議会の動き

予算特別委員会◆22年02月定例会

理   事  向山 好一 議員(神戸市北区)
委   員  栗山 雅史 議員(西宮市)
委   員  木戸 さだかず議員(神戸市須磨区市)

向山 好一 議員
 企画県民部① | 健康福祉部 | 病院局 | 県土整備部 | 総括審査

栗山 雅史 議員
 企画県民部② | 産業労働部・労働委員会 | 公安委員会 | 県土整備部

木戸 さだかず 議員
 財政状況 | 健康福祉部 | 農政環境部 | 企業庁 | 教育委員会


<向山 好一 議員>
企画県民部①
1 ウクライナ支援の行動について
2 行財政運営方針見直しの事業について
3 洲本市のふるさと納税の違法性について
4 選挙公報の未配布問題について

全文

1 ウクライナ支援の行動について

ロシアによるウクライナ侵攻は、世界秩序を壊し、武力による制圧といった断じて許されない行為であります。戦火は収まるどころかどんどん拡がり、連日の報道を見るにつけ心が痛むばかりです。

このロシアの行動に対し全世界から非難が集中し、兵庫県議会でも3月1日に「ロシアのウクライナ侵攻を非難する決議」を全員一致で採択しました。

私たちは決議をするだけでなく、その意思を何らかの形であらわすことこそが重要ではないでしょうか。

神戸市は神戸市会と共同でユニセフを通じて1,000万円の支援金を拠出すると同時に、ポートタワー等をウクライナ色にライトアップしています。

兵庫県も、まずは公館をウクライナ国旗色である青色と黄色にライトアップして、ウクライナへの思いを発信してはいかがか。当局の所見を伺う。

2 行財政運営方針見直しの事業について

行財政運営方針の具体的見直しとして58事業を挙げています。その中で、なぜこれがと疑問に思う事業について質問します。

海外事務所の見直しで、ワシントン・香港・パリが維持、ブラジルとオーストラリアが廃止となっています。その理由は県産品の海外販路拡大や中小企業の海外展開、商談・マッチング支援で効果があるかどうかが判断基準だと書いてあります。

正直、私は真逆だと思っています。ワシントン・香港・パリは世界を代表する都市で日本の海外拠点が集中しています。言い換えれば情報は安易に入り兵庫県が独自のルートや人脈を開拓しアドバンテージを発揮するには困難な都市といえます。つまりミッションが曖昧でそれこそ存続の価値が見出せないのです。

一方、西オーストラリア州には、都道府県事務所は本県事務所しかなく独自のルートを開拓しやすいのに加え、齋藤知事が最も力を入れている水素エネルギーの原産地で現に兵庫県の企業がその関連で積極的に経済活動を行なっている国であり、今後さらに関係を強化すべき国のはずであります。文化交流センターは廃止してでも経済支援拠点として残すべきと考えます。

また、ブラジルと兵庫県の関係は歴史が深く明治 41年「笠戸丸」が 781 人のブラジル移民を乗せて神戸港を出航したのがブラジル移住の始まりであり、25万人のブラジル移民の出発点の役割を担ってきました。つまり現在の200万人程度の日系ブラジル人のルーツ地が神戸・兵庫であり現にブラジル各地に兵庫県人会が存在しています。またその関係から加古川市とマリンガ市、西宮市とロンドリーナ市、姫路市とクリチーバ市、淡路市とパラナグア市が姉妹都市提携を結んでいます。このようにブラジルと兵庫県は地球の裏側で人的交流も困難な地ではありますが、歴史的にも切っても切れない関係の深い国であります。

この見直し案の取りまとめを行った新県政推進室に対し、ワシントン・香港・パリを残して何を成果として期待し、一方、ブラジルとオーストラリアに存続の価値がないと判断された理由はどこにあるのか。当局の所見を伺います。

3 洲本市のふるさと納税の違法性について

以前からふるさと納税の返礼品の過当競争が本来の趣旨から逸脱していると社会問題となり、兵庫県議会でもわが会派は何度も是正を求め他会派からも指摘がありました。そして、ようやく政府も「返礼品は寄附額の3割以下にする」と定めて全国一律のルールになりました。

しかし、先日、ある新聞の記事によると兵庫県洲本市の「ふるさと納税の返礼品」が、この3割以下を逸脱していると報道しています。具体的には、10万円の寄附で洲本温泉観光旅館連盟に加盟する11旅館で使用できる利用券5万円分貰えるというものです。つまり、3割を超え5割になっているとのこと。さらに、そのからくりは、返礼品の金額の基準が調達金額になっていることを逆手に利用し、1万円分の利用券を5,500円で仕入れ、残額4,500円を「手数料」の名目で支払うという仕組みにしているとのことでした。つまり、調達金額を低く抑え実質の不足額を別名目で補填している疑いがあるということです。

これは紛れもなく実質法律違反ではないでしょうか。現にこうした過剰な返礼品等のお陰で洲本市へのふるさと納税の寄附額は2020年度54億円にのぼり全国で8位に位置しています。洲本市の市税収入は約57億円、ふるさと納税とほぼ同額で完全にふるさと納税頼りの財政になっており危険極まりない状態と言わざるを得ません。

新聞報道によると国と県は実態調査を始めているとなっていますが、兵庫県はこの事実に対し、どのような対応をされようとしているのか。当局の所見を伺います。

4 選挙公報の未配布問題について

昨年10月施行の神戸市長選挙および衆議院議員選挙等において、神戸市須磨区において「選挙公報」の未配布が何と19,000世帯に及んだとのことです。その数は須磨区全世帯約80,000軒の約25%に及びます。これは公明かつ適正に選挙を行ううえで定めた公職選挙法及び神戸市選挙公報配布条例に明らかに違反するものであり選挙を無効としてもおかしくないくらいの出来事です。

その原因は、選挙公報の配布方法を須磨区の場合、全数民間委託しその民間業者が配布を怠り、さらには虚偽の報告を行っていたとのことでした。

今回、このような失態が明らかになった理由は、未配布世帯があまりにも多く、届いていないとの苦情が相次いだからであって、逆に言えば、これまで何度も見過ごされてきたのではないかとの疑念が生まれます。現に、この須磨区の受託業者は衆議院選挙の前の知事選挙でも受託し、1万部程度が未配布だったこともこの調査を契機に判明しているのです。つまり、知事選挙の未配布は把握できていなかったのです。

兵庫県内の各自治体の選挙公報の配布方法はまちまちですが、全部か一部かに違いがあるにしても須磨区同様民間業者に委託している自治体が複数存在しています。

過去の検証は困難かもしれませんが、兵庫県選挙管理委員会として可能な限り過去に同様な事例がないかを改めて調査し、またこの須磨区の教訓を活かし、このようなことが2度と起こらないような対策を行うべきではないでしょうか。当局の所見を伺います。

向山 好一
神崎郡

●健康福祉部
1 コロナワクチンの副反応について
2 コロナワクチンの選択について
3 子宮頸がんワクチンについて
4 コロナパンデミックの終息に向けて
(1)当面の自宅療養者や軽症者の重症化対策
(2)画期的な新薬となりうる薬剤への対応

全文

1 コロナワクチンの副反応について

まず、コロナワクチンの副反応について伺います。

私の知人の24歳になる娘さんが、昨年1回目の職域接種としてモデルナ製ワクチンを受けました。その直後、体調異変を訴え肝機能が著しく低下し、入院・職場休職を余儀なくされました。現在、その娘さんは難病指定されている「自己免疫性肝炎」と診断され、確立された治療法がなく、生涯薬に依存しなければならないかもしれない体になり、これからの人生がワクチンによって一変してしまったのです。

コロナワクチンの副反応による健康被害は、予防接種健康被害救済制度により医療費等の給付がなされますが、申請の流れは、まずは市町が請求書を受理した後、予防接種健康被害調査委員会において医学的な見地から調査し、審査にかかる資料を整理した上で、県を通じて国へ申請し、国は疾病・障害認定審査会に諮問し、給付対象かどうか決めることになっています。
これまでの副反応の代表的事例としてアナフィラキシー、心筋炎、血栓症はよく聞きますが、さきほど例に挙げた若い娘さんの疾病は、因果関係が不明確なので認められるのか不透明と治療している医療機関から言われているとのことです。因果関係が明確でなくてもワクチン接種によって一生残る可能性が高い疾病が起こったのは紛れもない事実であり、せめて給付対象としないと本人もご家族も何を信じて生きていくのか分からなくなります。

そこで、兵庫県民でコロナワクチンによる副反応として予防接種健康被害救済制度を申請した人数と、どのような症状によるのかの内訳、認定の可否について、現状どうなっているのかをお伺いします。

2 コロナワクチンの選択について

次に、先程の質問と関連性がある問題について質問します。

現在、3回目のコロナワクチン接種を対策の切り札として前倒しして実施しています。しかし、2回目までのように思い通り進んでいない理由が、モデルナ製の副反応を警戒しファイザー製へシフトしていることが大きな要因だとのことです。

厚労省が実施した「3回目のワクチン接種後の副反応に関する調査」でも、37.5度以上の発熱がファイザー製39.8%に対しモデルナ製68.0%と約2倍。倦怠感や頭痛についてもモデルナ製が上回っています。ワクチン接種による抗体数の増加はモデルナ製が上回るにしても副反応の発生頻度からしてモデルナ製を避けたいと思うのは当たり前だと思います。特に、先程の若い女性を例に出したように大きな後遺症が残る可能性を天秤にかけるとファイザー製にシフトするのはやむを得ないことだと思います。

しかし、3回目の接種券には、2回目までと違ってチケット自体に接種日・時間・場所を指定している自治体が複数存在していると聞きます。現在、兵庫県はじめ各自治体が設置した大規模接種会場はモデルナ製が主流となっており、接種者の希望とミスマッチを起こしているのではないでしょうか。

本来、どちらのワクチンを接種するかは接種者自らの選択が保障されるものでなければいけません。日時等の指定は予約する煩わしさを解消するなど親切心から起因しているのかもしれませんが、結果としてモデルナ製へのシフト策と受け止められかねません。

ワクチン接種はこれからも続く可能性が高いので、ワクチン接種の選択をより自由にするようあらためるべきではないでしょうか。

3 子宮頸がんワクチンについて

つぎに、同じワクチンでも子宮頸がんワクチン接種について質問します。

子宮頸がんワクチン接種への積極的勧奨が今年の4月に8年半ぶりに再開されます。このワクチンは定期接種が始まった直後に副反応を疑う症例があったことから厚労省が積極的勧奨を差し控えし、その間殆ど接種が行われませんでした。

その結果として、日本全体で毎年1.1万人程度の女性が罹患し2,900人程度の尊い命が奪われているという残念な状況が続いています。しかも子宮頸がんは他のがんと比べて罹患年齢が若いという特徴があり早期の再開を望む声が各方面から寄せられていただけに、積極的勧奨再開は非常に喜ばしいことだと認識しています。

