議会の動き

予算特別委員会◆16年02月定例会

理  事 栗山 雅史議員(西宮市)

委  員 小池 ひろのり議員(神戸市中央区)

委  員 石井 健一郎議員(神戸市灘区)

栗山 雅史議員

企画県民部① | 病院局 | 総括審査

小池 ひろのり議員

財政状況 | 企画県民部② | 健康福祉部 | 企業庁 | 教育委員会

石井 健一郎議員

財政状況 | 産業労働部 | 公安委員会 | 農政環境部 | 県土整備部

企画県民部①

1 社会増対策について

2 出会いサポートセンター事業の現状と20代への取組みについて

全文

予算特別委員会(予算審査・企画県民部①)

質 問 者   栗山 雅史 委員(民主党・県民連合)

1 社会増対策について

先日、全国の転入出者数の報道の中で、兵庫県の昨年の転出超過数が、北海道に次いでワースト2位の7,409人だったいうことで、関係者に衝撃を与えました。兵庫県はここ数年、1年間で約1万人減少しているという認識でおりましたが、それに加えて転出超過数が全国ワースト2位だったという報道は、かなりの衝撃だったように思います。そんな兵庫県ですが、まずはこれまでの転入出者数の推移について振り返ってみたいと思います。

前年の2014年は、2015年と同じく7千人台の7,092人の転出超過でした。そしてその前年2013年は5,214人の転出超過でした。ここ3年連続で5千人を超える大きな転出超過が続いており、憂慮すべき状態にあることは間違いありません。しかし、10年、20年といった期間で推移を見ますと、2011年で1,234人の転入超過の年もあり、2003年~2012年の10年間で見ると転入超過が4回、転出超過が6回とデコボコしております。転入出増減の要因はすべて把握できないものの、社会の変容等によって毎年転入超過、あるいは転出超過のどちらにも振れる可能性があります。

もう一つ、国勢調査の2010年と2015年の比較ですが、都道府県別の増減率を見ますと、トップの沖縄が3.0%増、2位の東京2.7%増などに続いて、兵庫県は0.9%減で全国12番目となっています。減少下にはあるものの、減少幅は他県と比べて小さいことがわかります。

さて、このような状況ですが、兵庫県としては地域創生戦略の中で自然増、社会増についての人口対策目標を掲げております。提案された平成28年度予算案の中にも、転出抑制策として、仕事の創出であるとか、若い世代が県外に転出しないよう県内高校2年生全員を対象に地元企業のガイドブックを5万部配布するなど、いわば「県内引き留め施策」を展開しています。しかし、私は転出抑制もさることながら、転入対策の面で重要な視点を見逃していないだろうかと思いました。それは、県内の大学・短大に通う、県外出身者のことです。住民票は移していないものの、既に兵庫県に住んでいるとか、県外から通っているという学生が兵庫県内にたくさんいるのはご承知のことかと思います。

県からの資料によりますと、平成27年の県内大学・短大55校に入学した学生30,327名のうち、県内高校出身者は15,087名で49.7%しかいません。兵庫県外から通っていたり、下宿している学生たちが、なんと15,240名いるのです。彼らを見逃す手はありません。

彼らは縁あって兵庫県内の大学・短大で学生生活を過ごしています。学生生活を送っていくうちに「兵庫県って良いところだな」と感じてくれているのではないでしょうか。そんな彼らが就職する際に考えることは、地元に戻って就職するか、はたまた東京や大阪の大都市圏で就職するか、あるいは今住んでいる、通っている兵庫県内で就職するかではないでしょうか。住環境が良く、人間関係が兵庫県内でできていることに加えて、労働環境も整えば兵庫県内に転入届を出してくれる可能性が高くなるのではないでしょうか。現実に私のところに来た地方出身のインターン生の中には、故郷を離れて兵庫県内に仕事を持ち、結婚して県内に住み続けている者も数多くいます。

今回の予算案の中には、県内大学生に対して県内企業ガイドブックを12,000部配布する新事業がありますが、その部数では県内在住の学生数にも足りません。

県内大学生の引き留めとともに、転入対策として現実味があり、大きな転入者数の増にもつながる県外出身学生へのアプローチに取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

2 出会いサポートセンター事業の現状と20代への取組みについて

出会いサポートセンター事業は、少子化対策、晩婚化対策、未婚化対策として公の機関が自ら「出会いをサポートする」という積極的な事業でありまして、年々成婚数は増加傾向にあり、これまでの10年間で成婚数1,000組を超えるなど大きな成果をあげておられます。今後もぜひ頑張っていただきたいと思っているところです。そんな出会いサポートセンター事業ですが、現在深刻な問題となっている少子化問題、晩婚化問題などにおいて、出会いサポートセンター事業はどのように貢献しているのか確認したいと思います。

平成26年の県内婚姻数は約2万8千件弱で、出会いサポートセンターの個別お見合い「ひょうご縁結びプロジェクト」事業を通じて結婚されたのはそのうち昨年度は120組でした。登録者の属性を見てみますと、平成26年度の登録者数が4,534人で、県からのヒアリングによりますと、登録者の平均年齢は男性が41.1歳、女性が36.2歳です。兵庫県内の平均初婚年齢は男性が30.8歳、女性が29.3歳ですから、登録者の平均年齢は結構高いと言えます。

さて、「晩婚とは何歳からか」という定義は感じ方が様々ですのでここでは申し上げませんが、いま申し上げた登録者の平均年齢で出会い、付き合うことになり、結婚することになっても、おそらくそれは既に「晩婚」である可能性が高いと思われます。そういうことから考えると、出会いサポートセンター事業は、出会いと結婚によってさらなる晩婚化を食い止める効果がありますが、「晩婚化の対策」というよりは「未婚化対策」の色が強いのではないかと感じています。

まず、ここで1点質問しますが、これまでに個別お見合いで成婚に至った方々の成婚時の平均年齢について男女別にお聞きしたいと思います。

次に、出会いサポートセンター事業の目的は、何度も申し上げておりますように出会いから結婚をサポートし、少子化、晩婚化に歯止めをかけることです。「晩婚化を対策する、食い止める」というのは、先ほど申し上げた平均初婚年齢を若い方へ持っていくということだと思っています。県内女性の第一子出産平均年齢も30歳を超えました。晩産化が進んでいると言われております。これも若い方へと転換させていかねばなりません。つまりは20代で結婚し、20代で出産するという若者を増やしていかなければならないということです。

出会いサポートセンターに登録している20代の方の人数なんですが、実は男性が80人で男性全体の4%、女性が322人で女性全体の12.8%となっています。大変少ない状況です。少子化対策や晩婚化対策は福祉や教育の面からのアプローチも必要ですが、出会いサポートセンター事業として、若い世代、特に20代への取組みをどう考えていくべきなのでしょうか。

兵庫県内の若者が、「20代で結婚したい!20代で子供を産みたい!」と思わせるような新しい施策、そしてムードづくり、ムーブメントの創出こそが、今後重要になるのではないかと思いますが、出会いサポートセンター事業の今後の方向性を含めて、20代への取組みなどをお伺いしたいと思います。

●病院局

1 紹介状を持たずに大病院を受診したときの定額負担について
(1)定額負担制度導入後の現状

(2)来年度からの方針

(3)経営への影響

全文

予算特別委員会(予算審査・病院局)

質 問 者   栗山 雅史 委員(民主党・県民連合)

1 紹介状を持たずに大病院を受診した時の定額負担について

紹介状を持たずに大病院を受診した時の定額負担について質問します。

厚生労働省は、来月4月から特定機能病院及び500床以上の大病院で、紹介状を持たずに受診した患者から初診時で5,000円以上、再診時で2,500円以上の定額負担を求める方針を決めました。大病院での安易な受診を抑えて、大病院の勤務医が重症患者の治療等に専念できるようにすることが狙いで、診療所との役割分担を図るものであります。また、少子高齢化に伴い高騰化する国民医療費の適正化と、地域包括ケアシステムの構築も期待されます。

この定額負担は以前から200床以上の病院で任意で徴収しており、兵庫県立の9病院でも現状2,600円を、平成24年度から徴収していると聞いております。昨年、私の妻も紹介状がなかったため、西宮病院で徴収されました。

さて、来月からこの定額負担は5,000円以上となることが義務化されるわけですが、これを機会に、これまでの定額負担の取組みの結果、どのような効果がもたらされたのかなどにつきまして質問していきたいと思います。

(1)定額負担制度導入後の現状

1つめは、定額負担制度導入後の現状についてですが、3点お聞きします。

県立病院の9病院では、先ほど申しました通り平成24年度から2,600円の定額負担を徴収してきましたが、この定額負担制度の導入によって、軽症の患者さんがご自身の症状を見極めたうえで、県立病院などの大きな病院ではなく、地域の診療所等を選択するようになったのかどうかです。初診患者の中には紹介状をお持ち出ない方も依然いらっしゃることと思いますが、県立病院9病院で展開している現在の2,600円の定額負担制度を導入した平成24年度以後、紹介状なしの初診患者の受診件数が減少したのかどうか、まずお聞きします。

次に、この定額負担制度によって、県立病院に勤務される医師の負担は軽減され、救急や高度医療に集中できる環境はさらに整ったのか、また重症患者への対応は手厚くなったのかを合わせてお聞きします。

最後に、新規患者に占める紹介患者の割合、いわゆる紹介率でございますが、これは向上したのかどうか、お聞きします。

(2)来年度からの方針

続いて、来年度からの方針についてです。

先ほど申しました通り、来月から5,000円以上の定額負担が義務化されます。5,000円以上の定額負担を求めることになる県立病院は、500床以上の病院ということになりますと「尼崎総合医療センター」のみが対象となります。現在の2,600円から5,000円以上の定額負担となると、今よりも大きな負担になると同時に、このことが周知されていないと支払い時にトラブルになることも心配されます。

定額負担の額は5,000円以上で設定することになるようですが、その額の設定とともに、尼崎市民を中心とした圏域の方々への十分な広報等が必要になるかと思いますが、現在当局はどのような取組みをお考えでしょうか。また、尼崎総合医療センター以外の県立病院では、引き続き2,600円の定額負担を求めていくのかどうかも合わせてお聞きします。

(3)経営への影響

最後に、病院経営への影響についてであります。

この制度が目的通りの結果を出しているとするならば、県立病院の軽症患者の割合は減少し、全体の患者数も減少するはずであります。そしてそれにより患者一人当たりの診療単価が上昇するのではないかと推定されますが、その一方で患者数の減によって収入も低下するなど、経営指標に少なからず影響することがあり得るのではないかと予想されます。

定額負担の導入による財政への影響はどの程度あったのか。平成24年度以前と現在との比較においてどのようになったのか、お聞きします。また来年度以降はどう見通しておられるのかについてもお聞きします。

総括審査

1 晩婚化・晩産化対策の推進について
(1)総合的な晩婚化対策
(2)キャリア教育における結婚や出産を含めた将来設計

2 里親・特別養子縁組の推進について

3 多文化共生社会の推進について

4 ひょうごのブランド農畜水産物の流通・販売時におけるブランド維持の取り組みについて

5 但馬空港について

6 奨学金の返還支援による人材確保・誘致について

7 児童虐待に対する県警察の取り組みと関係機関との連携について

8 財政手法・財政運営について

全文

予算特別委員会(総括審査)

