議会の動き

予算特別委員会◆18年02月定例会

理  事 上野 英一 議員(神崎郡)
委  員 前田 ともき 議員(神戸市東灘区)

上野 英一 議員
財政状況 | 健康福祉部 | 病院局 | 産業労働部 |
農政環境部 | 県土整備部 | 企業庁 | 教育委員会

前田 ともき 議員
財政状況 | 企画県民部① | 企画県民部② | 病院局 |
産業労働部 | 公安委員会 | 県土整備部 | 企業庁 | 総括審査

●財政状況

1 将来負担比率改善に向けた取組について
2 県税収入について
(1)平成29年度の県税収入見込みについて
(2)平成30年度の県税収入見込みについて
3 森林環境税(仮称)の創設について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <財政状況>

質問日:平成30年3月5日
議員名:上野 英一

1 将来負担比率改善に向けた取り組みについて

まず、最初に、平成19年度からの行革の成果・実績を平成30年度の当初予算との比較で改めて確認しておく。収支不足の解消は、投資事業の削減及び事務事業の見直しと職員数3割削減を中心とした人件費の削減、そして県債管理基金の活用と財源対策債の発行であったと考えている。

歳入歳出構成の状況を見ると、平成19年度当初予算の収支不足額が1,381億円であり、平成30年度でのその改善額は、人件費の削減額1,328億円とほぼ同額であった。そのほか、行政経費(社会保障関係費等)の増額分1,083億円は、県税・地方交付税等の増額分に相当している。これまでの収支不足額1,381億円は、財源対策として退職手当債・行革推進債・資金手当債の発行と県債管理基金の活用で対応しており、その総額は6,080億円である。

投資事業は、事業費ベースでは△1,228億円ではあるが、一般財源ベースでは△381億円と効果が少額であったが、これは県税交付金362億円とほぼ同額である。これらで見事に収支均衡となっている。

ところで、私は、財政指標の中でも、将来負担比率に特に着目している。11年間の行革期間では、教職員給与負担事務の政令市への移譲に伴う標準財政規模の縮減等による影響で、震災関連県債残高除きでは平成19年度比プラス3%の275.3%になっている。平成30年度での実質的な県債残高は3兆507憶円である。将来負担比率は、言うまでもなく将来世代へのつけ回しであり、本県は全国でも数字が高い方であるがやはり、この数字を改善していくことが大事だと考えている。

一方で、経済的あるいは交流の拡大に必要なもの、老朽化対策で必要なもの、防災対策として必要なもの等々、社会基盤整備の需要は高いと思うので、その着実な推進も、県民が期待しているところであると考える。
将来負担比率の改善を図ることと、着実な社会基盤整備を進めることを両立させるためには、財源確保のため、県債を発行するにしても交付税措置の手厚いものに、あるいは国庫補助金等をできるだけ活用するようにしていく必要があると考える。

しかし、今後、大阪湾岸道路西伸部や播磨臨海地域道路、そして場合によっては県庁周辺再整備など、ビッグプロジェクトが控えている。県庁周辺再整備などはある意味大きな夢を抱く課題でもあるが、神戸一極集中のような気もする。そのことはさておき、財政フレーム・将来負担比率の大幅な上昇も考えられる。

当局は予算編成の基本的な考え方として、「平成30年度においても、緩やかな拡大基調が続くと見込まれているが、海外経済の動向、金融資本市場の変動に注視していく必要がある。」とされているが、欧米の金融政策正常化、あるいは引き締めに入っている中であっても、いまだ日本ではゼロ金利・量的緩和策をとり続けていることを踏まえると、大きな不安を抱くものである。
そこで、これらの状況をふまえ、30年度以降の将来負担比率改善に向け、どのような方針のもとで、財政運営に取り組んでいくのか、所見を伺う。

2 県税収入について

(1)平成29年度の県税収入見込みについて

今年1月に閣議決定された「平成30年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」によると、平成29年度の我が国経済は、アベノミクスの推進により、雇用・所得環境が改善し、海外経済が回復する下で、輸出や生産の持ち直しが続くとともに、個人消費及び民間設備投資が持ち直すなど民需が改善し、経済の好循環が実現しつつあるとしている。
また、物価の動向については原油価格の上昇の影響等により上昇しているとしているところである。

こうした経済状況の中で、平成29年度の県税収入は、年度前半は、法人関係税が予想以上に落ち込んだことから、当初予算の確保が難しいとの見込みがあったものの、結果的には2月補正で当初予算額から32億円の増額補正をし、現計予算額が7,237億円となったところである。
そこで、まず大きな増減収があった税目について、その状況と要因等をお伺いしたい。

(2)平成30年度の県税収入見込みについて

最近のわが国経済の状況は、1月発表の内閣府月例経済報告によると、景気は、個人消費や設備投資、輸出に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続いているとし、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されている。

また、今年1月に閣議決定された「平成30年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」によると、平成30年度の我が国経済は、海外経済の回復が続く下、政策効果もあいまって、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好環境が更に進展する中で、民需を中心とした景気回復を見込んでいる。

こうした経済見通しを踏まえて策定された平成30年度当初予算における県税収入は、平成30年度から始まる教職員給与負担事務の神戸市への移譲に伴う個人県民税の税源移譲の影響もあると思われるが、平成29年度現計予算額から5億円の減となる7,232億円を計上されている。
そこで、主な税目についてどのように考え、見込まれたのか、お伺いしたい。

3 森林環境税(仮称)の創設について
昨年12月の平成30年度税制改正大綱において、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成31年度税制改正において、森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設することとされた。

中でも、森林環境税は、国税として、1人年額1,000円を上乗せして徴収されるもので、平成36年から課税されることとされている。そして、それを全額、間伐などを実施する市町村やそれを支援する都道府県に森林環境譲与税として譲与(配分)するとされている。

本県では、既に県民税均等割の超過課税として「県民緑税」の負担を県民にお願いしているところである。県民緑税は、個人と法人が納税義務者であり、課税期間は今のところ、個人が平成32年度分まで、法人が平成33年3月31日までに開始する各事業年度分とされている。

「県民緑税」の規模は5年間で120億円、単純計算すると年24億円であるが、森林環境税の規模が全体で600億円とされていることからすると、「県民緑税」は県にとって大きな財源であると考える。
しかし、県民緑税がまちなみ緑化にも使われるのに対し、森林環境税創設の目的が林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図ることにあることから、その使途はまちなみ緑化には使えないものであると思われる。
そこで、県民緑税と森林環境税(仮称)とは目的が一部重複し、二重課税とならないか懸念するところであるが、森林環境税創設に対する当局の所見を伺う。

●健康福祉部

1 介護サービスの充実強化について
(1)介護保険施設の整備状況について
(2)介護人材の確保について
2 無届け有料老人ホームについて

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <健康福祉部>

質問日:平成30年3月7日
議員名:上野 英一

1 介護サービスの充実強化について

(1)介護保険施設の整備状況について

2025年問題に対してそれぞれの市町は、高齢者保健福祉計画等を立てて施設整備を進めていると理解をしている。平成30年度予算にも地域介護拠点整備97施設、高齢者福祉施設の開設準備85施設等が計上されているが、13年間運営してきたグループホームが、この3月末で閉鎖する状況もある。

そこで、地域によって異なるであろうが、2025年に向け、利用者ニーズに応える基盤整備となっているのか伺う。

(2)介護人材の確保について

特養では定員に対して待機者が3倍とよく言われている。また、施設整備が出来たとしても介護スタッフが集まらないとも聞いている。確かに、国の調査によれば、介護分野の有効求人倍率は、平成29年で全職業1.5倍に対して3.5倍になっていたり、地元の特養でも16床増床したがスタッフが集まらず利用者の受け入れが出来ずにいる、と聞いたりすることから、介護人材の不足は全国的なものであると認識している。

県としてもその対策のため、福祉人材確保対策の推進や強化、介護人材確保に向けた市町団体支援、介護職場の労働環境の改善などといろいろ予算計上されているが、先程の質問で伺ったような施設整備を進めていくのであれば、それと並行して、介護人材の確保が実効あるものになるよう取り組んでいかなければ、先程紹介した施設のように整備された施設が機能しないことにもつながりかねない。

そこで、介護人材の確保について、具体的にどのように取り組んで行くのか伺う。

2 無届け有料老人ホームについて

札幌市で1月31日の深夜に生活困窮者らの自立支援住宅で火災が起こり11人が死亡した。また、昨年の12月に神戸市中央区で火災が起きた7階建て集合住宅は、事実上、有料老人ホームとして運営されながら、老人福祉法に基づく届け出がされていなかった。

札幌市の例では、入居者を高齢者に限定していなかったため、有料老人ホームとは見なされないようであるが、神戸市の例では、有料老人ホームの届出をするよう市から促されるような状態だったようである。

また最近、ホームホスピスという施設が増えている。一般社団法人全国ホームホスピス協会のホームページから抜粋すると、「ホームホスピスは、病や障害があっても最期までその人らしく暮らせる「家」です。」「私たちは住み慣れた地域の中にあるもう一つの「家」にケアを必要とする人々が暮らし、ホスピスケアのチームが入ってサポートする仕組みを「ホームホスピス」と呼んでいます。

私たちは、ホームホスピスをそのような仕組みを持つ「家」であると同時に、その地域の保健・医療・福祉とつながって、誰もが住み慣れた地域で最期まで安心して暮らしていけるまちを実現することを目的とした活動の拠点ととらえています。」「痛みやその他の身体的なケアだけでなく、生活者として人生の幕を閉じるまで、医療面とともに生活面での対応を重視していますから、住まいを中心に医療や介護、予防そして生活支援が一体となったケアの体制が必須となります。」などと書かれている。

2018.1.1現在、九州10件、近畿13件、中・四国3件、中部2件、関東7件、東北7件となっている。他協会もあるので、相当数があると推測出来る。殆どが空き住宅をそのまま使用している。

因みに姫路市の「ひなたの家」は、1階部分をホームホスピスとして6LDK(和室2,洋室4、トイレ2,浴室1)、2階に訪問看護・訪問介護事業所の事務所及び看護師2名(4LK、トイレ1、シャワー室1)と家主の居住スペースがある。定員5名程度、ケアの体制として、利用者の症状に応じて、介護保険・医療保険を適用して必要な時に必要なケア(訪問看護・訪問介護)を提供し、それ以外の時間帯は、急な対応が必要な場合に備えて、介護職員が1名24時間体制で待機している。夜間等、急な医療的処置が必要になった場合は、2階の看護師が対応し、担当の訪問診療医と密に連携をとり、安心して生活していただけるよう配慮している。

利用料金は、

1ヶ月単位で入居の場合

入居一時金 30万円

毎月の費用12万円(家賃4万5千円、光熱共益費3万円、自費介護管理料4万5千円)、その他 介護保険、医療保険の利用者負担分、食費は別に必要。

1日単位での利用の場合、1泊2日で6千円(朝11時~翌日11時まで)、延長1千円/時間となっている。

この実態をどのように考えるか、家賃等を取っているが民泊施設の一種のようにも見える。そこへ、介護保険制度の訪問看護・訪問介護を行うことからも、実態は有料老人ホームであるが、姫路市のホームページで、同市の有料老人ホームを確認しても、もちろん「ひなたの家」は掲載されていない。