しかし、再開にはいろんな課題が残っています。

1つにはワクチンの接種勧奨が行われず接種機会を逃した兵庫県での対象者約21万人への対応をどうするかです。厚労省は無料で接種できる方針のようですが、兵庫県としてその方々への周知・徹底をどのような方法で行うおつもりでしょうか。

2つには、今なお副反応への懸念は根強く残っていると思いますが、再開後のワクチンに対する信頼の回復と接種促進の取り組みはどのようになされるのか伺います。

3つ目に、ワクチン接種も勿論ですが子宮頸がん検診も大事です。その検診は比較的簡単に出来るのに受診率が低いと聞きます。兵庫県ではがん対策推進条例にもがん検診による早期発見の推進をうたっており子宮頸がん検診の受診率を高める取り組みを強化すべきではないでしょうか。ご所見を伺います。

4 コロナパンデミックの終息に向けて

4-1 当面の自宅療養者や軽症者の重症化対策

2年以上におよぶコロナとの戦いはいつまで続くのでしょうか。終息させるうえで現段階での重要な対策は、早期に3回目のワクチン接種を完了させて感染しない抵抗力を備えることと、感染しても重症化させない医療を安定的に提供することではないかと思っています。

ワクチン接種に関しては供給体制が整備され順次進んでいくものと思われますが、一方の重症化させない医療提供にはまだまだ課題が多いように感じます。その中で、特に無症状や軽症者が重症化しないためには感染直後のいわゆる初動が大切で、初期段階でモノクロナール抗体の点滴治療を行う、あるいは「ラゲブリオ®」や「パキロビッド®パック」といった特例承認されている飲み薬を処方して重症化を防ぐ体制を確立すべきです。

先日の一般質問でも複数の議員からの指摘があって、当局は「薬剤は流通量が限られ国の管理のもと登録された医療機関や薬局に配分されている」と答弁されていますが、兵庫県は大阪府に比べてその提供体制が整備されていないと専門家から伺っています。大切なことは、供給はもちろんですが、抗体点滴治療や経口治療薬がどれだけ医療現場で使われているかではないでしょうか。その観点から現場での稼働状況はどうなっているのか伺います。

4-2画期的な新薬となりうる薬剤への対応

2点目は、出口戦略に画期的な貢献が期待できると期待される経口薬が開発されています。塩野義製薬が開発したS-217622と呼ばれている飲み薬で、2月25日に厚労省に「条件付き早期承認制度」を申請し既に3月末までに100万人分の製造できる体制を作っているとのことです。

この経口薬の優れている点は、まず国産であること。つまり国内供給が優先され海外製と比べて供給の心配が少ないこと。つぎに、これが重要なのですが、「ラゲブリオ®」や「パキロビッド®パック」はワクチン未接種、60才以上、肥満や高血圧などの重症化因子がある人等投与が必要な患者に限られるなど処方に条件がついて医療機関等の厳格な管理が必要であるのに対し、塩野義S-217622は容易に投与可能で、治験件数が少ないので今後の検証が必要とは言え重症化が大幅に抑えられていて高い効果が期待できることです。

コロナパンデミックの終息に向けて,感染しても重症化させないこが最も重要な対策であり、我が国は最大の武器を持とうとしているのではないでしょうか。

現在の第6波に間に合わないかもしれませんが、おそらく到来する第7波、第8波への備えとして県としても関係各方面と連携してS-217622が投与できる体制を早期に整えるべきではないでしょうか。ご見解を伺います。

●病院局
1 コロナ禍でのコロナ以外の入院患者のケアについて
2 粒子線がん治療の保険適用拡大について

全文

1 コロナ禍でのコロナ以外での入院患者のケア

コロナパンデミックが起こって丸2年が経過しました。その間、コロナ感染者は当然ですが他の疾病であっても、入院患者さんの病室には家族といえども特に感染拡大時には原則入れません。つまり、家族は会話を通じて、あるいは五感を通じて患者がいまどういう状況なのかを知る機会が奪われています。特に療養型病院への入院となると、このままだと次に本人に面会できるのは亡くなってかなにならざるを得ません。これは家族にとっていたたまれないし痛恨の極みになります。また、患者さんにとっても愛する家族との触れ合いが生きる希望を与え、治療に対し前向きになれることを考えますと、精神的支柱を奪われることになります。

また、医師や看護師さんにとっても治療や看護だけでなく、話し相手になってあげたり、いろんな身の回りの世話が必要になり、現在多忙を極め細心の注意が必要な医療従事者に家族がやるべきケアまで押し付けざるを得ない状態になっているのではないでしょうか。特に高齢者の患者さんは排せつや食事など看護に加え介護にも手を取られるケースがこれまで以上に多くなっていると思います。

そこで、県立病院での入院患者さんへの家族の面会はタブレット端末により画像を通じて会話できるようになっているとは思いますが、先ほど申し上げた本来家族がやるべき身の回りのケアなどはどうなっているのでしょうか。そのことが現場で追加の重荷になっているなら専門のスタッフなどの配置も検討すべきではないでしょうか。ご所見を伺います。

2 粒子線がん治療の保険適用拡大について

現在、県立病院事業にはたつの市の粒子線医療センター、神戸市の神戸陽子線センターという日本を代表する粒子線医療機関があり、最先端のがん治療を行っています。しかし、保険適用の疾病が限られており、自己負担で治療する場合、1回あたり約300万円の費用が発生します。現在は、陽子線治療では小児腫瘍など4つのがん、重粒子線治療では前立腺がんなど3つのがんが適用されています。

そこに、今年の4月から肝細胞がんや再発した大腸がんなど5つのがんが保険適用に加わることになっています。兵庫県における最先端のがん治療がさらに受けやすくなるのですが、以前から粒子線治療の患者数の減少が問題になっているので、これまで以上に県民へのPRと医療機関への周知・協力が必要になってきます。

病院局としてどのように取り組むのか質問します。

●県土整備部
1 景観に配慮した防潮堤について
2 県道に私有地が含まれる問題について

全文

1 県道に私有地が含まれる問題について

「道路」とは、道路法で一般交通の用に供する道と定義されています。ですから、兵庫県は神戸市域内を除く県道及び指定区間外の国道を一般交通に支障がないように整備する責任があります。しかし、私の地元にある「県道327切畑道場線」の一部に私有地が含まれ、権利を主張する人がいることによって、交通に支障が生じている箇所があります。

私は、令和2年9月に開催された建設常任委員会でこの問題を取り上げ、このように県道に私有地が含まれる箇所は他にあるのかと質問したところ、「兵庫県にどれだけあるのか把握していない」との答弁でした。

ところが、昨年11月に民法テレビ番組で、姫路の県道で私有地が含まれ、その土地の所有者は「県に買取りなどの交渉をしているが取り上げてもらっていない」と報道された。さらにこの問題は5年前から話し合いをしているとのことでした。

この報道を見て、私は建設常任委員会での質疑を思い出し、驚きと動揺を覚えました。あの時の答弁の、「兵庫県にどれだけあるのか把握していない」は間違いでないにしても、5年前に同種のトラブルが既に起こっていたということです。

道路法上で神戸市内の県道の管理者は神戸市とはなっていますが、同じ道路法で県道の敷地は県に属すとなっていることを考えると、この県道のトラブルは決して他人事とはいえず、もし県が神戸市に呼びかけるなどして5年前に県道に私有地が含まれる他の箇所を調査し、適切に対処しておけば、いま「切畑道場線」で起こっているトラブルは未然に防げたかもしれないということです。

そこで、あらためて質問します。県道に私有地が含まれたまま道路として供用していることは放置しておいていいことでしょうか。何か対策を行うお気持ちはあるのでしょうか。

2 景観に配慮した防潮堤について

県土整備部は、「高潮対策10箇年計画」を策定し、平成30年の台風21号での高潮被害等を教訓としながら順次防潮堤の改修を行っています。その防潮堤の一部に景観に配慮する目的で「アクリル板付きの防潮堤」を設置されています。

この「アクリル板防潮堤」が兵庫県で初めて設置された場所が洲本港海岸です。この地の防潮堤は元々アクリル板なしの設計で進んでいましたが、平成29年10月の一般質問で、ある議員の「今後の防潮堤建設は景観に配慮したものにすべき」との質問に対し、当時の県土整備部長が「観光地や景勝地、人が多く集まる海岸などに限定して有効な方策として考えたい」と答弁したのを契機に設計変更がなされたのです。そして、そのアクリル板の納入業者は「シーウォール推進協議会」という団体でした。

その後、平成30年2月の一般質疑、平成31年1月の建設常任委員会でも、ある議員から議連を立ち上げた紹介と景観に配慮した防潮堤建設の積極的な働きかけがなされたのです。

そして、令和2年、南芦屋浜の防潮堤にも「アクリル板防潮堤」が設置されることになり、南側海沿いの部分が完成しています。そして、その納入業者はまたもや「シーウォール推進協議会」でした。

ここで、「シーウォール推進協議会」なる団体のことを若干紹介します。この団体は任意団体で代表者は喜田俊雄氏、アクリル板のメーカーではありません。所在地は神戸国際会館の18階、そこには何故か「ひょうご環境推進協議会」なるNPO法人が同居し、そのNPO法人の役員に複数の兵庫県会議員が名を連ね、今は変更になっていますが当時の代表者も兵庫県議会議員でした。

コンクリートの塊の防潮堤よりアクリル板があるほうが景観は優れるのは認めます。しかし、私がこれは問題じゃないかと指摘したいのは、南芦屋浜防潮堤工事の入札希望者へのアクリル板のメーカー選択に関する質問に対する令和元年8月9日付けの回答に、「シーウォール推進協議会の製品を想定している」と明記していることです。つまり、シーウォール推進協議会を通さないと設置できないとなると価格競争が働かなくなるのは火を見るより明らかです。

現に建設費は洲本の場合が1.8倍、南芦屋浜の場合は5億円も追加経費がかかっています。なぜ、「シーウォール推進協議会」限定かのような仕様にしたのか明確なご答弁を求めます。

●総括審査
1 ウクライナ危機等がもたらす県民生活への影響
(1)県内の物価高騰の現状について
(2)消費者・事業者への緊急的支援について
(3)半導体不足への対応について
2 県政改革方針案について
(1)県政刷新への知事の信念、強い意志について
(2)三宮駅周辺再開発への補助金について
3 大阪・関西万博開催を契機とした未来へのレガシー
4 「南芦屋浜防潮堤改修工事」に見る県政の課題について

全文

1 ウクライナ危機等がもたらす県民生活への影響

(1)県内の物価高騰の現状について

まず、やはりこの問題に触れないわけにはいかないので質問します。

ロシアによるウクライナ侵攻で心を痛めていない人はいません。私は企画県民部での質問の際に、具体的支援行動の1つとして兵庫県公館をウクライナ色にライトアップすることを提案しました。当局の努力のおかげで正面のみとはいえそれが実現しました。県庁にあったLEDをかき集めたと聞いております。即時に対応して頂いたことを讃えたいと思います。また、難民の受け入れ、県営住宅の提供などの支援策も発表されていますが、それに止まらずさらなる支援をお願いします。

