議会の動き

◆20年2月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方  討論①  討論②

質  疑  向山 好一  議員

代表質問  上野 英一  議員

一般質問  前田 ともき 議員
      栗山 雅史  議員
      黒田 一美  議員

質  疑  竹内 英明  議員

質疑

(向山 好一 議員)[発言方式:一括]

1 地域産業の活性化について
2 雪不足対策支援事業について
3 人と自然の博物館「コレクショナリウム」新築事業について

質問全文

質疑日:令和2年2月18日(火)

質問者:向山 好一 議員

質問方式:一括方式

1 地域産業の活性化について

まず、地域産業の活性化に関連して質問致します。

今回の補正予算で地域産業の活性化策として、雪不足対策等で約5億7千万円計上しています。そのこと自体には地域経済の活性化に寄与することに期待しますが、緊急性を要する補正予算という観点から申せば、現在新型コロナウイルスの感染拡大が大きな社会問題となり県民の多くの方が不安を抱えており、その産業への影響として、自動車業界や電気機器業界等で中国本土での工場生産停止によって部品が調達できずサプライチェーンが崩れていると聞いています。また、観光分野では海外・国内両方とも大打撃を受けています。

知事は、先週金曜日に国の緊急対応策の決定を踏まえて、運転資金等の有利な融資制度を設けるなど中小企業への緊急支援策を発表しました。

果たしてこれで十分な効果が発揮できるのか釈然としません。新型コロナウイルスに対する県民の皆様の心配や不安は先の見えないことと現状どうなっているのかよく分からないという点にあるのではないでしょうか。

そこで、県下の産業への影響など現状をどう捉えておられるのか、また今後さらに深刻化すれば更なる対策が必要なのか所見を伺います。

2 雪不足対策支援事業について

2点目は、雪不足対策支援事業について伺います。

今回、スキー場の降雪・造雪設備導入費用の補助、ホテル・旅館の宿泊割引への支援等の予算として1億6,700万円を計上しています。今冬の雪不足によって県下のスキー場が大打撃を受け出来得る支援を行うべきだとは思いますが、一方で近年の温暖化を考えれば今年の雪不足は一過性のものとは到底思えません。

また、日本のスキー・スノボ人口は例えばレジャー白書での統計資料ではピーク時の1,800万人と比較すると最近は500万人程度、1/3以下にまで減少しています。

このことを考えれば、今回の対策に加えて抜本的対策、つまり降雪に頼るスキー場からOFFシーズンにもお客さんが訪れる通年型のスノーリゾートへの脱皮を図る政策誘導が必要ではないでしょうか。その代表例として、グラススキーの普及促進、キャンプ場としての活用、最近流行りのトレッキングの開発など貴重な自然資源を町ぐるみで活用する新たな振興策が必要と考えます。

一方で、スキーシーズンにしっかりとスキー・スノボ客を確保することも重要です。今回の取組みを起爆剤に来シーズン以降も誘客が促進されることを期待します。以上のような視点を踏まえ、県内のスキー場への誘客をどのように図っていこうとしているのか所見を伺います。

3 人と自然の博物館「コレクショナリウム」新築事業について

3点目は人と自然の博物館「コレクショナリウム」新築事業について伺います。

わが会派は以前より「箱物に頼る行政」には慎重な態度を堅持しています。それは、建築費に膨大な資金が投入されるだけでなく長期間にわたってその施設の維持・管理・運営に多額な経費が発生することから、トータル的な費用対効果を綿密に検討したうえで意思決定をしないと将来世代に大きな負担を強いるからであります。

この「コレクショナリウム」建築に9億4千万円の予算を計上していますが、主たる目的は、寄贈や収集で集まった標本や資料が現存の収蔵庫では手狭となったため、新たに収蔵スペースを確保し、かつ収蔵品の展示も行うということですが、そのために9億4千万円もの大金を投入するべきなのか疑問を抱きます。現状の収蔵庫の改築で対応できるのではないでしょうか。

この事業を投入資金に見合ったものにするためには、展示ギャラリーや標本制作室の併設だけでなく、「人と自然の博物館」本館にはない機能を加えて体験型の新たな地域交流拠点とすべきではないでしょうか。

ご見解をお伺いします。

向山 好一

(選挙区:神戸市北区)

代表質問

(上野 英一 議員)[発言方式:分割]

1 今後の井戸県政について
2 但馬空港の機能強化の検討について
3 「ピンピンコロリ」、「元気で長生き、人生85年設計」について
4 兵庫県の産業・企業の活性化に向けた設備投資の促進について
5 公契約条例の制定について
6 中山間地における持続可能な農業と国土保全について
7 播但連絡道路など自動車専用道路の通行料金について
8 交通安全施設(信号機等)の適切な設置・管理について

質問全文

質 問 日:令和2年2月25日(火)

質 問 者:上野 英一 議員

質問方式:分割方式

1 今後の井戸県政について

井戸知事は、平成13年8月1日に副知事を経て兵庫県知事となられました。副知事時代から阪神・淡路大震災からの創造的復興に取り組まれてこられました。平成20年度からは、その震災復興で生じた多額の県債の償還・財政再建に、平成30年度まで11年間にわたる行財政構造改革に取り組まれ、そして今年の8月には5期目の最終年度に入られます。そのことも踏まえてご答弁をお願いします。

知事の強力なリーダーシップの下で、新行革プラン策定前(平成19年度末)の震災関連県債残高は8,460億円であったものが、平成30年度末で3,615億円(改善額4,845億円)に減少しました。一方で、改革期間中に発行した財源対策債の残高は平成30年度末で2,892億円に上りました。今回県債管理基金での償還を予定されていますが、実質の改善額は、11年間で1,953億円であり、今なお6,507億円が残っていると考えても良いと思います。また知事は、以前からもそうでしたが、行財政改革が県民にも痛みを伴うこともあり、なおいっそう県民との交流・ふれあいを大切にしてこられました。

そのような中、平成31年・令和元年になり、県庁舎の建替え(修繕費を含めた70年コストで約680~720億円)、スポーツアリーナの建設、但馬空港の滑走路延長・ジェット機化等、大型プロジェクトの構想・検討を打ち出されています。実現させるには、また多額の県債の発行が必要となります。また、神戸市が進める三ノ宮駅周辺再開発事業にも相当の県負担が求められると考えられます。

加えて、病院事業では、県立病院で最大の病床数(736床)である「はりま姫路総合医療センター」が建設中であり、県・市立西宮病院の県立病院としての統合再編建設事業、県立がんセンターの建替え事業等があります。さらに、基幹道路では、名神湾岸連絡線や播磨臨海地域道路が計画されており、播但連絡道路の南進では、有料道路事業導入が検討されています。

行財政構造改革の取組により平成30年度決算において収支均衡になるなど財政運営の目標が達成できたとはゆえ、本県の財政状況は依然として厳しい状況に変わりありません。そのような時期に多くの大型プロジェクトを次々に打ち出されることについて疑問を覚えざるを得ません。

そこで、これら大型プロジェクトの実現に向けて、今後の財政運営をどう考えていくのかご所見をお伺いします。

2 但馬空港の機能強化の検討について

先程の質問で述べた大型プロジェクトの中で、特に但馬空港の滑走路延長・ジェット機化について掘り下げて伺います。

井戸知事は、12月6日の本会議で滑走路1,200mを延長する可能性を含め幅広く機能強化を検討する方針を明らかにし、有識者や地元代表者で懇話会を設置して年末までに機能強化の内容を検討するとされました。2,000m級ならば、160人級のジェット機の就航が可能になり、悲願だった羽田直行便の実現性が高まります。韓国や台湾などの近距離アジア圏をつなぐ航路も現実味を帯びてきます。懇話会では、国際化の可能性やLCCの誘致、需要見込みのほか、費用対効果などを加味して検討する方針であります。また、同じ日本海側にある近隣空港は、鳥取空港が41万人、米子空港が69万人、出雲空港が100万人の年間利用客であることを挙げながら、3空港は10~20年の間隔で数回滑走路を延長している。25年を経過した但馬空港も機能強化に取り組みたいとされました。

当局の説明によると、空港の背後圏人口は、空港を中心に40km圏(車で1時間程度の距離)人口であると考えると、鳥取空港約30万人、米子空港約56万人、出雲空港約56万人です。但馬空港は但馬・京丹後地域の人口で約22.6万人とのことです。この数字だけでの議論では、誤った判断となると考えます。また、石見空港15万人利用、背後圏人口は21万人です。

鳥取空港は、東京羽田便を1日5便、米子空港は羽田便を1日6便、上海便を週2便、香港便を週3便、以前はソウル便も運航していました。出雲空港は、羽田便を1日5便、仙台・静岡便を各1日1便、名古屋(小牧)便を1日2便、伊丹便を1日4便、神戸便を1日1便運航しており、3空港の棲み分けが完結しているだけでなく、本州の西の端でしかも日本海側という3空港の国内便就航状況を見れば、40km圏内人口だけでなく、利用実態を分析する必要があります。

但馬全域の人口は約17万人、南但の朝来市の人口約3.1万人を除けば13.9万人となり京丹後を加えても20万人には到りません。さらに、山陰近畿自動車道や北近畿豊岡自動車道の整備が急速に進んでいることや、今後人口減少が進むことなどを加味すれば、需要見込みは非常に厳しいと言わざるを得ません。さらに高地にあり、濃霧による就航率も考えなければなりません。

そもそも但馬・伊丹路線は、県土の高速交通空白地域を解消するために、県が空港を建設しJACを誘致したものであり、実質機材の無償提供(ATR機材更新 総事業費約22.7億円:JAC負担分を含む)、運航・空港運営補助(平成30年度約3.7億円)を行っています。