こうした実態は有料老人ホームといえる施設が無届けの状態では、冒頭に申し上げた事故等に繋がる可能性も高まるなど、入居者の安全・安心の確保が脅かされないとも限らない。

空き住宅をそのまま使用すると設備投資費用がかからないし、安価で良質のサービスが提供できるならば、比較的費用のかかる施設に入りたくとも経済的に入れないという方々の受け皿として良との考えもあるが、今後さらに高齢者が増えていくことにより、札幌市や神戸市のような例がますます増えてくるという懸念もあるため、如何なものか、と考えている。

そこで、無届け有料老人ホームへの対応のあり方について、当局の所見を伺う。

●病院局

1 中・西播磨圏域における1・2次、3次救急医療体制の連携強化について
2 県立大学及び獨協学園の教育・研究部門の整備状況について

全文

平成30年度予算特別委員会<病院局> 質問原稿

質問日:平成30年3月7日
質問者:上野 英一 委員

1 中・西播磨圏域における1・2次、3次救急医療体制の連携強化について

病院局では、より良質な医療の提供、とりわけ3次救急・政策医療のために診療機能の高度化やICT化の推進、県立病院の建替整備等、着実に事業を進め、また、自立した経営の確保にも努められています。

そのような中、県立はりま姫路総合医療センター(仮称)の建替整備が、平成34年上期供用開始予定で進められています。

私は新病院の持つ機能の中でも、中・西播磨全域における医療行政全般にわたる住民に対する安心度を高めることに期待をするところです。この地域は、人口10万人に対する医師数が中播磨で212.1人、西播磨で163.5人であり、全国平均から中播磨で39.6人、西播磨で88.2人少ない状況です。マグネットホスピタルとしての役割を大いに期待します。

この地域には、公立神崎総合病院、公立宍粟総合病院、たつの市民病院、赤穂市民病院、相生市民病院の自治体病院がありますが、どちらも医師・看護師不足であり、経営においても多額の一般財源をつぎ込んで住民に安心を与えているのです。

さて話は変わりますが、先日、日曜日の夕刻に知人から電話がありました。「親父が脳疾患で救急車に乗っているのだが受け入れ病院が見つからない。最終的には姫路循環器病センターに受け入れてはいただくが、何とかならないか。」ということでした。神崎郡内の多くの病院では日曜日ということで、当直医のみで脳の専門医がいないので対応できないとのことでした。結果無理を言って、神崎総合病院でとりあえず診察をしていただくようにお願いをしたところ、酸素吸入と点滴で症状は落ち着きそのまま入院、一安心となりました。

その患者さんはこれまでも何回か脳梗塞等を繰り返されていましたので、そのような処置で充分であったのだと思います。しかし、当直医の先生は専門外であるということと同時に、いったん受け入れた場合に手に負えずに転送するときの受け入れ先の確保等で、多くの不安があったのではないかと思います。1・2次、3次救急病院の役割分担はできているはずだと思いますが、当直医をはじめ一人一人の先生方の認識によるところが大きいのではと考えます。3次救急を担うはりま姫路総合医療センター(仮称)が中心となって、中・西播磨の1・2次、3次救急医療体制の連携強化を進めるための方策について伺います。

2 県立大学及び獨協学園の教育・研究部門の整備状況について

現在進められている、県立はりま姫路総合医療センター(仮称)の整備にあたっては、兵庫県立大学と獨協学園の教育・研究部門を一括で整備されることとなっています。獨協学園については、医療系の大学院や研究室等を備えた医療系高等教育・研究機関として、県立大学については、先端医工学研究センターにおける企業等との共同研究拠点「医産学連携拠点」として整備されるものです。

この取組みは、病院局、大学課、私立大学、そして姫路市と県とが連携した画期的な取組みだと考えます。新病院とともに関連施設についても平成34年度上期の開設予定であり、詳細については、あるいは役割については、それぞれに担当・専門部署があり、これからだと思います。しかしながら、「知と文化・産業の交流拠点」というコンセプトに相応しいものとするため、一括整備を行う大きな意義と目的については、それぞれに共通認識をもって進めていかなければならないと考えますが、所見を伺います。

●産業労働部

1 ひょうごのツーリズムの推進について
(1)日本遺産「銀の馬車道・鉱石の道」の活用について
(2)プロモーション活動について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <産業労働部>

質問日:平成30年3月8日
議員名:上 野 英 一

1.ひょうごのツーリズムの推進について

(1)日本遺産「銀の馬車道・鉱石の道」の活用について

ひょうごゴールデンルート推進の2段階目として、神戸、姫路城、城崎温泉の3拠点を中心に据えた外国人個人旅行者誘客の強化、3拠点から丹波・淡路地域も含めた周遊拡大に向けた事業を展開、世界的な事業者と連携したプロモーション、体験型観光・日本遺産を活用した周遊促進、ひょうごゴールデンルート周遊ガイドの育成とある。本県のインバウンド取り込みが、京都、大阪に大きく水をあけられていることは先の代表質問でも指摘があったところである。今後も自治体間の競争が熾烈化していくことが予想されることから、この取組には期待している。

こうした海外からの誘客に加え、国内からの誘客促進もまた重要であり、そのためには、県内の様々な観光資源を生かす必要がある。中でも、力を入れていくべきと考えているのが、姫路と城崎の間に位置する福崎町、市川町、神河町、朝来市、養父市の広域にわたる日本遺産「銀の馬車道・鉱石の道」である。銀の馬車道の取組は当初、民間団体の「市川流域アメニティ推進協議会」による市川の保全と銀の馬車道を通じた地域おこしとして始まった。そして、平成18年に、当時の生野・大河内・神崎・市川・福崎・香寺町と姫路市、中播磨県民局等で、「銀の馬車道ネットワーク協議会」を組織し、取組を進めてきている。

鉱石の道でつながる明延鉱山・生野銀山は産業歴史遺産として姿・形が残っているが、銀の馬車道は、極わずかに神河町内にその原形と姫路市の生野橋の名前に名残がある程度である。このこと自体は残念なことではあるのだが、日本初の高速産業道路というレガシーを基盤にした地域活性化の取組が日本遺産という形で実を結んだこともあり、一層の取組が模索されている。

これまでの取組で一番の成果は、松竹新喜劇にもご指導や協力を頂き、2007年7月に結成された「銀の馬車道劇団」による人情喜劇「銀の馬車道」の取組だと思う。公演自体は年に一度か二度しかないが、劇団員は銀の馬車道沿道に住む地域の人たちを中心に構成されており、大道具も自前、団員は毎年公募され、小学生だった子供が青年となり、舞台指導なども行うようになっており、人づくりと銀の馬車道を生かしたふるさと意識の高揚に大いに役立っていると考えている。

地元の意識は高いので、ツーリズム振興の取組は、日本遺産「銀の馬車道・鉱石の道」も踏まえたものであっていただきたいと考えている。

そこで、日本遺産「銀の馬車道・鉱石の道」のツーリズム振興における活用について、所見を伺う。

(2)プロモーション活動について

国内外からの観光客の目的は、有名観光地や地域の原風景を訪れることのほか、地方の暮らしや歴史に触れたり、文化やスポーツ等を体験すること、に変わっているように聞く。たとえば、神崎郡で言えば、福崎町には柳田國男と河童で有名な辻川界隈、寄棟と日本式庭園が立派な数多くの民家がある、アイアンクラブ発祥の地市川町、14年振りの新設スキー場「峰山高原リゾートホワイトピーク」等々がある。こうした地域資源を点から線・面に展開をするためには、県広域の連携も必要であるとともに、世界的なプロモーションとの連携も必要と考えている。

たとえば、昨年は神姫バスツアーが神戸・姫路城・城崎温泉の中間に位置する峰山高原ホテル「リラクシア」を宿泊地としてコースに入れて、台湾からの観光客500人を誘致した。さらに、先日姫路市が中心になって、日本旅行と一緒にシンガポール・タイからの誘客プロモーションの取組を行うなど、市町、民間それぞれ力を入れているようである。

兵庫県としても、市町等とも連携し、地域資源を生かすプロモーション活動が必要だと考えるが、30年度においてはどのように取り組もうとしているのか伺う。

●農政環境部

1 担い手の現状について
2 農業経営体の法人化について
3 農地中間管理機構による担い手への農地の集積・集約化について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <農政環境部>

質問日:平成30年3月9日
議員名:上 野 英 一

1.担い手の現状について

ひょうご農林水産ビジョン2025では、産業としての力強い農林水産業を展開するには、経営能力に優れた担い手を必要としており、地域の他産業従事者並みの所得等を確保できる経営体へ発展するよう育成する認定農業者の認定を進めているとある。

私は平成26年度の決算特別委員会で担い手の開拓と育成支援等について質問をした。認定農業者は平成37年目標すなわち2020年3,000人に対して「平成26年度は新規認定132、更新をしなかった者が89、廃業等が15で差し引き2,545経営体となった。

高齢化が伸び悩みの要因である。従って、今後は新規就農者を育成し、認定農業者へと誘導していく必要があり、そのためには新規就農者の定着支援と経営拡大に向けた支援が必要。」と答弁があった。しかし、新規就農者も年間400人目標に対して約74%での推移であり、平成28年度の認定農業者数も2,487人と厳しい数字となっている。この現状に対する認識と目標達成に向けた方策を伺う。

2.農業経営体の法人化について

同じ平成26年度決算特別委員会において、集落営農組織の法人化と企業参入について質問したが、その時には「本県農業の持続的発展を図るためには、認定農業者等の個別経営体と併せて、集落営農組織、法人を育成するとともに、企業の農業参入を推進し、地域の持ち味を最大限に生かした力強い農業経営を展開する必要がある。

集落営農の組織化については、平成32年度の中間目標1,300集落に対して平成27年3月末時点で1,066集落で、高齢化やリーダー不足などにより、毎年20集落程度の緩やかな増加となっている。」と答弁があった。因みに、平成37年度目標1,500集落に対し、平成28年度は1,110集落とさらに緩やかな増加となっている。

また、これら1,110の集落営農組織のうち法人化している集落数は175集落、経営体数で114経営体に留まっており、今後法人化する余地が大いにある。

本県の法人経営体全体についてみると、平成32年度目標の700経営体に対して平成28年度で482経営体となっているが、平成27年度から平成28年度にかけて84経営体の増となっており、伸び率がこれまでよりも倍増している。なお、平成37年度目標は900経営体である。

農業経営の法人化は、意思決定の迅速化や個人の無限責任回避などの観点から重要と考えるが、これについて、現状の分析、また、今後の見通しについて伺う。

3.農地中間管理機構による担い手への農地の集積・集約化について

農地の有効活用や農業経営の効率化を図るため、農地中間管理機構が農地所有者から農地を借り受け、人・農地プランの中心経営体等の担い手へ貸し付けることにより、農地の集積・集約化を促進とある。

