議会の動き

決算特別委員会 15年09月定例会

理  事 上野 英一議員(神崎郡)

委  員 竹内 英明議員(姫路市)

委  員 前田 ともき議員(神戸市東灘区)

上野 英一議員

企画県民部① | 農政環境部 | 産業労働部 | 病院局

竹内 英明議員

財政状況 | 企画県民部② | 県土整備部 | 教育委員会 | 企業庁

前田 ともき議員

企画県民部② | 健康福祉部 | 産業労働部 | 公安委員会 | 県土整備部| 病院局

上野 英一議員

●企画県民部①

1 丹波の森公苑について
(1)公益財団法人兵庫丹波の森協会について
(2)全県への事業展開について
(3)施設や事業の広報について
(4)全県事業の成果等について

全文

決算特別委員会  [ 10月14日(水)(企画県民部①・上野 英一委員 ]

1 丹波の森公苑について

(1)公益財団法人兵庫丹波の森協会について

まず、丹波の森公苑の運営を行う公益財団法人兵庫丹波の森協会について伺う。

公益財団法人兵庫丹波の森協会は、丹波地域のすべての人々の創意と行動力を結集し、地域のすぐれた自然環境を守り育てるとともに、緑を基軸とした地域づくり事業を行い、「人と自然と文化」の調和した、うるおいと、安らぎと、活力に満ちた丹波の森づくりを目的としており、丹波の森公苑、ささやまの森公園、丹波年輪の里、丹波並木道中央公園など、大変様々な施設を管理運営しております。

その中で、丹波の森公苑は、生活創造センターの第1号として、また、全県的・基幹的野外CSR施設の第1号として設置された施設で、豊かな緑の中で、勤労者をはじめ広く県民の芸術文化、環境、消費生活、健康、福祉等の様々な分野にわたる生涯学習、地域づくり活動等の拠点施設であります。管理課9人、文化振興部8人、活動支援部は県民局の業務もあわせて行っている職員12人を含め18人の計35人体制となっています。

さらに、ふるさとの森公園の一つでもあるささやまの森公園では6人、県立丹波年輪の里では14人、また、県立丹波並木道中央公園の管理や丹波の森研究所を含む協会事務局6人を加えると協会全体では61人体制の大きな組織となっております。

まず、丹波の森公苑を運営する公益財団法人兵庫丹波の森協会が、このような大きな組織となった経緯を伺います。

(答弁)

(2)全県への事業展開について

丹波の森公苑は、先程も述べたように、生活創造センターの第1号として平成8年度に整備され、丹波地域はもとより広く県民に対して①森林文化(地域づくり)の創造、②生活創造活動への支援、③芸術文化の振興、④情報発信等を行っています。

また、平成26年度決算額は、23人分の人件費を含めて159,016千円であり、同じ県下の生活創造センターで神戸・阪神地区を主な業務実施地域とする神戸生活創造センターは12人、38,071千円で、東播磨生活創造センターでは12人、36,313千円と、その他の県下各地域の生活創造活動の拠点施設と比べて、予算的にも大きな規模となっています。施設的にも、生活創造センターの他にホール、アトリエ等も有し、調査で何度か現場に行っていますが、その度に非常に立派な施設という印象を受けます。

丹波の森公苑に関しては、決算額等の比較において、他の生活創造センターの約4倍の予算、倍近い職員数を有するとともに、施設規模もかなり充実しているのは明らかであり、例えば、生活創造活動の支援事業を初め、丹波地域を主な対象として実施している事業に関しても、全県展開あるいは全県の拠点とするなど、投じた予算や充実した施設等を全県下に還元していく必要があると考えます。そこで、丹波の森公苑の施設利用や事業の全県展開に関する認識について伺います。

(答弁)

(3)施設や事業の広報について

答弁のように様々な全県事業を実施しておられることは認識しますが、丹波の森公苑の実際の年間利用者約25万人のうち8割が丹波地域の利用者で、残りは18%が県内他地域、2%が県外と聞いています。施設規模、県費負担の実態からみても他地域の利用が少ないように感じました。

また、先にも述べましたが、ホール、アトリエ等、様々な非常に立派な施設を有している一方で、他地域利用だけでなく、全体として稼働率が低い状況にあることを、今年の会派での現地調査の際に聞いており、立派な施設を県民に還元する取組みが必要と考えます。

そこで、丹波の森公苑の施設や実施事業について、そのPRに関してどのように取り組んでいるのか、特に丹波地域外への取組みについて伺います。

(答弁)

(4)全県事業の成果等について

丹波の森公苑での実施事業に関しては、丹波地域における生活創造活動を支援する事業のほか、魅力発信・交流事業については、(答弁にもありましたように)全県を対象とした事業として、丹波の森フェスティバル、里山ボランティア養成事業、国蝶オオムラサキの舞う里山づくりなどを実施するとともに、生涯学習事業として、丹波の森美術学校の開設など、芸術文化事業として、丹波の森国際音楽祭シューベルティアーデたんばの開催、丹波の森公苑ホール等自主事業等、情報発信事業として、情報誌「丹波の森」の発行等、全県を対象とした多くの事業を行っておられます。

そこで、これら全県事業に関して、全てが企画県民部所管の事業ではないと考えるが、国蝶オオムラサキの舞う里山づくりなどの主な事業のこれまでの成果と、今後どのようなことを目指して進めようとしているのか伺います。

(答弁)

(コメント)

※ 丹波の森公苑を質問させていただくにあたり、大きな観点で気になった点を最後に述べさせていただく。

丹波の森公苑とともに丹波の森協会が管理運営する「ささやまの森公園」は、農政環境部の所管ではありますが、「ふるさと森公園」の一つとして篠山市に整備されています。その他にも、加東市、多可町、姫路市夢前、宍粟市山崎、宝塚市に整備されており、県下中部に集中していると感じます。

また、丹波の森協会が園芸・公園協会と共同管理している丹波並木道中央公園は県立都市公園です。これも、舞子公園など神戸・阪神地区に6公園、明石公園など東・北播磨地域に3公園、淡路島公園など淡路に3公園、西播磨、丹波には1公園ずつ配置され、中播磨地域、但馬地域には配置されていません。かなりアンバランスな配置となっていると考えます。

個別の配置の考え方は、各部局で整理はされているものと考えますが、人口減少社会を迎え、本県の今後の姿を見据えていく上で、類似施設については公平と効率を踏まえて配置していく必要があると考えます。

また、この点については、企画県民2での民主党の他議員の質問も踏まえ、総括審査で触れていきたいと思います。

●農政環境部

1 ひょうごの農業の再構築について
(1)担い手の開拓と育成支援について
(2)集落営農組織の法人化、企業参入等について
①実績と評価について
②法人化の推進について
(3)再構築への展望について
2 ひょうごの林業の再構築について
(1)(協)兵庫木材センターと優良な林業事業体の育成について
(2)広葉樹林の活用と森林ボランティアの育成について

全文

決算特別委員会  [ 10月16日(金)(農政環境部・上野 英一委員 ]

1 ひょうごの農業の再構築について

地域創生戦略が策定されましたが、地域が元気になるには農林漁業の再構築が絶対的な条件だと考えます。また、ひょうご農林水産ビジョン2020では、産業として力強い農林水産業を再生するには、経営能力に優れた担い手が必要としており、地域の他産業従事者並みの所得等を確保できる経営体へ発展するよう育成する認定農業者の認定を進めているとあります。

そこでまず、ひょうごの農業の再構築についてお伺いします。

私は、再構築に向けたひょうごの農業の在り方として、イ)野菜を中心とした大都市圏近郊型農業、ロ)稲作を中心とした大規模・効率化農業、ハ)中山間地、高原での有機・無農薬をはじめ、付加価値の高い農業だと考えます。さらに、農業の六次産業化も必要です。そしてそれを担うのが、認定農業者、新規就農者、集落営農組織や企業の農業参入です。

そこで、1点目として、(1)担い手の開拓と育成支援について 伺います。

まず、新規就農者についてでありますが、新規就農促進ファーム設置事業、就農スタートアップ支援事業、国の青年就農給付金など様々な取組みの成果もあり、昨年度は農林水産ビジョンに掲げる60歳未満の年間育成目標の300人を達成しました。ただ、今後、本件の農業を産業として力強く再生させるためには、これらの新規就農者の中から、本県農業の再生の一翼を担っていく人材を数多く育成し、認定農業者等さらなる重要な担い手へと育成していくことが重要であることは言うまでもありません。

一方、認定農業者についても、平成32年度に3,000人を目標として育成に取り組んでいますが、ここ数年、新規認定者数と、廃業や再認定をしない者の数が、ほぼ同数で推移しており、その結果、認定者総数も2,500人程度で伸び悩んでいます。

そこで、認定農業者が伸び悩む要因をどう分析しているか伺いますとともに、その現状を踏まえ、新規就農者を定着させ、認定農業者への育成を図る取組みの充実が必要と考えますが、現状と今後の考え方をあわせて伺います。

(答  弁)

2点目として、(2)集落営農組織の法人化、企業参入等について 伺います。

その1として、①実績と評価について であります。

認定農業者等担い手が不足する集落では、土地、労働力、営農用機械等を地域に最も適した形で組み合わせ、もちろん地元合意のもと、集落リーダー等を中心として、集落営農組織を育成しています。また、中間的人材もおらず耕作放棄地が問題となっているような地域では、企業等の農業参入を促進し、農地の集積・集約による農業経営の効率化を図り、力強い産業への再生を目指しています。

そこで、集落営農組織化とその法人化、企業の農業参入について、それぞれの目標値と実績、評価についてお伺いします。

(答  弁)

その2として、②法人化の推進について であります。

集落営農組織及び企業の農業参入とも、本県は全国トップ水準と理解しますが、集落営農組織の法人化は、全体の10分の1程度であり、なおかつ、本格的な企業経営の域に達している組織は少数であります。TPP妥結を踏まえ、農業が力強い産業へと再生を図ることが不可欠であり、それに向けては法人化などにより集落営農組織の継続性・安定性の強化を図ることが重要であります。

そこで、今後、いかに集落営農組織の法人化推進を進めていいこうと考えているのかお伺いします。

(答  弁)

3点目として、(3)再構築への展望について お伺いします。

先に述べた農業の六次産業化に関しても、県下各地で画期的な取り組みも含めて進んできたと思いますが、ここでは、時間の関係で六次産業化と酪農・牧畜・養鶏などの畜産については省略し、それ以外の部分でのひょうごの農業の再構築について伺います。

先に述べたように、昨年度、新規就農者の年間目標300人を達成しました。さらに、その就農状況をみると、作物別就農では野菜が多く、地域別就農では、淡路、神戸、北播磨県民局管内が多い状況にあります。また、就農区分では、新規参入が74.9%、就農形態では、独立就農を雇用就農が上回り、53.1%となっています。これが本県農業の特徴かと考えます。

これらのことから、はじめに述べましたとおり、今後のひょうごの農業の在り方として、イ)野菜を中心とした大都市圏近郊型農業、ロ)稲作を中心とした大規模・効率化農業、ハ)中山間地、高原での有機・無農薬をはじめ、付加価値の高い農業、の方向で進みつつあるのではないかと考えます。私は、新規就農者の状況等も含め、本県農業の再構築に向けて、明るい兆しが見え始めていると感じます。

そこで、今後の本県農業の再構築にいかに取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。

(答  弁)

2 ひょうごの林業の再構築について

(1)(協)兵庫木材センターと優良な林業事業体の育成について

ひょうごの林業の在り方として、利用可能な46年生以上の人工林の材積59百万立方メートル、面積14万ヘクタールの活用、森林の持つ多面的機能回復・向上、すなわち、広葉樹林の拡大、手入れ不足の森林の整備等があります。ここでも、省力化、機械化、効率化のための林内路網整備、低コスト原木供給団地の設定、森林作業員の確保等です。さらにそれらを連動させ原木から製品化、販売促進へと進めなければなりません。