平成30年度にサーブ340B(36席)からATR42-600(48席)に更新し過去最高の旅客数となりましたが、利用実績は年間約4.2万人です。しかも、地元自治体の多額の運賃補助(平成30年度約1.0億円)円を持ってであります。美方郡のある議員は、「地域によって温度差がある。我々は20分もあれば鳥取空港を利用できるが、現在も年間利用者数の確保が義務付けられており、滑走路延長でさらに負担が増えるのでは元も子もない」と言われています。

但馬空港滑走路延長・ジェット機化は、地域創生の観点、地域の高速交通手段の確保やインバウンドをはじめとする新たな需要の創出などの期待や可能性もあると思いますが、建設ありきではなく旅客需要や採算性等を慎重の上に慎重を期して十分に検討して頂きたいと思いますが、知事の所見を伺います。

3 「ピンピンコロリ」、「元気で長生き、人生85年設計」について

日本人の平均寿命(2017年女性87.26歳、男性81.09歳)と健康寿命(2016年女性74.79歳、男性72.14歳)の差は女性で約12歳、男性で約9歳です。この差をできる限り小さくすること、「ピンピンコロリ」の世界を実現することが、元気で充実した人生を送ることになるだけでなく、医療費や介護費の削減につながります。

「ゆりかごから墓場まで」は、イギリスにおける世界大戦後の社会福祉政策のスローガンです。これを現代版「人生85年設計」と考え、食と健康、社会活動(労働)と生きがいづくりを組み合わせた政策展開をすればいかがでしょう。

健康ひょうご21大作戦、食の安全安心と食育に関する条例、食育推進計画(第3次)がありますが、それらが十分に機能していないように感じます。

昨年の12月議会で木戸議員が、一般社団法人ラブテリでの調査に基づき一般質問しました。私からも食と健康について、述べさせていただきます。貧血・鉄分不足が母子の健康に与える影響は産後鬱や育児ノイローゼ、発達障害を引き起こすことや、葉酸は緑黄色野菜やレバーに多く含まれるものですが、DNAを作るときに欠かせないものであると考えられており、赤ちゃんの体の組織を作るときに葉酸の摂取が重要と言います。また脳の萎縮や骨粗鬆症、動脈硬化の原因となっているホモシステインというアミノ酸を減らすとも言われています。厚労省では、葉酸の摂取量は妊婦を除く18歳以上の男女では1日240マイクログラムとされています。埼玉県坂戸市では、400マイクログラムを目標としています。

またオメガ脂肪酸3系とオメガ脂肪酸6系の摂取比率を1対2にすれば、血液がサラサラになるといわれています。福島医科大学の研究では、オメガ脂肪酸3系のサバ、イワシ、サンマ、ハマチ、ブリに多く含まれるEPAとレバー、卵白、アワビ、サザエに多く含まれるアラキドン酸AAの比率が0.32を下回れば心疾患の死亡率がより高くなるといわれています。

以上長々と述べてきましたが、食育がいかに健康において重要かということです。これに保健指導や運動、生涯学習活動などの生きがいづくりをトータルで組み合わせ進めることが、「ピンピンコロリ」、「元気で長生き、人生85年設計」となります。

健康ひょうご21大作戦、食の安全安心と食育に関する条例に基づく取組、妊婦健診・乳幼児健診、生活習慣病検診、生涯学習などの取り組みが市・町で行われていますが、特に特定健診受診率は47.9%、特定保健指導実施率に到っては16.1%です。至る所で循環器系疾患により手足などに障害を負った人を数多く見かけます。このような方々を生み出さないようにしなければなりません。

そのためにも関係部局・市町と連携してどのように「ピンピンコロリ」、「元気で長生き、人生85年設計」を進めていくかご所見を伺います。

4 兵庫県の産業・企業の活性化に向けた設備投資の促進について

2020年2月7日に発表された、日本銀行神戸支店管内金融経済概況では、「管内の景気は、基調としては緩やかに拡大しているものの、そのペースは鈍化している」としており、緩やかな拡大基調となっています。求人状況をみると、昨年12月の新規求人数は、31,315人(前年同月比1.2%増)と3ヵ月ぶりに前年を上回りましたが、月間有効求人数では、99,362人(同4.3%減)で10ヵ月連続して前年を下回っています。

さらに、兵庫県の主要産業である、鉄鋼業・はん用機械器具製造業・輸送用機械などは一部を除いて足元では弱い動きとなっており、新規求人は、製造業で7.7%減となっています。

そしてこれらを裏付けるように、兵庫県では、2012年以降、若者を中心に東京圏への転出超過が継続し、生産年齢人口についても右肩下がりで減少が進み、対策は待ったなしの状況となっています。

一方で、兵庫県には多くの優れた産業・企業があり、そこには関連中小企業も含めて関係する方々が、ここ兵庫県に在住し生活を営んでいます。

地域創生戦略は、何れも重要な課題でありますが、産業・企業の活性化が、新たな雇用と新規事業の参入を生み、ひいては人口減少の歯止めとなることで、税収の安定と豊かで安心できる地域生活の「好循環」に結び付けることが重要ではないかと考えています。

この様な状況を鑑み、以下についてお伺いいたします。

現状の県下とりわけ製造業では、非常に厳しい経営環境が続いていますが、それぞれの企業は、設備の更新や工場の再編など、企業努力の中で準備を着々と進めようとしています。

しかしながら、老朽化した設備の更新には投資が必要であり、とりわけ工場再編については、その費用は膨大なものとなります。

これらに対し、兵庫県としてできる限りの行政支援と補助を行うことで、企業の県外移転を防ぎ、新たな雇用の創出による兵庫県の活力に繋げる対策が急務であると考えます。

また、緑地面積割合の軽減措置の更なる拡大や、産業立地条例に基づく企業誘致を更に推進することも有効だと考えます。

これらの対策を確実に実行することで、兵庫県の産業・企業の活性化と雇用創出を生み出し、魅力ある産業・企業をさらに発展させ、地域の活性化につなげる「好循環」を実現することに繋がり、そしてそのことが、人口減少への歯止めと少子高齢化への有効な対策となるのではないでしょうか。

「兵庫県で働きたい」「兵庫県に住みたい」と誰からも選ばれる兵庫県を実現するためには、その基盤となる産業・企業の活性化に向けた設備投資を一層促進するとともに、新たな雇用の場を創出すべきと考えますがご所見をお伺いします。

5 公契約条例の制定について

昨年の12月11日に、毎年行われている兵庫県建設労働組合連合会の兵庫県に対する要望会に参加をしました。

要望事項は、1.建設労働者の適正賃金・単価の確保について 2.建設産業の「働き方改革」と週休2日(4週8休)の確保について 等10項目と多岐にわたります。

その中で議論が集中したのが、建設労働者の適正賃金・単価の確保についてです。具体的には県の発注する契約において、元請け業者は下請け業者に対して十分な労務単価の保障、すなわち設計労務単価での支払いをするように県に指導を求めることでした。

それに対して県の回答は、「県では、平成28年4月1日に「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」を施行しており、この要綱に基づき、設計労務単価に基づく賃金下限額の設定ではなく、最低賃金額以上の賃金の支払いを徹底している。」という回答でした。

同組合連合会の調査によると、2019年常用の大工では、設計労務単価の21,200円に対して15,618円、左官では、設計労務単価の21,400円に対して、15,106円、土木では、設計労務単価の18,900円に対して、13,758円しか受け取っていません。しかも、民間事業と比較をすると公共事業のほとんどの職種で、低くなっています。

人手不足が深刻化する中、昨年に施行された「新・担い手3法」では改正品確法の基本理念に、災害時対応を含む社会資本の維持管理が適切に行われるよう「地域の担い手の育成・確保」、「緊急応急対応や復旧工事の迅速で円滑な実施のための体制整備」が規定されています。また、働き方改革の対応として「適正な請負代金・工期による公正な契約の締結」、「公共工事従事者の労働条件の適正な整備」なども盛り込まれています。

また、私が平成19年に当選させていただいた頃は、県の発注する工事の最低制限価格設定が、設計価格の70%を割り込むような実態で低価格入札が繰り返されていた。それでなくても、下請け・孫請け・ひ孫請けと悲惨な実態が建設労働者にあり、また工事の出来栄えも「安かろう悪かろう」になっていることに対して引き上げを求めてきました。今はずいぶん改善され85%以上になっていると思います。しかし、その改善されたことが十分に下請け業者まで反映されていません。県発注工事の平均落札率が約90%の実態にあることや、設計価格には一般管理費などが含まれていることなどから、少なくとも設計労務単価の95%相当が、適切な賃金単価と考えても良いのではないかと思います。

公共工事における建設労働者の適正な賃金単価の確保は重要な課題であり、県内の自治体でも三木市をはじめ賃金条項を入れた公契約条例を制定する自治体に広がりも出てきています。是非とも、兵庫県として公契約条例の制定を求めますがご所見をお伺いします。

6 中山間地における持続可能な農業と国土保全について

9月の決算委員会で私からの「農業の大規模化に今後どう取り組んでいくのか」との問いに、当局は、「本県農業の持続的発展には、効率的かつ安定的な経営体を中心とした農業構造の確立が重要。このため、①今後担い手の明確化や「人・農地プラン」作成の加速化を進めていく。また、②農業情報サイトを活用した幅広い人材確保、③広域で活動する集落営農法人の育成、加えて④大規模農家と住民が農作業を分担し、地域全体で農地活用を図る農地集積方式「いきいき農地バンク方式」の推進していく」とし、これらの取組により、「収益性の高い経営体の育成と地域全体で農業を担う仕組みづくりを進め、本県農業の持続的発展を図っていく。」と答弁されました。

農業の中でも土地利用型の農業は大変厳しい実態にあり、とりわけ中山間地においては厳しいものがあります。基本作物の米と共に野菜(キャベツ、白菜、ニンジン等々)の栽培を奨励されていますが、今スーパーで1玉100円~150円で店頭に並んでいるキャベツをJAに出しますと、5玉80円でその中から苗代や箱代を引かれます。

