議会の動き

中田 英一議員が質問(予算審査・財政状況)

質問日:令和5年3月1日(水)

質問者:中田 英一 委員

1 令和5年度当初予算編成について

(1)予算編成における「県民ボトムアップ型県政」について

予算質疑の冒頭にあたり、本定例会でも知事が度々口にされている「県民ボトムアップ型県政」というキーワードについてまずは明確にさせて頂きたいと思います。

学研国語大辞典によると、「ボトムアップ」とは「下級部門の担当者からの意見・情報・企画などがトップに流れる職場管理の方法」であると掲載されており、私もそのような意味の理解をしておりました。

しかし、知事の「県民ボトムアップ型県政」が使われている文脈においては、あわせて「現場主義」という言葉が使われていることからも、「自身が現場に足を運び、直接見聞きされた内容を県民の声として県政に取り入れる」というような意味にも受け取れるように思います。

もし知事が見聞きされた、その中で重要だと考えられたことを「これやりましょう」と言って予算化されていく…のだとすれば、この意思決定の方式はボトムアップと対義語である「トップダウン」に近いように思えてしまい、私の中で明確な理解ができておりません。

そこで、まずはキーワードである「県民ボトムアップ型県政」が、政策決定、予算編成過程においてどのような意味で用いられているのか、私たち県民がどのように理解すればいいのか当局のご理解をお聞かせ頂きたいと思います。

(2)新しい組織体制の予算編成への影響について

知事の肝いりで、部局の細分化や各部局に総務課が設置されるなど組織体制が一新され、その意図としても部局ごとのマネジメント、日本語にしますと「経営管理」や「組織運営」といった意味かと思われますが、そこに重きを置かれるものと理解しております。

すなわち、全ての決定をトップである知事が行うのではなく、一定程度までは部局ごとで決定できる裁量があり、特に重要な事項について知事が判断・決定をしていくという組織運営の方式だと理解しています。

部局マネジメントの強化と聞けば、県の組織内における意思決定が知事によるトップダウンではない方式にしようという意図が感じられるのですが、来年度予算案をみると、(この財政状況の質疑時間では具体的な事業をあげることができませんが)その中に特徴的な、言い換えればこれまでとは異なりそこにスポットライトがあてられているような事業がいくつかあるように思います。

偏見かも知れませんが、これまで「縦割行政」といわれてきた組織においては、部局内においても各課・各係を公平に取り扱うという意識が働き、なかなか各課・各係から上がってくる政策・予算に差をつけにくく、結果としてバランスが重視された、言い換えると総花的な予算編成になりやすいと理解していました。

そこで、一つには今回の予算編成案の評価について、私が感じたようにバランス重視型からいっそうメリハリのある、言い換えれば明暗の分かれるものになったとお考えでしょうか、もしそうであるとするならば、部局マネジメントの強化を含めた新しい組織体制が1年を経過して今回の予算編成に影響をもたらしたのでしょうか。当局のご所見をお伺いします。

(3)知事の判断と部局マネジメント強化の関係について

知事をトップとする行政組織でありますから、当然のことながら知事の思いを一人ひとりが理解し、その元に施策の立案や予算編成に取り組んでおられるものと思いますが、現場主義をとられ臨機応変に対応できる知事の判断と、年間を通しての綿密な準備・計画のうえに組み上げられる部局の政策とでは、齟齬が生じることも起こりえるものと考えられます。

さきほども述べさせていただいた、スポットライトがあたったような事業のなかには、知事の意向が強く反映されているものがあるようにも感じています。

そこで、部局として導いた結論と知事の判断が異なるような状況が生じた場合に、どのような経過をたどり最終的な予算決定がなされるのでしょうか。

2 シーリングカットについて

まずは行政経費に関する予算を一律に削減する、いわゆる「シーリングカット」について伺います。

この項目はこれまでの予算特別委員会においても度々取り上げられてきましたが、特に令和3・4年度はコロナ禍による急激な財政悪化を主な理由として、「シーリングカット」を強化されたとあります。

令和5年度当初予算において当局は、新型コロナウイルス感染症が5類相当へ引き下げられることなどコロナの影響が和らぐこともあって、地方消費税などを中心に県税収入の合計で令和4年度当初予算額から294億円の増と見込んでいるが、それでも引き続き経常的経費、政策的経費に対して15%のシーリングカットを実施している。

兵庫県ではこれまで様々な行政改革により「乾いた雑巾を絞るような取組」をしてきたとされるうえ、さらに続くシーリングカットは「無駄の削減」というよりも、もはや現場の忍耐・我慢につながっており、県組織のボトムである現場からの自由な発想やアイデアによる取組みが湧き起こりにくいように環境であったり、カットにより当初想定していた効果が出せない状況が生じているのではないかと感じています。

