予算特別委員会質問(公安委員会)
平成25年3月8日(金)
1 小さな犯罪を見逃さない安全な地域社会づくりについて
昔の親父、学校の先生、警察官は、恐い存在でした。私は、今、その恐い存在の人の影が薄れてきているのが問題だと思っていますし、そのことが犯罪にも大きく影響しているように思えてなりません。
“三つ子の魂百まで”という諺がありますように、小さい時に、悪いことは悪いとしっかり教える必要があると思います。そして、悪いことは、小さいうちにしっかり芽を摘む必要があります。大きくなってからの修正は、極めて困難になると思います。
先日、某所で、赤信号を無視して横断していく若者を見ても注意しないお巡りさんがいました。
確かに、その時、車は来ていなかったので危険性は低く、その警察官も注意するのをためらったのかも知れません。
しかし、このようなことを野放しにすれば、赤信号で躊躇しながら横断していた人の“躊躇”が、慣れて来ると罪意識が無くなり、次第にエスカレートし、やがて悪質な違反へと発展して行くと考えられます。
更に、それを見ている人達にも影響を与えます。信号無視をする人を注意できない警察官を、果たして尊敬するでしょうか?また、そのような警察に安全を守ってもらえると期待するでしょうか!
同時に、小さな犯罪を見落とせば、やがて大きな犯罪の発生を招くという、いわゆる「割れ窓理論」に繋がり、大変重要な局面をはらんでいると思われます。
私は、警察官がその人に、ちょっと声を掛ける、或いは警笛を鳴らすだけで良いと思います。違反した人は、声を掛けられると「しまった」と感じるだろうし、また周囲にいる人も「やっぱり警察官は、悪いことを見逃さないんだ!」と思うでしょう。
そのような小さな抑止力の積み重ねが、犯罪を減らし、安全・安心なまちづくりに繋がると確信します。制服を着た警察官が、街中を歩くだけで存在感が示され、犯罪抑止に繋がるでしょう。更にもう一歩踏み込んで、声を掛けながらパトロールをする、或いは赤色ランプを点滅させながらパトカーが巡回することで、大いに犯罪抑止に繋がると考えます。
1980年代、ニューヨーク市は、落書きだらけのすさんだ犯罪の坩堝の都市でした。しかし、ここで割れ窓理論が採用され、小さな犯罪を見逃さないという姿勢から、市警察・行政は、まず落書き消しから取り組み始め、徹底した落書き(犯罪)を取り締まりました。その結果、すさんだ街が見事に変身し、今では世界の主要都市で一番安全な都市となっています。こうなるには、まず警察官が強い誇りと高い使命感を持って小さな犯罪を見落とさないという確固たる信念が、ニューヨークを安全な都市に変えたと思っています。
県民に安心感を与え、かつ県民の期待に応える警察活動を推進するために、小さな犯罪を見逃さないことが、犯罪抑止力の向上に繋がると考えられますが、警察当局のお考えを伺います。
2 県下における犯罪情勢と取り調べ技術の向上と伝承について
本当は、取り調べの可視化について質問をしたかったのですが、国の方針を見守るとして、今回は県下における犯罪情勢の現状と取り調べの技術の向上と伝承について質問をします。
(1)県下における犯罪情勢について
県下における刑法犯の認知件数は、最悪だった平成14年の16万件から毎年減少し、今ではピーク時の半減で約7万件という状態となっています。しかし、依然として街頭犯罪・侵入犯罪は多く、高齢者を狙った振り込め詐欺等は過去最高となっており、体感治安は良くなっているとは思われません。
更に、検挙率もピーク時からは、一定の回復をしたものの22年以降30%弱で低迷しています。
そこで、まず県下の犯罪情勢に関して、この30%弱と低迷した検挙率を、警察はどのように捉えておられているのか、また、検挙率を高めるために、どのような取り組みをされているのかお伺いします。
(2)取り調べ技術の向上と伝承について
現在、ベテラン刑事が大量退職し、技術継承が上手くいかず、捜査能力が未熟である警察官が増えているのが大きな問題で、検挙率低迷の一因であるとお伺いしたことがあります。
先般、一連の大阪府警の誤認逮捕に関する新聞記事を見ました。いずれも被害者の証言に頼り過ぎ、アリバイ等客観的な証拠の精査をおろそかにしたのが原因で、「捜査能力が問われている」という記事でした。兵庫県警にも同様の事がないことを祈るばかりです。
このような団塊の世代の大量退職問題は、警察以外の様々な業種でも同様に発生しており、その打開策を見い出すことは県警の喫緊の課題でもあると思います。
刑事訴訟法の目的には「事案の真相を明らかにする」ということが掲げられておりますが、そのためにも「取り調べ」という容疑者からの聞き取りは、大変重要な捜査活動だと思います。
テレビドラマで放映されている取調室のシーンでは、刑事と容疑者との間で、心理戦というか壮絶な駆け引きが繰り広げられるのが感じ取れます。
この取調べについて、実際に個々の刑事がどのような取り調べをしているのか、取り調べの録音、録画が全面的に行われていないし、たとえ行われていたとしても一般に公開されることは困難であろう事から、その取調べの優劣、適否について評価をすることが難しいように思われます。
先日、警察庁が取り調べの教本を発行し、全国の警察に配布するという記事を見ました。内容についてはインターネットでも検索することが出来ますが、犯人を自供に導くための取り調べのノウハウが記載されています。
このような教本が活用され、しっかりした後継者の育成が出来れば、取り調べ技術が向上され、検挙件数の向上はもとより、全国警察で散見される誤認逮捕や冤罪事件の防止にも繋がると期待しています。
そこで、警察当局として取り調べ技術の向上と伝承について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。