議会の動き

10年9月定例会討論

第306回定例会(9月)討論
2010年10月6日(水)

第75号議案(関西広域連合の設置)について

 私は、民主党・県民連合を代表して、本定例会に知事から提案のありました関西広域連合の設置に係る第75号議案に対し、賛成する立場から討論を行います。
 昨年の8月末の総選挙における政権交代以降、この国のあり方を大きく転換する改革の一つとして、我が民主党は、地域主権改革を強力に推進しているところであります。
 中央集権型の画一的な行政では、多様な地域ニーズに沿った政策の実現には限界があり、住民参加による行政を実現するためには、地域主権の徹底が不可欠であることから、国では現在、地域主権戦略大綱を今年6月に定め、各地の要望を踏まえつつ、権限や財源の移譲を進めようとしております。
 このような状況の中で、今、進めようとしている「関西広域連合」の設立については、民主党が推し進める地域主権改革を地方から推進しようとするものであります。
 「関西広域連合」の設立の目的の一つは、地方分権改革の突破口を開くことであります。中央集権体制と東京一極集中が進む中、地域の自己決定と自己責任を貫ける分権型社会の実現にあたっては、国からの動きをただ待つのではなく、国の地域主権改革を先導する意気込みを持って、地域が主体的に行動しなければなりません。
 また、設立のもう一つのねらいは、国の地方支分部局の事務の受け皿づくりを目指すことであります。現在、地域主権戦略大綱に沿って進められている「国の出先機関の原則廃止」の議論の中で、各省庁は「府県域を超える広域事務は、府県では処理できないために国がやらざるを得ない」と地方支分部局の存在を正当化しています。この変な理屈を打破し、国の出先機関の見直しの議論を一層促進させなければなりません。
 そして何よりも、地盤沈下している関西経済の浮上にあたり、産業や観光振興などの多様化する地域課題に対応するため、関西のことは関西が決定し、実行できる自立型の行政システムを確立させなければなりません。
 以上のとおり、地方分権改革の突破口を開き、府県域を超える事務の受け皿をつくり、そして自立型行政システムを確立させるためにも、関西広域連合の早期設立が必要であります。
 よって、我が会派は、「関西広域連合」の設立について、賛同し、その本格的な広域行政の実現に向けた第一歩として、組織を立ち上げ、その上で、予算措置や移譲が可能な事務・権限を国に対して強く求め、地域から地域主権改革を進めていくことが必要と考えます。
 現在、2府5県が9月定例県議会に規約案が上程され、和歌山県ではすでに、議決されているところであり、着実に前進しております。
 しかしながら、8月の広域連合に関する特別委員会の意見開陳でも述べさせていただきましたが、広域連合議会における各府県の議員定数の配分や議員報酬などの課題もあり、また、県民にとっては、まだ自分たちの問題としての認識が乏しいことから、関西広域連合について市町や県民への周知を引き続き努める必要があります。
 さらに、関西広域連合の運営の充実にあたっては、全関西の府県の参加が重要であり、今回参加を見送った奈良県の加入について、兵庫県としても呼びかけるべきであります。
 今後、参加府県とともに、関西広域連合を適切に運営していただき、関西経済の浮上等に努めていただきたいことを申し添えまして、討論を終わります。
 各位のご賛同をお願い申し上げます。

請願第134号「ため池、農業用水路など老朽化した土地改良施設の保全・整備施策の充実を求める意見書提出の件」に関する討論

 民主党・県民連合議員団の岸口実でございます。
 請願第134号「ため池、農業用水路など老朽化した土地改良施設の保全・整備施策の充実を求める意見書提出の件」については、審査を付託された農政環境常任員会において、私たちの考えを主張したところですが、本会議での、賛否の態度を示すに当たり、より正確を期するため、会派を代表して討論を行います。
 日本の農村は、多様な農業の担い手が重層的に営農にいそしむことで、伝統文化や環境を守り、良好なコミュニティを維持するなど、多面的機能を備えております。
 こうした多面的機能による利益は農業の担い手を含む国民全体が享受するものという視点に立って、それが維持・発揮されるよう農村振興策を講じる必要があると考えています。
 また、農地や農業用水については、農業生産の基盤のみならず、災害防止や水源の涵養といった機能も有しており、これらの機能を維持する観点からも、水路・ため池等の整備・保全などの取り組みの支援を行うことが重要といえます。
 そうした中で、国の平成22年度農業関連予算においては、農業農村の基盤整備のための農山漁村地域整備交付金1,500億円が新規確保されたほか、平成23年度では、小規模農家を含めた農業者の経営安定を図り、食料自給率を向上させる「戸別所得補償制度」の本格実施を通じて農業の再生を図ることとしています。
 また、平成23年度の農業農村整備事業予算についても、前年度比5.2%増の2,241億円、農山漁村地域整備交付金も今年度並みを計上し、農業水利施設の保全管理や、戦略作物等を含むトータル面の対策強化を進めようとしています。
 確かに、来年度の農業農村整備事業予算は、農業水利施設の更新と排水対策といった国営事業が中心となっており、本県への補助金が、必要とする金額と乖離しているという状況は伺っております。
 しかしながら、農業関連予算については、昨年行われた事業仕分けにおいて、農業農村整備事業の年度内執行率が低く、翌年度への予算繰り越しが恒常的に行われてきた実態が判明しました。
 このような実態を受けて、歳出予算の適正な見直しが図られたことも無視するべきではありません。
 そうした中、民主党では土地改良のワーキングチームを設置したことや、今月初めの鹿野道彦農林水産大臣と全国土地改良事業団体連合会会長の会談等を踏まえ、平成23年度予算について、一部土地改良予算が復活する見通しになったとも聞いております。
 加えて、今年度の国の補正予算においても、国内農水産物の生産拡大等に向けた効率的・持続的な生産基盤を確立するための支援として、当該交付金等の追加が進められようとしていますし、我が会派や党としても予算の増額について国に働きかけを行っているところであります。  
 本請願の検討にあたっては、こうした予算の今後の動向も十分に注視・斟酌しながら、態度を決定していくべきと考えます。
 こうしたことから、我が会派としては、常任委員会においては継続審査を主張したところでしたが、あらためて本請願を見ると、その記載は、国民の負託を受けた民主党政権が見直しを行ってきた農業の再生に向けた取り組みを否定し、『農地の放棄が進み』や、『地域農業の崩壊とともに、地域の安全・安心がたもたれなくなっている』などと断じ、その原因についても『農業農村整備事業の予算縮減』にのみ限定しています。
 従って、こうした請願内容は、論拠が不明瞭であるとともに、具体性を欠いており、その文脈は極めて一方的・一面的であると言わざるを得ません。 
 加えて、先ほど申し上げましたとおり、大局的にみると、農業農村整備関連予算の状況は好転してきております。
 よって我が会派は、この請願の趣旨には賛同できず、「不採択」を主張するものです。
 なお、我が会派としては、農業の再生に向け、必要な予算については、今後ともしっかりと国に働きかけていく所存であることを申し添えまして、討論を終えます。