質問日:令和4年3月7日(月)
質問者:栗山 雅史 委員
1 大阪湾ベイエリアの活性化について
令和4年度の当初予算案に、「大阪湾ベイエリアの活性化」とあり、大変注目をしています。2025年の大阪・関西万博を見据えて、大阪湾ベイエリアに人、モノ、投資を呼び込み、官民連携により、新たなベイエリアのグランドデザインを策定し、ベイエリア活性化に向けた事業を展開、と書かれてあります。
「大阪湾ベイエリア」については、斎藤知事の公約の中に「播磨灘・大阪湾ベイエリア再生プラン(仮称)」を策定し、大阪・関西万博や大型開発プロジェクトを機に、大規模な集客、IT、医療、金融など世界的な企業、高度人材の誘致を目指す、とあります。当局が目指される方向性は、まさにこの知事の公約にあるようなことなんだろうと推察しますが、今のところ、その全容がわからないので、今回の質問に至りました。
予算案を見ますと、「新たなベイエリアのグランドデザイン」の策定を目指し、まずは兵庫県域の「大阪湾ベイエリア活性化基本方針」を策定されるということで、大阪湾ベイエリア活性化本部を立ち上げ、学識者や金融機関、開発事業者などで構成する企画委員会を開催し、基本方針を策定していくという運びになっています。
私はこの基本方針の策定はとても重要なものだと思っています。しかし、私はこの「大阪湾ベイエリア」のような「県の沿岸部」という地域を指定した活性化の計画について、兵庫県がこれまで備えてきたことがあるのか、私はあまり記憶にありませんでした。で、困っていたところ、当局が調べてきてくれました。
1991年の大阪湾ベイエリア開発推進協議会、これは関経連、同友会、沿岸自治体、大学、商工会議所で構成されていたようですが、「大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザイン」が発表されていました。これが始まりです。きっかけは関空の開港だったんですよね。当時、私は高校生、大学生でしたが、その頃を思い出しました。
そして1992年の「大阪湾臨海地域開発整備法(ベイ法)が制定、本県では1997年にベイ法に基づく「兵庫県大阪湾臨海地域整備計画」というものが策定されていました。もう25年前のことなので、どうなんでしょう、部長をはじめこちらにいらっしゃる課長級の方々は若き頃のこととして記憶にあるのかも知れませんが、これらの計画に基づく取組みはどうだったのか、気になるところです。
計画は計画通りに実行され、成果を出されてきたのか。その上で、今回はまさに万博を契機に、大阪湾ベイエリアを再び活性化したいと、知事の公約では「再生」という表現もあるわけですが、今回策定予定の基本方針で「何を再生し、何を活性化」したいのか、そして「活性化」というのはどういうものなのか、そのあたりについて、現時点で考えておられる当局の大阪湾ベイエリアに対するご所見をお伺いしたいと思います。
2 ひょうごフィールドパビリオンについて
ひょうごフィールドパビリオンについては、本会議の一般質問でも何人かの議員が取り上げられてきましたし、知事がワーケーション知事室など県内各地に行かれる度に、折に触れて「フィールドパビリオンになり得る」などという発言もされてきました。なんとなく、この「ひょうごフィールドパビリオン」について輪郭が見えてきたところなのですが、今回の質問では、そもそもパビリオンとはどうあるべきなのか、万博会場の外にある兵庫県内の資源を活かしたものという答弁もありましたが、それは大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」や「SDGs」にどのように繋がるのか、それを考えてみたいと思います。
まず、最初に確認したいのが知事の公約です。公約にはこうあります。
『2025年大阪・関西万博に来場する世界の人々を、県内各地の農業や地場産業などの現場に誘う「兵庫フィールドパビリオン(仮称)」を実施し、五国の魅力を世界に発信します』。
予算案においても、「万博期間中に本県の魅力を発信し、フィールドパビリオンへの誘客につなげる」とありますが、この表現や知事からの答弁を見て聞いて思うことは、結局は国内外の人々を、大阪の万博会場だけで終わらせるのではなくて、兵庫にもいろいろと魅力的なものがあるから体験しに来てよということ、そして万博会場で万博を体感した後の次の行動としてぜひ兵庫県で観光してよと、こういうことなんだろうなと思っています。これは、コロナ前にインバウンドの世界のお客さまが多数来ているときに、大阪・関空入りしたお客様を何とか兵庫県へと誘った動きとほぼ同じだなと感じました。あの時、インバウンドのお客様をどの程度兵庫県へ引き込めたのか、観光面で色々と工夫や努力をしたことについては成果があったのか、気になるところです。
