予算特別委員会(予算審査・財政状況)
質 問 者 小池 ひろのり 委員(民主党・県民連合)
国債と借入金等の残高を合計した、いわゆる「国の借金」は、昨年末時点でとうとう1,045兆円になってしまいました。国民一人当たりに換算すると、約820万円であり、とんでもない額であります。
今年度の国税収入が約55兆円であるので、この「国の借金」は実に19年分の収入の前借りという財政状況にあります。にもかかわらず、平成27年度補正予算、28年度予算案ともに、言葉では「1億総活躍社会」実現のための予算と言いながらも、メリハリに乏しいバラマキ予算の面が伺えます。このような「国の借金」の状況など、我が国の将来のことを本当に真剣に考えているのか疑問に感じざるを得ません。
一方、県財政に目を向けると、平成26年度の決算で実質公債費比率は、15.8%で全国ワースト9位、将来負担比率は333%で依然として全国ワースト1位という状況です。行革プランに基づく改善が進んでいると言うものの、決して明るい状況にあるとは言えません。
このような厳しい財政状況の下、本県の予算審議をしっかり尽くさなくてはならないとの観点から、以下、大局的な立場から1問、個別的な問題で5項目にわたり質問します。
1.相乗効果のある予算について
この点は、2年前の予算特別委員会でも指摘しましたが、厳しい財政状況のもと、税の有効な使い方として費用対効果を高めるためにも是非推進して頂きたいとの観点から、その後の取り組み状況と併せてお伺いします。
かつて犯罪の坩堝と言われていたニューヨークが、最近は、世界の主要都市の中で一番安全な都市と言われるようになりました。割れ窓理論で小さな犯罪をも逃さないという落書き取締から始まり、最近は自立に繋がる福祉支援で大きな成果を挙げています。
ここでは、相乗効果のある予算として、ある福祉支援が部局を乗り越えた費用対効果を生み出した優れた施策を取り上げたいと思います。
ニューヨーク市は、福祉支援としてホームレスの為に、空きホテルを買収して住居として提供しました。それまで住所不定では、正式な職に就けなかった入居者が、そのホテルを拠点として、330人中、325人が就職しました。そして、その収入の3分の1を家賃として納めるようになったそうです。かつてのホームレスは、人間性を取り戻し、生きる希望を見出し、中には納税をする人も現れました。まさに自立に繋がる活きた福祉支援として、高く評価出来る施策であったと思います。
ホームレス対策だけでなく、弱者にもしっかり目を向け、市当局が一丸となって取り組んだ結果、成果が出たものと思われます。結果、ニューヨークでは、窃盗が80%も減り安全な都市に変身しました。すっかり綺麗になったニューヨークを訪れる観光客は増え、犯罪が減り警察官の増員に歯止めがかかったそうです。そして、刑法犯罪件数や犯罪被害者も大きく減っています。
ホテルの買収だけに着目すれば、家賃収入を考慮しても大赤字だと思います。しかし、費用対効果は福祉分野の枠を超え、大きな成果として返って来ました。
そこで、このニューヨークの事例から学び、限られた兵庫県の厳しい財政のもとで、これまで言われてきた「選択と集中」に加え、財政全般的な視野から将来的な展望を持った事業効果の検証が必要だと思います。そして、従来、縦割りである各部局からの予算要求を基に編成されてきましたが、これからは、縦割りの枠を超え、他部局にも相乗的な成果を生み出す施策を、大所高所の大局的な見地から評価することに加え、重視することを求めたいと思います。
そこで、2年前の指摘以降、結果として相乗効果の上がった具体的な施策や、予算編成上いかに他の施策立案に反映されたかなどを含め、部局横断的な観点や長期的な視点も考慮した相乗効果のある予算について、当局のご所見を伺います。
2 税制上の優遇制度について
(1) これまでの取組みと評価について
平成28年度の国の税制改正大綱では、「少子化対策・教育再生や地方創生の推進等に取り組むと共に、グローバルなビジネスモデルに適合した国際課税ルールの再構築を行うための税制上の措置を講ずる」と記されています。
このように、ある一定目的を達成するためには財政支出だけではなく、税制上の優遇制度によって政策誘導をしていくことも肝要だと思います。
一方、先ほど相乗効果のある予算についての質問をしましたが、税の軽減を行うことによって、住民の消費活動や企業等の経済活動が活発になり、結果的に税収増加に繋がることがあります。このように、最終的には県としてトータルでメリットがある制度としていくべきだと考えます。
本県においては、このような相乗効果を期待した税制上の優遇制度として、産業立地支援における法人事業税や不動産取得税の軽減等を実施しています。
そこで、産業立地支援において、今まで実施してきた県独自の税制上の優遇制度の概要を伺うと共に、その効果をどのように評価しているのか、この優遇制度が平成28年度の税収に及ぼす影響も含めて、ご所見を伺います。
(2) 平成28年度の税制改正について
平成28年度の国の税制改正大綱のうち都道府県税に関係するものとして、法人事業税所得割の税率引き下げ、外形標準課税の拡大、自動車税のグリーン化特例の見直し、地方創生応援税制の創設などが盛り込まれています。税制改正による政策誘導等に伴う、様々な分野での相乗効果が期待されます。
この国の税制改正により、28年度税収にどの程度の影響を及ぼすと見込んでいるのか伺います。
3 県立学校環境充実応援プロジェクトについて
総務省のホームページをみると、「ふるさと納税で日本を元気に!」というキ
ャッチフレーズがありました。
地方から都会に出て来て仕事に就くと、税金は住んでいる自治体に納めることになります。しかし、生まれ育ったふるさとへ恩返ししたいという想いを持っている人も意外に多いものです。そんな想いから、「ふるさと納税」が導入されたと聞きます。
このような観点から、「兵庫地域創生のスタート」を切る年の予算としてのふ
るさと寄附金事業拡充は、まさに時宜を得たものではないかと思います。
今春の選抜高校野球で、県立長田高等学校が甲子園に出場します。そこで、
「母校を応援したい」という思いに応える形で、今、長田高校のOBや関係者たちに、応援寄附金が募られています。
これは、ふるさとひょうご寄附金の新規事業の1つとして、創設されるものの先行モデル事業と思っていますが、改めてこの県立学校環境充実応援プロジェクトに関して、歳入確保の観点での事業目的は何か、そして、期待する効果をどのように見込んでいるのか伺います。
4 未利用地の売却促進の取り組みについて
特定目的基金と共に、今持っている財産を有効に活用するという観点で言え
ば、未利用地をいかに活用していくかということが、重要であると思います。
ただ、第3次行革プランでは、利活用が見込めない用地は、入札機会の確保
や広報・売却情報の提供の強化、売却手法の拡充などの対策により民間売却を
促進することとされています。
確かに、地価が高い時に購入した土地を、安く売却するということには抵抗
があるかもしれません。しかし、そのことよりも社会全体から言えば、折角あ
る資産を活用できないという損失の方を重視していくべきと考えます。
また、第3次行革プランの目標である収支均衡を達成するためにも、未利用
地の売却を積極的に進め、さらなる自主財源の確保を図っていく必要がありま
すが、土地売払収入が、昨日、議決された平成27年度2月補正予算では約8億
7千万円の減額、現在審議している平成28年度当初予算においても、前年度比
較で約6億7千万円減額して計上されています。
そこで、来年度、第3次行革プランの最後の総点検に取り組む中で、これま
での対策を検証し、民間売却の促進に向けて、より効果的な対策を講じていく
べきではないかと考えますが、
ご所見を伺います。