議会の動き

◆22年12月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方

代表質問  黒田 一美 議員
一般質問  竹内 英明 議員

代表質問

(黒田 一美 議員)[発言方式:一問一答]

1 ネット社会の対応について
(1)ネット社会における人権侵害への対応について
(2)県警察でのネットにおける人権侵害から発展する名誉毀損や侮辱等への対応について
2 続くコロナ禍を踏まえた医療全体の今後のあり方について
3 粒子線医療の保険適用拡大について
4 公共交通の維持、確保について
5 非正規雇用労働者の待遇改善の取組について
6 コロナ禍におけるスクール・サポート・スタッフの配置について

質問全文

質 問 日:令和4年12月6日(火)

質 問 者:黒田 一美 議員

質問方式:一問一答

1 ネット社会の対応について

(1)ネット社会における人権侵害への対応について(県民生活)

新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワークやリモート会議を始めとするネット社会が急速に拡大しました。

インターネットはとても便利なものですが、一方で他人への誹謗中傷や侮辱、プライバシーの侵害やSNSによるいじめ、特定の民族や国籍の人々を排斥するような差別的言動や、部落差別に関して差別を助長するような投稿など、人権に関わる様々な問題が急速に発生しています。

インターネット上の悪質な書き込みは、その容易さや匿名性から、誰でも簡単に出来るものの、何気なく投稿したものがいったんアップされ拡散されてしまうと削除が非常に困難であることから、重大な結果を招くこともあります。

例えば、全国的に問題となっているブログ名「鳥取ループ」が、全国の被差別部落の地名リストや、全国各地において各分野で活躍している被差別部落関係者の名前と住所、電話番号、職業等をネットで流しており、その中には兵庫県民も多く含まれています。現在、東京で裁判となっており、原告は234人に及びます。

また、昨年2021年6月に、兵庫県丹波篠山市の特定の地区を撮影した動画が投稿され、丹波篠山市と地元自治会長が「被差別部落と流布するなど差別的視点から拡散され、名誉やプライバシーを侵害された」として動画投稿サイト運営会社に動画の削除を求める仮処分を申し立てました。神戸地方法裁判所柏原支部が削除を命じる決定を出し、現在、動画は削除されています。

これらは、被害の一部に過ぎず、さらに多くの差別、人権侵害がネット上で繰り広げられており、どんどん拡大しています。

兵庫県では、インターネット上の悪質な書き込み等による人権侵害の防止のため、インターネット・モニタリング事業を行っています。インターネットの掲示板等の書き込みに対し、一定のキーワードで検索し、該当した内容については、法務局やプロバイダへ削除要請するなど日々取り組んでいただいておりますが、県内においても、まだ実施していない市町もあります。また、モニタリングにより削除要請するだけで効果があるのでしょうか。その後の処理は、どのように進められているのでしょうか。

来年には、5年に一回の「人権に関する県民意識調査」が行われる予定ですが、調査を行うごとに、県民一人ひとりの人権意識の向上が見られることから、次回の調査では、より多くの県民が人権を身近な問題と捉え、様々な人権問題の解決に向けた取組に繋がることを期待するところです。

インターネットでの差別、人権侵害をなくすための対策強化に向けた事業展開について当局の所見をお伺いします。

(2)県警察でのネットにおける人権侵害から発展する名誉毀損や侮辱等への対応について(警 察)

日本の法律では、人権侵害が罪としている法律はありません。

しかし、令和4年7月7日、侮辱罪の法定刑が引き上げられ、侮辱罪厳罰化が実施されました。インターネットが普及し、インターネットでの誹謗中傷は、被害者を傷つけるものであります。

ある女性から相談を受けた事例を紹介します。

女性は、差別的なメールを受信するようになり、それがエスカレートし、勤めている会社へのメールが届くようになり困り果てていました。

しかし、ある警察署へ相談すると、悪質なメールは止まり、大変感謝されたとのことです。

2020年5月には、テレビのリアリティー番組に出演していたプロレスラーの女性がSNSで誹謗中傷をうけた後、自殺されました。また、同年11月には、小学6年の女子児童が、同級生からのいじめを訴える遺書を残して自殺しました。児童の両親は、学校で配布されているタブレット端末にあるチャット機能がいじめに悪用されたと訴えておられます。