そしてそのために、担い手ではない農地所有者から機構を通じて担い手に新たに貸し付けられた新規集積農地に対して機構集積協力金が交付される。地域集積協力金は、人・農地プランの話し合いに基づき、機構にまとまった農地を貸し付けた地域を対象に、経営転換協力金は、①経営転換する農業者②リタイアする農業者③農地の相続人を対象に、耕作者集積協力金は、農地中間管理機構の借受農地に隣接する農地の所有者、耕作者を対象としている。現在は交付対象が新規集積農地に限られているが、機構発足当初は、機構に貸し付けられた全ての農地が交付対象であったこともあり、この集積協力金が担い手への農地の集積に大いに寄与してきたと認識している。

さらに、機構が集積した農地の圃場整備事業を受益者の負担金を求めずに県が実施することが可能となった。さらに、一定期間、機構に対して所有する全ての農地を貸し付けた場合に固定資産税の軽減がなされる制度も措置されていると聞く。機構による集積が中々進まないための策でもあるとも考えるが、農地も森林管理100%作戦と同じで、公が管理する時代となったと言えるのではないか。このような中での今後の農地の集積の見込みとあるべき姿について伺う。

●県土整備部

1 播但連絡道路南伸部における有料道路事業導入について
2 道路整備の考え方の周知について

全文

平成30年度予算特別委員会<県土整備部>

質問日:平成30年3月12日
質問者:上野 英一 委員

1 播但連絡道路南伸部における有料道路事業導入について

播但連絡道路は、国道312号のバイパス機能を持ち、さらに県土の骨格となる南北軸として、県道路公社による有料道路事業で整備されました。

一方、国の直轄事業により北近畿豊岡自動車道が春日から氷上、和田山、八鹿氷ノ山、日高神鍋高原ICと順次開通しており、無料開放されています。

北近畿豊岡自動車道など高規格幹線道路の整備が県内であまり進んでいない時代から、県が播但連絡道路を県道路公社の有料道路事業により先駆的に取り組まれたことを私は理解していますが、北近畿豊岡自動車道が無料で通行できるのに、なぜ播但連絡道路は有料なのかとの声が多くあります。姫路花田-神崎北間の開通から約40年の歳月が経過した今日、改めて兵庫県の有料道路事業で整備をしたこと、国の直轄事業で整備をした無料道路とは制度的に異なることを、県民に分かりやすくPRする必要があると考えます。

そのような中、県は、播磨臨海地域道路の一部として、播但連絡道路南伸部を有料道路事業で取り組もうとしています。

そこで、この南伸部をどのような考えで有料道路事業として取り組もうとしているのか、当局のご所見を伺います。

2 道路整備の考え方の周知について

トンネル工事を含む道路改良工事、あるいは歩道整備の考え方が、バブル期以前と大きく変わったことが、事業を進める時に住民理解を得られないことが多くあります。

例えば、以前は交流ふれあいトンネル・橋梁整備事業の名目で、トンネルや橋梁工事が、交通量などから算出される経済効果において数値が小さくとも、採択の要件ではなかったことから、整備出来ました。歩道整備についても然りで、自転車と歩行者の安全確保をする、自転車歩行者道の整備ではなくて、自転車と歩行者を分離して自転車は車道を走らす等、整備の考え方が大幅に変わっています。

県道三木宍粟線の福崎町内を例にとって説明しますと、加西市に隣接する大貫地区は両側歩道(約 3.5m)で約8年前に整備をされました。播但連絡道路以西の市街地部については、幅員約2.0mの両側歩道で整備済みで、福崎町域で最も西の西谷地区の西谷交差点より西側区間は歩道が未整備で、その西側の姫路市夢前町では久畑交差点以西で約2.5mの片側歩道が概ね整備されています。

また、西谷地区では、県立夢前高校生の自転車通学経路となっており、以前から歩道整備が要望されていました。今回の約1.5kmの区間のうち、まず、夢前町境の約900mについて、自転車の安全対策として、道路法面を起こして、路肩を拡幅し、自転車の通行空間を確保する。旧道(現町道)のある約600mの部分は、その後整備に着手するという内容です。県土整備部の整備の考え方そのものは理解できますが、連続する、しかも同一町内での今回の整備は中々納得できるものではありません。

社会基盤整備プログラムについては、来年度に改定予定と聞いています。道路整備の考え方も併せて県民に周知徹底すると同時に、福崎町西谷地区のように、これまでの連続する前後の区間とあまりにも異なる場合には例外とするなどの検討があっても然るべきと考えますが、ご所見を伺います。

●企業庁

1 地域整備事業における分譲推進について
2 企業庁における今後の経営・事業展開について

全文

平成30年度予算特別委員会<企業庁> 質問原稿

質問日:平成30年3月12日
質問者:上野 英一 委員

1 地域整備事業における分譲推進について

地域整備事業においては、これまで、阪神、播磨、淡路各地域の臨海部や播磨科学公園都市などの内陸部における産業用地、潮芦屋や神戸三田国際公園都市における住宅用地の分譲など、地域の活性化に寄与してきた。

その分譲計画については、昨年度改定した企業庁の基本方針を示す「新・企業庁経営ビジョン」やその具体的な行動計画である「企業庁総合経営計画」、更には最終2カ年行革プランにおいても、これまでの分譲実績等を踏まえ、その分譲進捗率90%の目標年度を平成30年度末から平成32年度末に変更したところである。

未だ分譲できていない用地の分譲にあたっては、これまで以上の努力が必要であり、単純に期間を延長しただけで目標が達成できるということにはならないと思うが、目標達成に向けてどのように取り組んでいるのか。

今年度の分譲見込み及び今後の目標達成に向けた見通しを伺う。

コメント 目標達成に向けていろいろな努力がなされていることを理解した。カルチャータウン商業施設の今春開業や播磨光都サッカー場の整備や、次の質問でも触れるが企業庁の新しい展開・役割が生まれているようである。創意工夫と関係自治体等と十分に連携を取って、目標達成に努力されたい。

2 企業庁における今後の経営・事業展開について

企業庁では、これまで、上水道、工業用水道の供給や、先ほど質問したとおり産業団地の開発や住宅用地の造成にも取り組み、県政の一翼を担い、県内各地域における産業、生活基盤の整備に尽力いただいている。

また、平成29年度から地域創生整備事業を設置した上で、「ひょうご小野産業団地」の整備に着手し、平成30年度には、元県立鈴蘭台西高校用地を活用した地域介護福祉拠点の整備や三宮東再整備事業など新たな事業にも取り組もうとしている。

今後、人口減少や少子高齢化が急速に進むなど、企業庁をとりまく社会環境が大きく変化し、行政課題が多様化する中にあって、公営企業の役割も更に広がっていくと考えるが、今後どのように事業展開を図っていこうとしているのか伺う。

●教育委員会

1 特別支援教育推進のための市町支援について
2 政治的教養を高める教育の推進について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <教育委員会>

質問日:平成30年3月13日
議員名:上野 英一(ひょうご県民連合)

1.特別支援教育推進のための市町支援について

インクルーシブ教育システムの構築が叫ばれてから、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が、可能な限り共に学ぶ仕組み・環境づくりや合理的配慮の提供が求められる。

また、特別支援学級で学ぶ児童生徒も増加している。特別支援学級は8人で1学級の学級編成となっているが、担任1人では対応が難しいことも多いと考えている。

私の地元の中学校の特別支援学級では、2人の知的障害の生徒に対して、1学級1担任と町費負担の支援生徒補助員が週3日、2日を他の先生が支援していた。

しかし、A君は良い意味でも、悪い意味でも心身共に成長して、小学生の時には先生の指導に対して聞き分けていたことが、中学生になってからは、先生を試したり挑発さえさえする事が多々あり、先生が理性を失うこともあった。

昨年の秋には、児相に届ける事案もあって、学校や教育委員会の対応に不満を持たれた保護者から、私に相談があった。保護者と教育長、私が仲介をして話し合い、現在A君に対して2人体制で授業を行っている。しかし、いつまでも出来ることではないため、今後のことは様子を見ながら検討していこうとなっている。

これらが特別支援学校なら経験を積んだ教員ばかりなのでこのようなことにはならなかっただろうが、中学校の担任にしても、周りの先生にしても経験を積むには時間を要する話である。その間に同じような事態が起こることもありうる。

また、今回のことを通じて私は教育・指導について、その生徒にあった発達段階に応じた教育・指導とは何か、小学生の時にはできていたことが、中学生になったからできて当然ではない、ということなのかと、いろいろ考えさせられた。やはり、特別支援教育のノウハウを持つ県が、一定の役割を担う必要があるのではないかと考える。

そこで、特別支援学級に対する市町支援について、所見を伺う。

2.政治的教養を高める教育の推進について

私は政治的教養を高める教育に大きな期待を持つ者の1人である。

政治的教養とは、この人間社会の有り様、人間の生きようを問う、言い換えればシチズンシップ教育でもあると考える。

特に私は町役場の職員として30年、首長も務めさせて頂き、現在県議を11年やっている。国や地方公共団体の果たす役割や責任が、国民生活にどれほど重要なものであるか。日本国憲法の下で、国政は議院内閣制、地方自治体は二元代表制において、政治が司られて国民生活があるということ。

憲法をめぐっては、平和主義や自衛隊・専守防衛議論等があり、また、原発・エネルギー問題、人口減少問題等々多くの議論も政治的教養だと考えている。

予算記者発表によると、高校3年間を通じた政治的教養を高める教育を推進するため、効果的な方法を検討するとし、その内容として、教育推進協議会の開催や、各校の優れた実践事例の研究発表を実施する実践研究会の開催とあるが、具体的にどのような内容でどのように進めていくのか。教育推進協議会の役割や実践事例の普及方法も含めて所見を伺いたい。

上野 英一
神崎郡

●財政状況

1 予算編成について
(1)予算編成のあり方について
(2)事務事業評価の改善について

全文

平成30年度予算特別委員会<財政状況>

質問日:平成30年3月5日
質問者:前田 ともき 委員

1 予算編成について

(1)予算編成のあり方について

財政課は各部局の事業・予算を部局横断・全体を見渡してチェックする門番の役割であり、今回予算委員会で審査する事業も財政課の審査を経て、上程されています。ところが最近、この事業がなぜ審査を通っているのか?疑問に思うことがあります。過去の事業をどう評価しているのか、新規事業の審査はどのように行っているのか。

現状の仕組みで機能しているのか。気になっています。もちろん、私も予算委員として、その役割がありますので、個別事業は明日からの部局審査で指摘していきます。が、議会に予算案として上程される前の当局内での評価方法が気になります。

そこで、各部局と財政当局はどのような議論・視点・材料を元に事業評価をしているのか、改善すべき点も含めて教えてください。

(2)事務事業評価の改善について

次は、各部局の自己評価です。昨年の代表質問で事務事業評価資料は意味があるのか?と指摘しました。その趣旨は、現状の記載項目・内容では事業評価ができないと考えるからです。

