平成30年度特別委員会 教育委員会 質問原稿
質問日:令和元年10月16日(水)
質問者:黒田 一美 委員
1 就職差別の撤廃について
(1)県立高校の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について
学校の教職員は、人権教育を推進する役割があるとともに、進路指導などで就職差別撤廃を進める重要な立場にあると言えます。
「受験結果報告書」は、生徒が採用試験を受けた後に、学校に報告するもので、就職差別につながる事柄がなかったか点検し、問題があれば是正するためのものです。
応募の際に使用している近畿高等学校統一用紙の趣旨にそわない選考を見逃さず無くしていくためには、就職試験を受けた卒業生から受験後、「受験結果報告書」を学校に提出させて、就職差別をしている企業やその実態を把握し、労働局における指導が何よりも重要です。
そこで、県立高校において、「受験結果報告書」の取組をはじめ就職差別の実態把握にどのように取り組み、それを踏まえ、就職差別撤廃に向けてどのように取り組み、結果どうであったのか、また、今後どのように取り組むのか伺います。
(2)就職差別撤廃のための人権教育の推進について
日本労働組合総連合会が今年4月に行った就職差別に関する調査によりますと、「採用選考で会社独自の履歴書提出を求められた」58%(大卒者)、「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」19%、「採用選考で健康診断書の提出を求められた」49%、「応募書類やエントリーシートで『本籍地や出生地』の記入を求められた」56%、「面接で本籍地や出生地を質問された」32%等の調査結果が得られました。
この調査結果について専門家は、「本籍地や出生地」など、仕事に無関係の偏見が採用に忍び込むリスクを高め、個人の心の自由も損なう恐れがある。また、「宗教」、「支持政党」など複数の内容について、「面接官が聞いてはいけない質問だと思うもの」を聞いたところ、「あてはまるものはない」と答えた人が16%あり、認識率の低いものがある。このような面接される側の知識不足も、就職差別に抑止力が働きにくい一因となっている。高卒者の場合、学校から情報を得ている場合が多い。学校での「キャリア教育」にこうした情報を入れ込んでおくことの重要性がここから見えてくると指摘しています。
高校生自ら、何が就職差別につながるか、どんな面接が問題なのかに気づくための人権意識の醸成が必要です。そのためにも就職差別に係る人権教育をしっかりと行う必要があると思いますが、現在の取組内容と今後の取組について伺います。
2 「人権に関する県民意識調査」の活用について
本県では、多岐にわたる人権教育の解決に取り組み、人権文化を進めることを目的として、1998年から5年ごとに、今後の効果的な人権施策を検討する基礎資料とするために県民の人権に関する意識調査を行い、冊子として関係機関に配布しています。
2019年3月に発行されました今回で5回目となるこの調査では、今日的な課題として、「性的指向に関する人権問題」と「性同一性障害者に関する人権問題」に関する設問が新たに設けられています。
私は、この調査は新しい時代に即した人権教育を推進していく上で、非常に有効なものであると高く評価しています。
特出すべき結果について触れますと、「人権侵害をした経験の有無」の調査結果を見ますと、「あると思う」5.3%と「自分では気づかなかったが、あるかもしれない」42.3%を合わせた割合が47.6%となり、「ないと思う」44.8%をやや上回っています。経年で見ますと、「ないと思う」の割合は年々低くなっています。人権侵害はなくなるどころか、年々増えています。
この調査結果は、今後の人権教育等を検討するにあたって大変参考になるものと考えます。
そこで、以下2点について伺います。
(1) 学校教育における活用について
本県では、人権教育資料等を作成し、効果的に活用したり、教員の指導力の向上や人権意識の高揚を図るための研修を実施するなど、学校教育における人権教育の充実を図っておられます。
こうした学校教育の取組の中でも、この調査結果を活用・参考にして人権教育をより充実したものとすべきだと考えます。
そこで、この調査結果を学校現場でどのように活かしているのかお伺いします。
(2) 社会教育における活用について
本県では、地域における人権課題の解決に向け、一人一人の人権が尊重される環境づくりに取り組み、各地域において、心と心が豊かにつながる地域づくりを推進するため、社会教育における人権教育を推進されておられます。
こうした社会教育の取組の中でもこの調査結果を活用・参考にして人権教育をより充実したものとすべきだと考えます。
そこで、この調査結果を社会教育現場でどのように活かしているのかお伺いします。
3 県立高校における空調整備について
昨年は、記録的な猛暑と地震や豪雨などの災害に見舞われた年であり、特に、「災害級」の猛暑でありました。
このため、児童生徒の保護者をはじめ、各方面から学校への空調整備を求める声が高まりました。また、学校現場からは「せっかく空調が設置されているのに稼働させてくれない」等の声も多く聞かれたことから、空調稼働に伴う光熱水費増加分の確保も重要な課題となりました。
一方で、今夏の暑さは昨年ほど厳しくはなかったものの、10月になっても気温が高い状況が続いており、生徒及び職員の体調管理の観点からも早急に空調整備を進めていかなくてはならなりません。
県立高校の空調整備については、昨年9月に普通教室への空調整備が完了し今後は、音楽室、美術室などの特別教室の整備を進めていくと聞いています。一度に全ての教室に整備することは難しいと考えますが、可能な限り速やかに整備を進めていくべきであります。
特に、工業高校をはじめとする職業学科を設置する高校では窓を閉め切って行う実習も多くあり、利用頻度等を考慮すると実習室などの特別教室への空調整備の必要性も高いと考えます。
そこで、これまでの県立高校における空調整備の状況と今後の見込みについて所見を伺います。