議会の動き

決算特別委員会 14年09月定例会

副委員長 岸口 実議員(明石市)

理  事 栗山 雅史議員(西宮市)

委  員 迎山 志保議員(加古川市)

委  員 藤井 訓博議員(神戸市北区)

岸口 実議員

企画県民部① | 健康福祉部 | 産業労働部 | 病院局

栗山 雅史議員

財政状況 | 企画県民部① | 農政環境部 | 県土整備部 | 企業庁

迎山 志保議員

財政状況 | 企画県民部② | 公安委員会 | 農政環境部 | 教育委員会

藤井 訓博議員

企画県民部② | 健康福祉部 | 公安委員会 | 教育委員会 | 総括審査

岸口 実議員

● 企画県民部①

1 地域の夢推進事業費について

(1)これまでの事業評価について

(2)各県民局の情報共有について

2 宗教法人について

(1)県下の宗教法人の活動状況について

(2)不活動宗教法人に対する対応状況について

3 はばタンの活用状況につい

全文

決算特別委員会  [ 10月8日(水)企画県民部①・岸口副委員長 ]

1 地域の夢推進事業費について

(1)これまでの事業評価について

県では平成13年4月に地方機関の組織の再編を行い総合事務所化した県民局について、約150項目の事務、権限を委譲し機動的な組織にするとともに、平成14年度に1県民局あたり3,500万円の地域戦略推進費を創設し、地域の課題に的確に対応できるよう機能強化が図られた。

この地域戦略推進費は、平成15年度には1県民局あたり5000万円に、また平成18年度、19年度には国体の開催等もあり8000万円に増額され、平成22年度まで各県民局でさまざまな事業が実施された。私の地元である東播磨では、いなみ野ため池ミュージアム創設に向けた取り組みが展開された。

平成23年度からは、これまでの地域戦略推進費から新たに地域の夢推進事業費へと改変され、1県民局あたり平均額1億5000万円を県民局ごとの事情を勘案し傾斜配分し、これまでのソフト事業からハード事業にも用途が拡大され、東播磨では明石公園内の桜のトンネル、加古川のみなもロードなどが整備された。

昨年度の各県民局での取り組みを見ると、おやじジャズトレインの運行はじめそれぞれ地域のニーズに応じた事業が行われているが、一方でひょうご防災ネット整備費を各県民局が負担し本庁執行となっていることや、自治賞、こうのとり賞、くすのき賞の表彰など県民局対応とするかどうか悩ましい事業が見られる。

折角の県民局の独自予算、事業であり一般会計予算の延長上のような事業では大変惜しい。ハード事業についても、事業内容からすると本来の公共事業で行うべきものが含まれてはいないか、これらを踏まえこれまでの成果についてどのように評価されているのかお尋ねする。

(2)各県民局の情報共有について

地域の夢推進事業費は地域特性を生かした地域ならではの事業が多くあり、これらの独自の取り組みは県民局の大きな刺激になっている。各県民局の取り組み、ノウハウなどは県民局長会議などで互いに情報共有を図っているとは思うが、これら成果と課題は県民との情報共有も重要である。

特に県民の地域活動団体を応援・支援する事業、県民との参画と協働による事業も多くみられるが、その受け手の側である県民の皆さんにも今年度新たに創設されたふるさとづくり推進事業費への理解を求め、地域活動団体の自立を促すことも時には必要。そこで、地域課題の解決に向けたより有効な事業とするため、地域住民が自主的・主体的に取り組む事業へ発展したような事例をモデルケースとして各県民局で共有し、幅広く県民の参加を促すべきと考えるが如何。

2 宗教法人について

先の一般質問で竹内議員が質問したが違った視点で質問。

(1)県下の宗教法人の活動状況について

人口減少、限界集落、地域から人が消えていくことにより空き家対策など新たな行政課題がみられる。

同じように人口減少による檀家の減少、後継者不足や宗教に対する価値観の変化など宗教法人の運営が成り立たなくなる事例が今後増加すると思われる。

一方で宗教法人は詐欺事件、脱税など事件の温床となる事例があることや、本来売買ができないが、インターネットなどで売買を目的とした情報が掲載されるなど休眠法人への対応を急ぐ必要がある。

宗教法人に活動の実態を示す宗教法人事務所備付書類の提出状況をみると、先日の一般質問で答弁があったが直近の平成24年の県所管法人数8729法人に対し提出数が8437法人の提出率96.7%となっており、この10年間を見ても95~98%と概ね同様の傾向にあるが、同一の代表者が複数の法人の代表者となるなど活動の実態が外部からは見えづらい。

また過去10年間の県所管宗教法人の推移をみると、平成16年の宗教法人数は8798法人から平成24年の8729法人まで減り続けてきたが、平成25年、26年ではそれぞれ5法人、計10法人増えている。

そこで、平成25年、26年に宗教法人が増えた事例など、県所管宗教法人の活動状況についてお尋ねする。

(2)不活動宗教法人に対する対応状況について

本会議答弁にもあったが一方の宗教法人事務所備付書類の未提出法人は、2~3%とは言え平成23年は202件、24年は292件と相当数に上っている。未提出法人は不活動宗教法人と過料事件通知とに分けられ、不活動宗教法人は平成23年度75法人、24年度100法人、また過料事件通知は平成23年127件、24年192件と急増している。不活動宗教法人と認定された場合は、他法人との合併や自主解散督促、裁判所への解散命令請求を行うことができるとされ、文化庁では実態が不明な宗教法人を整理するために年間約300万円の調査費用を都道府県に支出委任する事業を行っているが進んでいないとの報道がある。

そこで、県では未提出法人に対しどのように取り組んできたのか、とりわけ不活動宗教法人に対しどのように対応していくのか、国の制度の活用状況を含めお尋ねする。

3 はばタンの活用状況について

今では兵庫県のマスコットとして定着している「はばタン」は、もともと平成18年に本県で開催された「のじぎく兵庫国体」のマスコットとして、愛嬌のあるデザインで大会を大いに盛り上げた。

その高い人気ぶりから、国体後も「ひょうご観光大使」や「フェニックスサポーター」などとして県政をPRするほか、着ぐるみについては、現在、本庁と県民局・県民センターに保有する23体のうち、22体が一般に貸出しされているなど活躍の場が広がっている。

普段は屋外のイベントで「はばタン」に出会うことが多く、つい先日明石公園で開かれたひょうごまちなみガーデンショーの関連イベントでも出会うことができた。

この「はばタン」について忘れられないことがある。本年5月、知事も出席された明舞団地まちびらき50周年記念オープニングセレモニーである。「はばタン」はスペシャルゲストとしてテープカットを行うとの設定でさっそうと登場した。

しかしながら、普段屋外で見慣れていた「はばタン」と室内で見た「はばタン」とは大きく違っていた。色が褪せ、足元が汚れていた。

またあるイベントで、大きな「はばタン」を見たとの声を聞いた。内容を確認すると、「はばタン」が民間の団体に貸し出され、その中に背の高いバスケット部の学生が中に入り大きくなり、また動きも俊敏で活発であったとのこと。

マスコットはキャラクターイメージが大切である。室内で行われるセレモニーにはきれいな「はばタン」を使用することや、中に入る人の身長や基本的な動作などを簡単なマニュアルが必要ではないかと感じる。貸し出しに際しては簡単な注意事項を伝えるなど、イメージを壊さない取り組みが必要ではないか。これまでの活用方法について問う。

●健康福祉部

1 認定こども園について

(1)認定こども園の成果と課題について

(2)県民への情報提供について

(3)市町への取り組み促進について

2 介護保険制度の課題について

(1)介護職員処遇改善加算の活用状況について

(2)要介護認定における市・町間のばらつきについて

全文

決算特別委員会  [ 10月9日(木)健康福祉・岸口副委員長 ]

1 認定こども園について

(1)認定こども園の成果と課題について

県では、平成18年の認定こども園法の成立以降、運営費補助の創設はじめ整備促進事業、障害児保育支援事業など独自の取り組みを進めた結果、今年4月現在、全国最多の118園が開園している。

その一方で、新年度からの「子ども・子育て支援新制度」導入に際し、公費減額の懸念から認定こども園を返上し幼稚園に戻す園があることや、認定こども園への申請をためらう傾向にあることが報道された。

先の本会議質問でも新制度での公費投入額の確保を求める質問が続いたが、来春の園児募集が開始(10/1)されており、早急な対応が必要と考える。

さて、県下の118園であるが、幼保連携型が38園、幼稚園型が45園、保育所型31園で、幼保連携型の約半数が、また幼稚園型、保育所型のほとんどが学校法人、社会福祉法人である。これらでは、保育士、幼稚園教諭、調理員などの職員の確保など共通の課題もあれば、保育所型での事務の煩雑化や幼稚園型での施設の整備など、それぞれの類型ごとに抱える課題は違う。

県では新制度に向け、認定こども園への申請を促す上で、これまでの課題と成果を踏まえより充実した支援策につなげていくことが重要と考える。

そこで、これまでの認定こども園について、設置者、園児とその保護者それぞれの立場から見た課題と成果を県としてどのように認識されているのか問う。

(2)県民への情報提供について

保育所、幼稚園、認定こども園の3制度のもとで、保護者の選択の幅は広がる一方、認定こども園については、母体となる施設により4類型に分かれるなど制度が複雑でわかりにくいことから十分に県民に理解されていないのではないか、認定こども園制度を推進していくためにも県民にわかりやすい情報提供をしていく必要があると思うがこの点について伺う。

(3)市町への取り組み促進について

既設の118園のこども園を市町別に見ると、姫路市が最も多く28園、ついで神戸市の14園、尼崎市・豊岡市の9園などとなる一方、明石市はじめ芦屋市、播磨町、稲美町、赤穂市、小野市、加東市など19市町での設置は0園となっているなど、市・町のばらつきが大きく見られる。

これらは、待機児童数はじめ、既存の施設の設置者の違いや認可外施設などの状況、幼児教育ニーズなどの地域事情の違いが設置数に影響していたと聞いている。

現在、市・町では、子ども・子育て支援事業計画を策定中で、その方針が民間保育所・幼稚園設置者へ与える影響が大きいと考えられることから、市・町が、子ども・子育て会議の意見を踏まえ、地域での認定こども園・幼稚園・保育所のあり方をしっかりと示す必要がある。

そこで、新制度の導入に向け、県の支援策充実はもちろんであるが、県として先の成果と課題を踏まえ市・町の取り組みに対しどのようにかかわって行くのか所見を問う。

2 介護保険制度の課題について

(1)介護職員処遇改善加算の活用状況について

昨年の9月定例県議会で、現場での利用者及び家族らとのトラブルやセクハラ、DVなどの問題をまとめ「介護現場の職場環境の改善に向けた介護保険制度の周知・啓蒙について」質問した。太田部長から、県民向けの広報、地域包括支援センター職員対象の研修会などにより介護職員の負担軽減し、介護従事者が働きやすい職場環境づくりを推進するとのご答弁を頂いた。

今年6月明石市では介護保険制度の適正利用啓発ポスターを作成した。ポスターによる本来の課題解決効果はまだ計れないが、「行政が課題を認識し取り組んだ」と従事者の励みになっているとのこと。職員のモチベーションを保ち続けるにはどこかで誰かが評価し続けることが重要。あわせて働きが報われる処遇改善は必須。

このような中、介護職員処遇改善事業を引き継ぎ、平成24年度に介護職員処遇改善加算が創設された。基本賃金より手当てとして加算されているケースや、前制度・新制度と続いているため加算の効果の実感が薄くなってきているなどとも聞くが、欠かせない支援とのことである。

そこで、県下でどれくらいの事業所が申請しているのか、処遇がどのように改善されたのかなど活用状況と効果について問う。

(2)要介護認定における市・町間のばらつきについて

要介護・要支援状態になった場合、介護保険制度により介護サービスを受けられるが、要介護・要支援の判定は、保険者である市町村が設置し、保健・医療・福祉の学識経験者より構成される介護認定審査会において行なわれる。要介護認定は、全国一律に客観的に定められた基準に沿い、高齢者の心身の状況にかかる調査項目結果をコンピュータに入力して出した一次判定結果とあわせ、認定調査の特記事項や主治医意見書の疾病等に関する記載から介護の手間も考慮して介護認定審査会で判断する二次判定が行われ、介護サービスの給付額が決定されている。

しかしながら、現場の声を聞いてみるとこの認定作業が大変わかりにくいようである。要介護認定の更新申請や区分変更申請の認定調査の場合は、市町から委託を受けたケアマネの調査員が自宅等を訪問し調査を行うが、心身について同じような状況にある場合でも、1人住まいか否かなどの介護の手間の違いによって異なる判定結果となるなど、この要介護認定作業自体が複雑なものとなっている。要介護認定が介護サービスに直結することから、本人・家族などの介護者にとって最も重要な課題であり、市・町間で運用にばらつきが生じないよう、適正な調査や判定が実施されることが大切である。

そこで広域的な立場の県として、市・町間でのばらつきについてどのように認識されているのか、またどのように適切な制度運用を図るのか問う。

●産業労働部

1 障害者雇用の状況について

(1)事業主に対する意識の啓発・醸成と就労継続支援について

(2)精神障害者の雇用状況について

2 中小企業の子育て・介護者への支援制度の運用状況について

3 緊急雇用対策事業の運用状況について

全文

決算特別委員会  [ 10月10日(金)産業労働部・岸口副委員長 ]

1 障害者雇用の状況について

(1)事業主に対する意識の啓発・醸成と就労継続支援について

平成25年4月より法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられた中、先日、障害者雇用が全国で40万人との報道があった。また兵庫労働局が平成25年11月に発表した平成25年「障害者雇用状況」の集計結果によると、民間企業に雇用されている障害者が前年に比べ5.9%・675人増加し12072人となり、実雇用率が0.05ポイント上昇し1.84%となったとのこと。

その一方でいくつかの課題も見られた。今年から報告対象となった50~56人未満規模企業でみると法定雇用率を下回る1.75%、法定雇用率達成企業の割合が35.4%と低調である。あわせて、中小規模の企業に比べて人材や職種が豊富な大規模企業のほうが障害者を受け入れやすい環境にあると思われるが、500~1000人未満規模での達成企業の割合は40.8%、1000人以上規模では同44.2%と規模が大きな企業でも半数を超えていない。

あわせて200人を超える規模企業(平成27年度からは100人超)で法定雇用率未達成の企業に対し、不足人数に応じ納付金を課す障害者雇用納付金制度により、平成25年度は、納付件数311件・納付額は約3億5800万円が納付されている。また今年度は、平成25年度に法定雇用率が引き上げられたこともあり納付件数・納付額はさらに増えることになると思われる。

この納付金は、障害者をより雇用しようとする企業を支える貴重な財源となっている一方で、悪い意味で納付金さえ払えば、障害者を雇用しなくてよいと、障害者の雇用を抑制する可能性は否定できない一面もある。雇用義務を誠実に守っている企業とそうでない企業との社会的責任や経済的負担のアンバランスも生じている。

加えて、障害者の就労に対する意識や心構えの欠如や職場環境になじめないなど、障害者雇用は出入りが激しい側面がある一方、障害者雇用を助成に頼る企業において助成期間の満了によって解雇するケースなどの指摘があるように、就労の促進支援は行われるが、実態として解雇の規制が十分でないところがある。

そこで、大規模企業の事業主の障害者雇用に対する意識がまだまだ低いと言わざるをえず、今一度事業主に対する意識の向上を図らなければならないと考えるが、大規模企業の障害者雇用への意識の啓発・醸成と障害者の就職の支援、離職しない仕組み、解雇されないような仕組みづくりにどのように取り組んでいるのか問う。

