議会の動き

向山 好一議員が一般質問を実施

質問日:平成29年2月24日(金)

質問者:向山 好一

質問方式:分割

1 大阪の万博開催、IR整備と兵庫の関わり方について

「こんにちは、こんにちは、西の国から~」

この歌は言わずもがなですが「1970年大阪万博」のテーマソングです。6000万人を超える来場者で賑わい、高度成長を遂げる日本の象徴のようなイベントに日本中が酔いしれました。しかし、47年前の出来事ですからこの議場でも生まれていない議員が約1/3はおられ、あの感動とインパクトを実体験されていない人もたくさんいらっしゃいます。

このたび、大阪府が2025年に夢洲を会場として2度目の大阪万博開催をめざし、国家プロジェクトとして誘致を行っていこうとしています。さらに、昨年成立した「統合型リゾート施設整備推進法」に則って、万博前にカジノを含む統合型リゾート(IR)を整備しようとしていることは井戸知事もご存じの通りです。万博に関し、柳の下に2匹目のどじょうはいるのか?あのときと時代背景が違うので疑問視する声も多くあります。しかし、私は「どじょうはいるものではなく作っていくもの」だと思っています。

現在、経済産業省を中心に、テーマ案の協議が行われているところですが、大阪府が基本構想で示している開催テーマ案は「人類の健康 長寿への挑戦」。まさに人類共通の課題であり、その欲求を満たすことができれば自然にどじょうは出てくるはずです。しかも、このテーマで兵庫県は多くの強みを持っています。それだけに、この大阪万博は隣の府が取り組んでいることという第三者的な姿勢ではなく、本県の将来を大きく変え得る絶好のチャンスと捉えて積極的に関与すべきだと思っています。

昨年12月議会でも、井戸知事は、特に2021年に開催される関西ワールドマスターゲームズで醸成される健康増進への機運を万博に繋げるために、「関西全体で盛り上げたい」と答弁されました。

そこで、IRを含め具体的に3点について質問します。

(1)万博誘致に向けた県内の機運醸成について

まず、2025年に大阪万博を開催するためには、博覧会国際事務局(BIE)での承認が必要ですが、そのBIEの本部があるパリが既に同じ年の開催に向けて立候補を届けています。大阪も4月頃をメドに閣議了解を経て立候補を届け出る予定ですが、既に強力なライバルが存在しているわけです。

今後、来年秋とも言われている開催地決定まで、国家プロジェクトとして誘致合戦が本格化していきますが、ライバルに打ち勝つために大阪は勿論、「オール関西」での盛り上げ、住民の支持が何より重要となります。会場に近く波及効果を期待できる兵庫県でも、その役割を積極的に担うべきと考えます。関西広域連合長でもある井戸知事のリーダーシップを期待するところですが、誘致合戦成功に向けた兵庫県民へのアピール、盛り上げ策をどう考えておられるのか伺います。

(2)万博のレガシーを活用した兵庫の産業育成・雇用創出について

2点目は大阪万博が開催されることが前提とはなりますが、万博開催とそのレガシーを兵庫の産業育成、雇用創出にどう結び付けるかという点です。

万博の開催は、12月議会で知事のおっしゃったとおり、新たなイノベーションの創出による関西の国際競争力の強化につながると期待されます。まさしくポートアイランド等で展開している先端医療の振興、医療産業都市・神戸へのさらなる企業集積につながる絶好のチャンスとなるのではないでしょうか。このような観点から8年後に向けて、AI等も活用しつつ次世代産業である医療・健康産業の育成と雇用の創出に繋がるよう、兵庫県としてどのような戦略をお持ちなのかお伺い致します。

(3)IR開設に向けた対応について

3点目は、IRへの対応です。大阪府は万博前にIRを開設する計画をもっています。知事は以前よりカジノには大反対ですが、IR推進法の成立により、本年中に実施法ができ、大阪府知事が開設を国に申請する手順になっています。現状から判断すると、夢洲にIRが出来ることはほぼ確定的となっており、知事は「健全なIRならどんどん推進すべき」と仰っておられます。カジノ解禁に対して国民の意見は賛否が分かれていますが、現実論としてIRが出来ることを前提に、世界から訪れる観光客を兵庫県に取り込むための戦略をしっかり準備すべきではないでしょうか。夢洲地区がウォーターフロントを介しての西への拡大・発展が期待できる立地にあることを見逃す手はありません。