今回の改正法は、こういった被害者を出さないためにも、誹謗中傷は犯罪だと多くの人に認識されることで、予防につながると期待しております。

インターネット上の人権侵害から発展する名誉毀損や侮辱などの犯罪から県民の命と安心、安全を守る兵庫県警察として、どのように対応されているのかご所見をお伺いします。

2 続くコロナ禍を踏まえた医療全体の今後のあり方について(保健医療)

兵庫県をはじめ、全国で徐々にコロナ感染者が増加し始めており、既に第8波に入ったとも言われています。この冬はインフルエンザとの同時流行による医療、病床の逼迫も懸念されますが、我々は、コロナの感染拡大が繰り返された約3年間の経験から、感染をむやみに恐れることなく、基本的な感染症対策を講じながら、社会活動を続けようとしています。

コロナが広がる前、本県では、団塊の世代がすべて後期高齢者となる 2025年に向け、①医療機能の分化・連携、②在宅医療の充実、それを支える、③医療従事者の確保を進め、「地域完結型医療」の構築を目的として、地域医療構想が策定されました。三位一体施策の一角を構成する「地域医療構想」では、主に入院病床の機能転換と在宅医療の推進に取り組まれてきました。将来の入院患者数を二次医療圏ごとに推計した上で、機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)別に必要病床数を試算し、また、入院医療から在宅へとスムーズに移行できるよう、地域医療連携および医療介護連携を推進するとともに、在宅医療提供体制の強化が進められてきました。

そこに、突然、コロナの感染が発生しました。感染者に対しては、無症状・軽症者は宿泊療養施設、自宅での経過観察、入院加療が必要な中・重症者は新型コロナ入院医療機関などへの入院となりました。感染者数は日に日に膨れ上がり、入院加療は感染症指定医療機関だけでは病床が不足、その他の民間病院も受け入れを行う形で対応が行われました。

急激な感染拡大によって保健所に電話相談が集中、電話が繋がらない状態が続き、また、現場医療従事者の感染症対策の努力にも関わらず、院内感染によりクラスターが発生する事態が頻発しました。保健所を始め医療関係者の方々のご尽力には、心から感謝申し上げます。

救急や一般外来にも大きな影響が出、急を要しない手術や診療は延期され、感染を恐れるあまり受診を控える患者も多く見られました。

新しい感染症の拡大という想定外の医療状況を経験する中で、今までの医療システムについて、このままで良いのか、見直すべきか考える必要があるのではないでしょうか。

こうしている間にも、感染者数は日々少しずつ増加しています。コロナを特別なものではなく、どこの病院でも診察することが出来るよう、また、コロナ以外のより重篤な患者を受け入れることが出来るよう、医療体制を確立する必要があるのではないかと考えます。これまでの経験から、基本的な感染対策を含め、医療面において逼迫する受け入れ場所や対処すべき事柄は見えてきたのではないかと思われます。

そこで、地域医療や1次2次3次医療、高度専門特殊医療、救急医療体制など、医療全体の体制の今後のあり方について、当局の所見をお伺いします。

3 粒子線医療の保険適用拡大について(病院局)

日本人の死因のトップは「がん」という状況が長く続いています。

厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、死因の第1位は「悪性新生物(がん)」で、日本人の3~4人に1人が、がんが原因で亡くなっています。もはや、がんは、誰がなってもおかしくないほど身近な病気となっています。

兵庫県は、これまで、粒子線医療に力を入れてきました。

私が県議会議員になった一期目の時、光都に粒子線医療センターがオープンし、重粒子線治療、陽子線治療がスタートしました。

従来のX線治療ではがん腫瘍の周りの組織にも傷をつけますが、粒子線治療はがん腫瘍そのものにピンポイントに当てることができ、効果がある、と現地を見て説明を受け、とても感動し期待いたしました。今も、同じ気持ちです。

