議会の動き

黒田 一美議員が質問(予算審査・教育委員会)

第343回定例県議会 予算特別委員会 <教育委員会>

質問日:平成31年3月11日

議員名:黒田 一美委員

1 松帆銅鐸に係る今後の取組について

平成27年4月に南あわじ市で見つかった松帆銅鐸は、今から2000年以上前に作られ、紀元前4世紀から2世紀の間に埋められたものと、南あわじ市のホームページで紹介されている。こういう古い時期の銅鐸が一度に大量に埋められたことが珍しいことや、発見された7個のうち1個は全国でも11例しかない菱環紐式(りょうかんちゅうしき)という最古段階の形で、他の6個も次に古い外縁付紐式(がいえんつきちゅうしき)という形であること、銅鐸を吊り下げて鳴らすための青銅製の舌(ぜつ)という棒が7個中6個に入っていたことなど、全国的に見ても非常に貴重な発見であると思う。

また、松帆銅鐸のうちの1個が、島根県出雲市の荒神谷(こうじんだに)遺跡で発見された銅鐸と同型の鋳型でつくられたこともわかり、古代の淡路と出雲の広域的なつながりも言われていると聞く。

銅鐸は全国で500個ほど見つかっていると聞くが、その中でも松帆銅鐸の価値は秀でているのではないかと考えている。

そこで、このような松帆銅鐸について、県としてどう評価しているのか伺うとともに、今後、どう活用していこうと考えているのか所見を伺う。

2 淡路島周辺エリアの歴史的価値について

先ほどの質問で、松帆銅鐸が埋められたのは紀元前4世紀から2世紀の間と申し上げた。いわゆる弥生時代である。邪馬台国よりはるかに古く、中国であれば秦の始皇帝が活躍した時代である。そういう時代に、淡路にも文明を持った我々の祖先が生活をしていた、ということである。

淡路島は、記紀の国産み神話で日本列島の中で最初に創造された島として知られる。平成28年4月、日本遺産に認定されているが、そのタイトルも「古事記」の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」~古代国家を支えた海人(あま)の営み~となっている。海人というのは、優れた航海術をもって王権を支えた海の民のことだというが、大陸や朝鮮半島と畿内を結ぶ大動脈である瀬戸内の海の東端で、畿内の前面にある島として、古代国家形成期に重要な役割を果たした“海の民”の歴史があったと日本遺産のストーリーで紹介されている。

我が国の創生を支え活躍した淡路島周辺エリアには、松帆銅鐸以外にも鉄製品の加工、製作ができる鉄器工房があった可能性があるといわれる舟木遺跡があるなど、まさに古代史を解明する上でも非常に重要な歴史を持っていると思われる。

そこで、淡路島周辺エリアの歴史的価値について、県教育委員会ではどう評価しているのか、また、それを踏まえて今後どう取り組もうと考えているのか伺う。

3 文化財保存活用大綱について

昨年の文化財保護法の改正により、都道府県が文化財保存活用大綱を策定すること等が制度化された。その趣旨は、都道府県における文化財の保存・活用の基本的な方向性を明確化するもので、都道府県内で各種の取組を進めていく上で共通の基盤になるものだという。特に、域内の市町にある文化財の総合的な保存・活用の方針や複数の市町にまたがる広域的な取組、市町への支援の方針などが大綱に定められることにより、複数の市町にまたがる歴史的・文化的関連性を有する地域圏・文化圏域に特化した取組の方針を定められ、関連する市町が円滑に連携して取り組むことができるようになるという。

このことは、今回質問した淡路島のように、関連する文化財が市域を越えて点在する場合に、文化財の保存・活用がうまく進むことが期待される。

そこで、県として文化財保存活用大綱をどのように位置づけ、今後の文化財の保存・活用を図っていくのか、当局の所見を伺う。