決算特別委員会部局審査(教育委員会)
質 問 者 越田 謙治郎 委員(ひょうご県民連合)
1 インクルーシブ教育システム構築に向けた研修について
現在、支援や配慮を必要としている児童・生徒が増加傾向にあるといわれています。私は、障害の有無に限らず、子供たちが発達段階や特性・能力、そして希望に応じて、最もふさわしい教育環境が提供されることを望んでいますし、県として最も優先順位の高い政策分野であるべきだと考えています。
ここ数年の法整備や支援体制が充実されたことにより学校生活を過ごすことができる子供たちも多くなってきました。つまり、インクルーシブ教育システムが目指す方向へは向かっているのは間違いありません。
県では、さらなるインクルーシブ教育システム構築に向けた研修を行っており、平成27年度予算では、インクルーシブ教育システム構築研修として114万円が計上されています。しかし、その内容は研修を受けた学校の代表者が、それを持ち帰った上で他の教員に研修をしているということです。果たして、それで本当に成果があるのか、私はその効果に疑問をもっています。
教育現場が多忙だということはわかりますが、児童・生徒に向き合うための研修は充実させていくべきです。したがって、全教職員が直接インクルーシブ教育システム構築に関する研修を受けることができる機会を提供するべきだと考えますが、教育委員会の見解を求めます。
2 科学的指導に基づく運動部活動の実施について
部活動に関しては時代の流れで大きく変わろうとしています。
教員側からすると、多忙化の一因となっていることや、競技等の経験がない教員も担当をさせられていることなどが問題視されています。また、生徒の減少等により競技によっては部活動が成り立たない学校もあり、まさに中学校においては部活動の在り方が大きく問われています。
ただ、どちらにせよ、運動部活動の指導には専門性が必要であり、適切な指導を行わなければ、大きな事故につながり、場合によっては命を失うということもあり得るのです。
本県でも、平成19年に県立たつの高校の不幸な出来事もありましたし、私の母校でも、約20年前にラグビー部の練習中に生徒が熱中症で倒れ、その後死亡するということがありました。
今後、教職員が引き続き運動部活動の指導を行うにしても、外部人材の活用を拡充するにしても、健全な運動部活動を実施するためには、科学的根拠に基づいた安全な指導が必要であり、新たな研究成果が日々更新される中で、指導者への研修を充実させていかなければなりません。
県教育委員会では、「いきいき運動部活動支援事業」を実施し、外部指導者の派遣による専門的な指導を行っていますが、4年で全ての学校を回る予定とのことです。多くの部活動では大半が3年生の夏休みまでに引退をするため、指導が当たらない生徒が出てきますが、これで十分に効果があるとお考えでしょうか。所見をお伺いします。
あわせまして、運動部活動中に発生した事故をどのように把握し、安全対策につなげているのかを伺うとともに、生徒への科学的な観点からの指導についてどのように取り組んでいるのか、教育委員会の見解を求めます。
3 高等学校中途退学者の現状について
高等学校の進学率は、県内で99パーセント。もはや、高等学校は事実上の義務教育機関となっています。高校に進学した子供たちが全て高校生活を謳歌し、新たな進路に進んでくれればいうことはないのですが、残念ながら平成26年度は1年間で県立高校では1,321人の子供が中途退学をしました。
義務教育ではなく、進路に関する判断は生徒個人や保護者の判断によるものだとはいえ、高校を卒業するかどうかが子供たちの人生において大きく影響することを考えると、中途退学を防ぐための取り組みと同時に、中途退学を判断した生徒とその保護者に対する支援が必要だと考えます。県の具体的な取り組みと成果をお示し下さい。
4 いじめ問題について
平成23年度の決算委員会において、県内のいじめの問題について取り上げました。当時は、大津市内の中学生のいじめ自殺をきっかけに大きな社会問題となっていました。
また、私の地元でも高校1年生が新学期に自ら命を絶つという痛ましい事件が発生しました。その後、同級生の訴えにより、自死した生徒がいじめられていたという訴えがあったこと、学校現場の対応が保護者の理解をいただけなかったことなどがマスコミにも大きく取り上げられる事態となりました。
4年前の決算委員会の答弁では、当時、71.4パーセントの学校でいじめが報告されていないとのことでした。もちろん、それぞれ言い分はあるのでしょうが、いじめを発見しにくい環境があったのは事実です。その後、国でも「いじめ防止対策推進法」が成立、県でも取り組みが進みました。
そこで、県として現在いじめを取り巻く環境をどのようにとらえているのかお尋ねしますが、4年前と比較し、どのように変わったのかについてもあわせてお示しください。
また、「兵庫県いじめ防止基本方針」に定められている重大事態への対処は、現実にどの程度実施されているのでしょうか?
私は、いじめが発生した段階で学校が対応するのは当然だと考えますが、調査を行うための組織は被害者にとって公平性や中立性が担保されたものでなければなりません。それは、第三者機関であるべきですし、常設もしくは人選のプロセスを明らかにしておかなければ、信頼性に問題が生じると考えます。この点に関するご認識に触れた上で、昨年度の実績についてご答弁をお願いします。