当時は動く部位には適用できず、動かない部位だけでしたが、今では、肺等の動く部位の腫瘍にも瞬時で照射、治療できるように進捗してきました。

また、小児の高度専門特殊医療を担う兵庫県立こども病院の横に、小児にも対応した神戸陽子線センターが2017年12月にオープンし、重要な治療を担っています。しかし、保険が適用されないため治療費だけで300万円前後かかることから、当時から保険適用が課題でありました。県では独自に無利子の貸付も行っておられますが、やはり高額な治療費になることには、変わりはありません。

本年4月の診療報酬改定により、肝細胞がんや胆管がん、膵がんや大腸がん、子宮頸部線がんの5つのがんが保険適用となりました。

しかし、これら以外のがんでは従来と変わらず、300万円前後の治療費自己負担が必要となります。2016年度に初めて保険適用され、順次適用拡大され、現在は陽子線で8種類、重粒子線でも8種類、保険適用されています。

一方、肺がんや食道がんへの保険適用は見送られており、2024年度の診療報酬改定に向け、引き続き議論されるとのことです。手術ができない高齢者の治療に最適という粒子線治療。がん患者の高齢化が進む現在、保険適応が多くのがんに広がることが期待されます。

全国に粒子線治療施設が増え、粒子線治療の普及拡大に伴い、国、厚労省は保険適用を徐々にですが認めていると聞いておりますが、本県の粒子線治療の現状と課題、さらなる保険適用拡大に向けた県の対応方針についてお伺いします。

4 公共交通の維持、確保について(土 木)

人口減少が進む中、移動需要の縮小などにより、公共交通の維持・確保は依然として厳しい状況にあります。一方、高齢者の運転免許の返納等により、日常生活における移動手段の確保の重要性は、ますます高まっています。改正された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が令和2年11月に施行され、地域の公共交通に関するマスタープランである「地域公共交通計画」の策定が地方公共団体の努力義務となるなど、公共交通とまちづくり等の施策の連携が一層求められています。

県では、このような公共交通をめぐる社会情勢の変化を踏まえ、「ひょうご公共交通10カ年計画」を見直し、2021年3月に改定しました。この計画では、「豊かで活力ある県民生活を支える持続可能で安全・安心な公共交通」という理念のもと、将来にわたり持続可能な公共交通ネットワークを形成するため、国、県、市町、交通事業者、県民等の関係者が連携・協働し、一体となって取り組むための、公共交通政策の指針として計画を策定しています。

本年4月、JR西日本が管内の赤字ローカル線を公表し、該当地区を含む自治体や地元住民の間で波紋が広がりました。兵庫県内では加古川、山陰、播但、姫新線の4路線、6区間において、利用者が少なく運営が厳しいとの状況が明らかにされました。

県においては、これらの路線を維持・活性化するための利用促進策の検討にあたり、関係市町、事業者、有識者等の意見を幅広く聴取する「JRローカル線維持・利用促進検討協議会」を設置されました。協議会で検討の方向性を示し、路線毎に設置するワーキングチームで利用促進策を検討され、今月には検討結果を集約し、県としての取組方策を検討、来年1月には検討結果をまとめられると聞いております。

初会合の冒頭で、知事は、いかに今の路線を活性化するかを強調されているものの、JR西日本側からは利用減少に対する経営努力は限界に達しており、鉄道にこだわらない多様な交通サービスを考える必要があること、またこれまで様々な利用促進策が展開されたが、抜本的な問題解決には至っていないことが述べられました。利用者の増加、駅周辺の活性化という利用促進策に加えて、将来を見据えた方策についても考える必要があると思われます。

滋賀県において、人口減で存続が危ぶまれる県内の鉄道やバスなどの公共交通を支える財源に充てるため、新たな県税「交通税」の導入が検討されています。赤字路線の利用者や沿線住民だけでなく、広く県民全体で地域の足を守ろうとする交通関連の税制度は、フランスなど欧州では導入例もあり、実現すれば、国内で初となる試みです。この税には、公共交通を利用しない県民への課税に対する理解という課題があります。しかし、この議論において、公共交通の存続を、すべての県民の課題であると提起している点は、大事な視点ではないかと考えます。

兵庫県においても、公共交通機関を利用している、利用していないにかかわらず、その存続を県民が自らの課題、関心事として捉え、地域でまもり育てていく持続可能な公共交通のあり方をともに考えていく必要があると考えますが、当局の所見をお伺いします。