さて、この紛争は決して対岸の火事ではなく、兵庫県民の生活にも多大な影響を既に与えています。最も深刻なのが物価の高騰です。原油・天然ガスの原価はそれ以前も高騰していましたがそれに拍車をかけ、それがガソリン、電気代、ガス代に影響し、小麦などの食料品の高騰が続いていますし、輸送費のコスト増が全ての物価を押し上げています。これは全て生活必需品です。そして、これは一過性ではなく長期化する情勢にあります。

そこで、現状認識として、ガソリン代、電気・ガス代、小麦価格などの主要品目の兵庫県内の直近の価格が昨年同期比と比べどうなっているのかお答え下さい。

(2)消費者・事業者への緊急的支援について

この物価高騰は、特に低所得者や中小企業を直撃しています。それでなくてもコロナ禍で疲弊しているところに追い打ちをかけることになっているからなおさらです。兵庫県としてもこの緊急事態に鑑みでき得る支援を行なうべきです。

そこで、まず消費者対策として母子父子寡婦福祉資金貸付制度や生活福祉資金貸付制度の活用を、中小企業対策として県の中小企業等融資制度や国の経営環境変化対応資金や中小企業経営力強化資金などの活用等、現制度の運用を拡大することによって県民生活の安定を図るべきではないでしょうか。知事のご所見を伺います。

(3)半導体不足への対応について

さらに、これまでも深刻な問題だった半導体不足にウクライナ危機によってさらに拍車がかかることが懸念されています。それは、半導体製造に必要なネオンやパラジウムは、ウクライナやロシアからの輸入が含まれるからです。それだけに、半導体の国産化の拡大は経済安全保障上の観点からも産業界にとってこれまで以上に重要な課題となっています。

齋藤知事は、令和4年度予算案に「先端半導体等技術開発拠点推進協議会(仮称)」の設置費を計上されていますが、この協議会の最終到達点は研究拠点だけなのか、それとも大規模な製造工場誘致まで想定していることなのか伺います。

2 県政改革方針案について

(1)県政刷新への知事の信念、強い意志について

齋藤知事が県政刷新の具体的内容として取りまとめた「県政改革方針案」が提示されました。これは、12月に第一次案を発表するやいなや各方面からその一部の内容に異論が噴出し、あっさりと修正し今回の案に至っています。

例えば阪神県民局の統合は、関係者が長年議論を重ねた末に阪神北県民局と阪神南県民センターを、伊丹庁舎を改修したうえでそこに統合する計画を決定していました。それを第一次案ではコストのさらなる削減をめざし、統合先を宝塚にある現阪神北県民局に変更する案を提示しました。ところが説明不足だと反発されると、いとも簡単にその案を取り下げ、しかも統合そのものも一旦凍結するとなっています。

また、県政改革を見える化するために提案された「行財政の運営に関する条例」の改正案についても、代表質問や特別委員会で多数の疑義が出され、当局は今後の対応を検討すると答えています。

知事就任以降、県政改革に努力されているとは思いますが、スタートラインでつまずいているように見えます。マスコミからも「知事の本音が見えない」や「真意が伝わってこない」「総合的判断の言葉が多く、自らの言葉で説明すべき」と手厳しい評価のコメントが散見されます。

私も同じ思いをもっています。この一連の右往左往を見ると知事のリーダーシップや確固たる思いはどこにあるのかと疑問を感じざるを得ません。これからさらなる改革に期待している者として不安を抱かざるを得ないのです。

知事からすると議会やマスコミは厄介だなと思っておられるかもしれませんが、それを跳ねのける強い意志、揺るぎない信念、そして理解を得るための説明力こそが必要ではないでしょうか。

そこで今一度、困難な障壁があっても改革を断行するのだという知事の強い思いを本音でお聞かせいただけないでしょうか。

(2)三宮駅周辺再開発への補助金について

次に、県政改革方針案に示されている事業に茶々をいれるようで恐縮ですが、神戸市内で行われる新たな市街地再開発事業への補助について質問します。このことは、一般質問、予算特別委員会財政状況の際も、長瀬議員はじめ複数の議員から指摘がありましたが、私からも三宮駅周辺再開発事業に関し、大きな問題点があることを指摘します。

まず、現在進行形である都心・三宮再整備事業は、県庁所在地の表玄関の役割を担う三宮駅周辺を外訪者含め魅力的な街へ再生させる事業であり、この成果は兵庫県全体に波及する兵庫県としても重要なプロジェクトであり、単なる周辺地域の再整備ではないという点です。

2点目は、現在施行中の雲井通5丁目および関連する6丁目の事業は補助を継続するとのことですが、それは再整備事業の一部であり全体が完結して初めて目的が達成されます。つまり、今後の事業に悪影響がでてくることが懸念されます。

3点目、これが最も重要だと思いますが、知事は県庁舎再整備事業を一旦凍結し、元町全体のグランドデザインを描いたうえで再度検討する方針を示しています。元町全体のグランドデザインは神戸市の協力なくしてできるはずがなく、また雲井通5丁目・6丁目の事業後はサンセンタービル、ウォーターフロントへと再整備は西へ、つまり元町方面へと向かうことになり、これまで以上に県庁周辺再整備と密接に関連する事業が含まれることになり、県による一定の関与が今後の県庁周辺再整備のためにも必要ではないかという点です。

このように、兵庫県の発展に重要であり、県庁周辺再整備事業と密接に関連する三宮駅周辺再開発事業に、齋藤知事は何故補助の見直しを検討されているのか伺います。

3 大阪・関西万博開催を契機とした未来へのレガシー

この課題については、予算特別委員会の中で複数議員が取り上げ、わが会派の栗山委員は各部局に横串を入れて質問しました。そのやり取りを踏まえ総括的に質問します。

私は、大阪・関西万博2025の開催意義は何なのかについて議論したいと思っています。1970年に開催された前回の大阪万博のとき、私は小学生でした。月の石を見て感動し、見たことのないパビリオンの建物を見て驚き、人間洗濯機や電気自動車などの革新的技術に未来を夢見たものです。つまり、万博開催の意義は、非日常を体験すると同時に未来社会を具体的に提示することを通じて将来の発展の基盤を作ることだと思っています。

現に1970年大阪万博を契機に千里ニュータウンが誕生し、地下鉄は北へ伸び、その種のお陰で今や京都との境まで街は拡がっています。御堂筋は南一方通行となり今の梅田と難波という2大スポットの形成に繋がっています。

1964年の東京オリンピック開催も、それを契機に東海道新幹線、首都高速道路、名神高速道路が整備され首都・東京の骨格を形成し、現在の世界都市TOKIOに繋がっています。

この視点から、いま兵庫県がやるべきことは大阪・関西万博開催を契機として、どんな未来へのレガシーを作るのかが重要です。つまり、残された3年間で今後の発展に欠かせないインフラを整備することこそがリーダーの果たすべき責務だと思います。

しかし、齋藤知事がこれまで大阪・関西万博の効果を兵庫に取り込む政策は、フィールドパビリオン、水上交通、船上MICEくらいしか聞こえてきません。それ自体を否定しません。しかし、それは単なる観光コンテンツの開発、開催期間中の来客誘致には役立つかもしれませんが、兵庫の未来の発展へつながる社会基盤の整備という観点ではなく、発想があまりにも貧弱、単なる枝葉の議論をしているとしか思えないのです。

私の思い描く万博を契機に整備すべき社会基盤は、「アクセスの改善」、「未来社会の提示」、「目玉となりうる観光施設」です。その具体的内容は、アクセスは神戸空港の国際化、未来社会の提示はポートアイランドでの水素社会の実験場と淡路での空飛ぶ車の乗り場整備、目玉の観光施設はウォーターフロントなどでの神戸ビーフ館の本格整備です。この3つを大阪関西万博の開催までに整備することによって、期間中はもちろん開催後は新たな産業や観光振興等を通じて兵庫の賑わいに大いに貢献してくれるはずです。

齋藤知事、単なる万博で大阪のおこぼれを貰おうという対策ではなく、未来に繋がるレガシーを兵庫の地でもしっかり作ろうとする発想で、いま申し上げた3つの提案の実現に力を入れるべきではないでしょうか。

いま申し上げた社会基盤の整備を3年以内に形にして貰えるでしょうか。

4 「南芦屋浜防潮堤改修工事」に見る県政の課題について

私は、県土整備部への予算特別委員会部局審査で、南芦屋浜で行なわれた「アクリル板付き防潮堤工事」での私が感じる不可解な経緯を踏まえ質問致しました。その際、設置したアクリル板に最近不具合が発生したとの答弁がありました。私にとっては衝撃的でした。

その不具合の内容を質問後に確認すると、昨年秋ごろ、アクリル板に取り付けたゴム製パッキンが変形し正常に付着していなかったとのことでした。設置してから1年程度で不具合が発生する防潮堤で、本当に平成30年のときのような高潮が押し寄せても大丈夫でしょうか。南海トラフ地震が発生したら芦屋には最大3.7メートルの津波が押し寄せると兵庫県は予想していますが、このアクリル板はもつのでしょうか。

このアクリル板は、新設した13工区全て県土整備部が推奨した「シーウォール推進協議会」が納入したものです。推奨に至った経緯は予算特別委員会部局審査の際に詳しく申し上げたので、この場では申しません。しかし、結果としてそのことによって9億円という高額の税金による追加経費を支払いながら、逆に周辺の住民の皆様に不安を与えることになっています。

県は周辺住民の皆さまの不安を払拭するためにどうされるおつもりでしょうか。お尋ね致します。


<栗山 雅史 議員>
●企画県民部②
1 大阪湾ベイエリアの活性化について
2 ひょうごフィールドパビリオンについて
3 万博後も見据えた海上交通の充実について
4 男性の家事・育児の参加促進について

全文

1 大阪湾ベイエリアの活性化について

令和4年度の当初予算案に、「大阪湾ベイエリアの活性化」とあり、大変注目をしています。2025年の大阪・関西万博を見据えて、大阪湾ベイエリアに人、モノ、投資を呼び込み、官民連携により、新たなベイエリアのグランドデザインを策定し、ベイエリア活性化に向けた事業を展開、と書かれてあります。

「大阪湾ベイエリア」については、斎藤知事の公約の中に「播磨灘・大阪湾ベイエリア再生プラン(仮称)」を策定し、大阪・関西万博や大型開発プロジェクトを機に、大規模な集客、IT、医療、金融など世界的な企業、高度人材の誘致を目指す、とあります。当局が目指される方向性は、まさにこの知事の公約にあるようなことなんだろうと推察しますが、今のところ、その全容がわからないので、今回の質問に至りました。