(2)精神障害者の雇用状況について

国内の障害者数は741万人でその内訳は、身体障害者が366.3万人、精神障害者は320.1万人となっている。一方の障害者雇用は、身体障害者が約76%を占め、精神障害者の約4%に比べその差は歴然である。

県下の精神障害者の雇用は、精神障害者保健福祉手帳の所持者を雇用率の算定に加えることができるようになった平成18年の50.5人から年々増え続け、平成25年は前年から32.7%増の428.5人となった。

平成23年2月議会において「農業分野等への障害者の雇用促進について」の質問をしたが、当時、農林漁業分野で働く障害者は8人にすぎなかったものが、県の「新たな就業モデル検証事業」などにより、25年度には18人に増えており、一定の政策効果が表れてきている。但し、精神障害者に限ってみると雇用者数は1人のままで状況は変わらず、まだまだ十分とは言えない。

このような中、国では精神障害者等雇用トータルサポーターの配置をはじめ新規雇用・職場復帰、雇用継続などそれぞれのニーズに応じた支援を行っていることや、平成30年4月からは障害者手帳を持つ精神障害者を法定雇用率の算定基礎に追加するなど支援を強化した。

しかし、精神障害者の雇用は容易ではないという現実もある。一見、障害がわかりづらいことをはじめ、身体障害者に比べ事業主、障害者ともに業務適性が判別しづらく、適性に合わない業務では、就労意欲を高く保つことができないこと、義務化により雇用者数を多くすることはミスマッチ拡大に直結し、採用拡大の裏で多くの早期退職者も出ることが予想されるなど課題は多い。

また、25年6月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した報告によると、過去3 年間の病気休職制度利用者の退職率の平均値は37.8%で、疾病別退職率を見ると、「メンタルヘルス」(42.3%)は「がん」(42.7%)に次いで高いことが報告されていることや、私も就職後、精神疾患を発症し職場復帰したものの職場改善を拒否され退職するケースがあったと聞くなど、離職者対策も必要である。

そこで、平成30年の算定基礎追加を見据え、精神障害者雇用の成果・課題を評価検証し、事業者へ情報提供を図り今から備えていく必要があると考えるが所見を問う。

2 中小企業の子育て・介護者への支援制度の運用状況について

包括外部監査人からの指摘があった2件について質問。

1つ目は育児・介護等離職者再雇用助成金。育児や介護等の理由によって離職した従業員が、再び元の職場で継続的にキャリアアップできる環境整備を目的とした制度で、当初年間40件の利用を目論んでいたが、平成22年度から24年度の3年間で6件、24年度から要件緩和したものの2件に止まっている。25年度は6件、今年度9月末現在で4件と若干伸びているものの目標には程遠い。

2つ目は中小企業育児休業・介護休業代替要員確保支援助成金。中小企業が育児・介護休業取得者の代替要員を確保した場合に、その要員の賃金の一部を助成し取得促進と、休業者が職場復帰しやすい環境整備のための制度で、平成22年度から23年度は支給計画年間100件、当初予算1億円、24年から25年は同200件、同2億円とした。年とともに利用件数が伸びているもの非常に低調な状況にある。

これらの助成金の目的はいずれも時代にマッチした政策優先度の高い事業であるが、その効果が充分に表れているとは言えず大変残念な結果である。

十分活用されない原因がどこにあるのか、より有効な制度とするため何が足りないのか、来年度以降も継続すると思うが抜本的な見直しが必要と考えるがどのように認識しているのか問う。

3 緊急雇用対策事業の運用状況について

離職を余儀なくされた非正規労働者・中高年齢者等の失業者に対し、次の雇用まで短期の雇用・就業機会を創出・提供することを目的とした事業。県に設置する基金を財源として、市町に補助金を交付しており、平成22年度約39億円、23年度約47億円、24年度、25年度とも約25億円の予算が組まれていた。

包括外部監査人からは大きく2点の意見があり、1つに人件費の割合が2分の1を下回る事業について割合を高める取り組みとすること、また2つに一時的な雇用の創出のみならず、その後の就業機会の確保につながるような事業とすることである。

平成24年度に実施した市町事業において、361事業中、就職率が81%を超えた事業は133事業あり568人を雇用し、事業終了後555名が次の就業に結びついた一方、就職率30%以下の事業は132事業あり731人雇用したが、684人は事業終了後就職をしていない。うち就職率0%の事業は110、298人いた。無計画とは言わないが計画のずさんさは残る。今後の改善点等を含め活用状況を問う。

●病院局

1 医師、看護師の確保と負担軽減について

2 医局との連携強化について

3 未収金の発生抑制について

4 がん相談支援体制について

(1)県立病院での運用状況について

(2)告知から相談支援センターへの連携について

全文

決算特別委員会  [ 10月17日(金)病院局・岸口副委員長 ]

1 医師、看護師の確保と負担軽減について

そもそもの医師数、看護師数などの定数は兵庫県病院事業職員定数条例で定められているが、医師数、看護師数など職種別や個別の病院ごとの内訳までは規定されていない。県立病院の医師・看護師確保対策の充実や、病院局の積極的な採用もあり、先ほどの通り確保数は伸びているものの、医師の不足感は未だに否めず、看護師についても産休・育休などにより実人員は少なくなっている。

現場での勤務状況は、医師、看護師の責任感に依るところが多く、実人員で何とかやりくりをしていると聞くが依然として厳しい。(始業時間が9時であっても8時半から働く、終業時刻だからといって途中で仕事をやめる訳にいかない。休日を使っての研修など。)何も医療職に限らずどんな仕事にも当てはまることといえばそれまでであるが、過酷な勤務は医療過誤・事故のもととなる。

そこで、現場の勤務実態をどのように認識されているのか、勤務環境改善に向けどのように取り組むのか、あわせて県立病院の施設・機能の再編が進む中で、求められる役割を果たし、適切な病院運営を行うにあたり、どのような考え方で必要な医師数・看護師数を確保しようとしているのか、所見を問う。

2 医局との連携強化について

医局は、人事機能が弱まったとはいえ県立病院が医師確保を進める上で、大変重要なパートナーである。

民間病院・施設などでは医師確保にあたり、理事長・院長などの役員が、退職者が出る前から日常的に医局・教授など大学関係者と、情報交換や研究支援などを行っている。

公営企業であることから、管理者はじめ病院局幹部の方々に同じことを求めることは出来ないが、切れ目なくまた安定的に医師を派遣して頂くには日ごろから医局などとの強固な関係の維持・構築が不可欠である。

そこで、日ごろからどのような取り組みを行っているのか、また県立病院の優位性とは何か、公営企業のさまざまな制約の中で新たに取り組めることは何かを問う。

3 未収金の発生抑制について

毎年度末、およそ2億あまりの未収金を計上している。過年度から繰り越したもの(約2億数千万円)、年度中に発生したもの(約8000万円)、回収したもの(約1億円)を合わせ平成23年度は2億4550万円、24年度は2億2548万円、25年度は2億1650万円となっている。各年度の医業収益(約900億円)からすると、発生率は1%以下で微々たるものだが、平成25年度の経常損益5億円からすると小さくない。仮にこれらが全額回収できないと、今後、2億円が損金処理される。

未収金が発生すると半年間は職員が督促・回収を行い、回収できなかったものは弁護士に回収を依頼する。ちなみに回収できたものは各年度約30%程度にとどまっている。また、弁護士に回収を依頼したもののうち、再三の督促等に応じない悪質性の高い未収金については、民事訴訟法に基づく支払督促を実施しており、その額は、平成24・25年度あわせて10件約1,145万円にのぼっている。

このように未収金は発生した後に回収を行うとなると、時間もかかる上、事務は煩雑になる。となるとそもそもの発生抑制ができれば、確実に収益が向上することになる上、さまざまな煩わしさがなくなるのではないか。

未収金の発生の原因を見ると、①事故による保険会社の支払い部分、②出産、③高額医療費、④保険なし など様々なパターンがあるとのことである。この中には、手続きや時間の問題で、未収金に計上されてはいるが、回収見込みが高く、所謂売掛金に近いものもあるが、その他については、いかに発生を抑えるかが重要であると考える。(例えば出産後退院などはデポジット制を導入するなどの対策は可能ではないか)

そこで、発生要因を踏まえて、どのように発生抑制に取り組んでいくのか問う。

4 がん相談支援体制について

(1)県立病院での運用状況について

先日、国が指定するがん診療連携拠点病院の4割が新要件を満たしていないとの新聞報道があった。厚生労働省の有識者会合からの提言を踏まえて、がん手術件数、化学療法や放射線治療ののべ患者数、常勤病理医の必須化など、指定要件の厳格化が決まったことから、「拠点」に求められる医療の質が確保できず、来春の指定更新時に看板を返上する病院が多く出る可能性があるとのこと。

幸い、県立がんセンターをはじめ6の県立病院を含む、県下の国指定の14箇所、県指定の10箇所に、直ちに影響があるものではないが、地域のがん医療体制が再構築の時期を迎えていることに違いはなく、今後変化するがん医療体制について、県民により丁寧に説明し続けなければならない。

さて、先日の本会議で小池ひろのり議員から、自身の体験をもとにがんの相談支援体制の充実について質問があった。太田健康福祉部長から国指定の連携拠点病院に専門スタッフを配置したがん相談支援センターを設け、平成25年度は16546件の相談があったことや、平成25年度に改定した県の推進計画により県指定の10箇所にも相談支援センターの設置を義務化したとの答弁があった。

その国・県指定された県立病院6施設での相談支援センターの運用状況をみるとがんセンター・淡路医療センターは2500件を越え、次いで尼崎・柏原病院の500件、また加古川医療センターでは73件、西宮病院では27件とかなりの差が見られる。それぞれの地域の事情と病院の性格が違うことによるものとは思うが大きなばらつきが見られる。

そこで、相談支援センターの運用状況と成果と課題について、また県立病院間のばらつきの要因について問う。

(2)告知から相談支援センターへの連携について

相談支援センターでは、治療や投薬をはじめとするさまざまな不安や悩み・疑問に対し、面談や電話による相談が行なわれているが、相談支援を受けようとする患者本人や家族らは、自らが訪問や電話をしなければならない。当然、中には相談を全く必要としない方もあるが、相談をすること自体に勇気がいることやがん告知前後の気持ちの混乱などにより、相談支援センターを活用することなく抱え込んでしまう方々も多い。

相談支援センターの受け入れ態勢に限りがあることは承知しているが、告知受けた方々全てが、診察の段階から相談支援センターへと自動的に連携が行われる仕組みが必要である。充実したがん治療は、治療のみならず、療養から回復後の仕事にわたるまで一貫した多面的な専門家のアドバイスが不可欠であり、患者、家族の闘病へのモチベーションをどのように維持するのか、メンタル面での支援も重要である。また病院側としても、入院患者の相談支援センターの利用は診療報酬の対象となるため、経営向上にも寄与する。

そこで、診察室と相談支援センターの連携を図りがん告知を受けた方々すべてが相談支援センターを活用できる仕組みづくりが必要と考えるが、県立病院においてはどのような対応をしており、今後どのように充実していくのか所見を問う。

岸口 実
明石市

栗山 雅史議員

●財政状況

1 決算審査の意義とその活用について

2 「兵庫のゆたかさ指標」の結果を踏まえた県の取組について

3 不用額について

(1)発生理由の妥当性について

(2)予算節約インセンティブ制度について

全文

決算特別委員会  [ 10月7日(火)財政状況・栗山 雅史委員 ]

1 決算審査の意義とその活用について

いよいよ本日から21日まで長い決算特別委員会が始まります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

これからの決算審査が実りあるものとなりますように、まず私から決算審査の初日、2番目の質問者として、決算特別委員会の序盤に相応しいような質問から入りたいと思います。質問は「決算審査の意義とその活用」についてであります。決算審査に臨むにあたり、当局の皆さん、そして決算委員の皆さんとも意識の共有、心合わせをさせていただきたいと思います。

さて、ご承知のようにこの決算特別委員会は、県議会が平成25年度の予算執行状況をチェックするために特別委員会として設置したものであります。県議会が主体的に設置したものではありますが、決算は地方自治法第233条に規定されておりますように、「地方公共団体の長は、会計管理者が調製した決算について、監査委員の審査に付し、監査委員の意見を付けて、議会の認定に付さなければならない」ことになっております。双方において、この決算審査に真摯に臨まなければならない、このように感じているところです。

では、これから進めていく決算審査はどうあるべきでしょうか。どのような視点で質疑をしていけば良いのか。何を確認していくべきなのか、いただくご答弁はどのように評価すれば良いのか。私はこの決算特別委員会が始まるまでいろいろと考えてきました。

私は自治体決算についての数冊の書物を手にし、「決算審査の意義とはどういうものなのか」ということを確認してきました。書物によりますと、「決算審査では、監査委員の審査・意見を踏まえた上で、議会が議決した予算がその通りに適正に執行されたのか、合理的に執行されたのか、事業計画はうまく進んだのか、議会の意思は尊重されているのか、住民福祉の成果はどうか、最小限の費用で最大限の効果をあげているのか、財政運営の健全化は保たれているのか、などを確認する機会」であるとありました。

決算特別委員会設置にあたっては、井戸知事からも「決算審査は、歳入歳出予算の執行状況や事業の成果を評価していただき、来年度の予算編成や今後の行財政構造改革の推進につなげていくための基本システムです。どうぞよろしくお願いします」との挨拶がありました。

これから決算特別委員会の委員の皆さんから、財政状況について、あるいは部局審査で各事業について、様々な観点で質疑がなされるかと思います。審査の初日、冒頭にあたり、「決算審査の意義とその活用」について改めて意識を共有するため、当局のご所見をお聞かせいただきたいと思います。

2 「兵庫のゆたかさ指標」の結果を踏まえた県の取組について

次に、県民意識調査「兵庫のゆたかさ指標」の結果を踏まえた県の取組について質問します。

この決算審査に臨むにあたって、私ども議員は県当局からいただいた決算資料を読み込むところから準備が始まります。先程の質問でも確認させていただきましたように、「議会が議決した予算が適正に執行されたのか、合理的に執行されたのか」という点が重要でありますから、それぞれの事業の効果・成果を知るために、決算資料の「主要施策の成果及び基金運用状況説明書」や「事務事業評価」などを中心に、平成25年度の予算執行の効果について確認をしております。

さて、まず「主要施策の成果及び基金運用状況説明書」についてですが、ここに記載されているものは平成25年度の約2,400事業のうちの165事業となっていますが、その中にある「事業実施の成果」の欄のことについてです。正直に申し上げて、事業実施したことだけを簡潔に書かれているので、その効果があまり読み取れません。この欄の文章の語尾は、だいたい「行った」、「実施した」、「推進した」、「開催した」、「検討した」、「運営した」などで終わります。一部には数値を用いた記述があるものの、これは単に「やったことの報告」でありまして、事業を実施した結果、県民の皆さんがどう感じたのか、県民の福祉は増進したのかなどの事業の効果はよくわからないと感じています。「事務事業評価」については、これは271事業を対象にされていますが、必要性、有効性、効率性などの評価結果を示し、今後の実施方針を記載しています。

しかし、これらは行政側の主観であり、自ら行ういわゆる「自己評価の通信簿」でありまして、県民からの「通信簿」ではありません。県民の受け止め方は十分に読み取れないのではないかと感じています。

