議会の動き

徳安淳子議員が質問(決算審査・公安委員会)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (公安委員会)
2011年10月13日(木)

1 警察費の施策効果等の公表について

 質問の第1は「警察費の施策効果等の公表」についてである。
 平成22年度決算として134億9,464万円が公表されている。しかし、一般県民にしてみれば多額の予算が投じられている中、警察としてどのような活動をして、どのような効果があったのか、県民に分かりやすく公表する必要があるのではないか。
 兵庫県では犯罪の発生件数が8年連続減少し、数字のうえでは治安は良くなっているように思える。しかし、県内外を含め、凶悪事件が発生しているニュースが多く聞かれる中、私も含め、県民のほとんどが、生活の中で治安が良くなったとは実感できていないのではないかと考える。
 発生件数の減少は、警察官の皆さん一人ひとりが地道に頑張っておられる成果だと思うが、それが県民に伝わらないのが残念であり、なおさら、冒頭の約135億円という多額の予算が充てられ、県警が頑張っているのだということをしっかりと公表する必要性を感じる。
 例えば、振り込め詐欺防止に、緊急雇用の広報啓発支援員を、金融機関のATM周辺に配置することにより、被害を最小限にくいとめる効果があった。警備員の委託費用からみても有効な事例であり、このような県警察として取り組んだ施策により生じた具体の治安向上の効果やその評価を広く公表すれば、県民による警察への理解や信頼度、防犯への取組がさらに進み、結果として県民自身の体感治安の向上にもつながるのではないか。
 そこで、県警察として実施した施策の具体的な効果や、その評価について、より一層、県民に積極的に公表していくべきと考えるが、所見を伺う。

2 交番などの警察施設の建替方針について

 質問の第2は「交番などの警察施設の建替方針」についてである。
 世界の中で、日本の治安の良さは誇れるものであり、それは地域の中に、交番、駐在所が存在することが非常に大きい効果を生んでいるものと考える。それぞれの交番や駐在所に勤務する警察官の皆さんが、地域に溶け込んで活動され、住民から、身近なおまわりさんとして親しまれ、信頼を得て、地域の治安を守る上で大きな役割を果たし、その存在自体が犯罪の抑止力となり、地域住民は安心して生活を送ってこられた。
 ところが、近年、交番を統合・再編し、その数は減少傾向にある。警察官の配置にもよるが、長年身近な存在であった交番が、統合のために移転を余儀なくされれば、仮にパトロールの強化によりこれまで通りの治安の維持が図られるとの説明を受けたとしても、それまで、現に存在していた交番が失われてしまうという住民の不安には計り知れないものがある。地域において、交番や駐在所というものはとても重要な施設であり、まさにすべての県民の安全安心の拠り所である。
 そこで、このような交番、駐在所を建て替える際には、安易な現状建替をするのではなく、犯罪発生状況や住宅等の周辺の環境にも十分配意して設置していることと思うが、交番、駐在所の存在意義についての認識や設置する際の県警察としての方針を伺いたい。
 加えて、平成22年度決算として、警察施設等活動基盤の整備充実として27億4,029万円が公表されているが、その中に含まれる交番、駐在所の決算額と建替戸数、名称についても、あわせて伺いたい。