予算案を見ますと、「新たなベイエリアのグランドデザイン」の策定を目指し、まずは兵庫県域の「大阪湾ベイエリア活性化基本方針」を策定されるということで、大阪湾ベイエリア活性化本部を立ち上げ、学識者や金融機関、開発事業者などで構成する企画委員会を開催し、基本方針を策定していくという運びになっています。

私はこの基本方針の策定はとても重要なものだと思っています。しかし、私はこの「大阪湾ベイエリア」のような「県の沿岸部」という地域を指定した活性化の計画について、兵庫県がこれまで備えてきたことがあるのか、私はあまり記憶にありませんでした。で、困っていたところ、当局が調べてきてくれました。

1991年の大阪湾ベイエリア開発推進協議会、これは関経連、同友会、沿岸自治体、大学、商工会議所で構成されていたようですが、「大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザイン」が発表されていました。これが始まりです。きっかけは関空の開港だったんですよね。当時、私は高校生、大学生でしたが、その頃を思い出しました。

そして1992年の「大阪湾臨海地域開発整備法(ベイ法)が制定、本県では1997年にベイ法に基づく「兵庫県大阪湾臨海地域整備計画」というものが策定されていました。もう25年前のことなので、どうなんでしょう、部長をはじめこちらにいらっしゃる課長級の方々は若き頃のこととして記憶にあるのかも知れませんが、これらの計画に基づく取組みはどうだったのか、気になるところです。

計画は計画通りに実行され、成果を出されてきたのか。その上で、今回はまさに万博を契機に、大阪湾ベイエリアを再び活性化したいと、知事の公約では「再生」という表現もあるわけですが、今回策定予定の基本方針で「何を再生し、何を活性化」したいのか、そして「活性化」というのはどういうものなのか、そのあたりについて、現時点で考えておられる当局の大阪湾ベイエリアに対するご所見をお伺いしたいと思います。

2 ひょうごフィールドパビリオンについて

ひょうごフィールドパビリオンについては、本会議の一般質問でも何人かの議員が取り上げられてきましたし、知事がワーケーション知事室など県内各地に行かれる度に、折に触れて「フィールドパビリオンになり得る」などという発言もされてきました。なんとなく、この「ひょうごフィールドパビリオン」について輪郭が見えてきたところなのですが、今回の質問では、そもそもパビリオンとはどうあるべきなのか、万博会場の外にある兵庫県内の資源を活かしたものという答弁もありましたが、それは大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」や「SDGs」にどのように繋がるのか、それを考えてみたいと思います。

まず、最初に確認したいのが知事の公約です。公約にはこうあります。

『2025年大阪・関西万博に来場する世界の人々を、県内各地の農業や地場産業などの現場に誘う「兵庫フィールドパビリオン(仮称)」を実施し、五国の魅力を世界に発信します』。

予算案においても、「万博期間中に本県の魅力を発信し、フィールドパビリオンへの誘客につなげる」とありますが、この表現や知事からの答弁を見て聞いて思うことは、結局は国内外の人々を、大阪の万博会場だけで終わらせるのではなくて、兵庫にもいろいろと魅力的なものがあるから体験しに来てよということ、そして万博会場で万博を体感した後の次の行動としてぜひ兵庫県で観光してよと、こういうことなんだろうなと思っています。これは、コロナ前にインバウンドの世界のお客さまが多数来ているときに、大阪・関空入りしたお客様を何とか兵庫県へと誘った動きとほぼ同じだなと感じました。あの時、インバウンドのお客様をどの程度兵庫県へ引き込めたのか、観光面で色々と工夫や努力をしたことについては成果があったのか、気になるところです。

万博には世界各国の、おそらくすごい魅力的なパビリオンが多数出展するのでしょう。そして国内の民間企業も出展されると聞いています。そんな中で、関西広域連合として出展される共同パビリオンの、広域連合の一員としてのブース、コーナーの一角で兵庫県のPRをするんだと思いますが、予算案によるとそこで独自の展示や仮想体験、現地とのリアルタイム交流などをしていきたいとのことですが、それが実際に兵庫県へ向かうきっかけになるのか、ひょうごフィールドパビリオンへ誘うということはできるのかと、疑問に思っているのです。海外のパビリオン、民間企業のパビリオン、関西広域連合の他の構成員である京都や奈良、滋賀など、ライバルはたくさんいる中で、万博会場を離れた次の目的地に、京都でもなく、大阪でもなく、奈良でもなく、兵庫県を選んでいただけるのかどうか、その戦略がいま問われるところです。

それと、知事の答弁を聞いていて、また計画にも地域別説明会を10回程度開催していくということですが、どうも県内の全市町でフィールドパビリオンをつくりそうな勢いを感じるのですが、いったいいくつのフィールドパビリオンをつくりたいと思われているのでしょうか?例えば県内29市12町に1個ずつだとすれば41のパビリオンができてしまいます。そんなにたくさん作ったら、一体何が魅力的なフィールドパビリオンなのか、来場者が考えて見極めないといけなくなります。そして、当然万博会場からのアクセスの問題もあります。

本来は、万博のテーマである「いのち輝く未来社会」に繋がる、兵庫県内に行かないと絶対に体験できない、強いアピール力のあるフィールドパビリオンを、私としてはせいぜい3つから5つ準備できれば良いのではないかと考えています。

加えて、県土整備部でも質問するつもりですが、城下町の酒蔵や地場産業の景観を、フィールドパビリオンの重要な要素として、その価値と魅力を高めるための景観条例の改正を予定しているとあります。一体、フィールドパビリオンはどこまで増えていくのでしょうか。その結果、どれぐらいの方々が兵庫県に来てくれるのでしょうか。

「ひょうごフィールドパビリオン」の基本計画、アクションプランについて、現在当局はどのようにお考えなのか、ご所見をお伺いします。

3 万博後も見据えた海上交通の充実について

ベイエリアの活性化、万博関連で最後の質問です。「万博後も見据えた海上交通の充実」についてです。

産業労働部予算でも「大阪・関西万博を見据えた水上交通観光圏の形成について」というのがありまして、そこでも同様の質問をする予定ですが、大阪湾の海上交通ですよね、関空淡路ラインなど、これまで何度も定期航路を作っては採算が取れずに運航休止となってきた歴史があります。本当に、再びやるのでしょうか。

文字面を見ますと「万博後も見据えた海上交通」とあります。「万博後も」、なんですよ。万博で盛り上がった後、例えば万博期間中に形成された海上交通を、その後も定着させたいということなのでしょうか。しかも充実とあります。

その前に、万博前にどのような航路をつくるのか、採算が取れるようなものなのか、テスト的なものなのか。それは多くの方々が普段から利用したいと思ってくれるものなのか。

そして万博期間中も、です。期間中は、ある意味特別な航路が期間限定であってもおかしくないですが、その時だけのものにならないでしょうか。

当局は、知事の公約に引っ張られてこのような事業を掲げているのではないかと思っていますが、過去の歴史や反省、そして今の陸上交通の利便性の高さなどを考えたときに、果たして大阪湾の海上交通を万博後も充実させていくということについて、当局はどのような見通しを持っているのでしょうか。当局のご所見をお伺いします。

4 男性の家事・育児の参加促進について

昨年の12月議会での一般質問でもこのテーマを取り上げさせていただきました。あれから3か月しか経っていませんが、今後の女性活躍のためにとても大事な取組だと思いましたので、今回も質問をさせていただきます。

城部長からは、私の一般質問に対してこのようなご答弁をいただきました。

『男性自身のやる気を引き出すということが大切で、家族が一緒に楽しく家事ができるヒントを県のホームページで「ゆる家事大作戦」と称して11月から紹介を始めております。さらに今後、実践につながるような動画も配信をしていく予定です。(中略) 子育て中の知事を筆頭としまして、取組をさらに進めてまいります。』ということでした。

これらの取組についてどうであったのか、男性自身のやる気は引き出せたのか、その他反響などを含めて教えていただきたいと思います。

また、令和4年度で実施されようとしている施策で、「共家事(トモカジ)促進事業の展開」というものがありますが、これはどのようなものなのか、その狙いを含めて令和4年度の「男性の家事・育児の参加促進」の全体的な取組について、意気込みなどをお願いできればと思います。

栗山 雅史
西宮市

●産業労働部・労働委員会
1 新観光戦略における県内へのアクセスや周遊の手段について
2 兵庫デスティネーションキャンペーンについて
3 首都圏プロモーションについて
4 大阪・関西万博を見据えた水上交通観光圏の形成について

全文

1 新観光戦略における県内へのアクセスや周遊の手段について

2023年度以降の観光戦略を議論するため、「新観光戦略推進会議」を新たに設置し、新観光戦略を策定していくとの予算案がありました。この件については藤田議員の一般質問でもありましたが、違う観点からお聞きしたいと思います。

現在進行中の観光戦略は「ひょうごツーリズム戦略」で、2020年度から2022年度の戦略ですが、この期間はほぼすべてがコロナウィルスによって環境が変化してしまった期間であり、戦略通りにあまりできなかったと考えます。来月にはこのツーリズム戦略の最終年度を迎えますが、コロナの影響など社会情勢の変化を受けて、現在は戦略を見直されており、観光産業の再生と、ポストコロナの新たな観光モデルの創出を図るとしています。ぜひ頑張って欲しいと思っています。

さて、2023年度からの新たな観光戦略ですが、基本方針として想定されるキーワードとして、例えば「持続可能な観光地域づくりの推進」や、「歴史文化、ストーリーを通じて共感を生み出す本物志向の観光」、「近隣府県との交流と連携による広域観光圏の形成」などが掲げられていました。それに加えて、来年度はJR6社によるデスティネーションキャンペーンのプレイベントがあり、そして2023年のDC本番、そして2025年の大阪・関西万博を控えており、これらのイベントを意識した戦略になることは間違いのないところだと思います。さらにそれに加えて、齋藤知事という新知事を迎えて、知事の公約にある大阪湾ベイエリアの活性化、SDGsなどにも配慮した方向性も意識されていくと思います。コロナ後の変化を見極めつつ、大きなイベントをきっかけに、県内観光産業が再生し、国内外の方々にもっともっと兵庫県に来てもらえるような戦略を盛り込んでもらいたいと思っています。

私としては特に重要だと思っているのが、今まであまり触れられていなかった県内各地へのアクセスの課題、2次交通についてです。次の質問、「兵庫デスティネーションキャンペーン」にも関連しますが、例えば、現在JR西日本と協議進行中とあります五国を駆け巡る「観光列車」や、「ひょうごクルージングバス」など、県内周遊の利便性向上も含めてどのようにお考えか、当局のご所見をお伺いします。

2 兵庫デスティネーションキャンペーンについて

昨年10月に正式決定しました兵庫県でのデスティネーションキャンペーン。2009年以来14年ぶり2回目ということで、開催地に採択されるまでの関係各位の多大なる努力について敬意を表するとともに、本当に心から喜ばしく思っています。