質 問 者   栗山 雅史 委員(民主党・県民連合)

1 晩婚化・晩産化対策の推進について

(1)総合的な晩婚化対策

最初の質問は晩婚化対策についてであります。

この質問は、企画県民部①の部局審査で、「出会いサポートセンターの現状と20代への取組み」というタイトルで質問をさせていただきました。質問の中で見えてきたものは、「出会いサポートセンター事業は、晩婚化対策というよりも、未婚化対策という色が強い」ということでありました。

出会いサポートセンターで実施している「ひょうご縁結びプロジェクト」事業の平成26年度の登録者数は4,534人。県からのヒアリングでわかった登録者の平均年齢は男性が41.1歳、女性が36.2歳で、個別お見合い事業で昨年度成婚された方の平均年齢は男性38.7歳、女性35.0歳でした。兵庫県内の平均初婚年齢が男性30.8歳、女性29.3歳ですから、登録者の平均年齢及び成婚年齢は高いと言えます。まさに晩婚といえます。

また、平成26年の県内婚姻数は2万8千件弱ですが、「ひょうご縁結びプロジェクト」事業を通じて成婚されたのは120組でした。0.4%です。出会いサポートセンター事業が 県内全体の「晩婚化対策」という期待には十分に応えられていないと感じました。

県は少子化の対策、人口減少への課題として、晩婚化対策と晩産化対策を掲げています。地域創生戦略の最初にも人口減少問題を掲げておられます。由々しき問題であることは、県そして県議会としても、強く認識していることだと思います。

人口減少・少子化対策のカギは、私は「晩婚化対策」だと思っています。しかし、県の施策はどちらかというと生殖医療に対する助成や、子どもを産んでからの子育て環境の整備・支援に力を入れてきており、「結婚を早める」こと、つまり晩婚化対策への有効な施策が少ないのではないかと感じております。若い人たちが、「早く結婚しよう!」と、モチベーションが上がる施策があるのかと言われたらどうでしょうか。

部局審査の中で、私の再質問に対して平野知事公室長は「出会いサポート事業は(晩婚化対策として)深い位置づけではないというのが正直なところです。出会いサポートセンターだけでなく、若い人達に自分たちのライフタイルをどう組み立てるのか。早めに結婚するというのが自分達の生活を組み立てるうえにおいても有意義なものだという意識を根付かせていきたい」と答弁されました。また、「企画県民部だけでなく、全庁一丸となった対策を検討していく必要があるので、今後の課題として受け止めさせて頂きたい」とも言われました。

晩婚化・晩産化がなぜ進んだのか。その理由として大学進学率の向上や、仕事への意欲・価値観の変化、医療の進歩など、時代や環境の変化があげられると思います。しかし、そんな変化によって晩婚化が進んだとしても、人口減少問題の解消のためにも「早めに結婚する方が良いんだ」ということを、若い人たちに伝え、現実に行動してもらわねばならないと考えますが、今後の晩婚化対策について、知事のご所見をお伺いしたいと思います。

(2)キャリア教育における結婚や出産を含めた将来設計

晩婚化・晩産化対策については、知事部局のみならず教育委員会についても取り組むべき課題であることから、あわせてお聞きします。

教育委員会では、キャリア教育の推進として、キャリアノート等を活用した人生設計を検討させる機会がありますが、この中で、どのように結婚や出産を含めた将来設計について考えさせるのか、教育長の所見をお伺いします。

2 里親・特別養子縁組の推進について

次の質問は、里親・特別養子縁組の推進についてであります。

健康福祉部の部局審査で、小池議員より児童養護施設入所者の厳しい現状を踏まえ、さらなる支援の必要性を指摘するとともに、施設への支援だけでなく「里親・特別養子縁組の充実」によって家庭的養護を推進するよう要望いたしました。この件については、昨年6月の我が会派の代表質問で越田議員が取り上げ、環境整備への取り組みを要望したところであります。

今回の予算委員会での答弁では、今年度より開始した新生児段階での里親・特別養子縁組を積極的に進める取り組みによって、昨年度の0件から今年度は3件の里親委託に至り、来年度もさらに強化して取り組むとのことであり、大いに期待するところであります。

しかし、本県の里親等委託率は12.7%で、全国平均16.5%に比べて4%程度低い状況であります。里親委託がなかなか進まない要因として、県が多くの戦災孤児を受け入れる必要性があったことから児童養護施設を充実させてきたという歴史的な経緯があり、こども家庭センターでの判断も施設への措置が中心となっていたということでありました。

里親等委託率が全国一の41.4%を誇る新潟県では、児童相談所職員の充実と、高い専門性により「子供の最善の利益」を高い次元で議論した結果、高い里親委託率につながったと言われております。里親委託率を向上させていくには、兵庫県においてはまずこども家庭センター体制の充実強化が必要となるのではないかと考えております。

また、里親と同様に児童を養育者の家庭に迎えて行う「家庭養護」の形態と位置づけられる「ファミリーホーム」について、平成20年度に法定化されたところです。本県ではまだ4箇所という状況にあり、今後さらなる推進に期待しております。

さて、昨年3月に策定された兵庫県家庭的養護推進計画では、平成41年の里親等委託率を25.7%と見込んでいます。しかし、厚生労働省は、平成23年7月にとりまとめた「社会的養護の課題と将来像」において社会的養護の基本的方向として、里親等の家庭養護を優先するとともに、児童養護施設等でもできる限り家庭的な環境での養育を推進することをめざし、平成41年には、施設とグループホームと里親等の割合が、1:1:1となる目標を掲げたところです。兵庫県としても、少なくとも35%程度を目標に取り組んでいくべきと考えております。さらに、子供の健全育成にとっての家庭の重要性、子供の幸せを考えると、長期的には100%に近くなることを期待しております。

「子供の最善の利益」を考え、子供の健全育成、幸せの実現に向けた里親・特別養子縁組の推進を高い目標として掲げて取り組んでいくべきと考えますが、知事の決意、ビジョンについてお伺いします。

3 多文化共生社会の推進について

次の質問は「多文化共生社会の推進について」であります。

今定例会において、「ひょうご多文化共生社会推進指針」が議決されました。これまで我が会派は、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化の違いを認め合いながら、ともに生きていけるような多文化共生社会を推進するため、計画策定を具体的に検討すべきと主張してきました。今回、同指針が基本的な計画として位置づけられ、議決に至ったことは感慨深いものがあります。

また、同じく我が会派が主張してきた、日本語指導が必要な外国人児童生徒の高校進学等の支援についても、来年度予算案の新規事業として「外国人生徒のための高等学校特別入学モデル校事業」及び「日本語指導支援推進校事業」が挙げられています。いよいよ本格的な多文化共生社会推進に向けた機運が高まってきたと感じております。

しかしながら、多文化共生の実現に向けては、住居や就労等、多岐に渡る課題がありまして、それは「ことばの壁」、「こころの壁」、「制度の壁」の3つに分けられると言われております。この中で最も大きいのは、やはり「ことばの壁」であると、前議員の山本千恵さんも言われておりました。

「ことばの壁」でうまくいかないこととしての事例として、例えば住居に関しては、音やにおいなどに対して拒否感を感じても、「話し合う」というコミュニケーションで解決できない。また、就労においても、人間関係の摩擦や時間の感覚など、就労慣行の違いを「ことば」によって解決できないことがよくあるそうです。

外国人とともに地域に生きるという多文化共生社会の実現のためには、住居や仕事などの質の向上を図ることが大切です。地域社会がダイバーシティを取り込んで、人口減少社会における地域の活力維持にもつなげていくためにも、「ことばの壁」の解消に積極的に取り組むことが重要だと考えますが、日本語指導が必要な外国人児童生徒を含めて、県は多文化共生社会の構築に向けてどのような展望をお持ちでしょうか。当局のご所見をお伺いします。

4 ひょうごのブランド農畜水産物の流通・販売時におけるブランド維持の取り組みについて

次に、「ひょうごのブランド農畜水産物の流通・販売時におけるブランド維持の取り組みについて」について質問します。

農政環境部の部局審査で、石井健一郎委員が神戸ビーフのブランド強化の取り組みについて質問し、食品表示法に基づく監視などのほか、地理的表示統一マークの表示に取り組むとの答弁がありました。農畜水産物のブランド化を進めるとなると、どうしても生産面に注目が集まりがちでありますが、私は商品を求める消費者が本物の商品を手に入れることができる流通・販売面での環境整備にもっと目を向けるべきだと考えております。というのも、産地偽装問題ほどブランドにダメージを与えることはないからです。実際、県内においても平成24年に中国産のたまねぎを淡路産と偽って販売していた業者が逮捕され、これによって当時地域団体商標を得たばかりの淡路島たまねぎがイメージダウンしたことを覚えておられる方は多いと思います。偽装が明るみに出るとせっかくの生産者の努力が一瞬にして不意になってしまう上に、一度失われた信頼を回復することは難しいものです。このような事件はその後もたびたび発覚していますが、そのたびに多くの生産者と消費者を落胆させております。

県では来年度、神戸ビーフ以外にも新たに丹波黒のグレードアップに取り組むほか、ひょうご雪姫ポーク、兵庫米など幅広い農畜水産物でブランド化を図っていくとしておりますが、同時に消費者が本物をきちんと手に入れることができるよう、流通・販売面での規制・監視強化も行っていく必要があると考えますが、地理的表示保護制度の活用も含め、今後どのように取組んでいくのか、当局の所見をお伺いします。

5 但馬空港について

次に、但馬空港について質問します。

コウノトリ但馬空港については、北近畿豊岡自動車道の全線開通を見据えた但馬空港のあり方や、羽田直行便の就航の実現性などについて、我が会派からこれまでに何度も取り上げてきました。今回は石井健一郎議員から、来年度予算に計上されている機材の更新、そして新たに購入するATR機について質問したほか、羽田直行便以外の路線開拓や、地元負担について質問をいたしました。その中で、機材更新については一定やむを得ない状況であること、また新たな機材における運航補助や座席数の増加による収支改善への期待などについて確認をさせていただきましたが、私からは羽田直行便以外の路線開拓について、もう少し突っ込んだ質問をしたいと思います。

昨年5月に作成された「コウノトリ但馬空港の利活用方策」を読みますと、羽田直行便以外に、但馬~関西国際空港路線の新規就航の可能性について言及されていました。そもそも但馬空港設置の狙いは、但馬地域の交流人口を拡大し、地域活性化を図ることが目的でありまして、その対象は決して首都圏だけに限定されるものではありません。県はこれまで「人・もの・情報」が集積する首都圏との交流促進は不可欠との見解を示されていましたが、現在では東京一極集中の打破を目指している地域創生の時代に入っていることを考えると、他地域との交流促進も検討すべきではないかと感じました。また、ご承知のように国内全体でインバウンドが増加し、城崎温泉における外国人宿泊客も大幅に増加している状況を考えると、羽田直行便だけにこだわらず、柔軟に新規路線の開拓を検討すべき時が来ているのではないかと感じました。