そんな中、県民の反応や意識を知ることのできる資料があることに気付きました。「21世紀兵庫長期ビジョンの推進状況報告書」の中にある「兵庫のゆたかさ指標」という県民意識調査です。まさにこれが県民からの「通信簿」であり、事業効果の測定の一つになりうるのではないかと思いました。決算審査に相応しい資料だと思いました。

この調査では、県内の満20歳以上の男女の個人5,000名に対して、4つの社会像、12の将来像に分けられた55の質問をされています。今年の6月から7月に実施されたこの調査に2,051人の方からご回答をいただき、様々な調査結果が出ております。その中で、いくつかの項目で県民の意識、満足度が前年度よりも低下しているものがあったり、著しく低い数値のものがありました。

まず、大きく見ていきますと、12の将来像の1つ目の「人と人のつながりで自立と安心を育む」ですが、10点満点中7.12ポイントから7.01ポイントへ、-0.11ポイントのダウン。同じく8つ目の「低炭素で資源を生かす先進地を創る」でも、-0.05ポイントのダウンがありました。これは、「治安が良く安心だ」、「高齢者にも住みやすい」と答えた方の割合や、「再生可能エネルギーを導入したい・している」と答えた人の割合が減少していることが影響しています。

さらに細かく質問項目でみていくと、各質問の5段階評価のうちの上二つ「そう思う」、「まあそう思う」と答えた人の割合が資料に記載されているのですが、その中には、「そう思う」、「まあそう思う」と答えた人の割合がなんと最低で6%というものがあり、低い方から申し上げていくと、8.4%、10.1%、12.4%、13.7%、13.9%、14.8%という、非常に低い結果になった項目がありました。

それはどういう質問か、いくつかご紹介申し上げますと、6%だったものは「自分にあった職業への就職や転職がしやすい社会だと思う割合」、8.4%だったものは「年齢や性別を問わず、働きやすい環境が整っていると思う人の割合」、10.1%だったものは「若者が希望を持てる社会だと思う人の割合」です。この3つだけを見ていると、何となく若者や女性などの施策が十分ではないのかな、という印象を持ちます。

そこで、質問します。

決算特別委員会の設置にあたり、井戸知事から「平成25年度当初予算は、21世紀兵庫長期ビジョンの具体化に向けて、着実な一歩を踏み出すための予算として編成しました」とご挨拶がありました。平成25年度予算は、そんな知事の想いや、県議会からの重要政策提言や予算要望、多くの県民の声を聞かれて、政策・施策の取捨選択、そして事業化・予算化がなされたのだろうと思います。

21世紀兵庫長期ビジョンの具体化についてどうであったのかを示す「兵庫のゆたかさ指標」の結果を受けて、県としてどう取り組んだのか、またその結果をどのように評価をされているのか、お聞かせください。

3 不用額について

(1)発生理由の妥当性について

次に、不用額についてお聞きします。

先程の質問にも関連致しますが、決算において我々は、予算が付けられた各事業の執行状況及びその効果について見ていくわけですが、その中で、決算資料には各事業の執行残、不用額が記載されています。私はこの不用額がなぜ発生したのかについて確認してみたいと思いました。議決した予算が使われなかった理由、それはどのような理由によるものなのか。使われなかったことで県民にとって不利益はなかったのかなどについて、確認しなければならないと思いました。

不用額が生じる具体的な原因、事情については、いくつかあります。①予算の経済的、効率的な執行や経費の節約によるものや、②予算作成後の予見し難い事情の変更等によるもの、あるいは③予算上の見積りや想定が実情と合っていなかったもの、そして④職員の職務怠慢、などになるのではないかと思います。事業を進めていく各担当課には不用となった理由がきちんとあると思いますし、各事業における不用額の審査は部局審査に譲りたいと思いますが、私が質問したいのは、財政当局から見た各事業及び全体的な「不用額への評価」です。決算事務を進めていくと、「なんでこんなに余ったんだ」とか、「ギリギリまで使ったな。予算が足りなかったかな」などという感想もあろうかと思います。

さて、不用額の大きいものを例示したいと思いますが、例えば、項/水産業費の目/漁港建設費は予算現額の約21%、8億3,752万円を不用額としています。また、項/港湾空港費の目/港湾建設費も予算現額の約20%、17億443万円を残しています。良い悪いは別にして、こういったものはある意味目立ってしまいます。

不用額が大きい、小さいという額だけで、良いとか悪いとかを判断できるものではないということは理解しています。ですので、不要となったそれぞれの理由をしっかり確認し、妥当性を判断せざるを得ません。しかしその確認なんですが、決算資料を見るだけでは、我々にはその理由について読み取ることができません。ですので、現実的には担当課へ確認をさせていただくことになるわけですが、財政当局からは、この不用額はどのように見えているのか、気になるところです。財政全体を俯瞰する立場からどのような評価をするのか。

それでは質問します。まず、平成25年度に発生した一般会計、特別会計の不用額合計222億円余りについての財政当局の評価をお聞かせください。また、不用額の内訳、つまり発生理由にはどのようなものがあるのか、そしてその理由に基づく不用額の妥当性についても併せてお聞かせ願いたいと思います。

(2)予算節約インセンティブ制度について

また、平成21年度当初予算編成において、予算の使い切りを是正するため、予算執行段階での工夫改善・経費節約を進め、その節約額を翌年度の予算要求枠に加算する「予算節約インセンティブ制度」が創設されましたが、平成25年度の経費節約により、平成26年度当初予算の要求枠に上乗せされたものはどの程度あるのか、どの部署がよく頑張っているのかなどをお聞きしたいと思います。

企画県民部①

1 21世紀兵庫長期ビジョンの推進について

2 広聴活動の推進について

(1)県政への反映の役割

(2)県民から寄せられる県政に関する意見や要望等への対応

3 兵庫県立芸術文化センターの設備・備品等の更新について

全文

決算特別委員会  [ 10月8日(水)企画県民部①・栗山 雅史委員 ]

1 21世紀兵庫長期ビジョンの推進について

財政状況に引き続き、21世紀兵庫長期ビジョンについての質問をさせていただきます。質問のポイントは、ビジョンの具現化の旗振り役となっているビジョン課の取組みについてであります。

ご承知のように、21世紀兵庫長期ビジョンは2040年に向けて兵庫の未来像を描く、兵庫づくりの羅針盤として策定されました。想像的市民社会、しごと活性社会などの4つの社会像、そこから細分化された12の将来像を描かれ、人口減少・高齢化、国際化、地球環境・エネルギー問題などの課題に対応した未来の兵庫の姿を描かれています。ビジョン課におかれては、このビジョンの実現のために、特に取り組むべき5つの「行動目標」を示し、「全県ビジョン推進方策」などを策定されて事業の推進に取り組んでおられます。県民各層への普及啓発や、広報活動、各地域での地域ビジョン委員会の開催なども進めておられます。

そんな取組みの結果、兵庫の姿はどのように変化してきたのか、県民の意識はどのようになっているのか気になるところです。県では実現状況や取組み成果を点検・評価する「兵庫のゆたかさ指標」という県民意識調査を実施されています。私はこの指標は大変重要なものではないかと考えております。なぜなら、この指標は長期的なビジョンの具現化もさることながら、日々県が行っている事業について、現時点での県民の意識を広範に知ることができるものであるからです。ですので、私はこの「兵庫のゆたかさ指標」の結果をつぶさに確認させていただき、この決算審査に臨んでいます。つまりは、平成25年度の予算執行の効果はどうであったのかを測ることができるのではないかと思っています。

さて、その結果をみますと、財政状況での質問でも引用いたしましたが、昨年度の意識調査よりもマイナス評価になっている将来像の項目があり、あるいは55の質問項目の中に大変低い評価のものがありました。目標年次の2040年に向けた長期的な指標とは言え、経年評価でのマイナス評価や、及第点とは言えないあまりにも低い評価結果は大変気になりました。

例示しますと、「自分にあった職業への就職や転職がしやすい社会だと思う」という質問に対し、「そう思う」、「まあそう思う」と回答した割合が6%、「年齢や性別を問わず、働きやすい環境が整っていると思う人の割合」8.4%、「若者が希望を持てる社会だと思う人の割合」10.1%などであります。

低評価のものを施策別にまとめてみると、雇用・労働、若者施策、産業活性化、高齢者・障害者福祉、自然・エネルギー、災害への啓発、外国人施策などの分野となりました。これらの分野の事業執行は各担当課で進められるものですが、ビジョン課はこれらの低評価の分野の事業執行にどのように関わってきたのでしょうか。

それでは質問します。

ビジョン実現へ向けたビジョン課の庁内における旗の振り方、つまり各担当課への働きかけや提言、叱咤激励などはどのような状況でしょうか。また、ビジョン課はこの「兵庫のゆたかさ指標」の結果を受けて、各担当課の事業執行とその手法について、どのような評価をされているか、また、ビジョン課はこの「兵庫のゆたかさ指標」の結果を受けて、各担当課の事業執行とその手法について、どのような評価をされているか、伺います。

2 広聴活動の推進について

続いて関連する質問として、広聴活動の推進について質問をします。

(1)県政への反映の役割

まず、主要な施策の成果及び基金運用状況の説明書の、事業実施の成果の欄(1)県民意向の把握と県政への反映において、「『県民意識調査』等を通じて、行政や暮らしに対する県民の意識・意見をより的確に把握し、県政に反映させた」と記載がありました。先程のビジョン課に対する質問と同様の質問になろうかと思いますが、広報課広聴室においても「県民意識調査」等を通じて県政に反映する機能があるとするならば、同様の業務を2ヶ所で行っていることになりますが、どのように整理されているのでしょうか。また、それぞれに異なる役割があるのか、お聞かせください。

(2)県民から寄せられる県政に関する意見や要望等への対応

次に県民から寄せられる県政に関する意見や要望等への対応について質問します。

主要な施策の成果の説明書や事務事業評価資料によりますと、県民からの意見や要望には、インターネットを活用した「県民モニター」や「さわやか提案箱」、本庁、県民局及び兵庫県県民総合相談センターに設置されている「さわやか県民相談室」等において迅速かつ的確にご対応をされていると記載がありました。年間数万件のご意見、ご要望、ご相談に対し、身近な県の相談窓口としてご対応いただいていることに心から感謝申し上げます。最近では消費者トラブルなどを含めて多種多様なご意見、ご要望、ご相談があろうかと思います。県ではそういったあらゆる相談などに対して総合的に対応され、その場での解決や、専門相談窓口での対応が必要な場合には適切な案内などを実施されています。本当にありがとうございます。

さて、事務事業評価資料には「さわやか県民相談」の事業において、毎年2万件を超えるご相談に応対いただいているとありました。気になるのはその相談内容です。この2万件を超えるご相談の内訳について、大まかにどういったものがあるのか教えてください。また、相談に対してきちんと解決まで導けているのか、相談を受けても力になれなかったことなどもあるのかどうか、その点についてもお答えください。最後に、相談件数に対しいて人員配置等、的確に対応できる状況にあるのか、体制の現状についてもお聞かせください。

3 兵庫県立芸術文化センターの設備・備品等の更新について

地元の誇りであります兵庫県立芸術文化センターに一番近いところに住んでいる県会議員として、もはや恒例の質問としたいと思っていますが、芸術文化センターの設備・備品等の更新についての質問をさせていただきたいと思います。

この質問は、平成25年度予算特別委員会で私が質問をしたものの続編であります。あの時にご答弁いただいたことはどういう結果になったのかという確認の質問です。

当時の予算特別委員会で、私はこのような質問をしました。芸文センターは開館以来、プロデュースオペラやコンサート、管弦楽団定期演奏会をはじめ、バレエ、ミュージカル、演劇、ダンスなど、年間約300本もの主催公演が展開されるなどホールの稼働率が大変高く、設備の消耗が激しくなり、また施設内の設備等の老朽化が進みつつあるので、修繕や更新などを今後どのようにするのかと質問しました。具体的には、舞台天井部にあるバトンを操作する操作卓や監視カメラなどの不具合、コンピューター関係、音響、照明、劇場の扉などの老朽化を心配しているということを申し上げました。

当時の林課長のご答弁では、「設備・備品についての改修計画を作成する前段階として、予備点検を行うこととしている。その結果を踏まえ、専門家や業者の意見も聞きながら、より効率的な施行方法、施行時期等について検討をしていく」とお答えになりました。私はこの予備点検というものがどのように行われたのか調べようと思い、決算資料を詳細に見させていただきましたが、見つけられず、よくわかりませんでした。ですので、この決算審査でそれらの結果、経過をお聞かせいただけたらと思います。

平成17年10月にオープンして以来、今月で丸9年を迎えます。この予備点検の結果はどうであったのか、また改修計画はどのように立てていく予定なのか、質問します。

●農政環境部

1 「兵庫のゆたかさ指標」の農林水産業の調査結果について

2 大きな不用額について

3 野菜ICT産地モデル事業について

4 「ひょうごの乳牛」乳量・乳質アップ推進事業について

5 特定外来生物被害対策事業について

全文

決算特別委員会  [ 10月14日(火)農政環境部・栗山 雅史委員 ]

1 「兵庫のゆたかさ指標」の農林水産業の調査結果について

まずは、今回の決算審査で私が最も重視している指標、県民の現在の意識や満足度などを測ることができる21世紀兵庫長期ビジョンに関する県民意識調査「兵庫のゆたかさ指標」の中から、農政環境分野の調査結果について質問をします。

本年6月~7月にかけて実施されましたこの「兵庫のゆたかさ指標」の質問に、「お住まいの市・町の農林水産業に、活気が感じられるか」というものがあります。「そう思う」、「まあそう思う」という方の割合を結果として示されていますが、全県で12.4%と大変低いと思われる評価となっています。県民局別に見ても、丹波で17.4%、淡路で16.2%などが上位で、決して高い評価とは言えません。まず、この調査結果について、農政担当部局としてどう認識されているのか、またどのような評価をしているのか、お聞きしたいと思います。

また、この「兵庫のゆたかさ指標」は、2040年に向けた21世紀兵庫長期ビジョンが示す社会像を具現化することを目指す過程における県民の意識調査ですので、経年の変化がどうなっているのかという点が重要です。先程ご紹介した「お住まいの市・町の農林水産業に、活気が感じられると思う人の割合」は大変低いと申し上げましたが、昨年の割合はもっと低く、9.3%でした。つまりは1年で3%程度上昇したということで、これはこれで評価をしたいと思っています。

そこで質問します。また、この割合が増えた要因として、この1年間でどのような事業あるいは成果が県民に評価されたと思われていますか?お聞きします。

2 大きな不用額について

次に、額が大きくて少し目立つ不用額について質問、確認をします。不用額については財政状況の質問でも全体的なことを確認させていただいております。決算審査ですので、議決された予算がどのように使われたのか、なぜ不用額となったのかを確認せねばなりませんので、よろしくお願いします。

さて、農政環境部局の中の不用額が予算現額の20%を超えている2つについて質問します。1つは、款・農林水産費の、項・農業費、目・植物防疫費です。予算現額21億5,777万8千円に対し、22.76%の4億9,119万5,400円が不用額となっています。2つ目は、項・水産業費、目・漁港建設費で、予算現額39億9,403万6千円に対し、20.97%の8億3,752万4,729円が不用額となっています。

不用額が大きいとか小さいとかで、良い悪いと判断するものではないことは理解していますが、不用となるには理由があるはずですので、その理由を確認したいと思います。

3 野菜ICT産地モデル事業について

野菜の生産量向上及び農家所得の向上のために、ICTを活用した先導的産地モデルシステムを実証試験し、県下の国指定産地等へ普及を図ることを目的とされた、この「野菜ICT産地モデル事業」の成果と効果について質問したいと思います。