5 非正規雇用労働者の待遇改善の取組について(産業労働)

兵庫県内には、非正規雇用労働者が約919,000人いるとされおり、全雇用労働者の39.5%です。

国税庁の2019年民間給与実態調査では、正規雇用の平均給与は503万円に対し、非正規雇用は175万円であり、平均給与の差は328万円にもなります。

2021年4月から、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律、いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」が中小企業にも適用されました。これは、正社員とパート労働者・有期雇用労働者との間で給与や手当等、待遇の差を設けることを禁止するもので、働き方改革における「同一労働同一賃金」の実現に向けた取組です。不合理な待遇差は違法となり、正社員との待遇差の内容や理由等を説明する義務が生じるようになったことから、適切な対処が必要となりました。

現在、本格的な人口減少社会に突入しており、労働力人口の減少が懸念されています。とりわけ、中小企業においては、人手不足や後継者問題に悩まされています。大手企業の工場においても、半数以上がパートや派遣職員というところもあるようです。しかし、労働者側においても、個々の事情により、正社員ではなくパートを選ぶ方もいらっしゃることから、柔軟で多様な働き方と、それに対応出来る労務管理も求められています。

県では、このような状況下、非正規労働者の正社員転換や、処遇改善により、優秀な人材を発掘・登用し、定着させることを目的に、多様な働き方と処遇改善の推進に向けたセミナーと相談会を実施されています。

また、非正規雇用労働者のキャリアアップの仕組みや処遇改善の実施方法など、労務管理上のさまざまな悩みをお持ちの企業に対し、社会保険労務士などの相談員が該当企業を訪問し、課題解決に向けアドバイスも実施されています。

しかし、企業によっては、わかってはいるけれど実際対応が難しい、また、まだまだ知らないという企業もあるようです。

勤労者の生活の安定、充実、社会保険の空洞化防止等の観点を踏まえ、非正規雇用から正規雇用への転換を促進することが重要であり、公的教育訓練機関や企業内教育訓練などとの連携による取組も必要であると考えます。

そこで、正規雇用と非正規雇用の同一労働同一賃金の実現に向け、どのように取り組んでいこうとされているのか、当局の所見をお伺いします。

6 コロナ禍におけるスクール・サポート・スタッフの配置について(教 委)

これまでから、私自身をはじめ多くの議員の方々が幾度となく、教職員の多忙化対策について質問してきました。私は、教員の本分は子どもと一緒に歩むことだと思っておりますが、その時間がなかなか確保できない現在の状況は教員だけでなく、児童生徒にとってもよいわけがありません。また、小中学校でコロナ感染が繰り返し拡がる中で、感染対策等、教職員の業務の増加、多忙化がますます進んでいます。

県では、平成30年度からスクール・サポート・スタッフを各市町に1名ずつモデル的に配置しています。そのような中、急拡大したコロナウイルス感染症の緊急対策として、令和2年度に限っては、国の補正予算を活用し6クラス以上の小中学校に各1名を配置されましたが、残念ながら、その増員は継続されませんでした。

しかしながら、未だコロナ感染は治まっておらず、徐々に増加の傾向が見られるなど第8波にさしかかっています。今後もコロナ感染が繰り返されることも予想され、そのため、様々な感染対策は、今後も引き続き義務教育現場で必要になると思われます。

教職員や事務職員の定数については、国の配置基準により増員が難しいため、少しでも教職員の負担を軽減し、児童生徒としっかりかかわる時間を確保するためにも、今後、スクール・サポート・スタッフの増員や、市町独自配置への支援措置が必要であると考えますが、当局の所見をお伺いします。

黒田 一美

(選挙区:神戸市垂水区)

一般質問

(竹内 英明)[発言方式:分割]