例えば、クラウドファンディングでの資金調達支援では、事業コスト1,576万円、KPIでファンド組成数や調達成功率が設定されています。自己評価には「新しい資金調達方法を導入・普及させる事業を低コストで効率的に実施しており、継続が妥当である。」と記載されています。しかし、これでは評価しかねるので追加調査をしてみると、資金調達額は7,049万円。資金調達に22%の事業コストがかかり、平均3年償還とすると単純割で年7%金利となります。本当のコストはそれだけではありません。

事業者側では「須磨海苔プロジェクト」の場合、事業計画達成で金利5%、加えて商品特典があり、小売り価格ベースとはいえ金利10%相当です。これら県と事業会社の合算でみると、実質的な調達金利は年20%程度と推測します。販促の側面もあるとはいえ、事務事業評価資料に記載の低コストと果たして言えるでしょうか?もちろん各事業を自己評価し、公開する意義はあります。が、問題はその中身です。

現行の評価資料では、正しい事業評価は行えていないのではないでしょうか。事務事業評価の改善策についてお伺いします。

●企画県民部①

1 選挙運動費用公費負担の不正防止と改善策について
(1)選挙運動費用公費負担の不正防止と関係書類のネット公開について
(2)ポスターの公費負担の単価及び限度枚数の引き下げについて
(3)選挙事務に係る業務の合理化と適正化について
(4)公費負担の定額給付化について
2 人と防災未来センターのダークツーリズム対応について
(1)現状の課題とリニューアルの方針について
(2)体験型アトラクションの導入と検討委員会の人選について
3 職員公舎の効率的な運用と東京職員公舎の売却について
(1)職員公舎の効率的な運用と家賃適正化について
(2)東京職員公舎の売却について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <企画県民部①>

質問日:平成30年3月6日
議員名:前田 ともき

1.選挙運動費用公費負担の不正防止と改善策について

(1) 選挙運動費用公費負担の不正防止と関係書類のネット公開 について

公費負担はお金のかからない選挙と選挙運動の機会均等を目指している。公営掲示板のポスターや選挙カーのレンタル・運転手代、ガソリン代など選挙費用の一定金額は税金で賄われ 平成27年執行の兵庫県議会議員選挙においては、約97百万円の税金がつかわれている。

民主主義のコストとはいえ、非常に高額である。政務活動費では兵庫県議会をはじめ全国で様々な不正の実態が明らかになったが、選挙の公費負担でも同じ問題があるのでは、と危惧している。

過去には、公費ポスターの水増し請求が2004年の岐阜県山県市議選で発生し、14人が書類送検。ガソリン代の水増し請求が2007年の渋谷区議選で発生し、6人が書類送検されている。証拠を取るのが難しいので表には出てきていないのだろうが、公費ポスターとして上限請求し、その中に公費負担にならない名刺や政治チラシ代との合算やキックバック、などの手口も考えられる。

そこで、公費負担の不正に対する調査の現状と対策とともに、不正が発覚した場合は原則告発すべきと考えるが如何考えるか所見を伺う。併せて、不正に対する抑止力を高めるために、契約書等の関係書類をインターネット公開すべきと考えるが所見を伺う。

(2)ポスターの公費負担の単価及び限度枚数の引き下げについて

公費により負担するポスターの作成単価は掲示場数や固定費など、ある算定式で選挙区ごとに上限が設定されている。例えば、平成27年執行の県議会議員選挙においては、相生市2,497円、西宮市668円と約4倍も1枚当たりの単価に開きがある。

この算定式では市場価格から大きく乖離しており、高すぎる。デザイン・写真等のポスター作成費は10万円以下で十分可能で、印刷単価は普段愛用する東京カラー印刷では、相生市の300枚なら140円程度、西宮市の1000枚なら90円以下で印刷可能である。

ちなみに、平成27年の兵庫県議会議員選挙西宮市選挙区でポスターの作成に要した費用の最高額は約113万円、最低額は約15万円であり約7倍の差に驚く。

西宮市選挙区で分離計算したとすると、ポスター作成費10万円+印刷実費9万円の19万円となり、先ほどの最低額15万円とそう変りない数値になる。相生の場合でも同様の結果である。

加えて、ポスター掲示場の数の2倍も作成できるのは明らかに過剰だ。

1993年、当時の自治省選挙部管理課は通達で、「国政選挙に比して選挙運動期間が短い選挙にあっては、ポスター掲示場数を作成枚数の限度とすることが適当である」と、している。実際に市町によっては掲示場数✖1や1.2といった限度設定もある。従って、兵庫県もポスター掲示場+予備として数%に留めるべきだ。

そこで、同じ選挙区で約7倍の請求額の差をどのように認識しているのか、固定作成費と印刷費用は個別に限度額を設定すべきでないか、と考えるが所見を伺う。

また、ポスター公費の負担限度枚数は掲示場+5%程度に設定すべきであると考えるがいかがか。さらに、ポスター単価が市場価格と大きくかい離している現状の是正策を問う。

(3)選挙事務に係る業務の合理化と適正化について

逆に単価を上げるべき費用もある。公費負担の運転手の報酬は12500円。

単発の仕事で、約12時間の勤務を考えると、この金額で人を雇うことは善意を除けば厳しいし、追加で候補者が支払うと買収となる。

また、ハイヤーで選挙カーを運用すると1日64500円の公費負担だが、運転手+レンタカー+ガソリン代と分離すると35860円とハイヤー有利の問題も適正化すべきでないか。更に公費負担ではないが、支払可能な報酬がいわゆるウグイス嬢15000円や事務員10000円なども低すぎるので改善すべきだ。

また、煩雑な事務手続きも候補者を悩ませる。

例えば、燃料費はガソリンスタンドと別途契約の必要があり、スタンド側の事務負担や入金が長期化する問題を考慮すると粗利1割以下のビジネスモデルであるスタンドとしてはやってられないし、ここ20年でスタンド数が半減している現状を考えるとこの方式は限界を迎えている。公費上限を設定したうえでの契約不要の領収書払いへの変更が妥当。また、選挙公報はデータ入稿を認めるべきだ。

そこで、これらの公費負担や報酬の上限額の適正化について所見を伺うとともに、併せて事務手続きの合理化について見解を伺う。

(4)公費負担の定額給付化について

政務活動費や選挙費用の不正は過去に多くの事例がある。政治だけに限らず、不正・悪事を働く人間は存在し、それを阻止するために多くの善良な人間が多大なコストや事務負担を強いられている。飛行機の手荷物検査はどれだけコストや手間がかかっても、テロや密輸等のリスクを考えると削減できないが、選挙公費負担は削減できる。一つの方策として公費負担の定額給付化である。

もちろん、給付狙いで選挙運動を全くしない人間も予想されるため、併せて供託金の没収点の引き上げか別途公費負担の最低得票率ラインを設定する。

そこで、現行制度の不正リスク、事務コスト、選挙費用の高止まり懸念を考えると、選挙費用の公費負担は定額給付化が最適と考えるが如何か。

2.人と防災未来センターのダークツーリズム対応について

(1)現状の課題とリニューアルの方針について

東館のリニューアル予算について、ダークツーリズムの考えを導入していただきたい。ダークツーリズムとは、災害や戦争跡地など過去の悲劇や悲しみから学ぶために訪れること。僕も思い返せば、広島の原爆ドームやニューヨークのグラウンドゼロ、ポーランドのアウシュビッツ収容所、カンボジアのトゥール・スレン虐殺博物館、ニュージーランドの地震館など他にも多く訪れてきた。どれも、訪問国を決定した際にぜひ行きたい先、メイン級の扱いで訪れた。実はダークツーリズムというのは観光という切り口で強いコンテンツになる。

世界・日本中から集客できる兵庫の美術館・博物館は、その土地ならではの必然性やストーリー性、知名度を考えると神戸ビーフ館と人と防災未来センターであり、県立美術館や神戸市立美術館などよりも集客力の伸び代は大きいと考えている。

そこで、現状の課題とリニューアルの方針について伺う。

(2) 体験型アトラクションの導入と検討委員会の人選について

2月に毎月1回の無料入館日に同センターを訪れた。そこで感じた改善点。

まずは、映像コンテンツの更新が必要。全映像コンテンツの多言語化対応はもちろんのこと、1.17映像はストーリー性、画質、2番目の映像との重複など改善すべきと考える。東館は個別に指摘しないが、全面的に刷新する必要があると感じた。

次に、体験型アトラクションを導入すべきだ。展示映像や資料はネットや書籍で見ることができる。当センターに訪問する必然性を作ることやメディアやネットを通じた拡散性、満足度を高めるには体験型アトラクションが必須。特に地震や津波は体験とうまくマッチする。

例えば、阪神・淡路大震災や世界の過去最高震度を体験できる施設やVR・ARを活用したコンテンツ。また、死亡率100%になる津波浸水1メートルは安全上・構造上難しいかもしれないが10センチ程度の津波体験なら可能ではないか。体験型は費用が高額化するが、別途追加料金やアトラクションごとに企業スポンサードを獲得する方法もある。

そこで、ダークツーリズム対応と体験型コンテンツの創設についての所見を伺うとともに、体験型アトラクションの導入や映像コンテンツの更新が必要と考えるがどうか。

また、検討委員会で具体的に検討するなら委員には、例えばUSJやSEGA、チームラボなど、アミューズメント施設やテーマパークなどでコンテンツ制作に携わる専門家。また、観光のJTBやHISなど民間事業者を委員に選定する必要があると考えるが所見を伺う。

3.職員公舎の効率的な運用と東京職員公舎の売却について

(1)職員公舎の効率的な運用と家賃適正化について

職員公舎の設置目的は、所得や民間賃貸住宅の供給不足等による住宅困窮者への対応だ。しかし、民間住宅の供給は増加の一途をたどり、平成25年の空家率が13.5%、野村総研の2033年予想では30.4%と十分すぎるほどの供給だ。

更に、職員公舎の家賃は単身者用で5500円から12500円と非常に安価に設定されており、住居手当との整合性や福利厚生としての役割を考慮しても一定の値上げが必要と考える。

国家公務員宿舎は平成23年に削減計画が策定され、5年で25.5%削減し、家賃は、歳出に見合うよう値上げが実行されている。

兵庫県は平成19年の管理戸数1,396戸から平成27年984戸と3割減を達成した。

さらに、最終2カ年行革プランでは平成37年に平成27年から44%減の560戸、入居率80%を計画している。

職員数はこの10年で3割減少している。数十年という時間軸で見れば職員数は今後も減少していくだろう。加えて、核家族・独身・大家族などの家族形態や居住エリアなどの多様なニーズに対応するには50年以上の長期間固定化される直営公舎では柔軟で効率的な運用は難しいと考える。

そこで、平成28年度末の入居率が65%に留まっていることを考えると、計画以上の削減と他部局との共有化などを積極的に推進することが必要と考えるが所見を伺う。また、国の方針に準拠した適切な家賃へ値上げすべきと考えるが所見を伺う。