この事業は、平成25年度の1年で完結したということです。民間企業にもこういったICTを活用した農業支援ソフト、システムがあるらしいのですが、非常に高価で使いづらいということから、県自らがこのシステムを開発し、農家の皆さんへ提供されたということであります。「兵庫県野菜産地管理システム」という名称になっているようですが、このシステムの中で農作業の計画を立て、的確に実施し、記録を残し、次に生かすというサイクルを管理するようです。

同じ作付面積で生産量の向上が図れ、また所得向上も実現できればこの上ないことであります。しかし、この事業の状況についてヒアリングさせていただきましたが、まだ利用者が多いとは言えず、このシステムの利用の何年かのデータ蓄積があってこそ生産量の向上につながるということで、現在目に見えた大きな成果は出ていないのではないかと感じました。

せっかく構築されたシステムです。多くの農家さんに活用していただきたいと思っておりますが、現在までの取組み状況と今後の方針について質問したいと思います。

4 「ひょうごの乳牛」乳量・乳質アップ推進事業について

但馬牛や神戸ビーフが注目されている中、乳牛についても把握しておきたいと思いまして、この「ひょうごの乳牛」乳量・乳質アップ推進事業についての質問させていただきます。

この事業は、県内の生乳生産基盤を確保するため、経産牛1頭当たりの乳量と乳質を向上させることを目的として、平成24年度からスタートした事業であります。以前からこうした取組みはなされてきたそうですが、平成24年度からは、北海道から高い能力を持った乳用牛を購入する経費の補助、そして優良な精液の購入補助を新たに始められました。その他、遺伝的能力の高い後継牛の北海道預託や乳用牛群能力検定を活用した飼養管理なども含めて、平成32年度までに高品質な生乳を1頭当たり1,000kgアップさせるということを目標に事業を進めてこられました。平成27年度の経産牛1頭当たりの生産量は、8,617kgを目標とされています。

さて、事業は概ね順調に推移しているとの印象を受けておりますが、今後の酪農業界は、TPPなどの影響があることも考えられ、厳しい環境下に置かれる可能性があります。県民の一人としては、新鮮で高品質な牛乳や乳製品を県内消費者などに届けて欲しいと願っておりますので、ぜひ今後も不断の努力を続けていただきたいと思っています。

それでは質問します。本事業の平成25年度の成果、効果と、今後の見通しについてお聞かせください。

5 特定外来生物被害対策事業について

県では、近年急速に分布を拡大し、農業や生活環境において深刻な被害を及ぼしているアライグマ、ヌートリアの排除を実現するため、特定外来生物被害対策事業を進めておられます。アライグマやヌートリアに関する科学的データの蓄積が少ない中、森林動物研究センターでその生態について研究されるとともに、効率的な駆除の方策の検討や指導などの対策を講じておられます。アライグマ、ヌートリアの生息頭数の推移は不明という中で、農業被害は依然として高い水準にあり、今後も拡大される懸念もあることから、市町や農家さんなどとともにさらなる捕獲対策の強化を図る必要があります。

平成25年度の事業結果でありますが、年間捕獲頭数の目標7,000頭に対し、結果は約5,000頭とのことで目標に達しておらず、また被害面積にしても目標の30haに抑えたいところを上回る37haという結果になったようです。大変厳しい結果となっているようですが、まず平成25年度の事業結果をどのように評価しておられるのかをお聞きするとともに、今後の対策に向けてどのような改善が考えられるか、ご所見をお聞きします。

●県土整備部

1 大きな不用額について

2 景観支障建築物等除却費助成事業について

3 西宮北有料道路の早期無料化への取組みについて

4 緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成事業について

5 建設業新分野進出支援事業について

全文

決算特別委員会  [ 10月15日(水)県土整備部・栗山 雅史委員 ]

1 大きな不用額について

決算審査ということで、県土整備部所管の中で特に不用額が大きく、目立ってしまっている項目について、どういった理由で不用となったのか、その理由をお尋ねします。
款・土木費の、項・港湾空港費、目・港湾建設費が、予算現額84億1,961万円の約20%、17億443万円を不用としています。節まで見ると、委託料の不用額が50%を超えていますが、どのような場所の、どんな事業が執行されなかったのかなど、その詳細な理由を教えてください。また、事業執行されなかった影響についてもご答弁願います。

2 景観支障建築物等除却費助成事業について

この質問は、私が一般質問や平成25年度予算特別委員会で取り上げたもので、良好な景観形成を推進するために景観の支障となっている、又はその恐れのある管理不全状態にある建築物等を、自ら除却する場合に除去経費の一部を助成するという新規事業でありました。決算審査ですので、その事業結果について確認をしようと思い、質問をすることにしました。
当時のご答弁では、「事業の進め方については、改正条例による指導・助言等を的確に実施することに併せて、助成に際しては、県民の景観形成を支援している公益財団法人兵庫県まちづくり技術センターに申請窓口を置くとともに、ホームページや市町広報誌への掲載等により十分な周知を図ることで、景観支障建築物の所有者等の自主的な景観改善の対応を促していく」とありました。この事業は件数としては4件、予算としては600万円を計上されていました。
そこで質問します。まず、この景観支障建築物等除却費助成事業の実施結果はどのようなものになったのか。また、この取組みにおける市町との連携はどのようになされてきたのか、質問します。

3 西宮北有料道路の早期無料化への取組みについて

本件は、平成23年9月定例会の私の県会議員としての初めての一般質問で取り上げたもので、計画値を上回る収支状況であることを受けて、当初計画の平成32年度末から平成29年度末へ、通行無料化の3年前倒しを知事に決断していただいた案件であります。その後、平成25年の予算特別委員会でもその後の取組み方や計画について質問をさせていただきました。
予算特別委員会での当時のご答弁では、平成29年度末の無料化に向け、3点に取り組んでいるということでした。1点目は、休日夕方の船坂交差点の渋滞対策、2点目は老朽施設の修繕・更新、3点目は道路公社の現地管理事務所を廃止した後の新たな管理体制の整備。通行無料化までにはまだ3年半あり、1点目の船坂交差点の渋滞緩和に資する新名神高速道路の整備は平成28年度末供用に向け順調に進んでいるようでありますが、後の2点について、毎年着実に通行無料化に向けての取組みがなされているか、というところが気になります。
そこで質問します。平成25年度の取組みはどのようなものがあったのか、そして今年度を含む今後の計画についてはどう考えておられるのか、お聞きします。

4 緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成事業について

南海トラフ巨大地震等の大地震が切迫する状況の中、大規模災害時における緊急物資の輸送や住民の円滑な避難を確保することは減災の観点から有効であるとして、県は緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成事業を実施されています。この事業は平成23年度からスタートされています。災害時における緊急物資の輸送、避難路の確保の観点から、緊急輸送道路を閉塞する恐れのある建築物の耐震診断、耐震補強設計又は耐震改修工事等に要する経費の一部を補助するこの事業は、大変意義深い事業だと評価しています。
しかし、この事業で掲げられた目標は、平成27年度までの5年間に、建築物33棟というものですが、残念ながら平成25年度までの3年間の累計でたったの4棟という実績であり、今年度の見込みもお聞きしましたが、5棟増えて合計9棟となる予定とのことでした。目標には到底届かない状況であります。
基本的には建築物の所有者の決断と覚悟が必要であり、当該地域の市町が窓口となって推進していくものだと聞いておりますが、この推進状況については少し心配をしております。
この事業は平成27年度までということになっております。せっかくの制度でありますから、緊急輸送道路に指定されている路線の中で、耐震に不安があるのではないかと思われる建築物について、ピンポイントに、積極的に耐震診断や補強、改修工事を勧めるなどの働きかけをもっと積極的にやるべきではないかと思いますが、この状況をどのように認識され、今後どのようにされるおつもりか、質問します。

5 建設業新分野進出支援事業について

この事業は、建設業者の他分野進出による建設産業の活力再生、建設業従事者の就業機会の確保を目的として、平成22年度から始められた事業であります。正直な感想を言うと、こういう事業があったのかと驚きました。現在では、建設人材の不足で入札不調になるなど、建設業界は大変活発でありますから、当時この事業を検討されたであろう平成21年度頃の景気はまだ冷え込んでいたんだなあと思い知りました。また、民主党政権時代の、公共事業等の政策転換も影響したのかなあと振り返っておりました。
さて、この建設業新分野進出支援事業ですが、建設業の活力の再生を目指し、農業や林業、漁業、医療・福祉、環境分野に進出する中小企業に、補助対象経費の2分の1以内、限度額50万円を補助されるとなっていますが、平成22年度からの補助実績の推移を見てみますと、平成22年度で10者、平成23年度で8者、平成24年度で10者、平成25年度では2者となっています。平成26年度、本年度ではなんと現在の時点で0ということであります。世相を反映しているということなんでしょうが、補助申請が無い以上、今後のこの事業の存続については、廃止を含めて検討せねばならないのではないかと感じております。
それでは質問します。平成25年度の2者という補助実績を含む、これまでの取組みについてどう評価しておられるか。今後についてはどうお考えなのか、お聞きします。

●企業庁

1 これまでの経営ビジョンと新・経営ビジョンについて

(1)10年間に達成したこと、実現できなかったこと

(2)企業庁のあり方と新たな事業展開

2 地域整備事業の結果について

3 人材の確保と資質向上の取組みについて

全文

決算特別委員会  [ 10月17日(金)企業庁・栗山 雅史委員 ]

1 これまでの経営ビジョンと新・経営ビジョンについて

(1)10年間に達成したこと、実現できなかったこと

本年4月に、平成35年度までの向こう10年の企業庁の目標を設定するビジョンが策定、発表されました。

このビジョンの位置づけは、企業庁事業の方向性を示す最上位の目標とされ、これからの時代の潮流や社会経済情勢の変化を踏まえた中長期的な経営の基本方針、経営目標、事業別の経営方向を定めています。現在までに展開されてきている「地域整備事業」、「水道用水供給事業」、「工業用水道事業」、及び「企業資産運用事業」の4事業については積極的な事業展開と一層の収益向上を図るために目標値を設定されて営業されているところです。

そんな新たなビジョンのもと、これからの10年に向けて走り出しているところだと思いますが、この決算特別委員会は、平成25年度の各事業について審査をするとともに、平成15年に策定された、前の企業庁経営ビジョンで掲げられた 概ね10年の間の目標や方針などについて、どのように取組んでこられたのか、その確認ができる絶好の機会ではないかと思いました。

平成15年に策定された経営ビジョンでは、「成熟社会に対応した企業庁のあり方」という章で基本方向、基本目標、個別目標、経営方針を定められ、「経営基盤の強化方策」という章でマネジメントシステムの確立や収入確保の強化として、各事業についての個別目標を定めるとともに、費用の効率的執行や新規事業の展開などについて言及されています。「簡素で効率的な組織体制の構築」という章では、事業に応じたプロジェクトチームの活用や適正な定員管理、人材の確保と活用などについて触れられています。また、最後に県民への説明責任の確保、透明性の向上、会計制度の見直しについての記述もあります。

色々なことがあった10年だったと思います。決算特別委員会というこの場で、まずはこの10年間の歩みはどうだったのか、総括していただければと思います。

(2)企業庁のあり方と新たな事業展開

この新旧の経営ビジョンに記載されている企業庁のあり方、そしてその役割や経営方向を眺めていると、公営企業としての在り方について、その時代に応じたキーワードが記載されていることがよくわかります。

例えば、平成15年策定のビジョンと本年平成26年に策定されたビジョンに、まず共通して出てくるワードとしては、「生活・産業基盤の確立」、「県土の魅力・活力を高める」、「県民福祉の増進を図る」というものがあり、同時に事業の手法として「民間でできることは民間に任せる」、「選択と集中」というワードがありました。そういったワードは公営企業らしいものであると思いました。

その一方で、平成26年度のビジョンに新たに出てきたワードもあります。いくつかご紹介しますと、「地方分権の推進を踏まえて、市町と協働して事業の展開を図っていく」や、「社会的な課題解決に取り組むソーシャル・イノベーションなどの観点から事業を展開する」、他には「事業の必要性を見直しする」というものです。いずれも今後の企業庁の可能性、存在意義、そして必要性などについて、どうあるべきかと思慮されたことが滲んでいる表現や視点だと感じました。

そして、ビジョンの後半には新たな事業展開の検討という章があり、「健康・環境・観光・教育などの分野の社会課題を収益事業の中で解決する取組みが注目されている」と書かれてあり、事業例として、健康分野ではスポーツ施設や高齢者向けマンション、グループホーム、介護老人福祉施設、観光分野では温泉・宿泊施設などが掲げられています。

私は、企業庁の新たなビジョンや視点に理解をしておりますが、やはり「民間でできることは民間に任せる」ということをベースに、公営企業でしかできないことに意識を置きながら、新たな事業展開を検討していただきたいと思っていますが、現在はどのような観点でお考えでしょうか。ご所見をお聞きします。

2 地域整備事業の結果について

企業庁が取り組む4事業については、概ね順調に推移されていると高い評価をしているところです。しかしながら、地域整備事業についてはこれまでの事業の進捗について少し確認しておかなければならないと感じています。

平成25年度の経営評価の資料を見させていただきました。この地域整備事業だけ、設定された目標を下回る項目が多いという結果となっていました。

例えば、営業収支比率は99.2%で、目標の100%以上を達成できませんでした。これは毎年続いているものであり、根本的に営業収支の内訳をシビアに見直さなければならないのではないかと思いました。また、産業用地等の分譲・定期借地の面積ですが、目標の12.5ha以上に対して10.6hという結果。住宅用地の分譲・定期借地の面積は目標7.6ha以上に対して4.4haという結果。さらに貸付建物(貸店舗等)の入居率は目標92%以上に対して78.9%という結果。住宅の貸付は目標92%以上に対して61.9%という結果。これらに連動した目標になりますが、職員1人あたりの営業収益も、目標95百万円以上に対して81百万円と結果になりました。また、経費削減の取組みとして、工事コストの縮減率を目標6%以上と設定していましたが、1.9%という結果になりました。

事業全体の経営結果としては、受取利息等の営業外収益の確保により経常利益は黒字を確保していますが、営業の全体として、項目別に見てみると寂しい結果となっています。総括のコメントとして、淡路地域や神戸三田国際公園都市の分譲が進まず、また播磨地域の住宅・店舗の貸付が低調であることから思い切った取組みを行う必要がある、とあります。

さまざまに変化する環境の中で、相手あっての商売でもあり、営業的に大変なことは承知しておりますが、さらなる努力と工夫や、人材面での強化、民間とのタイアップ、さらなる情報リソースの確保などが必要だろうということを申し上げなくてはいけません。

そこで、平成25年度の地域整備事業の実施結果と成果について、どのように評価しているか。また今後の見通しと、事業推進についての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

3 人材の確保と資質向上の取組みについて

地域整備事業を中心に、各事業を着実に進めるにあたっては優秀な人材の確保と、職員の資質向上に向けての取り組みが必要なのは言うまでもありません。新旧のビジョンにおいても、人材の確保と資質向上の取り組みについて言及されています。

平成15年の経営ビジョンには、「人材の確保と活用」の項目に、「民間からの人材の登用」とあります。専門的な知識を必要とする場合は、アドバイザーや職員として外部から登用をする、あるいは銀行・商社、住宅関連業界等からのUターン職員を優先的に配属すると記載されていますが、実際に平成15年度からの10年の間に、今申し上げたようなことはどの程度実現していたのでしょうか。

