決算特別委員会 [ 10月16日(火)農政環境部・盛委員 ]
1 交流を通じた農山漁村への支援について
(1)農村ボランティアの登録・育成状況等について
今、地方から都市部への人口流入が激しくなり、都市部に人口が集中した結果、地方の過疎問題と都市の過密問題が併存する状況が長く続いています。都市部の住民は、農村などにおける農作業や除草作業などに、休日などを利用して継続的に従事したいと考える人々が増えてきています。これは、日々の仕事や生活で溜まった澱のようなものを汗と共に流し出し、心身ともにリフレッシュしたいと考える人が増えてきたからだと言われています。
農作物を作り提供していくというところから農業を見渡していくと、生産業・加工業・サービス業など様々な業種の集合体であるとも言えます。楽農生活推進事業の事業目的に、「収穫の喜びや自然とのふれあいを通して、ゆとりと安らぎが実感できるライフスタイルの実現を目指す。」とされているとおり、農業は、まさに都市住民に対して、「ゆとりと安らぎ」を与えるサービス業の一面を持っています。
その一方で、中山間地域の農山村集落では、過疎化・高齢化により、農作業や伝統行事など集落の共同活動を続けていくことが困難になりつつあります。集落側にとっても、農村ボランティアによる農作業の支援をはじめ都市住民との交流に対するニーズは、今後ますます高まっていくと感じています。
そこで、23年度における農村ボランティアの登録・育成状況について、活動の状況や成果とともにお伺いします。
(2)都市と農山漁村間の双方向の交流促進について
都市と農山漁村の交流といっても、従来は、一方通行でしたが、近年では、双方向となっており、「単発的な浅い交流」から特定地域に根ざした「持続的で深い交流」に移行しているといえ、私も「双方向交流」を積極的に支援していくべきであると感じています。
都市と農山漁村間の交流は、『‘農’の素材を‘都市住民’へ提供していく』のが、基本的な枠組みであり、交流の期間や深度等それぞれの状況は様々ではありますが、最終的には、都市農村交流ビジネスへと発展し、交流を通じて農山漁村や中山間地域が活性化していくことを進めていくべきであります。既に、県におかれては、都市農村交流連携促進事業による交流活動や地域直売所整備促進事業による直売活動の支援などに取り組んでこられているところです。
そこで、都市と農山漁村間の双方向の交流は、いずれもがウィンウィンの関係に立ち、各々がメリットを享受できることがその前提となりますが、これまでの都市と農山漁村間の交流促進の状況について、今後の取組みの方向性と併せてご所見をお伺いします。
2 卸売市場の果たすべき役割等について
卸売市場流通は、卸売業者、仲卸業者等、中間流通経路があることから、流通マージンが上乗せされ、農家は自分の商品の値段が自由に決められないという不満があるとともに、消費者側も価格にその分が上乗せされ高くなっていると感じています。その双方の思惑が一致したかのように、近年では、流通チャンネルの多元化や取引形態の多様化、あるいは情報化の進展、さらには消費者ニーズの多様化により直売所や産地直送が増えてきています。生産者自ら値付けが出来ることや、評判が良くなれば収入も目に見えて増加すること、あるいは接客の中で客から直接評価され、励みになる、ということが挙げられています。
先ほどの質問では、都市と農山漁村間の双方向の交流により、最終的には交流を通じた都市農村交流ビジネスへ展開していくという観点からお伺いしましたが、直売所の設置を促進し、卸売市場を通さない取引は拡大方向に向っていくものと推測できます。
このように、卸売市場を取り巻く環境は、大きく変化しており、市場経由率は、年々減少の一途をたどっており、卸売市場のあり方も問われているところです。しかしながら、卸売市場には、生産者に対して安定的な販路を提供するとともに、価格形成機能、品揃え機能など、直売、産地直送では、応えることが困難な役割も担っているものと考えます。県でも、「生鮮食料品の需給と価格の安定、流通の円滑化を図る」ために流通近代化推進事業を実施されているところであります。
そこで、直売、産地直送が拡大する現状を踏まえ、生産者と消費者の要望に応えることのできる卸売市場の果たすべき役割についてどのように認識しているのか、23年度の流通近代化推進事業の実施状況とともにお伺いします。
3 加工・業務用野菜への対応について
野菜の計画的、安定的な生産・出荷に向けては、これまでより、生産農家の経営安定と県民への安定供給を図ることを目的として、野菜振興対策事業が実施され、野菜産地の育成を進めてこられています。
こうした中、国内野菜需要は、近年の生活スタイルの変化から、食の外部化が進展し、家庭消費用から加工・業務用に変化しており、平成22年には全体需要の56%を加工・業務用が占めており、家庭消費用の需要を超え、増加傾向となっています。
さらに、加工・業務用野菜は、輸入野菜のシェア率が高く、家庭消費用が2%台であるのに対し、加工業務用では30%と高い水準となっています。
しかし、一方で、平成19年から20年にかけて発生した中国製冷凍餃子中毒事件等による輸入食品の安全性に対する消費者の不信があり、この頃から加工食品において、国産志向が高まり、原料野菜に対する国産需要は、露地野菜を中心に増加する動きが伺えます。
この様な需要の動きにおいて、長野県の農業生産法人(有)トップリバーは、キャベツやレタスなどの野菜生産で外食や量販店の業務用需要に向けに約50社と年間契約し、他の農家と連携した供給体制を作り、契約栽培により売上げを11億円へ伸ばし、全国展開を進めていることは、既によく知られているところでもあります。
そこで、本県においても、野菜の計画的、安定的な生産・出荷の一環として、この様な加工・業務用の野菜需要を対象とした生産・供給体制の構築に向けた支援策を重点に行っていく必要があると考えますが、これまでの本県の取り組み状況、さらには、今後の展望について併せてお伺いします。