議会の動き

前田 ともき議員が質問(予算審査・産業労働部)

平成30年度予算特別委員会<産業労働部>

質問日:平成30年3月8日
質問者:前田 ともき 委員

1 ベンチャー企業への効果的な金融支援について

最終2カ年行革プランの資料にひょうご新産業創造ファンドの後継を検討という記載を見ました。私は、自治体ベンチャーファンド(VC)は役目を終えたと考えています。10年くらい前までは、銀行系・証券系VCがほとんどでVCは少なかったが、最近は、独立系・事業会社系のCVCなど多様なファンドやエンジェル投資が増えてきました。

私のかつての同僚も数人が独立して、数十億のVCファンドを経営しています。羨ましい。CVCも、10年前は大手商社くらいだったが、最近はサイバーエージェントやヤフーなどのネット系、NECや富士通といった電気系、テレビ局に不動産、電鉄、遂には郵便局までCVCを組成するなど活発です。

そうした背景もあり、IPO時に匹敵する10億程度の資金調達はもうあたりまえ。未上場で100億円を調達する企業も出るなど、未上場企業への資金供給は潤沢です。

そして、自治体ファンドは構造的に難しい課題を抱えています。それは地域限定と運用期間10年の問題。要は市場規模が小さすぎるということです。例えば、直近10年間でIPOした企業で県内企業は何社あるのでしょうか。三機サービスやスタジオアタオ、カルナバイオサイエンスなどごくわずか。そして、IPO時の株式をVCは何社で何%保有していたのでしょうか。それが兵庫県の市場規模であり、それを競合するファンドと争う構図です。

もちろん、ベンチャーへのメザニンから資本への金融支援は必要です。特にメザニンはIPOを前提としないため、地方と親和性が高い。また、信金によるファンドも出てきました。こういった金融支援の方が、神戸・阪神間以外の県下幅広い地域や業態、規模、成長の志向に応えることができると考えます。

次期IPOファンドは組成すべきでないと考えますが、ご所見を伺います。また、メザニンやIPOを前提としない小ファンドへのLP出資といった金融支援が望ましいと考えますが、ご見解を伺います。

2 商店街向けのキャッシュレス決済支援について

この質問は、来年度予算の商店街向けQR決済支援の必要性について伺います。

兵庫県の税収・雇用・産業を活性化させるために、観光消費をどれだけ増やすかという話が重要ですが、その流れとして、まず第1に取り組むべきことは、観光客を増やすこと。そのため、第2に観光地としての兵庫県を知ってもらうこと。

第3に他の地域との比較に勝って訪問してもらうこと。その次に商品・サービスの購入を決断してもらうこと。そして、本事業はそのあとの決済の話です。しかも、現金やクレジットカードなど多様な決済手段があるうちの1つを強化するものです。

既に多くの外国人が訪れている京都や大阪が導入するならまだしも、兵庫県は、まだ決済手段を強化する段階ではありません。限りある予算を最適に使うためには、まずは知ってもらう・来てもらうに集中的に予算を投下することが結果につながると考えています。

また、商店街・小規模店支援という切り口ならクレジットカード決済の導入が先決ではないでしょうか。QR決済は高額消費が期待できる百貨店や飲食店ならまだしも、そもそも客単価が低い商店街で必要性はあるのでしょうか。また、発行枚数60億を超える銀聯カードはセブンイレブンなどのコンビニATMで引出可能となったため中国人観光客の現金不足は解消されつつあります。

商店街・小規模店にはQR決済より、スクエアやコイニー、楽天ペイなどの新興系クレカ決済の方がよほど必要と考えます。スクエアの場合、導入コストは五千円のリーダーのみで、決済代金の入金は翌営業日というスピード感。将来的には決済データを活用した小規模ローンや経営支援なども検討中とのことです。なお、グルメサイト掲載の飲食店でクレジットカード対応は2割。サイト掲載店でその程度ならば、商店街店舗のクレジット決済対応率はそれ以下と考えた方が良さそうです。

そこで、商店街向けのキャッシュレス決済支援であれば、QR決済だけでなく、新興クレジット決済サービスの活用支援を中心に図るべきと考えますが、ご所見を伺います。