金管理特別会計を活用して、県債管理基金への繰り入れ繰り出しを行う事も、同様。
調べてみたところ、12団体のお金が特会の繰り入れと繰り出しをしていて、金額にして30億2,669万9,000円。
・借換債の平準化もそうだが、自治体財政の透明性、アカウンタビリティという観点を落とすことなく、行財政改革を進めていただきたい。
<参考>
2006年7月25日に発表されている「兵庫県の実質公債費比率について」という資料では、「震災復興・復旧関連の起債の影響がなくなるまでの間には確実に18%未満となる事を絶対目標」として、「特定目的基金の活用や県有試算の売却等」をその手立てとして上げている。
3 外郭団体への交付金について
先の質問とも関連するが、平成18年度に、外郭団体の財産をいったん本庁に戻し、一括して基金管理を行っている。
生まれてきた利子は、もともとの外郭団体へ渡し、これまで基金を取り崩したり運用益で行っていた自主事業の一部を、一般財源からの交付金措置することによって、事業の継続性を担保している。
外郭団体は、それぞれが自主性を持ちながら、社会の変化に柔軟に対応できるからこそ、外郭団体であるインパクトがあると考えている
★非常にたくさんの外郭団体があるので、一概にいうことはできないとは承知しているが、これまで自主事業として展開してきた事業が、交付金事業になることで、万が一、交付金が十分に支給されなくなった場合、事業縮小や廃止につながったり、先進事業を展開するなどの先導者としての役割が鈍るのでは?と気がかりである。
<コメント>
いずれは、兵庫県基金管理特別会計のお金は、外郭団体に戻るものだと思っているので、必要な時期に、必要な対応をしていただくように、お願いする。
4 外郭団体(公社等)におけるOB活用について
(1) 一般県民からの誤認を防ぐ対策について
第2次行革プランに基づいて、着実にOB活用が進められている。
しかし、これには2点、懸念されることがある。
まず、一般県民の素朴な感情からすれば、「天下り」ではないかと受け取られかねないことが挙げられる。
かつて、国の官僚の場合、中央省庁を退職した後に、複数の関係団体等を数年後とに渡り歩いて、高額の退職金を得ると言った行動が多くの国民の批判を受けた。
★本県においては、兵庫県退職者人材センターを設置するなど、一般県民の方から同種の誤解、批判を受けることがないよう取組を進めておられると思うが、その具体的内容について伺う。
(2) 人的リソースの確保について
外郭団体においてOB職員を活用する一方で、プロパー職員が削減されていることから、一定期間経過後に人材枯渇が起こるのではないかと考える。
特に私は、この2点目の懸念が重要であると考える。
すなわち、一定期間経過後にそのOBが退職した場合、残された数少ないプロパー職員だけでは、専門的な知識や技能のストックが不足してしまい、それまでと同様な業務を担っていけるのかと心配だ。
確かに、プロパー職員を削減し、OB職員を活用することにより、短期的に見れば財政上の節約が図られるというメリットはあるかもしれないが、長期的な視点に立てば、専門的な人材が枯渇してしまうというデメリットが生じることとなり、かえって余分なコストを生じさせてしまう結果となる恐れはないのか。
★そこで、この点について、県当局の考え方をお聞きする
<コメント>
たくさんの外郭団体があるので、やはり一概に言うことは出来ないが、分野によっては、行政施策にも通じ、現場の経験を数多く踏み、新しい展開を予測できるスペシャリストである場合もある。
それぞれの組織の性質を見極め、人材枯渇がないような行革推進をお願いする。
●企画県民部1
1.ひょうごボランタリー基金のあり方について
(1) 県民ボランタリー活動助成について
(2) 社会の課題解決の取り組みを支援する事業の助成について
2.県民活動の支援のあり方について
(1) 寄付文化の醸成について
(2) 戦略性のある活動助成について
全文
第312回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部1)
2012年3月5日(月)
NPO法が改正され、新寄付税制が整いNGO/NPOへの期待が、益々高まってきている。昨年の12月議会での私たちの会派の迎山議員、今議会での前田議員が、この流れの中での兵庫県の方向性についてお訊ねしているが、慎重なご答弁をいただいているところだ。
一方で、改正法の施行に向けて、兵庫県-神戸市間では、スムーズなスタートに向けて、情報交換や具体的な手続きの方法など、調整を進めていただいている。
今の動きには、新たな雇用の創出、行政では手が届きにくい部分へのサービス提供、間接的ではあるもののNPOへの寄付という形で税金の使途を選ぶといった、様々な期待が寄せられているところである。
そこで、地域の課題解決の担い手として期待されるNPOや市民活動への支援のあり方について、質問を行う。
1 ひょうごボランタリー基金のあり方について
(1) 県民ボランタリー活動助成について
県民ボランタリー活動助成は、平成14年に創設された「ひょうごボランタリー基金」の運用益を原資として、県内において継続的にボランタリー活動を行う、法人格を持たないボランティアグループ・団体に助成を行うもの。
1グループ・団体あたり3万円が上限の全団体一律同額助成で、対象経費も幅が広く、活動側からすれば、とても使い勝手がよく、ありがたい制度で、制度創設以来7年間にわたって活用されている。
平成22年度実績では、総額95,381千円を3,289団体に、各2.9万円ずつ助成。
草の根の活動が活発になる事は、地域の活力につながり、大切に育てる必要がある。
支援制度に眼を向けてみると、県民ボランタリー活動助成制度を作ったときに比べ、県民局や各市町、あるいは県の部局において、それぞれに草の根の市民活動を支える助成制度がある。
(タイプは違うが、県民交流広場も。県民局では夢推進事業。(財)兵庫県生きがい創造協会のシニアカレッジなど)
★そこで質問!
私は、県民ボランタリー活動助成はその役割を終えつつあると考えているが、県民ボランタリー活動助成の必要性をどのように捉えているか、ご説明願う。
(2) 社会の課題解決の取組を支援する事業の助成について
チャレンジ事業助成は、2年間にわたり、NPO法人等の活動を支援して事業確立をサポートするもの
平成22年度からは、フロンティア事業助成、同じ趣旨で助成を行っており、総額773万円を9つの団体に助成している。
ところが、平成21年度のチャレンジ事業助成の採択事業8件のうち2件が採択後に辞退している。
それぞれ辞退も致し方ない事情があったようだが、人材や資金面で脆弱なNPOであるだけに、せっかくの事業チャンスを逃してしまうのはもったいないこと。
地域社会から見れば、社会の課題解決のきっかけが開けなかったということ。
チャレンジ事業助成やフロンティア事業助成に手があがってくる事業は、本当に地域社会にとって必要とされ、事業継続が臨まれる事業であるべきだと思う
★草の根の活動、ボランティア活動を育むことも大切だが、課題解決型の組織の発掘も必要。そこで、チャレンジ事業助成やフロンティア事業助成において、事業採択や事業実施中のサポートが、どのような基準で、どのような視点で行われているのか、教えて。
2 県民活動の支援のあり方について
最後に県民活動の支援のあり方についてお訊ね。
(1) 寄付文化の醸成について
冒頭に申し上げたとおり、NPO法の改正や新寄付税制の整備により、兵庫県は3号条例の制定に慎重とはいえ、NPOが活躍していく環境が整いつつある。
しかし、制度だけが整えば良いと言うことではなく、兵庫県全体の気運づくりも深めていかなければ、せっかくの制度も十分に活用されにくい。
★そこで、NPOが活躍できる環境整備の両輪である兵庫県全体の気運づくりをどのように進めるのか。
活動に参加していく人を増やそう!という点では、県内各所に拠点が設けられたり、セミナーが開催されるなど、参画の機会も新しい市民活動も増えていると思うので、とりわけ、寄付文化の醸成についての考えをお聞きしたい。
(2) 戦略性のある活動助成について
先に質問したとおり、私自身は、県民ボランタリー活動助成は役割を終えていると考えている。
これからのNPO等に期待されるのは、ボランティアベースの期待から、その専門性を活かした課題の解決へと比重が大きくなる。
どのようなテーマの課題が、どの地域で、どのくらい必要とされていて、そのニーズに対して、どれだけの供給がされているのか、という考え方が必要になる。
逆に言えば、供給が大きく不足していて、その充足のためにNPOの存在が必要なのであれば、戦略的に育成をしていくような仕掛けも必要である。
★そこで、NPOの戦略的育成や助成のあり方について、どのようにお考えか教えて。
<コメント>
草の根的な活動を支えるのは、その活動の姿が見えている市町が適当だと思う。
一方で、パイロットケースの展開や広域にまたがる活動、あるいは協力機関が多く必要になったり、特殊な能力が必要となる活動は、県の方が支援者として適当だと思う。
戦略性のある活動助成の切り口として、市町と県の役割分担、スケールメリット、テーマ設定などが上げられると思う。
●産業労働部・労働委員会
1.障害者の就労支援について
(1) 障害者雇用促進法の改正に応じた現状把握について
(2) 法施行に向けた本県対応のあり方について
2.医療通訳について
(1) 医療通訳の必要性に関する現状認識について
(2) 医療通訳システムの導入に向けた課題と今後について
全文
第312回2月定例会 予算特別委員会質問(産業労働部)
2012年3月7日(水)
部局審査では、一貫して県民力、人的多様性という横串をさして質問を行う。
21世紀兵庫長期ビジョンでも示されているとおり、多様な人々が活躍出来る兵庫県を目指して誰もが活躍出来る環境づくりを目指して、先進的な取り組みを進めてきた
平成18年3月に県と連合兵庫、兵庫県経営者協会の3者は「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意」を締結し、平成21年6月には、ワークライフバランスの取り組みを全県的に推進する拠点として「ひょうご仕事と生活センター」を設置してきた
全国でも、より良い環境を作るために、労使が共に手を取ってガンバル!という事は、数少ない事例である。
人口減少、少子高齢化社会にあっては、様々な背景を持つ人が、暮らしやすく、活躍出来る地域づくりは、「こうなればいいな」という期待値ではなく、地域の将来を左右するくらいの重要なテーマであることを踏まえ、大きく2点4項目について質問する。
1 障害者の就労支援について
(1) 障害者雇用促進法の改正に応じた現状把握について
平成22年度時点において、手帳を所有している障害者数を見てみると、兵庫県全体の身体障害者、知的障害者、精神障害者の合計人数は30万2,156人である。
かろうじて、本県の平成22年度の法定雇用率は1.8%を超えているが、民間事業所で実際に就労出来ている障害者は、推計で僅か7%程度に過ぎない。
平成20年に障害者雇用促進法が改正され、平成22年7月から、段階的に障害者雇用納付金制度の対象事業主が拡大され、障害者雇用促進が加速されている。
雇用主側から見れば、障害者雇用納付金は、障害者が1人不足するごとに1ヶ月に月5万円、制度適用の日から5年間は減額特例があるとはいえ、負担になることもある。
平成27年4月からは、常用雇用労働者100人を超える事業主が、この制度の対象事業主となるが、兵庫県内において、新たに対象事業主になる事業所数がどの程度あると想定できるか、把握しているか伺う。
(2) 法施行に向けた本県対応のあり方について
障害者雇用納付金制度は、障害者雇用促進の強力な後押しになる一方で、中堅企業の財政圧迫や、受け入れ態勢不十分なままの障害者雇用など粗雑な雇用を生みかねない。
今の話でいえば、約900社が新たに制度の対象となるわけだが、障害者雇用によって組織そのものの活性化につながるような定着につなげるためには、いざ制度が近づいてからでは遅く、事業者側にしてみれば、本格的な障害者雇用に至るまでに助走期間が必要である。
平成24年度予算(案)では、障害者の職域拡大を初め、法定雇用率達成に向けた取り組み強化に4,017万5,000円の予算が付けられているが、法の段階的施行に向けて、着実に準備を進める必要があるが、兵庫県としてどのように取り組んでいこうとされるのか伺う。
2 医療通訳について
(1) 医療通訳の必要性に関する現状認識について
人口減少は、何も日本や兵庫県だけの問題ではない。
産業労働部では、地域産業の国際化にも重点を置いているが、海外から兵庫県へ、兵庫県から海外へという国境を越えた地域間の人口移動が簡単にできる時代でもあり、安心して訪れることが出来る、住むことが出来る地域かどうか見られているという危機感を持っていただきたい。兵庫県には、県立粒子線医療センター、神戸国際先端医療特区に見られるように、高度な医療施設が集積しており、今議会で、メディカルツーリズムの質疑があったように、世界からの注目も集まっている。
一方で、メディカルツーリズムには医師会などは慎重姿勢を取っているわけだが、その理由としては、地域医療が未だ抱える課題への影響を上げることが出来る。
県内の外国人登録者数は、141カ国、9万9767人で、県の人口に占める外国人の割合は、1.8%で、100人いれば2人ほどは外国人県民といえる。
全国的な傾向として、平成19年頃からオールドカマーとニューカマーの割合の逆転している。
外国人県民も納税の義務を果たしている訳だが、制度の壁、心の壁、言葉の壁によって、当然のサービスが受けにくい状況も多々あり、とりわけ、医療通訳に関しては、全国的に見てもシステム構築事例が少なく、取り組みが遅れていると言わざるを得ない状況にある。
体調が悪くても、言葉の壁で、診察や治療が受けにくい状況は、命にかかわることだけに、「後回し」にはできない。
兵庫県では、外国語のスタッフがいるなどの理由で、外国語が使える病院のリストを作成するなどの対応が取られており、また、ボランタリープラザの助成金を活用して、平成15~17年にかけてNPOと県国際交流協会の協働による医療通訳の研究が行われ、現在は27万円強の予算で、年1回のセミナーが行われている。
しかしながら、この金額では、外国人県民が医療機関に安心して係ることが出来る環境がいつまでもできないが、医療通訳の必要性をどのように認識しておられるか伺う。
(2) 医療通訳システム導入に向けた課題と今後について
総務省が2006年に発表した「地域における多文化共生推進プラン」の中でも、病院や薬などの多言語情報、多言語問診票、通訳派遣システムなどの必要性が示されている。
地方自治体の役割としては、広域的な医療通訳者派遣システムの構築や医療通訳を必要とする外国人県民へのマッチング、人材育成などがあげられる。
神奈川県では、32の協力医療機関と行政、NPOの協働による通訳派遣システムが構築されており、事業規模は、システムのラーニングコストで950万円程度と聞いているし、神戸市では、医療通訳のモデル事業を神戸市立病院でスタートさせることになった。
神奈川県の取り組みは、医療機関からも「医療通訳があって助かっている」という声が出ている。多文化共生の取り組みにおいて、東の神奈川、西の兵庫といわれた先進県である兵庫県が、あと一歩踏み込めない理由はどこにあると考えておられるか伺う。
●教育委員会
1.県立阪神昆陽高等学校、県立阪神昆陽特別支援学校について
(1) 両校が目指す共に学ぶ教育について
(2) 両校の運営体制と教員の支援について
(3) 地域との共生について
2.子ども多文化共生教育支援事業について
(1) 子ども多文化共生センターの課題と必要性について
(2) 子ども多文化共生サポーター事業の課題と今後の事業継続について
全文
第312回2月定例会 予算特別委員会質問(教育委員会)
2012年3月12日(月)
産業労働部に引き続き、人的多様性、ダイバーシティの観点から質問をする。
1 県立阪神昆陽高等学校、県立阪神昆陽特別支援学校について
(1) 両校が目指す共に学ぶ教育について
旧県立武庫荘高校跡地(伊丹市)に県立阪神昆陽高等学校と県立阪神昆陽特別支援学校が4月から開校する
阪神昆陽高等学校は、単位制・多部制の学校で、多様な生徒のニーズに対応
阪神昆陽特別支援学校は、障害のある生徒の社会的・職業的自立を支援するための職業教育に重点
同じ敷地内に設置され、学校行事を一緒に開催したり、交流スペースを設けるなど、「交流及び共同学習」を通じて、「社会におけるノーマライゼーションの理念を進展するための礎」となる学校を目指すもの
