議会の動き

前田ともき議員が質問(予算審査・公安委員会)を実施

予算特別委員会質問(公安委員会)

平成25年3月8日(金)

1 ICTを活用した捜査の効率化について

民間企業においては、ICTの活用による業務効率化や生産性の向上が積極的に進められているが兵庫県の組織のなかで、最も活用すべきは、警察官1万2千人を要する警察組織だと考えている。

現状では、警察官の削減は予定されていないが、近い将来、人口減少や予算制約に伴う警察官の削減という議論も十分にあり得る。そのような状況下において、治安を維持していくにあたっては、ICTの活用により、人的資源を補っていく視点が不可欠となってくる。

NY市警では、IBMと提携して「リアルタイム犯罪センター」を設立し、全捜査情報のデジタル化やデーターマイニングによる犯罪発生パターン予測、さらにはリアルタイム捜査情報提供システムなどを稼働させることにより、およそ2割の人員が削減されたにも関わらず、システム稼動前の検挙率を維持しているとのことである。

先般も、東京を活動拠点とする振り込め詐欺グループの主犯格が、飲食店従業員によるネット掲示板への書き込みが端緒となり、北海道で逮捕された事案があった。

このようにネット上には大量のデータが存在し、捜査上有用な情報も多く含まれているにもかかわらず、現在の警察の対応では不十分な面も見られることから、外部専門家の登用や知見の活用についても積極的に検討していく必要がある。

ICTを活用した、捜査の効率化を進めることにより、本来業務に集中することができるようになり、将来の状況を見据えて、今から積極的に取り組んでいただきたい。

そこで、ICTを活用した捜査の効率化について、どのような所見をお持ちなのか、現在の取組事例とともに、お尋ねする。

2 サイバー犯罪対策における民間事業者との連携等ついて

遠隔操作ウィルス事案を端緒に警察に対するサイバー犯罪捜査に対する信頼が揺らいでいる。ネット技術は日進月歩であり、技術力さえあれば、捜査員を何人投入しても、たった1人に勝てないことも十分にあり得る。技術者の養成は警察組織でゼロから警察学校でというのは不可能であり、民間事業者との連携や中途採用を積極的に行っていくことが求められるところである。

このような中、昨年7月には、警察庁は、「サイバー犯罪に対する警察と民間事業者の共同対処の推進について」においてサイバー犯罪の認知、捜査、被害拡大防止措置を民間事業者と共同対処する方針を示すとともに、本年1月には、民間との連携強化を盛り込んだ緊急プログラムが策定され、サイバー犯罪への対処能力の強化に向けた取組が始められている。

そこで、本県におけるサイバー犯罪対策における民間事業者との連携の状況について、お伺いします。また、専門知識を持つ人材の登用状況についても、併せて伺う。

3 列車内における痴漢対策について

(1)現在の取組状況について

最後に、痴漢対策を取り上げる。

性犯罪は卑劣な犯罪であり、再犯率も高く、被害者にも生涯にわたって大きな傷を残すこととなる。

昨年の本県における列車内での痴漢に関する相談受理件数は、86件に上っており、迷惑防止条例違反での検挙件数も74件に上っている。痴漢被害にあっても、警察に相談していない比率が89%というインターネット調査(「電車内の痴漢防止に係る研究会の報告書」)もあり、その暗数は、相当数存在していることが予想される。

警察庁が設置した電車内の痴漢防止に係る研究会が都内の大学生を対象に実施したアンケート結果によると、防止対策として、女性専用車両の設置と防犯カメラの設置が男子学生、女子学生ともに挙げており、JR東日本では女性専用車両の導入により、痴漢の件数が半減するなど実際に大きな抑止効果を上げている。また、女性専用車両には、基本的に男性がいないことからえん罪対策にも効果が認められる状況である。

そこで、鉄道各社に対して、女性専用ゾーンの確保や防犯カメラの設置の要請を行っていくべきと考えるが、本県の痴漢撲滅に向けた、現在の取り組み状況について伺う。

(2)えん罪防止対策について

痴漢は断じて、許されるものではない。一方で、痴漢のえん罪被害の深刻さも各方面で指摘されており、「痴漢えん罪被害者救済ネットワーク」によると、1990年~1999年の10年間で、全国の簡易裁判所に「私は痴漢をしていない」と否認して、裁判を闘った人が 203 名いるが、結果は全員有罪とされたとのことである。

また、2008年2 月には、大阪市営地下鉄御堂筋線で示談金目的のでっち上げ事件も起こるなど、捜査当局には、より慎重な対応・捜査が求められるところである。

そこで、本県における痴漢のえん罪防止に向けた対策について所見を伺う。