北近畿豊岡自動車道の豊岡までの全線開通を控え、伊丹便の将来に大きな広がりを見いだせる状況ではありません。羽田直行便も見通せない状況が続いております。

日本の空港で、平成27年の国際線及び国内線の利用者数が一番多いのはもちろん羽田空港でありますが、2位は成田国際空港、3位は関西国際空港、4位は福岡空港となっています。利活用方策にもあった関西国際空港も含めて、伊丹便以外の就航による但馬地域のさらなる魅力向上と活性化につなげることについて、当局はどのようにお考えか、ご所見をお伺いしたいと思います。

6 奨学金の返還支援による人材確保・誘致について

次に、「奨学金の返還支援による人材確保・誘致」について質問します。

奨学金制度については、我が会派の上野議員が今定例会の代表質問で、そして小池議員が予算委員会の教育委員会審査で、それぞれ給付型の奨学金制度の必要性を訴えました。貧困の連鎖を防止するための教育の機会均等や、高額な授業料の割に奨学金の補助が低レベルにある日本の現状、高額な返済に苦しむ大学卒業後の若年者の問題を提起し、「奨学金制度の改善」を求めてきました。しかし、答弁では「一律給付には問題がある」、「国の検討の動向を見守る」など、県教育委員会からは主体的な答弁はありませんでした。

一方、国では、「人口減少克服・地方創生」という課題に取り組む中で、奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進として、今年度より、地方公共団体が地元産業界と協力して、将来の地域産業の担い手となる学生の奨学金返還を支援するための基金の創設を支援しています。既に、香川、鳥取、山口など4県で導入しており、地方企業への就職を条件に、無利子貸与や奨学金の返還支援等が行われています。そのほか、福井、富山、鹿児島の3県では県独自の支援を行っており、また新聞報道によると13県がこの支援制度の導入を検討中だそうです。

この支援制度の導入は、多額の奨学金返済に苦しむ若年者を救うと同時に、転出抑制策にも転入促進策にもなる可能性を秘めています。実際県内には、人出不足に悩む企業も多く、県もその支援に手を尽くしているところでありますので、小池議員が財政状況審査で指摘したような、まさに「相乗効果が期待できる施策」になると考えられます。

そこで兵庫県でも、国の支援制度を活用した基金を創設し、奨学金返還を支援するとともに、地元企業で活躍する人材の確保、誘致につなげるべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

7 児童虐待に対する県警察の取り組みと関係機関との連携について

次の質問は、「児童虐待に対する県警察の取組みと関係機関との連携について」であります。

幼い命が虐待によって奪われるといった悲しい出来事が全国的に相次いでいることから、社会全体の児童虐待に対する関心は高くなってきており、その結果、警察への通報も増加の一途を辿っております。

新聞報道では、全国警察が平成27年1月から6月までの間に摘発した18歳未満の子どもへの虐待事件は376件、摘発人数は387人で、被害を受けた子どもの数についても386人と、そのいずれもが過去最多を更新しているほか、虐待の疑いがあるとして警察が児童相談所に通告した児童の数も17,224人と過去最多を更新したと報じられております。兵庫県におきましても、平成27年中の児童虐待の被害児童数は1,052人で、全国と同様に過去最多を更新しています。また、児童虐待に対する関心は高まっているものの、平成28年に入ってからも全国では虐待による児童の死亡事案が相次いでおり、埼玉県では無抵抗な3歳の女児が、同居していた男性から熱湯をかけられるなどの虐待行為を受けて亡くなるといった大変、痛ましい事件も発生しております。この事件は、児童が亡くなる前に2度ほど泣き声に気が付いたご近所の方が警察に通報をしていましたが、警察官が訪問した際には、虐待の形跡が認められなかったことから、関係機関への連絡は行っていなかったとの報道もあります。もし警察と関係機関の間で上手く情報が共有され、事前に保護することができていたらと考えると残念でなりません。

このように、全国と同様に本県においても児童虐待に対する通報件数・事案は増加し続けていますので、今後はこれまで以上に警察と児童相談所等の関係機関が連携の強化を図らなければならないと感じております。

そこで、児童虐待事案に対して警察は今後どのような姿勢で臨まれるのか。また、児童相談所等の関係機関と、具体的にどのような連携を図っていくのか、当局の所見をお伺いします。

8 財政手法・財政運営について

最後に、県の財政手法、財政運営について質問したいと思います。

この議会では、「県債管理基金への集約」についての議案で、我が会派の竹内議員から質問、指摘をしてきたところであります。また、他の議員からも様々に質問、意見があったところであります。

井戸知事からの答弁にありましたように、今回の目的は、一つには実質公債費比率の改善に向けた対策であるということ、そして二つには基金の集約による運用収益の向上を図るというものでした。阪神・淡路大震災からの復旧・復興にあたって財源を確保する必要性があったこと、また起債許可団体から協議団体への移行のためにも、財政指標の算出について国とのやり取りの中でご苦労があったことを聞いておりますし、県が意図することについても理解をしているものであります。

しかしながら、財政運営を進めるにあたっては「原理原則」、そして分かりやすい財政手法であるべきであると考えております。今回の「県債管理基金への集約」や、これまでに質問、指摘をしてきました「単コロ」、みどり公社への「オーバーナイト貸付」などについても同様です。議案には賛成いたしましたが、会派の中には「割り切れない思い」を持つ者もおります。また、県民への説明が難しくなっているという声もあります。

来年度は第3次行革プラン策定から3年目にあたり、総点検を実施することになっております。これからも持続可能な行財政基盤の確立に向けて、県議会・県民とのスクラムを組んでいく中では、財政手法の意図の丁寧な説明と、その選択の意義、そして理解しやすい財政状況の開示がさらに求められるのではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いしたいと思います。

栗山 雅史
西宮市


財政状況

1 相乗効果のある予算について

2 税制上の優遇措置について

(1)これまでの取組みと評価について

(2)平成28年度の税制改正について

3 県立学校環境充実応援プロジェクトについて

4 未利用地の売却促進の取組みについて

全文

予算特別委員会(予算審査・財政状況)

質 問 者   小池 ひろのり 委員(民主党・県民連合)

国債と借入金等の残高を合計した、いわゆる「国の借金」は、昨年末時点でとうとう1,045兆円になってしまいました。国民一人当たりに換算すると、約820万円であり、とんでもない額であります。

今年度の国税収入が約55兆円であるので、この「国の借金」は実に19年分の収入の前借りという財政状況にあります。にもかかわらず、平成27年度補正予算、28年度予算案ともに、言葉では「1億総活躍社会」実現のための予算と言いながらも、メリハリに乏しいバラマキ予算の面が伺えます。このような「国の借金」の状況など、我が国の将来のことを本当に真剣に考えているのか疑問に感じざるを得ません。

一方、県財政に目を向けると、平成26年度の決算で実質公債費比率は、15.8%で全国ワースト9位、将来負担比率は333%で依然として全国ワースト1位という状況です。行革プランに基づく改善が進んでいると言うものの、決して明るい状況にあるとは言えません。

このような厳しい財政状況の下、本県の予算審議をしっかり尽くさなくてはならないとの観点から、以下、大局的な立場から1問、個別的な問題で5項目にわたり質問します。

1.相乗効果のある予算について

この点は、2年前の予算特別委員会でも指摘しましたが、厳しい財政状況のもと、税の有効な使い方として費用対効果を高めるためにも是非推進して頂きたいとの観点から、その後の取り組み状況と併せてお伺いします。

かつて犯罪の坩堝と言われていたニューヨークが、最近は、世界の主要都市の中で一番安全な都市と言われるようになりました。割れ窓理論で小さな犯罪をも逃さないという落書き取締から始まり、最近は自立に繋がる福祉支援で大きな成果を挙げています。

ここでは、相乗効果のある予算として、ある福祉支援が部局を乗り越えた費用対効果を生み出した優れた施策を取り上げたいと思います。

ニューヨーク市は、福祉支援としてホームレスの為に、空きホテルを買収して住居として提供しました。それまで住所不定では、正式な職に就けなかった入居者が、そのホテルを拠点として、330人中、325人が就職しました。そして、その収入の3分の1を家賃として納めるようになったそうです。かつてのホームレスは、人間性を取り戻し、生きる希望を見出し、中には納税をする人も現れました。まさに自立に繋がる活きた福祉支援として、高く評価出来る施策であったと思います。

ホームレス対策だけでなく、弱者にもしっかり目を向け、市当局が一丸となって取り組んだ結果、成果が出たものと思われます。結果、ニューヨークでは、窃盗が80%も減り安全な都市に変身しました。すっかり綺麗になったニューヨークを訪れる観光客は増え、犯罪が減り警察官の増員に歯止めがかかったそうです。そして、刑法犯罪件数や犯罪被害者も大きく減っています。

ホテルの買収だけに着目すれば、家賃収入を考慮しても大赤字だと思います。しかし、費用対効果は福祉分野の枠を超え、大きな成果として返って来ました。

そこで、このニューヨークの事例から学び、限られた兵庫県の厳しい財政のもとで、これまで言われてきた「選択と集中」に加え、財政全般的な視野から将来的な展望を持った事業効果の検証が必要だと思います。そして、従来、縦割りである各部局からの予算要求を基に編成されてきましたが、これからは、縦割りの枠を超え、他部局にも相乗的な成果を生み出す施策を、大所高所の大局的な見地から評価することに加え、重視することを求めたいと思います。

そこで、2年前の指摘以降、結果として相乗効果の上がった具体的な施策や、予算編成上いかに他の施策立案に反映されたかなどを含め、部局横断的な観点や長期的な視点も考慮した相乗効果のある予算について、当局のご所見を伺います。

2 税制上の優遇制度について

 (1) これまでの取組みと評価について

平成28年度の国の税制改正大綱では、「少子化対策・教育再生や地方創生の推進等に取り組むと共に、グローバルなビジネスモデルに適合した国際課税ルールの再構築を行うための税制上の措置を講ずる」と記されています。

このように、ある一定目的を達成するためには財政支出だけではなく、税制上の優遇制度によって政策誘導をしていくことも肝要だと思います。

一方、先ほど相乗効果のある予算についての質問をしましたが、税の軽減を行うことによって、住民の消費活動や企業等の経済活動が活発になり、結果的に税収増加に繋がることがあります。このように、最終的には県としてトータルでメリットがある制度としていくべきだと考えます。

本県においては、このような相乗効果を期待した税制上の優遇制度として、産業立地支援における法人事業税や不動産取得税の軽減等を実施しています。

そこで、産業立地支援において、今まで実施してきた県独自の税制上の優遇制度の概要を伺うと共に、その効果をどのように評価しているのか、この優遇制度が平成28年度の税収に及ぼす影響も含めて、ご所見を伺います。

(2) 平成28年度の税制改正について

平成28年度の国の税制改正大綱のうち都道府県税に関係するものとして、法人事業税所得割の税率引き下げ、外形標準課税の拡大、自動車税のグリーン化特例の見直し、地方創生応援税制の創設などが盛り込まれています。税制改正による政策誘導等に伴う、様々な分野での相乗効果が期待されます。