1 大規模な太陽光発電施設における防災対策の総点検とその結果対応について
(1)2022年6月の報告以降の対応状況
(2)盛土規制法に基づく、人家等に被害を及ぼしうる太陽光発電施設の規制について
2 姫路市内の県立・市立高校普通科が統合により5校減ることについて
3 住民に身近な社会基盤整備、渋滞交差点の解消や道路拡幅・歩道設置について
(1)県道大江島太子線の下太田交差点の右折レーン設置による改良
(2)県道大柳仁豊野線の道路拡幅・歩道設置(豊富町・西工区)
4 県立病院への提案
(1)病棟へのWi-Fiの導入による入院患者の利便性向上
(2)日勤・夜勤の制服の色分けによる残業削減効果と働き方改革
5 財政指標「将来負担比率」の全国ワーストからの脱却について
6 但馬空港滑走路延長についての齋藤知事の考え

質問全文

質 問 日:令和4年12月7日(水)

質 問 者:竹内 英明 議員

質問方式:分割答弁方式

1 大規模な太陽光発電施設における防災対策の総点検とその結果対応について

(1)2022年6月の報告以降の対応状況  (まちづくり)

先月7日付の神戸新聞朝刊1面に「太陽光発電広がる拒否感 姫路や宝塚 住民、パネル崩落を懸念」という記事が掲載された。太陽光発電は再生エネルギーの中核として今や脱炭素社会の形成に必要不可欠とされているが、一方で森林を伐採して大規模に開発を行い、自然破壊といった状況を生む場合もある。

また、民家にほど近い山林の中腹や斜面に設置された場合、豪雨や台風によるパネルの崩落等も懸念される。実際に姫路市林田町では2018年7月に豪雨によって大規模に崩落し、その危険性が大きく指摘されることとなった。

県では2017年に太陽光発電施設等と地域環境の調和に関する条例を制定し、5千㎡以上の面積の施設について一定の規制を設けたが、2018年3月には、50ha以上と更に大規模な施設について、森林等の面積の基準を強化し、自然を守る考えを前面に押し出した。

当時、姫路市北部では約170ha(甲子園球場43個分)という極めて大規模な計画が持ち上がり、4万8千人以上という住民の反対署名が集まるなど、大規模な反対運動がおこっていたが、この規制強化により結果として、申請が取り下げられた。住民は安堵したものである。私は、この県の対応について高く評価している。

そんな中、2021年7月に、静岡県熱海市の土石流災害で死者行方不明者28人という大災害が起こった。静岡県の調査によると、地下水が流れ込んでいたことに加え、固さや排水対策が不十分な高さ50メートルの不適切な盛り土が造成されたことで、常に水を含みやすい状態だったと指摘されている。

兵庫県でもこの災害を受けて、当初盛土に隣接する太陽光発電施設が原因かと報道されたこともあり、県内の太陽光発電施設における防災上の措置に関する独自の総点検を実施した。その結果は今年6月に公表されているが、全1,154件の点検対象のうち、概ね安全性が確認されたが、一方で、事業者不明等により未報告の施設が15件、報告があっても安全対策を確認・指導中というものが3件あった。

県条例の対象は5千㎡以上と大規模なものだけであるが、経済産業省が認可している発電事業者にもかかわらず権利の転売等で実際の所有者が不明という施設もあったそうだ。

そこで、今回の総点検結果について、6月以降の対応状況も含めて、当局の所見を伺う。

(2)盛土規制法に基づく、人家等に被害を及ぼしうる太陽光発電施設の規制について(まちづくり)

さきの神戸新聞が取り上げた姫路市夢前町の事例もそうだが、小規模の施設については、独自に規制を拡大した市町を除き、県条例では規制の対象とはなっていない。そこで熱海の土石流災害を受けて国会で改正された宅地造成及び特定盛土等規制法、通称、盛土規制法に基づく規制ができないのか質問したい。

この法律では、都道府県知事等が、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制対象として指定し、その規制区域内で行われる盛土等は許可及び届出の対象となる。

国土交通省の盛土等防災対策検討会における法令運用についての質疑応答記録をみると、盛土規制法では、残土処分や太陽光発電・風力発電の設置を目的とした盛土も規制対象となるのかという質問に対して、従来規制対象としていた宅地造成に限らず、幅広く盛土行為を規制することとなる。ご指摘の残土処分や太陽光発電・風力発電の設置を目的とした盛土も規制対象であると回答している。