そこで、令和5年度当初予算におけるシーリングカットの意義とその効果をどのように位置づけているのか当局のご見解を伺います。

3 県民局予算(地域躍動推進費)の考え方について

県民局とは県ホームページにおいて「県民の皆さんに身近なところで総合的な施策を推進し、現地解決型の行 政を展開するため、保健・医療・福祉、産業振興、社会基盤整備などの分野の業務 を幅広く所管する、県下に10か所設置された総合事務所」である旨掲載されています。

この記載を見れば、広大な県土において県民の身近で、最前線の現場で展開される県行政であり、現場主義・県民ボトムアップ県政の要になるとも思われます

しかし、その県民局予算のなかでも、県民局の自由度が高い、すなわち地域の実情にあわせた現場判断の施策が期待される「地域躍動推進費」の予算が縮小され、かつその内容についての本庁査定が強まったと聞いております。

そこで、「地域躍動推進費」の予算が縮小され、かつその内容についての本庁査定を強めることとなった理由についてお聞かせください。

4 予算編成過程の県民公開について

知事が交代されて早々、兵庫県はそれまで慣習的に行ってきた各種基金の県債管理基金への集約を解消する方針を示され、今定例会でも補正予算が議決されたところであります。

この集約は、資産運用で規模のメリットを確保することなどを目的に実施された独特な手法でしたが、本来の目的である県債の償還に充当しない資金も合算されるなど、基金の積立不足が実態よりも少なく見えたり、他府県との比較が困難で県民や投資家に理解されにくかったりしたことから「財政状況の見える化」を進める方針に転換されたものと理解をしております。

県民や投資家のための勇気ある決断であったと賛同しておりますが、そうした知事および新体制において予算編成過程の見える化を前に進めることは、ごく自然なことだと考えます。

予算編成は、「県民や投資家からお預かりしたお金をどう使うか」という計画であり、県民の関心が高く、特に廃止される事業や新規事業はそれにより大きな影響を直接受ける県民もいることから、「県民ボトムアップ県政」の視点「県政の透明化」の視点からも、廃止・新規の各理由を含めて開示することができれば大きな前進になるものと考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。

5 個人住民税の徴収支援に係る取組状況について

兵庫県における県税の徴収歩合は毎年向上を重ねられており、収入未済額も着実に減少している状況ではありますが、令和3年度個人県民税の収入未済額は未済額全体の79.4%と高い割合となっており、厳しい県財政が続く中において、県税収入をしっかりと確保していくためには、この個人県民税を如何に徴収していくかが大きな課題となっております。

しかし、個人県民税は市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策で収入確保が実現できるものではありません。

そのため県では、「個人住民税特別対策官」を設置し、市町の徴収能力を向上させ、ひいては個人県民税の徴収を確保するという支援を行っているとお聞きしていますが、どのような取組を行い、どのような成果があったのか、そして今後どのように進めていくのかお伺いします。

6 ふるさと納税における県広報や広告収入等の取組について

兵庫県では、県庁内でお昼休みに流れるコマーシャルもそうだと思われますが、県で発行・発信するさまざまな媒体に広告の募集を行ったり、反対に他者の媒体に兵庫県の魅力をPRする広告の掲載を検討したり、県の収入増加やイメージアップを目指されていると思います。

その中で、ここでは県の収入に直結する広告収入について取り上げさせて頂きたいのですが、まずは県の発行・発信する媒体における広告収入への取組みの全体的な現状についてお伺いさせて頂きたいと思います。また、あわせてふるさと納税に関する戦略についてもお伺いしたいと思います。

年末は確定申告の算定期間の末ということもあって、多くのふるさと納税に関する宣伝が登場し、私もその中のサイトでたくさんの自治体の魅力自慢ともいうべきページを閲覧し、いくつかの自治体について調べてみました。

ふるさと納税寄付を行うとそれに対して、後日返礼品と寄付控除の書類が郵送されてくる仕組になっているところがほとんどですが、郵送されてくる書類が自治体によってさまざまであるようです。

簡易なとじ込み式のはがきタイプのところもあれば、長三封筒に送付状と寄付控除書類だけのところ、そこに広告や自治体のPR広報が入っているところ、A4が入る封筒にPR冊子が送られてくるところなどです。

兵庫県でも力を入れておられると思いますが、ふるさと納税は何らかの興味や関心、つながりがあって我が県に寄付された方に的を絞ってメッセージを送ることのできるという絶好の機会であると考えられ、県の広報だけでなく民間企業にとっても大きな広告効果が期待できると思われます。

そこで、兵庫県で行われている広告収入確保の取組の現状と、兵庫県のふるさと納税寄付者への広報発信やそこにかかる広告収入に関する取組について今後どのように進めようとしているのか、当局のご所見をお伺いします。