(2)東京職員公舎の売却について

さて、東京都文京区にある30室の東京職員公舎の建て替え検討がなされていると聞いている。この公舎は売却し、借り上げか家賃補助で対応するべきだ。

道路幅による影響を考慮すると、敷地面積1,843㎡に対して建面積411㎡、建蔽率は60%だが約3分の1の22.2%しか利用していない。さらに、延床面積は1,296㎡で容積率は160%だが約4分の1以下の44%しか利用していない。土地の価値を100%活かしていない贅沢すぎる作りだ。

そこで、東京職員公舎は売却し、借り上げ宿舎で対応すべきと考えるが所見を問う。

●企画県民部②

1 ひょうご地域安全SOSキャッチ電話相談の♯9110への集約について
2 官民データ活用推進計画について
(1)策定の意義について
(2)システム・アプリ等の有償提供について

全文

平成30年度予算特別委員会<企画県民部②>

質問日:平成30年3月6日
質問者:前田 ともき 委員

1 ひょうご地域安全SOSキャッチ電話相談の♯9110への集約について

2つの電話相談窓口の目的を紹介します。1つ目は、安全や平穏に関わる様々な悩み事や困り事に対応する窓口。2つ目は、日常生活の中で異変に気づいた際に匿名で通報できる窓口。どちらがSOSキャッチかわかりますか?正解は2つ目です。1つ目は警察の相談窓口の♯9110です。県庁職員にこのクイズをしても、確信を持って正解できる人はごくわずかだと思います。

県民から見ると、どちらも一緒ではないでしょうか。運営コストの効率化や県民に対する広報・周知、わかりやすさを考慮すると、SOSキャッチ事業は廃止し、その役割は♯9110に集約すべきではないでしょうか。このSOSキャッチは、平成25年にスタートした県と県警共同の相談窓口で、予算は案で6百万円程度。

しかも、これは県庁2名分の予算でこれとは別に県警2名の予算がかかっています。相談実績は平成29年度2月末で150件を4人で対応し、1件あたりの相談コストは8万円程度と推測します。相談員4人で年間150件の相談、相談員は週に1度しか相談を処理していない計算となります。

逆に、♯9110は全国統一番号のため認知が進み、平成23年からの5年間で全国の警察相談取扱件数は♯9110を含めて146万件から200万件と37%増加しています。兵庫県警では年間8万件以上を処理しており、そのうち#9110では約5,000件の相談を取り扱っていると聞いています。しかも、月曜〜金曜9時から16時のSOSキャッチと違い、365日24時間対応です。

本事業に限りませんが、そもそも相談窓口が細分化しすぎている、と考えています。

SOSキャッチ事業の創設の趣旨は理解しますが、5年の期間を経てその役割は終わったと判断すべきではないでしょうか。本事業は廃止の上、その役割は♯9110に集約してはどうでしょうか、ご所見を伺います。

2 官民データ活用推進計画について

(1)策定の意義について

昨年10月公開の都道府県向け作成手引きには、様々な事例が紹介されており、今後、県計画を策定される前に、私の考える重要な点を指摘していきたいと思います。

1つ目は、計画の位置付けとして、特に業務改革BPRの推進を重視すべきということです。手引きには、電子行政を進めていく上での行政手続きの棚卸しの必要性、利用者目線に立って、サービスのフロント部分だけでなく、行政内部も含めて業務・サービスを再構成する業務改革が必要と記載されています。

昨年の代表質問の「仕事の中身改革」で指摘した、ゼロベースでの業務の削減、簡素化、効率化、書類や記載事項、要綱、内規の改善に通じる内容です。

加えて重要なのは、システムを組む場合。それらを実行した上で要件定義をしないと、使われないシステム、変更・改修に伴うコストアップで地獄を見る羽目になります。情報企画課は私に指摘されるまでもなく、ご理解されていると思いますが、他部局から早くシステムを組めと言われた時には、要件定義の重要性をぜひ強調し、押し返して、BPRの実行が先だと強く主張すべきです。

また、「オープンデータ化推進の取組」については私自身も本会議で提言し、将来的には重要と考えています。しかし、必要なデータセットの把握・データ標準化、進め方がこなれていないので、時間的な優先度は低く、成功事例や他の動向を見てから本格化しても問題ないと感じています。

2つ目は計画の推進体制。手引き記載の庁内横断チームはもちろんのこと、市町との連携や最新の知見や技術を外部から取り入れるオープンイノベーションを採用いただきたいということです。外部からのCIO補佐官の採用なども本格的に検討すべきです。

手引き上は、ひょうごICT戦略の変更で対応可能な中、あえて別立てで新規に官民データ活用推進計画を策定する意義と重要性の認識を伺います。また、計画策定にあたり、積極的な外部の知見や市町連携の必要性があると考えますが、ご所見を伺います。

(2)システム・アプリ等の有償提供について

独自に追加してほしい視点が開発したシステム、例えばウェブサービスやアプリなどの外部販売です。これらの品質向上には、確かな知見とマメな改善・アップデートが必要で、より良いシステム開発には相応のお金が当然かかります。問題は、単独の県・市の規模では投資コストが行政需要からして、到底賄えない場合があるということです。

その場合、民間でSAASなどがあればその活用もありますが、無ければB/C無視で開発するか、投資額を落として中途半端なものが出来上がるかです。そこで、他の自治体に有償で提供して、費用負担を共有化する仕組みが必要だと考えます。従来、自治体同士は無料が当たり前という感覚でしたが、例えば、視察対応の有償化はいくつかの自治体で始まっています。外注システムでも開発会社と収益配分やライセンス権の一部を県が保有する考えもありだと思います。

兵庫県が今後新規で開発するシステムはもちろん、既存のCGハザードマップもなかなか便利なサービスです。優れたシステムを開発し、県民サービスを向上させるためには、コストの共有化、つまり外部への有償提供が必要と考えますが、ご所見を伺います。

●病院局

1 特定行為研修制度について
2 AYA世代の妊娠可能性(妊孕性)の温存について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <病院局>

質問日:平成30年3月7日
議員名:前田 ともき

1.特定行為研修制度について

これまでチーム医療関連では、認定・専門看護師の養成やかかりつけ薬局の強化を指摘してきました。5年前の決算委員会で、まだ議論中だが実現を期待したいと申し上げた特定看護師が、2015年10月に特定行為研修制度として開始されました。これは、緊急度・重症度が高い患者への初期医療のための呼吸器・カテーテル管理や疼痛、不安、認知症関連の 症状の38の医療行為ができることになり、チーム医療の更なる推進に期待がかかります。

厚生労働省は2025年までに10万人以上養成する目標を掲げ、日本看護協会は、その意義として、在宅医療、外来、超急性期医療においては、看護師が病態の変化や疾患と患者背景を包括的にアセスメントし、特定行為も含めた医療・看護を提供する看護師を養成する必要がある、と発表しています。が、2017年12月段階で研修修了者は738人と進んでいません。研修には1年間と50万円程度の費用が必要となり、その負担は重い。さらに、医師の過労問題、残業代の未払いにも焦点があたりつつあります。

厚労省は医師の働き方改革に関する検討会を設置し、本年2月には「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」が病院団体向けに発出されました。しかし、中身は在院時間の管理や36協定の自己点検などの現状把握が中心。構造的に医師不足の対策につながるのは、この特定行為研修くらいではないでしょうか。

そこで、特定行為に係る看護師を含め認定看護師など専門的な技術・知識を習得した看護師の県立病院の今後の運営における意義と位置づけについて所見を伺います。また、専門的技術・知識を備えた看護師の養成にかかる研修等の費用は、公費で負担するものもあると伺っているが、その職員が研修終了後にすぐに退職してしまった場合には無駄になってしまうので、退職せずに働き続けてもらうための仕組みづくりが必要と考えるのですが、所見を伺います。

2.AYA世代の妊娠可能性(妊孕性)の温存について

思春期 と若年成人の英語頭文字を取って AYA世代。概ね15歳から40歳未満を対象にしたこの言葉を目にする機会が増えてきました。年間100万人のがん罹患者がいらっしゃいますが、40 歳未満でがんと診断 されるのは、2万数千人。全体の、数%なのでAYA世代特有の問題への対策が進んでいません。病院局には、がん治療前の生殖能力の温存について伺います。

さて、この問題を作るきっかけを作ったのは19歳でガンを発症した、妻:弘子との会話です。彼女は、数ヶ月前にがっかりした調子で僕にこういってきました。「どうやら妊娠は難しいかも。子供がとっても欲しかった」と。僕は驚きました。ただ、驚いたのは彼女の妊娠が難しい話ではなく。彼女がそのリスクを5年後に知ったということです。

抗がん剤を使うと生殖機能が落ちるとも言われていますが、術前に精子・卵子凍結して妊娠可能性を確保することも可能です。国立がん研究センターの調査では、15~29歳の10年生存率は男性が66%、女性が75%。今後の医療技術の進歩を考えると、将来の妊娠・子宝を期待していい数値だと思います。昨年7月、日本ガン治療学会はガイドラインを発表し、国立がん研究センター東病院は専門電話相談を設置しました。

ここ数年で急速に対策の必要性が認識され始めたものの、医師にこの問題がどれだけ周知されているか。患者にしっかりと情報提供されているのか懸念を持っています。そこで、県立病院での現状と今後の対策について伺います。

●産業労働部

1 ベンチャー企業への効果的な金融支援について
2 商店街向けのキャッシュレス決済支援について

全文

平成30年度予算特別委員会<産業労働部>

質問日:平成30年3月8日
質問者:前田 ともき 委員

1 ベンチャー企業への効果的な金融支援について

最終2カ年行革プランの資料にひょうご新産業創造ファンドの後継を検討という記載を見ました。私は、自治体ベンチャーファンド(VC)は役目を終えたと考えています。10年くらい前までは、銀行系・証券系VCがほとんどでVCは少なかったが、最近は、独立系・事業会社系のCVCなど多様なファンドやエンジェル投資が増えてきました。

私のかつての同僚も数人が独立して、数十億のVCファンドを経営しています。羨ましい。CVCも、10年前は大手商社くらいだったが、最近はサイバーエージェントやヤフーなどのネット系、NECや富士通といった電気系、テレビ局に不動産、電鉄、遂には郵便局までCVCを組成するなど活発です。

そうした背景もあり、IPO時に匹敵する10億程度の資金調達はもうあたりまえ。未上場で100億円を調達する企業も出るなど、未上場企業への資金供給は潤沢です。

そして、自治体ファンドは構造的に難しい課題を抱えています。それは地域限定と運用期間10年の問題。要は市場規模が小さすぎるということです。例えば、直近10年間でIPOした企業で県内企業は何社あるのでしょうか。三機サービスやスタジオアタオ、カルナバイオサイエンスなどごくわずか。そして、IPO時の株式をVCは何社で何%保有していたのでしょうか。それが兵庫県の市場規模であり、それを競合するファンドと争う構図です。

もちろん、ベンチャーへのメザニンから資本への金融支援は必要です。特にメザニンはIPOを前提としないため、地方と親和性が高い。また、信金によるファンドも出てきました。こういった金融支援の方が、神戸・阪神間以外の県下幅広い地域や業態、規模、成長の志向に応えることができると考えます。