そういう中で、本県では、安定した原木供給の川上対策として整備に取り組んできた低コスト原木供給団地の数、林内路網1,000㎞整備のいずれも平成25年度末で目標を達成し、平成26年度から新計画に基づく推進を行っています。川上対策での順調な推進を受け、川中では、兵庫木材センターが稼働から5年を経過し、順調な成果を上げ、県産木材の供給量拡大につながっています。先日、木材自給率が27年ぶりに3割を超えたと報道されました。円安が大きな要因とは言われていますが、このような本県林業の取組みも少しは貢献したのではと考えます。

この良い兆しを好循環に変えて行くには、先に述べた農業同様、優良な事業体の育成強化が重要と考えます。そういう中、本県では、林業事業体における経営者の企画能力、具体的な森林施業を提案する森林施業プランナーの実践力、現場作業者の生産能力を高める、「林業三つ星経営体」の育成に今年度から取り組んでいます。兵庫木材センターを核とした供給体制の確立の取組みとあわせて、本県林業の振興につながっていくことを期待します。

そこで、兵庫木材センターの稼働状況を伺うとともに、兵庫木材センターに参加する事業体も含めて、兵庫県の林業事業体の現状と今後の育成見込みについて伺います。

(答  弁)

(2)広葉樹林の活用と森林ボランティアの育成について

兵庫木材センターに続いて、ここ数年における本県林業を巡る明るい兆しが感じられる新たな動きが、木質バイオマス発電施設の設置であります。発電施設は、赤穂で既に稼働しており、朝来でも稼働準備中と聞く。業績好調な兵庫木材センターへの供給も含めて、原木確保やチップ確保において、しっかりと役割分担して取り組まれており、林業経営の安定化、兵庫全体の林業振興に大きな成果が出てくるものと考えます。

ひょうごの林業の再構築を進めるに当たって、50万ヘクタールを超える本県民有林面積の約40%程度を占める人工林への対策は、前に述べました兵庫木材センター、バイオマス発電施設など様々な林業を巡る明るい兆しも見えてきましたし、概ね大丈夫と私は認識しています。今後は、残りの約60%を占める広葉樹を中心とした天然林の活用・管理が重要となってくると考えます。

ただ、林業を巡る情勢は厳しく、兵庫木材センターや木質バイオマス発電施設など、新しい動きのある本県であっても、新規就業者の確保が農業のように進んでいないのが現状であります。

そういう中にあって、森林は県民共通の財産であり、県民全体で管理していくという考えのもと、本県では森林ボランティア1万人作戦を展開し、平成22年度に1万人の目標を達成しました。今後、課題となる広葉樹林の活用も含め、森林ボランティアをさらに積極的に育成するなどして、森林管理にたずさわるマンパワーを確保していく必要があると考えます。

そこで、広葉樹林の活用をいかに進めていこうと考えているのか伺いますとともに、その担い手としての森林ボランティアの育成などのマンパワーの確保に、いかに取り組んでいくかあわせてお聞きします。

(答  弁)

病院局

1 利用状況について
2 経営改善について
3 財務比率について

全文

決算特別委員会  [ 10月21日(水)(病院局・上野 英一委員 ]

1 利用状況について

平成26年度の14病院の利用状況を前年度と比較すると、(監査委員の公営企業会計決算審査意見書の10ページですが、)入院患者は116万9,080人で101.4%、外来患者は、148万538人で102.0%と順調に推移しています。

また、(11ページの病床利用率の前年度比較の表をみると)稼働病床数が許可病床数に達していない病院があります。光風病院では、許可病床495床に対して稼働病床286床で△209床、柏原病院では303床に対して184床で△119床、こども病院では290床に対して266床で△24床、がんセンターでは、400床に対して397床で△3床、姫路循環器病センターでは、350床に対して330床で△20床、リハビリテーション中央病院では、

520床に対して330床で△190床となっています。医療資源の有効活用の観点からは、許可された分は稼働させていくべきと考えますが、稼働していない病床がある理由についてお伺いします。

さらに、加古川医療センターでは、平成21年度に全面建替え整備し開院したにもかかわらず、許可病床利用率、稼働病床利用率ともに前年度を下回っています。入院患者が減少したものと考えますが、その要因について、あわせてお伺いします。

(答弁)

2 経営改善について

平成25、26年度の決算書を見ると、光風病院と柏原病院で、若干改善しているものの単年度赤字が続いています。

光風病院については、尼崎総合医療センターとの連携をしながらそれぞれの役割分担を図るとともに、認知症疾患医療体制の整備を進めていこうとされています。

また、柏原病院については、柏原赤十字病院との統合再編により医師不足の解消を図り、地域医療にかかわる人材育成病院の中核病院としての役割を果たし、丹波圏域において安定的・継続的に良質な医療を提供していこうとされています。

両病院が目指すビジョン・方向性の実現には経営改善は不可欠と考えます。

そこで、光風病院と柏原病院の経営改善について、今後の方向性や改善に向けた決意についてお伺いします。

(答弁)

3 財務比率について

平成26年度は、会計基準の改正に伴い、資本剰余金の一部を減価償却累計額及び繰延収益(負債)に振り替え、固定資産および剰余金が減少したことから、自己資本構成比率が低下するとともに、固定比率が上昇しており、借入資本金の一部を流動負債に振り替えたことから固定資産対長期資本比率が上昇するとともに、流動比率が低下した、と監査委員の決算審査意見書(18ページ)に記されています。

また、各々の財務比率は、

1.自己資本構成比率は、総資本に対する自己資本の割合を示すもので、この比率が高いほど経営の安定性が大きい(負債の比率が低い)とされているが、10.2%である。

2.固定資産構成比率は、総資本に対する固定資産の占める割合を示すもので、この比率が高いほど資産の固定化の傾向にあり、低いほうが良い(資産の柔軟度が高い)とされているが、87.1%である。

3.固定比率は、固定資本は自己資本で賄われるべきであるという原則から

100%が望ましいが、公営企業は企業債に依存するので高率になりやすいとされているものの、856.5%である。

4.固定資産対長期資本比率は、固定資産の調達が資本金、剰余金、固定負債及び繰延収益の範囲内で行われているかを示すもので、100%以下で低いほうが良いとされているが、103.0%である。

5.流動比率は、短期債務に対してこれに応ずべき流動資産が十分であるかどうか、その割合を示すものであり、少なくとも100%以上で高いほうがよいとされているが、83.6%である。

以上、同意見書への記載内容であります。記載内容だけみれば、いずれも悪化しており、加えて大きく悪化している指標もあり、気になるところですが、数字どおり評価していいのでしょうか。

そこで、資本の考え方について、あるいは企業会計と公営企業会計との違いなど、この指標を評価する上で、注意すべき点についてお伺いします。

総括審査

1 公共施設等の適正な配置の考え方について
2 がん対策の推進について
3 元気兵庫の実現に向けた多様な起業支援について
4 農林水産業における生産者の自立について
5 教職員の多忙化の改善について
6 警察人員の配置の考え方について
(緊急質問)頻発する県警職員の自殺に対する本部長の見解について

7 人口減少社会を踏まえた財政状況の見える化について

全文

決算特別委員会  [ 10月28日(水)(総括・上野 英一委員 ]

1 公共施設等の適正な配置の考え方について

企画県民部審査において、丹波の森公苑に関して質問する中で、大きな観点で気になった点をまず伺います。

丹波の森公苑は県民の生活創造活動を支援する県立生活創造センターの第1号として整備され、その後、生活創造センターは、神戸、東播磨に整備され、県下の他地域においては、同じ機能を有する生活創造情報プラザが但馬文教府、西播磨文化会館、淡路文化会館等に設置され、県下各地を概ね網羅し、県民の生活創造活動の拠点となっています。

一方、丹波の森公苑とともに丹波の森協会が管理運営する「ささやまの森公園」は、農政環境部の所管ではありますが、「ふるさと森公園」の一つとして篠山市に整備されています。その他にも、加東市、多可町、姫路市夢前、宍粟市山崎、宝塚市に整備されており、県下中部に集中していると感じます。

また、丹波の森協会が園芸・公園協会と共同管理している丹波並木道中央公園は県立都市公園です。これも、神戸・阪神地域や淡路地域に集中し、中播磨地域、但馬地域には配置されていません。かなりアンバランスな配置となっていると考えます。

個別の配置の考え方は、各部局で整理はされているものと考えますが、人口減少社会を迎え、本県の今後の姿を見据えていく上で、このような類似施設については、公平と効率を踏まえて配置していく必要があることを指摘しました。

一方、本定例会では、地域創生戦略が議決されました。今後、各地域が機能を分担し互いに補完しながら、兵庫全体の総合力や魅力が高まるよう、「多様性と連携」を基本に地域創生に取り組むとしています。その一翼を担う公共施設に関しても、人口減少が進む中で、公平、効率等の一定の考え方に基づいて適正配置を図っていくことで、兵庫らしい地域創生が進むと考えます。

そこで、人口減少社会への対応としての地域創生を進めていく観点から、類似施設も含めた公共施設の適正配置の考え方を示していくべきと考えますが、当局の見解を伺います。

2 がん対策の推進について

健康福祉部審査で我が会派の前田委員が、検診の受診率向上などについて伺いました。

本県では、死亡原因が第1位となっているにもかかわらず、検診受診率が全国ワースト10という状況の中、無料クーポン券などの配布、検診機関までへのバス送迎のほか、健康づくりチャレンジ企業に登録した中小企業への支援も助成経費を増額して利用拡大を図っています。その結果、受診率が低い重点市町のうち12市町が重点から外れるなど、一定の効果が出ているものの、人口の多い市町をはじめなかなか向上が進まないとの答弁でありました。

費用助成だけでなく、意識醸成のためのPRも様々な形で実施しているようですが、前田委員も提案した教育機関での「がん教育」との連携、青少年への普及啓発を家庭への普及につなげていくなど、様々な形で県民の意識醸成を図る取組みを行っていく必要があると考える。

先にも述べましたが、がんは、死亡原因の第1位であります。それに対し、現在死亡原因8位の自殺においては、平成19年には死因6位、本県で年間1,420人もの自殺者がいましたが、明確な目標や年次計画の設定、警察、市町等の関係機関との徹底した連携、各県民局単位での徹底した取組みなどを、議会からも提案し、昨年26年は1,147人と、目に見える形で成果が出てきていると考えます。

がん対策推進計画においては、平成29年度に向けての目標値として、75歳未満の10万人当たりのがん死亡者67.9人、個別目標として検診受診率50%、要精検受診率90%などが定められていますが、目標と達成率などをもっと県民に明確に打ち出していくことも意識啓発の醸成につながるのではと考えます。

先の病院局審査で同じく前田委員が取り上げましたが、全国に先駆けて整備された県立粒子線医療センター、平成29年度開院に向けて整備している「小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設」など、本県はがんの治療面では全国のトップクラスと考えます。出口部分の、この充実した治療体制と同様に、入口部分の、早期発見に向けた受診率も全国トップクラスを目指した取組みが望まれます。

そこで、がん対策の推進について、受診率が全国比較でもかなり低い本県の現状を踏まえ、抜本的な県民の意識啓発に取組むべきと考えますが、当局の決意を伺います。

3 元気兵庫の実現に向けた多様な起業支援について

産業労働部の部局審査において、前田委員が県の起業支援のNPO法人への支援対象拡大などについて伺いました。

日本の起業率は、欧米に比べ圧倒的に低い状況にあります。2013年度に発表された政府の「日本再興戦略」においても、日本の5%程度の起業率を欧米並みの10%に引き上げることを目標として取り組んでいます。

そういう中で、本県においても様々な支援をしていますが、前田委員からは、若者起業家やNPO法人への支援の充実のほか、本県における地域創生の推進や、欧米並の起業率の実現に向けて、事業を興そうとする人材全体を対象として、細分化している現在の支援策をある程度統一して、起業家全体の底上げ、掘り起こしを行うべきではないかということを提案しました。

