「障害者差別解消法」の早期制定と「障害者権利条約」の早期批准等を求める意見書
意見書 第44号
2006年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」は、障害者の人権及び基本的自由の享有の確保と、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とし、障害者の権利実現について定めており、国際社会における真の平等社会実現のために、重要な意義を持つものである。
2013年3月末現在、国連に加盟する193ヵ国のうち、155ヵ国が署名を行い、うち130ヵ国が障害者権利条約を批准しているが、我が国は、採択の翌年の2007年に署名を行ったものの、同条約との法的整合性を担保する法制度の整備が十分ではないため、批准できない状況が続いている。
こうした状況を踏まえ、国においても障害者虐待防止法の制定、障害者基本法の改正など、障害者に係る施策の充実を図るための法整備が進められており、今後も障害者の意見を十分に反映させた取り組みが求められている。
去る4月26日に国会に提出された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(障害者差別解消法案)」は、我が国の障害者権利条約の批准のため、早期の成立が求められるところである。
よって、国におかれては、下記の項目について早期に実現されるよう強く要望する。
記
1 障害者差別解消法案の早期成立を図り、雇用、教育、公共交通、医療、役務の提供など、あらゆる分野における障害者の権利利益を侵害する社会的障壁の除去に努めるとともに、障害者が社会参加するための環境整備を一層進め、障害者権利条約の早期批准につなげること。
2 障害者差別解消法成立後、政府全体の方針として定める「障害者の差別の解消の推進に関する基本方針」並びに同方針に即して行政機関等が定める「職員のための要領」及び各事業分野を所管する主務大臣が定める「事業者のための指針(ガイドライン)」については、障害者や関係事業者等の意見を最大限尊重し、法の趣旨を十分に反映したものとすること。
3 障害者が差別により制限された権利を速やかに回復できるよう、既存の紛争解決機関等の活用の推進も含め、第三者による相談及び紛争防止・解決のための体制の整備・拡充を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年6月12日
空き家問題解消に向けた一層の対策を求める意見書
意見書 第45号
近年、人口減少社会の進展や少子高齢化の進行等により、全国的に空き家が増加している。平成20年に国が行った調査では、全国の空き家は約757万戸、空き家率は13.1%であり、そのうちの約35%の約265万戸は長期にわたり人が居住していない。
空き家が適切な管理をなされないまま放置されると、地域コミュニティの希薄化や活力低下の要因となるほか、老朽化による外壁や屋根等の落下、さらには建物自体の倒壊の危険性が高くなるとともに、台風や豪雪、地震等の災害発生時には、被害の拡大も懸念される。また、不法侵入や放火、ごみの不法投棄等の防犯・景観・衛生上の問題も発生するなど、空き家の増加が、地域住民の安全で安心な暮らしを脅かす原因にもなっている。
国においては、今年度、空き家の除却対象地域の拡大や、所有者に対する相談体制の整備、管理ビジネスへの支援等を行っており、本県でも、地域外の団体と地域との協働による空き家の有効活用や改修工事費に対する補助を実施するなど空き家対策に取り組んでいるところである。
しかしながら空き家の活用・除却は進んでいないのが現状であり、その原因として、個人資産であり公権力を行使しづらいことや、遠方居住等により所有者の管理意識が低下していること、所有者が補修や解体費用を負担できないことといった経済的な理由などが挙げられ、今後、管理不全の危険な空き家が急速に増加することが見込まれる。
よって、国におかれては、空き家の所有者が適正管理を行うよう義務化するとともに、地方自治体が積極的に指導・除却できるよう所要の法整備と自治体への財政措置を行うよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年6月12日