意見書 第21号
投資詐欺被害を防止し被害回復を図るための法整備を求める意見書
近年、SNSを通じた勧誘などで、不特定多数の者に対してICO(新規暗号資産の発行による資金調達)やアービトラージ(金利差や価格差を利用して利ザヤを稼ぐ裁定取引の手法)など投資案件への出資を募るとうたい、実際には実体のないポンジスキーム(投資詐欺の一手法で、出資金を運用して配当するとうたいながら運用をせず、新たな出資金を配当に充てる手法)の投資詐欺事案が後を絶たない。特にファンド型投資商品などのサービスのマルチ商法、いわゆる「モノなしマルチ商法」の相談件数は増加している。
これらは詐欺の立証が難しく、たとえ事件化して逮捕に至ったとしても、適用される法によっては罰金刑や執行猶予の刑罰に止まることが多いため、事件の抑止力が不十分で若年層への広がりも見せており、早急に対策が求められる。
また、こうした詐欺事案には、知人・友人を勧誘することで紹介料が入るとして、被害者であるとともに加害者にもさせられるおそれもあることから、連鎖販売取引(いわゆる「マルチ取引」)の規制なども強化すべきと考えられ、昨年7月には、日本弁護士連合会が特定商取引法の抜本的改正について提言している。
さらには、被害回復の方策を強化するため、本年8月に内閣府消費者委員会が公表した「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書」において提言されている、違法収益剥奪のための行政手法の創設等の方策について、早急に法整備を行うことが必要である。
よって、国におかれては、投資被害を防止・抑止するため、下記事項に取り組まれるよう強く要望する。
記
1 出資法、金融商品取引法等の刑罰の上限を引き上げるなど抑止力を強化すること。
2 マルチ取引の登録制を導入するなど、特定商取引法の改正を行うこと。
3 違法収益剥奪のための行政手法の創設等について、早急に法整備を図ること。
4 特に若年層が投資詐欺の被害に遭わないよう、また知人・友人を紹介することで加害者にならないよう、若者へのリテラシー向上を図る具体的な取組を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和5年12月13日