また、起業にはリスクが生じます。日本人は特にリスクを敬遠するという国民性もありますが、起業リスクを軽減することが推進につながることは明白です。そこで、まず、気になるのが廃業リスクです。起業には廃業のリスクがつきものですが、欧米では高い起業率と同程度の廃業率となっています。ただ欧米では、廃業後に短期間で再度起業することも多い反面、日本では廃業で生じた債務を個人保証などしているため、廃業の決断がとりづらく、その上で廃業となると再起はなかなか困難な状況となっています。この点でのリスク軽減を図っていくことも必要ではないかと考えます。

いずれにしても、本県の地域経済の発展を促し、地域創生を実効あるものとする上でも、起業家の掘り起こしや起業のリスク軽減など、多様な起業支援が必要と考えますが、当局の見解を伺います。

4 農林水産業における生産者の自立について

TPPによる関税撤廃項目が公表されました。全体で95%の関税撤廃、農林水産物においても、コメ、牛・豚肉、麦などを除く81%の関税が撤廃されます。まさに、産業としての力強い農業の確立に向け、待ったなしの状況となっています。

そういう中、本県においては、農林水産業も一つの柱として地域創生戦略を策定し、人口減少社会における5年間の方針を定めるとともに、新たな農林水産ビジョンの策定にも取り組んでいます。

このような背景を受け、農政環境部審査においては、農業、林業の再構築に当たって、様々な形での担い手の育成の重要性を指摘しました。漁業も含めて、まさに大きな転換点に迎えた農林水産業の再構築において、生産者の自立という視点が不可欠となると考えます。

農業に関して言えば、新規就農者の年間目標300人を昨年度は達成し、県として、さらにそこから地域農業の振興に重要な担い手へと育成し、生産者としての自立を図るため、様々な取組みを実施しています。一方で、林業、漁業に関しては、農業ほど取組みが進んでいないと感じます。

いずれにしても、農林水産の各分野において、ある程度の行政支援は必要ではありますが、行政支援に頼り切るような形で生産者の自立を図るのでは継続性がないと考えます。持続性ある自立の流れ、生産者の自立が継続して生み出される好循環を生み出すシステムのようなものが構築されれば、ひょうごの農林水産業の再構築へのビジョンも明確になると考えます。

そこで、現下の農業を巡る厳しい環境の中、ひょうごの農林水産業の再構築に向け、いかに生産者の自立を促す仕組みを構築していこうとするのか伺います。

5 教職員の多忙化の改善について

この件については、これまでから我が会派の多く議員が取り上げ、指摘、改善を求めてきました。決算委員会の教育委員会審査においても、竹内委員より、教職員の個人賠償責任保険加入、教頭の激務の状況などを確認しながら、なかなか改善が進まない教職員の多忙化の現状を指摘しました。

教職員の多忙化については、長年の懸案となっており、平成20年度に教職員の勤務時間適正化対策プランを策定、平成24年度末には新対策プランを策定し、多忙化改善に取り組んできましたが、「いじめ」や「モンスターペアレンツ」など社会を賑わす問題への対応のほか、児童生徒、保護者、社会からの要請のさらなる多様化・高度化により、教職員の職務に対する時間的・精神的負担の改善は、目に見えた形で成果は出ていない現状にあると考えます。

「ひょうご教育創造プラン」の平成26年度実績報告においても、教職員の業務改善の観点の指標で、週1回の「ノー会議デー」を実施している学校は88%に上りますが、「定時退勤日」の実施は66%程度という状況にあります。また、多忙化ばかりが原因ではないと思いますが、精神疾患による療養者数も増加している状況にあります。様々な対策を行うものの、様々な側面からの業務の多忙化、多様化がさらに進んでいるのではないかと危惧します。

このような状況の中、教頭先生の業務に関して、来校者対応、保護者対応等が多くなるとともに、雑務対応も含めて、大変な激務となっている現状を竹内委員が指摘しました。緊急突発的な業務に関して管理職が対応することは、組織の業務執行体制としてよくあることであります。また、教頭先生は教員の様々な業務の総括を行うものとして多忙となることは、校長へのステップアップに向けたマネジメント能力を身につける段階であり、むしろ積極的にチャレンジする意識が醸し出されるような職場環境でなくてはならないと考えます。ただ、それが常態化、顕在化し、教頭のなり手不足や教頭からの降格希望が出るようでは、教職員全体のモチベーションの低下、ひいては兵庫の教育力の低下につながっていくことを危惧します。

以上述べてきたとおり、教職員の多忙化改善は緊急課題だと考えます。教職員の多忙化改善に向けた、教育長の決意を伺います。

6 警察人員の配置の考え方について

公安委員会審査で前田委員が警察署別の交通事故件数、刑法犯認知件数の資料を示しながら質問しました。

この2指標での分析では警察署間に最大8倍もの差があるものの、2指標以外の要因でも、多様な業務、多様な地域事情があり、それらの要素を総合的に勘案した結果、唯一の正解はないとしながらも、適切な組織体制の構築を図っているとの答弁でありました。

また、昨年12月の我が会派の代表質問における答弁でも、警察官の適正な定員については、治安情勢等に応じて不断の見直しを行っていくとの回答があり、その不断の見直しに関しては、各署で生じた新たな事案事象などを細かくヒアリングを行い、全体最適の観点で取り組んでいるとのことでありました。

確かに、豊岡北、養父、佐用、宍粟、福崎、篠山等の小さな警察署では、最低限必要な配置人員が優先され、交通事故・刑法犯認知件数で比較するには無理があるのは承知をしています。前田委員が指摘しているのは、2指標は一つの例示であり、その他の色々な指標、例えば市街地面積、人口、住家戸数、110番受理件数等々、客観的な指標も一つの判断基準であること、また、外部有識者も加えて検討することも含めて、警察署からのヒアリングという形だけでなく、客観的な検討の結果として、適正な配置人員を導き出すべきではないかと指摘したところであります。

そこで、警察人員の定数配置について、県民の安全安心に直結する案件であることからも、適正な配置人員を県民にわかりやすく客観的に説明していく考え方について、所見を伺う。

7 頻発する県警職員の自殺に対する本部長の見解について

昨日、1ヶ月間で3人目となる職員の自殺の報道があった。そして、その3人は全て寮に入寮していた。それぞれの事案については、今後、原因調査を含め、再発防止に取り組まれていくと思う。ただ、1カ月で3人もの事案が生じたこと、また3人目の職員はいろいろな事情聴取中であったことなどから、少し組織的に甘かったのかなと思う。県では自殺対策の取組みで大きな成果が出ているところである中、このように事案が連続して生じたことに対する本部長の認識を伺う。

8 人口減少社会を踏まえた財政状況の見える化について

財政状況の審査において、我が会派の竹内委員の質問で、外郭団体等への年度当初の単年度貸付金に関して、次年度の単年度貸付金で出納整理期間中に地方公共団体の前年度歳入として外郭団体等が償還することを毎年度繰り返して、単年度貸付が続いているように見せかける、いわゆる「単コロ」について確認しました。夕張市問題で表面化したこの「単コロ」ですが、本県も平成18年度まで約500億円程度、実施していたことが明らかになりました。今まででは、なかなか説明されなかった内容であり当局の真摯な態度に敬意を表しますし、大変なご苦労をされていたのだと理解をしました。竹内委員も申し上げましたが、私も平成19年度に初当選をさせていただきました。その9月議会で知事は、大幅な歳入欠陥が生じる恐れがあることを表明されて、結果、600億円余りの予算留保・執行停止がなされました。私たち議員も地元において、執行停止になった事業の理解を得るのに大変な苦労も致しました。

また、一般質問等を通じて指摘してきたみどり公社へのオーバーナイト貸付についても、粘り強く民間金融機関と協議した結果、平成26年度で終了し、民間金融機関からの融資に切り替えることができたことも明らかになりました。

加えて、企画県民部審査において指摘した公共施設等の老朽化対策の必要性も含めて、これらのいずれも総務省の「地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに係る研究会」において、新たな課題として認識され、財政健全化に向けた財政分析手法の再検討がなされています。様々な財政指標が全国的によくなっているものの、全ての負債が網羅されていないとして、特に、オーバーナイト、単コロ、年度を越えた基金の繰替運用などは、厳しく取り扱うことについて検討がなされています。

また、公営企業会計においても、平成23年度の地方公営企業法施行令等の改正に伴い、会計基準の見直しが行われ、平成26年度予算及び決算から適用になりました。その影響は、県内13自治体21事業の債務超過が判明したことが報道されたほか、本県の平成26年度公営企業会計決算においても、債務超過でないものの、監査委員からの審査意見書で財政状態を示す固定比率が上昇、流動比率が低下しているものが多く見られます。基準の見直しについては、不透明との指摘があった公営企業の経営状態の透明化に向けた第一歩としては評価します。ただ、企業庁審査で竹内委員が質問した地域整備事業における事業化方針の決まっていない進度調整地、簿価にして493億円についても、411億円もの資本があることも踏まえ、この見直しに合わせて自主的に時価評価を行い、県民に厳しい現状を伝えていくべきであったことを指摘しておきます。

いずれにしても、今後の人口減少社会の進展を踏まえ、このような将来世代への負担に関連する財政状況については、総務省での透明性の高い財政分析手法の検討と並行して、県民にわかりやすい形で公表していく責務があると考えます。

そこで、総務省の研究会での検討状況等を踏まえ、将来世代への負担などに係る財政状況のさらなる見える化について、知事はどのような見解をお持ちか伺います。

上野 英一
神崎郡

竹内 英明議員

●財政状況

1 県財政の改善について
(1)県債利子の推移について
(2)消費税増税の影響について
2 人口減少社会を踏まえた将来負担の見える化について
(1)(公社)兵庫みどり公社のオーバーナイト融資について
(2)単コロについて
(3)単年度貸付の実態について
(4)第三セクター等の県負担額について
①公社等の将来負担額の現状について
②将来負担額が増加している公社等の要因について
3 簿外債務発生を防ぐための仕組みについて
(1)出納整理期間中の資金移動の明示について
(2)県の出資法人に係る経営状況説明書の改善について
4 将来負担の全容公表について

全文

決算特別委員会  [ 10月13日(火)(財政状況・竹内 英明委員 ]

1 県財政の改善について

(1)県債利子の推移について

本県では、700億円を超える給与カットをはじめ、行革プランに基づき、様々な形で財政改善に向けた取組みを実施している。H20プラン策定後、策定時になかった県財政の改善にとってプラス要素、例えば、消費税増税、金融緩和・低金利政策、税収増等の状況も生じてきており、県財政は改善傾向にある。

そこで、まず、県債にかかる利子負担については、過去の年度を含めて、一般会計で最高どれだけの県債利子を払っていたのか。26年度と比較する形で答えてほしい。

(2)消費税増税の影響について

税と社会保障の一体改革で消費税の増税が決定され、消費税が8%になったのも当初の行革プラン策定時にはなかった要素である。現実に決算説明公表資料にも、地方消費税収入と関連経費等については詳しく記載されており、評価したい。

公表資料によると、「地方消費税の5%から8%への3%の増分が204億8000万円あり、市町村へ半分交付し、約100億円残ります。それに対して、社会保障の充実等所要額が62億円、上の表のとおり60.6%の執行率になっています。40%はどうなったかといえば、既に先取りをして、国は国債で、地方は臨時財政対策債などを充てていた社会保障の安定化に充てています。新規施策に6割、既存施策の財源対策に4割使われている構造です。」とのことである。

つまり、40億円については今年度は使われていないこと、要するに平成26年度単年度で40億円の県財政改善効果があったということになる。

そこで、平成29年4月から消費税を10%にあげることも決まっているが、もしこれを遅らせたとすると、財政フレームへの影響、県税収入の減少額はどの程度あるか伺う。

2 人口減少社会を踏まえた将来負担の見える化について

(1)(公社)兵庫県みどり公社のオーバーナイト融資について

国による今後の年金試算によると、現在受給世代、現役世代、将来世代、世代間格差が非常に大きく、不公平感を感じる。

一方、国の負債、借金は1000兆円時代に突入しているが、いずれ誰かが返さなくてはならない借金である。これまでは消費税負担も低かったが、これから高負担社会となることは明らかである。