さて、このデスティネーションキャンペーン、以下DCと言いますが、決まった限りは兵庫県の魅力を存分に伝え、またさらに発掘し、国内外の方々に多く来県してもらって兵庫を体験してもらわないといけないなと感じています。担当課からは、このDCのテーマは「テロワール旅」と決まって、世界に誇る兵庫県の食を味わっていただくとともに、それを育んできた自然、歴史、文化、産業や担い手と組み合わせたストーリーとして体験する機会を提供していくと聞いておりまして、今後の展開を大いに期待をしているところです。

さて、その前に初めてDCの開催地に選ばれた2009年のDC「あなたに会いたい兵庫がいます。」の実績について、どうであったのか振り返りたいと思います。この期間にどのような特別企画や取り組みがあったのか、そしてその実績はどうだったのか。期間中の延べ宿泊客数や経済波及効果、当時の良かった取組み、不十分だったことなどを振り返る中で、今年夏のプレイベント、来年の本DCにつなげてほしいと思っています。

昨年の4月から9月にかけて実施された「東北DC」の実績が公表されていましたのでご紹介しますと、実施結果として、1,361万人泊の延べ宿泊客数や、約185億円という経済波及効果が示されておりました。その他、各コンテンツの実績として特別企画のこと、デジタル観光素材集のこと、プロモーションの実績、JR東日本の取組に関する実績についても掲載されていました。なるほど、DCとはこのような実績があがってくるのだな、あるいはこれぐらいのボリュームの取組みが必要なんだなと、改めて大変な事業であることがわかりました。

兵庫DCの事業計画・予算案の取組内容を見ますと、大きく7つの柱がありました。「食・文化・産業」体験メニューの提供、プロモーションについて、環境に配慮した周遊利便の向上、「県民総参加」のおもてなし、ポストコロナに対応した安心旅の提供、そして兵庫観光のリブランディングなどでありました。どれも欠かすことのできない取組みでありますし、すべてを的確に、着実に進めていかないと、このDCを成功させられないと感じています。

この大事業を何としても成功させて欲しいと願っていますし、応援をしたいと思っておりますので、前回のDCについてどう捉えているか、また気になります「延べ宿泊客数や経済波及効果」の目標設定についてはどのようにお考えなのか。一般質問の答弁にもありました、新たな目標指標としての「脱炭素やフードマイレージ」など、持続可能な観光地域づくりの指標も含めて「数値目標」をお示しいただければと思います。

3 首都圏プロモーションについて

今回の予算案で、「観光・特産品の首都圏プロモーションの実施」という事業がありました。これは、今後のDC、大阪・関西万博を見据えると、本当に重要で、必要な事業だと感じています。

予算案では、1として兵庫ブランド向上事業の展開、2として兵庫ブランドをアピールする首都圏イベントの実施が掲げられています。コンサルティング能力を有する専門事業者と連携し、首都圏富裕層をターゲットとしたテストマーケティング、B to B販路拡大、首都圏の百貨店等でのプロモーションなどが具体的な事業となっています。

私がこの事業案を見て思ったことがいくつかあります。それは、「これまでに実施していた首都圏アンテナショップ支援事業を一新し、他県に負けないセンスがあり、効果的で興味を引く店舗もしくはブースの設営が必要であること」、そして「東京だけでなく、首都圏の神奈川、千葉、埼玉での複数のプロモーション機会を創出すること」、そして「プレDCのこの夏、また来年の本DCに寄与する取組みが必要であること」などです。加えて言うならば、本当は首都圏だけでなく、人口が集中している中京圏、九州・福岡、そして近畿圏内でもプロモーションを展開して欲しいところですが、いずれにしても「兵庫県の魅力ここにあり」ということを、全国に広くアピールしなければならないと考えています。

この「観光・特産品の首都圏プロモーションの実施」について、当局の想い、今後の展開についてお伺いしたいと思います。

4 大阪・関西万博を見据えた水上交通観光圏の形成について

この質問については企画県民部でも同様の項目がありまして、質問をさせていただきました。企画県民部でも言いましたが、この事業案、正直なところ、どこまで本気でやるつもりなのか、本当にやれるのかと心配をしております。財源的には全額地方創生臨時交付金ですから、懐が痛むものではないのでしょうが、これまでの本会議の代表・一般質問での知事などの答弁を聞いておりますと、水上、いわゆる大阪湾ですよね、そこで観光交通圏を形成するというのは、私は正直イメージできないのです。

「令和の北前船プロジェクト」と別名がわざわざ記載されておりますが、ということはやっぱり船での交通が基本になるんですよね?岡議員のクルージングMICEの質問に対する齋藤知事の答弁の中に、「民間事業者は定期航路での採算は取れないとの声がある」と言及されており、水上交通による観光は、正直難しいのではないかと推察しております。

これまでにも関空から淡路島・洲本の航路を中心に、何度も実施しては運航中止となってしまい、定着しませんでした。大阪・関西万博を見据えるとありますが、じゃあ万博会場である夢洲や天保山あたりから兵庫県への新たな定期航路ができて、兵庫県内の沿岸部各地を船で、まさしく北前船のごとく、周遊・観光することが果たして出来るのかどうか。来年度はテスト期間なのかも知れませんが、定期航路ではなくて、とても特別な、単発のクルーズばかりならば、こんなに大きく「水上交通観光圏の形成」などと言えるのかと、私は疑問であります。

本事業案の詳細、構想についての、当局のご所見をお伺いしたいと思います。

●公安委員会
1 災害警備について
2 職員待機宿舎について
(1)適正な管理戸数と統廃合・新設の計画について
(2)入居期間と住み替えなどの運用について

全文

1 災害警備について

警察は、大規模な災害が発生した場合に災害警備体制を即座に確立され、情報の収集・分析や、避難誘導、救出救助活動、緊急交通路の確保、行方不明者の捜索、治安の維持にあたること等を任務とされています。災害が発生した際に、消防や自衛隊とともに、そうした活動に勤しんでおられる警察職員の皆さんの姿を見るにつけ、本当に頭が下がる思いをしております。

都道府県警察の仕事のメインと言っては変ですが、多くは犯罪捜査などの「刑事」、防犯指導や非行防止などの「生活安全」、交番業務やパトロールなどの「地域」、交通違反取り締まりや安全運転指導などの「交通」、テロやゲリラの取り締まりや災害から市民を守る「警備」などに従事されておられるので、災害時の警備はある意味イレギュラーなものではないのかなと思っております。もちろん専門部隊もいらっしゃいますが、多くの職員さんは、大規模災害時に限っては従来業務から離れて応援に駆け付ける任務を兼務されていると聞いております。

そこで、この災害警備については「災害時職員緊急参集システム」を活用して職員を招集しているようですが、発災初期に、警察はどのような初動体制が敷かれていて、どのような運用をされているのか、そして専門部隊である「広域緊急援助隊」の役割と任務などについて、ここで明らかにしていただければと思っております。また、次の質問にも関係するのですが、待機宿舎にいらっしゃる方々が初動措置として行動されたケースとしてどのようなものがあるのか、お伺いします。

2 職員待機宿舎について

実は、私の自宅の隣町に、もう歩いて3分ほどなんですが、西宮待機宿舎がありまして、知人もできまして、いろいろとお話を伺っていると、まあ色んなことがあるんだなあと思いまして、今回この待機宿舎に注目をしてみようと思い、質問をすることになりました。 質問は大きく2点です。

(1)適正な管理戸数と統廃合・新設の計画について

1つ目は、この待機宿舎を設置している意味と今後の管理戸数です。設置の理由は先ほどの質問でも触れましたように、「大規模災害時の初動措置に必要だから」ということで、それは良いのですが、近年はこの待機宿舎の管理戸数を削減してきており、平成19年度では1,592戸ありましたが、令和4年度末見込では797戸にまで減っていくようです。待機宿舎の多くは昭和40年代、50年代に建てられたもので、多くは耐震不足と聞いておりますし、老朽化も進んでおり、近年は建物ごと廃止するケースも多くなってきているようです。

そこでお伺いしたいのが、待機宿舎を設置している意味としての大規模災害時の初動措置には、どの程度の待機宿舎の戸数が必要と考えておられるのか。まずその点を聞きしたいと思います。

また、その適正な必要戸数を踏まえて、老朽化した宿舎についての今後の統廃合、新設などの計画はどうなっているのか、お聞きします。

(2) 入居期間と住み替えなどの運用について

続いて2つ目です。入居期間と住み替えなどの運用についてです。

待機宿舎管理要領によりますと、宿舎に入居できる期間は12年となっています。しかし、期間経過後も引き続き入居する必要のある者は、改めて宿舎入居許可申請書を提出する必要があり、その申請書を受けた警務部長は、当該申請者の本俸、勤続年数、職種、家族構成等により継続入居の必要があると認めたときには、期間を限って入居の承認をすることができるとあります。管理要領にはこうあるのですが、聞くところによりますと、非常に長い期間、入居し続けている職員がいるらしく、実態としてはどうなっているのか、どのような運用をしているのかと心配をしております。

次に、住み替えなどの運用です。待機宿舎は多くが集合共同住宅であり、生活をしている以上、家族を含めていろいろな隣人トラブルもあると聞きます。それはどこでもあることです。そういった際に、住み替えなどの制度はないのでしょうか?

市営住宅なんかではそういう制度があります。家族構成の変化や、生活音の問題、本人・家族のケガや疾病など、そういった理由で部屋を替わりたい、あるいは別の地域の待機宿舎に引っ越したいなど、あると思うのです。そういった際にはどういった制度があるのでしょうか。お聞きします。

●県土整備部
1 JR西日本の県内ローカル線の将来について
2 ひょうごフィールドパビリオンの重要な要素としての景観条例の改正について

全文

1 JR西日本の県内ローカル線の将来について

先月2月16日、JR西日本の長谷川一明社長は、利用者が極めて少ない在来線の区間別の収支状況を4月に公表する方針を明らかにしました。鉄道の利用状況を示す輸送密度が、「運行困難」の目安とされる1日あたり2,000人を割り込む17路線30区間が対象となるようです。その中に、兵庫県内の区間もいくつか含まれていました。

鉄道各社はコロナ禍で業績が悪化し、ローカル線の維持は一層、難しくなっていることについては、ご承知のことと思います。JR西日本は、今回初めて区間ごとの輸送密度を示し、今後不採算の区間も明示するとのことでありますが、その狙いはその路線が今後どうあるべきなのか、鉄道運行が良いのか、それ以外の選択肢にするべきなのかという見直しに向けた議論を加速させたいということのようです。つまりは軽量軌道交通(LRT)への転換や、路線廃止によるバス転換なども視野に入れて見直す考えを記者会見で明らかにしておりまして、今後、対象となるローカル線の関係者、つまりは沿線自治体になると思いますが、協議していくということです。

JR西日本がここまで踏み切ったのは、やはり民間会社として独立採算を保っていかなければ、今後の経営が立ち行かないということだと思います。国鉄時代から引き継いだ広範囲の路線すべてを維持するために、都市部のドル箱路線や新幹線の収益で赤字のローカル線を支えてきましたが、コロナ禍で全体的に収入が落ち込み、このモデルが成り立たなくなっています。