次期IPOファンドは組成すべきでないと考えますが、ご所見を伺います。また、メザニンやIPOを前提としない小ファンドへのLP出資といった金融支援が望ましいと考えますが、ご見解を伺います。

2 商店街向けのキャッシュレス決済支援について

この質問は、来年度予算の商店街向けQR決済支援の必要性について伺います。

兵庫県の税収・雇用・産業を活性化させるために、観光消費をどれだけ増やすかという話が重要ですが、その流れとして、まず第1に取り組むべきことは、観光客を増やすこと。そのため、第2に観光地としての兵庫県を知ってもらうこと。

第3に他の地域との比較に勝って訪問してもらうこと。その次に商品・サービスの購入を決断してもらうこと。そして、本事業はそのあとの決済の話です。しかも、現金やクレジットカードなど多様な決済手段があるうちの1つを強化するものです。

既に多くの外国人が訪れている京都や大阪が導入するならまだしも、兵庫県は、まだ決済手段を強化する段階ではありません。限りある予算を最適に使うためには、まずは知ってもらう・来てもらうに集中的に予算を投下することが結果につながると考えています。

また、商店街・小規模店支援という切り口ならクレジットカード決済の導入が先決ではないでしょうか。QR決済は高額消費が期待できる百貨店や飲食店ならまだしも、そもそも客単価が低い商店街で必要性はあるのでしょうか。また、発行枚数60億を超える銀聯カードはセブンイレブンなどのコンビニATMで引出可能となったため中国人観光客の現金不足は解消されつつあります。

商店街・小規模店にはQR決済より、スクエアやコイニー、楽天ペイなどの新興系クレカ決済の方がよほど必要と考えます。スクエアの場合、導入コストは五千円のリーダーのみで、決済代金の入金は翌営業日というスピード感。将来的には決済データを活用した小規模ローンや経営支援なども検討中とのことです。なお、グルメサイト掲載の飲食店でクレジットカード対応は2割。サイト掲載店でその程度ならば、商店街店舗のクレジット決済対応率はそれ以下と考えた方が良さそうです。

そこで、商店街向けのキャッシュレス決済支援であれば、QR決済だけでなく、新興クレジット決済サービスの活用支援を中心に図るべきと考えますが、ご所見を伺います。

●公安委員会

1 暴力団員情報の積極的な提供について
2 死因究明の必要性について
3 雑踏警備に対する費用請求について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <公安委員会>

質問日:平成30年3月8日
議員名:前田 ともき

1. 暴力団員情報の積極的な提供について

某政党の地方議員が暴力団員だとの報道が2月にありました。報道の真偽や公認時の資質チェックなどいろいろ議論はあるが、そもそもの問題は暴力団混入リスクは排除できない仕組み自体にもあると考えています。

かつて、所属政党で公認候補の擁立の際に、反社チェックを警察にしようとしましたが教えてもらえませんでした。さらに、以前働いていた投資ファンドではIPO時の審査に引っかからないように、投資前に経営陣や主要株主が反社会勢力でないか、反社チェックをかけていました。これも警察に聞いても、教えてくれませんので、SPネットワークという会社に確か数十万円のお金で調査依頼していました。

県の暴力団排除条例では県民の責務として、「県民は、暴力団との一切の関係がないよう努めなければならない」としています。が、そもそも一般市民にとっては誰が暴力団員なのか判断できず、警察・暴力団追放センターに問い合わせするしかありません。しかし、国政政党の公認候補擁立の際にすら、暴力団チェックをしてもらえないのであればどんな要件であれば可能なのでしょうか。

銀行業界では、融資の際にオンライン照会が進みつつあります。4年ほど前の決算委員会で、産業労働部に補助金や助成金の交付時、保証協会融資の際の反社会勢力チェックの必要性も指摘致しましたが、今後は、自治体業務もシステムで自動的に暴力団員情報の照会する取り組みが必要ではないでしょうか。

そこで、暴力団情報の開示を拡大し、善良に暮らす県民が暴力団と意図せず関わり、不利益や社会的制裁を受けないように、また、暴力団排除条例での県民の責務を果たせるように、情報提供に関する制度の周知や暴力団員情報の積極的な開示が必要だと考えますが、所見をお伺いします。

2.死因究明の必要性について

死因の究明は犯罪・事件・事故死などの犯罪捜査だけでなく、感染症や食品汚染・食中毒など公衆衛生上、死者や家族の尊厳や権利処理のためにも重要である。人の死亡にはざっくりいうと、医師の管理下での病気や老衰といった自然死と異常死があり、異常死は他殺、自殺、事故死、災害死、青壮年や乳幼児の突然死、高齢者の独居死などで、発生した場合は、警察官が検視し、犯罪性が疑われる場合は司法解剖が大学で実施されます。

2017年に全国の警察が取り扱った遺体のうち、法医学の知識のある検視官が現場に立ち会った臨場率は78.9%で兵庫県警は平均より上の位置にあります。平成29年中に兵庫警察が取り扱った死体の解剖率は34.3%と全国平均の12.4%を超えていますが、欧米の先進国は5割を超えているとされ、大きく見劣りしている現状です。

とはいえ、深刻な医師不足・財源不足の中で解剖率を大幅に向上させることは難しい側面もあり、その前段階である検視官の能力向上とオートプシーイメージングAIの内、現在警察で行っている死後CTによるスクリーニングの強化が必要ではないでしょうか。

そこで、検視官の能力向上や臨場率向上に向けた取り組みを伺います。また、死後CTの受け入れ病院や医師会との連携強化など死因究明を行う上での問題点と改善策を伺います。

3.雑踏警備に対する費用請求について

祭りやイベントなど多くの人が集まることで発生する群衆事故を防ぐためには、過去の悲劇を教訓に、主催者や警察に適切な計画・管理・運用が求められます。県警も、雑踏警備対策室を新設し、手引きやマニュアルの整備を行っています。しかし、平成29年中の雑踏警備には延べ約4万人が派遣されており、警察業務の大きな負担となっている側面もあるのではないか。非営利で昔から行われている祭礼・催物はまだしも、営利のプロ野球には延べ約3,500人、1試合当たり平均約40人の警察官が派遣されています。競馬や競艇などの公営競技でも約9900人を派遣しています。

警察官の平均年収は約600万円、社会保険料や間接経費なども含めると総コストをざっくり1,000万、一般労働者の年間労働時間2,000時間で割ると警察官の1時間のコストは5,000円。1回の派遣が3時間と仮定すると、雑踏警備は4万人×5,000円 3時間で年間6億円がかかっています。民間警備業であれば、これに利益が乗るわけですが、さすがに主催者側に一定の負担を求めるべきではないでしょうか。

ちなみに、阪神タイガースの昨年の税引き後利益は7億円で十分負担が可能。夏の高校野球も観客の安全確保のため、外野席の有料化を検討との報道がありました。利用者も安全に対して一定のコスト負担は許容すると思います。

そこで、定期的に開催される営利目的のイベントに対しては、県警は警備費用として一定の負担を求めるべきと考えるがご見解。また、雑踏警備の警察負担を軽減させるための改善案を伺います。

●県土整備部

1 コンテナ倉庫・トランクルームの法令遵守と規制緩和について
(1)事業者への指導・監督について
(2)規制緩和について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <県土整備部>

質問日:平成30年3月12日
議員名:前田 ともき

1.コンテナ倉庫・トランクルームの法令遵守と規制緩和について

(1)事業者への指導・監督について

最近、新たな土地活用として、輸送用コンテナを設置するコンテナ倉庫やトラン

クルームといった収納サービスが増えています。しかし、建築確認申請を取らず、基礎の設置やコンテナ接合がなされていない例や用途地域の違反が見受けられます。また、確認申請をしていないということは、固定資産税なども払っていないのではないでしょうか。

上場企業で大手のエリアリンク社のIR資料にも、この建築確認を進めていく記載があり、大手でもしっかりと対応しているとは言い難そうです。平成26年の国土交通省の通知では、コンテナ倉庫は、形態や使用の実態から建築基準法の建築物に該当するものとされており、基準に適合しない場合には、是正指導・命令をすることが求められております。

そこで、事業者に対する指導と監督の現状について伺います。

(2)規制緩和について

一方で規制緩和も必要です。私は従来から、人口減少に伴い、住宅以外の土地・建物の利活用を拡大させなければ、空き家・更地の増加で県民資産の多くを占める地価の下落や固定資産などの税収減が止まらない主張してきました。

そのような意味では、新たな土地活用・サービスとして、規制緩和をしてはどうかと考えます。業界大手キュラーズ社の調査では、市場規模が2016年には510億円、2020年には700億円と予想。ファミリーレストランの9,400店に匹敵する成長を遂げています。アメリカは利用率が10%に対して日本は0.3%、と伸び代はありそうだし、私の母親も利用していると聞いて驚きました。

例えば、一定規模以下は用途制限を緩和してもいいのではと考えますISO規格のコンテナの承認も一考の余地。昨年の代表質問では、県や市町の規制が産業振興の足かせとなっていないか?と質問しました。まさに、これはそのものズバリ。とはいえ、単独の特定行政庁では規制緩和のあり方検討は難しいのではないではないでしょうか。

そこで、兵庫県が市町と連携して、同サービスの可能性や規制緩和の必要性を検討してはどうかと考えるが御所見を伺います。

●企業庁

1 霊園・納骨堂事業への参入について
2 株式会社夢舞台の外部株主の経営責任と100%子会社化について

全文

第339回定例県議会 予算特別委員会 <企業庁>

質問日:平成30年3月12日
議員名:前田 ともき

1.霊園・納骨堂事業への参入について

梅旧院の経営者が脱税で逮捕されましたが、4年間で6億7000万円程度の利益と知り、ビル型納骨堂の存在とその収益性に驚きました。しかし、法律の壁で参入できないことを知りました。

ビジネスで、重要なのは参入障壁の確保。通常は技術や規模、先行者利益などで障壁を築く。しかし、一番強いのは法的な障壁だ。企業庁の事業はゴルフにサッカーと、民間企業でもできる事業中心。今回提案したいのは、法的に地方自治体か宗教法人、公益法人等に限られる、参入障壁の高い事業。それが、霊園・納骨堂の運営です。

市町が墓地の担い手の主軸であるものの、小規模市町村による新たな墓地整備は、整備費用の問題や維持管理、県民の不安も高まるのではないでしょうか。また、芝生墓地や樹木墓地、ビル型納骨堂など新たなニーズも発生し、先導的な役割を県が担ってもいいのではと考えています。

例えば、ビル型納骨堂はビルに数千基の骨壷を収納し、ICカードをかざすと自動的に骨壷が祭壇に運ばれる仕組み。アクセス便利で掃除も不要、綺麗なイメージとすごい需要があると聞きます。しかし、1棟で数十億規模の事業となるため、市町村では難しいでしょう。太陽光発電と同じく、機械を設置して簡単運営のターンキー事業。金と法的権利があれば運営できます。

