議会の動き

黒田 一美 議員が一般質問を実施

質 問 日:令和5年9月27日(水)

質 問 者:黒田 一美 議員

質問方式:一問一答

1 人権推進について

(1)人権に関する県民意識調査の充実について

本県では、多岐にわたる人権課題の解決に取り組み、人権文化をすすめることを目的として、1998年(平成10年)から5年ごとに、県民の人権に関する意識調査が行われています。この調査は、今後の効果的な人権施策を検討する基礎資料となり、今年度は6回目、第1回調査から25年目となる県民意識調査が現在行われています。

県民意識調査は前回調査で約20問の質問があり、その中で例えば「人権をどのくらい身近な問題として感じているか」等の質問は、過去の調査でも同じ質問を行い、その回答から県民の人権意識の変化を把握していくことができます。このように経年で変化を把握していくことは、人権推進行政にとって非常に重要です。

また、近年、日本国内においても子どもの虐待やいじめ、インターネットを使った人権侵害、職場でのハラスメントなど、人権に関する問題は複雑・多様化しています。最近では新型コロナウイルス感染に関連して、感染者や医療従事者等への偏見・差別をはじめとするさまざまな人権問題も発生しました。

県民意識調査では、経年変化を把握するとともに、新しい設問も行い、新たな問題、現状等を把握していくことも大切であり、今後も継続的に調査を行っていく必要があります。

さらに、調査を実施した後の調査結果の分析が大事であります。単なる集計だけではなく、地域や年齢によって傾向が違うのか等、今後の施策に反映していくためには、ていねいな調査結果の分析が必要となります。

そこで、今回の人権県民意識調査の特徴とねらいについてお伺いします。

併せて、分析結果を教育、県行政、警察行政をはじめ、全県で有効活用する方策について、当局のご所見をお伺いします。

(2)インターネット上の人権侵害をはじめとする差別のない人権兵庫の実現について

SNSは、誰もが気軽に自分の思いや意見を投稿できたり、共感したりして見知らぬ他人とのコミュニケーションの輪を広げてくれる一方で、他人への誹謗中傷、無責任なうわさ、個人のプライバシー情報などを広めたり、メッセージを送りつけたりするなど、インターネット上の人権侵害が深刻な社会問題となっています。

総務省の委託事業で、インターネット上の誹謗中傷等トラブルについて、相談を受け付け、アドバイスを行う窓口である違法・有害情報相談センターでは、「ネットでの誹謗中傷や個人情報を書き込まれた」等の相談を受け付けられています。相談の受付件数は増加傾向にあり、令和3年度の相談件数は、平成22年度の相談件数の約5倍に増加しており、6,000件を上回っています。

インターネット上の誹謗中傷により、加害者は名誉毀損罪や侮辱罪などに問われたり、高額の慰謝料を請求されたりすることもありますが、新聞やテレビなどでも報道されているとおり、インターネット上での差別、人権侵害は後を絶ちません。

県では、ネット上の悪質な書き込み等による人権侵害の防止のため、モニタリングの取り組みを平成30年から実施しており、県内市町と連携して広がっています。

しかし、モニタリング、削除要請は、あくまで対処療法であり、本来の目的はネット上での人権侵害をする人がなくなること、差別する人がなくなることが重要です。目の前の処理に追われるだけではなく、基本の差別をなくす、人権推進行政を強化することが必要です。

インターネット上での人権侵害をはじめ、差別そのものがない、人権兵庫を作るための人権行政の方針、意気込みをお伺いします。

2 県立大学の授業料等無償化について

先月、県内在住者の県立大学の入学金及び授業料を学部、大学院ともに、所得に関わらず、無償化にするとの発表がありました。

発表があまりにも唐突だったので、若者応援が充実するために質問します。

(1)県内在住の私立大学生、国立大学生等他の若者県民との均衡について

少子化・人口減少対策として、これから結婚・子育てをする若者・Z世代応援パッケージの主な取り組みの一つとして、県立大学の授業料等の無償化が発表されました。

私立大学、国立大学に通う学生等、県立大学以外の高等教育機関に通う若者県民をはじめ、対象にならない圧倒的多数の若者県民との制度の均衡はどうなのでしょうか。

令和4年3月時点の県内高校卒業生は42,454人で、そのうち大学進学者は,28,004人、大学進学者のうち県立大学入学者は737人で、県内高校卒業して大学進学にする者のうち県立大学に進学した者の割合は、2.6%です。他の年度も同じような割合です。我が会派の橋本議員も代表質問で述べましたが、県内高校卒業者42,454人のうち、県立大学へ進学した者は、わずか、1,7%です。

その中でも従来から国において低所得者の支援があるため、今回対象になる学生の割合はさらに低くなると考えます。そこに年間23億円の予算を投じるということですが、他の圧倒的多数の若者県民との均衡をどう考えるのか、県民が納得する説明をどうするのかご所見をお伺いします。

また、高等教育、大学は共同研究をはじめ、多くの大学との連携、共同作業が大切です。

県内の多くの大学、関係者、さらに全国の大学関係者への説明、理解、合意形成はできているのかお伺いします。

(2)県立大学卒業後の兵庫県の定着について

2022年の住民基本台帳人口移動報告によると、兵庫県の20代の転出人口が転入人口を8,000人以上、上回っており、20代の人口流出が多くなっています。

県では、中小企業の人材確保や若年者の県内就職・定着を図るため、若手社員の奨学金返済を支援する「兵庫型奨学金返済支援制度」を実施しており、県内中小企業、社会福祉法人及び該当企業に勤務する従業員への補助を行っています。