さて、兵庫県内で対象となる区間をご紹介しますが、一番輸送密度が低いのが加古川線で、西脇市から谷川の区間17.3km、コロナ前の2019年度の輸送密度は1日321人、2020年度で215人となっています。その他、山陰線の城崎温泉から浜坂、浜坂から鳥取の区間、そして姫新線の播磨新宮から上月、播但線の和田山から寺前の区間が対象となっています。中国地方に比べればまだマシとも言えますが、おそらく不採算路線でありますし、今後JR西日本サイドから沿線自治体などに対して協議の場を持ちたいとの連絡があるのだろうと思います。

沿線自治体にとっては、住民の足の確保という点で非常に重要な課題である一方で、今後もその路線維持のために行政として支援を続けていくのか、あるいは同じ行政支援でも上下分離方式の道を模索するのか、あるいは路線廃止によるバス転換にせざるを得ないのか、本当に悩ましい課題に直面することになります。そのような中、兵庫県としては「ひょうご公共交通10カ年計画」の理念に基づいて、国や市町とともに持続可能で安全・安心な鉄道の実現を図っていくという立場でありますが、今後はどのようなことに備えていくべきなのでしょうか。遠い将来ではなく、近い将来に起こることとして考えておかなければならないと思っています。

JR西日本の県内のローカル線の将来について、県当局の今後の見通しをお伺いします。

2 ひょうごフィールドパビリオンの重要な要素としての景観条例の改正について

さて、この予算委員会で私はずっと大阪・関西万博関連、関係する観光分野、そして大阪湾ベイエリアの活性化について、企画県民部、産業労働部で多くの質問をさせていただきました。この県土整備部でラストです。今回は景観の分野での質問となりました。

今回の県土整備部の予算案に、またまた「ひょうごフィールドパビリオン」の言葉が出てきていました。資料によりますと、『大阪・関西万博を見据え、大阪湾ベイエリアへの人の流れを兵庫に呼び込む取組として、城下町の酒蔵や地場産業の景観を、ひょうごフィールドパビリオンの重要な要素として、その価値と魅力を高めるための景観条例の改正を予定している』ということです。景観の観点でもまたフィールドパビリオンが増えることになりそうです。

企画県民部での私の「ひょうごフィールドパビリオンについて」の質問に、当局は「ぜひ五国全体で展開していきたい」と答弁されまして、その趣旨や意気込みは理解できるのですが、それらはそれぞれの「新たな観光コンテンツ」であり、すべてを「ひょうごフィールドパビリオン」と呼んだり、指定することに意味はあるのかと思っております。企画県民部の質問でも紹介しましたが、パビリオンの意味は「仮設の建造物」という意味です。

フィールドパビリオンの数や呼称についてどうあるべきかはここでは論じませんが、今回の景観条例の改正はどのような内容なのでしょうか。県としては、景観行政の観点から常に新たな観光コンテンツをつくっていくという方向だと理解しますが、条例改正の後は、それらをすべてフィールドパビリオンという位置づけにするのでしょうか。そのように知事などから指示されているのでしょうか。当局のご所見をお伺いします。

<木戸 さだかず 議員>
●財政状況
1 県政方針「躍動する兵庫」の予算への反映について
2 県税収入見込みについて
3 シーリング見直しについて
4 事業見直しについて
5 県債について
(1)資金調達の現状と今後について
(2)兵庫県債の信用力について
(3)資金調達と基金運用の最適化について
6 ふるさとひょうご寄附金について
(1)令和3年度の取り組み効果について
(2)来年度の取り組みについて

全文

ロシアがウクライナに対する「全面的な侵攻」に踏み切り、連日、テレビやネットで配信されています。

そこに映し出されるのは、普通の生活を送っていた市民、街の姿です。

ロシアは軍事施設を標的とするとしながら、首都キエフや東部ハリコフなどの戦闘において、民間人も含めた多くの人々の命が奪っており、わが県議会でも断固抗議の決議文を採択したところです。 まずは、この惨禍により命を落とされたすべての方がたへ、深く哀悼の誠を奉げ、大切な家族や友人を失った方、負傷された皆様に、衷心よりお見舞い申し上げさせていただきます。

1.県政方針「躍動する兵庫」の予算への反映について

齋藤県政となり、県予算をより堅実に県民に分かりやすく伝えるために取組まれた大きな3点、将来見通しを試算する上で採用する経済成長率を「成長実現ケース」から「ベースラインケース」に変更すること、県債管理基金への預託金や内部・外部基金の集約を解消すること、企業庁との貸借関係を段階的に解消することは高く評価したい。

知事が本定例会一般質問でも答えられていたように、兵庫県財政の状況を他府県と適切に比較できるようにすることは至極まっとうな取り組みであり、これらの取組みにより将来の財政指標は悪化するが、心ひとつにわたしたちも厳しい財政状況を乗り越えていきたいと思う。

時に、井戸県政から齋藤県政へ変わり、予算編成も手法が大きく変化した。

新しく、職員一人一人から自律的、多発的に業務の創意工夫や変革の提案がなされる県政の実現を目指すというイノベーション型行財政運営をテーマに掲げられているが、こういった職場風土が醸成されれば県民にとってこの上ない利益になると思われる。

また、本定例会の石川議員の「県政改革における県職員や県民との情報共有そして協力関係の構築方法について」という一般質問では、小橋新県政推進室長より、予算編成にあたっては庁内協議を見直し、結果、各部内で議論する時間が増えたこと、事業レビューによる見える化やSNSなどによる発信により県民への理解を深めていきたいとの回答があった。

答弁を聞く限りは、庁内の雰囲気は変わってきているのかなとも思うし、職員の予算への取組も精力的になったものと期待したい。

一方で、最も重要なのは、その取組みが令和4年度予算にどのような形で実を結んだのかである。

知事は、予算方針の大きな柱として「オープンな県政、ボトムアップ県政、誰も取り残さない県政」を編成方針に掲げられている。

ボトムアップ、誰も取り残さないという言葉は、まさに大切な言葉であるが、言葉だけが踊るようではいけない。

令和4年度予算を見ると、確かに県民に正直に厳しい財政事情をオープンにしていると思われるが、前知事以上の県民ボトムアップ、誰も取り残さないという姿勢が予算編成にどのように反映されたのか読み取ることは難しい。

そこで、最初に、齋藤知事の3つの大きな予算方針、オープンな県政、ボトムアップ県政、誰も取り残さない県政は予算にどのように反映されているか、当局の所見を伺いたい。

2.県税収入見込みについて

内閣府による令和4年1月17日の「令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」では、令和3年9月末の緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の解除以降は、厳しい状況は徐々に緩和されており、このところ持ち直しの動きがみられる。ただし、オミクロン株を含めた新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があると報告されている。

本予算では、県税収入については、企業の業績回復に伴う法人関係税、特別法人事業譲与税、輸入額の増加に伴う地方消費税の増加などにより対前年度比14.2%の増収を見込んでいる。

このような持ち直しが続けばよいが、先にあげた内閣府の報告にも、コロナ感染症による内外経済への影響などによる下振れリスクに十分注意とあるように、今後も予断を許さない状況は続く上に、2月24日に勃発した「ロシアのウクライナ侵攻」により、経済の先行きはさらに不透明な状態となっている。

こういった状況下を踏まえ、県税収入見込みについて、主な税目について、それぞれどのように見込まれたのか所見をお伺いする。

3.シーリング見直しについて

厳しい財政事情を鑑み実施された「シーリングの見直し」で、令和10年度までに新たに累計150億円の効果額を生み出した。これを単年度に換算すると21.4億円となる。県では令和3年度にも、将来の財政見通しが厳しいということで行政経費のシーリング強化により15億円の削減を実施したところであった。

2018年、キャピタルアイの「財務担当に聞く」という特別企画において、当時の宇野企画県民部企画財政局財政課資金財産室長兼副課長は、財政回復に向けた取組みについてインタビューにこう答えている。

「職員数は一般行政部門で、2007年度対比で3割削減し、1999年度対比ではおよそ4割減った。これは全国でもトップレベル。2007年度以降の削減率はトップとなっている。投資的経費の抑制については、1999年度対比での削減率は約6割に達した。」

このインタビューに象徴されるように、これまで兵庫県は様々な行政改革を行い、

令和元年度の決算特別委員会では、戸梶企画県民部長が、既にこの11年間の行財政構造改革の中で、乾いた雑巾を絞るような取組をしてきた中であるので、余力があるわけでは当然ない中、基本的な維持費を除く行政経費について、令和2年度に約12億5,000万円節減することを報告されている。

内容的には、効率的、効果的な事務執行や在宅勤務の推進などによる事務的経費となっている。

つまり、大変厳しい改革をしながらも、雑巾を絞るような取組みの最中ではあるものの、令和2年度で、さらに行政経費を12億円節減したところであった。

このような状況であるが、令和3年度には財政見通しが厳しい見通しとなり、緊急・臨時的な対応ということでシーリング強化を実施し15億円の効果額を、そして本年度はさらに財政見通しが厳しくなるとのことで、再びシーリングを行い、さらに10億円、これはビルドへの活用分を差し引いた額なので、実質は20億円を超える効果額を生み出したという事実がある。

こうなってくると、これは経年で毎年のように生み出すことができる金額なのではないかとさえ思えてくるが、まずは、この点について当局の所見を伺いたい。

4.事業見直しについて

先の質問に続くが、本年度予算ではシーリング見直しと同時に事業見直しも行い、令和10年度までの累計効果額165億円、単年度に換算すると23.5億円の削減が実施されている。

これら事業見直しについては、各方面から賛否あり、一次案から若干変更はあったものの相当な覚悟を見て取れた。

特に、この事業見直しが最初に示された令和3年12月の案には、表紙にわざわざ、「この方針は、「課題と検討方向」で示した検討方向等を踏まえ、行財政運営本部副 本部長である副知事のもと、全部局で検討を行い、新県政推進室が中心となって、 行財政運営方針の見直し(一次案)としてとりまとめたものである」との注釈までうってあった。

要は、この方針はあくまでも職員による案であるということを強調しているのである。これにどういう意味が込められていたかはわからないが、批判があることもわかっていただろう痛みを伴うこの事業見直しを職員がつくりあげたことには敬意を表したい。

他方で、この事業見直しには議員だけでなく県民からも様々な意見が寄せられ、合意形成の在り方、ボトムアップ県政推進にあたっては課題が見つかったのではないかと思われる。知事も、本定例会の一般質問で合意形成の在り方については今後検討していくという趣旨の答弁をしておられる。