そこで、企業庁の新規事業として、霊園やビル型納骨堂事業の参入を検討してはと考えますが御所見を伺います。

2.株式会社夢舞台の外部株主の経営責任と100%子会社化について

県・企業庁はこれまで様々な経営支援を株式会社夢舞台に行ってきました。

例えば、施設の有利なリースバック契約や土地・駐車場の無償提供、改修費など。年間で数億円と予想します。透明性やガバナンスの問題はあるが、100歩譲って100%子会社ならまだわかります。これら、利益供与は外部に流出しないから。問題は、夢舞台の株式は17%を外部株主が保有していることです。

仮に10年後、会社売却や配当を実施する場合、それら経済的利益は17%外部に流出します。延べ数十億になるだろう兵庫県の利益供与は考慮なしです。

従って、正確な経営実態を外部株主に説明した上で、株価1円評価で17%株式を取得し、100%子会社化すべきと考えますが御所見を伺います。

●総括

1 予算編成の改善について
2 課税捕捉率の強化と適正納税を推進する仕組みについて
3 公的不動産(PRE)の活用について
4 次期「ひょうご経済・雇用活性化プラン」について
(1)規制改革の推進について
(2)次期プランの改定方針について
5 世界日本酒博覧会~SAKE summit in HYOGO~の開催について
6 多様で身近で低コストなスポーツ・運動環境の整備について
7 これまで取り組まれていない対策に焦点をあてた「がん対策」について
8 兵庫県の道路のあり方について

全文

平成30年度予算特別委員会<総括審査>

質問日:平成30年3月15日
質問者:前田 ともき 委員

1 予算編成の改善について

常任委員会や予算・決算特別委員会でこれまで様々な事業の議論を行ってきました。

しかし、評価に必要な資料が1回で提出されたことはありません。投資家として、様々な業種・規模の事業評価を行ってきましたが、必要な情報がこれほど乏しい状況はありません。資料にはPDCAやKPIなどそれらしい言葉は踊っていますが、実態を調べるとどう判断して予算化につながっているのか疑問に思います。

まずは原課の自己評価、事務事業評価資料の中身を見ても、KPIの設定や総コストの定義などこれでいいのか疑念が残ります。例えば、クラウドファンディングは「低コストで資金調達」と記載がありましたが、いろいろ調べると実質的な金利は20%。企業にとって有利な資金調達であれば、メザニンローンで5年数ヶ月の一括返済、金利0%の事業を使う方がいいのではないでしょうか。

国は、フルコスト情報開示の取組みをしています。例えば入国時の検疫1人あたりのコストを算出しています。しかも、コストの定義は、土地建物や減価償却費、退職金引当金も含んだ数字で実態に近いものです。なお、県の事務事業評価資料上のコストは、人件費と事業費で先ほどの減価償却等は含まれていません。

また、財政部局による全体最適・部局横断・客観的な視点によるスクリーニングが必要ではないでしょうか。例えば、SOSキャッチ事業は同じ役割の♯9110への機能集約を部局別審査で提言しました。役割が重複し、5年で相談件数が半減している事業を存続する必要性・合理性はどこにあるのでしょうか。

県も様々な相談事業、民間で言うコールセンターを運営しています。相談1件あたりのコストを各事業で算出して、比べてみてはどうでしょう。大きな違いに驚くでしょう。ちなみにSOSキャッチは1件あたりの相談コストが8万円。小児救急医療相談は800円台、100倍近い差です。部局審査のその数倍は電話しているとの説明に対し、数倍ではなく数十倍レベルで足りないと申し上げた趣旨はこういうことです。相談人員の多能工化を図り、人員の共有化も必要です。

当然、知事や各部長は業務多忙で制約条件の中で、最良な判断を下す必要があります。従って、予算化に向け、的確に判断できる資料やデータのもと、原課による立案と自己評価、財政部局によるスクリーニングを経ていく必要があります。

井戸知事は自治省時代に中央で、政府で様々な事業の立案にも携わったと思います。そのような経験を踏まえて、予算編成にあたりどのように課題を分析し、予算化の必要性を判断されているのでしょうか。立案プロセス改善についての知事の考えを伺います。

2 課税捕捉率の強化と適正納税を推進する仕組みについて

社会保険料の増加や各種控除の減少など、年収に対する手取り額はどんどん減少しています。例えば、年収700万円の会社員は、15年間で手取りは587万円から537万円に減少しています。世界的な国民負担率を考えると、このトレンドはある種仕方ない側面があります。

しかし一方で、納税者の納得感がこれまで以上に求められます。いわゆるクロヨンの放置は、納税者の納得感を著しく毀損します。従って、県・市町は税の捕捉率を向上させる仕組みを税務署と連携し構築していくべきではないでしょうか。

例えば、キャバクラなどの性・風俗産業等は、他の業界に比べて、営業の許可や届出制度がゆるいと考えます。建設業であれば、許可は更新性であり、申請時には納税証明書の提出まで求められます。提出がなければ、許可の更新は認められません。

一方で、性風俗営業は変更事項がない限り、更新手続は存在せず、納税証明書も必要ありません。法律改正が必要ですが、例えば1年更新に変更し、新規は税務署向け開業届けを、更新は確定申告書や納税証明書、従業員への報酬支払書の添付、マイナンバーの活用などで、事業者はもちろん従業員の捕捉率を向上させることが可能です。

納税不正率が高いその他業界も同様ですし、民泊などCtoCの所得捕捉も地方自治体で何かできないでしょうか。また、部局別審査ではコンテナ倉庫の建築確認について議論しました。これも、建築確認しなければ、固定資産税の捕捉・徴収が難しいのではないでしょうか。事前の議論では、固定資産税は管轄外とお話しされましたが、その意識改革こそが、この質問の核心部分といえます。

さらに、税の未払いによる徴収コストも増加しています。1件徴収するのに相応の費用がかかっていますが、徴収コストは未払い者に請求すべき金額です。これらを可能にする法改正も国に求めていく必要性はないでしょうか。

そこで、県の有する情報や許認可・届出などを活用した課税捕捉率向上の取組みの現状と対策について伺います。また、県として、市町、警察や税務署との情報連携による徴税・捕捉率向上に向けた取組みについて伺います。

3 公的不動産(PRE)の活用について

国交省の推計によると、日本の不動産約2400兆円のうち、地方公共団体は約420兆円を保有しています。これまでの活用論は未利用地をどうするか、稼働率をどうするかというもの。

昨年策定の、最終2カ年行革プランでは、職員公舎の場合、平均入居率 50%未満は見直す、ですが50%は低すぎではないでしょうか。加えて、部局別審査でも指摘した、東京職員公舎の場合、入居率は90%近い数値で一見よく見えます。

しかし、土地の容積率・建蔽率は法定上限の数分の1しか使っていません。売却する場合、道路幅が狭く、幹線道路沿いと比較すると土地の値段が安値になるとの話も頂きました。しかしながら、不動産の活用とは、数年単位で隣接地を買い進め、土地の形を綺麗にして、道路付けをよくして役所と交渉し、容積・建蔽率上乗せを狙い、不動産の価値向上を図ることです。そこまでやりきって、「有効活用」と呼びます。自力で無理なら、単純売却や等価交換で民間に任せるべきでないでしょうか。

仮に民間に任せる場合も工夫が必要です。土地活用は、事業検討から公募までの全てを内部検討すると、アイデア不足や市場と乖離した公募条件となり、事業者の参入不足や事業の失敗に至るケースがあります。案件の内容や公募条件の決定前に民間事業者から広く意見や提案を求め、条件設定を行う、対話型市場調査も必要ではないでしょうか。また、魅力アップという観点では、今定例会の代表質問で石井健一郎議員が指摘したPark-PFIの積極的な活用も求められます。

更に、県営住宅は直接建設だけでなく、民間空家を借り上げる手法、準公営住宅も積極的に活用すべきです。目標管理戸数48000戸のうち、これら手法や土地価格が高い県営住宅は売却し、安価な地域に設置するリバランスも必要ではないでしょうか。

最後に、一般的な定期借地権や民間施設との合築・併設はもちろん、不動産保有にこだわらない、証券化も検討を始めるべきです。アメリカでは政府系施設に特化したREITが2500億円規模で組成されており、長期の施設利用の低減リスクをヘッジしています。国交省は今年度PRE証券化ガイドの作成を予定し、県も勉強会を昨年度実施していますが、参加メンバーを見ると、土地を所管する全ての部署は参加しているでしょうか、市町への呼びかけももっとすべきです。

兵庫県が保有する土地・建物の利用効率や県民サービスの高度化、土地・建物の保有に限らない様々なスキームの検討などについて、見解を伺います。

4 次期「ひょうご経済・雇用活性化プラン」について

(1)規制改革の推進について

来年度から新たなひょうご経済雇用・活性化プランの改定を進めると伺いました。現行プランにはおよそ必要な事項は網羅されていますが、重視すべき点を提言します。

まずは、昨年の代表質問でも指摘した規制改革の推進です。現行プランは、特区・国の規制緩和を活用、とあります。しかし、国の規制だけでなく、県・市町の規制も問題だと指摘しました。

今回の部局別審査でも実態に合わない規制への指摘が相次ぎました。

私からは、コンテナ・トランクルームなどの収納サービスについて、新たな土地利活用、税収確保、県民サービスの向上のために建築基準、都市計画の規制改革の必要性を指摘。また、上野委員からは無届け有料老人ホームへの対応。更に、いそみ委員からはスナックの接待基準についての指摘がありました。その通りだと思います。キャバクラが夜1時以降も繁華街で営業して何が悪いのでしょうか。

具体的な規制は市町で設けることも多いですが、規制改革の必要性などは単独市町での検討は難しく、県が調査・研究し、ガイドラインを示すべきでないでしょうか。

4月設置予定の兵庫県規制改革推進会議の案を拝見すると、規制の支障事例を市町等から収集するとありますが、何かの間違いではないでしょうか。私が求めるのは、年に数回のレク中心の会議ではありません。月1ペースで実務家・市町・企業などから規制改革のプレゼンを受けるといった、利用者・外部を巻き込む、オープンイノベーションが必要です。それくらいしなければ、実態に即した規制改革案は生まれません。兵庫県版規制改革推進会議の実効性確保に向けた取組みについて伺います。

(2)次期プランの改定方針について

次期プランの改定で重視すべき柱、まずは、企業誘致です。現状の補助金中心の支援から、支援体制で優位性を発揮させる仕組みを考えるべきです。

例えば、神戸医療産業都市と病院局が連携して、次世代医療基盤法のフル活用を打ち出します。同法では、医療分野の研究開発のために個人データを匿名処理して利活用できますが、例えば県が保有する医療情報の積極開放を打ち出す。

また、既にアプリで初めて保険適用された医師間の情報共有アプリJoinや臨床試験中の禁煙アプリなど医療ICTが進んでいます。このような開発は、病院・医師の積極的な協力が必要ですが、企業にとって開拓する労力は大きなハードルとなります。その協力体制を構築するだけで企業立地の十分なインセンティブになります。そこにひょうご新産業創造ファンドで投資、神戸市のアクセラレータープログラムの活用もありです。