県立大学の授業料等が無償になれば、多くの県立大学の学生は奨学金を借りる必要がなくなり、この制度の利用者が減るのではないでしょうか。

今回の無償化は、若い世代の流出防止に本当につながるのか疑問が残ります。

県の予算を使って大学・大学院の授業料等が無償になり、県立大学を卒業後、兵庫県を出て他府県に行ってしまうという事が懸念されます。大豊議員の代表質問では、兵庫で働く卒業生は35.8%と知事が答弁しており、半数以上が県外へ出て行ってしまっています。例えば、令和4年の県内からの入学者737人が卒業後、35.8%が県内で働くとすると263人となります。そこへ23億円の予算がかかることになります。卒業後も県内に定着してもらい、兵庫を担う若者として育てる為の方策が必要ではないかと思いますが、当局のご所見をお伺いします。

(3)県立大学を含めて県内の魅力ある大学づくりについて

「若者・Z世代応援パッケージ」を進めるには、県立大学を魅力ある大学にさらに充実していく必要があります。

兵庫県内には35の大学があり、全国でも5番目に大学が多い地域となっています。大学が多く、多くの学生が集まることは、兵庫県の強みでもあり、県内大学の魅力づくりの応援が必要であり、県内各大学との連携が必要と考えます。

さらに、神戸市には23の大学・短期大学があり、「大学都市KOBE」構想を神戸市が進めており、連携事業も活発に行われています。

そういう中で、県立大学は県内や神戸市の中でも中心となるような魅力づくりに取り組んでいくことが重要であります。

県立大学の「大学都市KOBE」構想への取り組み、また県内大学との連携をいかに進めるのか、ご所見をお伺いします。

3 県庁の新しい働き方モデルオフィスについて

(1)目標の出勤率4割の根拠について

県庁1号館、2号館が令和7年度から撤去を始めるにあたって、今年度から、新しい働き方の実証として、生田庁舎においてモデルオフィスを実施し、出勤率4割を目標に各部が交代で在宅勤務、リモートワークを実施しています。

先日、私もモデルオフィスを見学し、新しい働き方、モデルオフィスについて、オープンで明るく、機能的な感じを持ちました。私も県職員の在宅勤務、リモートワークに反対しているわけではありませんが、あくまで県職員の働き良さと県民の行政サービスの向上を目的とするべきだと考えます。

その上で、行政サービスの向上につながり、職員が働きやすい出勤率を決めるべきで、4割ありきという目標は新庁舎をコンパクトにする、建て替え無しで、三号館、生田庁舎等で納める、足らずは貸しビルで納める等予算縮小を念頭に置いて進めているところがあるのではないかと思います。

そうであれば、本末転倒、県民不在、職員不在ではないでしょうか。

県職員の労働条件、労働環境に直接かかわる課題ですので、県職員労働組合との事前協議と労使合意をしっかりと取るべきです。また、疾病対策課被爆者相談室やさわやか県民相談のように、県民が直接県庁舎に訪れる窓口業務等がいくつかあると思いますが、その相談スペースの確保や4割出勤にしたことで担当者が不在になることも起こりうると思いますがその対応はどうするのかご所見をお伺いします。

(2)県庁舎のあり方について

今後の県庁舎について、出勤率4割で職員が収まる県庁舎の整備を考えているのでしょうか。モデルオフィスの成果を元に、更なる県庁舎のあり方を考えるべきだと考えます。

県庁舎は、五国と言われる広い県土兵庫の、県民、各市町、各団体、企業等の拠点、拠り所になり、また10の県民局・県民センターを統括するような象徴的な建物がやはり必要ではないかと思います。

災害時に県庁北の県災害対策センターは、災害時の司令塔の機能を有しており、三木の県広域防災センターは救助、物資等の拠点となりますが、災害時・非常時の県民の拠り所、拠点が必要です。

今の県庁の位置で、県民にとって、各市町、各団体企業等の拠り所、拠点となる安心できる象徴的な県庁舎が必要と考えるがいかがでしょうか。

(3)教育委員会の東灘区への移転等について

突然、3号館改修のため、現在3号館を使用している教育委員会を神戸市東灘区の住吉駅近くの旧神戸市水道局旧東部センターを改修して来年令和6年度に移転すると発表されました。

現在の県庁より約9㎞離れており、車で20~30分かかります。

教育は、教育委員会のみでの仕事だけではなく、防災教育、人権教育、障害者の教育、環境教育等々、県行政知事部局との共同作業の教育が多くあり、また近年、総合的な教育が求められています。

リモートだけでカバーできる範囲ではなく、綿密な打ち合わせ、共同作業で総合的な教育が実現すると思います。

また、私たち県議会として、各議員が教育委員会に説明やレクチャーを求めることも多くあります。

そういった場合に県庁との行き来に時間を要するが、効率はどう考えるのか、めんめんと積み上げてきた兵庫教育に支障をきたさないのか不安がありお伺いします。

また、教育委員会の住吉移転は、3号館整備の間か、今後もずっと住吉なのか、当事者部局の教育委員会との十分な合意ができているのか。さらに、監査委員、人事委員会、労働委員会は県立総合衛生学院中山手分校へと移転し、本庁舎全体のあり方、ビジョンが示されないまま、行き当たりばったりと思えます。付け焼刃的に、教育委員会をはじめ各部局を移転するのは、不安をあおりいかがなものかと思いますが、当局のご所見をお伺いします。