そこで、本事業見直しにおける成果と課題についてどのように考えているか所見を伺う。

5. 県債について

1) 資金調達の現状と今後について

本県の県債発行の考え方は、令和3年度予算特別委員会において、増山議員の質問に答えているように、日銀によるマイナス金利政策の導入以降、国内金利が超低金利で推移する中、資金調達に有利なこの市場環境を生かし、年限が10年を超える超長期債の発行にも積極に取り組んでいるとのことで、発行額に占める超長期債の割合は、マイナス金利政策が導入された平成27年度は3割程度であったが、令和2年度では4割程度まで増加をしている状況である。

令和元年度第2回資金管理委員会の議事録要約によると、資金調達に関して、金利の低位安定が続く中、超長期債の発行割合を増やしてはどうかとの意見や、超低金利の継続は従来にも増してより確実となったといった意見があった。

金利が上昇していく局面では、超長期債を発行しておくのが良いが、低金利が続いていく場合には短期債の方が、利率が低く有利となる。

コロナ感染症に加え、ロシアのウクライナ侵攻も市場の先行き不透明感を増大させており、今後の県債発行については細心の注意を払っていく必要がある。

令和3年度の予算特別委員会では、30年の満期一括公募債について、発行予定額100億円に対し5倍以上の需要が確認できたとの報告があったが、直近の投資家需要はどのような状況と捉え、年限割合を今後、どのようにしていこうと考えているのか県の所見を伺う。

2) 兵庫県債の信用力について

国債、県債はリスク・ウェイトゼロの債券であるが、発行体の信用力が他より劣後する場合、スプレッドに差をつけなければ債券を買ってもらえないという世界でもある。

2018年6月13日の大和証券の報告では、R&Iがかつて全ての市場公募団体に付与していた勝手格付で、北海道、大阪府、大阪市、神戸市と並んで兵庫県も「顔悪銘柄」とされたことで、なんとなく買い難いと市場参加者が敬遠し始めたとされている。

近年は、他団体と同じスプレッドで起債できているが、3年前まで兵庫県債もスプレッドに格差をつけないと資金調達できない状況であった。

地方債の日銀担保の対象拡大により、県債は売り手市場であると思うが、やはりしっかりと兵庫県債の信用を高めておくことは重要である。

県債発行方針では、信頼性をあげるために、透明性ある資金調達の実施に加え、投資家に訴求するIR資料を活用した効果的なIR活動の継続が挙げられている。

令和元年度の資金管理委員会では、委員からIRを強化してきた成果が上がっていることへの称賛があったように、着実な取り組みと実績は評価したい。

一方で、20年ぶりの知事交代により、財政の見える化、堅実な将来予測が行われた結果、県財政の将来負担比率、実質公債費比率ともに将来予測は上振れし、令和7年に実質公債費比率は18%を超えるとの試算となった。

神戸経済ニュースによると、これらの行財政改革姿勢は債券市場では一定の評価を得られそうだとまとめられているが、県として投資家の反応をどのように受け止めているか。

また、今回、新たにSDGsを意識したグリーンボンド債を発行することになり、時代を捉えた取組みだと感じるが、これらも含めて兵庫県債の市場における信用評価の現状について県の所見を伺う。

3) 資金調達と基金運用の最適化について

県の資金管理は、資金調達と基金運用で構成されている。当然のごとく、これらを最適に運用していくことが県として求められているが、資金調達が基金運用額を拘束することから、運用の最適化には資金調達と資金運用を一体的に捉える必要があると言われている。

資金調達と基金運用の組み合わせは複雑ではあるが、兵庫県にとって最適な組み合わせは何かを解析しておくことは有益であると考える。

県では、この点はまだ取り組みがされていないと聞く。

埼玉県財政課及び会計管理課職員の論文「マイナス金利政策時代に求められる自治体の財務戦略」では、埼玉県が「資金調達と基金運用の最適モデルの構築」に取組んだことが紹介されている。

そこでは、自治体によって資金調達及び基金運用の管理体制は大きく異なる事、資金調達と基金運用は表裏一体の関係にあると認識し、それらを一体的に運用する仕組みづくりはどの自治体にも必要ではなかろうかと論じられている。

以上を踏まえ、本県における資金調達と基金運用の最適モデルに対する所見を伺う。

6.ふるさとひょうご寄附金について

1) 令和3年度の取り組み効果について

ふるさとひょうご寄附金は、これまでから定例会をはじめ各種委員会で多くの議員が質疑をしている非常に関心の高い事業である。

ふるさと納税の本来の目的に沿って事業を行っていくべき、県だからこそ出来る取り組みをすべきといったものや、積極的な財源確保を求めるもの等、様々な意見が出されてきた。

県では、これまで制度本来の趣旨、目的を誠実に読み取り、施策を展開し、折々に内容を変更・充実させてきたと理解している。

令和3年度予算特別委員会では、ふるさとひょうご寄附金の取組に対して、「プロジェクト方式による寄附は、ここ数年、目標額を達成しているプロジェクトは全体の約半数にとどまっていることから、ひょうごe県民制度と連携し、プロジェクトの概要や事業に携わる生の声をメルマガなどで定期的に配信し、ふるさと納税サイトの拡充、また、そのサイトのアンケート機能を活用した寄附者のニーズ把握などの取組を実施し、さらには、返礼割合を1割から2割に引上げ、内容も充実する」と答弁があった。

来年度は、更に返礼品を充実させると聞いているが、まずは令和3年度の取組効果についてどのように自己評価しているか県の所見を伺う。

2) 来年度の取り組みについて

ふるさとひょうご寄附金は、ふるさと兵庫を応援したい・ふるさと兵庫に貢献したいという方からの寄附制度であり、応援したいという気持ちを汲み取ることが大切である。

これは誰もが思っているところである。

一方で、わが県は、齋藤知事になり、本来、投資しなければならない事業も凍結しなければいけないほど厳しい財政事情にある。

令和元年度決算特別委員会での税務課長の答弁にあるように、個人県民税の均等割・所得割については、ふるさと納税に係る控除額の増加により10億円の減収となっていることがわかっている。

このような状況下であることを踏まえると、今後は返礼割合を上限の3割とするなど、積極的な財源確保策として取り組むべきと考えるか県の所見を伺う。

木戸 さだかず
神戸市須磨区

●健康福祉部
1 5~11歳のワクチン接種について
2 スマートウォッチを用いた健康管理について
3 訪問介護について

全文

1 5~11歳のワクチン接種について

オミクロン株感染拡大の終息が見通せない中、いよいよ5歳から11歳のこどもたちへのワクチン接種が始まった。

こどもたちへのワクチン接種については、正直なところデータが十分とは言い難く、未だ賛否ある状況である。

2月9日に開催された「衆議院予算委員会」での後藤厚労相の答弁にあるように「オミクロン株については、5歳から11歳用の直接のデータは現時点では存在しておらず、『成人と同様の効果があると推測されている』」というのが実情で、接種に迷っている保護者は多いのではないだろうか。

10歳未満のこどもたちに関しては、コロナ感染者数は累計で55万人超に対して、3月1日時点の重症者は5人、死亡者はゼロで、こどもたちにとってコロナは大人ほど恐れる存在ではないことが明らかとなっている。

対して、ワクチン接種による副反応は、10歳以下のデータはない上、ファイザー社、モデルナ社ともに、心筋炎・心膜炎が疑われる報告事例は10代が飛びぬけて多くなっている。

国がこどもたちへのワクチン接種を努力義務としていないこともあり、自治体によっては、積極的に接種券を送付しないところも出てきている。泉大津市長はこどもへのワクチン接種そのものに反対されるなど、温度差が様々あるほどこの問題は判断が難しい。

厚労省は、副反応や感染状況など多くの情報をHPで公開しているが、ワクチンを「打つか、打たないか」迷う保護者がそういった情報にたどり着くのは容易でない。

そのような状況からも、子どもたちのコロナ感染によるリスクの現状、ワクチンの副反応の現状などが一目見てわかるようにデータ整理しHPで公開するなど、県民目線の発信に努めることが必要ではないかと考えるが所見を伺う。

2 スマートウォッチを用いた健康管理について

県では、一人暮らし高齢者等の体調管理や保健指導等を通じて高齢者の健康管理を支援することを目的に、令和2年度からスマホ、スマートウォッチを活用した健康管理支援を展開している。

先進的なウエラブルデバイスを活用した取り組みは今後の可能性も含めて大変有意な取り組みであると考える。

この事業は、ウエラブルデバイスを用いて、食事、運動、睡眠等を計測し、その結果をもとに保健指導等を実施するというものであり、令和2年度、3年度合わせて県下9市町で実施されている。総参加人数は264人とまだまだこれからの事業であるが、「特に特定保健指導対象者への活用の可能性を実感した、得られたデータは可視化されて有益」といった効果が報告されている。

こういった先進的な取り組みの裾野を広げていくためには兎に角続けていくことが大切で、ぜひ頑張って欲しい取り組みである。

そこで令和4年度の本事業の取組と今後の発展の可能性について所見を伺う。

3 訪問介護について

2月17日、「感染した人にも対応する介護の価値を高めて欲しい」と訴えて、訪問介護事業者の有志が「3回目のワクチン接種について在宅介護職員も優先接種にすることやコロナ感染者への訪問介護に報酬加算制度を設けること」を厚生労働省に要望された。

訪問介護のヘルパーは、利用者が陽性や濃厚接触者になっても介護を続けておられ、そうしたヘルパーに、感染リスクに見合った介護報酬、障害福祉サービス等報酬の加算を設けて欲しいという願いで、ウェブで呼びかけると3万7千人もの署名が集まった。

訪問介護は有効求人倍率が15倍、平均年齢50歳を超える慢性的に人手不足が深刻な状況であり、この要望、署名も「介護の価値を高めて欲しい」という痛切な声である。

一方、国においても、「新型コロナ感染症の患者等への対応等により、一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合について、介護報酬、人員、施設・設備及び運営基準などについては、柔軟な取扱いを可能とする」旨の決定が下されているところである。

これらの状況をふまえても、訪問介護の価値を高めること、すなわち皆が働きたくなることは、結果、人材の確保にもつながり、まさに「誰も取り残さない」社会に直結する取組となる。

そこで、訪問介護の魅力向上に向けた取組みの現状を伺う。

●農政環境部
1 種苗法改正の影響について
2 ネオニコチノイド系農薬等の使用について
3 有機農業の推進について
4 学校給食における県産食材の供給拡大について

全文

1 種苗法改正の影響について

種苗法が改正され、いよいよ本年4月から完全施行される。

種苗法の改正については、令和2年第347回定例会における堀井県議の種苗法改正に係る一般質問において、「許諾制については、種苗法に基づき登録されている品種に限定されており、県内で広く栽培されているコシヒカリや山田錦など、すでに品種登録期間が切れた品種や古くから地域にある在来種などは対象外となっており、従来と変わらず自家増殖が可能なこと。品種登録期間が切れていない米の「きぬむすめ」大豆の「サチユタカ」酒米の「兵庫錦」いちごの「あまクイーン」などの登録品種は、許諾が必要となるが、国において、農家の負担が増えないように、許諾申請手続きの簡素化が検討されている」との県の回答であった。