県の財政も改善されたとはいえ、依然厳しい状況にあることは言うまでもない。先の本会議で少子化対策のための思い切った財政出動をという話が出たが、いまの財政状況では児童手当を1000円あげることも難しいという知事の答弁もあった。先行した借金の負担も重く、思い切った将来への投資も難しい状況である。

総務省の地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに関する研究会でも、全国的にも財政指標の数値はよくなっている一方で、全ての負債等が網羅されていないという新たな問題点も指摘されている。オーバーナイト、短コロ、基金の繰替運用などの問題である。

そういう中、昨年の9月定例会での質問で、(公社)兵庫県みどり公社のオーバーナイト融資について、取り上げた。その半年後の3月末、質問の際に私が提案した県債管理基金の取り崩しによる県の長期貸付への移行ではなく、民間金融機関からの長期融資に切り替えた。

昨年の9月定例会での私の質問に対して、企画県民部長は「県としては公社独自の経営改善及び県の財政負担への影響等を、総合的に勘案し、当面必要最小限度の額について、単年度貸付金による支援を行わざるを得ないと考えている。」と答弁していたが、その半年後には方針を変えているが、それはなぜか伺う。

全額を民間金融機関の融資に変えた理由と、その時の融資条件について合わせて伺う。

(2) 短コロについて

「短コロ」とは一般会計の次年度の短期貸付金を当年度に実施したように見せかけること。総務省の地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに関する研究会の資料では、「短コロ」を都道府県のうち2団体がやっているとのことである。

自治体の会計制度には、「出納整理期間」が設けられ、翌会計年度の4/1~5/31の間の収支については前年度に入れることも可能な制度を悪用したものと考える。

例えば、当年度の4月1日に、都道府県の一般会計から第三セクターに対し、年度末の3月31日を超えて資金を貸し付ける一方、次の日の翌年4月1日には次年度の予算で再び同額を貸し付ける。当然、貸付金額は二倍になると考えるとそうではない。第三セクターは一般会計の出納整理期間の5/31までに1年分を返済する。

第三セクターの側からは、借入金として3月末の年度末をまたぎ資金不足を免れる一方、一般会計は現金が同一年内に戻ったことになり、単年度貸付を実施したことになるだけなので決算上問題を指摘されることもない。しかし、一般会計の歳入は実際には穴が開いている。

結果的に同じお金を第3セクターの資金繰りと一般会計の穴埋めの双方で使うという手法で、会計制度の違いを悪用している。これを毎年繰り返すことを「短期コロガシ」、略して「短コロ」というそうだ。しかも、都道府県で2団体が今でも実施しているとある。「出納整理期間」を逆手にとったとんでもない手法である。この短コロでも財政指標は悪くならない。また、出納整理期間を悪用されると議会や外部からは簡単にわからない。

そこで、兵庫県ではやっていないと思うが、過去も含めて念のため確認したい。

(3)単年度貸付の実態について

短コロも、先のオーバーナイトも、自治体側は単年度貸付をしているため決算上はお金は戻っているように見え、赤字要素にならないという特徴がある。単年度ごと反復して貸し付けることにはメリットもある。

そこで、平成26年度決算における県の全ての会計で、第三セクターや関係団体に総額いくらの単年度貸付を実施したのか伺う。

また、単年度貸付を実施していたみどり公社は、26年度末からオーバーナイトをやめるということで長期借り入れに移行した。それ以外の第三セクター等で26年度末でオーバーナイト融資を続けているところがあれば、その団体と県の単年度貸付金額、オーバーナイトを続けている理由について教えてほしい。(A:資料要求内容)

(4)第三セクター等の県負担額について

① 公社等の将来負担額の現状について

第三セクター等の県の将来負担については財政指標の「将来負担比率」の算定に含めなければならないとされ、「設立法人の負債額等負担見込額」として指標に反映させられる。

みどり公社をはじめ、公社等の将来負担額はどうか。

② 将来負担額が増加している公社等の要因について

25年度の決算と比べて26年度比、兵庫県道路公社が29億円の増、兵庫県土地開発公社が49億円、住宅供給公社が13億円の増と単年度でかなり増えている。その理由は?

(A:資料要求、説明内容)

3 簿外債務発生を防ぐための仕組みについて

(1)出納整理期間中の資金移動の明示について

先程から検討状況を紹介している総務省の研究会は、将来負担比率の指標等で債務を反映させることを検討するという役割もある。

しかし、研究会で短コロを今後どうするかとか議論していたのは驚いた。総務省はこんな指導もできないのか、当該の議会は知っているのかと大変驚いた。ただし、公表されている資料ではわからない場合も結構ある。

例えば、短コロ(第3セクターとの関係)は外郭団体の公表資料に「キャッシュフロー計算書」があればわかる。出すと不自然な期初の現金の収入と支出がわかるからである。基金の出納整理期間を利用した資金移動等の方法は基金の5月末の出納整理後の状況を調べてみるとその間の増減がわかる。現在の自治体の決算では、基金残高の記載は3月末時点のもので、5月末の出納整理後の記載は義務付けられていない。決算本体と基金等を通じた外部等との数値の整合性が担保されていない。

実際、平成26年度の出納整理期間にどんな資金のやりとりがあったのか確認したが、決算附属書類614ページでは県債管理基金は物品・貸付金・有価証券・現金の計4602億円と土地の53万㎡87億円と合計4689億円となっているが、事前に確認したところでは、実際の出納整理後の金額は合計3762億円となっている。この差額についての議会や決算委に提出されている資料にはかかれていない。

出納整理期間に、有価証券が86億円増えて、現金が1014億円減っているということだ。この資金のやり取りは非常に難解で答弁時間も多岐にわたるため避けるが、公表されている財務資料ではわからない。

過去に県債管理基金に集約した第三セクター等の基金の内容や出納整理後の基金残高については、予算では説明資料の末尾に加えて改善してもらった。

個人的に、決算委員に就任した際には、依頼して真の年度末の基金残高やその内訳を照会しているが、こちらから問い合わせるべき事柄なのか。

決算附属書類の「決算に関する調書」に出納整理期間の増減、最終的な基金残高も附記するか、予算同様に公表説明資料に記載するなど議会や県民にわかりやすい開示資料とする必要があると思うがどうか。

(2)県の出資法人に係る経営状況説明書の改善について

また、第三セクターと県との関係でいえば、議会への提出が決まっている地方自治法第二百二十一条第三項の法人の財政状況の提出資料内容が団体ごとにばらばらで経営状況もわかりにくい。例えば、土地開発公社だと、貸借対照表に昨年度の記載がなく、前年比較もできない。また、キャッシュフロー計算書があれば単年度貸付の実態は一目瞭然で、最初に短コロなどを行う際に十分歯止めになる。提出資料に統一的基準をつくるなど改善を求めるがあわせて伺う。

4 将来負担の全容公表について

また、先の研究会の議論の中で、公共施設等のインフラの更新・撤去費用等だけでなく、これまでも何度となく私が指摘してきた県債管理基金の公営企業会計の基金を通じた一般会計への約320億円の融資も「基金からの一般会計への年度を超えた貸付(繰替え運用)」として議題になっていた。

本県財政の場合、外郭団体からの基金等の集約、美術品、土地や有価証券の問題など既存の問題に加えて、公共用地等先行取得特別会計、企業庁の地域整備事業会計等で事業化のめどがない広大な長期保有土地を、起債取得し、現在も簿価で保有しているなどという別の問題もある。これらに手付かずのまま新たな債務が追加されるとなると、またかという話になる。

そろそろ、全ての将来に負担となるべき事実等を自主的に公表し、県民の負債の全体像を明らかにするのが将来世代に対する責任のとり方だと思うがどうか。

企画県民部

1 兵庫県議会議員選挙事務費の無投票の影響について
2 新行革プランによる職員定員の削減と超過勤務について
(1)労働基準法等で決まっている超過勤務の上限時間、県独自の上限目標等について
(2)昨年度の超過勤務実績、1,000時間超、最も長時間超過勤務をした職員の時間と手当額

(3)基準を超える超過勤務が増加している理由
3 公共施設等総合管理計画の策定について
(1)計画策定の時期と予想される金額について
(2)撤去費用の考え方
4 適切な外部監査のあり方について
(1)包括外部監査結果報告
(2)包括外部監査の議会での活用について

全文

決算特別委員会  [ 10月14日(水)(企画県民部②・竹内 英明委員 ]

1 兵庫県議会議員選挙事務費の無投票の影響について

今年の4月12日に実施された兵庫県議会議員選挙では、兵庫県議選には129人が立候補を届け出たが、これは戦後最少で、全40選挙区中、17選挙区で定数を上回る立候補がなく、計18人が無投票で当選した。

無投票率は

[選挙区比率]17/40=0.425

[当選者比率]18/87=0.207

無投票により、投票日当日の投開票事務にかかる市町職員の手当等が不要となるほか、選挙公営費用の一部も不要となった。

選挙費用については、26年度、27年度の2カ年にわたって措置されているが2カ年の累計予算額と執行見込み金額、執行残額、執行率について伺う。

2 新行革プランによる職員定員の削減と超過勤務について

(1)労働基準法等で決まっている超過勤務の上限時間、県独自の上限目標等について

私は平成22年度決算特別委員会で、職員の超勤の状況について質問した。あれから4年。

知事部局では定員30%削減という大きな目標に向けて、行革プランを実行しているが、決算と同時に公表された26年度の行革実績でも既に20%を超える削減が行われている。順調に目標達成に向けた動きが進んでいる。

人員削減を進めるなか、電子化等で事務の効率化を図るほか、班制による業務連携、民間による指定管理制度の導入などを進めている。また、この間、進んだ市町への権限移譲も、結果として県組織のスリム化にプラス要因と言える。

このような中、職員一人あたりの負担は過去よりも重くなって当然である。改めて職員の超過勤務の状況を確認していきたいと思うが、まず、労働基準法等で決まっている超過勤務の上限時間、県独自の上限目標等について改めて確認したい。

(2)昨年度の超過勤務実績、1,000時間超、最も長時間超過勤務をした職員の時間と手当額

昨年度の知事部局全体での超過勤務時間と支給した手当の実績、年間1,000時間超となった職員の人数、そのうち最も長時間超過勤務をした職員上位3人の時間と手当額について伺う。

 (3)基準を超える超過勤務が増加している理由

22年度に質問したときは、最長の職員で1,100時間であった。それでも多いと思ったが、1,422時間といえば、年間勤務日数が平日の250日とすると5.7時間、1年中6時間近く毎日残業しないとこうならない。22年度の最長職員と比べても300時間以上も多くなっているが、突出して多い現状から班内での業務分担等に問題があったとしか思えない。

また、2位が1,186時間ということで1位は突出して多い事例ということらしいので属人的な問題かもしれないが、それより寧ろ私が問題と考えるのは、職員の勤怠に関する管理職の指導についてである。

過労死の労働災害認定基準でも、発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合、あるいは、発症前2か月ないし6か月間にわたって1ヶ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合には業務と発症との間の関連性が強い、などの目安が示されている。年間1千時間以上の職員は過労死ラインを超す残業を毎月していることになる。

前回指摘したのに、なぜ超過勤務状態が改善できていないのか。改善できていないのは行革プランによる人員削減のせいなのか。勤怠管理が甘いということなのか。理由をきかせてほしい。

3 公共施設等総合管理計画の策定について

(1)計画策定の時期と予想される金額について

人口減少問題に直面している今、高度経済成長時代に建設したハコモノ施設等の更新時期を迎えている。インフラの更新をするとなると当然巨額の費用がかかり、かといって放置をしておくわけにもいかず、やむなく撤去となった場合の費用の負担については、現在の自治体の財政指標である「将来負担比率」にも反映されていないが、将来的な負担となることは間違いない。