また、福崎町に八千種営農があります。八千種営農は県下でも最も早くに法人化したところですが、特に近年の農業情勢の中で経営が厳しく、後継者が現われず組織の存続自体に影響が出ているように感じます。

今月6日に農政環境常任委員会の管内調査で、地元議員として姫路市の農業法人夢前夢工房の視察に同行しました。ここは、土地利用型農業の中では数少ない成功事例と思います。成功の陰には衣笠社長の作業の省力化などへの大変な努力があります。

また現在、地域の圃場の大区画化、パイプライン化への再整備をされています。今回の再整備に伴い、農地中間管理機構への土地の集約や土地改良区の設立もされていますが、その中で、農地の受け手となる担い手は、作付けを増やすことは出来ても、草刈りや水管理まではこれ以上手が回らない、一方、出し手はそれらの作業からも離れたいとの意識の乖離も生まれています。

この問題は、この地域だけでなく農地の集約により大規模農業化が進むと、農地を預けた農家が農家で無くなり、農村の構成員としての意識が薄れていくということです。

これを思うと、当局が言われる大規模農家と住民が農作業を分担し、地域全体で農地活用を図る「いきいき農地バンク方式」の推進は、素晴らしい理念ですが果たして可能かと考えてしまいます。

私は、日本の農業・農村は兼業農家がこれまで担ってきたと考えており、家族営農なら3~5haほどの耕作が可能と考えます。そして、国土保全の観点から洪水調節機能等農地の持つ多面的機能に対して、結果的には戸別所得補償制度のみが、農地・農村の維持につながる施策なのではと考えます。

そこで今後、中山間地域における持続可能な農業と国土保全を図るため、どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。

7 播但連絡道路など自動車専用道路の通行料金について

播但連絡道路の通行料金については、大規模修繕等のために2032年(令和14年)に無料化予定だったものが、現行料金を維持し10年延長して2042年(令和24年)とする議案が上程されています。有料道路事業で整備されたものであるので、現状では制度上やむを得ないと考えますが、地元住民の多くの意見は即時無料化を求めるものです。

国道483号北近畿豊岡自動車道の春日和田山道路は、平成17年4月に春日インターから氷上インター間、平成18年7月に氷上インターから和田山ジャンクション間が、遠阪トンネルを除いて無料の自動車専用道路として供用開始しました。播但連絡道路と和田山ジャンクションで接続しています。その頃よりなぜ播但連絡道路を利用するものだけが、通行料を払わなければならないのかという声が出てきました。その後も、平成24年11月に和田山八鹿道路、平成29年3月に八鹿日高道路が暫定2車線で開通し、引き続き日高豊岡南道路、豊岡道路の整備が進められています。さらに、山陰近畿自動車道、東播磨道も無料の自動車専用道路として整備が進められています。

東九州自動車道も北九州市から鹿児島まで約436kmに上りますが、有料区間・無料区間が交互に現れます。

これら有料道路事業、あるいは国直轄事業で整備されたものでありますが、利用者とりわけ通勤などの生活に利用している県民・国民にとっては、理解のし難いものであります。不公平感の是正、税の公平負担の観点からどのように考えるかお伺いします。

私は、直轄事業などで整備した無料路線についても、通行料金の徴収をして、大規模修繕や更新などの財源に充てるようにすることや、全国一律の距離制料金が基本であるが、例えば山陰・但馬地域における地域振興策として、播但連絡道路でも行われている料金割引の社会実験を行うことなども考えられると思います。基本は国の制度によるものですが、県としてどのように考えられているのかご所見をお伺いします。

8 交通安全施設(信号機等)の適切な設置・管理について

この問題については、これまでにも多くの議員から、質問がされてきました。しかし、今一つ現場対応において納得のいかないことを多々感じています。

過去においては、信号機の設置基準が明確ではなかったように思いますが、平成27年度に信号機の設置指針が策定され、随分と前進したと思います。しかし、ここ数年の信号機の設置数は10基程度であり、信号機の設置を要望し、その箇所が設置基準を満たしていても、必ずしも設置されるとは限らない現状です。これは、必要性等の高い場所を選定して整備しているからであると説明を受けていますが、平成27年以前に設置された信号機では、設置基準を満たしていないものも多くあり、県民の皆様からは、「あそこに設置をされているのになぜ要望箇所に設置できないのか。住民の安全・安心をどのように考えているのか、納得できない。」といった声をよく聞きますが、これに対する明確な回答が現場においてなされていないのではないかと感じます。

県警察では、交通安全施設管理計画(平成29年から平成38年度)を策定し、その計画の中で、「近年の交通安全施設の新設数は、一時期よりも減少しているが、引き続き、数多くの整備要望が寄せられている。また、北近畿豊岡自動車道など新設道路の供用に合わせた整備需要も継続的にある。他方、既存の交通安全施設については、更新基準を超過したものが多数ある状況から、今後は、交通安全施設の適正な総数管理に努める。具体的には、交通量、交通事故の発生状況などを調査・分析した上で、必要性の高い場所を選定して整備する必要がある。また、交通環境の変化等により、利用頻度が低下した交通安全施設は撤去を検討する。例えば、学校の統廃合、その他の公共施設の閉鎖、大規模店舗の撤退等により利用者が減少した場合、新しいバイパスの供用により、旧道の交通量が減少した場合などこの考え方を前提とした上で取り組む。具体的な取り組みとして、①信号制御機、②信号柱・大型標識柱、③道路標示の施設の定期的な更新、①信号制御機、②信号柱・大型標識柱、③信号灯器の長寿命化の推進及び点検の実施と点検結果のデータベース化を進める。」と示されており、基本的な考え方は、妥当な計画だと考えます。

信号機の整備については、必要な箇所に設置していくとともに、必要性の低下した信号機を撤去することが重要であるということも理解できますが、これを推進するためには、県民の皆様に十分に理解していただくことが極めて重要だと思います。そこで、既設の信号機を撤去するために、住民理解をどのように得るのか、例えば、私はJRが踏切の拡幅改良工事において、2か所を統合させることを条件としている方式なども良いと考えます。さらに、道路管理者と意見交換を行い、ラウンドアバウトの積極的導入や停止線の設置とそのマウンドアップ等も有効と考えますが、ご所見をお伺いします。

上野 英一

(選挙区:神崎郡)

一般質問

(前田 ともき 議員)[発言方式:一問一答]

1 井戸県政について
 (1)井戸県政レガシー~嫌われる勇気~について
 (2)地域創生とコパクトシティについて
2 令和の居留地HYOGO、令和の出島KOBEについて
3 神戸医療産業都市~アジア最大のメディカルクラスター~について
4 金融教育と資産寿命~労働所得と金融所得のダブルインカム化~について
5 本年度予算案からみる予算編成の課題について
6 警察組織の合理化・外部化・強化について

質問全文

質問日 :令和2年2月26日(水)

質問者 :前田ともき 議員

質問方式:一問一答方式

1 井戸県政について

(1)井戸県政レガシー~嫌われる勇気~について

革新的なスマートフォン、アイフォンは顧客アンケートでは生まれません。ガラケー時代に普通の人はアイフォンをイメージできないから。

イノベーションは類稀な才能とビジョンを持った人物によって生み出されます。

ヤマト運輸は法人向けから個人向け宅急便への転向を全取締役の反対を押し切って実行し、世界に誇る宅急便を築きました。

多数決が正しいとは限りません。

一人の稀有な人材によって実現してきた様々な成果。

その足跡の上に、今の豊かな社会・生活があります。

しかし、民間ならできることが政治・行政では民主主義もあり時として困難。

特に、政治家・首長は好かれてなんぼ。対有権者、対議会、対行政など配慮すべき対象は多い。

しかし、彼らは正しいのでしょうか。誤った判断もある。選挙を控えた政治家は実行すべき政策をこれら配慮の結果、抑えてしまうこともあるのではないでしょうか。その結果として、最適な政策は実行されなくなります。

首長1期目・2期目では次の選挙を気にして、反対論を押し切り実行することは不可能かもしれません。しかし、多選の利点は選挙を気にせず、押し切れる政治力にあると考えます。

日本は成長の時代から、成熟の時代・人口オーナスの逆風へ。

あれもこれも、からあれか・これかの時代へ変わっていきます。

事業を廃止すると反対。警察署なくすと反対。反対の嵐で改革の火は消えます。

長期政権・多選知事の最後の役割は嫌われ役・泥をかぶることだと考えます。

反対の嵐を打ち破り、すべき政策を実行し、次世代につなぐことではないでしょうか。

そこで、議会や県民に嫌われても、反対されても、やりたいこと・やるべきことって何でしょうか。

キャリア官僚約28年、副知事約5年、知事約18年の集大成として、井戸知事の嫌われる勇気、次世代へのレガシーをお示しください。

(2) 地域創生とコンパクトシティについて

私が井戸知事に期待する嫌われる勇気は縮小都市:コンパクトシティへの移行です。知事とは反対の考えだと思いますが。

おらが村、おらが街、おらが故郷。皆さんにとって大事な存在かもしれませんが、絶対不変のものではなく、数世代を経ると移ろいゆくものです。

日本で人口統計が始まった1872年は1位が広島県、2位が山口県、3位が東京都。当時の瀬戸内海航路を通じた物流・生産の拠点としてこれら都市が栄えました。

しかし、たった150年でその構図は大きく変わり、1位の広島は12位、2位の山口は27位。

人口は産業形態や時代に応じて移動します。今は都市への流れになっています。

国連の調査によりますと、1950年はアジアで都市人口が約2割、2050年には約7割に達すると予想されています。どのような政策を実行しようが、この流れは止まりません。馬車が自動車に変化したように。

さて、8年前の本会議で私は人口減少・高齢社会への対応について、インフラを使うから捨てるへ、縮小都市へ方針転換すべきである。緩やかな移転・消滅・統合に軸足を置いた施策を提言しました。知事は「大変刺激的な提言をいただきました。」としながらも、自立活動支援を継続。地域再生大作戦や県版地域おこし協力隊、ふるさと応援交流センターの設置、防災減災工事は国庫の要件に満たない、小規模集積地帯に県単独で数億円単位の工事をいくつも実行されました。が、その結果はどうなっているのでしょうか。