また、「職員の資質向上」の項目に、「民間企業との交流」とあり、民間の経営手法やコスト意識の習熟等を目的として、商社や住宅販売会社等へ派遣する「民間会社への派遣研修制度」の積極的な運用や、企業庁関係課に、民間からの研修生を受け入れる制度の導入を検討するとありますが、これらもどの程度実現したのでしょうか。聞くところによると、「民間会社への派遣研修制度」は平成18年を最後に実施できていないと聞いています。

さらには新ビジョンにおいても、民間企業等における実務体験を通じて、民間コスト意識や知識・技能を習得する「民間企業等派遣研修」などを実施し、職員の総合的な資質の向上を図り、公営企業としてのコスト意識の涵養、経営マインドを持った人材を育成するとありますが、本当に実現できるのか疑問視していますが、人材の確保と資質向上の取組みについてどのようにお考えか、質問します。

栗山 雅史
西宮市

迎山 志保議員

●財政状況

1 個人県民税の未収対策について

(1)市町の徴収率向上へ向けた取り組みについて

(2)徴収ノウハウ等の共有化による回収業務効率化について

2 納税しやすい環境づくりについて

全文

決算特別委員会  [ 10月7日(火)財政状況・迎山 志保委員 ]

1 個人県民税の未収対策について

(1)市町の徴収率向上へ向けた取り組みについて

県税収入の約4割は個人県民税で、未収額でみると、全体の約8割を占める。この税目の確実な回収及び滞納整理は県財政にとって重要である。25年度の実績で見ると、徴収率は94.1%であり、主な税目の中では92.9%の不動産取得税に次いで低い。

その個人県民税は、市町が市町村民税とセットで徴収している。すなわち市町の徴収率がイコール県民税の徴収率となり、そこにはバラつきがでてくる。そこでお聞きする。

①昨年度の徴収率の上下それぞれ3市町はどこか。また、最も徴収率が高い市町と、低い市町では徴収率に何ポイントの差があるのか。さらに、徴収率の高い市町、低い市町は過去数年にわたり同じ市町か。

②そうであれば理由があるはずで、分析や下位市町への重点取り組みが必要になると考えるが、現状認識はどうか。

(2)徴収ノウハウ等の共有化による回収業務効率化について

整理回収チームは、平成19年から導入され、昨年度は25市町に派遣されている。回収チームの実績は、処理済みの人数が1,159人、金額ベースでは35億円、うち現金での徴収額は7.5億円、人件費が約3,900万円と聞いている。

①その費用対効果をどう分析しているか。また、チームのノウハウは派遣された市町に蓄積されるようになっていて、派遣先市町の徴収率が上がるなどの効果はあったか。

②共有化という観点でいうと、都市部・郡部別等、地域や属性によって有効な徴収方法が異なる場合があると考えられるので、県でそれを分析し、市町とある程度共有していく必要があるのではないかと思う。その作業をベースに滞納整理事務の分野で広域化・共同化が検討できるのではないかと考えるからである。長野県では地方税滞納整理機構という広域連合組織をつくって業務の共同化を行って実績を上げている。兵庫県でも導入を検討する余地があるのではないか。

2 納税しやすい環境づくりについて

滞納整理と併せて必要なのが未然防止の観点である。啓発はもちろん特別徴収率向上に向けた訪問活動などは意味がある。また新税務システムも稼働し、コンビニ収納・ネットバンキングの対象を全税目に広げるなど納税しやすい環境づくりは整いつつある。

そこで、以前から検討されているクレジット収納についての現状認識についてお聞きする。

●企画県民部②

1 災害等緊急時における職員の対応について

(1)淡路島地震における職員の初動態勢とその評価)

(2)年間を通じた迅速な初動体制の確保方策

2 フェニックス共済の加入促進について

(1)加入促進の取り組み改善

(2)金融機関との連携

3 自主防災組織の訓練に対する県の補助事業について

4 公用車の効率的な管理・運用について

全文

決算特別委員会  [ 10月8日(水)企画県民部②・迎山 志保委員 ]

1 災害等緊急時における職員の対応について

最近、災害が相次いでいるが、先日ニュースを見ていると、大阪府監査委員が府に対して、大規模災害が起きた際、労働委員会や議会事務局など5部署約160人について、役割が定められていないとして改善要求をしていた。府の担当課室は、法律で求められている対策との関連がない部署については明確な規定をしていなかったが、貴重な戦力であるので今後見直すとコメントしていた。翻って兵庫はどうなのか、まだ記憶に新しい昨年4月13日の早朝に発生した淡路島地震の時の状況を参考に伺いたい。

(1)淡路島地震における職員の初動態勢とその評価

地震発生時、職員の参集状況など初動態勢はどうだったのか、また、それを県としてどう評価しているのか伺う。

 (2)年間を通じた迅速な初動体制の確保方策

淡路島地震は4月前半という大きな人事異動間もない時期だったため、所属毎に作成する災害時等職員行動マニュアルの整備や職員への周知が十分に出来ていなかったところもあると聞いている。

淡路島地震を踏まえ、年度をまたいで切れ目のない初動体制をどう維持するのか、実効性あるマニュアルの内容の充実、職員への周知等について、どのように取り組んでいるのか伺う。

2 フェニックス共済の加入促進について

平成17年に創設した「共助」の仕組みであるフェニックス共済について、加入者の推移を見てみると着実に増加はしているが、ここ3、4年は頭打ち状態である。途中家財再建制度を創設したり、淡路島地震を機に特約制度を設けるなど工夫を重ねているが、目標の加入率15%にはまだまだ及ばず26年3月末時点で加入率は9.0%で、昨年度1年間の伸びは率にして0.2%であった。この調子で行くと目標達成には単純計算であとまだ30年近くかかることになる。

伸び悩みの理由は大きく2つあると考えられ、その存在・内容を知らないケースと誤解しているケースである。その誤解しているケースに注目して、周囲からヒヤリングをすると、よくあるケースとして、①地震保険と区別がついていない、②そもそも半壊の定義を理解していない、③賃貸住宅入居者には関係ないと認識していることなどが挙げられる。そこでお伺いする。

(1)加入促進の取り組み改善

これらの誤解を解くという意味で加入促進の仕方に改善の余地があるのではないかと考えるが、所見を伺う。

(2)金融機関との連携

新たな加入促進方策の可能性として、銀行等における住宅ローン融資手続きなどの際に、フェニックス共済のパンフレットを手渡してもらうなど踏み込んだ連携を図ることができるのではないかと考えるが、民間の金融機関との連携の現状及び今後の取り組みを深める可能性について伺う。

3 自主防災組織の訓練に対する県の補助事業について

昨年度からの新規事業である「自主防災組織避難訓練等補助事業」は100件200万円の予算枠で事業実施されたが、採択実績並びに今年度の申請等の状況はどうなっているか、また、それらについて県としてどのように評価しているか伺う。

4 公用車の効率的な管理・運用について

昨年度、またそれ以前のものも含めて監査報告書を拝見していると、自損事故の報告未済や天然ガス車・マニュアル車の使用率の低さなど公用車関係の指摘が目についた。公用車をめぐっては低公害車等導入指針に基づきその車種について適正な見直しが行われたり、リースを導入したりして効率的な運用が図られていると聞いている。また、県民局単位では部局横断的に公用車の弾力的運用に取り組んでいると聞いている。そこで、現在進められている効率化の内容とそれに伴う稼働率の変化などの実績について伺う。

●公安委員会

1 ひき逃げ事件の捜査について

(1)ひき逃げ事件の検挙率と発生実態について

(2)検挙率向上のための取組について

2 駐車禁止除外指定車標章の不正使用について

3 子どもを犯罪被害から守る取組の推進について

(1)児童虐待の早期発見と迅速な対応の推進について

(2)子どもを性犯罪等の被害から守る先制・予防的活動の取組と成果について

全文

決算特別委員会  [ 10月10日(金)公安委員会・迎山 志保委員 ]

1 ひき逃げ事件の捜査について

(1)ひき逃げ事件の検挙率と発生実態について

ひき逃げ事故は、卑怯で卑劣な犯罪であると思う。兵庫県におけるひき逃げ事件に関するデータで、ひとつ残念なデータがある。それは、ひき逃げ事件の検挙率の低さである。確認したところによると、平成25年中の兵庫県のひき逃げ事故の検挙率は、約35パーセントで、全国平均の約50パーセントを大きく下回っている。ちなみに、大阪府は約47パーセント、京都府は約42パーセントであり、兵庫県の検挙率が非常に低くなっている。この要因は何なのか、兵庫県内のひき逃げ事件発生件数が多いことが原因で検挙率が低くなっているのか、検挙件数が少ないため検挙率が低いのか。まず、兵庫県における、ひき逃げ事件の発生実態を受け、分析していることと思うので、その分析状況について伺いたい。

(2)検挙率向上のための取組について

ひき逃げ事件でも、特に軽傷のひき逃げ事件については、事故現場に残る痕跡や遺留物などが少ないと聞く。そのため、軽傷のひき逃げ事件は検挙率が低迷してしまうのであろうが、少ない証拠物でも、被害者のため犯人を検挙してほしい。本年4月に、科学捜査支援センターが運用開始になり、防犯カメラの画像解析など、わずかな情報から犯人の特定が可能になったのではないかと期待している。本会議、また決算でも取り上げられたが、防犯カメラの設置がさらに進めば、事故の発生状況を撮影できなくても、事故の前後に走行する犯人の車両が確認できたりする。また、交差点に設置されている、交通事故自動記録装置を増やすことで事故発生現場の映像を確保できるチャンスも増える。最近では、バスやタクシーなど公共交通機関の自動車には、ドライブレコーダーを搭載していることも多いと聞く。近年はこのような映像をはじめとした事件証拠品の確保の可能性が拡がっていると考えるが、この点を踏まえ、県警察として、今後のひき逃げ事件検挙率向上のための取組、又は、意気込みについて伺いたい。

2 駐車禁止除外指定車標章の不正使用について

駐車禁止除外指定車標章の不正使用が急増しているという記事に触れた。今年、兵庫県内の取り締まり件数は6月末時点で141件。昨年1年間の167件に迫るペースで推移していると聞いている。県警も問題意識を持って取り組んで頂いているのだと理解する。私も標章を車内に置き駅前やイベント時に長時間駐車している車や、特に休日の繁華街でよく目にしている。駐車禁止除外指定車標章は、体の不自由な方など県内約6万人が交付を受け利用しているものであるが、この不正使用が横行するのはどういうわけか。標章の交付を受けた方が貸しているのか、悪意のある人が標章を盗んだり、勝手に持ってきて我がもの顔で使っているのか、いずれにしても、通常の自動車利用者にとっては、不公平感を拭い去れない事実であると思う。私は、この不正使用を少しでも防ぐことができ、盗難被害も防止できるように、駐車禁止除外指定車標章に、例えば交付者の顔写真など、交付を受けた方がすぐにわかるような措置を新たに加えてはどうかと考えているが、抑止力強化の観点で当局の所見を伺う。

3 子どもを犯罪被害から守る取組の推進について

(1)児童虐待の早期発見と迅速な対応の推進について

今年のはじめに、県警察と神戸市が児童虐待事案について連携する協定が結ばれた。児童虐待は潜在性があり、近所を含めて外部から容易に発見できるものではないし、通報チャネルなどを増やしてはいるものの、迅速に適切な対応をするのは難しい。県及び市町の子どもに関係する情報を持つ機関と県警察が連携し、児童虐待などについての情報交換・共有を行い、事態が深刻化する前に対処していくことが、被害児童にとって望まれることで、まさに、「情報で子どもを犯罪被害から守る活動」ではないかと思う。現在、こういった協定は、県と県警察、それと神戸市と県警察との2つであったかと思うが、私の地元である加古川市をはじめ、市町と県警察との連携はどうなのか気になるところである。そこで、この児童虐待に係る県及び神戸市と県警察との連携協定の効果と今後のより充実した施策展開について伺いたい。

(2)子どもを性犯罪等の被害から守る先制・予防的活動の取組と成果について

警察では、子ども対象・暴力的性犯罪の再犯防止措置制度のほか、子どもや女性を対象とする性犯罪等の前兆と見られる声かけやつきまとい等について、情報収集・分析を行い、行為者を特定して検挙又は警告措置を実施していると聞いているが、これも「情報で子どもを守る取組」である。こういった取組が充実し、子どもが性犯罪の被害だけでなく、広く犯罪被害から守る取組を県警察としてさらに推進してほしいと考えている。

そこで、これまでの先制・予防的活動の取組状況と、その成果について伺いたい。

●農政環境部

1 地震に備えた治山対策について

2 県産農畜水産物の学校給食利用促進について

(1)学校給食における県産県消の取り組みの推進

(2)米飯給食の促進について

3 女性農業者への支援について

4 食品表示信頼確保対策事業の取り組み状況と実効性担保について

(1)調査店舗数減少の原因及び問題点

(2)実効性の担保

全文

決算特別委員会  [ 10月14日(火)農政環境部・迎山 志保委員 ]

1 地震に備えた治山対策について

この夏も大きな災害が続発したが、私たちに降りかかる自然災害は大規模化・多様化しているように思う。水害については、降雨に関するコンピューターの解析性能が飛躍的に高くなったこともあって予測精度も向上しているが、地震についてはまだまだ予知が困難な状況にある。兵庫西端から加西市、三木市まで延びている山崎断層帯による直下型地震の30年以内の発生率は、南海トラフと比較すると低いものの、国内における主な活断層の中では、やや高いグループに位置付けられている。山﨑断層帯は、長さが約79kmと長くまたその脆弱な地質から、予想されるマグニチュードが7.3と非常に高いものとなっているうえ、草谷断層もあることから、連動して地震が発生すると広範囲にわたる被害発生が懸念されるところである。

県では、地震に特化した工法で治山対策も進めているが、淡路島地震における施工地の検証と今後の取り組みについて伺う。

 2 県産農畜水産物の学校給食利用促進について

(1)学校給食における県産県消の取り組みの推進

平成24年度、農政環境常任委員会は重要テーマを設定し一つの提言を行った。農を取り巻く状況が厳しい中、力強く持続可能な農林水産業を実現するためには「県内の消費者と生産者がともに支え合う関係」の構築こそが大切であるとして中長期的に県産品への関心を持つ消費者を育てることを目指した「学校給食における農林水産物の県産県消の推進」である。

この提言を受け、昨年度「学校給食園」の設置などを予算化いただいたが、その取り組み状況と課題、及び今後の方向性について伺う。

(2)米飯給食の促進について

私は以前、朝食は手軽なパンを食べることが多かったが、県主催のごはんを食べようイベントに参加し、保田茂先生の半ば脅しのようなスパルタ講話を伺ったのを機にご飯に切り替えた。何となく面倒だと思っていたご飯も習慣化すると何のことはなく、今やすっかり朝はご飯党である。

しかし、実際多くの子育て家庭に話を聞くと、朝食はほぼパン、そして夕食も麺で済ませていたりする。何とか1日1回は子どもたちにご飯を食べさせたい、その思いから質問する。

1週間のうち、米飯給食は何回提供され、そのうち県産米の割合はどれほどか。また、県産米による米飯給食の推進にあたり、課題は何かを伺う。

 3 女性農業者への支援について

農業において担い手不足は深刻であり、将来の主戦力を確保するために就農スタートアップ支援事業を始め、県では意欲ある多様な担い手育成対策を進めている。中でも私が注目しているのは女性農業者・経営者である。女性の農業従事者といえばイコール「農家の嫁」であったかと思うが、近年別の動きが出てきている。私は兵庫の農の光明だと思っているのだが、非農家・農家出身問わず女性農業経営者の存在、芽吹きである。国でも農業女子プロジェクトがスタートし、民間企業も巻き込んだ面白い動きが出てきている。女性が農を職業に選ぶ時、総じてポジティブであり「やりたい農業」があるようだ。昨年にはひょうごアグリプリンセスの会も設立され、女性農業者のネットワークも構築されつつある。