「国は、公共施設等の維持管理・更新等に係る中長期的な経費も検討しつつ、公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な考え方を「公共施設等総合管理計画」として策定することを要請した。先行する愛知県などでは26年度に既に計画を策定し、公表されているが、県有施設はストック事業用資産1.5 兆円、インフラ資産7.3 兆円の合計 8.8 兆円で、全体の半分近くが築 30 年を経過しており、今後30年間に必要な維持・更新費用をトータルでコストが低廉な「予防保全型」の維持管理を行う場合として、一定の条件の下で試算した結果、今後30年間の費用 約3兆2,800億円 (1,093億円/年)の費用がかかるとしている[事後保全型の維持管理を行う場合約4兆3,200億円 (1,440億円/年)]。

兵庫県の「公共施設等総合管理計画」の策定時期と、どれほどの期間でどれぐらいのオーダーの金額が必要となってくると想定しているのか、概略を伺う。

(2)撤去費用の考え方

公共施設等総合管理計画が策定されると、国は建物を撤去する費用を起債することを認めるという。公共施設等の除却に係る地方債「除却債」である。交付税措置のない資金手当債。これまでは建物などの恩恵を受ける将来世代との負担の公平を考慮して、起債して後に年度それを償還するという後年度負担を認めてきたはずだが、今度は、撤去費用までも将来年代も分担せよというものである。

老朽化した建物は人口減少等に応じて、撤去していくことになるが、その撤去費用については次世代にツケを回すことにならないよう、慎重に議論してかなくてはならないと考える。

そこで、建物の撤去について、除却債の発行への考え方も含め、撤去費用に関する考え方を伺う。

4 適切な外部監査のあり方について

(1)包括外部監査結果報告

毎年度2月定例会で、包括外部監査結果報告書が配布されるが、昨年度は閉会日間近の配布で議会の質問にも全く利用もされなかった。過去5年間の議員への配布日を確認したい。

(2)包括外部監査の議会での活用について

昨年度以外も閉会日に近い当該年度の議案が採決される日の配布であると確認できた。定例議会の質問機会は既にない日程での配布である。次の議会は6月議会であり、昨年度までは一般質問もなく、実際に議会で使われたとしても鮮度が落ちてしまっている。包括外部監査では、平成24年度に兵庫みどり公社のオーバーナイト借入れが指摘され、そのことで議会の質問にもつながり、結果として26年度決算では改善が図られた。このように、外部監査の指摘によって事務が改められる場合がある。

今より早い日程で議会に報告を行うことで、2月議会の一般質問や予算審査での利用が可能となり、包括外部監査の意義も向上すると思うが、所見を伺う。

県土整備部

1 県営住宅事業について
(1)使用料収納状況について
①使用料(現年・過年度)の収納率について
②弁償金の収納率について
(2)収納率向上のための納付方法について
①口座振替率の推移について
②コンビニ収納について

全文

決算特別委員会  [ 10月20日(火)(県土整備部・竹内 英明委員 ]

26年度の県営住宅事業特別会計を眺めると、概ね

歳出・県営住宅事業費 ①29,977≒300億に対して、

歳入は国庫支出金36億、県債68億、一般会計繰入金55億、駐車場管理収入10億円を含む諸収入11億円で計170億円、使用料128億円、概ね300億円となっている。

歳入・使用料     ②12,753

駐車場       1,040  ≒143億

土地受払収入     500

②/①≒48%、5割以上を税で埋めている。

1 県営住宅事業について

(1)使用料収納状況について

①使用料(現年・過年度)の収納率について

行革プランではH25~H27年度が集中回収期間となっている。県の債権管理推進本部でも、繰越分を含めた回収目標を設定しており、その目標を達成することが求められている。そこで現年、過年度分それぞれの調定額、収入済額、収納率について伺う。

②弁償金の収納率について

滞納者については、条例上3か月で入居許可の取消ができることとされており、入居許可を取消した後は、滞納ではなく損害賠償金が請求されることになる。決算区分上、弁償金としての処理となるが、現年、過年度分それぞれの調定額、収入済額、収納率をお聞きする。

(2)収納率向上のための納付方法について

①口座振替率の推移について

過去3カ年分の口座振替率についてお示しください。

②コンビニ収納について

自動車税のコンビニ納付について調べてみると、平成25年度は37.4%、26年度は全税目コンビニ収納が始まった7月までで39.8%の実績がある。このようにコンビニ収納は一定の利用がされているため、家賃についてもコンビニ収納を可能にされたいが、していない理由は。

教育委員会

1 教員の多忙化、教頭のなり手不足について
(1)教職員の個人賠償責任保険加入について
(2)管理職、特に教頭の激務の実情について
(3)教頭と一般教員の年間給与額の違いについて
(4)小中学校と高校の教頭志望率の違いについて
2 県立学校に対する教育費寄附金について
(1)寄附金の現状について
(2)寄附制度の促進について

全文

決算特別委員会  [ 10月21日(水)(教育委員会・竹内 英明委員 ]

1 教員の多忙化、教頭のなり手不足について

(1)教職員の個人賠償責任保険加入について

教育委員会から現場の校長に異動になった職員で、個人賠償責任保険に加入した人がいた。

通常、公立学校における教員の教育活動は、国家賠償法の「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」という規定により、第一義的に公務員個人が賠償責任を負うことはないとされ、故意又は重大な過失があった場合のみ、個人に求償権を有するとされる。

昔はこのような保険はなかったと思うが、現在学校現場では様々な問題が起こり、モンスターペアレントの存在などで、職員を萎縮させる雰囲気になっているのではないかと思う。このような状況に対応するための保険を、県の関連団体である一般財団法人兵庫県学校厚生会で取り扱っていると聞くが、どのような内容か、また昨年度の加入件数について聞く。

(2)管理職、特に教頭の激務の実情について

今年6月の新聞に、公立学校の教員が激務の副校長・教頭への昇任の敬遠、さらには希望降任が出てきているとの記事が掲載された。記事によると文部科学省もこうした実情について調査しているとのことだが、本県における管理職、特に教頭の勤務の実態はどのようなものか伺う。

(3)教頭と一般教員の年間給与額の違いについて

それだけ激務であるということだが、給与は一般教員とどれほど違うのか。昨年度の小中高校の教頭の平均年間給与額と、教頭と同年代の一般教員の平均年間給与額とをお聞きする。

(4)小中学校と高校の教頭志望率の違いについて

激務に関わらず、小中で70万円、高校で96万円と平均年収では大きな差はない。一般教員との平均給与額に顕著な差が見られないということは、昇任に向けたモチベーションが上がらない一つの要因だと思う。小中高校それぞれの昨年度の教頭試験の受験者数と合格者数、倍率について伺う。また、過去10年間の平均倍率についてもあわせて伺う。

2 県立学校に対する教育費寄附金について

(1)寄附金の現状について

教育費寄附金というのがあるが、26年度に県が受けた寄附金の件数と、合計金額、主にどういった趣旨で寄附されたのかを伺いたい。

(2)寄附制度の促進について

寄附の制度があることはまだまだ知られていない。制度を広報しておくことで、教育の環境を整える財源の収入増につながると思うが、今後どのような方策で活用促進を図るのか所見を伺う。

●企業庁

1 地域整備事業と地方公営企業会計制度の見直しについて
(1)メガソーラーを含めた分譲率の目標設定について
(2)潮芦屋教育施設用地の小学校建設計画白紙化のその後について
(3)未成事業資産の内訳等について
2 水道用水供給事業について
(1)水道料金の引き下げ
(2)企業債の現状
(3)一般会計への貸付実績
3 公営企業会計の現状について

全文

決算特別委員会  [ 10月22日(木)(企業庁・竹内 英明委員 ]

1 地域整備事業と地方公営企業会計制度の見直しについて

(1)メガソーラーを含めた分譲率の目標設定について

昨年度の行革の実施状況報告書を見ると、既開発地区の分譲推進状況について、分譲面積にメガソーラープロジェクト分の20.5haが含まれていることに気がついた。

行革における分譲面積の目標設定時にメガソーラー分は含まれていなかったが、メガソーラー事業を実施することが決定した第三次行革プラン策定時に、当初の目標の分譲分に算入されたという。メガソーラー20.5haを除外して90%の目標設定にしないと外部販売という当初の目標率の設定から下方修正となる。県のエネルギー施策としてのメガソーラープロジェクトを分譲と一緒にするのはおかしい。分譲目標は分子、分母の双方からメガソーラー面積を含まずに従来の90%分譲目標とすべきだがどうか。

(2)潮芦屋教育施設用地の小学校建設計画白紙化のその後について

潮芦屋の教育施設用地については、芦屋市は当初小学校を建設する予定であったが、今春の市長選挙で争点となり、新人候補が白紙撤回を主張し、これにあわせて現職市長も争点化を避ける形で、3月に白紙撤回された。

現在は民間企業が借りており、フットサルコートなどの集客施設として活用しているが、期限は今年度末までとなっていることから、芦屋市との協議の現状、いずれにしろ芦屋市が責任を持って教育施設用地として利活用するという前提は変わっていないのか伺う。

(3)未成事業資産の内訳等について

地方公営企業会計制度の見直しにより、未成事業資産のうち、分譲可能な造成地については時価評価が済み、359億円になるということが分かった。

しかし、時価評価が済んでいない土地として、進度調整地があり、それは493億円と大変大きな金額であり、これは簿価である。

簿価には、用地取得価格、取得費用借入れのための支払利子、草刈り等の整備費用も含まれるが、この際、それぞれの内訳について聞く。

2 水道用水供給事業について

(1)水道料金の引き下げ

今回の料金改定により、1㎥あたり5円下がることが言われているが、現実に受水団体ごとにどれほどの影響があるのか。メリットが大きい、1年あたりの受水費減少額の大きな上位3団体名とその金額について伺う。

(2)企業債の現状

水道用水供給事業は、このたびの料金値下げでも分かるように健全経営であり、民間並の会計基準に見直しても、自己資本比率が55.1%と、優良公営企業である。水道事業の借金、いわゆる企業債の現状について確認したい。前年度末の残高と支払利子、平均利率は。

(3)一般会計への貸付実績

次にいわゆる建設改良積立金などの貯金の資金運用はどうか。

H26年度から初めて、公表資料でその実態が明らかになった。実は大半の資金を、県の一般会計(歳計現金)に単年度貸付を行っていた。会計間の単年度間の移動であることから、繰替運用とも言う。年度内に何度か資金のやりとりをしているようだが、その貸付残高は最低90億円、多いときは139億円にもなっている。平均すると1日当たり115億円。これについて水道事業会計から一般会計(歳計現金)に貸し付けた平均利率と受け取った利子はいくらか。

3 公営企業会計の現状について

先ほど指摘した水道事業から県の一般会計(歳計現金)への単年度貸付について、実は水道のほか、工業用水、企業資産運用、地域整備事業会計でも実施しており、4月1日~3月31日までの間、平均して各々115億、75億、18億、155億で計363億を貸し付けている。

これらの受取利息の合計は5,500万円余りとなっており、大体0.15%の利率である。県の一般会計(歳計現金)にはありがたいこと。もう少し高い利率で運用することを目指してもいい。かつて塩川正十郎氏が、「母屋でお粥、離れですき焼き」との名言を残したが、この運用状況はまさしくそれにあてはまる。

とは言え、離れの利益を母屋に入れることは制度上出来ない。またこのうち、地域整備事業は10年以上の長期保有土地の進度調整地が1,381ha、489億円あり、これまで県の一般会計(歳計現金)に貸し付けていた155億円を活用しても、今後別に330億円程度の借入金が必要となってくる。

残すところは負債の見える化であり、法令のとおり時価評価等を行っていくことである。

今回の会計制度の見直しについての評価について所見を伺う。

竹内 英明
姫路市

前田 ともき議員

企画県民部①

1 兵庫県のICT活用状況について
(1)2014年度のICT施策の評価
(2)ICT戦略の進め方
(3)県民ニーズに沿ったICTサービスの実現
(4)電子入札システムのさらなる活用
2 ひょうご出会いサポート事業について
(1)会員獲得チャネルの拡大
(2)登録要件の緩和と他の自治体との連携

全文

決算特別委員会  [ 10月14日(水)(企画県民部①・前田 ともき委員 ]