この国の税制改正により、28年度税収にどの程度の影響を及ぼすと見込んでいるのか伺います。

3 県立学校環境充実応援プロジェクトについて

総務省のホームページをみると、「ふるさと納税で日本を元気に!」というキ

ャッチフレーズがありました。

地方から都会に出て来て仕事に就くと、税金は住んでいる自治体に納めることになります。しかし、生まれ育ったふるさとへ恩返ししたいという想いを持っている人も意外に多いものです。そんな想いから、「ふるさと納税」が導入されたと聞きます。

このような観点から、「兵庫地域創生のスタート」を切る年の予算としてのふ

るさと寄附金事業拡充は、まさに時宜を得たものではないかと思います。

今春の選抜高校野球で、県立長田高等学校が甲子園に出場します。そこで、

「母校を応援したい」という思いに応える形で、今、長田高校のOBや関係者たちに、応援寄附金が募られています。

これは、ふるさとひょうご寄附金の新規事業の1つとして、創設されるものの先行モデル事業と思っていますが、改めてこの県立学校環境充実応援プロジェクトに関して、歳入確保の観点での事業目的は何か、そして、期待する効果をどのように見込んでいるのか伺います。

4 未利用地の売却促進の取り組みについて

特定目的基金と共に、今持っている財産を有効に活用するという観点で言え

ば、未利用地をいかに活用していくかということが、重要であると思います。

ただ、第3次行革プランでは、利活用が見込めない用地は、入札機会の確保

や広報・売却情報の提供の強化、売却手法の拡充などの対策により民間売却を

促進することとされています。

確かに、地価が高い時に購入した土地を、安く売却するということには抵抗

があるかもしれません。しかし、そのことよりも社会全体から言えば、折角あ

る資産を活用できないという損失の方を重視していくべきと考えます。

また、第3次行革プランの目標である収支均衡を達成するためにも、未利用

地の売却を積極的に進め、さらなる自主財源の確保を図っていく必要がありま

すが、土地売払収入が、昨日、議決された平成27年度2月補正予算では約8億

7千万円の減額、現在審議している平成28年度当初予算においても、前年度比

較で約6億7千万円減額して計上されています。

そこで、来年度、第3次行革プランの最後の総点検に取り組む中で、これま

での対策を検証し、民間売却の促進に向けて、より効果的な対策を講じていく

べきではないかと考えますが、

ご所見を伺います。

企画県民部②

1 防災・減災に向けた取組みについて

(1)防災・減災対策に関する県の認識について

2 県立大学環境防災学部・学科の創設に向けての取組みについて

(1)平成28年度の取組みについて

(2)今後の取組みについて

全文

予算特別委員会(予算審査・企画県民部②)

質 問 者   小池 ひろのり 委員(民主党・県民連合)

1 防災・減災に向けた取組について 

(1)防災・減災対策に関する県の認識について      

6,400名を超える尊い命を奪い、未曽有の被害をもたらした阪神・淡路大震災から21年が経ちました。井戸知事は4期目の選挙公約で、防災・減災への取り組みを挙げられ、各地での講演などで、阪神・淡路大震災の教訓を忘れない、伝える、備える、活かすことが大切だと訴えておられます。

今や、被災地でも震災を経験していない住民が、4割以上に達している状況にあって、この震災の経験と教訓を継承し発信していくことは非常に大事なことだと思われます。また、南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70%、50年以内なら90%と言われています。災害は、いつやって来るか分かりません。明日かも知れませんし、90%とは、ほぼ起こると考えるべきです。そして、このような県民の防災・減災に対する不安・関心に応えるのも行政の仕事だと思います。

私は、甚大な犠牲を払った御霊に応えるためにも、大震災を風化させることなく、被災県の責務として、兵庫県は防災・減災への取り組みで全国のリーダー的な役割を果し、減災対策の発信拠点になることを目指して欲しいと考えております。

昨今、地球温暖化が進み、過去の例がないほどの巨大化した竜巻・ゲリラ豪雨・台風・土石流・地すべりなどの自然災害が頻発しており、対策が喫緊の課題となっています。いつまでも想定外とか異常とか言っている場合ではなく、現実の肥大化している自然災害を、まさにNew Normalとして位置付け、防災・減災対策を講じて行かねばなりません。

そこで、被災県としての兵庫県が、防災・減災対策について、どのような認識で取り組んでいるのか、まず確認します。

2 県立大学環境防災学部・学科の創設に向けての取組について

(1)平成28年度の取組について

昨今、防災教育の必要性が高まっています。防災学の研究は、生命を守ることに直結するため県民の関心も高く、行政に求められている喫緊の課題でもあります。

14年前に兵庫県は、全国に先駆けて県立舞子高校に環境防災科を設置し、防災教育を生徒の“生きる力”を育む教育として位置づけ、生徒たちは自ら考え、行動に結び付けるなど大きな成果を挙げて来ました。さらに、次の段階として、防災教育に関心を持つ生徒に対しては、より深く高度に実践的な学問として学ぶ場を提供することが必要だと考えます。災害時に迅速・的確に対処できる人材を育てることこそが、今後の災害に備えることに繋がると思います。

そこで、ソフト面での防災対策として、①防災・減災の研究 ②人材の育成 ③情報の発信という防災学推進の必要性を訴えるものです。

これまで私は、永年、兵庫県立大学環境防災学部・学科の創設を求めて来ました。これに対し、現在、県立大学の全学部生対象にユニット制で防災教育科目の履修を可能にし、平成29年度からは、同大学院に減災復興政策研究科が設置される等、防災学の取り組みも進んできていると思います。

そこで、平成28年度予算として、県立大学減災復興政策研究科(仮称)の開設準備予算、約5,000万円が計上されていますが、設置の概要について伺います。

(2)今後の取組について

県立大学大学院の減災復興政策研究科の開設に向けて、努力をされていることに敬意を表します。しかし、私は、是非、従来の理系のハード面、文系のソフト面という枠を超え、学際系の環境防災学を社会人入学にも門戸を広げ、大学院から学部・学科へ本格的導入されることを切に願うものです。

防災学の研究を推進することは、命を守ることに関わることであり、今、社会が求めている喫緊の課題でもあります。また、防災教育のニーズは高まっています。卒業後の就職先も確保されています。防災の専門家を、全国の都道府県の8割が置くと言っていますし、大企業も求めています。更に、防災の知識を持った人材を社会に送り込む任務も、大学にはあると思います。

同時に、これからは大学の特色が求められる時代です。既に、他の都道府県の大学では環境防災学科の設置が進み、兵庫の私立大学でも設置した大学も出て来ています。是非、遅ればせながらでも兵庫県が設置者である県立大学に環境防災学部・学科の創設を強く求めるものです。そして、県立大学が環境防災学を進展させ、大震災の経験から20年という歳月が経過し、風化が懸念される中、若者に防災学の重要性を育み、地域に根差した社会貢献で若者が先頭に立って地域力を発揮することが求められています。また、大学生が緊急時に、防災リーダーとして活躍できる人になることも出来ます。さらに、県立大学が全国の大学をリードし、シンクタンクとなり、減災に向けた取り組みの中心的な役割を果すことを願うものです。

一昨年の県議会文教常任委員会で、県幹部も「防災科創設は必要なことだ」と答えられています。また、ここ5~6年で県立大学の学長・教授や多くの関係者にお会いし意見交換する中で、すべての人が「環境防災学科の設置は良い事だ」と言われました。しかし、兵庫県は防災学部・学科の創設に向けた新しい予算を組むことなく、大学自治を見守って来ました。

私は、永年、客員教授として大学に籍を置いている者として、大学の自助努力での学部・学科の新設は、非常に難しい事業であることを理解しています。同じパイ(予算)の中での学部・学科の新設は、既存の学部・学科の予算を削られる関係教授らの賛同を得ることは極めて困難だからです。従って、この問題を大学自治だけに任せていては、なかなか現実化するものではありません。県立大学の場合、設置者である県が大所高所から判断し、推進することが必要だと考えます。

以上の観点から、県立大学の環境防災学部・学科の創設を強く求めますが、関係者の信念に基づく前向きなご所見をお聞かせ下さい。

健康福祉部

1 児童養護施設入所者等への支援について

(1)児童養護施設入所者の現状について

(2)今後の取組み等について

2 新生児里親委託等の特別養子縁組の充実について

全文

予算特別委員会(予算審査・健康福祉部)

質 問 者   小池 ひろのり 委員(民主党・県民連合)

戦後、親を亡くした孤児を中心に、生活基盤を提供してきた児童養護施設は、最近では、児童虐待等で親と隔離すべきと判断された子供が、入所者の6割を占める等、すっかり様変わりをしています。

本来なら、親は子供が成人(20歳)になるまで扶養する義務があります。しかし、扶養してくれる人がいない子供に、行政が親代わりに手を差し伸べているのが児童養護施設と考えられます。

そんな児童養護施設が抱える今日的課題を、是非、皆さんに知って頂きたいという思いから質問を取り上げます。

1.児童養護施設入所者等への支援について

(1)児童養護施設入所者の現状について

現在、都市部の大規模な児童養護施設では、100名近くの子供が集団生活をしています。子供たちは、施設から小・中学校や高校に通い、卒業し就職をすると同時に施設を去って独り立ちをします。

ここで、現実に進学率の問題が生じてきています。

最近では、全中学生の98.4%が高校へ進学をしており、ほぼ全入に近い高校進学率で、大学進学率は53.8%です。しかし、児童養護施設入所者は、中学生では95.4%が高校へ進学し、高校生では11.4%が大学へ進学しています。特に、大学進学率では、親のいる子供の約5分の1という低さで、進路の面で明らかな差が生じています。

また施設の子供の多くは、高校卒業後、寮のある会社に就職し、施設を退所していますが、ここでも新しい問題が生じています。

例えば、近年、約4割の高卒生が、就職後3年以内で会社を辞めてしまう現実の中、誰にも相談する相手がいない施設退所者の離職率は、もっと高いことが容易に想像できると思います。施設側も入所者だけで精一杯で、一旦退所した子供までは、面倒を見られない状態のため、退所者は一人で問題を解決していかねばなりません。

会社を辞めた退所者は、自分一人で新しい職場を見つけるのと同時に、さっそく住む家を探さなくてはなりません。身元引受人も保証人もいない退所者にとって、アパートを借りるだけでも大変なことです。これを、15歳または18歳の子供に押し付けるのは、酷な話とは思いませんか?!