全国でも例を見ない共生社会の実現へ向けた一歩へのチャレンジでもあり、期待と不安がある
両校での取り組みは、年に数回、「特別支援学校と県立高校が交流をする」ということではなく、日常から互いが助け合い、理解し合って、共に学び、共に生きるというノーマライゼーションを目指すものだと理解しているが、先例のないことでもあり、多難を極めるのでは?と感じている
★「社会におけるノーマライゼーションの理念を進展の礎」を築くために、具体的にどのような「交流及び共同学習」を行うのか、またどのような生徒を育みたいのかを含め、両校が目指すビジョンを明確に示してほしい。
<コメントor再質問>
・縦軸に「受け入れる」「受け入れない」、横軸に「変わる」「変わらない」とした場合、
・自分も相手も変わらないで、互いを受け入れないのは、排除
・自分は変わらないが相手が変わり、互いを受け入れないのは、同化
・互いに変わらないが、互いを受け入れるのは、棲み分け
・互いに変わり、互いを受け入れるのは、共生
・県立阪神昆陽高等学校と県立阪神昆陽特別支援学校が目指すところは、共生であることを確認したい
(2) 両校の運営体制と教員の支援について
同じ敷地内に、学校の種類の異なる県立学校が設置され、しかもノーマライゼーションの理念を進展するための礎となる学校を目指すと言うことで、その実現のためには、両校の適切な情報共有や連携が不可欠
全く新しいことにチャレンジするのだから、開校前には想定していなかったようなことも起こるかもしれないし、確固たる姿勢を保ちながらも、柔軟に物事に対応できる体制が求められる
生徒にとっては、学校生活のやり直しはないわけで、出来たばかりの新しいスタイルの学校であっても、生徒にとって本当に必要な教育を提供しなければならない
現場の先生方においては、多様な生徒のニーズに応えながら両校の生徒の交流も深める工夫をし続けたり、トラブルが起こったときの対応もしなければならず、非常に忙しく、大変な現場になると思われる
平成24年度予算案によれば、研究指定校での実践研究や、指導者研修などには、100万円程度の予算が付いているが、取り立てて、阪神昆陽高等学校、特別支援学校の教員を支援するような予算は見当たらない
先生方も新しい学校の運営や現場で起こる事に悩むこともあるだろうし、現場に活かせるヒントを得たり、誰かに相談できるような機会が必要では?と思う。
★両校の校長は豊かな経験を持った方が兼務されると聞いているが、その他の学校づくりのための運営体制や、現場の先生を支援したり応援するような場の創出についての考えを伺う。
<コメントor再質問>
・生徒がいきいきと学校生活を送る、素晴らしい学校を期待している訳だが、他校では起こらないような困り事も起こってくるだろう
・現場の先生方の柔軟性や高度な指導力、経験や専門性が問われる
・教職員人事は、まだ先の話ではあるが、適材適所の人事がされることをお願い
・また、学校内だけで進めようとせず、現場の先生が有識者の意見を取り入れたり、「交流及び共同学習」の実践のヒントを得るような、機会を是非とも設けてほしい
・これまでにない新しい学校を作り上げていくのだから、固定観念にとらわれずに、どんどんトライする、先生にとっても開かれた学校へ。
(3) 地域との共生について
この場所は、住宅が近いために、県立武庫荘高校の時から、登下校時のマナーなどの注意が必要だった。
とりわけ、単位制・多部制の高校なので、夜遅くに帰路につく生徒も多く、バイクや自転車で通学する生徒もいるはず
遅い時間の話し声や騒音などで、近隣が「いやだな」と思ってしまったら、非常に残念なこと
様々な背景を抱えた子どもたちが通う高校だけに、地域の見守りの眼、暖かい目があってこそ、生徒も伸びやかに過ごすことが出来る
★登下校時に想定できる問題について、どのような対応を予定しているか。また、地域の理解や交流という点から、どのような地域との接点の持ち方を考えているか。
<コメント>
・市立伊丹高校の定時制が、3年後に統合される
・市立伊丹高校はユニークな学校で、定時制も部活動が盛んだったり、学校全体に「地域に積極的に出て行く」雰囲気があり、市のイベントに参画したり、吹奏楽部が様々な施設で演奏をしたり、正に地域の学校として愛されている
・その校風は、定時制に通う生徒を育む一部である
・阪神昆陽高等学校、特別支援学校は、伊丹市に設置されるのだから、伊丹市とも積極的に連携を図りながら、
・市のイベントの中で、地域との交流を図ったり、例えば、生徒の作品などを地域で展示するような機会を作ってみるなど、地域との共生も積極的に進めてほしい
・県立だから県でガンバル!という事ではなく、地域を早い時点で巻き込んでほしい
2 子ども多文化共生教育支援事業について
ひょうご人権ジャーナルに掲載されていたチラシにこう書かれていた。
「勉強したい、この国で。私は、日本で中学生になった。学校に行くのは、しんどい。何を言っているのか、わからない。しゃべりたいけど、しゃべれない。勉強も好きでなくなった。」
NPOが行っている、経済的な理由で高校進学を断念する外国人の子どものための奨学金を案内するチラシの一説だが、子どもの心情をストレートに表していると思う。
(1) 子ども多文化共生センターの課題と必要性について
子ども多文化共生センターは、2003年10月に県立国際高等学校内に設置され、日本語指導が必要な外国人児童生徒に、授業などの通訳をする子ども多文化共生サポーターの派遣の調整をしたり、
教育現場からの相談に応じたり、外国語の書籍や衣装などを貸し出すなど、学校現場の支援をしている
文部科学省の調査によると、平成22年9月1日現在の県内の日本語指導が必要な外国人児童生徒の数は739人248校となっている。また、平成23年度においては802人、276校にのぼっている
平成22年度の子ども多文化共生サポーターの派遣実績としては、134名が326校の支援を行っている。
平成22年度の教育相談は、413件で、最も多い相談内容は進路指導について
相談者は、サポーターからの問い合わせが122件と最も多いが、次いで、教育関係者からの相談が110件とほぼ並んでいる状態。
子ども支援だけではなく、学校支援の側面も強いと感じている
センター自体は、県立国際高等学校内の一角にひっそりと小さなスペースで運営されていた
★日本語指導が必要な外国人児童生徒も増加傾向、多様化している中で、子ども多文化共生センターの課題と必要性について、ご所見を伺う。
(2) 子ども多文化共生サポーター派遣事業の課題と今後の事業継続について
派遣基準は、在日歴や外国人児童生徒の状況に応じて、週1回~週3回までの派遣がある。
従来は、在日歴が3年未満までしか派遣できなかったところを、現在は、国の緊急雇用対策の財源を活用して、3年以上たっても日本語指導が必要な児童生徒に対して派遣を行っている。
いずれにしても、毎日、毎時間、通訳をしてくれるサポーターが入ってくれる訳ではなく、サポーターが来ない時の、外国人児童生徒の心情を思えば、どれほど心細いかと思う
日本語指導が必要な外国人児童生徒は、親の仕事や結婚など、自分で選んで来日している訳ではないことが多い。
子どもの権利条約第28条で保障された子どもの教育の権利を、国籍にかかわらず守ろうとする取り組みであり、現実の世界の中で悲しい気持ちになりそうな子どもに手をさしのべる取り組みであり、将来の人材を育てる事業だ。
近隣府県の様子を見てみると、日本語指導が必要な外国人児童生徒の多い順に、大阪府、三重県、滋賀県、兵庫県、広島県。三重県、滋賀県は、特定言語の集住傾向があるが、兵庫県の場合は多言語化・散在化という傾向にあり、様々な言語ニーズがある。
実際に、平成22年度における子ども多文化共生サポーターの派遣実績では、中国語、フィリピノ語、ポルトガル語をはじめ、モンゴル語やダリ語など24言語にも及んでおり、人材の確保・派遣なども苦心しておられるのではないか?と思う。
★多種多様な言語ニーズがある上に、ただ教室での通訳をすればよいというだけではなく、子どもへの対応も求められてくるわけだが、子ども多文化共生サポーター派遣事業における課題と今後の事業継続のあり方について、ご所見を伺う
<最終のコメント>
□人にまつわる、子どもの教育にまつわる事業である。
□心配をしているのは、平成24年度当初予算1億3800万3000円のうち、4852万9000円が緊急雇用を財源としていることである。
□子どもの教育は保障していかなければならないから、事業がとぎれることの無いように
□子ども多文化共生センターの支援を受けて育った子どもたちが、今度は、自分よりも小さな子どもたちの支援が出来るような、ぐるぐる回る仕組みを作ってほしい。
山本千恵
伊丹市
●財政状況
1.行革の取り組みにおける職員の士気高揚について
(1) 職員の士気高揚に向けたこれまでの取り組みについて
(2) 補助金廃止に伴う給付福祉事業の確保について
2.財政フレームにおける給与抑制措置のあり方と解除に向けた今後の取り組みについて
3.雇用確保による県財政の好転化について
(1) 「緊急雇用就業機会創出基金」の効果について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(財政状況)
2012年3月2日(金)
1 行革の取組みにおける職員の士気高揚について
(1) 職員の士気高揚に向けたこれまでの取り組みについて
昨年の第2次行革プランで職員の給与の項目で「士気高揚に留意しながら」という文言が追加され、さらに今年の2月16日に開催された行財政構造改革審議会では「職員の給料等の減額措置が相当期間にわたっていることから、職員の士気高揚につながる取組みに今後とも配慮されたい」との意見が提出されているところである。
そこで、職員の士気高揚に向けたこれまでの取組状況ならびにその評価とともに所見を伺う。
(2) 補助金廃止に伴う給付福祉事業の確保について
第2次行革プランで、平成24年度から(財)兵庫県職員互助会・(財)兵庫県学校厚生会への県負担金が廃止されることとなり、職員の掛金等で事業展開することとなっている。
平成23年度では職員互助会に約5千万円、学校厚生会に約1億5,700万円あった県からの負担金が無くなるわけであり、職員が安心して、かつ意欲を持って公務に従事できるよう、今後も引き続き安定した福利厚生事業の展開が望まれるところである。
そこで、行革を進めていくなか、職員の健康の維持増進に取り組んでいくべきであるが、昨年の予算特別委員会で、今年度に負担金廃止後の取り組み、事業内容の具体化を図っていくとの答弁があったが、給付・福祉事業について今後どのように展開していくのか伺う。
2 財政フレームにおける給与抑制措置のあり方と解除に向けた今後の取り組みについて
一般行政部門等の定員約1万人については、当初目標の定員3割削減に対して、平成22年度までの前期3年間で約14%を既に達成し、今年度から平成25年度までの中期3年間で10%、さらに平成26年度から平成30年度までの後期5年間で6%削減することとなっている。その効果額は、定員では年あたり100億円、給与抑制措置は年あたり145億円となっている。一方、財政フレームをみてみると、平成27年度からは、ベアを参入した数値が出ているが、その削減数値目標についてお聞きしたい。
まず、事務事業、投資事業、定員削減部分の削減については、30%カットに向けて、年度を追って逓減されているが、給与抑制部分については、どこにそれが示されているのか、あるいは、行革の中では、財政フレームの見込みが示されているのは平成30年度までであり、平成31年度以降の見込みが示されていないことから、その後の削減措置がどのようなものになるのか示す必要があると考えている。
つまり、長期間にわたる行革の取り組みの中で、職員のモラール、やる気・モチベーションを維持していくには、厳しい行革の終期を示していくことが何よりも必要であると考える。
平成30年度末で行革が終焉したとして、投資事業や事務事業について、30%カットがなされた状態の中での投資事業、事務事業、定員については、平成31年度以降の県政施策の実施も一定やむを得ないものと考えるが、給与の抑制措置については、平成31年度に給与の抑制措置を解消した場合に、職員数約6万人、1人当たりの給与削減額平均約32万円を乗じた約190億円の財源についてどのように見込んでいるのか。
本来、削減すべきでない給与の抑制措置については、平成30年度までには解消することが本来の姿であり、その姿に持っていく、すなわちソフトランディングするためには複数年かけてその実現を図るべきであり、そのアプローチをどのようなスキームの中で表していくのか、平成25年度の第2次行革プランの総点検の中で具現化できるよう、見直しを検討すべきと考えるがあわせて所見を伺う。
3 雇用確保による県財政の好転化について
(1) 「緊急雇用就業機会創出基金」の効果について
次に「雇用確保による県財政の好転化」について伺う。
県財政を好転化していくためには、何よりも県税収入のアップが必要であり、税収アップの近道は、納税者の数を増やすことまた1人あたりの納税額が増えるようとなる正規雇用者を増やしていくことが必要であります。
国からの緊急雇用等に係る基金、交付金等があり、平成20年度から今年の1月末までで、事業費約301億円を投じて34,704人を雇用している。しかしながら、その使途はほとんど一時しのぎの雇用就労支援となっているように思うが、現在の雇用就労支援の取り組みについてどのように評価しているのか、県財政の好転化に繋がる効果を上げるという観点に照らし合わせて今後どのように取り組んでいくのか併せて伺う。
●企画県民部1
1.パブリックコメントについて
(1) パブリックコメントの実施状況について
(2) パブリックコメントのあり方について
2.地域の夢推進事業について
(1) 戦略的な事業配分について
(2) 「地域の声」の事業への反映について
(3) 企画県民部の役割について
3.県民運動の実際と構築に向けた取り組みについて
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部1)
2012年3月5日(月)
1 パブリックコメントについて1
(1) パブリックコメントの実施状況について
パブリックコメントは、1999年の閣議決定「規制の設定又は改廃に係る意見提出手続」が契機となって、各自治体において導入が始まり、本県においても、2002年4月10日に「県民意見提出手続(パブリック・コメント手続)実施要綱」を制定し、県行政の基本的な事項を定める計画、方針等の立案段階において運用されているところである。
しかしながら、本県のホームページ上で公開されている最近実施したパブリックコメントの実施結果を見ると、少子高齢社会福祉ビジョン5人・13件、兵庫県健康づくり推進プランは18人・32件、総合治水条例は18人・123件で、兵庫県高齢者居住安定確保計画に至っては意見の提出が1件もなかった。
そこで、まずは最近のパブリックコメントの実施状況について伺う。
(2) パブリックコメントのあり方について
ただいまの答弁にもあったように、県民生活と密接に関わる一部の事例を除けば、意見の提出状況は、決して芳しいとはいえない。
パブリックコメント手続実施要綱に規定する実施目的として「県政への積極的な県民の参画の促進」が掲げられているが、その目的からはかけ離れた寂しい結果となっており、これでは、県民の声を県政に反映したとはとても言える状況になく、県当局にとって、「パブリックコメントを実施し、県民からの意見も聞いている」というアリバイ作りになっている。
「県民の声を県政に反映した」というためには、それなりの提出意見の件数があってしかるべきであり、県民に関心がないから提出件数が少ないというのでは、パブリックコメントを実施する意義は薄く、県民に対する情報公開となっているにすぎない。
パブリックコメントを実施する以上、意見の提出が一定行われるような工夫を施していくべきである。例えば、ホームページや県民だよりひょうごなどの広報媒体による発信に加え、地域団体・自治会や児童・生徒の保護者への配布など紙媒体による直接配布を行うことや、計画の内容はその概要であってもわかりにくいことから、県民に読んでもらえるよう「何を目指して作るのか」「作る必要性」など紙1枚に収まるよう要点を簡潔にするなどの工夫を行っていくべきである。
また、説明会等や地元説明会の場で意見提出をその場で求める工夫も行うべきである。
そこで、現在のパブリックコメントの意見提出状況を踏まえ、パブリックコメントを実施する意義について、どのように認識しているのか、所見を伺う。
2 地域の夢推進事業について
(1) 戦略的な事業配分について