いよいよ4月に種苗法改正が施行されるわけであるが、改めて県登録品種に関する県内生産農家への影響について伺う。

2 ネオニコチノイド系農薬等の使用について

今、農林水産省は、令和3年5月に策定した「みどりの食料システム戦略」において、2050年までに低リスク農薬への転換等を図り、「ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発により化学農薬の使用量を、リスク換算で50%低減する」ことを目指す姿に掲げている。

県はこれまでコウノトリ育むお米に象徴されるように、安心安全な「環境創造型農業」を推進している。

御食国として、「安心安全」な食料生産を追求することはこれからも重要なテーマである。

2018年の改正農薬取締法において、全ての農薬について、定期的に最新の科学的知見に基づき安全性の再評価を行う仕組みが導入され、本年度、ネオニコチノイド系農薬が再評価されようとしている。

県としてこれらの農薬の使用低減に関する取り組みを積極的に推進していくべきと考えるが、現状と今後の方針について県の所見を伺う。

3 有機農業の推進について

有機農業については、これまでも多くの議員が質疑をしており、県も環境創造型農業の大きな柱に据えて取組んできた。

20年ぶりの知事交代となった、齋藤新知事は、従来にない発想、仕組みを取り入れる姿勢を打ち出しておられ、各分野に従事する県民は期待している。

有機農業への今後の展望、取り組み方針について、新しい県政のもと、どのような姿勢で取り組もうとされているか所見を伺う。

4 学校給食における県産食材の供給拡大について

令和4年度から学校給食に県産食材を積極的に利用してもらう取組が始まろうとしている。

学校給食に兵庫県学校給食・食育支援センターが提供する県産食材を原料とする加工品を使用する際、県外産加工品との価格差を補填するといった内容で、来年度は、まずは10か所でモデル事業を実施、予算額は約400万円となっている。

学校給食で県産食材を提供するのは大変良いことであり、さらに「安心安全」な環境創造型農業で作られた食材も積極的に活用していければと誰しもが思うところである。これまでも有機農産物を学校給食にという質疑があったが、調達量やルートの確保が容易ではなく、コストがかかることから、恒常的に実施するのは課題が多いという県の回答であった。

有機農産物においては、その安全性、安心から学校給食への導入を求める声は多い。

丹波市、明石市には「オーガニック給食の実現をもとめる請願」が提出されどちらも全会一致で採択されている。

泉大津市では、令和4年度より保育所や認定こども園、小中学校の給食にオーガニック食材を導入するため、新年度予算案に約4,100万円の事業費を計上した。

小中学校では月に2回程度、保育所と認定こども園では給食のたびにオーガニックの米やみそなどを使う予定。小中学校では公費でオーガニックの米やみそを購入することで、保護者から集めた給食費のうち米やみその購入に充てていた部分をほかの食材の購入に回すことができ、給食の食材全体の充実が図れる見通しである。

県としても、県産食材導入からさらに一歩踏み込んで、有機農産物の導入促進策を積極的に展開していくべきと考えるが所見を伺う。

●企業庁
1 株式会社夢舞台の経営状況について
2 夢舞台の集客促進について

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1 株式会社夢舞台の経営状況について

株式会社夢舞台については、ホテルグランドニッコー淡路を管理運営しており、コロナ感染拡大が経営に大きな打撃を与えている。

昨年の同時期に開催された令和3年度予算特別委員会では、上野議員が夢舞台の決算状況について質疑したが、その際、「令和元年度は7,000万円の赤字で、ギブアップ寸前、令和2年は年間赤字5億円出ると思っている、社員ボーナスも1割カットし頑張っている」との答弁があった。

また、昨年の令和2年度決算特別委員会でも、やはり新型コロナウイルス感染症の影響により客数の激減に伴う減収や、GoToトラベルキャンペーンやWelcome to Hyogoキャンペーンなどの支援事業による持ち直しなど、コロナに翻弄されたホテルの経営状況等について、何人かの議員から心配する声が多く聞かれたところである。

昨年末にはコロナ感染が一時落ち着いたが、今はまん延防止等重点措置期間に入っており、コロナ感染終息の先行きは見通せず、夢舞台の経営状況は大変だろうと危惧するところである。

そこで、令和3年度の株式会社夢舞台の経営状況について所見を伺う。

2 夢舞台の集客促進について

令和3年度予算特別委員会での上野議員の夢舞台に関する質問に対し、当時の管理者は「株式会社夢舞台の経営状況、すなわちホテルグランドニッコー淡路の経営である。」と述べておられるとおり、ホテル経営が夢舞台の経営状況に直結すると言える。

ホテル経営を安定させるにはやはりリピーター率をあげていくことも大切だと思うが、同ホテルは、令和元年度はリピーター率9.2%、令和2年度15.1%、令和3年度は2月までの数字で、12.8%となっている。

令和元年改定の新・企業庁経営ビジョンでは、株式会社夢舞台がホテルに魅力あるサービスを提供していく取り組みとして、イベント等の各種情報の発信を含め、8項目掲げられているが、リピーター率の向上にどの程度効果があったのだろうか。

また、株式会社夢舞台は、淡路夢舞台施設群(ホテル、レストラン、百段苑、展望テラス、国際会議場、温室、ハイウェイオアシス)を、ホテル部門と指定管理部門にわかれて一元的に管理運営している。

新・企業庁経営ビジョンには、株式会社夢舞台が施設群全体を一元的に管理することにより効率化を図り、一層の利用促進、集客を図っていくと記されている。

最近では、令和3年9月に温室が「あわじグリーン館」としてリニューアルオープンしたばかりであり、コロナ禍ではあるが、ホテルやレストランといった他の施設群といかなる連携と集客促進をされているのだろうか。

現状のリピーター率の向上、施設の連携による集客促進に向けた取組について所見を伺う。

●教育委員会
1 臨時的任用教員の状況について
2 教職員のメンタルヘルス対策について
3 兵庫型「体験教育」のフォローアップについて
4 金融教育について

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1 臨時的任用教員の状況について

全国の公立小中学校と特別支援学校で、2021年4月の始業日時点に2,341人の教員が配置されていなかったことが、文部科学省が初めて実施した教員不足の全国実態調査で分かった。

教員の多忙化への敬遠が原因にあるとされており、これまでからもなり手不足については散々指摘されてきた。

兵庫県では、小学校は4.5%に当たる26校で69人、中学校は14.3%に当たる37校で79人、特別支援学校は10.0%に当たる4校で4人が不足していた。

こういった不足分は、教員採用試験を目指す教員免許保有者らを講師に臨時採用して補っており、各府県で臨時講師登録名簿を作成して管理している。

兵庫県では講師登録者数が令和4年3月8日時点で1,112人となっており、この人数については、この後、正規採用されなかった人が登録したりするので伸びていくことが想定されるということであるが、地域によっては人材確保に苦労している状況があるとも聞く。

また、昨年11月19日の東京新聞には、都内公立校の臨時教員が見つからない、半数は本来選考と違う「名簿外」、校長が元教員を探しているのが実情という記事が掲載されていた。

学校現場の苦労がわかる記事であり、同じように苦労されている自治体が多いと思われるが、臨時教員の確保について、わが県の状況と今後の取組について伺う。

2 教職員のメンタルヘルス対策について

人手不足の中、教職員の健康保持は大きなテーマとなっている。県教委では、公立学校共済組合と連携して、教職員の精神疾患未然防止のために、ストレスチェックや相談窓口の設置、メンタルヘルスアドバイザーの活用、セミナー、ストレスドックなど様々な取り組みをしている。

一方で、平成26年度から令和2年度までの教職員の病気休暇等取得者数の推移をみると、毎年200人を超えておりほぼ横ばい状態である。

これらの数値はどう見るべきか判断が難しいが、これまでの教職員のメンタルヘルス対策の効果について、県の所見を伺いたい。

3 兵庫型「体験教育」のフォローアップについて

コロナ感染拡大による子どもたちの心の状態について、県にはこれまで幾度もアンケート調査を実施していただいており、直近は令和3年11月に実施されている。

そのデータを見ると、ストレス反応の平均値2.6で、これまでよりも若干低い数値となっており、子どもたちにかかるストレスは意外に増えていないことが分かる。

一方で、いじめ認知件数を見ると、コロナ前と比べると中学校で3割ほど減少しておりこれは非常に大きな現象だと思われる。いじめが減っていることは喜ばしいことであるが、それだけ人とかかわる時間が減った、距離が生まれたということもあるのではとも考える。

わが県では、平成7年に発生した「阪神・淡路大震災」や平成9年に起こった「連続児童殺傷事件」などをきっかけに、小中高の発達段階を考慮しながら、時代の変化や課題に応じて様々な体験活動をすることで子どもたちの豊かな心を育む「心の教育」、兵庫型「体験教育」が実施されてきた。

また、大阪市生野区では、独自の教育プログラム「生きる教育」を小学校で展開されている。プログラムのポイントは、国語力の向上と、命や体の大切さを伝える「性教育」。これによって、校内暴力がなくなり、児童の学力が向上していることが報告されている。

このように、心の教育、生きる教育という情操教育は、子どもたちの発達にとって大切な取組である。

教育委員会として、兵庫型「体験教育」が十分に展開できない中で、フォローアップをどのような形で取り組み、今後どのように取り組んでいくのか伺う。

4 金融教育について

令和4年度より高等学校において金融教育を含めた消費者教育が充実される。これまでも消費者教育としては家庭科や社会科において小学校から発達段階に応じて実施されてきたところであるが、株式会社インヴァランスが2020年8月に実施したアンケートでは、20代の7割が金融教育を受けた経験がないと回答している。これは記憶に残っていないということだろうと推察される。

また、2022年1月27日~1月31日に、日本トレンドリサーチが、全国の男女計1,250名を対象に「高校での『金融教育』必修化に関するアンケート」を実施し、金融教育は誰が授業を行うのが良いかという質問をしている。

結果は、全世代で「外部講師」と答えた回答が最も多く、次いで社会科の先生となっている。金融教育は家庭科の授業で行われるため、原則として家庭科の先生が担当するが、この辺りはニーズとのギャップがある。

さらに、昨今、金融詐欺、特に暗号資産詐欺が横行しており、昨年11月には、高利回りや好条件を謳い、650億円もの仮想通貨を集めた男が逮捕されたほか、本年2月には、「暗号通貨投資アドバイザー」を名乗る、これまで何十もの投資詐欺案件にかかわってきた男が兵庫県警に逮捕されるなど、詐欺案件が多発している状況である。

大学生が被害に遭うケースも増えており、大学によっては在学生や保護者向けに投資詐欺への注意喚起を呼びかけている。つまり、これまで金融教育を受けてきたであろう大学生もたくさん投資詐欺にひっかかっているのである。

こういった事実や、成人年齢が今年4月から18歳に引き下げられることも踏まえると、これからの金融教育は実学となることが求められると考えるが、金融教育の取組の現状と今後について所見を伺う。