~家族福祉の視点からの福祉政策をテーマに野々山甲南大教授を講師に開催~
6月9日午後、県議会内で、ひょうご震災記念21世紀研究機構研究統括の野々山久也甲南大文学部教授を講師に招いて政策調査会を開き、「家族福祉の視点から見た福祉政策について」をテーマに質疑を交えて意見交換しました。
講演の中で、同教授は、まず、65歳以上がいる高齢者世帯の構造的変化を紹介。1970年代、日本型福祉国家が打ち出された当時では、3世代同居が全体の約5割を占めて、“福祉の含み資産”といわれた。しかし、07年になると、これが約18%に低下していることを指摘、「含み資産はなくなっている」と分析しました。
そして家族福祉を考える際の前提として、いわゆる中間層が減少して行政の支援なしでやっていけない階層が増加。また、各種の福祉制度に信頼が置けないという社会秩序の崩壊を上げました。
その延長線上に児童虐待があり、「根本原因は貧困にある」と結論付けました。
また、90年代に入り、グローバル化などにより非正規雇用の拡大、離婚率の増大といったライフステージにおける生活困窮の環境変化を解説、「人並みの生活ができない人が大量発生している。新しい政治への期待が膨らんでいる」と根底に政治への不信感があると説きました。
さらに最近の雇用形態では、若い人が単純労働に携わるケースが増え、スキルアップしない、賃金上昇しないという非正規雇用を生む土壌になっている。能力のある女性だけが優遇される「女女格差が大きくなっている」と新たな課題を挙げました。
加えて、新規一括採用に漏れると、いっきに非正規化する傾向のあることから、社員の採用システムを再考するときであると提起しました。
今後の福祉政策のあり方として年金の一元化、男性の育児休業など保育に関するセキュリティネットの構築の必要性を強調、介護保険については「家族が参加できるシステムを
どう作るかが大事」と提言しました。