そのためには、例えば癒しの空間である温泉、神戸ビーフを中心とする食文化等を活用したウォーターフロントでの観光上の斬新なアイディアや医療産業都市・神戸を打ち出した医療ツーリズムの振興に加え、神戸港と夢洲を結ぶ海上の航路の整備、そして世界からの玄関口としての神戸空港の国際化と24時間化は必要不可欠となってきます。このような観点に対し、知事がいまどのような御見解を持っておられるのか伺います。

2 「コウノトリ但馬空港」の今後のあり方について

私は但馬地域出身ではないですが、但馬空港に興味を持ったきっかけは、昨年度の予算編成時に但馬空港の使用機材の変更のための購入費として27.3億円が計上されたことでありました。エアラインが使用する機材を公金で購入することはそれまで聞いたことがなかったからです。

そこで、この但馬空港に関係する兵庫県の負担を調べてみると、平成28年度では機材購入補助としての1.35億円のほか、予算ベースですが、兵庫県の空港運営のための直接の支出として、①エアラインへの赤字補填で年間約1.5億円②但馬空港ターミナル㈱への補助金等が約3.8億円、(それ以外に但馬空港推進協議会及び但馬3市2町での運賃助成約9,000万円、その他欠航時にタクシー運賃の負担もある。)となっています。

数値には表れていませんが、イニシャルコストとして空港建設に179億円かかり、県費として116億円負担しています。本来ならその負担もこれに加えないといけないと思いますが、それを差し引いても28年度の県予算額だけで年間合計約6.7億円の税金が使われています。

一方、但馬空港の年間利用者数は約3万人、この県予算額を利用者1人当たり換算すると約22,000円、空港利用者は往復で利用することが一般的なので、行って帰ってくる一人につき約44,000円の負担をしています。

そこで、一度乗らないと実態が分からないと思い、昨年12月26日に伊丹-但馬間を往復で利用しました。搭乗者は往きが22名、帰りが18名の搭乗、年間3万人という利用実績下のちょうど平均的搭乗者数で、観光客というより何度も利用しているビジネス関係者が大半でありました。また、冬場の欠航率が平均20%程度という実態もあります。

この実態を見ると、そもそもこの空港は何のための空港なのか?という疑問がぬぐえません。地元住民、自治体などが涙ぐましい努力をされているのはよく分かりますが、空港を維持していくために県民全員に負担を求めていくことにはもう限界がきているのではないでしょうか。打開策を真摯に検討する時期に来ていると考えますが、経費負担に対する見解を含め、今後の有り方について当局の御見解をお伺い致します。

3 クールビズ28度設定について

こんな真冬に夏の話をするのは場違いかもしれませんが、省エネを目的としたクールビズのうちオフィスの「28度設定」について伺います。

兵庫県も省エネに以前から積極的に取り組み、このオフィスの「28度設定」は徹底的に実施されています。私も兵庫県議会議員になって県庁で2度、この真夏のオフィスを経験しました。

この28度設定の徹底は正直相当きつく感じられます。7月、8月に県庁で仕事するには相当な覚悟がいりますし、現実問題として効率や集中力が相当落ちます。28度設定によって生まれる効果と失われる損失、どちらが大きいのかと考えるようになりました。

そこで、まず何故28度なのかを調べてみました。その根拠は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」および「労働安全衛生法 事務所衛生基準規則」で室温の範囲が17度~28度と定められていることにあるようです。つまり、人が衛生的に仕事する上でこれ以上の温度にしてはいけない上限温度になっているということです。

まず、この設定の問題点を指摘します。

1、まず、この根拠となっている法律は昭和40年、つまり50年以上前に基準として設定されたもので、現在の生活環境とは全く違っている。

2、次に、知的生産性の低下。ある民間の調査(早稲田大学 田辺新一教授のコールセンターでの調査)によると、25度から28度に室温が上がると6%生産性が低下したとの数値があります。

3、さらに、同じ28度でも周辺環境や個人によって全然違うという点です。例えば西日の当たる窓際と日が入らない北側の部屋、暑がり寒がりなど個人の体感差、そして最も違うのは湿度との関係で、同じ28度でも湿度によって体感温度は全く異なります。「ビル衛生管理法」でも湿度は40%以上70%以下と規定していますが、夏場の湿度は70%以上になることが大半です。

以上のことから、総合的にみて26度設定が理想的ではないかと思っています。エアコンの期間消費電力は27度で試算され設計気温は26度になっていますし、(公社)空気調和・衛生工学会の「我慢しない省エネへ」というレポートの中で、「一般的なオフィスでは26度が望ましく、クールビズ化したオフィスでは27度が上限」と提言としているからです。そこで兵庫県庁におけるオフィスの「28度設定」の見直しについて御見解を伺います。