都市計画法では、太陽発電施設自体は建築物・特定工作物に該当しないため、開発許可は不要となっている。盛土規制法の規制はこれまでの太陽光発電施設に対する規制について大きな転換となり、その区域の指定はかなり広範囲となることが想定される。

そこで、この法律によって、規制区域や許可基準が整備されると、人家等に被害を及ぼしうる山林などの傾斜地等に太陽光発電施設を設置することがかなり難しくなるという理解でよいか、当局の所見を伺う。

2 姫路市内の県立・市立高校普通科が統合により5校減ることについて(教  委)

県立高等学校教育改革第三次実施計画に基づく県立高校の統合についてである。生徒の減少が進んでいるという少子化の現実は理解している。現在48歳の私が中学3年生だった頃と比べて、現在の15歳の生徒数は半数程度となっている。学校の数を減らさずクラス数を減少させて学校を存続させてきたが、教科担任制や一定の選択肢のある部活動維持を考慮すれば、ひょうご未来の高校教育あり方検討委員会で示された、普通科・総合学科で1学年6~8学級、職業学科で1学年3学級以上が望ましい学校の規模ということも理解している。

一方、第4学区の統合案を見ると、県立姫路南・網干・家島の3校が姫路南の校地に、県立福崎・夢前の2校が福崎の校地に統合されることになっている。網干高校の通信制は残るものの、普通科は3校が減ることになる。

いずれも姫路市内の学校だが、姫路市では市立の飾磨・琴丘・姫路の3校も2026年度から1校に統合される計画が持ち上がっている。新設用地の確保が困難なため暫定的に姫路高校の校地に統合する方針が示されているが、この市立3校は各6クラスで計18クラス、定員割れもしておらず、仮に新たに最大10クラスの学校を設けたとしても8クラス320人分の定員が減ることになる。大幅な定員の減少である。

今回の県の統合案では県全体で6組14校が対象となり、8校が減ることになるが、姫路市内では県立3、市立2の5校も減る。高校の設置者が県と市にわかれているため、それぞれ別に統合計画を考えてしまった感さえある。

まず、県教育委員会はこうした背景や事情を丁寧に説明しなければならないと考える。なぜ第4学区では統合により姫路市内の高校だけが減るのか、姫路市の普通科高校が市立校も含めて5校も減るのは少しやり過ぎと考えないのか。結果として、市立の統合状況をみれば、公立高校を志望する姫路市内の生徒が市外に通わざるをえなくなる場合が増える。

そこで、こうした急激な高校統合計画となったことについて、姫路市とどういった協議を行ってきたのかを含めて、当局の所見を伺う。

3 住民に身近な社会基盤整備、渋滞交差点の解消や道路拡幅・歩道設置について

昨年度知事が示した県政改革方針の中で、行財政基盤確立のための投資水準の見直しが示され、投資事業の削減が行われたが、一方で、県民の安全安心に直結し、要望の強い道路や河川の日常的な維持修繕を充実させるための県単独事業が導入された。

県単独か補助事業かは別にして住民の安全安心や利便性向上のための住民の要望は極めて多岐にわたる。その中で今日は小さくても重要な地域課題を取り上げたい。

(1)県道大江島太子線の下太田交差点の右折レーン設置による改良(土  木)

1つは姫路市内を通る県道大江島太子線の下太田交差点の改良についてである。この交差点は2019年6月12日付け神戸新聞社会面に「通過に3回以上信号待ち、渋滞交差点解消へ新計画」という見出しの記事に写真入りで取り上げられた渋滞交差点である。2019年改定の社会基盤整備プログラムに掲載され、着手されることになったが、実現による渋滞解消効果は極めて大きい。

そこで、現在の進捗状況と完了の見通しについて当局の所見を伺う。

(2)県道大柳仁豊野線の道路拡幅・歩道設置(豊富町・西工区)(土  木)

もう1つは、同じく県道の大柳仁豊野線(豊富町・西工区)の拡幅、歩道設置である。この道路は、近隣の9年制の義務教育学校、豊富小中学校の児童生徒が通学路として使えば利便性の高い道路だが、歩道がなく、危険ということで迂回して通学している。