地域の夢推進事業は今年度から、従来の地域戦略推進費を発展させる形でスタートした。ソフト事業に限られていた地域戦略推進費とは異なり、ハード事業の実施も認められることとなった。
運用方針を見るとハード事業は、①交流拠点の整備、②生活道路整備など生活環境の整備、③特産品の生産拠点など地場産業の振興などが事業の実施例として示されているが、現在の実施状況を伺うと小規模投資事業の補完という印象を持っている。そこで、平成23年度に実施したハード事業について、戦略的な事業に重点配分を行った事例について伺う。
(2) 「地域の声」の事業への反映について
今定例会の内藤議員の一般質問に対して、地域の夢推進事業は、そこに住み活動している皆さんの地域づくりへの提案を実現していくことが目的の一つであると答弁された。
しかしながら、実施状況からは、事業名に“地域の夢”を謳うのであれば、児童・生徒や障害者、高齢者の意見を広く訊いて県民が将来に希望を持つことができる社会の実現に向けた予算として実施すべきものであるが、“地域活性化”というフレーズはよく聞くが、肝心の“地域の夢”というフレーズが聞こえてこない。
そこで、県民局において事業内容を決定していくにあたって、地域住民の地域づくりへの提案、すなわち地域の夢を事業化するにあたって、どのように地域の声を取り入れているのか、その状況について伺う。
(3) 企画県民部の役割について
地域の夢推進事業は、先ほども申したように「県民が将来に希望を持つことができる」予算であると認識している。行革の取り組みを行うなかで、一般財源の15億円という金額の大きさの意義を改めて感じて欲しい。
事業決定にあたり、現地の課題解決に向けて、県民局で事業決定していくのが、本事業の特徴であるが、本庁の所管部局としての企画県民部は県民局に対して、方針を示すとともに、県民局への指導も必要に応じて行うべきものである。
そこで、地域の夢推進事業を推進していくにあたり、所管部局としての企画県民部の役割について所見を伺う。
3 県民運動の実際と構築に向けた取り組みついて
県民運動の構築については、これまで何度も質問しているが、改めて伺う。
先日、交通安全対策委員会に出席したが、ストップ・ザ交通事故県民運動の成果もあり、事故による死者が、平成3年の489人から昨年は198人に減少している。その一方で、自殺者数は1300人前後で推移している。自殺対策についても、交通事故と同様、県民運動として取り組んでいくべきである。
県民みずからが、県政課題の解決に立ち向かう県民運動の構築、意識の醸成についてどのように認識しているのか県民運動の実施状況とあわせて所見を伺う。
●健康福祉部
1.自殺対策について
(1) いのち対策室の取組成果とその課題について
(2) 自殺対策としての県民運動の展開について
2.動物愛護の取り組みについて
(1) 動物愛護管理費について
(2) 殺処分の状況について
(3) 殺処分を減らす取り組みについて
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(健康福祉部)
2012年3月6日(火)
1 自殺対策について
(1) いのち対策室の取組成果とその課題について
本県の自殺者数は、平成9年から平成10年にかけて987人から1452人へと約1.47倍に急増して以来、昨年まで1300人前後で推移している。これまで、自殺対策連絡協議会での取組をはじめ様々な自殺対策に取り組んできているが、自殺者の減少には結びついていない。
自殺による経済的損失は大きく、特に働きざかりの世代の自殺は、経済的損失に加え、家庭における精神的支柱であることから、後追い自殺を引き起こすことにもなりかねない。
残り5年で(H28年までに)自殺死亡者数を1,000人以下にするという目標の達成は困難な状況であるが、目標に向けて年次計画を立てて、そのためにいかに取り組むかが問題である。
そこで、平成22年度から設置されたいのち対策室が出来て丸2年が経過しようとしているが、その取組成果と課題について伺う。
(2) 自殺対策としての県民運動の展開について
平成28年度の目標達成は難しいかもしれないが、どのようなことをしたらよいかと考えたときに、私はかねてより、「県民運動」を起こすべきだといってきている。
例えば、私が先日出席した交通安全対策委員会にあっては、各種団体も構成員として参加しており、ストップ・ザ交通事故県民運動の成果もあり、交通事故の死者が平成3年の489人から平成23年の190人に減少しており、ピーク時の3分の1程度になっていると聞く。
精神衛生上の対策を中心とした、今の取組だけでは、目標達成は難しいのではないか、交通安全と同様に実効ある県民運動の推進会議を開いてはどうかと思う。
県民運動は、全庁的な仕組み・体制で臨むべきものであることから、健康福祉部ではなく、本来企画県民部が担当してやるべきものと考えているが、健康福祉部で担当する場合であっても、全庁的な仕組み・体制で取り組んで欲しい。
そこで、これまで、何度も指摘したように、県民自らがお互いを見守り助け合う体制、仕組みを作り、県民総参加で取り組んでいく必要があると考えるが、所見を伺う。
2 動物愛護の取り組みについて
(1) 動物愛護管理費について
昨年、会派の視察で熊本市動物愛護センターにおいて“殺処分ゼロ”の取組について視察した。そこでは、性格の良い犬でさえ殺処分される現実に直面し、当時の所長を中心に殺処分を行わない方向で動き始めた。
熊本市では、返還率を高める取り組みだけでなく、引き取ってもらえるよう、しつけ直しや飼いたくなるようにトリミングを施すなどの取り組みにより譲渡率も高め、劇的に殺処分数を減らした結果、平成5年度には1,794匹の犬を殺処分していたのが、平成21年度には1匹となった。
本県でも動物愛護センターを整備し、動物愛護の取り組みを進めており、平成24年度当初予算では、動物愛護管理費として約1億1千万円の予算を計上しているが、その内容について伺う。
(2) 殺処分の状況について
本県では、殺処分を加東市にある動物管理事務所で実施しているとのことであるが、依然、譲渡率や生存率は低く、90%以上が殺処分されている状況と伺っており、このような状況は改善していかなくてはならない。
そこで、本県における、犬・猫の殺処分の状況について伺う。
(3) 殺処分を減らす取り組みについて
但馬へ管内調査に行った際に、健康福祉事務所の方が、野良犬に関する近所の苦情が減ったと胸を張って言っていたが、殺処分を増やせば、野良犬が減るのは当然である。
殺処分の数は低減してきているが、これは野犬そのものが減っているからであり、譲渡数が増えている訳ではなく、譲渡率は大して変わっていないと思う。
熊本市では、職員だけで行うのではなく、市民協働の観点から獣医師会、動物愛護団体、ペットショップや盲導犬使用者などを構成員として動物愛護推進協議会を推進体制としては、設置し、市民との協働による取り組みを行っている。
さらに、地域を巻き込む観点では、いのちの大切さを唱えるのであれば、学校教育と一体化したような取組が必要である。
そこで、殺処分を減らしていくことについて積極的な取り組みを求めるものであるが、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。
●病院局
1.光風病院児童思春期病棟について
(1) 患者の入通院への配慮について
(2) 病棟の名称について
2.県立病院における医療事故について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(病院局)
2012年3月6日(火)
1 光風病院児童思春期病棟について
(1) 患者の入通院への配慮について
病院局では、子どもの心の問題について、社会的関心が高まりつつある中で、拒食症や過食症、うつ、自傷行為のほか、統合失調症や強迫性障害など、児童思春期精神科疾患に対する県内唯一の専門病棟である県立光風病院児童思春期病棟を、24年度中の供用開始をめざし、建設工事を進めている。同じ敷地内とはいえ、現在の光風病院の患者層思春期病棟を利用する患者層の診察、入院対象年齢や環境を考えたとき、開設にあたっては、通院・入院しやすい環境に配慮をする必要があると考える。
児童思春期病棟整備に当たり、通院・入院について児童・思春期患者に対してどのような配慮を講じて行おうと考えているのか伺う。
(2) 病棟の名称について
児童思春期病棟に子供を入院させる親にとっては、あってはならないことではあるが、精神科疾患患者に対して間違った認識に基づく不安など、地元も含め様々な風評があることも事実である。
そこで、患者や親も安心して通院や入院をしやすくするためにも、新たに子どもを対象とした病院として、児童思春期病棟は、名称・愛称を使用することも考えるべきではないかと考えるが、当局の見解を伺う。
2 県立病院における医療事故について
昨年6月に公表された加古川医療センターにおける医療事故は、胃生検の病理検査を行う際に組織標本が他人のものと入れ替わっていたことにより、胃潰瘍の患者の胃を癌と認識し部分切除をしてしまったという、常識では考えられない、あってはならない事故であった。
しかも、この事故は組織標本の入れ替わりが判明した3月中旬から約3ヶ月も経過してから公にされたものである。
このように公表される医療事故は年に数件であるが、医療過誤により公表される事故の外に毎年40件前後の不可抗力による医療事故が発生していることも、報告されている。現在、医療事故の包括公表については、四半期、3ヶ月分まとめて報道機関に対し記者発表することになっている。
医療事故はあってはならないことであるが、発生した場合は速やかに原因を分析し患者へ説明することはもとより、病院で再発防止策を講ずるとともに、公表基準に基づく公表内容とした上で、いっときも早く少なくとも、県立14病院全体で情報共有を図り、今後の事故回避を行って行く必要があるのではないかと思う。
公表は早ければ早いほど、他の病院における対策も早期に行うことができることは言うまでもないことである。
そこで、病院局では、医療事故防止に向けどのような対策を講じ、また情報共有に向けて今後どのような対策を講じていこうと考えているのか伺う。
●教育委員会
1.高校教育改革について
~学区再編に係る課題について~
2.トライやるウィーク・自然学校について
(1) 実施目的について(義務)
(2) 事業趣旨を踏まえた事業展開について(義務)
3.道徳教育について
(1) 道徳教育の目的について(義務)
(2) 道徳教育の進め方について(義務)
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(教育委員会)2012年3月12日(月)
1 高校教育改革について~学区再編に係る課題について~(高校)
本年1月6日に発表された県立高等学校の新通学区域の基本方針では、実施に向けた諸準備として、①学区再編後の複数志願選抜制度の工夫・改善、②中学校の進路指導に係る環境整備、③導入等に伴う周知・広報、④通学費、通学支援の在り方の検討などが記載されている。
新通学区域の導入に対する進路指導体制の構築については、生徒にとっては、「行きたい高校」を適切に選択するうえも重要になる。しかしながら、進路指導にあたる教員にとっても、新通学区域導入に伴い新たに対象となる高校に対しての情報が少なく、進路指導に不安を抱いている教員も少なくない。基本方針における進路指導に係る環境整備において、支援内容が記載されているが、生徒個々人の学習状況を基礎として、希望校に合格できるかどうかの判断ができないことには進路指導ができているといえるものでない。教員が進路指導を適切に行うにあたっては、各高等学校の魅力や特色はもちろんのこと、新通学区域内における進路希望の状況や生徒一人一人の学習状況の相対的な到達度などについて、教員が着実に把握し、共有を図っていくことも重要であると考えている。
また、平成24年度から中学校で新学習指導要領が実施されることから、調査書の評価が公平かつ適切に行われないことも想定されることから、当日の学力検査に重点が置かれ、今までのすばらしい取り組みである調査書・当日の試験が50対50で取り扱われる「兵庫方式」が維持されるのか懸念しているところである。
私としては、新通学区域の導入に反対しているわけでなく、導入に際しては万全を期して実施していただきたいと考えている。
そこで、県立高等学校新通学区域導入に向けて中学校における進路指導への支援ならびに兵庫方式の維持に向けてどのように取り組んでいこう移行としているのか所見を伺う。
2 自然学校・トライやる・ウィーク・自然学校について
(1) 実施目的について(義務)
本県においては、昭和63年度より5年生に対して「自然学校」が、平成10年度より中学2年生に対して「トライやる・ウィーク」が全員を対象として実施してきている。
まず、自然学校とトライやる・アルウィークの実施目的について、簡潔にお伺いする。
(2) 事業趣旨を踏まえた事業展開について(義務)
今、回答があったような趣旨で自然学校は約25年にわたり、トライやる・ウィークについても約15年の長きにわたり、全国に誇れる体験事業として展開しているのは、大変すばらしい取り組みである。
しかしながら、両事業とも行革の取り組みの中で、補助率が引き下げられてきている。また、自然学校については平成21年度からの環境体験事業の実施に伴い、これまで「5泊6日」であったのを、「4泊5日以上」へと変更された。
5泊6日にするにあたっては、現場の教員には負担をかけることになるが、子どもの自立・親の子離れを考えると最低5泊6日は必要であるとの結論に識者も交えて至ったものである。「4泊5日以上」への見直しは、行革ではないとのことであるが、現実には予算の範囲内での事業実施の見直しであったのではないかと思っている。
一方、トライやる・ウィークについては、活動や体験を通じて、子どもたち一人一人が自分なりの生き方をみつけられるよう支援していくとともに、「地域の子どもは地域が育てる」という合言葉のもと、地域の教育力や家庭の教育力の再生をねらいとして、実施されたものであるが、事業開始から約15年を経過するなかで、いつの間にか職業体験教育へ転化してきているように感じている。
そこで、両事業とも、心の教育という原点に立ち返って当初の趣旨を十分に踏まえながら事業を進めていくべきと考えるが、所見を伺う。
3 道徳教育について
(1) 道徳教育の目的について(義務)
道徳教育において価値観を押し付けるものではない。我が会派では従来から、道徳教育は教え込むのではなく生活のあらゆる場面で自ら学ぶべきものと主張してきている。
まずは、道徳教育についていかなるものと考えて、児童生徒に対し何を望んでいるのか簡潔に伺う。
(2) 道徳教育の進め方について(義務)
県では、道徳教育推進協議会を設置し、推進状況の評価・検証や、担当教員への道徳教育実践研修などの取り組みを行っているが、規範意識は、教職員はもとより世の中の大人たちが児童・生徒と向き合い、模範を示すことにより、醸成されるものである。
この点、先ほども質問したように活動や体験を通じて、子どもたち一人一人が自分なりの生き方を見つけられるよう支援していくトライやる・ウィークなどの体験教育をもっと重要視すべきである。
今年度から道徳教育副読本が小中学生に全員配布され、24年度当初予算でも約2千万円の大金を投じて、引き続き配布されることとなっているが、道徳教育においては、副読本はあくまで補助教材に過ぎず、単に副読本がどれだけ活用された等の評価・検証や副読本をどのように使って指導していくかということではなく、道徳教育を通じて、児童・生徒に対してどれだけ道徳心を養われたかの評価・検証を行うことこそが重要なのではないかと考える。
そこで、児童・生徒に規範意識を醸成していくにあたり道徳教育をどのように進めていこうと考えているのか所見を伺う。
藤井訓博
北区
●企画県民部2
1.私立高校支援について
2.県立大学について
(1) 公立大学法人移行に向けた取り組みについて
(2) 近隣府県立大学との連携について
3.災害時要援護者対策の充実について
(1) 災害時要援護者名簿の整備促進について
(2) 避難支援プランについて
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部2)
2012年3月5日(月)
1 私立高校支援について
県下の中学校卒業者数は、少子化により中期的に減少となることや、国の高等学校の実質無償化などにより私立高校を取り巻く環境が変化している。このような中、大阪府は昨年度から公私間格差をなくす為の取り組みとして、私立高等学校等授業料支援補助金の新制度をスタートさせた。結果として大阪府下の生徒の受験動向が変化し、延いては兵庫県内の私立高校に影響を与えることが懸念される。