現実に、新しい家や職場が見つからずに、社会適応がうまくいかずドロップアウトしていく若者も少なからずいます。中には、犯罪につながる場合もあり、社会問題にもなっています。

大学進学希望者であっても、大学入学金、授業料、さらには生活費まで工面しなくてはならないという不安から、大学進学を断念するという子供も多いようです。扶養してくれる親がいないことで大学を諦めざるを得ないということは、明らかに教育の機会均等という観点からも、大きな問題があると思われます。

子は親を選べません。頼れる親がいない子供に、せめて成人まで、又、大学進学する場合は卒業の22歳までは、行政が支援の手を差し伸べ、せめて住居だけでも確保すべきだと思います。また、一旦、施設を退所しても、20歳までは帰ってくる所があれば、崩れていくのにも歯止めがかかります。

このような児童養護施設の現状と課題に対して、兵庫県はどのように認識しているのか、まずお聞きします。

(2)今後の取組等について

このような厳しい現状にある児童養護施設入所者や退所者について、教育の機会均等、貧困の連鎖の防止、若者の社会からのドロップアウト防止、さらに犯罪への悪循環の防止など、様々な観点からきめ細かな支援が必要な事は言うまでもありません。

そこで、施設入所者あるいは退所者へは、どのような支援を行っているのか、

また、このような厳しい現状を踏まえ、今後どのような取組を行っていこうとしているのかお聞きしたいと思います。

2. 新生児里親委託等の特別養子縁組の充実について

親が育てられない6歳未満の子供を、別の夫婦が引き取り、法的にも親子となる制度として里親(特別養子縁組)制度があります。さらに生みの親に代わって育てる里親制度は、早ければ早いほど良いという専門家の意見もあり、好まない妊娠や生みの親が養育できない、またはしないという赤ちゃんの相談を受け、産科医と連携して特別養子縁組を前提に、赤ちゃんを里親に託すという制度が進められています。

国連子どもの権利条約20条では、“永続的な家庭を提供する”ことが国の責務であると記されています。0~3歳の乳幼児期に家庭を知らずに育つ事の問題がいかに大きいかは想像に難くありません。

ルーマニアのチヤウシェスク・ベビーの研究では、“施設で2歳まで育った子供は、里親委託された子供に比べ、甚大な脳の障害を負う”というデータが公表され、今では、家庭の愛を知らない“アタッチメント障害”が定説となりつつあります。その結果、イギリスのように、すべての施設入所者を里親制度に移管しようとする国も出てきています。

施設の職員がいくら一生懸命に仕事をしても、親代わりは出来ません。また、これだけ多くの子供たちが入所していると、目の行き届く保育、個性に合った養育をすることは至難の業であると思われます。

そこで、厚生労働省は改善策として、当面、大規模施設入所者の割合を減らし、小規模グループホームや里親制度の充実を目指しています。しかも、その割合を1:1:1になるような数値目標まで掲げています。

しかし、兵庫県の現状は、乳児院・児童養護施設が87.3%と依然として施設に頼る傾向が強く、里親はわずか12.7%です。そして、里親委託率は、全国都道府県中42位で、平成24年度の新生児の里親委託は0人という状況です。

例えば、愛知県では、愛知方式という新生児里親委託が、30年以上も続けられ、130人以上もの実績があります。そのような実績と比較して、なぜ兵庫県では、新生児里親委託は進んでいないのか、また、新生児里親委託等の特別養子縁組の取組に対して、どのようなお考えなのかお聞かせ下さい。

企業庁

1 県営水道事業について
(1)水道施設の老朽化対策について
(2)水道における災害時の対応について

2 住宅用地の分譲の推進について
(1)住宅分譲の取組状況について

3 淡路夢舞台国際会議場の利用促進について

全文

予算特別委員会(予算審査・企業庁)

質 問 者   小池 ひろのり 委員(民主党・県民連合)

1 県営水道事業について

(1)水道施設の老朽化対策について

以前、NHKで、「押し寄せる老朽化、水道クライシス」という報道番組「クローズアップ現代」が放映されました。高度成長期に作られた全国各地の水道管が、一斉に耐用年数を迎え、老朽化した水道管の破裂や、水が漏れ出す事故が増え、その応急措置に追われている自治体の状況が映されていました。

水道は、県民生活や事業活動のライフラインであり、施設の老朽化による事故や故障で断水するような事態を避けるため、適切なメンテナンスや、施設ごとの寿命に応じた計画的な対策を行っていくことが重要です。

ところが、番組では、施設の修繕や更新には、多額の費用がかかるため、対策がうまく進んでいないと、苦悩する自治体の様子が描かれていました。

本県の企業庁が経営する県営水道は、県下の17市5町と淡路広域水道企業団に対し給水しています。利用している市町の人口は合計で493万人に達します。そして、これら市町が供給している上水道のうち、約18%が県営水道の給水でまかなわれており、県民の重要なライフラインであります。

この県営水道は、昭和46年度の事業着手以来、40年以上の歴史があります。県営水道が整備した水道管の延長は約260キロメートルで、県下5ヶ所に浄水場があり、これらの施設も更新時期を迎えていくことになります。

最近のいわゆるインフラの老朽化問題としては、本県でも「長寿命化」も含めた対策を講じているところです。そして、県営水道では、平成20年度に「アセットマネジメント推進計画」を策定し、水道施設の計画的な修繕・更新を進めておられます。

そこで、アセットマネジメント推進計画では、県営水道の水道管などの施設の老朽化対策について、どのような考え方で進められているのか、その計画内容と、取組み状況についてお伺いします。

(2)水道における災害時の対応について

本日、東日本大震災からちょうど5年を迎えました。お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈りしますと共に、被災地の懸命のご努力が実を結び、着実な復興を成し遂げられることを心より祈念するところであります。

本日は、阪神・淡路大震災を経験した本県として、改めて災害への備えを考える日とすべく、県民生活や事業活動のライフラインである水道の災害への備えという観点から質問をさせていただこうと思います。

本県と県内全ての市町(水道事業者)は、阪神・淡路大震災を教訓に震災時の応急給水対策として「兵庫県水道災害相互応援に関する協定」を締結しています。平成26年8月に発生した丹波水害においても、この協定に基づき支援活動をされたと聞いています。

今後、これらの経験を踏まえて、南海トラフ地震や内陸直下型地震への備えを万全にしていくため、県と市町とで協力しながら実効性のある対策を講じる必要があると思います。

そこで、災害訓練なども含めた応急時の安定的な給水対策をどのように実施しているのかについてお伺いします。

2.住宅用地の分譲の推進について

(1) 住宅分譲の取組状況について

企業庁が分譲する住宅用地としては、潮芦屋では31.4ha、三田フラワータウンでは124ha、三田カルチャータウンでは30ha、播磨科学公園都市では36haの、合計221.4haの規模となっています。

これら住宅用地の分譲については、第3次行革プランにおいて、平成25年度末時点の分譲済み面積177.9haから、平成30年度末には210.6haへと32.7haの分譲を行うことにより、分譲進捗率95%を目標とされています。

一方、平成26年度の分譲済み面積の実績は、7.4haであります。その内6haは、メガソーラーの整備に活用されたもので、実質的な住宅用地として分譲した面積は1.4haということで、目標とはまだ大きな差があります。

そこで、現在までの分譲の進捗状況をお伺いするとともに、今後、それぞれの地区で、どのような具体策を講じていこうとされているのか、合わせてお伺いいたします。

3.淡路夢舞台国際会議場の利用促進について

昨年11月、私は、兵庫県との友好提携25周年記念事業等に参加するため、政務活動として中国海南省を訪問しました。海南省の面積は、本県の約4倍もある大きさの島で、全島が中国の経済特区、国際観光島に指定され、年間5,000万人近い観光客が訪れています。

海南省では、国際会議等に関しても、アジア版ダボス会議のボアオ・アジアフォーラムを始め、1,000人以上の規模の会議、展示会が年間800件程度開催されています

また、経済特区として、農業、健康、医薬、教育、文化、スポーツ、映画、インターネット、不動産等、様々な産業の発展を、観光にプラスするという形で取り組んでいます。その結果、様々な分野での会議、展示会等の誘致につなげ、最近、急速に発展してきている省でもあります。

そこで、このような中国海南省の積極的な観光産業としての取組を、淡路夢舞台国際会議場の利用促進の参考にすべきではないかと考えます。

淡路夢舞台の施設群の一つである淡路夢舞台国際会議場は、(株)夢舞台が一体的に管理運営し、利活用促進をはじめ施設群全体の活性化に取り組んでいます。平成27年度の会議場利用日数は、前年度比で10%程度上回る見込みとなっており、引き続き利用促進に取り組んでおられると聞いていますが、現状で、来年度以降予定されている大型会議の誘致状況については、医療関係の学会が多いとお伺いしています。

中国海南省のように、観光と絡めて会議の誘致を図るなど、豊富な観光資源を有する淡路島を活用し、県内成長産業等とタイアップして研修会、展示会等の誘致に努めるなど、様々な分野での積極的な会議誘致に取り組み、利用促進を図っていくべきではないかと考えます。

そこで、淡路夢舞台国際会議場の利用促進を、どのように取り組んでいこうとしているのかお伺いします

教育委員会

1 奨学金制度の改善について
2 県立高等学校長の在任期間について

全文

1.奨学金制度の改善について          .

奨学金制度については、我が会派の上野議員が今期定例本会議で「奨学金制度の給付化」を求めたのに対し、教育長から「大学卒業後に返済能力がある層を含めて、一律に給付にすることは問題がある」との趣旨の答弁がありました。

しかし、再度、私は奨学金制度の根本に戻って、この問題を考え直してみたいと思います。

奨学金制度は、経済的に困難な家庭であっても、その子供の進学する機会を奪ってはならないという考えを基に、経済的支援を差し伸べ、進学する夢や希望を与える制度として高く評価が出来るものです。

しかし、OECD加盟国の先進34か国での奨学金制度を見ると、日本とアイスランド以外は全て給付制度です。給付制度でないアイスランドは、大学授業料が年間約6万8千円であることを考慮すると、経済面に於ける支援として、日本の高授業料・低補助という現状は、奨学金制度が貸与であることを含めて、先進国の中で最低水準にあると言えます。ちなみに日本の大学の授業料、入学金の初年度納付金は、国立で約82万円、公立で94万円、私立文系で115万円、理系で150万円、医科歯科系は461万円という状況で、世界的にも圧倒的な高額となっています。

日本は、戦後の生活に苦しい時であっても教育に力を入れ、義務教育の徹底を図ってきました。その教育が基盤となって高度成長を支え、経済的にも世界のトップレベルに達することが出来たと思います。しかし、その後の20年程は、教育が置き去りとなり、日本の社会は物質面で豊かになりましたが、精神面では貧しくなり、社会が随分と変わって来てしまったような気がします。何事も教育が基本であり、『国家百年の計、教育にあり』との観点からも、今、日本は教育をもう一度見直すべき時と考えます。

最近では、多くの発展途上国でも、教育の重要性を鑑み、未来を担う子供たちのために教育に力を入れています。しかし、日本では、これに逆行する形で大学授業料は、国の補助金カットも重なり、ますます高額化する傾向にあります。さらに、最近の社会では、特に経済格差が進んでおり、貧困家庭の子供において進学の門戸を閉ざす状況さえ生じてきています。親の貧困が子供に継承(連鎖)され、教育の機会均等が奪われ、親の経済力によって子供の進学が決められるようなことがあってはなりません。