1 兵庫県のICT活用状況について

私は2014年の2月本会議にて、新たなICT戦略の策定とオープンデータ化、CIOの創設について提言した。昨年2月に科学情報局長が新設され、本年3月にはひょうごICT戦略を策定、4月にはオープンデータカタログを開設された。3つの提言は概ね実現したことに感謝するとともに、兵庫県のICT活用による行革の推進や県民サービスの向上に大きな期待をしている。

ひょうごICT戦略の策定にあたり、検討懇話会の設置やパブリックコメント、県民意識調査といった多様な検討を1年間かけて、兵庫県のICT活用状況と世界・他府県の動向や今後の未来像を調査されたと思う。

(1)2014年度のICT施策の評価

本県のICT施策のうち、重要な位置を占めると思われる昨年度整備されたオープンデータカタログについて、データセット数と星の多さでオープンデータの公開レベルを評価する5つ星オープンデータの準拠レベルはどのようになっているのか、4月開始から直近までの利用状況とあわせてうかがう。

(2)ICT戦略の進め方

ひょうごICT戦略では6つの戦略、①安心安全の推進、②暮らしの質の向上、③地域力の強化、④産業の振興、⑤行政のオープン化・効率化、⑥社会とICTの調和、をあげている。基本的な考えや、具体例として挙げられている様々なICT施策はよくできている。ただ、私の視点で見ると1つ欠けていると感じるのが、Ⅴの戦略の進め方。各部局の推進状況を確認・評価するだけでは不十分である。

行政では、様々な政策・施策が明示されても、実行レベルで質的に不十分となっている状況が散見される。特にICTに関してはデジタルネイティブの30代以下がやはり知見は優れており、現場の意思決定者である課長レベルのICTリテラシーについて不安なところがある。

ひょうごICT戦略推進本部及び、科学情報局が主体的に各部局に対してICTリテラシーを高める研修やICT活用事例の情報提供など、積極的な役割を果たしていくべきだと考えるが、昨年度の実施状況と今後の取り組みについてうかがう。

(3)県民ニーズに沿ったICTサービスの実現

昨年提言した私のICT戦略では事例として、気温や降水量、土壌温度などのデータを測定し、熟練者の経験に依存した生産ではなく、数値に基づいた生産管理で農家の生産性向上や新規就農者支援につなげる農業ICTや救急車へのタブレット配備による患者のたらい回し防止や搬送時間の短縮、AEDや消火栓、避難所情報などの集約した防犯アプリなどICT政策が如何に県民サービスの向上に直結するか、指摘してきた。

昨年7月にひょうごICT戦略策定に伴って行われた県民意識調査結果が公表された。500名超の貴重な意見である。その調査結果では、ICT行政サービスの中で、救急通報システムや緊急避難システムなどの「防災・ 防犯」分野、遠隔医療、医療機関間連携、健康管理などの「医療・健康」分野といった、暮らしの質を向上させる分野でのICTを使った行政サービスが期待されている。

そこで、昨年度に実現または運営されたICT施策のうち、当局として評価・成功事例としてあげる事業はどこか。また、今後期待するICT施策はどの事業か。

(4)電子入札システムのさらなる活用

行政サービスの向上と簡素で効率的な行政システムの確立を目指し、2003年に電子申請システムの運用を開始し、2004年には、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例」を施行し、条例等に基づく手続きにも対象を拡大した。2006年には、市町との共同運営システムとし、以後、電子入札、電子申告の開始、システムのクラウド化を進めてきた。

① 市町の電子入札の取組推進について

兵庫県電子自治体推進協議会は県と41市町で構成されているが、電子入札システムに参加しているのは、昨年度末で県内19団体となっている。その要因を伺うとともに、さらに参画を進めるための方策について問う。

② 100%電子入札への集約について

電子入札については、2005年度に80.3%の利用率であったものが、昨年度は94.2%となっている。零細事業者の負担になるとの声もあるが、通常入札と電子入札が混在すると業務上煩雑となるため、一定の期間を定めて100%電子入札化とすべきと考えるが、当局の所見を伺う。

(コメント)

・昨年度の入札2,841件のうち、電子入札は2,677件、紙は164件。電子入札ポイントなどの導入で、100%を目指せないか。

・入札登録業者が電子入札の認証カードを取得するのにかかる費用が1万円という話だが、営業努力のうちではないか。

・本来であれば、入札システムは全国統一がベスト。少なくとも広域連合レベルでシステムの統合を図るべき。

2 ひょうご出会いサポート事業について

この種の事業はネットワークの外部性をきかせていく、つまり利用者を増やせば増やすほど利用者のメリットを指数関数的に増加させることが可能であり、事業の成否を決める要素である。例えば、電話やSNSなど、友達が使っていなければ利用できないが、使う友達が多ければ多いほどネットワークが広がっていく。この出会いサポート事業についても同様であり、登録会員数を増やせば増やすほど多様な希望に応えることができるため、マッチング数や成婚率の上昇、入会から成婚に至るまでの期間の短縮化や運営コストの軽減など、KPIが向上することになる。

(1)会員獲得チャネルの拡大

はばタン会員は平成25年度の5,321人から翌年度には4,534人へと1割以上の大幅減となった。会員数の減少は先ほどのネットワークの外部性が効かず、事業存続の存立を及ぼす危機的状況にある。そこで、会員数の拡大に向けで、個人向けのアプローチだけでは会員獲得コストが高止まりするため、一気に情報提供可能な法人・団体への情報提供や営業はどのようにされているのか。会員獲得チャネルの拡大に向けた取り組み状況と課題についてうかがう。

(2)登録要件の緩和と他の自治体との連携

会員獲得の異次元の対策として、私が指摘したいのが登録要件の緩和とDB共有化である。登録の要件は、兵庫県内に在住・在勤または在学中の20歳以上の方であったが、  今年度に、県内に在住・在勤または在学中でない場合であっても、こうのとり大使または兵庫県内に在住・在勤・在学中の20歳以上の方からの紹介があれば登録できるよう要件緩和されたが、登録要件は本当に必要なのだろうか。この要件が会員数の拡大の阻害要因、成婚数の阻害要因となっていると考える。

本事業の登録人数は約4,500人に対して、業界大手で上場企業のIBJは会員数が5.5万人であり、同じく上場企業のツヴァイは会員数が3.3万人である。

最近では他の自治体でも婚活サービスの提供が増加している中、成婚率の更なる向上のためには登録会員数の増加が何より重要だと考える。

そこでこの際、登録要件は廃止すべきであると考えるが、当局の所見を伺う。また、他の自治体とのDB共有化や関西広域連合での事業化も検討すべきではないか。あわせて伺う。

健康福祉部

1 兵庫県がん対策推進計画について
(1)がん検診の受診率向上
(2)ピロリ菌対策
2 薬局の役割の拡大について
(1)かかりつけ薬局の質的・量的整備
(2)セルフメディケーションの拠点としての薬局のあり方
3 健康づくりチャレンジ企業の取組みについて
(1)利用者ニーズに沿った助成・支援サービス
(2)勤労者健康づくり運動施設整備事業

全文

決算特別委員会  [ 10月14日(水)(健康福祉部・前田 ともき委員 ]

1 兵庫県がん対策推進計画について

2013年4月策定にされた本計画は予防・早期発見・医療体制の充実が主な施策としてあげられている。

今回は県民のQOLや医療経済的にも効果があるであろう、早期発見と予防について、計画2年目である昨年度の成果について伺っていきたい。

計画策定時の主な見直しポイントとして、がん検診受診率の50%(胃、肺、大腸は当面40%)を達成とある。特に本県は検診の効果が科学的に証明されている5大がん検診のすべてが全国でワースト10 に入り、一昨年度の実績ではいずれも40%に満たない受診率となるなど、がん検診受診率の向上は喫緊の課題である。

(1)がん検診の受診率向上

受診率向上に向けた取り組みとしてすべてのがん種の検診受診率が県平均より低い市町を重点市町として指定した取り組み成果や企業・職域に対する受診啓発の取り組み成果について伺う。

また、2010年に実施された県民アンケートでは受診をしない大きな要因として費用が挙げられている。既に無料クーポン券など実施しているが、さらなる助成措置が必要と考えるが、所見を伺う。

(2)ピロリ菌対策

ピロリ菌の感染者は国内3,500万人で50歳以上の8割が感染しているといわれている。感染すると慢性的な胃炎を発症し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍につながるなど、胃がんリスクが非常に高いといわれている。同計画では、がん予防5つの推進方策の一つとして、感染に起因するがん対策をあげ、HPVや肝炎ウィルスへの正しい知識や受診の啓発をあげている。しかし、ピロリ菌については国の検討会や関連学会の動向を注視する、としているのみである。

そしてここ数年ピロリ菌の除去が胃癌リスクの軽減に大きな効果を上げることが明らかになってきた。WHOはこのピロリ菌を当初は発がん要因の一つとしてきたが、2014年9月に胃癌の8割はピロリ菌が原因とし、除菌は胃癌の発生を3割~4割抑制できるとして各国に対策を求めている。また、本年9月には国立がん研究センターがピロリ菌と胃炎の両方を持つと10倍以上、胃がん発生が高まる調査結果を発表した。

胃癌は2011年の全国調査で部位別がん罹患数1位、部位別死亡数でも男性2位、女性3位であり、しっかりと対策を講じていくべきだが、本計画の個別がん対策では触れられていない。このような状況の中、篠山市は学校検診で、全国初のピロリ菌検診を実施しているが、市町でのピロリ菌対策は端緒についたばかりである。

胃癌対策としてのピロリ菌検診や除菌の有効性、また、受診機会の拡大や費用助成についての現状と今後の方針について伺う。

2 薬局の役割の拡大について

保健医療計画では、患者が医薬分業のメリットを享受できるよう、かかりつけ薬局の普及啓発や在宅医療への参画等、地域医療に貢献していくため、薬局の機能強化を図るとされている。

本県の薬局は、昨年度末で2,543あり、街の身近な健康相談窓口として、医薬品等の情報を適切に提供するほか、 患者が薬を飲み残している「残薬」や薬の重複投与を防ぐ服薬指導、セルフメディケーションの推進など多岐に亘る活動に取り組んでいる。特に、医療費抑制の観点からジェネリックの推進や在宅高齢者だけでも年間500億円あるという残薬は大きな問題であり、薬局の役割が期待される。また、コンビニより店舗数が多い薬局は、県民にとっての医療健康の身近な拠点としての質的拡充を図っていくべきと考えている。

保健医療計画の推進方策では、 「かかりつけ薬局」としての相応しい機能を発揮してもらうため、多様な県民ニーズに対応できるよう研修体制を充実して、薬局の質的向上を図る、とされている。厚生労働省も全国5万7千軒ある薬局をかかりつけ薬局に再編する方針を打ち出している。

(1)かかりつけ薬局の質的・量的整備

かかりつけ薬局の県内における状況や薬局に対する支援状況を伺う。

また、2014年1月には厚労省通知で「薬局の求められる機能とあるべき姿」の活用を求められたが、かかりつけ薬局の機能強化に向けた取組みの現状や通知を踏まえた対応について、あわせて伺う。

在宅医療の推進や慢性期への対応、チーム医療の方向性、医療経済性、こういったことを考えると、病院・診療所以外の医療拠点の必要性があり、アメリカのような上級看護師ナースプラクティショナーによるクリニックも一つの解と考えていた。日本の場合は薬局を拠点として活用し、認定・専門看護士を組み合わせることで、地域の身近な医療・健康拠点が一気に整備できるのではないかと考えている。

そのような中、日本再興戦略では薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進が打ち出され、グレーゾーン解消制度化により、自己採血による簡易検査の適法性が明確化された。薬局の役割拡大に向けた大きな第一歩だと思う。

昨年度は兵庫県も県薬剤師会に委託し、糖尿病を早期発見するため薬局での簡易検査モデル事業を実施した。

(2)セルフメディケーションの拠点としての薬局のあり方

薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業の評価や検体測定室の整備状況について伺う。

また自己採血で可能な検査項目は8種類のみとなっていることから、胃がん罹患の原因とされているピロリ菌など、検査項目制限の撤廃を特区で提案すべきだと考えるが、所見を伺う。