現在、県における女性農業者の状況と、継続的に経営発展していくために必要だと認識されていること、またサポートについて伺う。

4 食品表示信頼確保対策事業の取り組み状況と実効性担保について

昨年高級ホテルによる食品の産地偽装表示が明るみになったほか、今年は中国産冷凍食品の使用期限の偽装が発覚するなど、食品表示の信頼を危うくする事態がたびたび起こっている。私たち消費者はその都度危機感は持つものの、時間の経過とともに、問題意識を薄れさせがちである。しかし、食品は、私たちの口から入り、私たちの一部となるもの。食品が表示どおり安全・安心なものであるということが当然求められる。

それを担保するため、県では職員による店頭での指導・監視を実施している。昨年度は

573の店舗で調査し、店頭の80%以上の商品で適切な表示をしている店が94.1%と聞いている。この数字は、年々上昇しており、23年度は80.2%、24年度は82.8%だったということで、県の取り組みなどにより店の意識が向上していると言える。しかし、気になるのは、調査店舗数が23年度は、1,116であったのに対し、24年度は944、25年度は583と、2年前のほぼ半分になっていることである。

(1)調査店舗数減少の原因及び問題点

この調査店舗数の減少の原因は何か、またそのことによって、何か問題が生じたかを伺う。

(2)実効性の担保

先に申し上げたとおり、食の安全安心は、絶対に守らなければいけない問題である。

年度あたりの調査店舗数の減少により、同じ店舗で行う次の調査までのスパンが長くなることで、行政による抑止力効果や、店側の緊張感の低下にもつながりかねない。調査をする以上は、実効性の担保こそが最も大切だと考えるが、どのような認識かを伺う。

●教育委員会

1 メディアリテラシー教育について

2 不登校対策について

3 運動部活動のあり方について

4 奨学金の滞納対策について

(1)現在の滞納発生状況

(2)滞納の初期対応と未然抑止対策

全文

決算特別委員会  [ 10月16日(木)教育委員会・迎山 志保委員 ]

1 メディアリテラシー教育について

文部科学省が今年公表した全国学力・学習状況調査の分析結果でネットの利用時間と成績に相関性があることが浮き彫りになった。県の調査結果を拝見すると、およそ半分の中学生が平日1時間以上、携帯やスマートフォンなどのメディアに触れ、4時間以上と答えた中学生も10%を超えている。過度なネット利用は視力低下や夜更かしによる生活リズムの乱れなど、成長期の子供の身体への影響も深刻であり看過できない上、ネットトラブルや犯罪に巻き込まれる危険性もはらんでいる。

一方、県はICT教育も推進する立場にある。今の時代、ICTと生活は切っても切り離せない。そこで県ではどのようにICTメディアリテラシー教育を進めているのか、所見を伺う。

2 不登校対策について

不登校の児童・生徒数は全国的に増加しており、文部科学省が8月に発表した学校基本調査によると、平成25年度の不登校児童・生徒数は24年度に比べて、7,000人増加していることが判明した。昨年度、兵庫県においては、県内小学生304,052人のうち、長期欠席児童数は2,722人であり、そのうち不登校を理由とする児童は827人にのぼった。中学生では161,171人のうち、長期欠席生徒数6,682人で、そのうち不登校を理由とする生徒は4,231人であり、24年度と比較して、小学生は約50人、中学生では約80人の増となっている。県の「心の教育総合センター」におけるひょうごっ子悩み相談の件数をみても前年度比1割以上増えている。

不登校児童・生徒の急増の理由について、文部科学省は見解を示していない。不登校の増加については、複雑な事情が絡み特定は難しい。いじめによる自殺や体罰自殺事件などの報道に接し、子どもの安全のため不登校を容認する保護者が増えたことが原因の一つと見る向きもある。県では、県立但馬やまびこの郷を核にしたサテライト事業や相談事業も拡充し、また、スクールソーシャルワーカーの配置なども進め積極的に対策に取り組んでおられる。しかし結果を伴うのが難しい現実がある。不登校の原因分析や明確な対策が見つからない中にあって、不登校の生徒を減らすという観点一つでは限界にきているのかもしれない。

そういう意味では学校外での居場所、育ちの応援もしていかないといけないのかと思う。健康福祉部青少年課では居場所としてフリースクールが紹介されているが、学校現場では市町の判断、また校長の差配によりフリースクールへの考え方や出席認定の扱いが異なると聞いている。教育委員会としては不登校を取り巻く現状をどう認識し、フリースクールなど一条校以外の育ちの場についてどのように位置づけられているのかを伺う。

3 運動部活動のあり方について

大阪の市立高校で起きた体罰による自殺事件がきっかけとなり、全国的に部活動のあり方について協議・検討がすすめられた。また、東京都杉並区や大阪市では、運動部の指導で外部委託を始めたり、導入を検討したりと新たな取り組みを進めるなど、従来の運動部活動のあり方が見直されつつある。兵庫県でも昨年、運動部活動活性化委員会が設置され、部活動のあり方について協議されたと伺っている。委員会ではどのようなことが課題とされ、またその課題に対し、どのような方向性を打ち出しているのかを伺う。

4 奨学金の滞納対策について

(1)現在の滞納発生状況

奨学金の滞納が社会問題化している。25年度からは新たにサービサー(債権回収業者)に回収を委託する事業を始められたが、その事業開始のきっかけともなった、現在の滞納発生状況及び回収委託業務の実績について伺う。あわせて、滞納が最もさかのぼるケース、額が大きいケース、数としては少ないとは思うが、悪質なケースのそれぞれについて、内容をご教示いただくとともに、滞納が起こる背景をどう分析されているのか伺う。

(2)滞納の初期対応と未然抑止対策

滞納は長期化するほどに異動を追うのが難しくなるなど困難案件となる。初期対応が重要なのはいうまでもない。また未然防止策も必要で、貸付時に奨学金の理念、つまり自分が借りた奨学金をきっちりと返済することによって、次の人が奨学金を借りることができるというシステムをしっかり理解してもらうことや、返済にあたり、月々の手取りのうち、いくらを返済にあてていくのかできるかなどのシミュレーションも具体的に提示することで、返済に現実感をもってもらうのは効果的と考える。滞納の初期対応と、貸付時や返済開始時に返済への意識付けをどのように行っているのかを伺う。

迎山 志保
加古川市

藤井 訓博議員

●企画県民部②

1 東日本被災地への職員の派遣について

(1)派遣職員の現状について

(2)今後の方針について

2 職員の給与抑制措置について

(1)給与抑制措置等に対する考え方について

(2)段階的縮小等給与の改定に関する今後の方針について

3 競馬事業の振興について

(1)競馬事業の経営状況について

(2)競馬事業における自主財源確保の取組みについて

全文

決算特別委員会  [ 10月8日(水)企画県民部②・藤井 訓博委員 ]

1 東日本被災地への職員の派遣について

(1)派遣職員の現状について

東日本大震災からの復旧・復興を支援するため、阪神・淡路大震災からの創造的復興を果たした本県からの、職員の被災地への中長期の応援派遣を平成23年6月から行っており、派遣自治体からは大いに感謝されていると聞くし、大きな意義もあると認識している。

その一方で、県職員は本県においても頻発する豪雨に伴う災害に対応しなくてはならない現状や、行革による職員削減の現状等を考慮すると、発生から年度末で3年が経過する東日本大震災被災地への職員派遣を、質・量ともに見直す時期に来ているのではないかと考える。

現状では、社会基盤復旧のためか総合土木職を中心に昨年、一昨年と20名以上、今年度も20名が派遣されている。

そこで、まず、現在、どのような部門に職員を派遣しているか、震災の被災地でのどのような業務に従事しているのか、現地の要請はいかなるものかなど、東日本大震災被災地への派遣職員の総体的な現状について伺う。

(2)今後の方針について

東日本大震災発生の翌年度から継続して10名以上もの職員が派遣されている現状に加えて、平成25年度からは、東日本大震災の被災地に派遣するための任期付職員を採用している。

第3次行革プランにより、一般行政部門等の定員は、平成30年度までに平成19年度比で概ね30%の削減を行うこととなっており、今後も30年度までに残り8%の削減が見込まれている。加えて、非常勤職員等についても、平成26年度から30年度までの間に概ね1割の削減を行うとしている。

業務現場の現状は、行革による事務所の統廃合で所管区域が広くなったり、先程も述べたが、頻発する豪雨に伴う災害への対応等、業務量が増大し、職員への負担が増すばかりであり、本県における行政サービスの確保に支障が出てきていると言わざるを得ない。

三六協定による超勤を大きく超える職員がいまだに多くいるほか、今年の丹波での豪雨災害対応に当たっては、佐用での災害復旧がまだ収束していない中、一部職員を光都土木から丹波土木にシフトさせたと聞いている。このように、県内における本来業務がギリギリの人員で対応している現状を見るとき、被災地への正規職員の派遣の縮小や、支援の内容を、本県からの派遣は阪神・淡路大震災からの復興のノウハウを持った震災復興業務経験者などの専門家・OBとするほか、人的派遣からソフト面での支援に移行させるなど、支援の「質」や内容を見直す時期に来ていると考える。

そこで、東日本大震災被災地への職員派遣について、終了時期も含め、今後の方針について伺う。

2 職員の給与抑制措置について

(1)給与抑制措置等に対する考え方について

この質問については、これまで幾度となくさせていただき、当局もよく理解いただいていると思う。12月定例会において、来年度の抑制措置が決定されることから、再度、質問させていただく。

職員・教員・警察官の給与抑制措置については、本年9月に開催された有識者を代表する「行革審議会」における意見書、各種団体を代表する「行革県民会議」における意見、県民の代表、代弁者である議員で構成する「行財政構造改革調査特別委員会」における報告においても、表現は違っても、一刻も早く、職員等のモチベーションを保つためにも、この抑制措置は解消すべきと、ここ数年にわたって述べられている。

そこで、ここ数年にわたる各界・各層の意見書・意見等をこれまでどのように受け止められ、また給与抑制措置解消に向け、どのように反映させたのかを伺う。

(2)段階的縮小等給与の改定に関する今後の方針について

第3次行革プランでは、「給与抑制措置については、段階的に縮小していく」とされたところであり、年内には、この抑制措置解消に向けての「段階的縮小」の内容が具体的に示されるものと考える。

「段階的」というのは、年次ごとの抑制額での段階的解消、あるいは役職別対応、あるいは職種別対応等が考えられるが、当局として給与等の抑制措置の段階的縮小・解消に関して、平成30年度に向けての方針を伺う。

3 競馬事業の振興について

(1)競馬事業の経営状況について

兵庫県競馬組合は、平成22年度決算において5億5千万円もの赤字を計上したことから、平成26年度が、競馬事業活性化委員会が策定した「競馬事業の活性化に関する報告書」で定められた、単年度赤字発生年度から5年間の存廃見極め期間の最終年度になっている。

先の報告書では、存廃見極め5年間の単年度収支累積額が黒字の場合は存続するが、赤字の場合には必要に応じて第三者機関を設置し、措置を検討すると定められている。

そんな中にあって、地方競馬を取り巻く環境は長らく厳しい状況が続きいていたが、ナイター競馬の取り組みなど様々なファン確保に向けた取り組みも行い、ようやく明るい兆しが見えてきたと聞いている。

そこで、兵庫県競馬組合の平成25年度決算状況と、存廃見極め5年間の累積収支見通しについて伺いたい。

(2)競馬事業における自主財源確保の取組みについて

園田・姫路競馬場は地域に根ざした競馬場として、1,000人を超える地元の方々の雇用や、また県民のレクレーションの場として、存在意義は大きなものがある。先日も視察に行ったところ、お年寄りの方々が団体で車座になって、本当に和気あいあいと楽しんでいる場面にでくわし、また、若い人のファンも増えているように感じた。そこで、県民に身近で親しみやすい競馬場として存続するためにも、自主財源確保の取り組みを提案したい。

園田競馬、姫路競馬における特別レース以外のレース、平場レース、すなわち週3日間開催で、一週間で24レース、月には約100レースが行われ、それを対象とした個人及び企業協賛レースの導入である。1レース利用料が10万円としても、年間にすればかなりの収入となると考える。類似の取り組みとして、県では、県立施設や県立都市公園、横断歩道橋などで導入されている命名権があり、また、各地の地方公営競馬においても、ナイター競馬の取り組みなど様々なファン確保に向けた取り組みに加え、金沢や名古屋の地方競馬でもこの個人及び企業協賛レースが導入されていると聞く。このように、個人及び企業協賛レースの導入は自主財源確保の観点に加えて、ファン拡大の意味でも効果があるのではないかと考える。

そこで、本県の競馬事業に競馬レースへの個人及び企業協賛レースの導入について所見を伺う。

●健康福祉部

1 自殺対策について

(1)効果的な取り組みについて

(2)市町との連携について

(3)個別の動機、原因の解明について

2 動物愛護への取り組みについて

(1)動物愛護管理推進計画について

(2)近隣府県市等の他の関係諸機関との連携について

3 男女共同参画について

全文

決算特別委員会  [ 10月9日(木)健康福祉部・藤井 訓博委員 ]

1 自殺対策について

(1)効果的な取り組みについて

兵庫県における自殺者死亡者数が、1,300人台という高止まりしていた状況から、一昨年1,300人を大きく下回り1,225人となり、昨年はさらに減少し、1,180人と、3年で約250人も減少した。

これまでの県の自殺防止対策がようやく実を結んできたことに間違いないと確信するとともに、自殺は社会的要因で追い込まれた末に起因するものがほとんどであり、社会が適切に介入し、適切な支援につなぐことができれば、避けることが可能な死であり、「自殺は予防できる」との認識が広まってきていると考える。

しかし、3年後に控えた2016年度の兵庫県における自殺者数を1,000人以下に抑え込むという目標達成には、この成果の要因となった取り組みをしっかりと分析して、全県展開するなどの方策が必要と考える。

例えば、宍粟市では、自殺死亡率が全県平均より高いという現状の中、病院や自助グループとの連携のもと、個別調査に加え、アルコール・うつと自殺を関連づけて相談事業や普及啓発事業を実施し、大きな効果をあげ、全国的にも注目されていると聞く。

このように、取り組みをより効果的なものとするためには、現状の詳細な把握も重要である。警察との密接な連携により、例えば毎月ごとの自殺死亡者数等をしっかり把握し、県民に広報した上で、県民の理解と協力を得るためにも、よりタイムリーな県民運動につなげる対策を講じていくことが、目標達成に向けたさらなる減少につながると考える。

そこで、効果的な取り組みのためのタイムリーな現状把握の必要性から、今年、現段階での自殺死亡者について現状を把握しているのか、まず、伺う。加えて、県として、この2年間の自殺死亡者の大幅な減少という大きな成果の中で、どのような取り組みが自殺予防に効果が最もあったと分析しているのか、(どう生かそうとしてきたのか)あわせて伺う。

(2)市町との連携について

目標実現に向けたキーポイントは、以前本会議でも述べたが、県民一人一人がゲートキーパーとして、SOSのサインを見逃さない、県民総がかりの体制づくりにかかっていると考える。まずは、住民と直接触れ合う最前線の各県民局において、各市町との連携を積極的に図り、本庁の対策本部、いのち対策室と緊密な双方向の連携のもと、しっかりとした分析の中で、宍粟市の例に見られるように、効果的な取り組みを進めなければならないことは言うまでもない。