県内の私立高校に通う生徒数は、平成17年度38,638人から23年度35,958人へと2,680人減となるなど減少傾向にある。また大阪府下から兵庫県内の私立高校へ通う生徒数も同様の傾向で、平成17年度2,456人から23年度の1,949人へ約500人2割減している。これらにより阪神間の一部の女子校で定員割れが生じるなど、県下の私立高校の経営は非常に厳しさが増していると聞いている。
一方で、兵庫県内から大阪府下の私立高校への通学者は平成17年度5,564人から23年度の6,157人へと逆に593人・10%増えている。
公私間のバランス、地域性などの要素を考慮する必要があり単純に比較すべき数字ではないが、結果として4000人あまりの生徒が県外に流出するアンバランスが生じている。
私立高校を希望する県内の生徒の、県内での受験機会の確保が必要であることから、先ほどのアンバランスの是正と、多様な高校教育の一環を担う私立高校の経営健全化に向けた県の取り組みを問う。
2 県立大学について
政治、経済はじめ東京の一極集中が続く中、関西の復権が求められている。知事も双眼的国家構造を目指すと様々な場面でのべている。大学教育の分野においても受験生の東京への進学希望の一極集中が止まらない。
あわせて東京の一部有力私立大学などは高校の系列化を進めるなど地方での学生獲得競争が激化しており、関西の大学の一層の努力が求められる。
そこで、大学を取り巻く環境が変化する中で2点、質問する。
(1) 公立大学法人移行に向けた取り組みについて
大学運営の自立性、意思決定の迅速化、業務の効率化を図り、学生や地域に魅力ある大学づくりを目的とし、平成25年4月に公立大学法人化への移行のための予算が計上されている。
県立大学は、平成12年の県立大学検討懇話会より「県立大学の様相を一新できるような思い切った改革が必要であり、1大学に統合することが望まれる」との提言を受け、平成16年神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の3校が統合された。
因みに統合前後の志願者数をみるとH13年6977人、14年7864人、15年7990人、16年7649人、17年6323人、18年、6446人となっており、志願者数だけで統合効果を図るものではないが、その効果は実感しづらい状況にある。
統合前の看護大学の頃は地元議員として卒業式に出席させて頂くなど地元としての親近感もあったが、統合以降はこのような機会がなくなってしまったことは残念である。勿論、統合によって多くの成果があがっているとも思うが、3校それぞれが県立大学の名の下に埋没しているのではないかとの危惧も持っている。
そこで、法人化議論のスタートにあたり、統合後どのような成果があがっているのか、またどのような課題が生じているのかについて伺うとともに、これらをしっかり整理した上で法人化に臨むべきと考えるが、所見を問う。
(2) 近隣府県立大学との連携について
県立大学ではHUMAPをはじめ、ひょうご神戸産学学官アライアンス、大学コンソーシアムひょうご神戸、ユニティなど様々な大学間交流が行われている。いずれも県内を中心とした交流で県の枠組みを超えた大学間連携を促進すべきではないか。
この点、県立大学においても、平成19年度から、京都・奈良・和歌山の各府県立医科大学と連携して、「がんプロフェッショナル養成プラン」に取り組む、あるいは、平成23年4月に、大阪府立大学等と連携して「大阪ベイエリア金属系新素材コンソーシアム」を立ち上げるなど、個々の分野における取組は進められているようである。
しかしながら、積極的な大学間連携による関西復権を図るためには、個々の分野における連携に止まらず、より総合的な連携を図っていく必要性は高い。
旧国立大の京都大学・大阪大学・神戸大学では、3大学が相互に連携し、高度な研究者及び技術者の人材育成に貢献、ひいては関西地域の活性化に資することを目的とし、科学技術、文化・芸術等の振興に関する共同教育・研究事業として、平成19年からシンポジウムを開催している。また、私立大学間においても関西・関西学院・同志社・立命館大学による関西4大学学長フォーラムなども開かれている。
地域での近隣大学との連携や個々の分野における連携はもちろんであるが、県立大学と同じような位置づけである近隣の各府県立大学との総合的な連携を、より積極的に図ってはと思うが、所見を問う。
3 災害時要援護者対策の充実について
(1) 災害時要援護者名簿の整備促進について
県下の災害時要援護者名簿の整備状況を見ると、H23.4.1現在で4市町が整備中であるものの37市町が策定を終えている。しかしながら、各市町ごとに要援護者名簿の整備方法や他団体への名簿の提供状況は千差万別で、名簿の内容には大きなバラツキが見られる。
一つには、整備方法は、内閣府のガイドラインにより、福祉関係部局等が保有する情報を関係機関が共有する関係機関共有方式、本人に直接的に働きかけ情報を収集する同意方式、自らが名簿への登録を希望した者の情報を収集する手上げ方式と3つの方式に分けられており、行政コストの高低、情報把握の漏れの多少、個人情報保護の視点などそれぞれにメリット・デメリットがある。
3つの方法を組み合わせるなどにより県下には8通りが並存している。
二つには、名簿の提供先は、社会福祉協議会はじめ民生委員、消防団員、自治会などの自主防災組織、警察などその他の団体などが対象で、提供時期も平時から提供するものと災害時のみ提供するものとに分かれている。このように提供先、提供時期とも市町ごとに全く異なり、中には個人情報保護等を理由に先に述べた団体に全く提供していない自治体が10市町にのぼっている。
言うまでもなく要援護者名簿は、災害発生時の初動を決めるまさに重要な情報であり、生死を分ける情報になるといっても過言ではない。要援護者名簿の精度により次に質問する個別計画の成否がかかっている。
個人情報保護の重要性にも一理あるが、特に大規模災害では、被災地自治体のみでなく広域での支援が不可欠であり、県として統一した基準の要援護者名簿の整備・運用を目指すべきと考える。
そのため市町のバラツキを小さくしていくことは重要であると考えるが、県下市町に対しどのような支援をしていくのか問う。
(2) 避難支援プランについて
市町別災害時要援護者対策の取り組み状況を見ると、避難支援プラン全体計画は今年度中にすべての市町が策定を終える予定であるが、要援護者を誰がどのように支援するのかを具体的に定める個別計画については、8市町で策定され33市町が整備中となっている。
地元の明石市においても地域における避難支援の手引き(案)を作成や自治会はじめ福祉団体の方々から意見集約、講演会の実施など個別計画の策定に向けた努力を続けているが、個別計画の策定にはまだまだハードルが残る。
先日、明石市で福祉をテーマに開かれた市長懇談会では、災害の種別によっての避難所の違い、障がい者の視点での避難路の整備や情報伝達方法、福祉避難室や福祉避難所の設置など多種多様な意見が出された。
要援護者の特性によって支援体制に違いが生まれ、例えば高齢者は単身の場合、高齢者世帯の場合、介護がどの程度必要かなど、また障がい者の場合、視覚・聴覚・知的・発達・精神、内部障害、難病とまさに個々にあわせたオーダーメードでの支援が必要で、日頃からの接点が少なければ少ないほど、どのように接して良いのかわからないとも聞く。
また地元明石市の担当者からは、支援者となる団体の役員が1年ごとに変わってしまうことや、必要性は感じているものの団体として意識の醸成には時間が必要なことなど現場での難しさを伺った。
市町の取り組みであるとは云え、広域で対応できる部分はないかを精査するとともに、各市町の取り組み情報の共有など市町を積極的に支援するべきと考えるが所見を問う。
●産業労働部・労働委員会
1.中小企業の国際展開に向けた支援について
(1) 中小企業の国際化に対する支援の充実・強化について
(2) 「ひょうご国際ビジネスサポートデスク」の果たす役割について
(3) 本県中小企業のマーケティング活動の支援について
2.経営革新計画について
(1) 計画承認後のフォローアップ調査について
(2) 制度融資に繋がる計画の承認について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(産業労働部)
2012年3月7日(水)
1 中小企業の国際展開に向けた支援について
(1) 中小企業の国際化に対する支援の充実・強化について
2010年版の中小企業白書の中で、中小企業の国際化と労働生産性及び従業者数について「国際化を開始する企業は、国際化前の労働生産性が国際化していない企業と比較して高く、国際化開始後に労働生産性がさらに向上する可能性があるといえる」ことや、「直接投資を開始した企業の国内の従業者数は、直接投資を開始していない企業と比較して、直接投資を開始して3年後には1割程度減少するが、6~7年後には直接投資を開始していない企業を上回る」ことが報告されています。
つまりは、輸出を開始した企業は、輸出による市場拡大への対応により、また投資を開始した企業は、現地でのネットワークを通じた取引先の開拓などによる事業拡大や現地法人管理のための国内従業員の増加などにより、それぞれ国内での企業活動が活発になるとのことであります。本県から見て、県内中小企業の国際化に対しては、しばしば空洞化が懸念されているところですが、実はその一方で県内の企業活動が活発になり、ひいては地域経済の活性化に資する側面もあることが改めて理解できました。
また国際化を行う中小企業の特徴として、「自社製品に自信があり、海外市場で販売しようと考えた」と答えた企業の割合が高く、国外需要に大きな期待を寄せる一方で、「良質で安価な労働力が確保できる」と回答する割合が年々減少しており、海外進出の決定要因が経費削減から市場拡大に移ってきていることを窺うことができます。
一方国際化への課題として、品質管理やコスト管理、マーケティング強化、現地販売チャンネルの開拓などがあげられ、直接投資を行っている企業では、人材確保、労務管理、投資資金調達・資金繰りと答えた企業が多く、中小企業では大企業に比べ輸出や直接投資から撤退するケースが多いことも示されています。
さらに翌2011年版の中小企業白書では、中小企業の強みを伸ばす取り組みとして、事前に市場動向の把握、つまり現地の嗜好を見極めることが重要で、嗜好にあわせ財・サービスを提供することがますます重要であると結論づけられており、これらのトレンドを理解した上での支援を行っていく必要があります。
そこで、来年度の予算では、ひょうご海外事業展開支援プロジェクトの推進として約4千8百万円を計上し、香港経済交流事務所の設置などに取り組むこととなりますが、先の課題を踏まえ輸出・直接投資を開始しようとする中小企業に対して、準備・検討段階における支援についてどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
(2) 「ひょうご国際ビジネスサポートデスク」の果たす役割について
県では、県内企業の国際化支援のため、中国、ベトナムに「ひょうご国際ビジネスサポートデスク」を設置していますが、いずれのデスクも兵庫県ゆかりの企業や兵庫県人会の協力の下に運営されています。
いずれのデスクもコンサルタント業などの本業を持った方々にアドバイザーをお願いしており、経済の第一線で活躍をするまさに商売人の視点で、民間ならではの知恵と工夫によって中小企業の国際化支援ができるものと理解しています。
先日、会派で広東省を訪問した際、県人会の方々とも意見交換の機会を持ち、県人会の幹事で広州サポートデスクのチーフアドバイザーを努めておられる谷口さんからも様々なお話を伺うことができました。
谷口さんからは、中国での県事務所の設置について、「上海にはいろんな県の事務所があるが、日本からの顧客のアテンドをするのが仕事のようで、経費の無駄遣いだと思う。兵庫県が少なからず郷土愛を持つ県人会などを活用していく方法の方が良いのではないか。」との意見や「民間人では中国側の政府はなかなかを動かすことができず、兵庫県の方が依頼すると、広東省政府は容易く動くので、これは本当に助かる。広州総領事館への県からの派遣が数年前からなくなり、広東省政府との人間関係が弱くなってきているのは事実」とのご意見を頂きました。
また、私の友人であり中国へ直接投資を行っている企業経営者からは、「ビジネスサポートデスクとはいえ、民間のコンサルタントであり、相談内容には自社の戦略的な部分も少なからず含まれるので、話しにくく、県のように公平な立場での支援を期待したい」との声もあり、県が民間に委託するだけでなく、直接支援していく役割も一定担っているものであります。
そこで、県としての役割や期待のある中で、「ひょうご国際ビジネスサポートデスク」における支援体制の強化をどのように展開していくのか、ご所見をお伺いします。
(3) 本県中小企業のマーケティング活動の支援について
先ほどの県人会の谷口さんから提案がありましたので質問に加えたいと思います。「県事務所を創設するよりも例えば、各企業が製造した商品等を常時展示・販売できるスペースを借りて、それを県下の中小企業に貸し出すなどマーケティング活動の支援を行い、県下の中小企業の進出を促していくのはどうか。」との意見がありました。
併せて、「県は、県下中小企業への告知と中国地元政府への働きかけを行い、地元政府の協力のもと民間で運営していく。更に中国産の商品に対して本県で同様に取り扱うなど、相互に行えば、日系企業が進出してくる。」とのことです。
そこで、中国における本県企業の商品のより直接的なマーケティング活動を支援することにより中小企業の海外進出・海外展開を促していくべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
2 経営革新計画について
(1) 計画承認後のフォローアップ調査について
「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」においては、中小企業に対して、「創業」、「経営革新」、「新連携」の取り組みを支援のほか、新たな事業活動の促進に資する事業環境基盤の充実を図るための様々な支援が規定されています。また県でも、この法律に基づき、経営革新計画の策定の相談、承認を行っているところであります。
法律が施行された平成11年以降本年1月末までに経営革新計画は全国で約47,600件承認されています。年度別に見ると、平成14年度(3341件)あたりから増加しはじめ、18年度の5260件をピークに、21年度は4395件、22年度は4437件と減少傾向にあります。
県下での承認実績も概ね全国と同様の傾向を示しています。本年1月末までの総計は1976件にのぼり、年度別では平成14年度(137件)あたりから増加しはじめ、17年度が263件、18年はピークで300件となっています。
その後の21年度は110件、22年度は131件と減少傾向が続き、今年度は1月末現在で85件に止まっています。本県ではピーク時からの承認件数の落ち込む割合が全国の状況に比べて高くなっています。
そこで、県は承認企業に対して経営革新計画の開始時から承認後1年以上2年未満に達する企業に、進捗状況のフォローアップ調査を行うとともに、必要な指導・助言を行うとされていますが、フォローアップ調査の状況についてお伺いするとともに、調査を通じて、中小企業の企業活動にどのような変化が生じてきていると認識しているのかご所見をお伺いします。
(2) 制度融資に繋がる計画の承認について
経営革新計画の承認を受けた中小企業には、低利融資制度、税制措置、信用保証の特例、ベンチャーファンドからの投資、販路開拓コーディネート事業など多くの支援メニューが用意されており、なかでも融資に関するものが大半を占めています。
県のホームページには「経営革新計画の承認は、計画の実現を対外的に保証するものではありません。やる気のある中小企業が公的支援を受けるための手続の第一段階となります。」「なお、計画の承認は支援措置を保証するものでなく、計画の承認を受けた後、それぞれの支援機関等における審査が必要となります。」とされており、計画の承認と制度融資をはじめとする支援は別ということになっています。私の聞くところでは、計画の承認を受けた中小企業にとっては、低利融資制度や信用保証の特例などの支援策が大変大きなインセンティブとなっているところです。
