令和2年 令和元年度予算特別委員会(企画県民部②)
日 時:令和2年3月6日(金)
質問者:相崎 佐和子 委員
1 男性育休の取得率向上について
小泉進次郎環境大臣の取得で話題となった男性の育休取得。2点の理由から進めるべきと考える。1つは母親のサポート。出産した女性は、出産や授乳による睡眠不足での身体的な疲弊とともに、育児を担うことによる精神的な負担を抱えている。産婦のうち約10%(初産婦25%)が産後ウツ発症のハイリスク者とされ、妊産婦の死因第一は自殺などの状況から、父親のサポートとケアが必須である。2つ目の理由は、男性の意識変革。女性は妊娠による劇的な体の変化から親になる自覚が徐々に芽生えるが、男性は体の変化がない分、育休取得により子育て脳へのバージョンアップが促進されると言われる。
つまり男性の育休は、母親のサポートとケアをしながら父親として主体的に育児をするために、取得して当然のことである。なお「男性が育休をとって何をするの?」と聞かれることがあるらしいが、育児をするのである。育休は子どもが生まれたから貰えるご褒美の休みではない。親として育児をする期間である。
然るに男性育休の現状は芳しくない。2018年度の取得率は6.16%。政府が掲げる2020年度までに13%という目標値の半分にも満たない実情である。
取得が進まない原因は大きく2点ある。1つ目は制度、特に給与の点。現在、育児休業開始から6か月は67%。以降は50%の給与支払いであり、給与はゼロにはならないが減少する実情である。なお厚労省は80%まで引き上げる方針を掲げており、育休中の税控除などを含めるとほぼ同額の給与が保証されることになり期待するところである。進まない理由の2点目は社会や職場の意識。育休取得を申し出にくい業務の内容や量、また雰囲気などが実際には多く存在する。
つまり、男性育休を進めるには、制度と意識の両面からの改善が必須であり、行政は改善を担う役割と責任を担っており、兵庫県も積極的に取り組まねばならない。都道府県によっては熱心なところも見受けられる。新潟県では、男性育休取得の際、雇い主と父親に一定のルールのもと補助金を支給している。また神奈川県・三重県・島根県などのように、知事による「イクボス宣言」などで男性の育児参画を支援する姿勢を強いメッセージとして打ち出す都道府県も増加中である。
そこで、兵庫県として、社会全体で男性の育児参画を進める姿勢を明確に表示し、そして男性の育休取得を促進する制度改革と意識向上にいっそう取り組むべきだと考えるが、当局の所見を伺う。
2 広報について
(1) 新たな地域創生における戦略的な広報について
兵庫県が現在抱える最大の課題は、人口減少である。第2期となる地域創生戦略が始まろうとしているが、重要な視点は、原因を探り、兵庫県に住みたい、住み続けたいと思ってもらえる施策を講じることだ。同時にその施策を知ってもらうことも肝要である。
現在県の広報においては、民間から広報官など広報のプロを招致して県全体の広報力アップなどに取り組んでおり、また広報専門員も県の魅力アップに貢献しており、大いに評価をしている。ただ、地域創生を実現するには、「兵庫県は住みたい街、住み続けたい街にするために本気で取り組んでいるのだ」という県の姿勢、「兵庫県はこんなに住みやすいところなのだ」という県の各施策について、よりインパクトが強いものを発信できないかと考えるところである。
広報はまず「何を伝えたいか」を明確にすることが重要である。そこで「兵庫は住みたい街住み続けたい街である」ことを伝えると定め、インパクトのあるキャッチコピーを付けて(センスがないので提案はできないが例えば「兵庫ライフ、最高!」「夢と幸せの兵庫人生」「住むなら兵庫」など)、地域別やライフステージごとに具体的な施策をPRする、ということに取り組みたいと考える。
そこで、新たな地域創生戦略の着実な実現に向け、人口減少への対策として、提案した内容を含めて積極的戦略的でインパクトがあってメッセージ性の高い広報を打ちたいと考えるが、当局の所見を伺う。
(2) U5H(兵庫五国連邦プロジェクト)の今後の展開について
県広報では現在、U5H(兵庫五国連邦プロジェクト)を展開している。兵庫五国を擬人化し、各国の魅力を4コマ漫画やイラストで表現し、ポスターや広報紙、HPなどで発信している。
五国あるがゆえに統一的な広報は困難とされてきたのを逆手にとり、あえて違いをPRすることで兵庫の魅力を発信する当プロジェクトは、大変に面白いと評価している。
課題は、まだ浸透性に余地があることであろう。つまり、面白いプロジェクトなのにまだまだ知られていないと感じている。県民だよりひょうごの4コマ漫画は毎回楽しみであるし、HPの「五国あるある」は面白くて読みふけってしまう。そこで、当プロジェクトを本にまとめることを提案する。1章はイラストや4コマ漫画の掲載、2章は県民から寄せられた五国あるあるの紹介、3章は五国それぞれの出身著名人のインタビュー。読み応えのある1冊になるのではなかろうか。
そこで、U5H(兵庫五国連邦プロジェクト)についての今後の展開、また本の出版について、当局の所見を伺う。
(3) 広報紙配布における市町との連携について
県は広報紙として「県民だよりひょうご」を月1回発行している。経費について、数年前に編集、印刷、広告の委託先を分割したことで約1億円の経費削減に成功したと聞いている。配布について、市町の広報紙と一緒に配布することでさらに経費を削減できないかと考える。
広報紙は県下各市町も作成配布している。配布について例えば伊丹市は、競争入札により民間業者にポスティングを委託している。ポスティング業務は、いわゆる抱き合わせで発注すると価格が下がる。それぞれ一部5円でポスティングしていたものを、一緒にポスティングするなら5円+5円=10円のところを、抱き合わせ価格で8円という話である。そうすれば依頼先の経費は5円が4円になる。
当然、市町によって広報紙の発行回数や時期、配布方法は異なるので一斉実施は困難だろうが、可能な市町だけでもコラボレーションできれば、県も市町も配布経費の削減が可能である。
そこで、経費削減の観点から、県広報紙「県民だよりひょうご」の配布を市町と連携することを検討してはどうかと考えるが、当局の所見を伺う。