3 地域住民による防犯活動の取組支援について

 質問の第3は「地域住民による防犯活動の取組支援」についてである。
 地域の治安を向上させるため、地域住民をはじめ、県当局や防犯協会等の関係団体とも連携しながら、積極的に地域安全活動を推進しておられる県警察の皆様には、大変感謝している。
 このようなご尽力もあり、県下では、12,603もの自主防犯活動実施団体が活動を行うとともに、18,430箇所もの防犯連絡所、58,091ケ所もの子供を守る110番の家が設置されるなど、各地域において、地域住民が主体となって県警察と協働活動している拠点も、草の根的に増えてきている。
 県下の各地域では、朝早くから子供たちの登下校時間に、横断歩道で誘導、また声をかけて温かく見守って頂いているこども見守り隊、夜間の警戒パトロールや、町内の公園、暗い夜道を歩く防犯パトロールなど、町内会や婦人会、こども会といった地域団体の役員、会員の皆様が、毎週毎日欠かさず、積極的に活動されている。
 ただ、このような地域の方々の活動は、聞くところによると、ボランティアとして無償で活動されていることがほとんどのようである。
 確かに、このような地域防犯活動は、自らが住む地域の治安を自らの手で守り、安全安心に暮らすための活動として、地域住民が、その負担において主体的かつ自発的に取り組むべきものとも考えられる。
 しかし、こうした地域の活動の活発化により地域の治安が守られ、犯罪等の発生が抑止されることにつながれれば、結果的に、警察業務の効率化や省力化にもつながるものであり、県警察としても好ましい結果を生むのではないか。
 そこで、県警察として、県民が地域防犯のために尽力されているこのような活動に対して、安全に活動できるための機材整備など、積極的に何らかの支援、サポートを行っていくとともに、市町とも連携を図り、このような住民の防犯活動の輪がより一層広がるよう取り組んで行くべきと考えるが、所見を伺う。

4 県民が求める警察官の育成等について

 質問の第4は「県民が求める警察官の育成等」についてである。
 現在の若者気質には、私たちの世代には理解できないものがある。しかし、その若者が将来の県警察を担っていくのは間違いがない。
 一方、警察という組織は日々発生する犯罪への対応や犯人の逮捕から、県民の要望や身の上相談まで、幅広く対応しなければならない。そのような広範な業務の大半は、警察官個々の力では対応が困難なものであり、適切な対応を目指し組織として活動することとなる。
 そこで、人間として、また警察官として、真に県民が求める人材の採用や育成に取り組む上で、2点伺いたい。

(1) 採用試験における資質の見極めについて

 まず、「採用試験における資質の見極め」について伺う。
 県警察は採用の年齢条件を30歳から35歳に引き上げ、より多くの受験者を確保しているようであるが、中には、警察官として採用されることを熱望し、何度も受験している方もおられると聞いている。
 確かに、採用試験に合格するには、一定の学力が必要とされることは当然であり、すべての受験者に対して、共通かつ公平な基準で、その合否を決定すべきことは言うまでもない。また、警察官の職務のご苦労は並大抵なものではなく、ヤル気だけで勤まるものではないことも十分に理解している。
 しかし、警察官として何よりも必要とされるのは、公共の安全と秩序の維持に邁進する強い正義感や高い志とともに、組織で活動するための強い帰属意識ではないか。
 そこで、県警察として、採用者を決定するにあたっては、このような将来の警察官を目指す強い信念や気概についても、警察官としての適性につながる資質の一つとして、しっかりと見極めていくべきと考えるが、県警察としての所見を伺う。

(2) 時代に即した新人警察官への教養について

 次に、「時代に即した新人警察官への教養」について伺う。
 警察官の試験に合格すると、芦屋市の警察学校に一定期間入校し、そこで警察としての教養を受けているが、その入校期間中に多数の辞職者があると聞いている。
 この点、多くの県民が、警察官には「強くて、頼もしくて、何事にも動じないタフな人」といったイメージを抱き、「正義の味方、強くて頼もしい存在」であることを願っているのではないか。警察官という職業が、このような県民からの期待に応えるべき厳しい職業であることを考えれば、私は、団体生活や教養に馴染めない者が辞職していくことは、真に県民が求める人材を育てる上では、ある程度、やむを得ないことと思っている。
 しかし、現実には、求められる警察官像に最初から100%適合するようなスーパーマンが存在する可能性は限りなくゼロに近い。人間には誰しも何らかの欠陥があり、長所も短所も持ち合わせているのであり、このような様々な特徴を持った新人警察官に教養を行い、警察組織を維持していくため必要とされる「知力・体力・気力」の三つの能力を兼ね備えた人物により近づけていくのが、警察学校の役割であると考える。
 そこで、厳しく指導することも必要であるが、その一方で、現代の若者気質を理解した上で、時代に即した新人警察官の教育を行っていく必要もあると考えるが、県警察としての所見を伺う。