水道、道路、防災減災工事といったハードコストから、医療・介護・警察行政サービスの提供効率は人口密集と密接に関わります。

過疎地域に住み続けたい人はどうぞご自由に。但し、積極的な支援はしませんよ。病院が遠い、警察が遅い、減災対策が弱い。そのような不利益は自己責任でお願いしますと。

県は市街化区域以外のインフラ投資・補修は今後行わない。そのような大胆な決断が必要ではないでしょうか。

市街化調整区域における土地利用規制の厳格運用や市町の居住調整地域の指定の支援をすべきではないでしょうか。

急傾斜地崩壊危険箇所の対策工事は県単独では人家5戸以上10戸未満を対象に工事単価は約8000万円、対象個所数2000か所、ざっくり1600億が見込まれます。

平均年齢60歳後半が予想されるこのような地域。20年後にはシカやイノシシしかいないのではないか。令和元年度対象箇所の平均戸数は8戸で、1戸あたり約1000万円の費用。移転助成に使うほうがよほど効果的です。

都市部の県民も我慢しています。長い通勤時間、高くて狭い住環境。しかし、自分の選択で自分の財布で日々を暮らしています。

中山間地域、小規模集落は数10年~100年という時間軸で見ると、持続不可能であります。

そのような不愉快な事実にしっかりと目を向けるべきです。

そこで、これまでの中山間地域の人口増・活性化策の具体的・定量的な成果をお示しください。また、集落撤退や街の集約支援の必要性、例えば県のインフラ事業は市街化区域以外は原則中止とし、街の集約化を促すべきと考えるがご所見を伺います。

2 令和の居留地HYOGO、令和の出島KOBEについて

日本全体で人口減少の危機感が蔓延しています。

しかし、私は人口減少が悪いことだとは思いません。

むしろ、これまでの日本が人口過多だったのです。

最高人口は2008年の1億2808万人。これは、ある種バブルで生じた一過性の出来事。

結果として満員電車やウサギ小屋マイホームを生んできました。

今後は日本の国土に合致した人口に収斂していく流れにあると考えます。

とはいえ、年齢分布をマイルドにするためにも対策は必要です。

社会増対策は多くの都道府県や市町が補助金や誘致合戦をするゼロサムゲーム。金額や広告宣伝で競う、競争過多のレッドオーシャンです。

私達は人口増加と成長を続ける海外人材と企業の集積、ブルーオーシャンに目を向けるべきです。

中小企業白書によると、起業無関心者の割合は7割を超え、欧米諸国の2倍となっています。無関心な人に啓発し、予算をつけても意味がありません。最近は、新規に上場する企業で外国人経営も増えてきました。新しいサービスを生み、雇用を創出し、税金を払ってくれるなら外国人経営者・外資系企業であろうと積極的に支援すべきであります。人口増・社会増・経済活性化で県が突き抜けるには外国人誘致です。アメリカが外国人ビザの規制を強化するなか、日本は千載一遇のチャンスであります。

ベンチャー集積のトップはシリコンバレー。年収1300万円で低所得と分類される町。評価額10億ドル以上の未上場企業ユニコーンの半分は移民が共同創業しています。全米上位500位の企業は40%が移民もしくはその子孫で創業されています。よそ者・若者・馬鹿者は海外にいます。そして受け入れるメリットが十二分にある証左であります。

日本は人口減少ですが、アジア、ラテンアメリカやアフリカなどの人口は増加しています。

国内における兵庫の優位性。それは、従来から神戸は旧居留地・南京街と外国人の受け入れに歴史的な土壌。バイオクラスターは日本最大、免疫治療研究では世界有数、外資系アクセラレーターの存在があります。

これら既存の優位性に加えて、外国人誘致を積極的に打ち出す。日本国内でダントツの受け入れ態勢・コミュニティ作りを早期に構築し、先行者優位・参入障壁を築くのが重要です。

特定技能や経営者ビザなどの特区が整備される中、兵庫の新ファンドや助成金は海外企業にも積極的に投資すべきです。また、県が世界各地に持つ海外事務所も県内企業の進出よりも、海外企業の誘致に力点を置くべきです。外国人誘致・定着担当課を設置し、ワンストップ・部局横断での施策実施が必要です。

そこで、外国人特区で令和の出島、外国人誘致で令和の居留地を目指すべきと考えますが所見を伺います。

3 神戸医療産業都市~アジア最大のメディカルクラスター~について

神戸医療産業都市が開始してから22年。

医療産業都市は368社・団体を超え、日本で最大級の集積を実現しました。

しかし、神奈川県も京浜臨海部ライフイノベーション特区を横浜・川崎市と打ち出し、後に続いています。これからはアジアNO.1、医療系シリコンバレーを目指していく必要があり、県の役割も重要です。

本庶佑ノーベル賞受賞記念「次世代医療開発センター」の免疫系の強み・集積力を生かすとともに、医療×ITやスタートアップ、外資系など医療産業都市に多様性を持たせることが重要です。

医療系ITでは、医師がアプリを処方する時代が今年にやってきます。国内初のアプリ保険適用はニコチン依存症が今春保険適用と予想されていますが、アメリカでは既にアルコール・薬物依存症が承認され、スマホゲームでADHD治療なども開発中です。先日、健康福祉委員会で視察した遠隔集中治療のT-ICUのような遠隔診療も今後期待するところです。

神戸医療産業都市に進出企業のうち情報・ソフトウェア部門は6.1%であり、今後はICT系企業の誘致強化とヘルスケア企業との組み合わせによるヘルスケアテックを生み出すことが必要です。

また、基礎研究と臨床研究の橋渡しをより一層推進していく必要があります。県立・市立・大学病院が連携して、臨床試験・治験環境を積極提供することは企業誘致の強みとなります。また、県民には先進医療、医師主導治験、拡大治験、患者申出療養などをフル活用し、最先端の医療を提供することができます。県は追加の人的・事務的コストを提供すべきです。

また、資金調達に苦戦するproof of concept(PoC)段階の研究資金助成も必要です。かねてより指摘していますように医療系は琴線に触れるので賛同を得やすい。このような研究者向けの資金はふるさと納税やクラウドファンディングにより集める。製薬会社から治験開発を受託するCROや医療機関の治験を支援するSMOなどに提案して企業版ふるさと納税を獲得する。臨床研究PoCパラダイス神戸を研究者向けにアピールしてはどうでしょうか。

MICEは医療系・学会に特化してはどうでしょうか。

MICEによる経済効果に加えて、関連学会を誘致すれば苦戦する粒子線治療施設の海外の患者紹介ネットワークの構築につながります。また、関西圏の医療従事者の学会出張費削減と参加増加による医療水準の向上、アジアの医療クラスター=神戸というブランディング、メッカ化を図ることができます。

そこで、最先端の医療が受けられる都市兵庫、アジア最大のメディカルクラスターを目指す医療産業都市神戸の実現に向けて県が実行すべき政策をお示しください。

4 金融教育と資産寿命~労働所得と金融所得のダブルインカム化~について

外国人観光客が日本に大勢押し寄せています。

確かに、豊富な日本の観光資源やビザの緩和効果もあるでしょう。

私はその要因以上に大きいのが日本がコスパがいい国になったことだと思います。実際に現地にいって感じること。ロンドン・ニューヨークなど欧米もちろん、香港・上海・シンガポールなどアジアで比較しても日本は安い国になりました。日本は買う側から買われる側になったのです。

デフレ・円安・所得の頭打ち・そして、アジアの成長。名目GDP ベースでは日本は26位とアジア諸国に負けています。

かつての経済大国日本。今は貧しくなった不愉快な事実に対して我々はしっかりと目を向けるべきです。

人口オーナス期の日本は逆風に晒されています。

会社員として勤勉に働き所得を得る。日本人の得意分野でかつてはそれだけで希望が見えました。しかし、今後はそれだけでは不十分な時代がやってきます。

今や上場企業の株主は1位が外国人。コーポレートガバナンスコードが制定され株主権利・還元強化の要求が強まる中、今後も、労働分配率の上昇は期待できません。加えて、定年65歳として大卒で働く年数は43年。それで、人生100年時代の生活費を稼ぐことは無理でしょう。投資をすることで、労働者から資本家への移行が必要です。労働所得に加えて資産所得のダブルインカム化が必要です。副業や共働きを含めた収入源の多角化が重要です。

そこで活用すべきなのが、NISAやIDECO。世界最高水準の税制優遇策。にもかかわらず、利用率は一般NISAは11%、IDECO 1.6%というのは大きな課題であります。

株・投資信託の保有率はアメリカ43%、イギリス38%、日本16%。

アメリカ高齢者の金融資産は20年間で3倍に増えましたが、日本は横ばいです。かつての1ドル80円という強い円を活用して、世界の企業のオーナーとして君臨していれば今頃は配当だけで左うちわでしょう。

しかし、今からでも遅くはありません。個人金融資産1700兆円を生かして、衰退する日本に滞留させるのではなく、成長する海外企業にも投資し、世界の成長を享受する発想に転換すべきです。

金融庁が出した、金融資産2000万問題。実は簡単に作れます。大学卒業後、毎月1.5万円をidecoで60歳まで積立投資。年間5%で運用すると、積立元本は684万円、運用益は1353万円で合計2037万円となります。年間5%はピケティが示したとおり、世界の平均的な利回り。このような知識を若い世代にも学校教育を通じてしっかりと伝えていくことが重要です。全県立高校で金融/投資教育の実施が必要です。

人生で必要な3つの寿命。生命寿命・健康寿命は意識が高まってますが、資産寿命はまだまだです。金融庁が啓発する金融ジェロントロジー(老年学)、現役世代だけでなく引退世代も運用しながら、老後資産の目減りを押さえたライフプランニングが必要です。