特に神戸市については、自殺者数が300人を超え、県下総数の約3割と多数を占めている。対策は、政令市である神戸市が主導するとはいえ、今まで以上に最大限の連携を図り、対策を強化することが特に必要である。このことは、政令市のみならず、中核市における対応も同様である。

とりわけ、県の標榜する平成28年度までに1,000人以下とするという目標が政策課題として政令市等と共有できているのかが重要である。

そこで、市町と連携した取り組み、特に、大きな母数を占める神戸市や姫路市、尼崎市、西宮市の政令市と中核市と、「いのち対策室」、該当各県民局及びセンターとの効果的な連携がどのようになされてきたか伺う。

(3)個別の動機、原因の解明について

本県におけるこの残り3年で1000人以下に抑え込むという成果が達成できたとしても、それを一過性なものとして終わらせるのでなく、あくまでも自殺防止の根本解決につなげる取り組みこそ必要と考える。

かつて、自殺大国と言われたフィンランドでは、私も、調査で伺ったが、国の事業として精神科医をプロジェクトリーダーにおき、多数の心理学的検査を行い、自殺者全員の動機、原因を徹底的に調査することで、自殺予防に有効なターゲットを探り、その対策を行うことで1990年から2007年で約40%も自殺者が減少したと言われている。

そこで、自殺者の大幅な減少傾向にある今、さらに有効な自殺対策を探り、根本解決に近づけるため、今までの取り組みに加え、「いのち対策室」また該当各県民局・センターが協力し、ご遺族等のご理解、ご協力を得た上で、より詳細な個別の動機、原因等の把握にも取り組み、対策をとるべきと考えるがどうか。

2 動物愛護への取り組みについて

(1)動物愛護管理推進計画について

動物愛護の推進については、「殺処分ゼロ」に向けた様々な取り組みが必要との観点で、これまでから予算特別委員会等でとりあげてきた。残念ながら、全国で殺処分される犬、猫は、1年で16,000匹にも達している。

今、全国で1/3の家庭で何らかのペットが飼われ、家族の一員として大切にされている。

そういった中で、平成26年3月に動物愛護管理推進計画が改定された。同計画は今日の動物を取り巻く現状を見つめ、「人と動物が調和し、共生する社会づくり」実現に向けた県の具体的な取り組みを示すものとして、10年計画で5年ごとに改定が行われることとなっている。

そこで、これまでの推進計画から、このたび策定された同計画の主な改定点について、まず伺う。

(2)近隣府県市等の他の関係諸機関との連携について

飼い主不明の犬、猫対応や狂犬病を始めとした共通感染症ついては、動物が移動するという観点から、また、取締・指導については、行政の公平性への配慮を要することから、近隣府県や政令市、中核市との連携が重要となると考える。

その点に関しても、動物愛護管理推進計画において、「連絡調整を図っていく」、「連携の在り方を協議していく」との記載がある。特に本県においては、神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市の政令市、中核市を抱えており、共通感染症の問題や、指導の公平性の課題など、適切な連携が不可欠と考える。

また、捨て犬や捨て猫を生まないためには、動物を大切にし、生命を尊重する意識を育むこと、加えて公園等でのマナー向上なども含めた動物愛護精神の醸成が重要であり、同計画にも記載されているが、学校現場など教育機関と連携した取り組みも不可欠である。

さらに、改定された動物愛護管理推進計画にも記載があるが、悪質な飼い主への対応や、殺傷や虐待、遺棄への対応のほか、保護された飼い主不明の犬や猫の対応などにおいて、警察署との連携が不可欠であることは言うまでもなく、双方からの積極的な連絡調整が重要と考える。

そこで、近隣府県市をはじめ、学校、警察等の関係諸機関との連携について、具体的に課題をどのように認識し、どのような連携を図っていこうとしているのか伺う。

3 男女共同参画について

県では、男女共同参画社会づくりに向けたさまざまな取り組みをより効果的に推進するためには、県自らが男女共同参画のモデル職場となるよう率先して行動することが重要という認識から、男女共同参画兵庫県率先行動計画を平成15年度に策定し、以来、取り組みの評価・検証を繰り返しながら、現在、平成24年度から26年度までの計画として第4次計画を推進中である。

推進に当たっては、「本庁課長相当職以上に占める女性の割合」、「県審議会等における女性委員の割合」、「本庁における女性職員ゼロ課室の解消」、「行政職新規役付職員の女性の割合」など、平成26年度末に向けて様々な数値目標を定めて、その数値目標達成に向けた取り組みを進めている。

そこで、健康福祉部において、男女共同参画社会づくりのモデル職場として掲げた「本庁課長相当職以上に占める女性の割合6.5%以上」、「県審議会等における女性委員の割合35%以上」などの、数値目標の根拠は何か伺う。

●公安委員会

1 駐車監視員制度について

(1)現状と効果について

(2)今後の運用見直し等について

2 警察官採用者の早期退職問題について

(1)原因の把握と分析について

(2)採用試験制度の見直しについて

(3)早期退職者への再チャレンジに向けてのフォローアップについて

全文

決算特別委員会  [ 10月10日(金)公安委員会・藤井 訓博委員 ]

1 駐車監視員制度について

(1)現状と効果について

放置車両の確認等に関する事務を民間委託して行う駐車監視員制度について、2006(平成18年)年6月から運用が開始され、8年が経過した。そこで、まず、この施策を行うに至った当初の目的と制度設計にかかった経費及び現在までのランニングコストについて伺う。また、駐車監視員は、当初の42名から現在112名に増員されているが、駐車監視員の勤務実態もあわせて答弁願う。

違法駐車問題の解消はもとより、犯罪の多様化や凶悪犯罪の増加など、警察全体を巡る課題が山積する中で、警察官の負担をどの程度減少させ、重大事件などに対する警察業務の推進にどの程度効果があったのかはなかなか見えてこない。

そこで、制度導入から8年が経過した今、当初の目的がどの程度達成されていると認識されているのかを伺う。

(2)今後の運用見直し等について

違法駐車の常態化の改善という面での効果については、確かに制度開始当初は、都市部の繁華街から違法駐車が一斉になくなり、明らかに目に見える成果があがっていたと考える。しかし、8年が経過した現状では、例えば三宮、元町近辺などでは運用開始前の状態に戻ってきており、救急車や消防車などの緊急車両の通行にも影響が出ているのではないかと考える。

公務員に準ずる立場から、使命感を持たせるためのさらなる監視員の指導や研修の実施に加え、例えば、時には警察官も同行して取り締まりを行ったり、住民から意見を聞いて、さらに柔軟に取り締まり地域を考えたりすることに加え、監視員の行動時間を24時間体制とすることも考慮してはどうかと考える。

そこで、制度運用開始から8年が経過し、違法駐車の解消に向けた制度の効果が最大限発揮できるよう、取り締まりの現状と課題を踏まえ、運用方法の見直しを検討すべきと考えるがどうか。

2 警察官採用者の早期退職問題について

(1)原因の把握と分析について

兵庫県への警察官採用者の警察学校段階での早期退職については、多くの退職者が出ることで数年前から問題となり、最近の状況としては、昨年度は25%、今年度は15%の新規採用者が中途退職していると聞く。

希望にあふれて採用となった若者が、これだけ多く辞めていく事態について、しっかりとした対策が不可欠であるが、まずはやめた原因の把握と分析が必要である。

そこで、まず、警察官採用者の早期退職に関して、その退職原因の把握と分析の状況について伺う。

(2)採用試験制度の見直しについて

早期退職する警察官が多い一方で、採用試験における倍率は、平成25年度で約7倍と高倍率となっている。そこまでの高倍率の中で選考したにも関わらず、多数の中途退職者が出るのは、選考課程に改良の余地があるのではないかとも感じる。

県警では、若手警察官育成プログラムに基づく各種施策の推進の中で、募集活動を強化し、中国・四国・九州地方及び関東地方も含めた広範な地域で学校訪問活動を行い、広く人材を求めているが、私は、わざわざ県外に出なくても7倍もの倍率の中で不合格となった、受験者の約85%の方々の中にも、すばらしい人材が埋もれていると考えます。15パーセントにものぼる中途退学者が出る現実をみれば、採用試験に改善の余地があるのではと考える。

そこで、これまでの中途退職者の原因分析等を加味した採用試験の見直しについて、県警本部としてどのように考えているのか伺う。

(3)早期退職者への再チャレンジに向けてのフォローアップについて

合格者は、給料をもらい学校に通うことから、中途退職者は実質的に失業者となるわけである。私は、警察官になろうという高い志を持って高い倍率をくぐり抜けた人材でもある早期退職者への、再チャレンジに向けてのフォローアップが必要ではないかと考える。残念ながら、中途退学者の中で再チャレンジした者は、5年間で4人と聞いている。例えば、教職員では採用試験不合格者が臨時教員として働きつつ、試験に再チャレンジし、合格する事例も多くあるし、県職員でも臨時職員や非常勤職員として働きながら、再チャレンジを目指している者も少なくない。また、教職員では、二次試験に不合格となった者は翌年の1次試験を免除して、不合格者への再チャレンジの機会を制度として与えている。警察でも、再チャレンジを何らかの形で支援することができないかと考える。

警察では、あくまで一度くじけた者という整理かもしれないが、一度は警察官を目指した者である。退職時に十分なヒヤリングを行い、退職の理由を十分に見極めた上で、現場に近い環境での勤務を与えるなど、現場感覚や体力を養って再チャレンジすることを促していくことも、フォローアップの一つとして考えられる。

そこで、警察学校段階での早期退職者に対する再チャレンジフォローアップについて、警察の認識について伺う。

●教育委員会

1 高等学校等就学支援金制度の運用状況について

2 子どもの教育の役割分担について

3 多文化共生教育の充実について

(1)日本語指導が必要な児童生徒の現状と支援状況について

(2)県立高校入試における日本語指導が必要な生徒への配慮について

全文

決算特別委員会  [ 10月16日(木)教育委員会・藤井 訓博委員 ]

1 高等学校等就学支援金制度の運用状況について

高等学校等就学支援金については、今年4月から運用が始まり、本年度は新1年生のみが対象ですが、再来年度には全学年まで対象が広がることから、学校現場におかれては、今後の円滑な事務処理に向け、これまでに明らかになった課題を整理する必要があります。

この支援金制度は、課税証明書等が期限までに提出がない場合には、支援が受けられないことにもなりますが、実際に、期限までに申請が出てきていないケースもあったのではないかと危惧します。

申請に当たっては、市町民税決定通知書のコピーを提出できない人については、市役所・町役場で課税証明書を取得のうえ申請しなければならないなど、親の負担が新たに生じる一方で、学校現場においても、事務職員の増員が見込めないなかで、就学支援金の申請に係る事務処理が新たに発生したことにより、事務量の増加が懸念されています。本年度、国が業務補助職員等の事務費にかかる予算をつけることになっていたと思いますが、現時点でどのような具体的な措置がされたのでしょうか。

また、今年2月の定例県議会において、受給権をもつ生徒が支給から漏れることがないようにするために、学校現場においては、生徒のプライバシーや個人情報の保護・管理に加え、未提出の家庭等への丁寧な説明、さらには中途に家計が急変した生徒への対応等が必要であることを申し上げ、当局からもこの点について、丁寧な対応をしていくとの答弁をいただいたところです。

また、生徒本人や生徒の家庭の事情を一番よく分かっているのは、担任教師であることから、担任教師と書類審査・処理を行う学校事務職員の連携が欠かせませんし、制度を円滑に運用していくためにも、毎年、新任の教職員向けの研修や保護者説明会等を開催すること、あわせて中学校側への対策も必要です。

そこで、就学支援金の運用開始以降、何%の生徒達がこの制度の対象になっているのか、また、予想された課題にどのように対応してきたのか、また、新たに見えてきた課題はあるのかについて伺います。

2 子どもの教育の役割分担について

平成24年度における本県のいじめや不登校の問題行動等に対して、県では、これまでから各学校にスクールカウンセラーやキャンパスカウンセラーを配置して、児童生徒、保護者の心の相談にあたるほか、体験教育と道徳教育による豊かな心の育成などさまざまな対応を取られてきました。

これら学校現場における児童生徒や保護者への対応により、一定の効果は上がっていますが、例えば、いじめについては学校内に限らず、地域での生活の中でも見られること、また、パソコン、携帯電話による誹謗中傷などが急増する中、それは見えにくく把握も難しい面が多いため、未然防止・早期発見という点においてまだ十分とは言えない状況です。

現場の教師におかれては問題を解決しようと生徒に向き合い懸命に努力しておられることは承知しているつもりですが、先日の本会議一般質問で我が会派の小池議員が、教師の多忙対策について質問したとおり、また、安福委員の質問にもあったように、現在の教師は、授業以外の仕事にも追われて勤務時間も長いうえに、休日も部活動の指導等でつぶれてしまうような状況下に置かれているのが現状です。これでは、いくら教師がやる気を出して頑張ろうとしても子ども一人ひとりに向き合う時間も余裕もありません。

しかしながら、一方で、いじめの問題と親のしつけ方が関連していることや親子関係をめぐる問題をきっかけとして不登校となるケースもあることを考えると、いじめや不登校という問題行動等は、学校における生活に加え、子ども達にとって、もっとも身近で長時間過ごす家庭や地域生活に起因することも多いのではないかと思います。

それだけに、これらの課題解決をともすればマスコミ報道を含め、多忙な学校現場だけの責任とし、その対応を求める傾向にあることは否めません。子どもの健全な育成には学校・家庭・地域のそれぞれが役割に応じた教育を責任を持ってやっていくことが必要です。例えば、残念ながら、私の経験からも学校が家庭や地域でやらなければならない生活習慣、しつけなど全て抱え込んでいる現状も散見されます。そこで、今一度、家庭、地域での役割はいかにあるべきか、何をなすべきかをしっかり検討する必要があります。

そこで、これまでの取組み状況を踏まえ、いじめや不登校等の問題行動の解決を含めた子どもたちの教育について、学校・家庭・地域の三者の責任ある役割分担をどのように整理し、またどのようにそれを実現させていこうとしているのかを伺います。

3 多文化共生教育の充実について

(1)日本語指導が必要な児童生徒の現状と支援状況について

本格的な人口減少社会を迎え、合わせて経済のグローバル化が急速に進むなか、今後ますます外国人労働者が増えることが予想されています。

現在、本県には約10万人の外国人県民が在住し、また、留学生数も県内の大学・短期大学、専修学校等の在籍者は、10年前に比べて2倍以上になっています。

グローバル化は子どもたちの教育現場においても確実に広がってきており、これまで以上に、民族や国籍を異にする人々と互いに自他の文化習慣、価値観を認め合い、共に生きる心を育成する多文化共生教育の充実が特に必要となってきています。そのためにも、当然、日本語指導等が必要な児童生徒も大幅に増えることが十分考えられることから、その対策は急務となっています。

折しも、今年3月に策定された第2期「ひょうご教育創造プラン」において、教育をめぐる現状と課題の中で、「グローバル化に伴い、民族や国籍を異にする人々と互いに自他の文化や習慣、価値観を認め合い共に生きる心を育成することが課題である」と記述され、基本方針においても「豊かな心」の育成の中で、「共生社会の実現に取り組む実践力を育成する人権教育に取り組む」とも記述されています。

そこで、まず、本県における昨年度の外国籍の児童生徒は何人公立学校に在籍し、そのうち日本語指導が必要な児童生徒はどの程度、在籍していたのかを伺います。

また、外国籍等の子どもが在籍する県下の小学校・中学校での日本語指導も含め、多文化共生教育の推進に当たって、どのような事業を進められ、その成果と課題について伺います。