3 健康づくりチャレンジ企業の取組みについて

(1)利用者ニーズに沿った助成・支援サービス

健康づくりチャレンジ企業の事業では、平成29年度を目途に1000社の登録を計画している中で、昨年度は418社と進捗としては厳しい。登録すると様々な助成を受けることができ、今年12月に義務化されるストレスチェックに対応するメンタルヘルスへの助成や子宮頸がん検診の補助など様々なメニューがある。企業にとっては大変お得な制度だと感じる。

一方で4万枚のチラシや各団体での情報提供をしながら、この進捗は助成メニューに魅力を感じないことが要因ではと考える。

利用者ニーズに沿った新しいメニュー開発、例えばがん検診の受診率向上のため、女性特有のがんだけではなく、5大がんの検診受診促進補助を行うなどの取組みが必要なのではないかと考えるが、所見を伺う。

(2)勤労者健康づくり運動施設整備事業

登録すると利用できるメニューの一つに、勤労者健康づくり運動施設整備事業がある。これは、事業者の遊休施設を活用して運動施設の整備、ダンベルやエアロバイクなどの備品やフローリング工事、運動指導者の人件費を補助するもので最大250万円が補助される。特に課題であった働き世代の運動実施率向上を対象にした事業だと思うが、以下の理由により本当に利用されるのか懸念を持っている。

1 周囲が残業しているのに、仕事を切り上げて職場内で運動する人がいるだろうか。

2 運動器具が数台しかない中途半端な施設に利用者側はメリットを感じるのか。

昨年度は35件程度を想定する中、21件の実績にもかかわらず平成27年度でも予算が拡大している。21件の事業所での利用状況はどうなっているか。また、備品整備となると転売リスクもあるため、ランダムでの備品確認などは実施しているのか。

また、遊休施設がない事業者や上記課題への対応として民間フィットネスクラブやスポーツ施設の法人会員への助成などは検討できないか、所見を伺う。

産業労働部

1 多様な金融支援について
(1)キラリひょうごプロジェクトの成果と課題
(2)多様な資金供給方法の開発
(3)農業やNPO法人など新たな資金供給先の拡大
2 多様な起業支援制度について
(1)起業家支援事業の評価
(2)NPO法人への対象拡大
3 企業誘致に向けた規制の緩和について

全文

決算特別委員会  [ 10月16日(金)(産業労働部・前田 ともき委員 ]

1 多様な金融支援について

今年6月に閣議決定された骨太方針では資金供給の円滑化として、融資に過度に依存してきた資金の流れを、株式やメザニンに移行させることが重要であり、政府系金融機関による民間の補完等により、資金の流れを多様化・複線化する、とある。

(1)キラリひょうごプロジェクトの成果と課題

新たな資金供給の手段として昨年度から始まったキラリひょうごプロジェクトでは、公募で選定されたジャムや豊岡鞄、こうのとり純米酒など9件のプロジェクトを対象に、クラウドファンディングで資金調達支援を行った。

9事業の資金調達の成果とあわせて事業を選定する際の事業計画の評価や分配金・商品の

制度設計はどのようになされたのか。ふるさと投資という制度への評価や購入型への波及についてもうかがう。

(2)多様な資金供給手法の開発

兵庫県の制度融資は3000億円規模で、この金融支援だけでは量的に不十分であり、更なる金融支援の多様化が必要であると思われることから、多様な資金供給手法の開発について伺う。本県においては既にIPOを目指す企業への投資ファンドを2本運営している。日本全国を対象にしたVCファンドでもリターンは相当厳しいのに、兵庫県内に限定してしまうと相当運用が厳しい。投資収益を期待する投資勘定ではなく、助成金との認識であればいいが。運用期間を10年ではなくより長期の運用期間に変えていく検討も必要と感じる。

多様な資金供給法については、平成24年度決算委員会でメザニンローンの創設について発言した。企業が資金調達する際に、年利1~2%のゾーンと10%以上のゾーンというのはあるが、年利5~9%ぐらいというのは、ぽっかりと空いてる。 そこを補完するのが、メザニン融資。ほかの債権よりも返済順位が劣り、返済期間を長期化させる代わりに金利が高目に設定された融資で、資本性融資とも言われている。

2年前の答弁では、既に実施されている日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度の実施状況、課題などを踏まえながら、研究していきたいとされている。

クラウドファンディングやメザニン融資、動担保融資など新たな資金調達策が生まれているが、中小企業や地銀・信金だけではその活用にはなかなか至らない現状もある。

兵庫県の地域創生戦略においても、産業・投資の活性化方策として直接金融の拡大が記載されていることから、多様な供給策についての現状や利用の促進、県としての役割についてうかがう。

(3)農業やNPO法人など新たな資金供給先の拡大

特区における規制緩和の一環として、商工業とともに農業を営む中小企業等への信用保証制度が創設され、養父市で本年2月から「アグリ特区保証融資制度」を実施した。10月からは、中小企業と同様の事業を行うNPO法人も保証協会の保証を利用できるよう改正中小企業信用保険法が施行され、①常時雇用する従業員数が法の定める要件に該当、②保証協会の保証対象業種を営んでいること、などの条件を満たせばNPO法人の保証も可能となった。

中小企業向けの資金供給拡大の手法として保証料の引き下げは限界が来ているし、新しい資金ニーズへの対応も考えていく必要があると考える。

そこで、保証の適用が可能となった、商工業とともに農業を営む中小企業等やNPO法人といった新しい供給先の拡大が必要と考えるが、今後の取り組みを伺う。

2 多様な起業支援制度について

(1)起業家支援事業の評価

有望なビジネスプランを有し、県内で起業を目指す女性やシニア起業家向けに事務所開設費や備品費など起業に関する経費の助成を行うのが本事業。日本は起業率が諸外国と比べて圧倒的に低いため、起業の低リスクを図る意味でいいきっかけになると感じている。

そこで、本起業制度によって生まれた新しい雇用や事業はどのようなものか、また、平成27年度から女性起業家支援事業が拡充され、シニア起業家支援事業とふるさと起業支援事業が新設されているため、本制度の評価について伺うとともに、本来であれば世代的にお金がない、人脈はない、ノウハウもない、でもやる気・勇気だけはある。そんな若者向けの助成制度を創設するのが先ではないかと考えるが、当局の見解を伺う。

また、これら支援制度では受付期間がたったの1か月しかない。受付-審査-交付まで一定の期間が必要とはいえ、起業は思い立ったが吉日。スピード感が重要であり、この1か月制限が、申し込みの障害となっていないか。より多くの起業家にこの制度を活用して貰うためには、案件選定の審査会があることを考慮しても最低でも年2回の受付を設定すべきであると考えるが、所見を伺う。

(2)NPO法人への対象拡大

女性、シニア、ふるさと起業支援事業では全てNPO法人は対象外となっている。

最近はより経営的な手法で世の中を改善していく社会起業家、ソーシャルベンチャーも新しい担い手として注目を浴びている。若手経営者が株式会社と変わらない事業をNPO法人で経営し、病児・病後児保育や不登校支援やうつ病対策など、社会性と同時に雇用や新しいサービスを提供していく大切な担い手である。株式会社もメセナ、CSRなど実施しており、営利企業かNPOの2者択一ではなく、混在化しつつある。

NPO向けは、ひょうごボランタリープラザの助成金も存在するが、起業向けの助成プログラムはなく、またビジネスの視点で継続的に支援をしていくためにも、ひょうご活性化センターによるソーシャルベンチャー支援も行っていくべきである。また、地方創生が叫ばれるが、利益重視でいくと、市場規模や選択と集中の観点から郡部に株式会社が起業・進出しないのはある種で当たり前。郡部での起業や新しい雇用やサービスの担い手は利益をそれほど重視しないNPO、ソーシャルベンチャーが今後はその任を担うのではないか。

そのようなことを踏まえると、本事業でNPOを除外する必要性はないと考えるがご所見を伺う。

3 企業誘致に向けた規制の緩和について

昨年の兵庫県の工場立地件数は49件、全国4位の実績である。今年度、産業立地条例の策定により、設備投資補助や雇用補助の適用要件の緩和等を進め、さらに企業誘致の促進を進めているところであるが、果たしてお金を出す補助メニューの拡大だけで、十分なのだろうか。ふるさと寄附金と一緒でお返し合戦、補助金合戦の自治体同士の消耗戦になることを懸念している。大事なのは企業経営でもそうだが、カネよりチエが大事である。私は、企業誘致に関しては規制緩和が一つのポイントだと見ている。

例えば工場の誘致に際しては、緑地面積率の規制等がある。工場立地法で敷地面積が9000平方メートル以上などの工場で施設の建て替えや新設をする際に、工場敷地内の緑地の面積割合を20%以上と定めている。1974年の法施行前に立地した企業では特に緑地確保が厳しく、設備投資の足かせになっていると聞く。この20%を条例で緩和している自治体も複数存在する。

また、千葉市ではインターチェンジ付近の市街化調整区域における倉庫や事務所の建設を可能とする規制緩和に動くなど様々なチエを絞っている。今年度からは県土整備部で特別指定区域の改定を図ったところでもある。

企業・工場誘致の窓口となる本部局においては企業が進出する際に発生する様々な規制を細やかに把握しながら、市町・庁内・企業と連携して規制の見直しを図っていくべきと考えるが、当局の規制緩和による誘致策の現状や規制が誘致のボトルネックになっていることに対する認識、今後の取り組みについて伺う。

公安委員会

1 警察人員の地域間格差の是正について
2 警察官の採用基準の改善について
3 携帯GPS位置情報の捜査・捜索などへの活用について
(1)これまでの活用と成果について
(2)今後の捜査活用について
4 私人逮捕による警察力の外部化について

全文

決算特別委員会  [ 10月16日(金)(公安委員会・前田 ともき委員 ]

事件・事故を一つでも0に向けて歩みを進めていく必要があるが財政的な制約があるなかで、大幅な組織増強は難しい。そのような制約条件の中で、私は最適化、効率化、外部化が県警組織は必要であるとの観点から質問する。まずは、最適化について伺う。

1 警察人員の地域間格差の是正について

今回は48警察署、701交番・駐在所の定員設定の在り方について伺いたい。これは、地域の治安の基礎となる警察官がしっかりと最適配分されているのか。都市と郡部の格差、一部の警察署に過度な負荷がかかっていないのか、その状況について伺いたい。

以前、警察常任委員会に所属し、管内調査でいろいろな署を視察し、データも拝見した。

その中で「本当にこの地域に交番、駐在所が必要なのか」、「事件や事故が少ない警察署にこれだけの警察官が必要なのか」と感じた。

委員会で指摘した当時の数値では、警察官1人当たりの住民人口が、豊岡北警察署だと295名、宝塚警察署だと1,009名である。これは、宝塚では一人の警察官で1,009名の地域住民を守っているが、豊岡北ではその3分の1以下の295人という格差があるということである。ちなみに、全国の平均を見ると、県警本部も含めた数で単純比較できませんが、500人程度、欧米では、300人程度である。

配布した資料をご覧願います。警察官1人当たりの刑法犯認知件数では、美方警察署1.5に対して、尼崎東警察署にあっては12.3と、8.2倍もの格差。交通事故件数は、豊岡北0.8に対してたつのが5.9と、7.2倍もの格差となっています。

市街化面積や他署との連携力など、最適配置を設定するうえで様々な指標で検証する必要はもちろんある。要するに、今の配置状況では、一部の地域で警察官に対する負担が偏っているのではないか。」そういった負担の偏りのため、住民は警察サービス、治安サービスがしっかりと享受できていないのではないかということである。実際、警察官が住民の家を訪問する「巡回連絡」も、都市部特有のオートロックマンションや多くの110番対応のため郡部より進んでいないと聞く。そう考えると、本来、警察官が最適配分されていれば、検挙できた事件、防止できた事故が多くあったのではないかとも感じるのである。