しかしながら、承認実績1976件に対する県制度融資(経営革新貸付)の実績は、959件となっており、承認を受けた企業の約半数に止まっており、承認を受けた計画を実行に移すのに制度融資を活用できなければ成果に影響を及ぼすものであります。
そこで、制度融資に耐え得る内容でなければ経営革新計画の承認をすべきでないと考えますが、制度融資に繋がる経営革新計画の承認について、今後の経営革新企業に対する支援方策とともにご所見をお伺いします。
●県土整備部
1.社会基盤施設の維持管理・更新について
2.北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた但馬空港のあり方について
3.神戸電鉄粟生線への支援について
4.選択と集中による県営住宅の入居促進について
全文
1 社会基盤施設の維持管理・更新について
平成21年度国土交通白書では、これまで我が国で蓄積されてきた社会資本ストックが、高度経済成長期に集中的に整備されており、今後老朽化は急速に進んでいることが指摘されている。
例えば、整備後、50年以上経過する社会資本の割合について、2009年と20年後を比較すれば、道路橋は(約8%→約51%)、水門等河川管理施設(約11%→約51%)、下水道管きょ(約3 %→約22%)、港湾岸壁(約5 %→約48%)などと急増し、今後、維持管理費・更新費が増大することが見込まれている。
また、今後の投資可能総額の伸びは、2010年度以降、対前年度比± 0 %ととし、維持管理・更新に関して今まで通りの対応をした場合には、維持管理・更新費が投資総額に占める割合は、2010年度時点の約50%から、2037年度時点では投資可能総額を上回るに至ると推計されている。
推計の前提条件の置き方により結果は変わることはもちろんであるが、今後の方向性が理解できる。
これらを県にあてはめてみると、農政環境部所管施設も含めた社会基盤整備に要する費用として、今年度の当初予算では社会基盤整備費1525億5700万円の内、維持管理費283億1600万円の18.6%である。
ちなみに来年度予算には1566億4200万円が計上され、その中で、計画的・効率的な施設老朽化対策と維持管理費として311億9700万円が配分され、19.9%となっており、今後も増える傾向にある。
公共投資に係る全体額が抑制されていく中にあって、すべての社会資本を維持管理・更新していくことに限界があるのではないか。つくるからつかう、つかうからすてることも視野に入れていく事は重要。
県では、社会基盤整備プログラムに基づき、限られた予算の中で、地域固有の課題や地域への協力体制なども加味し、選択と集中による効率的・効果的な社会基盤整備を推進する一方、平成24年度までに、橋梁、排水機場等の長寿命化計画を策定し、予算の平準化と総コストの低減を図り、アセットマネジメントによる適時適切な修繕や更新により、健全な施設の維持管理に努めていると聞いている。
そこで社会基盤施設に係る維持管理・更新費が今後どのように推移し、アセットマネジメントによる効果がどの程度見込まれるのか、また、人口減少に伴う社会情勢等の変化に応じて、社会基盤施設のスリム化を図っていくことについて、当局としてどのような認識をお持ちなのか問う。
2 北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた但馬空港のあり方について
先日の補正予算で但馬空港の周辺用地の取得があった。現在の1200mの滑走路では就航可能な航空機が限定されていることから滑走路延長に向けた再整備するためのものではないのかとの考えも過ぎったが、知事は環境林として県有林特別会計で適正管理を行うとし、一安心である。
但馬空港は羽田直行便を目指し、予算措置がなされた平成19年度以来、様々な取り組みを行ってきたものの、厳しい状況にある。
空港管理費として1億4千万円、運航対策費として1億3千万円、空港公園維持修繕費に2億円の計4億7千万円に加え、但馬地域3市2町と商工会議所などで構成されている但馬空港推進協議会による1人あたり1500円~2500円、計約500万円の運賃補助、他にも地元市町による1人当たり2500円~6000円などの運賃助成などを負担し続けていかなければ空港は維持できない。
就航率は、平成22年度の全便数1386便に対し、運航便数は1280便、欠航106便、うち悪天候によるものが94便で、就航率は92.4%、今年度は1月末現在で全便数1192便に対し、運航1093便、欠航99便、うち悪天候92便、就航率91.7%と年間1割弱が欠航するなど気象条件が厳しい。因みに平成22年度の神戸空港は99.9%、隣の鳥取空港の就航率は98.2%である。
一方、周辺の道路事情も大きく変化している。右肩下がりであった遠阪トンネルの交通量は、平成18年7月の北近畿豊岡自動車道「春日和田山道路」全線暫定供用を機に、平成22年度には281万台と平成17年度の2倍を超え右肩上がりに、また播但連絡道路においても平成16年の1380万台を底に、料金引き下げの社会実験効果も相まって22年度には1558万台へと回復傾向にある。
そしてこの秋には北近畿豊岡自動車道「和田山八鹿道路」の開通が予定され、続く「八鹿日高道路」と「日高豊岡南道路」は平成28年度以降の供用とされているなど、着々と事業が進んでいる。国土交通省のホームページでは、北近畿豊岡自動車道の全線開通により「豊岡と京阪神が2時間少しで結ばれ、東京までの時間も読めるようになってビジネスもより円滑に。」と記載されている。高速道路網の整備に伴い自動車の利便性と優位性が高まることは明白である。
そこで、北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた存廃を含めた但馬空港のあり方を問う。
3 神戸電鉄粟生線への支援について
この件に関しては、先の本会議での梶谷議員の一般質問に対する答弁や新聞報道などで多くの支援のあり方が議論されている。
今回支援の内容は省略するが、支援の前提条件の1つは神鉄自身の経営の改善を如何に図るか、2つめは利用促進を如何に進めるかであると理解している。
1つめの経営の改善については、新聞報道にもあったがワンマン運転化や駅無人駅化、そして人件費削除など既に取り組みを進めていることから、今後の劇的な削減は望めない。
2つめの利用促進についても、人口減少時代にあって沿線地域の大幅な人口増が望めるとは思えず、三木市ではすでに高齢者を対象としたカードの配布、幼稚園・小学校の校外学習での利用などの取り組みを進めていることなどからすれば、思い切った手法をとらない限り、明るい兆しは見えない。
新聞報道によれば5年間の無利子融資や大規模修繕への補助、利用低迷に応じた三木・小野市からの最大約1億円の補填により、今後3年間の粟生線の運行は維持が可能となったというものの、中長期的な展望が明らかになったとは言い難い。
神戸電鉄粟生線に対する県の中長期的な展望はどこにあり、支援の前提条件が結果として崩れた場合のリスク管理としてどのような対応を考えているのか、県の支援に対する姿勢を問う。
4 選択と集中による県営住宅の入居促進について
明舞団地では地域再生法に基づき、内閣府から地域再生計画の認定を得て、学生居住等の県営住宅の目的外使用を実施しており、若者・学生向け住宅としての用途に加え、住民団体等が運営するコミュニティ拠点としての使用を可能とすることで、建物の有効利用はもとより高齢化や人口減少が深刻なオールド・ニュータウンの活性化につながる取り組みとして注目を集めている。
またこの他にも、高齢者の見守り活動のため、福祉的サービスを提供する社会福祉法人へ空き家を使用許可しているほか、認知症や知的障害者の共同生活のためのグループホームを整備した例もある。
県民に対する良好な住環境の提供と合わせ、生活・文化・地域コミュニティの確保など、より広がりのある県営住宅の役割を担う観点から、応募倍率の高い神戸・阪神地域などの住宅では、知事が補正予算で提案されたように、積極的な空き家補修による入居促進を図る必要がある一方で、東・中播磨地域などでは、応募のない住戸も比較的多いのではないかと考えられ、地域再生等の観点からも、公営住宅の目的外使用許可の柔軟化を進めて空き家を解消していく対策を積極的に講じていくべきと考えるが、当局の所見を問う。
そこで、北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた存廃を含めた但馬空港のあり方を問う。
岸口実
明石市
●健康福祉部
1.実親が育てられない子どもへの支援体制について
(1) 社会的養護をとりまく本県における現状について
(2) 社会的養護の小規模化に向けた取り組みについて
(3) 施設職員、里親の専門性向上をめざした取り組みについて
(4) 養護の質向上に向けた市町への支援、連携の強化について
(5) 家族再生に向けての取り組みについて
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(健康福祉部)
2012年3月6日(火)
1 実親が育てられない子どもへの支援体制について
昨年の東日本大震災で親を亡くした子どもは2000人以上、そのうち両親ともに亡くした子どもは、判明しているだけで281人いるという。震災孤児を救いたいという声が全国からあがり、『社会的養護』ということがクローズアップされた。
ただ、現在における社会的養護は、震災で身寄りを失った子どもたちと同様、かつての戦災孤児など親がない子どもへの施策の範疇を超え、親はあっても経済的困難や精神不安、家庭環境の悪化から、虐待や障がいなどさまざまな理由で実親に育てられない子どもたちへの施策へと役割が転換している。
県では、平成24年度の重要施策の一つとして安心こども基金を活用した児童虐待やDV防止対策、また発達障がい児の支援策、うつ対策などを新たに打ち出されており、‘社会的養護を必要とする前に食い止める’ことへのアプローチとして評価できる。
しかしこのように一定の理解と対策が講じられるようになってもなお、全国的に社会的養護を必要とする子どもたちは増え続け、現在4万人にものぼる。少子化が進む中でのこの傾向は看過できない。
そこで、『社会的養護』の役割・機能が大きく変化している状況を踏まえ、「実親が育てられない子どもへの支援体制」に焦点を絞って、以下、5問質問する。
(1) 社会的養護をとりまく本県の現状について
まず、「社会的養護をとりまく本県の現状」についてである。
本県のこども家庭センターにおいて、昨年度及び今年度に受理された社会的養護を必要とする子どもに関する相談件数と措置件数、またこれらの近年の推移を伺う。
(2) 社会的養護の小規模化に向けた取り組みについて
2点目は、「社会的養護の小規模化に向けた取り組み」についてである。
社会的養護を必要とする子どもは、児童養護施設等の『施設養護』か、里親制度のもとでの『家庭的養護』かのどちらかでケアされる。欧米諸国では7割近くが里親家庭でケアされるのに対して、日本における里親等への委託率は、この40年間、ほぼ横ばいでその割合は1割にとどまっている。
大半の子どもたちが過ごす施設は規模の大きなものが多く、きめ細かいサポートが困難な傾向にあると思われる。個々の子どもの傷ついた心を癒し、人格形成において重要な時期を継続的な人間関係、愛着関係のもとで過ごす重要性からいえば、今後の社会的養護の方向性は、家庭的養護、つまり里親や小規模なファミリーホームが優先されるべきであり、施設養護についてもできるだけ家庭的な養育環境にシフトしていくことが求められている。
政府も平成20年の児童福祉法改正において、里親委託優先の方向へシフトさせ、その割合を『平成26年度には16%』と目標を定めその後30%程度まで目指すということを方針として打ち出している。
現在、こうした里親等委託率は最も低い愛媛県の4.6%から最も高い新潟県の32.5%と自治体間の格差が大きく、兵庫県は6%と伸び悩んでいる。
そこでまず、本県において、家庭という環境を奪われた子どもに、親子関係を実感でき、自分が将来家族を持つ時のモデルとなりうる里親やファミリーホームへの委託率が伸び悩んでいる理由と、今後の取り組みの方針について伺う。
(3) 施設職員、里親の専門性向上をめざした取り組みについて
3点目は、「施設職員、里親の専門性向上をめざした取り組み」についてである。
現在、児童養護施設には虐待を受けた子どもが54%、何らかの障がいを持つ子どもが23%の割合でおり、情緒、精神面等に課題を抱えている子どもたちに適切な援助を行う専門的ケアが必要である。
個別的な支援を必要とする子どもが増加していることで専門里親や、資格を有した職員によるケアが今後さらに求められる。また、専門性以前の問題として、昨年の児童養護施設、里親等の虐待事例が判明しただけで103人に上る。こうした事例は、日々誠心誠意子どもに向き合っている大半の施設職員や里親の立場をおとしめる意味でもあってはならないことである。
また、現在は14%の実施率にとどまる児童養護施設に対する第三者評価を義務づける指針を厚生労働省が打ち出しているが、施設職員や里親の専門性を含めた資質向上について本県の取り組み状況を伺う。
(4) 養護の質向上に向けた市町への支援、連携の強化について
4点目は、「養護の質向上に向けた市町への支援、連携の強化」についてである。
子どもにとって養護の場は選ぶことのできない措置施設であり、措置の場によって質に大きな差、ばらつきがあってはならない。小規模化、地域分散化が求められる中で、施設や地域によって運営の質をどのように是正していくのか。
県が所管するこども家庭センターは専門性を持った分野に特化し、機動的な対応は多くの部分が今後、市町に委ねられる方向にあると考える。マンパワー、財政面などで市町への支援、連携の強化が必要と考えるが、これについて県として具体的にどのように取り組んで行くのか伺う。
(5) 家族再生に向けての取り組みについて
最後は、「家族再生に向けての取り組み」についてである。
虐待等を理由に家族から分離した場合においても、親の課題を取り除いて家族再生に向けた支援を行うことは必要不可欠であると考える。
現在、国では子どもを救うための最終手段として、親権をめぐる法律を見直そうという議論が進められており、専門家会議の議論の中で、親権を失わせる制度を利用しやすくするという方向性で固まりつつある。
この親権喪失は、単に親子の関係を引き裂く手段として使われるべきではなく、親権を失った親が真摯に反省し、わが子に寄り添う心を取り戻して親子関係を再構築するきっかけへとつなげることが最大の目的とされるべきである。
それだけに、今回の見直しにおいては、わが子を社会的養護が必要となる状況に追いやった親をどうフォローするかということも重要な視点になってくる。
県では虐待をした親への家族再生指導事業を継続して行われており、アセスメントについては来年度予算で強化もはかられている。
そこで、事例などをあげてその効果の検証状況についてご説明頂くとともに、今後の具体的な取り組みについて伺う。
●公安委員会
1.女性警察官について
(1) 女性警察官の採用拡大について
(2) 女性警察官の育成対策について
2.レディースサポート交番について
(1) レディースサポート交番の効果と今後の方向性について
(2) レディースサポート交番の更なる周知について
3.児童ポルノの取り締まりと被害防止対策について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(公安委員会)
2012年3月7日(水)
昨年県警が把握した本県内における性犯罪の被害総数は391件で、前年に比べ増加に転じた。被害者は13歳から20代の女性が約70%を占めている。
また、ストーカーやDV被害の認知件数についても高水準で推移し、この一年で県警が認知した男女間におけるもめごと事案は、昨年比で500件以上も増加と大幅に増えている。これらストーカーやDV、また性犯罪の被害者のほとんどは女性であり、その相談対応には、被害者の立場に立った配慮や理解、被害者の心に沿ったきめ細やかな対応が求められる。そこで期待が高まるのが女性警察官の登用、活躍である。
昨今、警察はパトロールや巡回連絡はもとより、地域や学校に出向いて防犯指導や交通安全指導など、直接県民と触れ合う活動も積極的に行っている。県民の声をじかに聞いて管轄する地域の実態や要望を把握し、それに応えることで、地域の警察署や警察官が、地域住民の安心の拠り所となることが求められている。このように県民、地域との密着性が重要になってくる中、女性警察官が果たすべき役割も非常に大きなものとなっていると考える。
そこで、この時代のニーズに県警としてどう対応していくのか、以下、3項目5点について質問する。
1 女性警察官について