法改正で公務員もIDECO加入が可能となりましたが、職員向けの研修はどうなっているのでしょうか。

残念ながら、銀行・証券会社、ファイナンシャルプランナーには顧客目線でサービスを中立的に提供してもらうことは困難です。行政による啓発・研修が重要であります。

そこで、県民の幸福実現に一番重要なお金の問題。県立高校では金融教育の全校実施、県職員には研修を、県民には啓発事業を積極的に行うべきと考えますがいかがでしょうか。

5 本年度予算案からみる予算編成の課題について

かつて、事務事業評価が形骸化している点、原課が立案した事業を財政はどのように評価・修正を図っているのか指摘しました。本年度予算案を拝見して、個別事業の指摘に対する私の見解を示すとともに、財政当局の認識を伺います。

改善すべき政策として、まずは医師の修学支援金です。昨年度兵庫医科大学の出願時の倍率は20.3倍と十分に競走倍率が高いのに、全国有数の1人当たりの助成金額。僻地就労年数の長期化か貸付単価を減額させるべきではないでしょうか。

次に、各種助成金の給付基準は最適化されているのでしょうか。

社会保険料の増加や控除削減により、手取り収入は大幅に減少し、額面比較では難しく、そして差がなくなりつつあります。県は様々な助成を創設し、個別に所得制限を設定していますが最適なのでしょうか。

例えば子育ての場合。不妊治療から高校授業料まで各助成に各所得制限が設定されています。全ての助成を最高額でもらった場合と全てもらえなかった場合の差がきになります。一気通貫で所得制限のあり方を考えるべきです。

不妊治療の所得制限は400万円。

妊活ボイスの調査では、高度不妊治療者の平均費用は193万円。300万円以上かかった人は16%。30代の金融資産中央値は240万円。本当に自然増・人口増対策するつもりがあるのでしょうか。

今回新設のAYA世代妊孕性温存事業は世帯合算400万の所得制限。20代の金融資産だと中央値は71万円。がん治療のため5割近く退職するとされています。例えば、29歳でがんが発覚したAさん夫妻。去年は夫婦共働きで世帯所得610万円だったが、今年治療のために退職すると所得は半減。そうすると県の妊孕性温存助成は対象外。親から支援をうけて自力で温存できたとして、次に粒子線治療をしようとするとまた所得制限で全額自己負担で預金はパンク。お金の問題が命の選択になり得ます。両事業ともに県の予算案は数百万円。一体何のために所得制限をかけるのでしょうか。誰のための助成なのでしょうか。ちなみに、リッチな持ち家向けの耐震改修費補助の所得制限は1200万円です。

次に、削減すべき政策についてです。

東京の出会いサポートセンターの設立以来の累計投資金額は約6600万円、今年の予算も1300万円ですが登録人数は91人。今年も予算上程されています。

システム改修に2000万円。それなら、IBJのような民間婚活会社のFC加盟で150万円払った方がよほどましなシステムが使えるのではないでしょうか。

但馬空港のあり方検討予算1000万円。調査検討が、延長可能性・需要予測・費用対効果分析とあります。休廃港も調査検討の遡上に乗せるべきでないでしょうか。延伸ありきの調査は意味がありません。

次に、創設すべき政策についてです。

ネット上の誹謗中傷・名誉毀損事案に対する開示・訴訟代行サービス。芸能人から子供までSNSや掲示板などオンラインでのこのような事案に苦しみ、時として自殺に至るなど大きな社会問題となっています。弁護士資格を持つ県職員を活用した代行サービスの提供や訴訟費用の助成などを通じて、これら問題を抑制すべく一石を投じるべきです。数年間の短期決戦、アナウンスメント効果でネット上も簡単に特定され、リアルと同様に誹謗中傷や名誉既存は許されない風潮の浸透を目指します。

本県は養親希望者手数料負担軽減を事業創設していません。この場合、県内在住で諸事情から県外の認定あっせん事業者から受けた場合は養親希望者にとって大きな負担になります。里親制度では里子を養育しても社会保険に入れない、扶養に入れない、育休が取れないことから家庭的養育を必要とする子供たちのためにも新たな制度創設が求められます。

これら指摘してきた予算案の改善点についての財政当局の意見と事務事業評価など原課の政策評価や予算案の最適化に向けた制度設計の改善について伺います。

6 警察組織の合理化・外部化・強化について

新県警本部長が着任して1年が経とうとしています。

私がこれまで9年間で指摘してきた、県警本部の改善点についての対応状況と新本部長の見解を伺います。

3つのテーマで合理化・外部化・強化。

まず1点目は、合理化についてです。

警察署の再編は私が委員会で指摘してから5年。ようやく目に見える形になってきました。しかし、次は交番・駐在所の合理化・再編も必要です。交番一人当たりの110番受理件数は、最大が約300件、最小が約5件、駐在所も同じ傾向です。

これらの是正も必要です。

また、業務改善はどうだろうか。不要な業務、調査、報告。働き方改革は仕事の中身改革であります。本来すべき仕事、質・量はどうあるべきか。何をするかと同時に何をしないのか。業務を再定義する必要があります。

前回の質疑からの進捗状況をお伺いします。

警察音楽隊は専務で33人、年間費用は約2億4千8百万円で公演回数は135回。1回あたりの費用は人件費込みで約184万円。行革・財政制約があり、警察の欠員が約200名生じている中で、音楽隊を警察がする必要性がどこにあるのか。

県民ニーズは治安か音楽か?お答えください。

2つ目は、外部化について。

これまで指摘してきたのは私人逮捕やサイバー捜査の民間連携、警備業者に対する指導、報奨金制度の積極化などです。新卒採用が苦戦する中で、中途採用要件の弾力化や退官自衛官の積極採用なども重要です。年齢要件や体力基準、特別区分の改善状況はどうなっているのでしょうか。自衛隊では戦闘機パイロット要件の緩和で女性パイロットが誕生しました。

不要な、不条理な要件はないでしょうか。

サイバー捜査に携わる人材を採用する際に体力訓練は必要なのでしょうか。それでは、優秀な人材はきません。

3つ目は強化についてです。

前回指摘した、通信傍受の合理化・効率化による効果検証をお示しいただきたい。また、ネット上での違法行為と思われる事案。誹謗中傷から、薬物、未成年の神待ちツイートまで、ネット職務質問を実行し、抑止に努めるべきではないでしょうか。交番のお巡りさんが街を巡回してて、県民が言い争いをしていると職務質問する。怪しげな路上販売も同様に対処。しかし、リアルでやっていることがネットでは十分にできていません。ネット上の有害・違法状況に対処するIHCでは1,668件の削除依頼しか実行していません。

ダークウェブや企業のセキュリティも大事ですが、加えてオンライン職務質問パトロール隊の創設が必要と考えます。

これら指摘した、合理化・外部化・強化について伺います。

前田 ともき

(選挙区:神戸市東灘区)

(栗山 雅史 議員)[発言方式:分割]

1 出生率の上昇について
2 3歳以上の未就園児について
3 DV被害者の市町の対応について
4 補助金制度の適正な執行について
5 西宮市内の新駅の可能性について
6 駅員等への暴力事案対策について

質問全文

質 問 日:令和2年2月27日(木)

質 問 者:栗山 雅史 議員

質問方式:分割方式

1 出生率の上昇について

県は今議会に次年度から5年間の新たな「ひょうご子ども・子育て未来プラン」を上程されました。これまでのプランで設定した出生数の目標、出生率の目標については達成できない見込みで、その結果を踏まえてなのか、新プランはとても現実的と言いますか、消極的な数値目標が設定されていると感じました。

現プランでは5年間で22万人、合計特殊出生率1.57という、どちらかというとポジティブな、子どもを増やすぞという強い意志と理想に向けて頑張ろうと感じるプランでしたが、新プランは出生数18万人、合計特殊出生率1.41という目標になっています。そもそもそれで少子化対策と言えるのかどうか、少子化を食い止める施策はもはやないと諦めているのかと勘繰るような数値目標に、私は正直言って残念でなりません。

現プランについては、プランを策定した時には、「2~3年は出生数は達成できるだろう。しかしその後はどうかな?」と思っていました。その予想通り、プラン3年目の2017年からは年44,000人の目標を下回ることになりました。しかし、同時に目標に掲げた合計特殊出生率の目標1.57を達成することが出来れば、後年も44,000人を達成できるかも知れないと、ひそかに期待をしておりました。しかしながら、出生数と比例するように出生率も減少し、2019年の試算では1.42と見込まれています。

県では出生数を増やす、出生率を高めるために、出会いのサポートから、ライフデザイン教育、結婚への支援、不妊治療への助成、保育・幼児教育への支援、ワークライフバランスの実現など、子どもの出生前後の長いスパンにかかる環境の整備と支援の施策を多種多様に行ってきています。それらすべてが必要なことだとは思いますが、結果として数値に現れていない以上、各事業が的確にヒットしているのかというと、私は確信が持てません。新プランではこれまでの事業の取捨選択、予算の増減などについて大幅に見直す必要があるのではないでしょうか。そして、メリハリのついた目玉の支援というものが無いと、正直出生数、出生率は上がらないのではないかと思います。

私は、個人的にはこのような結論に至りました。それは、ピンポイントになるかもしれませんが、子どもを産み育てたいという意思のあるご夫婦に対して、出生率を高めていただくための、直接的で強力な支援が一番効果的ではないかという結論です。1人よりも2人、2人よりも3人、3人よりも4人産むぞ!、産んでも大丈夫だ!と思っていただくために、一番効果的でありがたい支援は何なのかというと、私はやっぱり出産前から幼少期におけるいろんな経済的負担を無くしていくことではないかと思いました。