貧困の連鎖から抜け出るには、十分な教育を保障する以外にはなく、そのためにも奨学金制度が活用されるべきです。しかし、現状の日本の奨学金制度は、貸与の有利子が無利子よりも断然多くなっており、やむを得ず延滞となった場合は、年5%という『ローン』並みの金利となっています。さらに、奨学生は大学を卒業して社会人としてスタートラインに立った瞬間に、何百万円という貸与奨学金の返済のための負債(借金)を抱えることになります。高校時の兵庫県高等学校教育振興会、大学の日本学生支援機構等の貸与奨学金を受けると、その負債総額は500万円以上にも膨れ上がる学生もいます。

一方、今、日本の国には、年収が200万円以下の人が、およそ1,100万人にも及び、経済格差がどんどん広がっています。このような格差社会で、前述しました高額の大学授業料等に対し、近年、奨学金に頼らざるを得ない大学生が益々増えています。また、大学を出ても、一定の所得が保障されるとは限りません。就職できないから大学院に行くとか、ニートになり閉じこもっている大卒者もいます。このような状況で、大学卒業後に生じる300万~1,000万円とも言われる奨学金の返済という借金が、大きな負担になっているのは明らかです。

この借金は、子供本人の責任なのでしょうか!親の経済力が、そのまま子供が社会人になった後にも、借金として引き継がれていくという状況で良いものでしょうか!!大学を卒業すると同時に、貸与奨学金が何百万円という借金に変わるという現実を考え、大学進学を諦めるという子供もいるのではないかと思われます。

子は親を選べません。奨学金を受けなければ、大学に進学が出来ないような貧しい家庭には、行政が補てんし、後押しをすべきです。家庭が貧しくても、やる気さえあれば安心して進学できる制度にしていかなければなりません。教育の機会均等を原則に考えるならば、経済格差を教育格差にしてはなりません。

冒頭で述べたように、「奨学金制度の給付化」の質問に対し、「所得連動制度や猶予制度等の国の動向を注視している」との答弁がありました。しかし、前述したような現状を踏まえると、国の検討内容は甘いと言わざるを得ません。県として、一歩踏み込んだ積極的な取組が求められます。

そこで、日本も先進国に学び、基本的には奨学金制度を貸与ではなく、給付にすることを国に強く働き掛けると同時に、県としても給付型奨学金の充実を図るなど支援を拡充する必要があると考えますが、当局の所見を伺います。

2.県立高等学校長の在任期間について

県立高校等の学校長の1校での在任期間は、平均して2.4年だそうです。校長になる平均年齢が56.1歳ということから、校長としての在校数は2校が一般的だと思われます。

しかし、本当に学校改革を実現しようと思えば、石の上にも3年という諺にもあるように、最低でも1校の勤務年数は3~4年は必要です。学校や生徒の特徴を掴むために、1~2年はかかり、その学校に合った改革を見い出すにも時間は必要です。どうして、1校での在任期間が2年そこらで、地に着いた改革が出来るのでしょうか! せいぜい、変わってきたばかりの校長が、学校改革のためのブレインを育てる暇もなく、慌てて改革の花火を上げただけで、転校してしまうのが落ちだと思います。

2~3年の在職年数には、複数の学校の校長を経験させるためだとの意見もありますが、40年近く務めた教師経験を活かして、集大成として校長の最後の務め先であっても良いと思います。最後の与えられた学校で、腰を据えて教育者の仕上げとして全精力をつぎ込むことが、校長としての遣り甲斐にもつながると思うのですが、如何でしょうか!

どうしても複数校の経験をさせたいと思うならば、優秀な教諭の校長就任年齢を40歳代後半、もしくは50歳代前半に繰り上げることも可能だと思います。いずれにしても、最後の勤務校で、校長は永年勤めた教職経験の集大成として兵庫教育の発展のために、全力投球できる基盤を構築することが重要と考えます。

少子化時代に、生徒数が減少するこれからの高校は、特色づくりが大切です。

まさに、多様な特色のある学校を生徒に提供し、生徒の個性を伸ばしていくことが重要なことであり、校長のリーダーシップが問われることになります。

そこで、現在の県立高等学校長の在任期間について、どのように考えておられるのかお伺いします。

小池 ひろのり
神戸市中央区

財政状況

1 退職手当債の発行について

2 行革プランにおける職員定数の削減について

3 地域整備事業の新規開発について

4 先行取得用地の地元負担について

5 公共施設等総合管理計画について

全文

予算特別委員会(予算審査・財政状況)

質 問 者   石井 健一郎 委員(民主党・県民連合)

1 退職手当債の発行について

平成28年度当初予算では320億円の収支不足が生じているが、このうち100億円を退職手当債で充当することとしている。

退職手当債は、そもそも退職手当の支払いのピーク時にその財源を補うために発行すべきものであり、国の当初の予定では、平成27年度で退職手当債の発行は終了するとのことだった。それが退職手当の負担が引き続き大きい地方自治体があることを理由に、さらに10年間、発行が延長されることになった。

とは言え、そもそも退職手当債はインフラ整備等、次世代の財産になる債務ではなく、負担を残すものでもあり、収支不足対策として、制度として利用できることを理由とした退職手当債の発行は、県民にとっては分かりづらく、また理解も得にくいと考えるが、そのような懸念がある中での退職手当債発行の必要性について、当局の所見を伺う。

2 行革プランにおける職員定数の削減について

県の一般行政部門の職員数は、平成11年4月に9,413名であったが、行革を経て、平成27年4月1日現在では、6,156名と、3,257名、34.6%の定数削減を行っている。また今年の4月1日にはここから80人、1.3%を削減する見込みであり、行革の終了する平成30年度までには、平成19年度比で3割を削減する目標を掲げている。

昨年12月に総務省が公表した、平成27年地方公共団体定員管理調査結果の概要によると、全地方公共団体の傾向として、平成26年から27年にかけ、一般行政部門では子育て支援、防災、地方創生等への対応のため、職員数を0.1%増加させている。また都道府県職員数の増減状況では、本県は同じく26年から27年にかけ、1.7%の削減を行っているが、これは青森県の2.8%、宮城県の1.8%に次ぐ削減率であった。これだけでは行革の着手時期が各都道府県によって多少異なると思われるため、一概に単純比較をすることはできないと思うが、本県は4%台の職員削減を行った平成21年度前後に比べ、緩やかな削減率である行革プラン後期において、全国第3位の削減率であるということは、これまでも、そして現在も全国トップクラスの職員削減を行っていると言えるのではないか。

来年度に向けては95の事務事業数を減少させるとは言え、行政サービスの多様化が求められる中、サービスの水準を実際に維持できるのかと私は懸念している。しかし一方でサービスを維持できるということであれば、県職員に過剰な負担を強いてるとも考えられるし、そうでなければ、やはりこれまでの職員数が多すぎたのではないかと、県民から批判を受けることにもなる。

そこで、適正な職員定数の考え方について、当局の所見を伺う。

3 地域整備事業の新規開発について

企業庁の地域整備事業については、第3次行革プランで今後の人口減少、経済情勢等を踏まえて、新しい地域での開発は抑制することとされているが、今年2月に新規開発の抑制という方針を変更し、小野市市場地区の先行取得用地を含む約40haについて、小野市との共同による産業団地の整備の着手を公表した。

一方で、播磨科学公園都市やひょうご情報公園都市には、未だ土地造成を行っていない、いわゆる進度調整地を多く抱えており、その処理が大きな課題となっている。

産業団地の整備を、三木市のひょうご情報公園都市ではなく、小野市市場地区で実施することで、ひょうご情報公園都市内の進度調整地は県有環境林となる可能性が高まるのではないかと懸念している。

そこで、地域創生の見地があることも一定理解するものの、第3次行革プランが最後の詰めを迎えようとしている中、地域整備事業の新規開発の抑制という大方針を何故ここで変更するのか、当局の見解を伺うとともに、多くの進度調整地を抱える中、何故新しく小野市市場地区で開発を行うこととしたのか、あわせて伺う。

4 先行取得用地の地元負担について

昨日、県有環境林として三田市酒井畦倉用地と淡路市石の寝屋用地、淡路市江崎汐鳴山用地の新たな取得について議決した。

これまでゴルフ場の乱開発防止をはじめ、様々な理由から土地の先行取得を行っていることは理解しているが、先行取得用地の中には、利活用につながらずにそのまま環境林として塩漬けになるものもあると考える。今後こういった土地の利活用を進めていくことは大きな課題である一方、中には地元市町の要望により県が先行取得している土地もあると認識している。

今回私が指摘したいのは、地元市町の要望で県が先行取得した土地については、環境林となっているものも含め、地元市町にも何らかの負担を求めていく必要があるのではないかということであるが、当局の所見を伺う。

5 公共施設等総合管理計画について

公共施設等については将来的に老朽化が進むことから、人口減少社会におけるその管理や更新は今後ますます重要な課題となる。

本県においては橋梁やトンネル等のインフラを対象とした「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」を始め「ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画」「アセットマネジメント推進計画」等、各施設分野での各々の課題を検証して、それぞれ計画的な取り組みが進められていると承知している。

そうした中で、国から28年度末までに策定を求められている公共施設等総合管理計画については、出来る限り次世代に負担を残さないという共通の視点をしっかりと持っておく必要があると考えるが、現在どのような方針で策定されようとしているのか、当局の所見を伺う。

産業労働部

1 ひょうごの日本酒のブランド化等の推進について

2 コーヒー等の地域の食文化発信によるツーリズム振興について

3 広域での観光政策について

4 商店街の活性化について

5 障害者雇用の促進について

全文

予算特別委員会(予算審査・産業労働部)

質 問 者   石井 健一郎 委員(民主党・県民連合

1 ひょうごの日本酒のブランド化等の推進について

江戸時代、一大生産地である灘の酒は、江戸へ積み下された酒は「下り酒」と称され、高級酒として珍重されてきた。以来、幕府の酒造奨励政策を期に、六甲山系から流れ出る急流を利用した水車精米による、大量でしかも精白度の高い酒造米の確保、酒造にもっとも適しているといわれる宮水の利用、さらに海岸部に大規模な酒蔵を建て、丹波杜氏の優れた技術をもって寒造りに集中したこと、船積みに適した立地等、好条件のもとで灘の酒造業は急成長を遂げ他の酒造地域を凌駕した。

現在は大量生産の日本酒により、その量こそは日本一の座を譲ってはいないものの、知名度に反し、ブランド力の面においては残念ながら立ち遅れているように感じる。事実、灘の酒を置いていない飲食店が非常に多いと感じるし、地元神戸の飲食店でも同様と考える。観光客が来ても地元の日本酒がなく、他地域の日本酒を飲んでいるといったことは大変惜しい機会喪失である。

ブランド化や販路開拓の取組については、2月補正の経済対策で海外での総合見本市への出展を支援するなど、対外的なアプローチを行う施策を主に講じているが、インバウンドをはじめとした兵庫県へ訪れる人が増えている中、地元飲食店等へのひょうごの「日本酒」販売促進等を通じ、来県者へのアプローチを強化していくこともブランド力向上には効果的と考えるが、当局の所見を伺う。