昨年12月の我が会派の代表質問で、石井健一郎議員が「警察官の適正な定員について」質問し、治安情勢に応じて組織体制は不断の見直しを行うと答弁されている。

そこで、昨年12月以降、警察本部として、警察署の定員設定に対してどのような見直しを行ったか伺うとともに、警察官の負担の偏りに対する見解と、何倍程度までの格差は許容範囲なのか、あわせて伺いたい。

2 警察官の採用基準の改善について

次に、人員の質的向上について伺う。

公務員は、景気が回復傾向となると、一般企業等へ優秀な人材が流れていく傾向があり、どうしても応募者数が減少傾向となる。安全で安心な兵庫を実現していくためには、優秀な人材の確保が必要であり、常に対策を講じなければならない。平成22年度は、受験者数が約6,500名、競争倍率10.8倍であったが、平成26年度では、約4,000名と減少し、競争倍率5.6倍まで落ち込む状況となっている。人材の質的確保を図るためには、一定の競争倍率が必要で、5年で競争倍率がほぼ半減している現状は、今後の兵庫県警の基盤を揺るがす重大な懸案事項になるのではと考える。

ここで、目を向けたいのは、警察官を目指しながら、採用基準等に阻まれて優秀な人材が受験できない状況にあるのではないかという思いである。従って、受験制度の柔軟な見直しや検証を行っておくことが重要である。

兵庫県警では、平成20年度から受験資格年齢を30歳から35歳に引き上げるとともに、平成21年度から情報処理、心理相談など、特別区分の採用試験を導入し、平成26年度からは、女性警察官の身体基準である身長を155センチから150センチに、体重を45キログラムから43キログラムに緩和するなど、改善がなされている状況にある。

そこで、県警が今まで行ってきた年齢、身体基準の緩和、特別区分の設定など、採用基準の改善は、今までの採用数にどのような効果があったのか。また、今後、優秀な人材を確保するための受験資格のあり方について県警の見解を伺う。

次は効率化について伺いたい。

3 携帯GPS位置情報の捜査・捜索などへの活用について

ICTを活用した警察組織の効率化については、2年前の予算委員会、6月本会議等で指摘してきた。今回は、位置情報を活用した効率化について質問したい。

従来から、110番通報の場合には携帯電話の位置情報が自動的に県警に送信され、迅速な対応に役立ってきた。また遭難や大規模災害時の生命又は身体に対する重大な危機が切迫する事態には携帯各社から位置情報の提供を受けて、救助の可能性向上に取り組んでいる。

また、捜査についても活用策が開かれようとしている。2011年に改訂された個人情報保護に関するガイドラインで位置情報を用いた捜査が可能となった。しかし、同ガイドラインには、捜査に活用する際でも「位置情報が取得されている事を利用者が知る事ができるとき」という規定があり、捜査の対象に位置情報を取得していることを通知する必要があった。これでは、秘匿に捜査を進めていく事は不可能で、捜査に使いにくいのではと容易に想像される。

しかし、本年の6月から総務省が新しい指針を示し、携帯電話のGPSによる位置情報を取得する場合、本人への通知手続きは不要となった。このことからGPS情報をより捜査に活用しやすくなり、捜査の効率性が格段に上がるように考える。

そこで、GPSによる位置情報を取得する警察活動について2点伺う

(1)これまでの活用と成果について

まず、従来から携帯電話の位置情報を活用した、犯罪捜査や遭難者・行方不明者捜索活動等での運用と成果はどのようになっているのか伺う。

(2)今後の捜査活用について

新たな総務省の指針を受け、相手方への通知手続きが不要となり、効率的な犯罪捜査が見込まれるが、その運用を適切に行うためどのように取り組んでいくのか伺う。

4 私人逮捕による警察力の外部化について

今の警察は、犯人の逮捕、取り調べなどに加え、DVや徘徊老人の捜索など、社会からの要請を受け、その業務の在り方が多様化している。現在の財政状況から、警察官の大幅な増員は期待でず、警察のマンパワーだけでは限界がある。そこで可能な限り、業務の外部化・共有化を図ることが必要になってくる。

警察においては、既に業務の外部化が行われており、駐車監視員、交番相談員など警察官以外の人材が地域の治安のために、業務をシェアしている。究極の外部化は、県民ひとり一人がその地域の治安のために、防犯活動や助け合いをすることであり、現在でも防犯パトロールや監視カメラの設置、振り込め詐欺へのだまされたふり作戦など地域住民も連携をしながら行われている。

しかし、冒頭申し上げた通り、事件・事故を限りなく0にするためには現状の対策ではまだ不十分と考える。

そこで今回は、私人逮捕による警察捜査の外部化を検討してみたい。現在、業務分担とは言えないまでも、捜査協力や捜査情報収集の観点から、捜査特別報奨金制度や拳銃110番報酬制度、警視庁でのツイッターや大型ビジョンで犯人の画像を公開することで、犯人の検挙までの効率化を図っている。

そこで、お伺いしたいのが、「私人逮捕」について。刑事訴訟法は、第213条に「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と規定している。まずは、公益的発想を持つ、県下に約10万人の公務員、県下の8割の約170万世帯をカバーする自治会等で構成するまちづくり防犯グループ、約2万人に及ぶ警備員など多くの人材に、現行犯逮捕についての周知を行い、併せて、負傷防止に係る教育も行った上で、積極的に犯罪検挙活動に参加してもらい外部化・共有化を推進する考え方である。また、逮捕行為に至らなくても、スマートフォンなどで撮影してもらう、写真を撮って情報提供してもらうことで、先に言った情報提供による捜査協力になる。これで犯人の検挙に至る過程の効率化を図ることができる。

実際に、全国で一般私人が現行犯人を確保している事例はいくらでもあり、県下でも同様で、更に一般人のスマホ撮影から事件解決に至った事例がある。こういった観点で、私人逮捕による警察力の外部化を推進し、限られた人員で検挙活動の効率化を図ってはどうかと考えるが、当局の見解を伺いたい。

県土整備部

1 安全安心な我が家のための建築確認検査体制の在り方
(1)指定確認検査機関や建築士事務所への指導
(2)兵庫県建築物安全安心実施計画と見直し
(3)中間検査・完了検査・工事監理のランダム実施

全文

決算特別委員会  [ 10月20日(火)(県土整備部・前田 ともき委員 ]

1 安全安心な我が家のための建築確認検査体制の在り方

阪神・淡路大震災を契機とし、施工不良や法令違反が原因とみられる被害が発生したことを教訓に、平成10年に建築基準法の改正がされた。中間検査制度の導入や建築確認・検査の民間開放、姉歯事件を契機に一定規模以上の建築物は構造計算適合判定の導入など大改正がなされている。

現在は、建築確認、中間検査、完了検査と3つ段階で、建築物をチェックする体制となり、安全性の確保はなされていると思われた。

しかし、ここ数年は違法・手抜き工事が、またもやニュースをにぎわす状況になっている。横浜の大型マンションでは不十分なくい打ちによる傾斜、セメント量のデータも改ざんの報道が。昨年も都内の複数の億ション、日本を代表する大手ゼネコン物件が補強筋やスリーブが一部入っていないことが発覚し、契約白紙などに至っている。

大手事業者・大規模・高額物件で工事監理に十分手当ができそうな物件でもこのありさまである。中小事業者・小規模マンションや戸建ての物件の信用はどう担保されるのか、今までの様々な改正の実効性はどうなのか、また行政の役割がどのように果たされてきたのかにも疑義を感じる。

(1)指定確認検査機関や建築士事務所への指導

特定行政庁は報告を受けた確認が建築基準規定に適合しない場合は、通知により確認済証を失効させるなど指導監督を行っている。建築確認や検査のシェア9割以上を占める指定確認検査機関や設計通り工事が施工されているか確認する工事監理者、つまり建築士への指導の現状と実効性についての評価も合わせて伺う。

(2)兵庫県建築物安全安心実施計画と見直し

第5次兵庫県建築物安全安心実施計画は、確認検査業務の適正化・円滑化、建築規制の実効性確保、建築物の 安全性確保を図るため、平成23年度から5か年計画で実施されている。これまでの評価と来年度改正のポイントは何か伺う。

(3)中間検査・完了検査・工事監理のランダム実施

現計画の基本的方向にある、建築規制の実効性確保では啓発・指導・書類チェックが中心となっている。建築確認、検査フローの多くを民間の指定確認検査機関が実施しており、また、工事監理者も本来の責務を果たしているとは言い難い。

例えば、

・建築主と工事監理者がグループ会社・下請けであるという問題

・工事監理者が一回も現場に行かないなどの名ばかり、名義貸し問題。

・社会資本整備審議会では、建築主が十分な報酬を支払わないことから、十分な工事監理がなされていない状況が相当数あると指摘されていること、などによる。

性善説、現状のチェック体制では不正に対するガバナンスは効かない。

また、指定確認検査機関の確認で生じた第三者に対する賠償責任も、地方公共団体に帰する最高裁判決が確定された中、不正・不法建築物に対する賠償リスクは自治体にもある。

行政が中間検査・完了検査・工事監理のランダム実施を行うことで、更なる建築規制の実効性を担保し、業者等に対するガバナンスを効かせる必要性があるのではないかと考えるが、所見を伺う。

病院局

1 粒子線医療センターの収益改善と外国人の受け入れについて
2 チーム医療の評価について

全文

決算特別委員会  [ 10月22日(木)(病院局・前田 ともき委員 ]

1 粒子線医療センターの収益改善と外国人の受け入れ

粒子線医療センターの医業収益は、平成25年度25億円から平成26年度22億円と悪化し、経常損益も、平成25年度決算の9100万の黒字から、平成26年度決算は3100万の赤字に。主な要因は患者数が入院で約600人、外来で約2,200人減少したこと。

本センターのPL構造は、そのほとんどが箱モノ代、減価償却費が中心であり患者数は他の病院と比較してもインパクトが大きい重要なKPIである。

しかし、現在稼働中の粒子線治療施設は全国で13施設、近隣府県でも大阪、岡山などで開設が予定されるなど供給数は増加の一途をたどる。

広報による潜在患者の掘り起こし、適応疾患の拡大による需要増加もあるが、前立腺は既存治療法に対して優位性を示せず、先進医療から外れる方向にある。乳がんもIMRTと比較して優位性を示せるか懸念をしている。

本センターは症例数で優位性があるとはいえ、立地は劣後しており、5年・10年先を見据えると国内だけでなく、外国人も受け入れていくことは本センターの損益維持の観点からも必要である。

本年6月の日本再興戦略では、外国人患者を受け入れる意欲と能力のある病院を「日本国際病院(仮称)」に位置付け、同リストには本センターも入っている。

神戸市も神戸医療先端都市において、外国人患者受け入れの専門窓口を設置した。3年前の本会議では本センターを活用したメディカルツーリズムについて指摘をした。

当センターの患者数拡大に向けた取り組みを伺う。

また、外国人受け入れの態勢整備の第一歩として外国人向けの料金設定する必要性があるかと思いますが、ご所見を伺う。

2 チーム医療の評価について

チーム医療は、医療の質の向上や医療従事者の負担軽減などを通じて、医療従事者が高い専門性を活かして患者に適切な医療を提供するもの。

そのために、医療従事者の専門性向上や役割の拡大、連携などが求められる。

今後のチーム医療の核は看護師が担うと考え、平成24年度決算委員会で認定・専門看護師の育成を指摘した。本年10月からは看護師の特定行為に係る研修がスタートするなど、専門性の向上や役割の拡大は徐々に進みつつある。

現在は急性期で、個別の課題に応じて必要な専門職を集めた「専門部隊型 のチーム医療」が行われ、県立病院では栄養サポートや呼吸ケア、緩和ケアなどが運営されている。

医師・看護師の不足など様々な課題に対応しつつ、適切な医療を提供していくためには今後更なるチーム医療の推進が求められてくると考える。

そこで、県立病院における、チーム医療の評価と課題について伺う。

前田 ともき
神戸市東灘区