県内にも出生率が上がっている市町があります。明石市は顕著な成功事例ではないでしょうか。出生率は1.4台から1.5、1.6と上昇を続け、2018年には、1.7に達しています。所得制限なしでの医療費無料化の拡大、第二子以降の保育料無料化、市営施設の子どもの利用料無料化などの施策が評価され、子育てするなら、子どもを産むなら明石と、子育て世代に選ばれる市になっています。ハッキリ言って、私も子育て世代ですのでとても魅力的に感じます。

兵庫県が本気で出生数を確保し、低いとは思いますが1.41という出生率を維持、そして向上させたいのであれば、思い切ったメッセージ性のある、強めの支援、施策の打ち出しが必要ではないかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

2 3歳以上の未就園児について

国は、子育てに関する経済的負担を減らすために、また女性の再就労、社会進出を促進するため、昨年10月の消費増税と同時に「幼児教育・保育の無償化」をスタートさせました。それをきっかけに、多くのご家庭で子どもを保育園や幼稚園等に預けよう、行かせようとする動きになっています。3歳児以上は、無償化の対象施設であれば保育料等の費用は掛からないので、結果、3歳以上の子どもの殆どが保育園や幼稚園等に通うことになりそうです。そんな時にふと思ったのが、こうした誰もが幼児教育や保育を受けようと思えば受けることができる環境になっているにも関わらず、小学校に入るまで保育園、幼稚園等に通わない子どもがひょっとしているのだろうか、いるとすれば県内にどの程度いるのだろうか、そしてそれはどのようなご家庭なのだろうかと思いました。

そもそも、小学校からが義務教育ですので、それまでは保育園や幼稚園等に通わなくても別に構わないのです。通わせるか通わせないかはそれぞれのご家庭の考え方であり、自由であると言えます。しかしながら、ここにおられる皆さんも、幼少期には何かしら保育園や幼稚園等に通っていた人が多いのではないでしょうか。

私は県の関係課に、兵庫県内で保育園、幼稚園等に通っていない3歳児以上はどの程度いるのかと問い合わせたところ、当初は実数としては捉えておらず、統計を基にした推計ではありますが、平成30年度の調べで未就園児数は9,697人、3~5歳人口において7.1%存在するのではないかとの答えをいただきました。そして、私の地元の西宮市にも問い合わせたところ、平成31年度の調査で、認可保育所、幼稚園等を利用していない子どもは3歳児以上で10.15%、1,331人、これには待機児童等も含まれていると思いますが、次に小学校に入る直前の5歳児だけ、幼稚園でいう年長さんでは6.12%、272人いるとの答えをいただきました。私は率直に「結構いるんだな」と思いました。そして、その子どもたちはなぜ保育園、幼稚園等に通っていないのか、通えないのか、その理由や背景が知りたいと思いました。

その理由や背景については、これは私の想像ですが、例えば暴力や育児放棄などの虐待の可能性があるご家庭ではないか、あるいは貧困家庭ではないか、あるいは両親のメンタル面に課題があるご家庭ではないか、あるいはご両親やお子さんに障害があるご家庭ではないか、外国人のご家庭ではないか、などの可能性を心配しました。いずれにしても、保育園、幼稚園等に通っていない子どもが一定数存在していることについて、福祉の観点から私はとても気になりますし、心配なのですが、各市町や地域でそのご家庭がどのような状態であるか、把握できているのでしょうか。特に虐待や貧困が原因であれば、県においてもしっかりと対策を行う必要があると考えます。

そこで、「3歳以上の未就園児」と私は呼ばせていただきますが、その中に虐待や貧困、疾病等が原因で保育園や幼稚園等に行けない子どもがいないのか、また十分な対応ができているのか、県のご見解をお聞かせ願います。

3 DV被害者の市町の対応について

配偶者の暴力、つまりDVと言われる事象については、9月議会でかわべ議員が「DV防止への取組」について質問されましたが、私からはDV事案が起こった後の、県内のDV被害者の相談体制等について質問したいと思います。

まず、県下におけるDV相談件数ですが、右肩上がりに増加しています。平成30年度では前年比333件増の19,143件となっています。今後もこの傾向が続くのであれば、県の関係機関をはじめ、市町の相談体制、支援体制をさらに充実させていく必要があります。しかし、一時保護を受け入れている民間シェルターによりますと、市町においてはその体制に差があるとの声がありました。

県によると、DV被害の相談件数の3分の2、66%は市町で受け止めています。市町のDV対策については全市町で基本計画が策定されていますが、配偶者暴力相談支援センターの設置は16市町にとどまっています。私の地元、西宮市ではDV相談室という名称の配偶者暴力相談支援センターが設置はされていますが、利用者の話を伺うと、本当はもっと人目のつかない場所で相談したいのに、市役所正面玄関のすぐそばに相談室が設置されていたり、相談時間を30分に制限されていたり、また新たな生活拠点を紹介するにしても近畿圏以外を紹介されるなど、相談の受け止め方や被害者への対応としては、厳しい対応というか、寄り添ったものとは思えない状況との意見もありました。これについては西宮市にも相談者の声を伝えておりますが、一方で宝塚市や明石市はとても温かい対応をされているとの評価もあり、市町によってDV被害者への対応の差があるのではないかと感じたところです。県は、市町のこのような状況を捉えているでしょうか。どの市町に住んでいても、DV被害者に温かい、寄り添った対応を心がけていただきたいと思いますが、県はどのような指導等ができるでしょうか?

また、一時保護件数が減少傾向にあるのは、市町における相談窓口の充実により、早い段階での対応が可能となって、緊急確保を要する状況に陥る事案が減少したと伺いましたが、相談窓口の充実や、早い段階での対応とはどのようなものなのか、お聞かせください。

4 補助金制度の適正な執行について

昨年12月、兵庫県は岡本商店街振興組合に対して、補助金5,784千円の返還と加算金2,053千円の納付を求めました。これは、同商店街の補助金申請に領収書・請求書偽造などの不正が認められたためであります。巨額の悪意あるこの事態が発覚して、私はそもそも補助金を支給する行政側にも甘さがあったのではないかと思いました。性善説で、商店街振興組合に対してあまり疑念も抱かずに、形式さえ整っていれば過去の実績などを考慮して申請を簡単に通してしまったのではないかと感じました。

そんな行政に付け込んだ商店街振興組合の悪意ある行動は大変な問題ではありますが、この一件を踏まえて考えるときに、ひょっとするとこれは氷山の一角ではないかと思いました。宍粟市雇用創生協議会による国の委託金の不正受給の例もありましたし、こういう今こそ県のあらゆる補助金の支給事務について見直し、強化すべきではないでしょうか。

具体的には、最初に申請書類を受け付ける担当課のチェックです。これまではあまり熱心にやってこなかったかも知れない「請求書・領収書の発行業者の存在確認、業務確認」をやらなくてはなりません。偽造されたものではないか、架空の会社をでっちあげたものではないかという確認です。事務を進めるにあたっては、申請書類の形式が整っているか、あるいは補助金によって期待する効果が発現されているかなどについて目がいきがちですが、ぜひ請求書・領収書について、今後は厳しい目を注いで欲しいと思います。

県では目的に応じて様々な補助金があり、これまでも研修等により全体のスキルアップを図っておられますが、各担当課の対応だけではなく、このようなチェックを全庁横断的にぜひ事務ルーティンに追加していただきたいと思いますが、今後どのような対策をされるおつもりか、ご所見をお伺いします。

5 西宮市内の新駅の可能性について

西宮市内では現在、平成25年度以来20回以上の検討会が開催されている阪急電鉄の仮称:武庫川新駅、そして関係者の間で可能性を論じられているJR新駅、これは県立西宮病院と市立中央病院の統合病院予定地の北側ですが、市内では2つの新駅の可能性がある状況です。

阪急電鉄の仮称:武庫川新駅については、古くから西宮市側の住民の強い要望活動に始まり、平成25年度から西宮市、尼崎市、阪急、県による検討会が年に3回から5回開催され、平成28年度には新駅設置による効果・影響についての報告書がまとまったところです。その後も、新駅利用者数の算定や、駅の構造、事業スキームの検討、国庫補助の要件確認など、新駅設置に向けての具体的な課題の一つ一つについて検討されてきました。いよいよ全体像が見え始めてきており、今後、事業費等の検討を経た上で、数年以内に両市と阪急の合意により新駅の設置が現実のものとなる可能性が出てきているのではないかと感じているところです。

一方で、JR西宮駅から甲子園口駅間で、統合病院予定地の北側にあたるJR線の新駅の可能性についてですが、聞くところによると、古くはJR自身がこの場所に新駅を設置することを検討したことがあるらしく、過去に西宮市とも情報交換をしたことがあると聞いております。それに加えて、昨年1月に両病院の統合が決定し、予定地も定まったところから、県病院局も県民の病院利用の利便性向上の観点から、また経営面の観点から、統合病院予定地に隣接する新駅ができるとすれば、それは歓迎すべきことだとの見解を聞いているところです。

西宮市内ではJR、阪急、阪神が通っておりますが、阪急、阪神とJRが乗り換えられるような結節点の駅はなく、JR駅と阪急、阪神の駅はそれぞれ距離があり、私自身も乗り換え接続の面で何とかならないものかと考えたことがありました。仮にこの場所に新駅ができれば、近接する阪急今津線の阪神国道駅を介して阪急神戸本線と阪神本線との乗り換えがスムーズになる可能性を秘めています。

しかしながら、こうした新駅の構想については「誰が一番望んでいるのか」ということが重要であり、現在のところこの新駅については住民からの強い要望があるわけでもなく、西宮市は先に述べた武庫川新駅を優先に考えている状況であり、一方でJRは西宮市や地元住民、統合病院の動向などを様子見しているような状況です。