2 コーヒー等の地域の食文化発信によるツーリズム振興について

日本酒に続き、地元神戸の特徴という意味でコーヒー文化に関連してツーリズムの振興について伺う。

神戸港は明治時代の開港以来、多くの外国文化を受け入れてきた。パンやスイーツ、そして、コーヒー文化も神戸のハイカラ文化のひとつである。神戸港におけるコーヒー荷揚量は、現在、横浜港に続いて第2位であるが、阪神・淡路大震災の前は日本一だった。コーヒー産業も古くから盛んで、有名な企業も数多くある。また、だれもがコーヒーを味わい、楽しむ文化を育ててきたのは喫茶店であり、神戸には老舗や名店と呼ばれる喫茶店をはじめ地元の人に愛され続ける店が数多くある。

そういった中、スターバックスから始まり、現在はコンビニでも気軽に安く美味しいコーヒーが楽しめるようになった。コーヒーの消費者層拡大といった意味においては評価されるべきものであるが、一つの文化としてとらえると味気ないようにも感じる。

本県においては、「五つ星ひょうご」プロモーション事業などを通じ、地域ブランドや地域イメージの強化によるツーリズム振興を促進しているが、先に述べたコーヒー産業や、老舗、名店と言われる喫茶店を含め、コーヒー文化自体が貴重なツーリズム資源となると考える。

そこで、伝統ある神戸のコーヒー文化もわが県の特色の一つとしてアピールすることもできるのではないかと考えるが、地域の食文化発信等によるツーリズム振興について所見を伺う。

3 広域での観光政策について

平成26年度における本県の観光入込者数は、約1億3,300万人、前年度比2.3%増となっている。その後も増加傾向にあり、好調な状況と聞くが、近隣の大阪、京都などと比較すると、インバウンドによる訪問率で大阪は本県の4.5倍、京都は3.5倍となっているなど、大きく水を開けられていると感じる。

本県においては、平成26年度に策定したひょうごツーリズム戦略のもと、ツーリズム振興に全庁をあげて取り組んでおり、地域の創意と工夫による主体的な取組によって、エリアごとに特色あるツーリズムを展開する「ひょうご五国の個性あふれる地域ツーリズム」などの戦略により、諸施策を展開している。平成26年度の観光入込者数の地域別動向を見ると、阪神南、阪神北、中播磨、但馬などが増加しており、阪神南では甲子園、阪神北では宝塚大劇場、中播磨では姫路城、但馬では竹田城跡や城崎温泉が増加要因となったとされている。これは、ツーリズム戦略による各県民局エリアごとの特色あるツーリズム展開に基づく施策の、一定の成果が出たものと思う。

ただ、大阪、京都などとの比較などを踏まえると、さらなる相乗効果による入込増加につなげていく必要があり、そのためには、観光振興について各県民局で独自に行い、管轄地域のみをPRするのは効率が悪いと考える。特に阪神地域、播磨地域は分割することによる非効率性を感じる。但馬地域も交通アクセス等を考えると、姫路との連携をとることが大切である。

このような観点から、より広域で観光政策を推進していくことが望まれるが、当局の所見を伺う。

4 商店街の活性化について

近年、商店街を取り巻く環境は厳しさを増している。大規模店舗の進出やインターネット販売の拡大に加え、商店主の高齢化や後継者不足等により、廃業する店舗が増加している。

私の地元、神戸市灘区の水道筋商店街では、様々なイベントを実施するなど集客力アップに取り組んでおり、昨年10月には、近畿経済産業局から「近畿のイケテル商店街」に選出されるなど、賑わいを維持しているという見方もできる。

しかし、商店街全体としてみると、駅から離れた東側の市場エリアでは空き区画が増加し、シャッター街の様相を呈するなど、地元商店者は危機感を感じている。

県では、まちづくり部と連携して、今年度から商店街の活性化とまちの再整備を総合的に支援するモデル事業を実施しており、水道筋商店街をモデル商店街に指定し、商店街の活性化に向け、現在、地元が主体的に計画策定に取り組んでいるところである。

そこで、商店街の活性化とまちの再整備による賑わいのまちづくりモデル事業の現在の状況と、今後、同事業によりどのように水道筋地域の活性化を進め、そして、その成果を県下商店街の活性化にいかに活かしていこうと考えているのか当局の所見を伺う。

5 障害者雇用の促進について

本県における障害者の雇用率は1.97%、全国平均の1.88%を上回っているものの、法定雇用率2.0%には届いていない。また、法定雇用率達成企業は51.8%と全国平均の47.2%を上回っているものの、まだ半数の企業が法定雇用率に達していないというのが現状である。

また、障害者雇用の本県での内訳を見ると、身体障害者が67.4%、知的障害者が27.5%であるのに対し、精神障害者は5.1%と障害の間でも大きな差が生じている。

先月、我が会派の政務活動で東京都大田区のアイエスエフネットハーモニーを訪れた。様々な障害者が様々なIT業務に携わっており、グループ全体で精神障害者約200名を含む約400名の障害者を雇用し、障害者の採用率はまさに約12%であった。また、障害者雇用の中でも雇用が難しいと一般的に言われる精神障害者の割合も約50%と、全国全体での比率7.6%と比べてもかなり高く、企業努力で障害者にとって働きやすい職場となっていると感じた。そして、平成20年の設立以来、離職者もないと言う。

そういう中、改正障害者雇用促進法、障害者差別解消法が来月から施行される。雇用における場面をはじめ障害者への差別を禁止し、支障を改善するための措置を講じることが義務付けられる。障害者の多くは自身の生活に必要な収入を得ることができないことが実情であるが、豊かな個性、ほとばしるやる気を持った方も多く、それらの方が健常者と同様に就労でき、生きがい、やりがいを持って自立できる環境が必要である。

そこで、本県においては、法定雇用率2.0%の達成等を地域創生戦略の総括的なKPIとして示しているが、このような指標達成に向けた取組を含め、各企業で障害者雇用が進むよう具体的にどのように取り組んでいくのか伺う。

公安委員会

1 生活道路における安全対策について

2 警察を取り巻く情勢等を踏まえた実態把握活動の推進について

3 子ども達がサイバー犯罪の被害に遭わないための対策について

4 放置違反金の未収対策について

全文

予算特別委員会(予算審査・公安委員会)

質 問 者   石井 健一郎 委員(民主党・県民連合)

1 生活道路における安全対策について

生活道路は、主として、地域住民等の日常生活に利用される道路で、自動車の通行により歩行者、自転車の安全確保が優先されるべき道路であるが、抜け道として利用する車やスピードを出す車による交通事故の発生が懸念されるなど、安全安心できる静かな生活環境が守られていないところもあると思う。

また、県民の生活道路に対するニーズは、ますます多様化しており、例えば、高齢者に配意した交通環境の整備や子どもが安心して通学できる交通環境の整備などへの期待もあると考える。

このような生活道路については、歩行者と自転車の通行を最優先にし、30キロの速度規制を実施することにより、通過交通や走行速度の抑制を図る「ゾーン30」の整備をさらに推進するべきと私は考えている。

そこで、県警察がこれまでに行ってきた「ゾーン30」について、どのような整備効果 があったのか、また、今後、どのように取り組んでいくのか、その方針について、当局に伺う。

2 警察を取り巻く情勢等を踏まえた実態把握活動の推進について

地域警察官の活動において、地域住民の困りごとや相談等に対応しながら、良好な関係を構築し、管内の実態把握活動をする巡回連絡という活動がある。

この活動は、まさしく、警察活動の基盤というべき活動であると私は認識しているが、 近年都市部では、オートロックマンションや共働き世帯の増加等の住宅環境や生活様式の変化及び個人情報に関する意識の高まりにより、巡回連絡の実施が困難となっていることが懸念される。

その現れとして、過去3年間における県警察全体の巡回連絡実施率は、平均35.3%と、数字から見ても明らかに低調といえよう。この実施率が低調であると、地域が抱える問題だけでなく、特殊詐欺等の犯人グループのアジトや外国人が頻繁に出入りする施設などを見逃してしまう可能性もあり、県民の不安は払拭されない状況にあると思う。

それに加え、昨年8月、明らかになった六代目山口組の傘下組織が神戸山口組に分裂した暴力団情勢の把握のほか、伊勢志摩サミット開催、神戸で開催される保健相サミットに伴うテロ対策の実施のため、地域の実態把握活動の重要性は、ますます高まっていると言える。

そこで、地域警察において、これらの情勢を踏まえて、どのようにして地域の実態把握を推進していくのか当局の所見を伺う。

3 子ども達がサイバー犯罪の被害に遭わないための対策について

子ども達のスマートフォン依存やインターネット利用に伴うトラブルを防止するため、学校や保護者にルール作りを求める青少年愛護条例の改正案がこの度の定例会に提出されているが、先日、平成27年中に県警察が取り扱ったインターネットの利用に絡む犯罪被害の実態について報道があり、兵庫県内では、子どもがインターネットを通じて面識のない人物とやり取りし、犯罪に巻き込まれるケースが急増しているとあった。

県警察が検挙したコミュニティサイトの利用に起因する重要犯罪及び福祉犯の被害者のうち、18歳未満の少年・少女は62人で、その内訳は、中学生が30人と最も多く、次いで高校生が18人、無職等の少女らが12人、小学生も2人いたということで、被害者の数が、前年が25人であったことからまさに倍増していること、また低年齢層の被害者もいることを大変危惧している。

私は、被害が急増している背景に、携帯電話に代わってスマートフォンが普及したことから、誤った認識により、フィルタリングの実施率が低下しているといったことも影響しているのではないかと考えている。

これらの実態を踏まえ、県警察による取締り強化は喫緊の課題であると考えるが、取締りだけではなく、今後は、これまで以上に子ども達自身や保護者・学校関係者等に対するインターネットの利用に係る犯罪被害の防止に関する教育や施策などの取組も非常に重要な課題になるのではないかと考えている。

そこで、スマートフォンやインターネットの利用に起因する子ども達の犯罪被害の防止に向けた取組みについて、当局に所見を伺う。

4 放置違反金の未収対策について

平成16年の改正道路交通法により、平成18年6月から施行された新駐車対策法制は、今年の6月には10年を迎える。

本県では、施行に合わせて、神戸市内の9警察署において駐車監視員が放置車両の確認等に関する事務を行うこととなり、その結果、制度施行前と比較しても駐車関連の人身事故や110番件数が減少するなど、相当の効果があったものと承知している。

その反面、新たな問題として、放置違反金の未収問題が顕著となり、先般の新聞では、「全国において回収不能となった放置違反金の累積額が平成26年度末累計で約55億円と報道がなされた。

兵庫県でも、制度導入後、平成26年度末累計で、延滞金を除いた放置違反金の収納額が約110億円であるところ、時効等による不納欠損額が約2億円、収入未済額が約3億円に上っているところである。

このような事態は、制度が想定していなかった新たな不公平感を生むものであり、駐車秩序に影響を与えるのではないかと大変、危惧しているところである。

そこで、県警察として、どのような放置違反金の未収金縮減対策を講じているかについて伺う。

農政環境部

1 酒米山田錦等の需要拡大について

2 神戸ビーフ等のブランド強化の取組について

3 県産農産物の輸出促進について

4 電気自動車の普及促進について

全文

予算特別委員会(予算審査・農政環境部)