次に対日投資の強化。国目標である2020 年の倍増を超えるチャレンジが必要です。インバウンド誘致に取り組む韓国の旅行会社ハナツアーの日本法人が昨年上場しましたが、インバウンドには、外国系企業の誘致が手っ取り早いのかもしれません。

カプコン創業者の辻本氏はナパバレーでワイナリーを起業し、ボトルは1本1万円から、国際コンクールで金賞の受賞など成功しています。日本の酒蔵でこのような外国人の成功例は出せないものでしょうか。

外国人に対する起業支援や事業承継もどんどん進めていきたいが、外国・外資系企業誘致策にはあまり利用されていないものもあり、改善すべきです。また、兵庫県は多くの海外拠点を有していますが、今後も維持するならば、外国系企業の誘致に重点をおき、ジェトロだけでなく情報を有する外国銀行などと連携を行うべきです。

最後は豊富な人材供給を打ち出すことです。特にICT人材。経済産業省は現在でも17万人不足、2030年には79万人不足と予想しています。介護人材の不足も指摘されますが、2025年で38万人ですから、実はICT人材の供給不足の方が強いのです。

2020年に初等教育でプログラミング必修が始まりますが、次の県立高校や大学での整備は大丈夫でしょうか。県立大学なら、中途半端な偏差値の文理融合コースより、ICTに振り切ったコース設定が求められます。AIを謳うなら東大の松尾研究室に対抗できるスター研究者を採用すべきです。今後の企業誘致はどのような人材を採用できるのかがポイントになるのではないでしょうか。

そこで、次期活性化プランの改定方針を伺うとともに、指摘した諸課題の現状認識と改善策について伺います。

5 世界日本酒博覧会~SAKE summit in HYOGO~の開催について

ここで、兵庫に大量の観光客を呼び込み、世界に名を馳せるアイデアを提案します。それが、世界日本酒博覧会(sake summit in HYOGO)です。これは、日本全国から酒を集め、10日で50万人を集客する、試飲会・即売会。

その必要性を3点述べます。1点目は、観光資源の開発。世界には色々なイベント・祭があり、十分な観光資源になります。阿波踊りは集客120万人、音楽イベントではアメリカのサマーフェストが100万人。お酒で日本最大は広島西条市の酒まつりで20万人。幸い、人が飲める量には限界があるので、全てを飲むには宿泊して次の日も、となります。宿泊、購買と大きな消費額が期待できます。

なお、世界最大の祭でもある、ビールの祭典オクトーバーフェストは年間600万人。ビールにできて、日本酒にできないわけがありません。

2点目は、日本酒の聖地化。日本人には酒の産地といえば、伏見・西条・灘。生産量や山田錦の影響で兵庫県のイメージは強いと考えますが、外国人にはその認識は薄いでしょう。日本酒の輸出量は右肩上がりなので、今のうちに日本酒=兵庫県というイメージを強化し、販売増・単価増につなげる必要があります。

それには、生産量以外の日本酒と兵庫を結びつけるシンボリックな何か、大量の人が楽しく酒を飲むフォトジェニックな素材が欲しいのです。それが、このイベント。当然、酒蔵ツーリズムにもつなげます。ワイン生産では新興国のアメリカはナパバレーだけで約300万人を集めますが、世界一の産地「兵庫」はそれを凌駕して当然です。

3点目はIWC誘致。IWCの開催を兵庫県に固定化させるには補助金や営業だけではなく、IWC側が兵庫県で開催したいと思わせる何かが必要です。それがこのイベント。前回のような、クローズドな審査会と兵庫県産限定の小さな試飲会では話になりません。生産量世界一HYOGO、日本酒イベント世界一HYOGO、そんな兵庫でこそIWC開催というストーリーにつながるのです。

こういったものは2位ではダメです。1位、しかもダントツ1位を目指さなければなりません。したがって、兵庫県が主導して、世界日本酒博覧会~SAKE summit in HYOGO~を開催すべきと考えますが、ご所見を伺います。

6 多様で身近で低コストなスポーツ・運動環境の整備について

昨年、国のスポーツ基本計画が策定されました。そこに、自治体スポーツ推進計画の改定を、とありますので、重視すべき点を提案し、改定について伺います。

やはり重視したいのが「するスポーツ」。健康寿命の延伸と医療費削減という実利的な側面もあるため、週1・3運動実施率の大幅な増加が必要です。

そのためにも、多様で身近で低コストなスポーツ環境の整備が何より求められます。

一つは、学校・公園のスポーツ環境としての再整備です。

スポーツ基本法第13 条では、「学校教育法は学校のスポーツ施設を一般のスポーツの利用に供するよう努めなければならない」規定を引用し、地域住民が運動で利用する施設は、学校施設の開放による対応を積極的に図っていくことが望ましいとされています。しかし、現行の単なる開放実施率ではなく、日数・時間、対象設備、情報発信など開放の質にも目を向ける必要があります。加えて、社会体育施設への転用や、利用料金等の運用の在り方も検討すべきです。

また、公園にはブランコ、滑り台、砂場の3種の神器があり、子供向けに最適化されています。海外では公園に筋トレ器具が設置され、大人の利用を目にする機会がありますが、年齢分布を考えると、大人向け設備も必要で、市町支援も検討課題ではないでしょうか。

そして、民間スポーツ施設の誘致が必要です。公共施設は自発的に運動する人が中心となりますが、重要なのは受け身な人、興味のない人。民間は積極的な宣伝とインストラクターの存在でそこを補完します。例えば、女性専用のカーブスは1回30分の簡単フィットネスで拡大し、80万人の会員を獲得しています。立地はスーパーの近く、運動を応援するインストラクターがウケているそうです。

現状では、スポーツ施設は学校・公共が9割以上を占め、民間は7%前後。公共スポーツ施設や総合型地域スポーツクラブだけでは賄えない消費者ニーズを補完し、スポーツ実施率を大幅に向上させるには、独自の支援策で民間スポーツ施設の誘致が必要ではないでしょうか。最後に、見る・支えるスポーツで一言。平昌オリンピックでは大きな感動をいただきましたが、選手の活動費用の不足を目にしました。東京オリンピック・パラリンピックに出場する、兵庫県出身の個別選手支援にふるさと納税を活用してはどうでしょうか。

そこで、提案したことを踏まえて、兵庫県スポーツ推進計画の改定に向けた考えを伺うとともに、多様で身近で低コストなスポーツ環境の整備に向けた取組みについて伺います。

7 これまで取り組まれていない対策に焦点をあてた「がん対策」について

平成27年、厚労省は「これまで取り組まれていない対策に焦点を」と題し、「1持続可能ながん対策」、「2がん患者が尊厳を持った生き方を選択できる。」、「3小児・AYA世代・高齢期などライフステージに応じたがん対策」をあげました。部局別審査では、AYA世代の妊孕性温存について質問をしましたが、それ以外にも就労支援・職場の理解促進などが求められます。また、医療費助成は20歳まで、介護保険は40歳から、と給付を受けられない世代がこのAYA世代です。横浜市は、20歳以上40歳未満で訪問介護や福祉用具の貸与経費の9割を助成していますが、この経済支援の薄さをどう対応していくのかも重要な課題です。

また、県がん対策の「適切な医療を受けられる環境の整備」では、がん治療に対する情報不足も課題です。妻は治験に参加し、ラジオ波や塞栓術を行いました。どれも医師の技量によって手術が可能か不可能かの判断が別れる状態でしたが、たまたま、彼女は知人や医師からの情報提供で存在を知り、治療を行うことができました。

しかし、情報に受け身であればもっと短い命だったと思います。彼女のブログには標準治療を終えた多くの患者から、治療の情報提供を求めるメッセージが寄せられていました。「これ以上、できる治療はありません。」という医師の言葉。事実であるものの、患者は心に大きなダメージを受けます。

そんな時に治療できるわずかなチャンス、例えば、治験に参加できれば希望になりますし、被験者不足に悩む製薬業界、ひいては医薬品開発のスピードアップとなり、全ての人により良質な医療を届ける手助けとなりえます。どこの病院でどのレベルの医療が受けられるか、治験はどのサイトがわかりやすいか。そんな小さな情報提供も患者には力になります。

最後に、精神疾患や認知症、視覚・身体など障害を抱えるがん患者への支援・対応です。検診や支援メニューが視覚障害者の方に提供されているのでしょうか。通院へのサポートはどうすればいいのか。認知症の場合、適切に服薬しているのか。様々な細かい、でも大事な問題があります。

国としても問題意識、課題の積み残しがあるこれらがん対策。

今月、兵庫県のがん対策計画が策定されましたが、患者の声・医療現場の声を拾い上げ、より効果的な施策を実現するための考えをお聞かせください。

8 兵庫県の道路のあり方について

道路は作ると50年以上は最低利用するわけで、超長期の人口動態、交通需要、自動運転や隊列走行など技術開発による道路利用の効率化と需要の変化を見据えながら計画と整備を行う必要があります。

まず大切なのは、今ある道路を活かす視点。特に民間負担型を含めたスマートICの整備です。

日本は世界の中でもIC間の距離が長く、中でも兵庫県は平均間隔が12キロ。近畿圏は平均9キロであるため兵庫は最長となっています。民間負担によるスマートIC整備が可能となり、昨年第一号が三重県で整備認定がなされました。

国交省が自治体を通じて民間企業に無利子融資する制度も始まりますが、公益性があると県が判断した場合はさらなる支援も検討してはどうかと考えます。市町が実務上の申請業務を行うものですが、県が企画・立案・企業との折衝を主導すべきでないでしょうか。眠っていた土地の復活につながるかもしれません。

また、維持修繕に必要な財源の確保策では、論点として道路を廃止する選択肢も必要ではないでしょうか。20年後にはほとんど利用されないと考えられる道路は、舗装のレベルを落とす判断も必要があるのではないでしょうか。

約50カ国を旅して思うのが海外の舗装の悪さ。逆に言うと、日本はどんなところでも異常に綺麗。整備されすぎている側面もあるのではないでしょうか。もちろん、この舗装はタダではありません。計画保全がトータルコストを下げることは理解するものの、利用の程度や将来予測を踏まえて、舗装レベルにメリハリをつける判断が必要ではないでしょうか。

加えて、都市計画決定後長期未着手となっている道路をどうするのか。区域内での建築等が制限されている状況を忘れてはいけません。

最後に、技術開発を見据えた計画。関西国際空港を神戸市が拒否したのは、飛行機の技術開発のロードマップ、静音性向上を見極められなかったことも要因の一つではないでしょうか。

トラックの新東名高速道路での後続無人隊列走行は2020年を目指しています。時速80キロでは80メートルの車間距離が隊列走行なら車間4メートル。当然、道路の高度利用は進み、渋滞の緩和につながるし、夜間利用も進むでしょう。そのような中で、今ある渋滞だけに目を向けて、50年以上の超長期投資を実行すべきかどうか。技術開発に伴う、交通需要への詳細な分析が求められます。

これら指摘を踏まえた道路のあり方や高度利用・管理をどのように図っていくのか、ご所見を伺います。

前田 ともき
神戸市東灘区