いずれにしましても、西宮市内に2つの新駅の可能性があるわけですが、県としてはそれぞれ状況をどのように捉えているのか、ご所見をお聞かせ願います。

6 駅員等への暴力事案対策について

鉄道は公共交通機関の代表といえるものであり、県民の日常生活にはなくてはならない存在であります。

近年、駅員等に対する暴力行為は、鉄道の安全確保や利用者への良質な鉄道輸送サービスの提供に影響を与えるおそれがあり、その対策について意識が高まっているところです。

県警察では鉄道警察隊をはじめ、沿線を管轄する警察署が相互に連携を図り、鉄道施設、駅員等への警戒強化に努めておられることと思いますが、国土交通省のホームページでは、平成30年度における鉄道係員に対する暴力行為の発生件数は全国で670件、兵庫県でも27件発生し、4年連続して減少しているものの、半数以上の加害者が飲酒を伴っており、これら以外にも乗客等から「暴言を吐かれる」、「唾を吐かれる」といった事案などが日常的に発生していることを聞き及んでおります。

鉄道施設等における暴力行為等は、駅員等への保護だけでなく、列車の遅延、円滑かつ安全な電車の運行に支障を及ぼすことにつながります。

鉄道事業者も警備員を雇い巡回したり、防犯カメラを設置するなど、事業者自身が駅員等の安全対策を講じているところです。しかし、県民の方々に公共交通機関である鉄道を安心して快適に利用していただくためには、鉄道事業者と警察の連携を強め、暴力行為の未然防止を図る必要があります。

そこで、駅員等に対する暴力事案の未然防止を含め、鉄道施設における安全安心の確保に向けて、県警察としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

栗山 雅史

(選挙区:西宮市)

(黒田 一美 議員)[発言方式:一括]

1 関西広域連合の情報発信の強化について
2 淡路と神戸・阪神との生活エリアの形成について
3 インターネットの悪用による人権侵害対策について
4 プラスチックごみ対策について
5 駅のバリアフリー化の推進について
6 ラウンドアバウトの導入促進について

質問全文

質 問 日:令和2年2月28日(金)

質 問 者:黒田 一美 議員

質問方式:一括方式

1 関西広域連合の情報発信の強化について

関西広域連合は関西から新時代をつくるため、平成22年12月に府県を越える全国初の広域連合として設立され、設立後10年目という区切りの年となりました。構成府県も設立時から奈良県と域内の4政令市全てが加わり、8府県4政令市となるなど、関西圏が一体となって様々な課題への議論や対策を検討する体制が整ったのではないかと感じております。

設立にあたっては、①「分権型社会の実現」、②「関西全体の広域行政を担う責任主体づくり」、③「国の地方支分部局の事務の受け皿づくり」の3つを掲げ、これまで広域防災や広域観光・文化・スポーツ振興、広域医療をはじめとする7分野の取組を進めてこられました。

結果として、期待された国の出先機関の地方移管については、ほとんど進まず非常に残念な状況ではありますが、一方で「関西防災・減災プラン」をはじめとする各種計画、ビジョンの作成やカウンターパート方式による迅速な被災地支援、熊本地震の際には3府県・兵庫・徳島のドクターヘリ3機が現地に派遣され、京滋・大阪など残りの3機で圏域全域をカバーしたと伺いましたが、その後、ドクターヘリ7機体制となり、一体的な運航体制の構築、また、琵琶湖・淀川流域対策など着実に成果を上げています。

今後も、今問題となっている新型コロナウイルスへの早急な対策をはじめ、関西圏においては東京一極集中による首都圏への人口流出への歯止めや経済の停滞による影響などの課題に対する対応、プラスチックごみ対策をはじめとする「関西広域環境保全計画」の取り組みが必要です。さらに、今後、関西で開催されるワールドマスターズゲームズ2021関西や2025年大阪・関西万博などのビッグイベントを成功させ、関西圏が一体となって取り組み、国内外に情報発信ができる関西広域連合の役割が非常に重要となります。

しかしながら、どれぐらいの県民の方がこの関西広域連合の取り組みを知っておられるのでしょうか。私は昨年6月に関西広域連合議会の議員に選出されたこともあり、地元の方へ関西広域連合の取り組みについて話をすることがありますが、例えば、自分達の生活にも身近なドクターヘリの運航に関する取り組みですら、ほとんどの方が内容を知りません。取組内容を説明すると、「初めて聞いた。勉強になった。」といった声を耳にします。

分権型社会の実現に向けて、国出先機関の地方移管等を粘り強く働きかけることももちろん重要ですが、関西圏域が一丸となって取り組みを進めるためには、まず県民の方々にいかに身近で重要な取り組みを進めているのかを十分周知する必要があります。

そこで、関西広域連合議会議員として、我々も積極的に情報発信等を行う必要性を感じておりますが、連合長を擁する構成県として、どのように県民が求める要望に応え、またその取り組みや成果に関する周知をどのように強化されようとしているのか、ご所見をお伺いします。

2 淡路と神戸・阪神との生活エリアの形成について

先日、今年1月1日時点の推計人口について発表がありましたが、546万482人と約30年前と同水準にまで減少したとの内容でありました。出生数が過去最少、また近年の転出超過についても歯止めがかかっていない状況に非常に危機感を感じます。

根本的な解決には、少子高齢化や東京一極などに対する国の積極的な対策が必要と考えますが、兵庫県の活力を維持し続けるためには、社会増対策の取り組みを積極的に進めて行く必要があると考えています。

社会増の対策として、移住の促進がありますが、最近では若い子育て世代が都会の喧騒から離れて、自然豊かな場所で暮らしたいという声を聞くようになりました。実際、私の息子も一時は都市部で住んでいたものの、やはり海が見える場所が癒やされるということで、地元に戻ってきましたし、ライフステージの変化や自分が望む生き方を理由に地方へ引っ越すということも増えてきているのではないかと思います。

兵庫県は、瀬戸内海沿いに阪神工業地帯があるなど、産業も発達しております。淡路地域は都市部にも近く、豊かな自然にも恵まれております。そのため、淡路島に住み、子育てはのびのびと淡路で、仕事は橋を渡って神戸等に通勤する生活をおくるといった、淡路地域と神戸・阪神を目的意識的に1つの生活圏として位置づけが可能だと考えます。子育て世代の移住が進めば、淡路地域の人口減を抑えることになりますし、都市部の人口過密の緩和にもつながるのではないでしょうか。

そこで、県では兵庫の中長期の県政の指針ともなっている「21世紀兵庫長期ビジョン」の想定年次がまもなく到来し、令和3年度末の策定に向けて新しい将来ビジョンを検討されようとしています。この新しい将来ビジョンを検討する中で、将来構想等において未来に希望の持てる兵庫づくりのためにも淡路地域と神戸・阪神とを1つの生活エリアとしての形成づくりを進めてはどうかと思いますが、ご所見をお伺いします。

3 インターネットの悪用による人権侵害対策について

インターネットは、情報の入手やコミュニケーションツールとして日常生活に欠かせないものとなっています。

実際、総務省の令和元年版情報通信白書によりますと、2018年における個人のインターネット利用率は79.8%となり、子どもから大人まで幅広く利用され、さらにスマートフォンで簡単にアクセスできることから、若者層でも気楽に利用されています。

このように、非常に便利であり、普及していますが、インターネットは発信者に匿名性があり、情報発信が容易にできるといったことから、他人への中傷や侮蔑、特定の個人のプライバシーの侵害、またヘイトスピーチ、部落差別等の差別的な書き込みなど、インターネットを悪用した行為も増えてきております。法務省の平成30年における「人権侵犯事件」の状況では、インターネット上の人権侵害情報に関する事件数が1,910件と前年に次いで過去2番目に多い件数を記録しました。

県では、平成28年3月に「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」を改定し、インターネットによる人権侵害を新たに「身近な人権課題」と位置づけ、インターネット・モニタリング事業やインターネット人権侵害相談などを実施されておりますが、悪質な書き込みを抑止するためには、モニタリングによる監視を強化し、人権侵害情報の積極的な削除が重要です。

国においても、総務省が平成28年10月及び平成29年1月に国内のプロバイダー大手4団体に対して、「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」を踏まえ、差別投稿への対策を要請し、法務省でも平成30年12月の通達によりインターネット上にある被差別部落に関する情報について対応強化を行っていますが、強制力はありません。そのため、抑止としてはモニタリングによるチェック及び人権侵害に関する情報の積極的かつ早期の削除が、効果的であると考えています。

このモニタリングは県だけでなく県内の約半数の市町でも実施されていると聞いておりますが、県だけ、市町だけで取り組むのではなく、相互に連携し、それぞれのモニタリング結果を集約してネット上の実態把握を進めたり、県と市町で役割分担を行うなどにより効率的な抑止に努めることも必要であると考えています。加えて、県みずから法務局等関係機関との連携により早期に人権侵害に関する情報の削除要請を強化する取り組みが必要ではないでしょうか。さらに、モニタリング未実施の市町での実施についても進める必要があります。

そこで、インターネットを悪用した人権侵害について、県内市町や関係機関と連携し、今後どのように抑止効果を高めようとされているのか、ご所見をお伺いします。

4 プラスチックごみ対策について

私は毎年地元の川や海でボランティア清掃に参加させていただくのですが、プラスチックごみの多さが非常に目につきます。以前はレジ袋をはじめ、ペットボトルや発泡スチロールが多かったのですが、ペットボトルや発泡スチロールはリサイクルの流れができているからか、以前ほどは目立たなくなりました。

一方、レジ袋については、これまでマイバッグの持参を推奨したり、一部のスーパーでは有料化を導入するなど取り組まれていますが、無料で配布され、廃棄されやすく、清掃の際にごみとしてよく見受けられます。実際、地元垂水の山田川を清掃されている方々からは、「特にコンビニのレジ袋の投棄が目立つ」と指摘されています。

国では、地球規模の課題である海洋プラスチックごみなどの対策の一環として、今年7月1日からレジ袋の有料化を義務づけることになりました。スーパーでは既に他の業界に先駆けてレジ袋の削減に取り組まれており、この有料化によりマイバッグの持参などが進み、レジ袋の削減につながるのではないかと考えますが、コンビニなどでは、スーパーと異なり、急にふらりと立ち寄る客も多いことから、有料化したとしても十分に効果があるのかと疑問に感じています。

