上野 英一 議員
ひょうご県民連合議員団を代表し、ただいま上程中の令和4年度当初予算、関連条例等に係る第1号議案ないし第26号議案、第28号議案ないし第58号議案に対し、賛成の立場から討論を行います。
まず、ウクライナ情勢に関して触れます。ロシアによるウクライナ侵攻に対し、議会では3月1日に非難決議を全会一致で可決したところです。これから原油・天然ガスなどエネルギー価格の高騰、それにともなう原材料費の高騰等、様々な分野で県民の生活に影響が表れます。これらウクライナ危機がもたらす県民生活不安に対し今後遅滞なく適切な措置を打ち出して頂くことを冒頭強く要請致します。
本予算案の歳入面では、県税等では、企業業績の回復による法人関係税の増などにより対前年度比14.2%の増収を見込んでいます。この企業業績、県税収入の状況も、今後の原材料費の高騰等に、大きく影響を受ける可能性もあり注視する必要があります。
そして、新型コロナウイルス感染症対応です。まん延防止等重点措置は3月 21日をもって全面解除となりましたが、感染者数は下げ止まりの傾向で、まだまだコロナ感染症の終息は見通せない状況です。
本予算案では、新型コロナウイルス感染症対策を最優先課題とし、入院医療体制や検査体制、保健所等の強化をはじめ、ワクチンの3回目接種に向けた体制整備、社会福祉施設や高齢者施設等の感染拡大防止対策などについての予算が組まれており、この点について着実な予算執行が求められています。
このような社会状況に加え、令和4年度の震災関連県債残高は2,158億円にのぼり、依然として県財政に重くのしかかっています。令和4年度以降10年度までで約140億円の収支不足が見込まれており、持続可能な行財政基盤の確立が強く求められています。
また、長期的な課題として、人口減少、少子高齢化への対策が必要ですし、大きな被害が想定される南海トラフ地震や近年頻発する風水害・土砂災害などの自然災害への対策も必要となっております。
このように変化の激しい社会情勢の中にあって、県民が幸せに暮らし続けることができる基盤を整備することが今の県政に携わる我々にとって最大の責務です。
私たちひょうご県民連合議員団は、これまでも県政が抱える課題について、あらゆる機会を通じて指摘をし、その改善を求めてまいりましたし、本議会・行財政運営調査特別委員会・予算特別委員会における質疑、質問を通じて、来年度予算案について慎重に審議を行ってまいりました。
以下、我々が考えるめざすべき社会に基づき、来年度当初予算案に対し、評価すべき点、積み残された課題などについて意見を述べます。
まず行財政改革の推進についてです。
財政基金の「見える化」により実態に即した財政状況を公表する姿勢は評価します。しかし、一方で社会保障費の増加などで今後更に予算は厳しさを増すことを考えると、時代の流れに対応した規制の見直しや仕事の中身の改革、新しい行政サービスの創出を目指すなど、より質の高い改革をより一層推し進める必要があると考えます。
次に、地域主権社会の確立です。
少子化、高齢化が進んでも、兵庫が活力ある地域であるために、「五国の魅力を高める地域創生の推進」に取り組まれることは評価します。さまざまな施策の効果が十分に発現されるよう、その絞り込みを行うとともに、市町の自主的、主体的な取組への一層の支援が重要です。
健康福祉社会の実現については、「ヤングケアラー支援体制の構築」などに取り組まれることは評価します。更に地域の医療連携の推進、がん対策の充実、介護サービス基盤の充実、障がい者・難病患者の就労支援、子どもを産み育てやすい環境づくり、児童虐待防止の更なる推進が求められます。
教育の充実、子供が輝く社会の実現については、奨学金制度の拡充やシチズンシップ教育の推進、いじめの未然防止、不登校児童・生徒への寄り添った支援、教職員の勤務時間の適正化への取組、平和の大切さの教育など引き続きの取組が必要です。
危機管理型社会の実現については、来る大規模災害に備え、基盤整備とセーフティネットの構築、自治体職員の災害・復旧時の対応力の向上などが必要です。
産業活力社会の実現については、女性が働き続けられるための環境整備、正規雇用と非正規雇用の均等待遇に向けた取組など、雇用、就業環境の更なる整備、充実が必要です。
環境循環型社会の実現では、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、特に産業部門における実効性のある排出抑制対策と再生可能エネルギーへの転換促進が必要です。
このほか快適で潤いのある社会の実現、心豊かな共生社会の実現についても重要課題として着実な取組が必要です。
以上、我が会派が提言や申し入れなど、あらゆる機会を通じて指摘してきた事項の実現には、県行政の更なる改革が必要ですが、上程されました来年度予算については、厳しい財政状況の中、選択と集中を徹底し、必要な額を確保したものであり、県政を取り巻く重要課題に対応していこうとする姿勢がうかがえる予算となっており、評価をいたします。
齋藤知事は、県政の羅針盤としてまとめた「ひょうごビジョン2050」のなかで大切にすべき価値観として「包摂」と「挑戦」を掲げられました。「包摂」は、誰も取り残されることのない社会をつくること。「挑戦」は人も地域も思い思いのチャレンジができ、それぞれの可能性が開ける社会をつくること。
これは私たちひょうご県民連合議員団が、これまでから掲げてきた、「全ての県民に居場所と出番がある社会、希望を持って暮らしていける社会」とも重なるものと考えております。
知事におかれては、この社会の実現に向け、県民の声を真摯に受け止めながら、自らの信念を貫く強い意志と強力なリーダーシップを発揮されること強く期待し、要望いたします。
最後に、私たちひょうご県民連合議員団は、県民の視点に立ち、議会が持つ行政への監視機能をしっかりと担いつつ、めざすべき社会の実現に全力で取り組む決意であることを表明し、討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。