また、近隣の高校生も自転車で利用しているが、自動車との接触による事故などが発生しており、先だって、途中の市道との交差点に信号機が設置されることになった。その際に、当該小中学校の校長先生からなんとか通学路として使えるように歩道を設置してほしいという要望も受けた。

そこで、当該事業についても現在の進捗状況と完了の見通しについて、当局の所見を伺う。

4 県立病院への提案

(1)病棟へのWi-Fiの導入による入院患者の利便性向上 (病 院 局)

県立病院の入院患者の方にWi-Fi環境を提供したいという観点から質問したい。 というのもこの夏にはりま姫路総合医療センターに入院中の知人から直接メッセージをもらったが、病室や談話室のどこにもWi-Fiがないというものだった。別の退院した方からは、コロナ禍で面会は禁止され、家族と会うことはできないので、スマホのビデオ通話アプリを使って子どもとビデオ通話をしたが、通信量が定額分を超えるなどして出費がかさんだと聞いた。

これは何もはりま姫路総合医療センターに限ったことではない。全国的な課題で、コロナ禍で入院患者の孤独を救うために、1つでも多くの病院の病室に無料Wi-Fiをといったスローガンを掲げ、2021年 1月に発足したのが、#病室Wi-Fi協議会であり、メディアでも大きく取り上げられていた。

そこで県立病院(13病院・1診療所)の実状について調べた。

入院患者の病棟で無料Wi-Fiが使えるのは、災害医療センター、リハビリテーション西播磨病院、粒子線医療センターの3病院。丹波医療センターは特別室の8室のみ利用可能。加古川医療センターもコロナ等の感染症により面会制限がある患者のみ使用可能とのこと。がんセンターではポケット Wi-Fiを売店にて有料で貸し出していた。

一方、外来患者向けとして県庁舎にも整備されているHyogo Free Wi-Fiがロビーで使える病院が7、入院患者も利用可能な食堂で使える病院が1あったが、外来向けよりも入院患者向けのほうが必要性が高いと考える。

携帯やWi-Fiの電波が医療機器や電子カルテ等への与える影響については以前から指摘されていたが、#病室Wi-Fi協議会メンバーの一人で情報通信技術に詳しい、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の川森雅仁特任教授は、適切な管理をすることで対応ができるとHPで指摘している。

昨今、病院で最低限のリモートワークをする人もおり、長期入院者は、定額制のポケットWi-Fiや据え置き型のルーターを病院内に持ち込んでいる人もいるそうで、適切に管理されない機器を持ち込ませて、病院の業務用Wi-Fiと電波干渉を起こしといったトラブルもあるという。こうしたことが起こる背景に病室で患者にWi-Fiを開放していないことによるトラブルだという意見もある。

病院の開院後に新たにWi-Fiを整備するより、開院前に整備をしておけばコスト削減にもつながる。

そこで、先ごろ建替整備の基本設計概要が公表されたがんセンターではWi-Fi設備を導入すべきであり、他の既存の県立病院でも先の3病院のように病棟でのWi-Fi整備を実施してもらいたいと考えるが、当局の所見を伺う。

(2)日勤・夜勤の制服の色分けによる残業削減効果と働き方改革(病 院 局)

看護師の制服色分けで残業を大きく減少させたといわれている病院がある。熊本市にある熊本市医師会熊本地域医療センターがその一つ。看護師ドットワークスというHPによると、同病院では就業前の早出および終業後の残業が常態化していたそうだ。

そこで、当時の院長の廣田医師が考案したのが、日勤の看護師を赤のウェアで、夜勤の看護師を緑のウェアでわけること。

同センターでは、日勤の看護師は54名、夜勤の看護師は20名いたそうだが、それぞれに違う色の服をきてもらうと、勤務終了まぎわの人を捕まえて、仕事を依頼するということがなくなったという。声をかける側に色分けで意識が一目で伝わるから、ということであった。

全員白の制服だったら、見た目上、夜勤と日勤の人の見わけがつかない。アメリカンフットボールの攻守のユニホームが異なることをヒントにして当時の院長が2014年に導入したということだが、結果的に導入前後で、残業は年間110時間、つまり月10時間近くあったものが、1人あたり年80時間もの残業が減少したという。日勤の人が深夜に勤務していたら、服が違うから目立つ。早く帰ればと声をかけてあげられる。