まず最初に、「女性警察官」について、2点お伺いする。
(1) 女性警察官の採用拡大について
1点目は、「女性警察官の採用拡大」についてである。
現在、県警には約800人の女性警察官が勤務されており、この数は全体の約7%にあたると聞いている。昨年の採用状況を見てみると、短期長期を合わせ約20名の募集に対し364名が受験、倍率は実に約17倍と男性警察官のそれに比べ8ポイント以上も高く、狭き門になっており、それだけ優秀な人材が確保されていると予想される。
そもそも、警察官の職務においては犯罪の被疑者と直接対峙するなど身体的な強靭さを必要とするものが多いことや、当直室をはじめとする施設整備、また出産や育児休業に伴う代替措置などの様々な課題を解決していく必要性があることから、一朝一夕に女性警察官の採用数を大幅に増やすことは困難であるかも知れない。
しかしながら、先ほども述べたように、性犯罪等にかかる被害者支援や、女性や子どもの安全・安心を確保していく上では、男性警察官よりも女性警察官が適している場合が多いこと等を考えれば、今後の方向性として、女性警察官の採用をさらに拡大して数を増やすとともに、女性の能力と特性に応じた職域の拡大についても積極的に検討を進めるべきと考える。
そこで、ここ数年の本県における女性警察官の採用状況についてご説明いただくとともに、女性警察官への評価を含め、この点について当局のご所見を伺う。
(2) 女性警察官の育成対策について
2点目は、「女性警察官の育成対策」についてである。
警察学校はもちろん、その後の訓練の場においても女性警察官は男性と区別されることなく同様の訓練を受けられていると伺っている。そうはいっても女性警察官が取り扱うことが多い業務に対する専門性の向上や、やはりどうしても男性には劣る体力面の強化、武術の習得など、女性警察官が資質向上を図り、より活躍の場を広げるための指導育成が重要だと考える。
そこで、この点について、県警として、どのような工夫をして取り組んでおられるのか、具体的にお聞かせ願う。
2 レディースサポート交番について
質問の第2は、「レディースサポート交番」について、2点お伺いする。
(1) レディースサポート交番の効果と今後の方向性について
1点目は、「レディースサポート交番の効果と今後の方向性」についてである。
ストーカーや痴漢、DV等の犯罪被害に関する相談などを安心して行うことができることを目的に、現在、県下の21交番がレディースサポート交番に指定されている。私の地元加古川でも2か所の交番が指定されている。
ここでは、女性被害者などが警察へ相談する際の心理的なハードルを下げるため、相談しやすい環境作りに努めておられると聞いている。
そこで、現在の21のレディースサポート交番は、どのような位置的環境にある交番を指定しているのか、また設置後の効果の検証状況についてご説明いただくとともに、今後の設置拡充についてどのように考えているのかをお伺いする。
(2) レディースサポート交番の更なる周知について
2点目は、「レディースサポート交番の更なる周知」についてである。
現在、主に駅前の交番が指定されているが、その立地から鉄道警察隊と連携した取り締まりが、通常の交番機能に加えて求められる。
例えば、増加する電車内での痴漢行為の被害者への、聞き取りや相談対応もレディースサポート交番の大きな役割の一つになっていると考える。これに加え、犯罪を食い止める、重大化させない、という観点から、DVやストーカーなどの相談対応もニーズが高まっていると考えるが、県下のレディースサポート交番における、現在の相談受理状況と受理後の措置について伺いたい。
また、県民の方々からすれば、困った時や犯罪被害に遭った時の相談先としては、警察署よりも身近な交番の方が敷居が低いと言える。
この点、まだまだ認知度が高いとは言えないレディースサポート交番について、より一層、県民への周知を図り、県民の方々が気軽に相談に訪れることができる、地域に開かれた交番づくりに更に取り組んでいくべきと考えるが所見を伺う。
3 児童ポルノの取り締まりと被害防止対策について
最後の質問は、「児童ポルノの取り締まりと被害防止対策」についてである。
インターネットがあまねく浸透した現在、その普及とともに犯罪の形態も大きく変化を遂げている。このインターネットが深く関わっている犯罪の一つに児童ポルノ犯罪がある。
1999年の児童買春・ポルノ禁止法成立後も被害者は増え続け、昨年一年間に全国の警察が摘発した児童ポルノ事件は前年比8.4%増の1455件で、統計を取り始めた2000年以来最多となった。ネット上にわいせつ画像を公開されるなどの被害を受けた児童は638人で、うち16%にあたる105人が小学生以下であった。
ひとたびネット上に画像が流出すれば、コピーが繰り返され拡散される。そのすべてを回収することは困難で、生涯にわたって被害を受け続けることになる。
これに対し、インターネット接続業者であるプロバイダー20数社等がネット上の児童ポルノ掲載サイトを強制的に遮断する、いわゆる『ブロッキング』に取り組んでいる。しかしこのブロッキングも未実施のプロバイダーが抜け道になったり、表現の自由の侵犯に絡む問題に発展したり、また、いたちごっこの技術進化への対応に困難を極めたりと課題は山積している。
中には小学生向けの交流サイトやゲームを入口に、小学生になりすました大人と友達になり、そこから脅迫され被害に遭うケースや、自らが被害に遭っていることすら知らない、その重要性に気づかないまま被害に巻き込まれているといったケースもあり、速やかな対策が求められている。
児童の健全育成に向けた環境作りは社会全体で取り組むべき課題であり、特に児童ポルノに関しては対策の遅れが即被害の拡大につながることから、取り締まりは徹底して行う必要があると考える。県警はサイバー犯罪対策も総合的に推し進めておられ、今後ますますニーズが高まる分野であることは自明。
そこで、県警としての児童ポルノの取り締まり状況と被害防止対策について、どのように取り組むこととされているのか伺う。
●農政環境部
1.兵庫県認証食品の流通拡大について
2.県産品の輸出促進について
3.『農』のゼロエミッション事業について
4.新規就農への支援について
(1) 新規就農の現状と支援状況について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(農政環境部)
2012年3月8日(木)
近年、農林水産を取り巻く環境が話題に上がれば、多くの場合、斜陽産業のように語られ、いかにして保護するのか、この傾向をどうやって食い止めるのかという方向で話が進むことが多い。私は、この分野に精通しているわけではないが、個人的には大きな将来性を持つ分野だと感じている。
私たち子育て中の母親は、食するものに非常に大きな関心を持っている。今、口にしようとしているものは、どこでどうやって作られたのか、『医食同源』『食農同源』という感覚を、もしかしたら人生の先輩方より多く持ち合わせているかもしれない。
私たちの世代はおかげさまで、食べることに困った経験はないが、飽食時代ゆえに‘選びとる’というスタンスが植えつけられている。さらに私よりもう一段階若い世代はゆとりをもった世代で、スローフードやスローライフという概念が思いのほか浸透していると感じることが多い。ぼんやりとではあるが農林水産業の営みに憧れを感じている者も少なくない。
このような中、わが兵庫はそのバラエティーに富んだ五国の恵みを享受できるすばらしい環境にある。かつて県外に出かけ、その土地の料理屋に行くと、大概の場合、『どこから来られたのですか?』と聞かれ、当時住んでいた『兵庫県・明石です』と答えると、『これはいいかげんな魚出せませんね』と言われることがよくあった。これは世間一般で「明石 = 新鮮で美味しい魚」というイメージを持たれているということである。また、海外のレストランのメニューではKOBEBEEFは高級牛の代名詞として堂々と使われている。6月に議員になってからの短い9か月間でも、これまで知らない兵庫の名産に多く出会った。
この分野においても、法による規制や既存の仕組みをはじめ、様々な困難な課題があろうかと思うが、‘攻めの姿勢で稼げる農林水産業’に向け、期待を込めて、以下4項目5問お尋ねする。
1 兵庫県認証食品の流通拡大について
まず、「兵庫県認証食品の流通拡大」についてである。
TPP問題の行方は注視するとして、今のグローバル化の流れというのはどうやっても抗えるものではない。
国内外産地との競争が今後さらに激しさを増す中で、消費者にとって身近なところで生産される農林水産物が安定的に供給されることは大変有益である。このような状況の中、県では消費者が県産品を手に取る機会を増やすべく、ひょうご食品認証制度を創設し、個性・特長のある安全・安心な農林水産物やそれらを使った加工品の認証を行い、流通拡大に努めておられる。
私は、この取組を県民の県民による県民のための買い支え運動となる県産県消運動であると認識しているが、これをより一層盛り上げていく必要があると考える。
そこで、今後の認証食品増加に向けた取り組み、流通販路の拡大について、これまでの成果検証を踏まえた今後の取り組み方針について伺う。
2 県産品の輸出促進について
質問の第2は、「県産品の輸出促進」についてである。
去る1月29日、地元の加古川食肉センターから『神戸ビーフ』の海外輸出第1号が華々しく出発した。私も式典に参加し万歳でトラックを見送ったのだが、数日後の新聞にマカオの百貨店で神戸ビーフ100g5200円!の文字を見つけ胸が躍った。
昨年の福島原発事故後、その影響により日本からの食品輸出は大きな痛手を負った。風評被害の終息を含め、その信頼回復には一定期間を要するかとは思われるが、長期的に見た場合、輸出促進に向けて継続的に取り組むことが重要であると考える。
中国をはじめアジア諸国の経済発展による富裕層の拡大に加え、何と言ってもメイドインジャパンの安全性、品質の高さへの信頼は高い。中国や韓国ではパッケージも自国用に変えず、日本仕様の方が売れ行きがよいということが多々ある。
そこで、新たな販路を求めて、県も積極的な取り組みを進めておられるが、その手ごたえはいかがなものか。また、具体的目標数値として輸出品目数を平成32年に15品目とされているが、目標達成に向けて重点的に実行を図るべき事項について、ご所見を伺う。
3 『農』のゼロエミッション事業について
質問の第3は、「『農』のゼロエミッション事業」についてである。
県においては、農産物残さ、食品廃棄物、家畜ふん尿など未利用資源を含めた多様なバイオマスを総合的に再生利用することで廃棄物を限りなくゼロに近づけるという『農』のゼロエミッション事業を展開されている。
この事業を推進していく上での指針となるバイオマス総合利用計画が平成17年度に策定されてから、既に7年が経過した。おそらく当初は今ほど循環型ライフスタイルの意識も高くなかったであろうから、その普及啓発、裾野を広げるという点で、この取り組みは一定程度、貢献されたのだと思う。私の地元でも企業・消費者・授産施設が一体となって天ぷら油の廃油からのBDFの製造・利用に取り組んでいる。ラッピングカーも街中を走行し市民の意識も高まってきつつある。
しかしながら、バイオマスの利活用促進と一言でいっても、その種類に応じた処理が必要であり、それぞれを十分に使い切るということは大変難しい。また、再生可能エネルギーの一つとしても捉えられているが、電力の供給減としては技術面、コスト面で現実的ではない。そもそも、捨てるものを減らそうとする一方で、それを資源として活用する量を増やそうというのは、理念として考えても少し苦しいものがあるのではないか。
このようなことを考えれば、私自身は、個人的には、県が進める『新ひょうごの森づくり』にも資する間伐材の活用に特化ないし重きをおいて実績を積み上げるのがよいのではないかと考えている。
そこで、二酸化炭素削減効果やエネルギー収支をストイックに追及していくのか、盛り上がりつつある各地域のバックアップに徹するのか、県民への啓発に重点をおくのか、今後、どこに軸足を置いて『農』のゼロエミッション事業に取り組んで行くのか、当局の方針について伺う。
4 新規就農への支援について
最後の質問は、「新規就農への支援」について、2点お伺いする。
(1) 新規就農の現状と支援状況について
1点目は、「新規就農の現状と支援状況」についてである。
先月の文教常任委員会の管内調査で県立播磨農業高校に行ってきた。ここは文部科学省から『農業経営者育成高校』に指定された全国でも数少ない高校の一つである。人気も高く、調査の際も学生が生き生きとした眼差しで学ぶ姿が印象に残った。
生徒は、3年間、農業に関する基礎的技術や知識を身につけて卒業する訳だが、平成22年度の卒業生107人のうち、農業や農業関連産業に就職する者は非常に少なく、わずか6人であったとのことである。志を持って専門的に農業を学んだ子が多く、就農希望者も多いが、就職先としての農業という受け皿の不足が理由で、このような状況となるのは、非常に残念である。
これだけ後継者不足が叫ばれ、新規就農者を増やそうと積極的な施策を展開されているはずであるのに、この現状はどういうことなのかと率直に疑問に思う。農家に限らず、どんな業種でも自営を始めようと思えば初期投資が必要である。しかし、ほかの分野の多くは、まず下働きできる場がある。力をつけて、資金を貯めて、独立開業していく。
しかし、学校を卒業して、また無職の状態から、職業としての農を選択肢として選ぶことは、やはり厳しいのが現実ではないか。
そこで、県でも新規就農者確保のための支援を行っていると考えるが、うまく機能しているのか、まず、新規就農の現状や課題をどのように認識しているのか、また、これを踏まえ、現在、どのような支援策を展開されているのか伺う。
●企業庁
1.戦略的な企業誘致の展開について
(1) これまでの取組状況と分譲実績の推移について
(2) 今後の企業誘致戦略について
2.企業庁における危機管理対策について
(1) 災害時の水道・工業用水道事業継続計画(BCP)の策定について
(2) 工業用水道ポンプ場の浸水対策について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企業庁)
2012年3月9日(金)
1 戦略的な企業誘致の展開について
まず、「戦略的な企業誘致の展開」について、2点お尋ねする。
(1) これまでの取組状況と分譲実績の推移について
1点目は、「これまでの取組状況と分譲実績の推移」についてである。
2008年秋に起こったリーマンショック後の景気後退からようやく回復の兆しを見せ立ち直りつつあったわが国の経済は、昨年3月に発生した東日本大震災により、再び大きな打撃を受けた。
その後、多くの国民や企業等の懸命な努力により、復興需要の増大等とも相俟って、生産及び消費の面では概ね回復したように思われるが、雇用・所得環境は未だ厳しい状況が続いている。
また、欧州の政府債務危機により海外景気が下振れし、国内景気が下押しされるリスクが存在するとともに、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらにはデフレの影響等もあり、わが国経済の先行きは未だ予断を許さない状況にある。
このような厳しい状況が続く中、多くの企業が生産拠点の国外移転を進めるなど、企業の海外シフトの動きがより一層加速しており、企業誘致に取り組む上では限られたパイ、それも徐々に小さくなっていくパイを奪い合うような状態となっている。
そこで、このような厳しい状況下での企業誘致に向けたこれまでの取組状況と分譲実績の推移についてお伺いする。
(2) 今後の企業誘致戦略について
2点目は、「今後の企業誘致戦略」についてである。
企業庁が行っている産業用地等の分譲促進を柱とする地域整備事業は、第2次行革プランにより、平成30年度末の分譲進捗率約90%を目指し、既開発団地の分譲促進等に取り組むこととなっているが、先ほども述べたように、国内企業による海外への設備投資が加速するなど、企業誘致を取り巻く環境は非常に厳しい状況にある。
この点、国内企業による生産拠点の海外移転の流れは、1990年代からの大きな長期的な流れであり、今に始まったことではない。
そもそも少子高齢化や人口減少が進み、市場としての成長性が国内では期待できないことに対し、アジア諸国をはじめ新興国に対する新たな「市場」としての期待は大きく膨らんでおり、また、そこには安い労働力が存在することから、需要のあるところに生産拠点を移すことは、企業としては当たり前の行動である。