質 問 者   石井 健一郎 委員(民主党・県民連合)

1 酒米山田錦等の需要拡大について

昨日の産業労働部審査において、清酒生産量日本一の県産日本酒のブランド力強化に向けた取組を伺った。本日は、本県が誇る日本一の酒米「山田錦」について伺う。

近年の国内外での日本酒人気を背景とした酒米需要の増加に伴い、農水省は昨年度から酒米の需要増分については、酒米を生産調整対象外とし、酒造会社との契約数量に応じた増産を可能とすることとなった。この制度を活用した生産者らの増産への取り組みにより平成26年の県内の山田錦の生産面積は、2年前の平成24年と比べ約 30%増の4,667ヘクタールに拡大した。

今定例会の提案説明においても、インターナショナル・ワイン・チャレンジ2016「SAKE部門」審査会を契機に兵庫の酒の魅力を発信するとともに、山田錦のさらなる需要拡大を進めると知事は述べられた。

ただ、この拡大基調も、日本酒人気に支えられたものである。日本酒の消費拡大を図るとともに、山田錦等兵庫県産の酒米が酒造会社等に選ばれるよう産地間競争に打ち勝っていかなくてはならない。需要拡大に併せた生産量の確保とともに、酒蔵との連携強化等により販路開拓に努め、契約数量を確保していく取組が重要となる。

そこで、酒蔵との連携強化等に対する支援のほか、酒米山田錦等の需要拡大にどのように取り組んでいくのか伺う。

2 神戸ビーフ等のブランド強化の取組について

山田錦、日本酒とともに、兵庫県が世界に誇るブランド「神戸ビーフ」等について伺う。

昨年12月、神戸ビーフ、但馬ビーフ等を含む全国の7品目が、地域において長年培われた生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高い品質と評価を獲得するに至った産品として、初めて地理的表示保護制度の対象として登録された。

正に日本を代表する地域ブランドとして国が認めたものであり、登録によりブランド名を独占的に名乗ることができ、違反者には国が取り締まることになる。輸出拡大にも効果があり、欧州やアジアとの同様の制度との連携でニセ物排除の枠組み作成も期待される。

このように、神戸ビーフのブランド力はますます高まっており、インバウンド等の観光客の立ち寄りも多くなるとともに、神戸ビーフを売りにする店舗が神戸でも増えてきたと思う。神戸ビーフのブランド化を推進する兵庫県の責務として、消費者に安全・安心な神戸ビーフを届けるためのブランド維持も含め、さらなるブランド強化に向け、他県産と差別化を図っていくことも必要ではないかと考える。

そこで、今申し上げたことも含め、神戸ビーフ等のブランド強化に向けた取り組みについて伺う

3 県産農産物の輸出促進について

続いて、神戸ビーフを中心に取組を進める農産物の輸出促進について伺う。

本県農産物の輸出の取組については、平成17年度に日本食が普及する台湾の国際見本市への出展を皮切りに、平成21年度からは経済成長著しい中国への販路拡大に向け香港をターゲットに取り組んでいる。

また、品目別には、神戸ビーフは計17カ国・地域に約120トンを輸出しているほか、兵庫県産米も計10カ国・地域に輸出を拡大している。さらに、「淡路島たまねぎ」「兵庫県産いちじく」「兵庫県産かき」などは、香港の百貨店で通年販売を始めている。

今後、輸出農産品目や輸出国を拡大させていくに当って、「兵庫県産」ではブランドや知名度が低いと考える。広域連合でブランド化を図るなど知名度のあるブランドとしての展開を検討していくことも必要ではないかと考える。

あわせて、今年度はミラノ国際博覧会において、「ひょうごの食」が安全・安心でおいしい食材として高い評価を得たと聞く。同博覧会での出展成果を今後の兵庫県産農産物の輸出促進に活かしていかなくてはならない。

そこで、県産農産物のさらなる輸出促進に向け、今後、どのような戦略を持って取り組んでいこうとしているのか伺う。

4 電気自動車の普及促進について

県では、地球温暖化防止や排気ガスによる大気汚染の低減のため、電気自動車の普及を促進している。その一環として、平成25年から県施設に急速充電器の導入を開始し、現在22施設に設置されている。利用料金は、現在、委託業者が定める額を徴収して運営しているが、設立当初は県負担で45分間無料で運営されていた。現在、県としても、平成25年度に充電インフラ整備促進費として約8,600万円を予算計上し、その後、次世代自動車充電インフラ維持管理事業費として、今年度約1,800万円、来年度約1,500万円を当初予算計上し、電気自動車の普及促進に努めてきた。

電気自動車などの低公害車の普及は、環境行政の推進上、行政としての関与は一定必要な部分があるとは思うが、低公害車を製造・販売している自動車業者もある中、できるだけ民間の力を活用して普及促進を図るべきと考える。

そこで、電気自動車の普及促進について、民間との役割分担をどう考えて進めてきたのか。また、急速充電器導入開始以降、この3年間の成果をどう分析し、今後、いかに進めていこうとしているのか伺う。

県土整備部

1 但馬空港について
(1)機材更新について
(2)ATR機について
(3)羽田直行便以外の路線開拓について
(4)地元負担について

2 商店街の活性化とまちの再整備の推進について

全文

予算特別委員会(予算審査・県土整備部)

質 問 者   石井 健一郎 委員(民主党・県民連合)

1 但馬空港について

(1)機材更新について

来年度、当局は平成6年以降但馬-伊丹間を就航しているSABB機を更新するとして、但馬空港ターミナル(株)(TAC)から運航事業者である日本エアコミューター(株)(JAC)に支払う機材購入費の前金として、1億3,500万円の予算を計上している。更新事業としては28年度から30年度を予定し、全体事業費は27.3億に上る。

しかしながら、平成22年度の予算特別委員会において私がサーブ機が購入から既に15年が経過し耐用年数を迎えるとした指摘に対し、JACからはメーカー側から安全かつ経済的に飛行できる基準として今後15年程度は運行可能であると聞いているとわざわざ申し添えている。また、25年度の建設常任委員会では、フライトの頻度を勘案すると、JACからはあと10年程度は持つと聞いていると答弁しているが、今回の機材更新にあたって県当局による説明が変化し、その理由として、安全で安定的な運航を維持するためと資料に記載されていることは釈然としない。また貸付金約6億が全額回収されたことが挙げられ、県にとっては損ではないとのことであるが、結果として更新のサイクルが早まるとは県費支出が早まっていくことと同意であり、損害が生じていないとは言い難い。JACの機材更新の考えを、直前まで把握できていなかったとは考えにくいが、このようなことが起こったことは問題である。当局の所見を伺う。

(2)ATR機について

このたび更新を予定しているATR機だが、48人乗りで、現状では但馬空港に離発着できる唯一の機材である。SAAB機は36席であったが、それでも約62%の搭乗実績であったことを考慮すると、今後、運航の収支不足額への運航補助が増額になるのではないかと懸念している。収支状況の改善に向けた取組みが今後さらに必要になると思うが、当局の所見を伺う。

また、ATRの購入には約27億円とSAAB機のほぼ倍の費用を要するが、利用計画の違いから補助と貸付の割合はSAABが54:46であったのに対し、ATRは60:40と異なるとのことである。そういったことから考えると県の補助金は16.2億円、10.8億円の貸付金となり、前回より負担金額が大幅に増えるが、貸付金の返済計画はどのように見込んでいるのか、あわせて伺う。

(3)羽田直行便以外の路線開拓について

昨年5月に作成された「コウノトリ但馬空港の利活用方策」を見ると、但馬~関西国際空港路線の記載はあるものの、途中経過の議論においては様々な意見が出ていたようだが、結論はやはり羽田直行便実現への強いこだわりが感じられるものになった。羽田便直行便の開設により東京からの交流人口の増加や雇用の可能性を期待されているが、逆に但馬地域の人口流出、さらなる人口減少につながる可能性もある。

また、そもそも但馬地域は人口減少が大きな課題であり、航空機の搭乗率を今後上げるためには、他地域から但馬地域に観光・ビジネス客を呼び込むしかない中、羽田直行便の実現は一つの目標としても、但馬空港のさらなる利活用促進のためには、考え方を変え、関西国際空港路線に限らず、他路線の開拓に着手すべく、その可能性を運航事業者であるJACと協議すべきではないか。当局の所見を伺う。

(4)地元負担について

仮に定員50人の機材で1日1便の羽田直行便が実現するとしても、気になるのは、「コウノトリ但馬空港の利活用方策」で、「県が但馬~伊丹路線と同様に運航事業者に対し機材を無償貸与すると、採算を確保した運航が可能である」としていることである。

考え方として非常に認識が甘いと言わざるを得ない。今でも収支均衡不足額の補助を行っている中、このような考え方では県民の理解を得ることはできないと思われる。但馬空港の利活用が地元の総意であるならば、今回の機材更新費用等についてもある程度の地元負担に踏み込む必要があるだろう。そうすることで、地元の但馬空港に対するさらなる意識醸成につながり、ひいては但馬空港の更なる利活用に向けた但馬地域の熱意が県全体に伝わることとなるのではないか。

そのためには、例えば天草エアラインを抱える天草市のように、ふるさと寄附金の活用を働きかけることも有効な手段だと思うが、地元負担のあり方について、当局の所見を伺う。

2 商店街の活性化とまちの再整備の推進について

2日前の産業労働部の部局審査において、「商店街の活性化」について質問を行ったところだが、本日は産業労働部とともに商店街の活性化とまちの再整備モデル事業に取り組まれている県土整備部の部局審査において、同様の趣旨で質問する。

近年、商店街を取り巻く環境は厳しさを増している。大規模店舗の進出やインターネット販売の拡大に加え、商店主の高齢化や後継者不足等により、廃業する店舗が増加している。

私の地元である神戸市灘区の水道筋商店街一帯でも、東部の市場エリアでは空き区画が増加し、シャッター街の様相を呈するなど地元商業者は危機感を感じており、このまま手をこまねいていては、地域が衰退するのではないかという危惧を抱いている。

しかしながら、水道筋商店街では、空き店舗活用の起業講座を受けた方が新たに開業されるといった歓迎すべき動きが見られるほか、若手商店主でつくる「わくわく水道筋会議」による情報を掲載した小冊子の発行や、様々なイベントを実施するなど集客力アップに取り組んでいる。昨年10月には、近畿経済産業局から「近畿のイケテル商店街」に選出され、近く開業される「JR摩耶駅」からの誘客を具体的に検討するなど、今のところ一定程度にぎわいを維持しているという見方もできる。

県では、今年度から商店街の活性化とまちの再整備を総合的に支援するモデル事業を実施しており、水道筋地域はモデル地区に指定された。現在、地元が主体的にまちなか再生計画策定に取り組んでおり、私自身もまちなか再生協議会の顧問として、微力ながら活性化支援を行っているところである。

水道筋地域の活性化は端緒についたばかりであるが、今後どのようにこの区域の活性化を進めようとしているのか当局の所見を伺う。

石井 健一郎
神戸市灘区