(2)県立高校入試における日本語指導が必要な生徒への配慮について

国の統計によると、全国の高等学校の進学率は着実に上昇を続け、平成25年度で96.3%となっており、今や中学校を卒業する生徒のほぼ全員が高校へ進学をする「全入時代」、「準義務化」と言ってもいい状況です。本県においても同じような傾向がみられ、25年度で96.2%と非常に高い進学率となっています。

その一方で、様々な状況も考えられますが、昨年度の本県における日本語指導が必要でない生徒の進学率は全日制で90%、定時制・通信制を含めると約96%であるのに対して、日本語指導が必要な生徒の進学率は全日制で30%と極めて低く、定時制・通信制を含めても約87%という状況にあります。このことを見ても、日本に移住してきた外国人の生徒が高校進学を希望しても、日本語による試験が大きな壁となり、やむを得ず進学をあきらめたり、入学試験で致命的なハンディになることも容易に想像できます。

そこで、まず、本県における昨年度の県内公立中学校3年生の外国人在籍者数と高校進学希望者数・合格率を伺います。

また、先にも触れたように、更なる多文化共生教育の充実が求められているなか、国際的な幅広い視野を身につけるためにもこういった外国籍の児童生徒と一緒に学ぶことのメリットは大きく、他府県では、入学後の国際理解学習の推進などをはじめ、外国籍の生徒を生かした特色ある学習カリキュラムを設けて、大きな成果をあげているとも聞いています。

県では、日本語指導が必要な児童生徒が県立高校を受験する場合、本県における特別措置として、考査時間延長やルビ振りをしていますが、生徒達の進学への願いと比べ、進学率の低さを見れば対応は十分とは思えません。

そこで、本県において、ひょうご教育創造プランにもうたわれているように、これら外国籍の生徒と一緒に学ぶことの意義や効果をあげるためにも、県立高校入試において、彼らの思いが叶えられる受験時の更なる配慮について必要であると考えますが、当局の所見を伺います。

●総括審査

1 職員の給与抑制措置について

(1)人事委員会勧告及び報告について

(2)段階的縮小への今後の具体的方針について

2 地域の夢推進事業費について

3 子供の安全確保について

4 男女共同参画について

5 土砂災害等の防止について

6 兵庫型「体験教育」のあり方について

全文

決算特別委員会  [ 10月20日(月)総括・藤井 訓博委員 ]

1 職員の給与抑制措置について

(1)人事委員会勧告及び報告について

人事委員会は、約52,000人に及ぶ職員の給与等に関する制度を常に研究し、その成果を議会及び知事に提出する、また、講ずべき措置の勧告などを行い、任命権者から独立した中立的な立場から人事行政に関する事務を公正に処理する機関であります。その観点からすれば、当然、本県独自の給与抑制措置を加味した公民格差を比較し、均衡を図るような勧告を出すべきものと私は考えます。仮に本県における厳しい財政状況の中、行革で給与の抑制措置を行っているからと言って、人事委員会の責務・存置の観点から、行革推進中の本県であっても、当局の方針に沿った報告及び勧告を行うことはあってはならないし、今までもなかったと確信しているところであります。

そこで、勧告を直前に控える中、県条例で決められた行革による給与抑制措置のもと、給与額が決められている中、公務員給与と民間給与を比較し、正しい数字を示すとともに、その是正を図らせることこそ本来の人事委員会の役割だと思いますが、今年の人事委員会勧告の考え方についてお伺いします。

(2)段階的縮小への今後の具体的方針について

部局審査でも述べましたが、職員・教員・警察官の給与抑制措置については、本年9月に開催された有識者を代表する「行革審議会」における意見書、各種団体を代表する「行革県民会議」における意見、県民の代表、代弁者である議員で構成する「行財政構造改革調査特別委員会」における報告においても、表現は違っても、職員等のモチベーションを保ち、職員の生活に与える影響を考えたとき、この抑制措置は一刻も早く解消すべきと、ここ数年にわたって述べられています。

また、部局審査における部長答弁でも、先の見通しも含めて概略さえ示されず、いくら今後とも職員等のモチベーションを保つ施策を行うと述べられても、先の見えない抑制措置に、職員は半信半疑で将来にわたる自身・家族等の生活設計も描けず、モチベーションの低下はまぬがれないと考えます。

具体的には、年間約110億円の抑制措置をいかに段階的に解消していくのかということになりますが、来年度に向けた抑制措置が近々示されるという状況の中、第3次行革プランで「段階的縮小」という踏み込んだ表現が示されたことに伴い、今年の対応こそが抑制措置の今後の終局を見通せる方針とならなければならないし、するべきだと考えます。今まで頑張ってこられた特別職及び管理職を含めて、一般職員のためにも、今年こそ抑制措置の終局を見据えた「段階的縮小」の方策も含めた具体的な方針を示すべきと考えますが、知事の考えをお伺いします。

2 地域の夢推進事業費について

今年度からふるさとづくり推進費と、成果を継承し名称変更がされた地域の夢推進事業費について伺います。

地域の夢推進事業費については、平成14年度から各県民局に措置されてきた地域戦略推進費に変わり、平成23年度より地域の多様な課題に対応して、ビジョンの実現や地域の元気創出を図る予算として、各県民局に措置されてきました。

そういう中で、企画県民部審査で岸口議員からも指摘しましたが、平成25年度に各県民局で地域の夢推進事業費を活用して実施された事業を見てみますと、必ずしも全てが地域の多様な課題に対応した事業ばかりに使われているわけではなく、一般会計予算の延長・補填のような事業、公共事業で行うべきハード事業に使われていることも散見されます。

確かに地域における課題は、ソフトからハードまで、大きな課題から小さな課題まで多種多様であり、それらの課題に対し現地解決型総合事務所の機能を発揮し、きめ細かく対応していこうとすれば、アプローチも様々となることも一定仕方ないと思いますが、各県民局を横並びで見たときに、県民局の独自性という観点からも疑問を感じざるを得ない事業や単なる予算不足を補充しているだけのような用途の事業が見られますなど、この事業の決算審査を行うにあたって、問題提起しておかなくてはならないと考えます。

各県民局間の情報共有も図りながら、地域資源を生かしながら地域の固有課題に対応する独自施策を展開することで地域活性化につながるという事業趣旨の実現に向け、より有効にこの予算が活用されることを願いますが、事業開始から各県民局の予算執行の実績を見れば、せっかくの行革における厳しい予算の中での予算措置にも関わらず、3年間で総額約8千万円もの不用額が生じています。

そこで、知事として、地域の夢推進事業費の3年間の成果をどのようにとらえ、今年度からのふるさとづくり推進費で各県民局にどのような取り組みを期待されているのかお伺いします。

3 子供の安全確保について

今年に入って、1月には札幌で小学3年生の女の子の監禁事件、7月に倉敷で小学5年生の監禁事件が起こり、先日には、長田区において、小学1年生の女の子の命が奪われるいたましい事件が起こるなど、子供が被害者となる犯罪が後を絶ちません。また、平成25年における県警が把握する未成年の子供に対する犯罪被害等の発生状況は、強制わいせつや公然わいせつのような明らかな犯罪に加え、犯罪につながりかねない声かけやつきまとい事案も含めますと、兵庫県内において、2千件を超えるとも報告されています。

このような犯罪からの子供たちの安全確保については、長田区の事件以降、特に防犯カメラの設置等への補助事業に県と神戸市で追加募集が決定されるなど、その抑止力が注目されていますが、私は、今年の2月定例会で質問を行い、提案を行いましたように、ハード事業に加え、地域ぐるみでの子供の見守りという県民意識の高揚こそが重要不可欠と考えます。長田区での悲惨な事件を教訓として生かす意味で、全国民・県民が大人・地域が子供の命を守っていかなくてはならないという機運が高まっている今、この機をとらえて、効果的な施策の展開を図っていくべきと考えます。

そこで、身近で行われている取り組みとして、兵庫における「子どもを守る110番の家・店」の取り組みがあります。既に県内全ての市町で取り組まれるようになり、昨年末現在、事業所、店舗も含めてその数は約7万5,000ヵ所以上に及ぶものの、例えば先に述べた県警が把握する昨年の子供に関する犯罪被害等発生状況2千件と比較して、110番の家等への駆け込み事例は91件との報告もあり、そのいずれもが、店や駅への駆け込み事例と報告を受けております。設置数に応じた効果が出ていないと感じますことから、犯罪抑止を含めたより効果的な取り組みとするため、各市町ばらばらの取り組みを県で統括してより積極的に推進することとともに、誰でもどこでもわかる県下共通の在宅サインの具現化などを2月議会で提案したところであります。その際、政策部長から「地域によっては導入に若干否定的な声があるものの、例えばモデル地区を指定して、そこで一回、導入についての効果や問題点を検証して、その上で効果があり、あるいは地域の理解も得られるようであれば、全県に広げていくというような取り組みもやっていきたい」との答弁も得たところであります。

そういった中、長田区での事件を受け、赤穂警察署では小学校と連携し、帰宅中に包丁を持った男に声をかけられた児童が「110番の家」に逃げ込み、駆けつけた警察官が不審者を確保するという想定で、助けの求め方や不審者の特徴を大人に伝える要点などの訓練を行ったとの報道がありました。私は、市町、警察、教育委員会、各種団体等のいろいろな主体で取り組まれているこのような取り組みを、安全なまちづくりを推進する県行政が中心となって、市町とも連携を深め、まず、答弁にあったモデル地区づくりに早急に取り組み、そして県民総がかりの県民運動として盛り上げていくべきと考えます。

そこで、2月定例会後の在宅サイン導入等に向けた検討状況も含め、県民ぐるみでの子供の安全確保に向けた県行政としての今後の取組み方針についてお伺いします。

4 男女共同参画について

男女共同参画社会づくりに向けたさまざまな取り組みをより効果的に推進するためには、県自らが男女共同参画のモデル職場となるよう率先して行動することが重要という認識から策定している男女共同参画兵庫県率先行動計画の推進について、平成15年度より様々な数値目標を設定して取り組んでいますが、先の部局審査で健康福祉部にその数値目標の根拠についてお伺いしました。

答弁では、例えば管理職に占める女性の割合では平成23年4月時点で5.6%と低かったので全国平均並の6.5%、県審議会等における女性の割合では国の計画を上回る35%を目標として設定したとのことでありました。本来、男女を問わず有能な管理職を登用するという基本理念のもと、その結果として女性登用が増え、加えて、女性登用によってその能力が発揮され、県施策推進に向け、成果があがっていくということが基本と考えます。間違っても、数値目標達成のための登用が先行すれば、男女共同参画社会づくりの目的からは程遠い、本末転倒な話となると考えます。

登用目標についても、県職員の男女比率をみますと、職員全体では、男性70.8%、女性29.2%であるのに対し、例えば、健康福祉部では、保健師、栄養士なども含めると男性59.4%、女性40.6%、県土整備部では、男性90.3%、女性9.7%であります。このように職場の現状は様々であり、一律に目標を設定するのではなく、部局等の施策の特性にあわせた目標設定も検討していくべきではないかと考えます。

いずれにしても、まず当面の目標とされてきたあらゆる面での女性の参画促進は、数字面からはある程度達成されてきている現状にあります。今後は、これらの数値目標の達成だけに捕らわれることなく、計画策定の趣旨にもある「男女がともに人生のどの時期においても、いきいきと暮らせる社会の実現」に向け、県がモデル職場として成果を社会全体に発信していくことも念頭に置いて、計画推進していくべきと考えます。

そこで、まず、率先行動計画策定以前の女性登用の低さは何に起因していると考えるかお伺いします。また、計画最終年度を迎えた今、第4次男女共同参画兵庫県率先行動計画に関する様々な数値目標の達成が県の各職場に与えた効果と、これまで指摘した件も含め、次期計画策定に向けての課題認識と策定方針についてあわせてお伺いします。

5 土砂災害等の防止について

この件については、聞きたい内容に関してほとんど全て先に答弁があったので、1点だけ伺います。土砂災害警戒区域の総点検を行うとのことですが、県民にとっては鵜の目鷹の目で、赤色に塗られたら資産価値がなくなってしまうのではないかとの声を聞きます。黄色でも地価が下がるとか、転居する際に家が売れないとかとの声を聞きます。土砂災害警戒区域の総点検をうたうのであれば、どういう意味かということを含めた広報や県民への周知をしっかりとやらないといけないと思いますが、その方針を簡単にお聞きします。

6 兵庫型「体験教育」のあり方について

兵庫型「体験教育」については、これまでより児童生徒の発達段階に応じて、様々な取組みが行われています。

小学5年生を対象に実施されている自然学校は、昭和62年に開催した「こころ豊かな人づくり懇話会」での「人は自然とのふれあいの中で、豊かな感性、問題解決能力、粘り強さなどを培うとともに、人とのふれあいを通して、生きる喜びや苦しみを知り、思いやり、協調性、社会性などを身に付ける」という提言を基本理念に据えて、昭和63年度から実施され、既に26年が経過しています。この間、平成7年には阪神・淡路大震災が発生し、生命の尊厳や助け合いの大切さなどの貴重な教訓を学び、今後の教育に生かすべく様々な取り組みが進められてきましたが、平成9年には神戸市須磨区で大変痛ましい事件が発生し、その教訓から社会生活上のルールや倫理観の育成、自己責任の自覚や自立・自制の心の涵養など「心の教育」の大切さが指摘され、平成10年度から地域における活動や体験を通して子供達一人一人が自分なりの生き方を見つけられるよう中学2年生を対象に“地域に学ぶ”トライやる・ウィークが実施されています。

いずれも、全国に誇れる素晴らしい取組みで兵庫型「体験教育」をモデルとして、新学習指導要領に「体験活動の充実」が位置付けられるなど、その取組みは全国的に評価されているところであります。

また、平成17年度からは、高校生を対象に地域貢献事業~トライやる・ワーク~を実施し、平成25年度からは、高校生ふるさと貢献事業として、地域行事への参加等によりふるさとに対する関心を高め、社会に最も近い高等学校の3年間を通して生徒が主体的な行動ができるように取り組まれ、あわせて、就業体験を行うインターンシップも行われています。

しかしながら、取り組みの現状を見てみますと、自然学校にあっては、行革の影響も少なからずあったと私は思いますが、5泊6日が平成21年度からは4泊5日以上とされ、小学校3年生の環境体験事業と抱き合わせの補助金となり、平成23年度から交付金化とされました。また、トライやる・ウィークについても、子どもたちの希望に応じた受入れ先の確保が難しくなっていることに加え、「マンネリ化」し活動が行事化しているという指摘があるなど、いつの間にか安易な職業体験教育へと転化してしまったのではと危惧されます。

そこで、以上のような現状を踏まえ、兵庫型「体験教育」について、今一度、基本理念を確認し、兵庫型「体験教育」とうたいながら、重点目標の「豊かな心」の育成に位置づけられていることからも、そのあり方、目的を再確認する時期に来ていると考えますが、兵庫型「体験教育」のこれまでの成果を含め現状をどのように認識しているのか、ご所見をお伺いします。

また、この全国に誇る貴重な兵庫型「体験教育」の取組みが、小・中・高それぞれ別個の取り組みで完結するのではなく、それぞれの成果が積み重なって生かされる、取り組みとして行うべきと思いますが、その検証も含め、「豊かな心」の育成に向けて、今後どのように継続し、関連・系統づけられ、進められようとしているのか、併せてお伺いします。

藤井 訓博
神戸市北区