概要 代表・一般質問 議案に対する態度と考え方 討論
平成31年3月18日 賛成討論
ひょうご県民連合議員団を代表し、ただいま上程中の平成31年度当初予算、関連条例及び事件決議に係る第1号議案ないし第49号議案に対し、賛成の立場から討論を行います。
平成の世が終わろうとする今、時代は少子高齢化がますます進行し、長期にわたって人口が減少するという局面を迎えています。また、高い確率で発生が想定されている南海トラフ地震への対策や、近年頻発する風水害などの自然災害への対策が必要となっています。そんな中にあっても、県民が幸せに暮らし続けることができる基盤を整えていくことが、今の県政に携わる我々にとって最大の責務ではないかと考えています。
そのような中、井戸知事は、本定例会に一般会計、特別会計、公営企業会計を合わせて前年度を681億円上回る3兆7,819億円の平成31年度当初予算案を上程されました。本案を「新時代をひらく元気予算」として、安全安心な基盤の確保、未来へ続く地域活力の創出、兵庫人材の活躍推進、交流・環流を生む兵庫五国の魅力向上、地域の自立を県政の柱とし、ポスト県政150周年の新時代にふさわしい「すこやか兵庫」を実現していくために選択と集中を徹底し、取組の重点化を推進した予算とされております。
この予算案は、歳入歳出の収支が均衡してからの初めての予算案ですが、前年度の当初予算と比べて通常債が全体で43億円増加するなど、臨財債を除く県債発行額が284億円上回っているほか、震災関連県債残高3,229億円も依然として県財政に重くのしかかっている状況であるなど、厳しい財政運営が続いていることには変わりありません。 今後も、「行財政の運営に関する条例」及び「兵庫県行財政運営方針」に基づく取組を着実に実行し、持続可能な行財政構造を確立させることが重要であり、そのためには、税金の使い道を徹底的に見直す「質的な改革」が必要であると考えます。
私たちひょうご県民連合議員団は、現在県政が抱える課題について、時々に指摘をし、最適化や効率化による改善などの取組を求めてまいりました。
昨年11月には、9テーマ200項目から成る予算編成に対する申し入れを行い、その後の政務調査会や、今定例会の代表質問、一般質問、常任委員会での審査、予算特別委員会における質疑、質問を通じて、来年度予算について慎重に審議を行ってまいりました。
以下、会派の主張や活動方針等に掲げた我々が考える実現すべき社会に基づき、来年度当初予算案に対し、評価すべき点、積み残された課題などについて意見を述べたいと思います。
まず、我が会派では、地域主権社会の確立を主張しております。少子化、高齢化が進んでも兵庫が活力ある地域であり続けるために、人口対策と地域の元気づくりを柱に、地域創生に係るさまざまな施策の効果が十分に発現されるよう、施策の絞り込みを行うとともに、市町の自主的・主体的な取組へ支援することが重要です。
次に、持続可能な行財政構造基盤の確立についてです。
社会保障費の自然増は今後も継続することなどから更に厳しさを増していくことが予想される財政状況を乗り越え、持続可能な行財政運営を行うためには、真の行財政構造改革、つまり社会の担い手の拡大、組織や投資の不断の見直し、適切なスクラップ&ビルド、この3点の断行が必要不可欠です。人口減少を直視し、規制や仕事の中身の改革、AI・IoTの活用などにより効率的で効果的な行政を目指すなど、質的な改革を更に推し進める必要があると考えます。
次に、健康福祉社会の実現については、地域の医療連携の推進、介護サービス基盤の充実、障がい者の生活・就労支援、、ワークライフバランスの一層の取組み、子育て家庭に対する支援の充実、児童虐待防止対策などが求められます。
次に、教育、子どもが輝く社会の実現についてです。
全ての子どもたちの教育機会を確保する奨学金制度の充実や、参加型民主主義を理解・実践するためのシチズンシップ教育の推進、私立学校の経営安定に資する経常的経費の支援、いじめや不登校などの問題行動への対応、兵庫県特別支援教育第3次推進計画に基づく多様なニーズへの対応、教職員の勤務時間の適正化への取組みなどについて、今後も期待したいと思います。その一方、予算委員会で取り上げた私立高等学校等の授業料軽減について、奈良県等4県対象を広げていただいたことは評価するものの、対象の学年を拡大することについて検討が必要と考えます。
次に、命を守る危機管理型社会の実現については、来る大規模災害に備え、災害時要援護者への対応や避難訓練の強化を、また治安向上のため、犯罪の抑止と徹底検挙、再犯防止対策の推進などへの取組が必要です。
次に、産業活力社会の実現については、中小企業の人手不足の解消や若者の県内定着を図るため、中小企業奨学金返済制度の支援期間の延長と支援額の拡充を検討するとともに、県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱の実効性の検証、外国人労働者増加への対応とその受入環境の充実など、雇用就業環境の更なる整備・充実が期待されます。なお、受動喫煙の防止等に関する条例の一部を改正する条例における加熱式たばこの取り扱いについては、新たな事業者への負担が発生する懸念がありますので、きめ細やかな対応が必要と考えます。
この他、環境循環型社会の実現、快適で潤いのある社会の実現、こころ豊かな共生社会の実現についても重要な課題として、着実かつ力強い取組みを期待するところです。
以上、来年度当初予算案に対する評価と、一層の取組が求められる県政課題について述べました。
我が会派がこれまでに提言や申し入れなど、あらゆる機会を通じて指摘してきた事項には、更なる取組が必要な分野や精査すべき課題が少なからず残っていることについては述べたとおりでありますが、上程された来年度予算案については、極めて厳しい財政状況の中、さまざまな実態を踏まえ、優先事業を選択し、必要な額を確保したものであり、県政を取り巻く重要課題に対応していこうとする姿勢がうかがえる予算となっており、評価をいたします。
知事におかれましては、今後とも県民の声を真摯に受け止めながら、新しい兵庫づくりに向け、本予算が未来を担う人づくり、活躍の場づくり、元気な地域づくりにしっかり結び付くよう強力なリーダーシップを発揮されることを強く期待し、要望いたします。
最後に、私たちひょうご県民連合議員団は、県民の視点に立ち、議会が持つ行政への監視機能をしっかりと担いつつ、井戸知事とともに将来への責任を共有し、全ての県民に居場所と出番がある社会、希望を持って暮らしていける社会の実現に全力で取り組む決意であることを表明し、討論を終わります。
ご清聴ありがとうございました。