万博には世界各国の、おそらくすごい魅力的なパビリオンが多数出展するのでしょう。そして国内の民間企業も出展されると聞いています。そんな中で、関西広域連合として出展される共同パビリオンの、広域連合の一員としてのブース、コーナーの一角で兵庫県のPRをするんだと思いますが、予算案によるとそこで独自の展示や仮想体験、現地とのリアルタイム交流などをしていきたいとのことですが、それが実際に兵庫県へ向かうきっかけになるのか、ひょうごフィールドパビリオンへ誘うということはできるのかと、疑問に思っているのです。海外のパビリオン、民間企業のパビリオン、関西広域連合の他の構成員である京都や奈良、滋賀など、ライバルはたくさんいる中で、万博会場を離れた次の目的地に、京都でもなく、大阪でもなく、奈良でもなく、兵庫県を選んでいただけるのかどうか、その戦略がいま問われるところです。
それと、知事の答弁を聞いていて、また計画にも地域別説明会を10回程度開催していくということですが、どうも県内の全市町でフィールドパビリオンをつくりそうな勢いを感じるのですが、いったいいくつのフィールドパビリオンをつくりたいと思われているのでしょうか?例えば県内29市12町に1個ずつだとすれば41のパビリオンができてしまいます。そんなにたくさん作ったら、一体何が魅力的なフィールドパビリオンなのか、来場者が考えて見極めないといけなくなります。そして、当然万博会場からのアクセスの問題もあります。
本来は、万博のテーマである「いのち輝く未来社会」に繋がる、兵庫県内に行かないと絶対に体験できない、強いアピール力のあるフィールドパビリオンを、私としてはせいぜい3つから5つ準備できれば良いのではないかと考えています。
加えて、県土整備部でも質問するつもりですが、城下町の酒蔵や地場産業の景観を、フィールドパビリオンの重要な要素として、その価値と魅力を高めるための景観条例の改正を予定しているとあります。一体、フィールドパビリオンはどこまで増えていくのでしょうか。その結果、どれぐらいの方々が兵庫県に来てくれるのでしょうか。
「ひょうごフィールドパビリオン」の基本計画、アクションプランについて、現在当局はどのようにお考えなのか、ご所見をお伺いします。
3 万博後も見据えた海上交通の充実について
ベイエリアの活性化、万博関連で最後の質問です。「万博後も見据えた海上交通の充実」についてです。
産業労働部予算でも「大阪・関西万博を見据えた水上交通観光圏の形成について」というのがありまして、そこでも同様の質問をする予定ですが、大阪湾の海上交通ですよね、関空淡路ラインなど、これまで何度も定期航路を作っては採算が取れずに運航休止となってきた歴史があります。本当に、再びやるのでしょうか。
文字面を見ますと「万博後も見据えた海上交通」とあります。「万博後も」、なんですよ。万博で盛り上がった後、例えば万博期間中に形成された海上交通を、その後も定着させたいということなのでしょうか。しかも充実とあります。
その前に、万博前にどのような航路をつくるのか、採算が取れるようなものなのか、テスト的なものなのか。それは多くの方々が普段から利用したいと思ってくれるものなのか。
そして万博期間中も、です。期間中は、ある意味特別な航路が期間限定であってもおかしくないですが、その時だけのものにならないでしょうか。
当局は、知事の公約に引っ張られてこのような事業を掲げているのではないかと思っていますが、過去の歴史や反省、そして今の陸上交通の利便性の高さなどを考えたときに、果たして大阪湾の海上交通を万博後も充実させていくということについて、当局はどのような見通しを持っているのでしょうか。当局のご所見をお伺いします。
4 男性の家事・育児の参加促進について
昨年の12月議会での一般質問でもこのテーマを取り上げさせていただきました。あれから3か月しか経っていませんが、今後の女性活躍のためにとても大事な取組だと思いましたので、今回も質問をさせていただきます。
城部長からは、私の一般質問に対してこのようなご答弁をいただきました。
『男性自身のやる気を引き出すということが大切で、家族が一緒に楽しく家事ができるヒントを県のホームページで「ゆる家事大作戦」と称して11月から紹介を始めております。さらに今後、実践につながるような動画も配信をしていく予定です。(中略) 子育て中の知事を筆頭としまして、取組をさらに進めてまいります。』ということでした。
これらの取組についてどうであったのか、男性自身のやる気は引き出せたのか、その他反響などを含めて教えていただきたいと思います。
また、令和4年度で実施されようとしている施策で、「共家事(トモカジ)促進事業の展開」というものがありますが、これはどのようなものなのか、その狙いを含めて令和4年度の「男性の家事・育児の参加促進」の全体的な取組について、意気込みなどをお願いできればと思います。