しかし、そのような状況に手をこまねいている訳には行かない。国内の産業空洞化は、ひいては地域における経済・雇用の悪化や、地域全体の活力の低下を招くことに鑑みれば、戦略的かつ積極的に企業誘致活動に取り組み、1社でも誘致実績を上げていく必要がある。
今、国内に投資するには『あえて』感、理由づけがいる。リスクとコストのジレンマにあえぐ企業の背中を後押しするには、強力な磁場が必要である。
そういった意味では、本県に存する、京速コンピュータ「京」、SPring-8や先日供用開始したX線自由電子レーザー施設SACLAといった多彩な科学技術基盤の集積や、ものづくり産業を中心とする全国に誇るべき分厚い産業基盤は、他地域との差別化を図ることのできる大きな強みになり得るのではないか。
こうした強みを有効に活用しながら、より積極的かつ綿密な企業ニーズの把握と、個々のニーズを踏まえた細やかな対応を行うことにより、是非とも、平成30年度末の分譲進捗率約90%を達成して頂きたいと考えるのだが、この数値についてはこれまでの目標設定、達成率を検証してみて手の届く数字なのか。
今後、どのような戦略、方針を持って目標達成を図って行かれるのか、当局の意気込みをお伺いする。
迎山志保
加古川市
●病院局
1.こども病院における遠隔地の患者への対応ついて
2.県立病院の果たすべき役割について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(病院局)
2012年3月6日(火)
1 こども病院におけるの実施計画に遠隔地の患者への対応ついて
こども病院立替整備基本計画がまとめられておりますが、これまでも多くの方々が一般質問されるだけでなく私も質問いたしましたし、あるいは昨年の8月に行われたパブリックコメントでは28人の方々が意見を述べられています。その中における診療機能や施設整備方針等については、概ねその意見に対して応える、または反映された内容となっていると思います。
しかし、立地場所については、もちろんの事ながらすべての方々の意見に応えられないことは当然でそれこそ大所高所からの判断があり、神戸市中央区港島に決定となったと理解をいたします。
そこで、西播磨地域をはじめとする遠隔地通院利用者への対応についてお尋ねいたします。
2 各県立病院の果たすべき役割についてについて
今年度の病院局の主な事業として、県立こども病院の移転整備、県立尼崎病院・県立塚口病院の統合再編、県立淡路病院の移転整備、県立光風病院児童思春期病棟の整備となっており、その目的としてそれぞれ、小児、周産期医療の全県の拠点病院としての診療機能の充実を図る、救急医療、小児医療、周産期医療の一層の充実を図る、淡路圏域の中核的病院としての機能の発揮を図る、児童、思春期の精神疾患患者に対応した病棟の整備を図るとしています。
それ以外に、がんセンター、姫路循環器センター、粒子線医療センター、災害医療センター、リハビリ2病院は、名のとおりに特化をした政策・高度医療の提供だと理解いたします。西宮病院は、昭和48年に自治体病院としては初めて腎移植を行ったこと等から、腎疾患総合医療センターや未熟児センターを要するなどの特色があるとは考えます。
24年度の予算では、それらの政策医療への一般会計からの負担として救急医療対策費、特殊医療経費、高度医療経費などの名目で14病院に総額139億82百万が繰入されています。収益的収入997億61百万円の実に14%を占めています。
そこで、改めまして、政策医療を提供していくうえで県立病院が果たすべき役割についてお伺いします。
改めて考えてみますと県立病院の果たしている役割として、殆どの病院に共通することは3次救急医療の提供にあって、光風・こども・がん・姫路循環器・粒子線・災害・リハビリ2病院はそれぞれに特化をした政策医療の提供にあると思いますが、尼崎・塚口をはじめとする6病院は高度医療も受持っていますが地域の総合病院としての要素が強いと考えます。
淡路・柏原病院を除けば姫路から阪神地域の海岸線にあり民間の医療資源も豊富なところであり、もちろん各医療圏域での役割も考慮はされていると考えますが、私は本来医療資源の乏しい但馬や丹波、あるいは西播磨などの郡部に県として手を差伸べてほしいと考えます。
●農政環境部
1.農業政策の予算確保について
2.競争に強い農業の確立に向けた取り組みについて
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(農政環境部)
2012年3月8日(木)
1 農業政策の予算確保について
TPP問題でにわかに農業政策がクローズアップされてきています。本来は産業、生業としての農業が一番基本的な産業であり、まさしく食、衣、住であるべきものだと考えます。もちろん、その前提として水や空気や太陽の光などの自然の恵みがあることはいうまでもありません。しかしながら、工業生産物の価値と農業生産物との価値が、現代の市場経済の中で大きく開いてしまっていること自体がそもそもの問題かもしれません。
また、1月の政務調査会の際にも質問いたしましたが、中山間地域等直接支払制度について平成22年度からの第3期対策で要件緩和等がなされ対象面積が増加したところですが、平成23年度以降の第3期対策における交付金については県費の追加的措置が困難であることから、増額の対応ができない旨の通知が楽農生活室長から関係農林水産振興事務所長宛になされていることが判明いたしました。本来国の制度に対して、県が随伴することができないから行わないとすること自体、私には理解できません。それだけに、相当に厳しい財政環境と思うわけです。
来年度の農政環境部の予算について、しかも農業だけに絞って見てみますと、競争に強い農林水産業の確立に向けて、担い手の育成(新規就農者の育成)として、新規就農者確保事業に6億81百万円、就農スタートアップ支援事業に12百万円、新規就農促進モデルファーム設置事業に8百万円、戸別所得補償経営安定推進事業に2億31百万円などの新規施策に対して9億31百万円の予算を確保しています。また、生産力の強化、6次産業化の推進、農業生産力の強化なども打ち出されていますが、農業費全体では、対前年度比でわずか2億96百万円増でしかありません。
そこで、このように厳しい県財政の中で、農業政策に係る予算について、どのようにスクラップ・スクラップアンドビルドして作成したのか、その考え方についてお尋ねします。
2 競争に強い農業の確立に向けた取り組みについて
農業がなかなか産業として立ちゆかなかった原因のひとつとして、小規模零細で兼業経営が主体の生産構造であると考えます。
食料増産時代は、生産者は米や野菜、畜産物の生産に専念し、それを農業協同組合が販売するという役割分担のもと、分業による農業が展開されていることは良かったと思いますが、消費者ニーズが多様化し、それに応えるために量販店と産地が直接契約するなどの取り組みや、加えて、農畜産物価格の低下などの時代の流れに応じて、生産から加工・販売に至るまでの収益構造を持った生産構造への変革が必要であると考えています。このような時代であるからこそ、スケールメリットを生かした低コスト・省力化生産を行い得る大規模・専業化、生産法人化、更には加工品製造とそれらの販売を含めた高収益型の6次産業化等の企業化をめざすことに至ったのもそのような課題克服のために採った手段であると思っています。
すでに県内でも、そのような企業化を行い、成功している事例も増えてきていますが、今でも本県生産者の圧倒的多くが企業的経営者・企業的経営体への移行が行われておらず、そのためには、大変な努力が必要であり、それを支援する役割を果たしていくのは普及指導員ではないかと思っています。
そこで、行財政構造改革に取り組むなか、普及指導員も平成18年度と比較して、今年度末で30人減少していますが、産業として、国内外の競争に強い本県農業の確立に向けて、農業者と直接接して農畜産物の生産技術や経営の指導を行う、普及指導員の指導力向上や活動の効率化及び活動強化のための新規事業の展開も含めどのように進めていくのかお伺いします。
●県土整備部
1.総合治水条例の施行を踏まえた今後の河川整備について
2.山陰本線、播但線等の利便性の維持について
3.歩行者・自転車分離大作戦の実施について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(県土整備部)
2012年3月9日(金)
1 総合治水条例の施行を踏まえた今後の河川整備について
平成16年台風21号・23号による被害や平成21年台風9号による被害を受けて中・上流域の河川整備や治水・砂防事業さらには災害に強い森づくり等様々な事業が進められています。また、平成23年台風12号・15号による被害に対しても、災害復旧事業はもちろんのこと、堆積土砂の撤去や緊急河川整備など、迅速に対応していただいています。
このように近年の台風等による大雨や集中豪雨、局地的大雨に対しては、河川や下水道の整備といったこれまでの治水対策だけで、浸水被害を防ぐには限界があり、今定例会において総合治水条例が上程されているところです。
総合治水条例の議案では、第8条において河川の整備及び維持が謳われており、①ダムの設置、河道の拡幅、堤防の設置、河床の掘削等の対策を、計画的、効果的に組み合わせて整備を行う。②河川内の樹木、土砂等の流水の妨げとなる物の撤去等を行う。③過去の氾濫において著しい被害のあった河川にあっては、同様の降雨があった時においても、浸水被害を軽減できるよう、河道の拡幅、堤防の補強等を行う。④流下能力が下流に比べて著しく低い個所のある河川にあっては、流下能力を向上させるため、河床の掘削等を行う。となっています。
これまで、河川整備予算は少なく、中・上流域の河川整備は決して十分とは言えなかったと思っています。
そこで、第2次行革プランにおいて投資的事業は大幅に削減されているなかでの総合治水条例の施行となりますが、条例制定を踏まえ、今後の河川整備をどのように進めていくのか、ご所見をお伺いします。
また、昨年の台風災害では、堆積土砂が多く発生したわけですが、逆に上流域では洗掘が進み、とりわけ床止工等といわゆる護床工との接合部分の洗掘が著しくなっており、護床工をはじめ護岸工等の構造物の破壊につながりかねません。護床工の延長等の検討やあるいは堆積土砂を活用した補強なども必要と考えますが、この点についてもあわせてご所見をお伺いします。
2 山陰本線、播但線等の利便性の維持について
山陰本線や播但線などのローカル線は、人口減少やマイカー通勤の増加などにより利用客の減少が進んでいます。しかしながら交通弱者と言われるお年寄りや通学生などにとっては、なくてはならない重要な公共交通であることから、兵庫県及び地元市町では利便性向上に向けて、姫新線の高速化に取り組むとともに、大都市近郊の利用者の多い駅においてはユニバーサル社会に対応すべくエレベーターの設置や駅舎の改築、さらには駅前広場の整備など多くの費用負担を行っています。JR山陰本線・播但線でも、輸送改善事業として今年度までに、2億44百万円、来年度も1億52百万円の支援を予定しています。
このような状況の中、JRは普通列車のうち①利用が1人/日に満たない便のうち、②通勤、通学、通院に影響の少ない便について、駅を通過することにより、速達化を図るとしましたが、その実施にあたり、JRは地元自治体や県とも事前協議を行うことなく、一方的に11月29日に通知し、その後、6回の協議と2月17日には関係自治体と要望会の場だけは持ちましたが、何ら改善することなく、平成24年の3月17日のダイヤ改正から計画通り実施するとして、ダイヤ改正を発表しました。
県当局の説明よれば、時間短縮効果は、行き違いや乗りつぎ時間の増加により相殺され、最大でも豊岡浜坂間で4分とされています。しかも、山陰本線豊岡~浜坂間では玄武洞・鎧・久谷駅で4便が通過し、平均2分の短縮効果はあるものの、乗継時間が逆に1.3分伸び、実際には0.7分しか短縮されません。
また、豊岡~城崎温泉間では、4便が玄武洞駅を通過し、短縮時間は、0.8分、浜坂~鳥取間では、9便が居組駅を通過することで平均1.7分の短縮の効果があるものの、乗継で1分の増加となり、こちらも0.7分しか短縮されません。
また、播但線長谷駅では、8便通過となるものの、姫路~和田山間では乗継や列車の行き違い待ち時間の増加により、逆に所要時間が平均2.2分、最大で11分増加し、乗継のない寺前~和田山間を取ってみても、8便中2便で2分、8分の増加となります。
さらには、通過設定の駅でも単線のために列車の行き違いの必要から運転停車が必要であったり、列車間隔が1時間から1時間30分へと拡大するなど、速達化どころか、利便性を著しく低下させるだけの内容となっています。
そこで、県当局は、これだけ明確に、JRの停車駅の見直し計画についての矛盾を把握しているのであれば、JRに対してもっと強い姿勢で臨み、計画を撤回させるべきではなかったのか、そして今後、3月17日以降の早い段階で元のダイヤに戻すように強く働きかけるべきと考えますがご所見をお伺いします。
3 歩行者・自転車分離大作戦の実施について
都市部においては、自転車と歩行者との接触事故が多発していることから、歩行者と自転車を分離する取り組みが数年前から始められています。
平成24年度は6億5千万円の予算を投じて、新たに「歩行者・自転車分離大作戦」と銘打ち、実施をされることとなっています。また、この中で歩行者対自動車の分離対策も併せて実施をされることは、歩行者や自転車の安全対策への効果が期待できるものであります。
一方、郡部においても自動車交通量の多い路線もあります。しかも、歩道幅員が2.5m以下の場合、学校付近や公共施設の近くを除き、自転車の歩道通行は認められておらず、自・歩道は連続していませんので、自・歩道の認定外の部分では自転車は車道を走らなければなりません。
自転車の安全確保の観点からは、私は、部分的な自・歩道認定でなく、連続した認定していくべきと考えていますが、警察は今以上の認定を行う考えはないようであります。
歩行者・自転車分離大作戦の実施にあたっては、安全確保のために車道・歩道や路肩部分をカラー舗装で視覚的分離していくことになりますが、歩行者と自転車の分離対策、歩行者と自動車の分離対策のいずれについても連続性の確保が重要と考えます。
そこで、事業実施していくにあたり、安全対策の連続性をどのように確保していくのか、ご所見をお伺いいたします。
●総括審査・意見表明
1.選択と集中による県政の推進について
(1) 施策の「選択と集中」と財源対策について
(2) 但馬空港の見直しに向けた議論について
2.命をまもる県政の推進について
(1) 自殺抑制対策の一層の推進について
(2) 動物愛護に向けた適切な取り組みについて
3.地域における多文化共生社会の実現について
4.消費者サイドの視点に立ったひょうご農林水産ビジョン2020の推進について
5.総合的な治水対策の全県展開について
6.自転車事故の防止と安全・安心対策の推進について
全文
第308回2月定例会 予算特別委員会質問(総括審査)
2012年3月14日(水)
1 選択と集中による県政の推進について
(1) 施策の「選択と集中」と財源対策について
24年度予算案を新聞社は「にじむ苦心の井戸色」と評していますが、厳しい財政状況の中で、21世紀長期ビジョンのもと、少子高齢社会福祉ビジョン、ひょうご経済・雇用活性化プログラム、ひょうご農林水産ビジョン2020など各分野の推進施策を展開され、さらに東海・東南海・南海地震等への備え、総合的な治水対策の推進や災害に強い森づくりなど防災・減災対策を盛り込んだまさしく「にじむ苦心の労作」と私も考えています。
知事は、今県議会等においても、第2次行革プランの着実な推進を基本に「選択と集中」を徹底し、県民ニーズに的確に応える施策を重点的に展開するとともに、行財政全般にわたる改革の推進をゼロベースから行った旨述べておられました。
一般会計の予算規模が、前年度の94.7%、1,125億円下回る2兆160億円の規模となり、事務事業も新規事業との差し引きで132事業減とした、まさに「スクラップ・スクラップ&ビルド」予算であるということが伺えます。
知事の説明によりますと、中小企業融資貸付金の23年度分が計画よりも減少したことと、公社等貸付金を自前で公社債を調達してもらうことにより、中小企業制度融資貸付金が対前年度比501億円の減、公社等貸付金が対前年度比351億円の減となったことが大きく、さらに定員の削減や給与の見直し、退職手当の減などにより人件費は対前年度比156億円の減等々によるとされています。
