質問日:令和5年3月7日(火)
質問者:小池 ひろのり 委員
1 食料自給率の向上に向けて
(1)食料供給力の強化について
現在、日本の食料自給率はカロリーベースで38%と言われており、先進国の中でも極端に低い数値にまで落ち込んでいます。単純には比較できませんが、我が国と同じ島国のイギリスでは、食料自給率が1965年当時45%であったものが、自給率向上を国策として取り組んだ結果、2019年には70%にまで上昇しています。しかし、日本は全く逆で、1965年に73%であったものが、現在は40%未満にまで低下しています。
ちなみに本県の食料自給率は15%で、国の自給率を大幅に下回っており、県として取り組むべき喫緊の課題として考えなければならないと思います。
国連によれば、2021年地球上の約7.7億人が餓死に直面している状況で、飽食の日本では、現在、破棄されている食べ残し等は、年間522万トンもあり、世界中の食料援助を大幅に上回っています。その一方で、食料全体の約6割を海外からの輸入に頼っているという現状です。豊かさがもったいないという感覚を麻痺させた食生活の変化と、行政としての対策が十分でなかった結果だと言えます。
現在、世界人口の増加にともない穀物需要はますます増加している中、ロシアのウクライナへの侵略で飼料や原料穀物の供給に支障が出てきており、価格も高騰しています。更に、地球規模での気候変動で、砂漠化や水資源不足の要因も増し、食糧問題を真剣に考え直さなければならない時代に入ったと思われます。
政府は、国を守るため「敵基地先制攻撃」のための軍備増強を謳っていますが、食料安全保障の観点から、食料自給率向上はもっと深刻な問題と考えるべきです。
世界の穀物価格の変動は大きく、国内での食料の安定生産を実現することは、大変重要な課題です。兵庫県においても、遊休農地の増加、農家の高齢化などにより、生産力の低下が進んでいます。そこで、本県の食料供給力の強化が重要であり、生産面だけでなく、生産地と消費地との結びつけを強化する必要があります。そして、信頼できる食品づくりの支援と、その付加価値のついた作物を消費地に提供し、県産農産物の県民への安定供給を図るなど、消費面との両面から食料自給率の向上に努めて頂きたいと考えます。食料自給率の向上は国策でありますが、県にも役割があろうかと思います。そこで、農林水産部は食料自給率をどのように認識し、対策を取ろうとしているのかをお伺いします。
(2)県民の食生活の見直しについて
2つ目の質問は、「県民の食生活の見直しについて」です。
食料自給率を向上させるためには、県民の食生活の見直しも必要不可欠であると考えます。本県では、「おいしいごはんを食べよう県民運動」を全国に先駆けて展開されていますが、これまでの米の消費拡大に対する取り組みはもとより、米飯学校給食を始め、米を中心とした日本型食生活の啓発運動への展開や小中学校の給食での地産地消を一層進めて頂きたいと考えますが、当局の所見を伺います。