質問日:平成25年10月18日(金) 質問者:民主党・県民連合 石井秀武 委員
1 権現ダムの活用について
(1) 権現ダムの安全管理について
先日、この決算委員会の県土整備部関連の質疑を行うに当たって、加西市の「いこいの村はりま」から加古川市にある権現ダムまでの播磨中央自転車道を、自転車に乗り現地調査を行った。その途中、道路沿いのため池では、道路の路肩から釣りを行っている人が何人もおり、すぐ脇をダンプカーが通り過ぎるという大変危険な状況であった。権現湖においても、立ち入り禁止の看板が設置されているにもかかわらず、同様に多くの人が立ち入って釣りをしており、中にはボートで乗り入れる人もいた。もはや付近の地域一帯がなし崩し的な状態になっているような状況であった。
私の地元、神戸市西区では、数年前にため池で遊んでいた児童がおぼれ、不幸にも亡くなる事故があった。その池の周囲には高さ約二メートルのフェンスが張り巡らされていたが、児童はフェンスを乗り越え池に近づき落ちたとみられている。権現ダムでは、立ち入り禁止の看板を設置されているようだが、残念ながらほとんど意味のないものとなっている。
このほか、釣り人が捨てるゴミの問題だけでなく、ボートで乗り入れた場合、エンジンからオイルが漏れると、水質に悪影響を及ぼし、工業用水を活用する企業に迷惑をかけてしまうなど、新たな問題も発生する。
そこで、企業庁として、同ダムの立入禁止区域についてどのような方針のもと安全管理をされているのか伺う。
(2) 周辺道路を含めた権現ダムの活用について
権現ダムは一周約10キロメートルあり、その周りの道路は、県道、市道そして企業庁がそれぞれ管理している。
近隣にある同じ工業用水道を供給する平荘ダムでは、普段から多くの方々が湖周辺をウォーキングやランニング、サイクリング等で楽しんでおり、駅伝大会も実施されている。
また、川西市にある、治水と上水の多目的ダムである一庫ダムでは、施設の見学会や周辺でマラソン大会が開催されている。
一方、権現ダムの周りには、市が管理するオートキャンプ場が隣接していることから、周りの道路と一体となった活用を見込むことができる。例えば、自転車レースのうち、一定時間での距離を競うエンデューロという耐久レースを周りの道路で実施すれば、高速道の出入口からも大変近く、多くの参加者が見込まれると考える。
さらには、来年度、播磨中央自転車道第1工区(13.6km)が完成する予定で、これによって加古川右岸自転車道と繋がって、加古川流域で一連の自転車道が形成されることになる。権現ダムはそれぞれの道路を繋ぐ中継地となり、今後、周辺道路において多くの自転車愛好家らの利用が見込まれると考える。
そこで、資産の有効活用や地域おこしといった観点から、周辺道路を含む権現ダムの活用について、県民局や市役所などの団体から、県民が広く参加できるイベントを開催する旨の申し出があった場合、企業のための工業用水道のダム施設ではあるが、企業庁として協力が可能かどうか伺う。
2 アセットマネジメント推進計画について
全国的に水道・工業用水道施設の多くは建設から数十年が経過しており、老朽化対策が急務となっている。
本県でも例外ではないことから、企業庁におかれては、水道・工業用水道施設にかかる修繕・更新を計画的に行うため、平成20年度にアセットマネジメント推進計画を策定し、効率的かつ効果的な修繕・更新工事の実施に取り組まれている。
同計画は、平成21年度から60年度までの40年間を計画期間とし、管路施設、電機・機械設備、土木・建築施設についてそれぞれ使用目標年数を定め、計画的に修繕・更新工事を実施することとなっており、特に、水道施設については、費用総額が40年間で約2,100億円となっている。
そこで、今後、施設更新のピークについて、どのような見通しを立てておられるのか、また、そのための財源確保対策である建設改良積立金積み立ての考え方とも合わせて伺う。
3 進度調整地の現状と今後の対応方針について
企業庁では、地域の活性化、熟成に向けて地域整備事業として、播磨科学公園都市やひょうご情報公園都市、神戸三田国際公園都市などにおいて、企業誘致あるいは宅地分譲などに取り組まれている。
24年度実績では、21.4ヘクタールの分譲が行われたが、未売却面積は174.5ヘクタールあり、現在、住宅分野の景況が好調な中で、今後は分譲すべき用地は早期分譲に努めるなど、一層の誘致分譲に期待するところである。
一方で、播磨科学公園都市やひょうご情報公園都市には、現在、事業展開がなされていない広大な土地、「進度調整地」を保有されている。
それらの進度調整地は、維持管理にかかる費用は低いと推測されるが、取得された時とは社会経済情勢も大きく変わっていることから、特段の対応方針を定めず、長期間保有し続けることは望ましいものではないと思われる。
本年度は、新経営ビジョンの策定や第2次行革プランの3年目の見直しの年で一つの契機であり、進度調整地は何らかの方向性を示す必要があると考える。
そこで、進度調整地の現状と今後の対応方針について伺う。
4 今後の企業庁のあり方について
企業庁は、昭和41年に工業用水道事業と電気事業の2事業を行う企業局として発足、昭和49年に組織の強化を図るために企業庁に改組され、県民生活や産業活動に不可欠な水道用水や工業用水の安定的供給、地域の魅力と活力を高める地域整備などに取り組まれてきた。
しかし、近年においては人口減少社会など社会経済情勢の変化の中で、水需要や土地需要が減少するなど、企業庁を取り巻く環境が大きく変化している。
水道事業を見ると、アセットマネジメント推進計画に基づいて老朽化施設を更新しながら、引き続き安心・安全な水の供給に取り組んでいく必要があるものの、一方では、例えば、東京都において、海外の水道設備を受注するため、第3セクターを創設し、今年4月には台湾と技術協力に関する覚書を締結するなど、新しい事業展開に取り組んでいる団体もある。
また、地域整備事業についても、産業用地、住宅用地の分譲が進み、終了に向かいつつある地区もある。
一方で、今年度からは再生可能エネルギーの普及拡大を図るため、ダム堤体など既存のインフラを利用して、20年間にわたってメガソーラー事業に取り組まれている。
以上のように、事業に一定のめどが付きつつあると思われるが、厳しい社会・経済状況の中、第2次行革プランを基本としつつ、企業庁として従来から行っている事業のみを粛々と行っていくのか、もしくは時代の要請に応じた新たな事業を展開していくのか、今後の企業庁のあり方、存在意義についてご所見を伺う。
以上