また、県税と地方交付税などを合わせた歳入の一般財源総額は前年度から17億円増加する一方、公債費や社会保障関係費の増に伴って収支不足額がなお780億円に至っていることに対しては、退職手当債や行革推進債の発行と県債管理基金の活用で対応を図る一方、県債発行の平準化のため借換債の発行、これはその借換え全体は変えないにしても23~26年度間において従来の借換え率を大きく変更するなど、県債の償還・管理面においても、財政運営の(老獪)テクニックを駆使されて乗切ろうとされています。
一方、次世代に負担を残す県債に関しては、前年度を26億円下回る1,401億円の計上に止まったものの、県債残高は臨時財政対策債分のウェイトが大きいとはいえ、過去最高の3兆8,923億円となっています。
財政状況審査の際に我が会派の山本委員の質問によって明らかにされたように、県債残高に対する金融機関への利子負担見込みが年間約811億円超に及んでいる状況は、今後の市場金利の動向によってリスク管理が厳しくなることも予想され、山本委員の伊丹市の予算規模は660億円で、またその後の新聞報道では、加古川市の一般会計予算規模に匹敵するとのことで、やはり適切な対応が必要と考えます。
そこで、平成24年度予算編成にあたり、どのような基準で施策・事業の「選択と集中」を行われ、その結果としてどの程度の財政効果を見込まれたのか、併せて、起債に出来るだけ頼らない財源確保の必要性をどのように認識しておられ、どのように取り組もうとされるのか知事の所見を伺います。
(2) 但馬空港の見直しに向けた議論について
これまで、財政収支見込・フレームを巡り、とりわけ経済成長率や税収の見込みが甘いのではないか、あるいは国による緊急経済雇用対策や人事院勧告、医療費報酬改定等々の条件変更などによるフレームの対応をその都度各議員が説明を求めてきました。
それらを聞いておりまして今私が思っていますことは、いかにフレームの前提条件が変わろうと平成30年度には実質公債費比率18%水準、将来負担比率(震災影響を除く)250%水準、県債管理基金積立不足率 平成19年度の2/3水準等々の財政運営の目標は、確実に達成するとの当局の強い自信を感じています。
ならば、増え続ける社会保障関係費などの行政需要を行う財源をいかに確保するのかということです。一つには、定員削減(3割)による総額人件費の削減、これは3年間で既に15%の達成、二つに消耗品や印刷費などの事務費の見直し、これらも多くが既に見直されたと考えます。残るは事業において知事のおっしゃるスクラップ・スクラップ&ビルドです。
県土整備部の部局審査の際に我が会派の岸口委員が言いましたが、本当に但馬空港は但馬地域の振興においてその役目を果たしているかどうかということです。但馬地域の振興を考えたときに、城崎温泉、湯村温泉をはじめとする温泉、山陰海岸ジオパーク、とりわけ香住海岸は素晴らしいものだと思います。カニや但馬ビーフ、スキー場等々素晴らしい観光資源を持っています。その観光資源を活用、観光客に堪能してもらいゆっくりと泊ってもらうためには車のドライブ、汽車、あるいは自転車等の旅があるかと思います。
但馬空港には、空港管理費、運航対策費、空港公園維持修繕費併せて4億7千万円が投じられ、但馬空港推進協議会の運賃補助も入れれば莫大な金額と言えます。
一度真剣に但馬空港のあり方と方向性について検討する委員会設置等が必要な時期に来ているのではないかと考えますがご所見をお伺いします。
2 命をまもる県政の推進について
安全・安心の基盤をつくる県政の推進にあって、何よりも大切に考えなければならないのは命を大切にする・命を守る取り組みではないでしょうか。
その施策の代表例として、今回、我が会派としては、自殺抑制対策と併せて、動物愛護に向けた取り組みを伺いたいと思います。
すなわち、人においてその命が大切なように、動物の命についてもその尊厳を守ることが大切で、人と動物とは生命的に連続した存在であり、生きとし生けるものを大切にする心構えのもと、施策に反映させることが欠かせないとの考えを基本に据えて質問に入ります。
(1) 自殺抑制対策の一層の推進について
昨年の決算特別委員会総括質問や今回の部局審査で我が会派の藤井委員が質
問してきましたが、「県民のいのちを守る」取り組みは「県民の安全・安心の基盤づくり」に繋がる最重要課題であるという観点から自殺対策の一層の推進に向けた質問をいたします。
ご承知のように、全国の自殺者数が平成23年に30,651人であり、平成22年版厚生労働白書によると先進7か国の中では、我が国の自殺率は最も高く、15歳から34歳までの若い世代の死因で自殺がトップなのは我が国のみです。
(部局審査でも藤井委員が申し上げましたが)本県の自殺者数は、平成9年から平成10年にかけて987人から1,452人へと約1.47倍に急増して以来、昨年まで1,300人前後で推移しています。
平成28年までの残り5年間で自殺死亡者数を1,000人以下にするという目標の達成向けて年次計画を立てたうえでいかに取り組むかが肝要です
厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」によれば、自殺に至るには主に4つの要因が背景にあると言われ、国の統計でも自殺の原因として健康問題、経済・生活問題、勤務問題等の割合が高くなっていることからも、自殺対策はもとより一部局の取り組みのみで完結するものではありません。
また、うつ病など、精神衛生上の対策を中心とした取り組みだけでは、目標
達成は難しいのではないかと考えられ、部局横断的な取り組みに加えて、自殺抑制を県民運動として取り組むことが必要と考えます。
部局審査の際に、藤井委員が申し上げたように、例えば、交通安全対策委員会にあっては、各種団体も構成員として参加しており、ストップ・ザ交通事故県民運動の成果もあって、交通事故の死者が平成3年の489人から平成23年の198人に減少、ピーク時である昭和44年の740人からは4分の1になっているとのことです。
こうした効果を期待すべく県民運動を進めるためには、例えば、まず県内でモデル地区を指定したうえで県民参加のもとで県民運動推進会議を開催するといった方法も考えられます。
健康福祉部局審査の際に、久保部長から年次計画を含めた対応を行う旨積極的な答弁を頂いておりましたが、自殺抑制に向けた県民運動の果たす役割を改めてご認識いただくとともに、その具体化に向けた当局の決意について伺います。
(2) 動物愛護に向けた適切な取り組みについて
内閣府の調査によれば、全国の1/3の家庭で何らかのペットが飼われている現状にあり、飼い主との絆や癒しなどの面から見ても、まさに家族同然の存在といえます。
しかしながら、平成20年に全国の自治体に持ち込まれた動物の数は、犬・猫合わせて計315,107頭にも昇る中で、行政処分がなされたものはこれも合わせて、287,095頭にのぼる一方で、返還・譲渡された動物の数は、計42,161頭と、処分率が91パーセントにも及ぶ状況にあります。
しかしながら、部局審査の際に藤井委員が申し上げたが、熊本市動物愛護センターでは“殺処分ゼロ”の取組が行われています。
同センターは、性格の良い犬でさえ殺処分される現実に直面し、市民協働の観点から獣医師会、動物愛護団体、ペットショップや盲導犬使用者などを構成員として動物愛護推進協議会を設置し、市民協働による返還率を高める取り組みに加え、引き取ってもらえるよう、しつけ直しなどの取り組みにより劇的に殺処分数を減らした結果、平成5年度には1,794匹の犬を殺処分していたのが、平成21年度以降の生存率は9割を超えるに至りました。
本県動物愛護センターにおいて平成22年度に収容及び引き取りした犬と猫の合計頭数5,326頭のうち、殺処分となったのは約97%の5,145頭である実情と比較すれば、隔絶の差と言わざるを得ません。
平成20年3月に策定された本県の「動物愛護管理推進計画」には、「動物愛護の高揚は、人を含めた動物に対する生命尊重意識の高揚として県が取り組むべき重要課題」と位置づけられているにもかかわらず、動物愛護に関する予算、いわゆる『譲渡等生命を守る対策』に関連する予算が約14百万円であるのに対して、『動物処分業務』に関わる予算は、その2倍以上の29百万円で殺処分に重点が置かれているかを物語っています。
この予算を見る限り、動物愛護推進計画の趣旨が活かされていないと断ぜざるを得ません。
こうした実情を打開し、推進計画の平成25年度見直しに向け、本県においても、せめて生存率を5割に高める具体的な取り組みが必要ではないかと思います。
そのためにまずやらなければならないことは、飼い主を探すことのできる期間を熊本のように10日~2週間程度に延長したうえ、その期間内に集中的かつ広範的にケーブルテレビやウェブサイト、新聞、学校等において迷い犬・猫等の情報発信を徹底することとあわせ、その間に動物が待機しておけるよう、現在1センターあたり5~6頭に過ぎない動物愛護センターの保管・収容能力(キャパシティ)を熊本並みの60頭分へと大幅に拡充する取り組みが必要であります。これは現在の敷地面積でも充分可能なことと考えられます。
そこで、「動物愛護推進計画」にある生命尊重意識の高揚に向け、その実効性を上げる取り組みをどのように進めていかれるのか、当局の所見を伺います。
3 地域における多文化共生社会の実現について
人口減少時代を迎え、また経済のグローバル化によって人の国際移動がさらに活発化すること等を考えると、外国人住民にかかわる課題は、近い将来において大きな社会的課題になっていくものと考えられます。
本県でも、「国際交流」を柱として地域の国際化を推進してきたが、地域社会の変化を勘案した場合には、「多文化共生」今後の大きな柱として、推し進めていくことが必要になると考えます。
総務省が2005年に設置した「多文化共生の推進に関する研究会」では、地方自治体が地域における多文化共生を推進する上での課題と今後必要な取組について、「コミュニケーション支援」、「生活支援」および「多文化共生の地域づくり」の3つの観点から検討され、検討結果として「多文化共生推進プログラム」が作成されました。
中でも、産業労働部の審査において、我が会派の山本議員が質問した医療通訳システムの導入は、地域住民の生活・命に関わる問題として、特に重視すべきと考えられます。
すなわち、外国にルーツをもつ日本語の理解が不十分な住民は、日本語を習得するまでの間、病気になっても言葉の壁により十分な医療サービスを受けられない場合も多く、特に集住地域はあまりない一方で、外国人の数は決して少なくない本県では、細かな言語的ニーズを意識した医療通訳システムを確立し、県内広域で展開していくことが求められます。
神奈川県では、2002年から医療通訳システムのモデル事業を実施し、助成終了後には、各関連機関の協働でシステム継続が出来ています。
この神奈川県のように、システム運営に係る経費を多様な機関が分け合う形は、兵庫県でも参考にできる形ではないかと思われますし、申し上げてきた多文化共生社会の実現に向けた大きな一歩になり得ます。
外国人住民も、日本国民と同じ地域住民の一員であることの認識のもと、地域社会の構成員として共に生きていくことができるよう、医療通訳システムを始め、多文化共生社会の実現に向けた県の認識と取り組みを伺います。
4 消費者サイドの視点に立ったひょうご農林水産ビジョン2020の推進について
部局審査の答弁では、「ひょうご農林水産ビジョン2020」の4つの基本方向に沿った施策として、農業分野では担い手育成を図るため新規就農者確保事業や、農業生産力の強化を図る野菜増産プロジェクト事業、ブランド化・6次産業化などに予算を重点配分しました。
また、農林水産ビジョン2020において、具体的・野心的目標を掲げた、産業としての力強い農林水産業の実現のためには、農畜産物の生産技術や農業経営に係る知識等をもって農家に直接接して指導する普及指導員の活動は、極めて重要であり、これまでにも具体的な成果を上げている旨の答弁をいただきました。それらはいわゆる生産サイドの取組であり、少しずつ成果が出ていることも理解します。
今回は、消費者サイドの観点から、6次産業化による流通販売のあり方、もっと言えば、生産者サイドの値段で消費者ニーズに沿ったおいしく安全な農産物を如何に効率的に生産・販売する仕組みを構築できないかという観点から質問します。
例えば、千葉県の農事組合法人和郷園と株式会社和郷、熊本県の農業生産法人都城園芸組合と有限会社新福青果、山口県の株式会社秋川牧園、株式会社大潟村あきたこまち生産者協会と私が視察を行ったところですが、地域の生産者と法人が資材の共同購入、栽培技術の修練や土壌・残留農薬調査、生産物の加工から販売までを行い、それらはまさしく6次産業化といえる取り組みでした。そしてそれらは、加工・販売の部分が非常にしっかりしている点がポイントです。
そこで、県として「ひょうご農林水産ビジョン2020」の取り組みの中で、消費者サイドと生産サイドをつなぐ施策をどのように展開されるのか、特に消費者の理解や信頼を得るためにも、申し上げたような、生産者組合と法人との連携による生産・加工・販売の一体化に如何に取り組んで行かれるのか伺います。
5 総合的な治水対策の全県展開について
総合治水条例に対して、私は高く評価をするだけでなく大きな期待を持っています。
部局審査では、条例制定を踏まえ、第8条に絞って今後の河川整備予算の確保を含めどのように進めていくのかお尋ねしました。
それに対して、下流からの改修に時間を要することから下流流下能力見合いの改修や巻堤による堤防補強などの河川整備を行うとともに、条例をよりどころとして市町、県民等と一体となって、流域での貯留、遊水機能の維持などの流域対策、二線堤・輪中堤の設置、建物等の耐水化、防災情報を活用した避難の確保などの減災対策を推進することにより、河川整備と相まって、地域の安全度を向上させるとの答弁をいただきました。
総合治水条例は本当に素晴らしい内容で、県民、開発者、県・市町のそれぞれの義務と役割を定め、河川・下水道対策として、河川整備、下水道整備により「ながす」、流域対策として、開発に伴う調整池の設置及び保全、雨水貯留浸透機能の付加及び維持、雨水貯留容量の確保、出水時における河川へのポンプ排水の抑制、土地の遊水機能の維持、森林整備による保水力の維持及び向上により「ためる」、減災対策として、浸水が想定される区域の指定、浸水による被害の発生に係る情報の伝達、浸水による被害の軽減に関する学習、浸水による被害の軽減のための体制の整備、訓練の実施、建物等への耐水機能の付加、二線堤、輪中堤等による集落の浸水による被害の防止、浸水による被害からの早期の生活再建への備え(共済、保険への加入)により「そなえる」、加えて、土地利用計画策定者・県民等と連携することにより、浸水時の被害を減らすとされています。
この素晴らしい哲学を、県民、開発者、県・市町がどのようにして、それぞれが義務と役割を認識して実効あるものにするかにかかっています。そこで、とりわけ県民や開発者に対してどのように周知徹底を図り理解を得ようとされているのかについてお尋ねします。
6 自転車事故の防止と安全・安心対策の推進について
自転車による交通事故は深刻化しており、警察庁によれば、平成23年の自転車が、当事者となった交通事故件数は、144,017件で、平成17年から減少傾向にあり、10年前の0.82倍となっておりますが、交通事故全体に占める割合は漸増傾向にあり、10年前の1.13倍と高い水準になっています。
同じことが県内でも言え、ここ数年、毎年8,400件程度の自転車関係事故が横ばい状態で発生しており、特に全人身交通事故が減少傾向で推移している反面、そのうちの自転車関係事故の占める割合が、増加傾向で推移するなど極めて憂慮される状況であります。
そのような現状の中、昨年、警察庁が発出した通達により、各都道府県警察では、自転車通行環境の確立や自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進、指導取締りの強化について取り組んでいることと思います。
しかし、自転車が原則車道を通行しなければならなくなると「危険である」等の県民の意見を多く耳にするところであり、現在の自転車通行環境では、原則、車道通行を徹底することは困難と考えます。
県では、平成24年度と平成25年度の2カ年にわたる対策として、歩道や路肩のカラー舗装などによる自転車通行空間の確保と歩行者の安全対策を実施すると聞いています。
そこで、自転車事故の防止に向けた安全対策を推進するために、悪質な違反者に対する取締りはもちろんのこと、どのようにして歩行者や自転車の安全な通行空間を確保しようとしているのか、また、歩行者と自転車の分離対策や、自転車と自動車の分離対策を行う上で、規制の連続性を保たせるなど利用者に配慮した交通規制を行う必要もあると考えますが、道路管理者との連携も含め、県警としてのご所見を伺います。
上野英一
神埼郡