また、7月からのレジ袋有料化の内容を確認すると、プラスチックのレジ袋であっても、厚さが50マイクロメートル以上のものであれば、繰り返し使用することができるということで有料化の対象になっておりません。使用する側の意識が高くなければ、これまでと同じように道端や川に廃棄され、結局ごみとなる可能性もあるのではないかと思います。

そのため、国が行うある程度強制力を持った対策だけでなく、使う側の意識やモラルの改革を同時に進めていく必要があるのではないでしょうか。特に、国が行う7月からのレジ袋有料化は近年にない大きな動きであり、県においてもこの機を捉えてレジ袋の削減の周知に加え、環境を守るための積極的な意識啓発やキャンペーンの打ちだしが必要ではないかと考えます。

そこで、プラスチックごみを削減し、瀬戸内海を含め兵庫の豊かな自然環境を守るためにも、県民への積極的な周知や意識啓発等を進めるべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

5 駅のバリアフリー化の推進について

障害者や高齢者などが公共交通機関や建築物などを快適に利用できるように定めたバリアフリー新法が施行されて10年以上が経ち、大きな駅ではエレベーターや視覚障害者を誘導する点字ブロック、多機能トイレなどの設置について普通に目にするようになりました。

兵庫県では、平成4年10月に全国に先駆けて制定した「福祉のまちづくり条例」に基づき「福祉のまちづくり基本方針」を策定し、県、市町、県民及び事業者がそれぞれの責務を自覚し、一体となって福祉のまちづくりを推進しておりますが、基本方針の中では、鉄道駅舎について、1日の平均乗降客数3千人以上5千人未満の駅舎のバリアフリー化率を来年度100%にする目標が掲げられています。是非、達成に向けて取り組んでもらいたいと思います。

このように、かなり進んできた駅舎のバリアフリー化ではありますが、まだ課題は残っていると考えています。例えば大規模駅であっても、1箇所しかないエレベーターの位置によっては2箇所目の設置が求められているものや、3千人未満の利用者しかいない小規模駅でも高齢者や障害者、子どもなどの利用が多い場合には、エレベーター等のバリアフリー化が求められる駅も県内にはまだ残っているのではないでしょうか。

国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」では、1日あたりの平均的な利用者数が3千人未満であっても、「基本構想及び移動等円滑化促進方針の作成状況その他の地域の実情を踏まえて、移動等円滑化を可能な限り実施する。」となっています。県ではバリアフリー化の目標年次である令和2年度を待たずに、事業者がさらなる整備を進められるよう兵庫県独自の基準を拡充されたところです。

そこで、今後も地域の実情を踏まえて柔軟な支援を要望したいと考えますが、エレベーターの設置等の駅舎のバリアフリー化の状況と今後の方針について、ご所見をお伺いします。

6 ラウンドアバウトの導入促進について

ラウンドアバウトは、交通量が一日あたり総流入交通量1万台未満など一定の条件下において、安全で円滑な道路交通を確保することができる環状交差点です。

日本においても交通事故削減のための取り組みとして、その導入が期待されることから、国交省では有識者等から構成される「ラウンドアバウト検討委員会」が設置され、平成26年8月には望ましい構造について全国の道路管理者に通知されています。

全国では平成31年3月末時点で87箇所が設置されており、兵庫県においても平成29年12月にポートアイランド(第2期)において、県内初となるラウンドアバウトの供用が開始され、既に3箇所設置されております。

私も昨年3月に供用された神戸流通センターにある弥栄台1丁目南交差点を実際に使ってみたことがあります。信号制御による交差点からラウンドアバウトに変更された交差点でありますが、トラックもスムーズに流れており、赤信号によるイライラ感もなく、非常に使いやすい交差点であると感じました。

このラウンドアバウト導入により期待できる効果は、まずは事故の削減です。交差点における交錯箇所の減少により交通事故に遭遇する機会の減少や交差点内速度の低下により重大事故の減少が期待されます。2つ目は交通の円滑化です。信号待ちや右折時の対向車両の通過待ちがなくなることで、一定の条件下では交差点通過に要する時間の削減が期待できます。3つ目はライフサイクルコストの節減及び環境負荷の低減です。ラウンドアバウトでは信号機が必要ありませんので、信号機の削減やアイドリングの減少により、環境負荷の低減が期待できます。4つ目は災害時の対応力向上です。信号機が不要のため、近年発生している災害による停電時でも混乱なく交通処理が可能となります。

一方で、交通需要の多い交差点では自然とスピードが落ちる構造であることから、逆に効率が悪くなり渋滞発生の要因になってしまうこと、無信号であるため歩行者や自転車に対しての安全確保に十分注意する必要があることなど課題点もありますが、例えば、高速道路ICにおける一般道路との接続部などへの積極的な活用を図ることで、県がその効果を示し、市町等も含めた県内への設置を誘導してはいかがでしょうか。

そこで、交通事故の削減などラウンドアバウトがもたらす効果を踏まえた導入検討が必要ではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。

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黒田 一美

(選挙区:神戸市垂水区)

質疑

(竹内 英明 議員)[発言方式:一括]

1 新型コロナウイルス感染症対策について
 (1)県内の対応状況とマスク等購入助成制度について
2 中小企業融資の融資枠と預託金額の増額、保証要件の緩和について

質問全文

令和元年度 2月補正予算案に対する質問

質疑日:令和2年3月23日(月)

質問者:竹内 英明 議員

質問方式:一括方式

1 新型コロナウイルス感染症対策について

(1)県内の対応状況とマスク等購入助成制度について

3連休の間、新型コロナウイルス対策の話として、19日の夕方に発表された「兵庫一大阪間の往来自粛要請」がメディア等で大きく取り上げられた。

これは、国の厚生労働省医政局の室長が18日に兵庫県や大阪府に来て、今後増える可能性のある重症患者の病床数が足りているのかという話のほかに、厚生労働省コロナ対策クラスター班の専門家(北海道大学西浦教授等)の提案内容が示され、その対策として「兵庫一大阪間の往来自粛要請」を行うことやその提案内容を大阪府がメディアの前で公表したもの。

提案内容は、本来非公開であったようだが、20日の大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の資料としてネット上でも公表された。

私も全部見たが「大阪府・兵庫県における緊急対策の提案(案)」として示されているもので、現状分析として「大阪府、兵庫県の全域において、 感染源不明(リンクなし)症例が感染世代(5 日程度)毎に増加。1 人が生み出す 2 次感染者数の平均値が兵庫県で1を超えている。見えないクラスター連鎖が増加しつつあり、感染の急激な増加が既に始まっていると考えられる。」として、患者数の具体的な増加数が記され、「感染者報告数がこれから急速に増加し、来週には重症者への医療提供が難しくなる可能性あり。」と記載されている。

国の専門家が公式見解として国民向けに発表したものではなく、自治体に提案として持ってこられたもの。国が個別の自治体に指導・助言するなら公明正大にしてもらわないと公表するつもりがなかったものを急にどこかから出るというのは大いに混乱をきたす。

私が18日にテレビ報道で大阪府知事の会見の模様を見たときは、兵庫県に対する批判に感じた。先日、兵庫県の流行ピーク時の入院患者数は厚生労働省が公表した推計式によると、9,820 人、うち重症床患者数は330 人とされ、新聞報道もされている。こうした最悪の想定は既に出ているのだが、今回のような個別の出し方をされると恐い。

兵庫県としてはこの提案をどう捉えたのか、大阪府との関係等については井戸知事の記者会見の内容をみたのでそれ以上は言わないが、こんな話がこれからも再びあるとなると、地域間で疑心暗鬼のような状態になりかねない。

関西広域連合を一緒に構成し、先日も医療物資などを相互に融通しあうとした自治体なのにと思ってしまう。いずれにしろ結果が全てなので後に検証されることだが、我々議会にも経緯等を教えてほしい。

また、今回の補正予算では、社会福祉施設等におけるマスク・消毒液等の購入を支援するとのことであるが、そもそもマスク等は入手が困難な状況の中、どのように実行性のある取組としていくのかあわせて伺う。

2 中小企業融資の融資枠と預託金額の増額、保証要件の緩和について

県では金融機関に制度融資の一部を預託し、取扱金融機関が県の定める融資条件で中小企業者に融資する制度、いわゆる制度融資を設けている。今年度は3,600億円の融資枠を設けるために、信用保証協会に預託する金額を当初予算で2,531億円見込んでいたが、今月4日に議決した補正予算では1,076億円減額して1,455億円。当初比42.5%減となった。

年度末までの期間が短いため、0.1%利率を下げる措置を講じても、現在の預託金方式で年度末まで十分対応できるということは承知しているが、逆に預託金を増やし、現行の利率を更に低下させるということを検討するなど対応がとれないかということである。

融資枠についても先程議決した2020年度予算では今年度当初と同額の3,600億円の融資枠、預託金額は2,400億円を見込んでいるが、これで足りるのかということである。

県には県債管理基金の約5,000億円をはじめ、全体では約5,500億円の基金と企業庁の約500億円の資金があるが、貸付金や有価証券なども含むため、現金として運用できるのはこのうち一般会計等での繰替運用分を除いて、約2,000億円ある。

2000億円の預託しか出来ないというのではなく、県債管理基金の有価証券のうち国債などの債券を現金化することで約1,000億円の追加預託が可能だ。

これによって預託金を増額し、利率を下げたり、融資枠を拡大するなどを検討すればいい。こうした方法を用いた融資枠や預託金額の増額は検討されていないのか、急激な落ち込みに見舞われる観光業・旅行業・飲食店等の対策として更なる資金繰り支援が必要ではないか。また県として主体的に保証要件の緩和を働きかけるなど必要な措置を講じる必要があると思うがどうか。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)