ウェアを変えるだけで、働き方改革になるなんて最初は半信半疑だったが、すでに導入した県立病院がある。県立はりま姫路総合医療センターであるが、こちらの導入の狙いと成果はどうなのか。

そこで、5月に開院したばかりで前年との比較などが難しいと思うが、成果があがっているということであれば他の県立病院にも順次導入していけばいいと考えるが、当局の所見を伺う。

5 財政指標「将来負担比率」の全国ワーストからの脱却について(財  政)

齋藤知事は財政規律を後回しにするリフレ派ではなく、逆に財政の健全化を見据えているとお見受けする。ならば兵庫県が制度導入の2007年度決算以来全国ワーストの財政指標である、将来負担比率の全国ワーストからの脱却を目指すべきと提案したい。

県の新行革プランが始まったのは2008年度であるが、あれから13年が経過した2021年度決算においても、全国ワーストである。これによって、本来例外的であるはずの給与抑制措置が長期間継続され、正当化されている感もあるほどだ。

今年10月の県人事委員会報告では、管理職手当における給与抑制措置について、「減額措置が長期にわたり常態化している。職員のモティベーションの維持・向上や人材確保の観点からも、速やかに解消されるよう要請する」とこれまでで最も強い表現で解消に向けた要請が行われている。22年間も継続されているが、減額措置期間の明示や何らかの指標改善に応じた減額措置の終了目安などを出すべきではないかと思う。

そのためにも、将来負担比率の全国ワーストからの脱却など、県民からも県の財政も少しは良くなってきたと認めてもらうことが必要である。

そこで、兵庫県の将来負担比率は2021年度決算で315.1%であるが、こうした数値は県民にとってわかりにくいもので、まずは、わかりやすい、相対評価、都道府県間の相対順位で中程をめざすなど、そうした目標設定をあわせて併用して、全国ワースト脱却を目指すべきであると思うが、当局の所見を伺う。

6 但馬空港滑走路延長についての齋藤知事の考え(土  木)

齋藤知事は昨年7月の選挙の際に、刷新というスローガンを掲げられた。刷新には、大きな投資事業の見直しも必要となると思うが、伊丹庁舎の整備の一旦凍結や大規模アリーナの整備の検討自体の凍結は示されたものの、但馬空港については コウノトリ但馬空港のあり方懇話会での議論を踏まえ、但馬地域の振興のために但馬空港において取組むべき施策について慎重に検討とされた。

慎重に検討という言葉が行政用語として一般的には何を意味するかは巷間知られるところだが、外向けには明確になっていない。

昨年9月の定例県議会の中で我が会派の向山議員から知事の考えを問うたが、その段階では、明確ではなかった。あれから1年以上がたち、同懇話会から5月に中間報告も出された。そろそろ知事の判断が示されるときである。

知事は先月17日の記者会見の中で、県庁舎の建て替えに関連して、その建て替えコストは当初720億円、物価高騰により1000億円、いや倍になる可能性もあるという話をされていた。但馬空港の滑走路延長にしてもコロナ前の試算では2000メートル級の延伸には400億円程度が想定されたが、県庁舎同様に鋼材やコンクリートが使われることから過去の想定コストでは賄いきれないということになろう。

但馬空港に東京・羽田直行のジェット機の定期便が就航することは理想としてはいい話だが、本県の財政状況を考えた時にすぐにできるのか。井戸前知事は滑走路端安全区域(RESA)の確保が義務付けられる2027年3月までの整備(設計着手)と同時に延長する考えだったと思うが、私は厳しいのではないかと考える。

本県の財政状況は先に指摘した将来負担比率で全国ワースト、今後、実質公債費比率も悪化して国の起債許可団体へ移行することが見込まれている。

そこで、慎重にという言葉をもう少し明確にして、滑走路端安全区域(RESA) と一緒に延伸する可能性については難しい、ジェットの就航が可能な滑走路の延長はRESAとは切り分けて長期的な課題であると明確にしておいたほうがいいのではないかと思うが、当局の所見を伺う。

竹内 英明

(選挙区:姫路市)